(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944491
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】汚水槽の中へガスを注入するための機器
(51)【国際特許分類】
C02F 3/20 20060101AFI20160621BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20160621BHJP
B01F 5/06 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
C02F3/20 Z
B01F3/04 A
B01F5/06
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-511935(P2014-511935)
(86)(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公表番号】特表2014-517769(P2014-517769A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】FR2012051114
(87)【国際公開番号】WO2012160300
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年3月11日
(31)【優先権主張番号】1154543
(32)【優先日】2011年5月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(73)【特許権者】
【識別番号】513295892
【氏名又は名称】ミルトン・ロイ・ミキシング
【氏名又は名称原語表記】MILTON ROY MIXING
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ビュードゥワン、ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ブリアン、ロベール
(72)【発明者】
【氏名】ブッツ、ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】シャンポ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】サブルー、フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】マル、ダビド
(72)【発明者】
【氏名】コニャール、パトリス
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−107789(JP,A)
【文献】
特開平06−091146(JP,A)
【文献】
特開昭59−016597(JP,A)
【文献】
特開2000−167367(JP,A)
【文献】
実開昭54−133402(JP,U)
【文献】
特開昭54−037354(JP,A)
【文献】
特開2001−276878(JP,A)
【文献】
特開2003−053371(JP,A)
【文献】
国際公開第2002/048056(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/00−3/34
B01F 3/04
B01F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流出物又は廃水の中へガスを注入するための浮遊式機器であって、より具体的には、酸素を豊富に含むガスを表面から槽の中へ注入するための浮遊式機器であって、以下の要素、すなわち、
− 前記液体流出物又は廃水の上方に配設されることが意図されている駆動デバイスであって、垂直方向の出力シャフト(8)が設けられ、その端部に、前記液体流出物又は廃水に浸漬されるプロペラ(6)が装備されている、駆動デバイスと、
− 傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーター(9)の上方または下方に位置付けられている注入デバイス(7)を備える予混合デバイス(5)であって、前記プロペラが、前記予混合デバイス(5)の下において、前記出力シャフトの前記端部に位置している、予混合デバイス(5)とを備え、
前記注入デバイス(7)が、トーラス形状であり、多孔性の要素のアセンブリにより形成されている、浮遊式機器。
【請求項2】
前記プロペラが、0.3から1の範囲にあるポンピング流量数NQpを有し、
Qp=NQpxNxD3であり、ここで、Qpが、前記プロペラのポンピング速度であり、Nが、前記プロペラの回転速度であり、Dが、前記プロペラの直径であることを特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、前記プロペラの直径に内接される円の中に位置付けられており、前記トーラスが、前記プロペラの上方に、前記プロペラの前記直径の0.01倍から1.5倍の間の距離に位置付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、前記トーラスが、前記プロペラの直径の20%から200%の間の直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、前記トーラスの内部スペースが、異なるガスを供給されることが可能な少なくとも2つの別々のゾーンへ区分化されていることを特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記注入デバイスと傾斜したブレードを備える前記モバイルエアレーターとの間の距離が、前記モバイルエアレーターの直径の1%から20%の間であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記注入デバイスが、多孔性のキャンドルフィルタータイプ、または多孔性のプレートタイプ、または穿孔されたプレートタイプの多孔性の要素のアッセンブリにより形成されており、前記多孔性の要素が、合計で3つであり、前記プロペラの垂直軸の上に中心を置いた垂直方向円筒体によって画定されている体積部の中に位置しており、前記垂直方向円筒体が、前記プロペラの直径の少なくとも3倍に等しい外径を有し、前記プロペラの直径の少なくとも3倍に等しい高さを有することを特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
1つまたは複数の浮遊体(3)の存在のおかげで浮遊しており、前記浮遊体の下側面と前記プロペラの上側前縁部との間の距離が、前記プロペラの直径の0.5倍から1.5倍の間であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
傾斜したブレードを備える前記モバイルエアレーターが、2つから12個のブレードを含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の機器。
【請求項10】
傾斜したブレードを備える前記モバイルエアレーターが、前記注入デバイスの下方に、前記注入デバイスから5mmから100mmの間の距離に位置付けられていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の機器。
【請求項11】
少なくとも2つのプレート(11)のアッセンブリを備え、前記少なくとも2つのプレート(11)のアッセンブリは、実質的に平行六面体または台形の形態を備え、水位線の下方に位置付けされており、前記プレートが、一方の端部において本体部に固定され、前記注入デバイスの構成要素に完全にまたは部分的に接合されており、前記プレートが、前記プロペラの駆動軸に向けて方向付けられていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体流出物または廃水の中へガスを注入することを可能にする機器の分野に関する。特に、本発明は、生物学的な槽をエアレーションする方法に関連し、生物学的な槽の中で、酸素を豊富に含むガス、または、CO
2を含む混合物の注入によって、スラッジが活性化される。
【0002】
本発明の目的のうちの1つは、現代の機器の制約を除去すると同時に、デバイスのエネルギー消費の最適化を可能にする新規な浮遊式機器を提案することである。
【背景技術】
【0003】
流出物の好気性の生物学的な処理は、一般的に、これらの流出物をバイオマス(微生物)に接触させるということから構成され、バイオマスは、有機分子を変化させることによって、その中に含有される汚染物質を分解するということが思い起こされるであろう。したがって、バイオマスを給送するような方式で、ガス(一般的に、含酸素ガス)を、槽の中に含有されている流出物の中へ注入することが知られている。この目的のために、流出物の中へガスを注入するための多数のデバイスが、この市場に提供されている。システムの多くは、浸漬されているか、または、浮遊しているかのいずれかである。
【0004】
また、一般的に、それらは、流出物を撹拌し、含酸素ガスの注入が、撹拌と組み合わせられ、流出物の中の含酸素ガスのより良好な溶解を可能にする。この溶解は、デバイスの移動容量(transfer capacity)によって測定される。液体の撹拌と、液体の中へのガスの注入とのためのこれらのデバイスの多くにとって、液体の中へのガスの移動の一部は、ベンチュリーまたはタービンなどのような、ガス/液体混合手段によって達成され、液体の中にガスの乳状液を形成し、移動の残りは、液体の中の乳状液の分散と同時に得られる。
【0005】
これらの撹拌および注入デバイスの多くは、限定された注入容量を有する(液体の中へガスを注入する手段のレベルで、ガスの体積が、液体の体積に対して大きくなり過ぎるので、特定のガス注入流量を超えると、デバイスが閉塞する)ということが観察されてきた。処理槽の中に含有されている液体の中により多くのガスを移動および溶解させることは可能であろうが、デバイスは、ガス必要量の全量を提供することができない。
【0006】
酸素を豊富に含むガスの注入によってエアレーションを可能にする浮遊システムは、比較的に複雑な技術を使用し、比較的に複雑な技術は、製造上と使用上とのコスト的な制約につながり、結果として、それらの使用を限定する。
【0007】
説明目的の例として、文献EP−995485A1を引用することが可能であり、それは、酸素を豊富に含むガスを非常に高い移動効率で槽の中へ移動させることを可能にする浮遊式機器を説明している。しかし、それは、この目的のために、複雑な技術を使用しており、ガス/液体乳状液が作り出されることを可能にすることをタービンに要求し、それは、この乳状液を槽の中に分散させるように設計されているプロペラに向けて、この乳状液が方向付けられることを可能にするシステムによって補完される。
【0008】
そのような要素と、タービンと、ガス/液体乳状液と分散プロペラとの方向付けを可能にするシステムとの組み合わせは、以下の主な結果を有する。
【0009】
− 高いエネルギー消費(タービンが、機器によって消費される全エネルギーのおおよそ40%を消費する)と、
− 高い機器重量(高い材料コストと、浮遊体の選択に関する制約とを暗示する)と、
− 高い機器製造コストとメンテナンスコストとの結果を招く、製造と組み立てとの制約と、
− とりわけ、タービンと、タービンによって発生させられるガス/液体乳状液の方向付けを可能にするシステムとの使用によって引き起こされる、機器(上記参照)によって注入され得るガスの流量の制限。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の目的のうちの1つは、酸素を豊富に含むガスの注入を可能にし、先行技術のデバイスの技術的な欠点を限定または除去しながら、それらの先行技術のデバイスと同等のガス移動効率を有する浮遊式機器を提案することである。
【0011】
この目的を実現するために、本明細書で、以下の目的を実現することを目指してタービンを除去することが提案される。
【0012】
− 消費されるエネルギーのおおよそ30%の低減と、
− タービンによって発生させられる流れを案内するための主要要素の除去と、
− 機器の閉塞制限(blocking limit)の50%を超える増加と、
− 機器の重量のおおよそ25%の低減と、
− その製造と、組み立てと、メンテナンスとの大幅な簡単化と、
− 製造コストとメンテナンスコストとの低減と、
− 同等に消費される電力に対して、機器の作動分野の増加。
【0013】
しかし、タービンを除去することは、微細な気泡(典型的に、サイズが0.8mmから2.5mmの範囲にある)の発生、または、ガスの一部の移動速度などのような、望まれる機能を除去する結果を有するので、当業者に否定的に見える可能性がある。
【0014】
以下に、より詳細に説明されるように、提案されている本発明の新規な機器は、これらの基本的な機能を交換または補償するように設計されており、この目的のために以下の要素を組み合わせる。
【0015】
− 液体の上方に配設されることが意図されている駆動デバイスであって、駆動デバイスは、垂直方向の出力シャフトが設けられ、その端部に、液体に浸漬されるプロペラが装備されており、プロペラは、好ましくは、高いカバー率(以下参照)によって特徴付けられる、駆動デバイスと、
− 予混合タイプの反応装置と呼ばれることもあるデバイスであって、デバイスは、注入デバイス(例えば、注入トーラス)を備え、注入デバイスは、傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターの上方または下方に位置付けられている、デバイスと、
− プロペラが、シャフトの端部において、予混合反応装置の下方に位置すること。
【0016】
プロペラに適用されるような「カバー率」の表現は、ブレードによってカバーされる領域とプロペラが内接される円形の領域との比を意味している。
【0017】
上述のように、機器は、注入デバイスを含み、注入デバイスは、好ましくは、多数のオリフィスが設けられたトーラスであり、オリフィスは、ガスの規則的な拡散のために設計されており、プロペラの直径の中に内接される円の中に位置付けられている。出願人によって行われた研究は、ガスの均質な拡散を実現する点においてだけでなく、可能性のある閉塞の現象を低減し、容易な設置と低減されたメンテナンスとに有利に働くという点においても、注入トーラスの有利な性能を実証した。トーラスのオリフィスは、好ましくは、可能性のある閉塞を防止するために、下向きに方向付けられる。
【0018】
本発明によれば、トーラスが好ましいが、本発明の範囲を逸脱することなく、異なる形状の多孔性の要素(プレート、キャンドルフィルター、または、微細に穿孔されたプレートなど)などのような他の注入デバイスを使用することを想定することが、同等に可能である。
【0019】
反応装置の基本的な機能が、ディフューザーと傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターとを組み合わせることによって得られ、それは、機器の他の要素と、特に分散プロペラとに対して慎重に位置付けられる。この組み合わせと、この位置決めとによって発生させられる流体圧の流れは、反応装置の中の最適化された流れにつながる。「ディフューザーと傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーター」との対は、全体の機器を構成する様々な要素の要求性能と、選択と、組み合わせと、位置決めとを実現するのに不可欠な予混合反応装置の機能を提供し、一方では、予混合の生成を確実にし、他方では、槽の中のその分散を確実にし、槽の中への最適な移動が得られることを可能にする。
【0020】
本発明によって提案されている配置は、予混合器から来る予混合物が所定の領域に拡散されることを可能にし、所定の領域では、液体速度場が、その強度とその方向との観点から最適であり、気泡を可能な限り遠くに推進し、合体の現象を防止する。
【0021】
当業者は、本発明の機器の中に傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターが存在することに同様に驚かされるであろう。
【0022】
傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターは、液体の中のガスの分散において、一般的に使用されない。
【0023】
しかし、本発明の場合には、高いカバー率を有するプロペラの使用に起因して、および、様々なコンポーネントの中に前記モバイルエアレーターを位置付けることに起因して、この使用が、可能であり、望ましい。
【0024】
したがって、傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターが、以下のものを発生させるということを実証することが可能である。
【0025】
− 反応性混合物の均質性に有利に働く軸線方向と半径方向との流れと、
− 小さいガス気泡(モバイルエアレーターの高いせん断力係数に起因する)と、
− 主にプロペラによって生成される機器の流体圧の流れの低い乱れ。
【0026】
また、傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターは、この機能のために従来から使用されているモバイルエアレーターと比較して、低減されたエネルギー消費によって特徴付けられる。
【0027】
要約すると、本技術分野では、真っ直ぐのブレードを備えるモバイルエアレーターだけが見られており、それは、純粋に半径方向の流れだけを生成し、したがって、より高い抵抗を作り出し、それによって、より高いエネルギー消費を作り出す。
【0028】
したがって、本発明は、液体流出物または廃水の中へガスを注入するための浮遊式機器に関し、より具体的には、酸素を豊富に含むガスを表面から槽の中へ注入するための浮遊式機器であって、浮遊式機器は、以下の要素を備える。
【0029】
− 液体の上方に配設されることが意図されている駆動デバイスであって、駆動デバイスは、垂直方向の出力シャフトが設けられ、その端部に、液体に浸漬されるプロペラが装備されている、駆動デバイスと、
− 傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターの上方または下方に位置付けられている注入デバイス(例えば、注入トーラス)を備える予混合デバイスであって、プロペラが、予混合反応装置の下において、シャフトの端部に位置している、予混合デバイス。
【0030】
そのうえ、本発明は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を適用することが可能である。
【0031】
− プロペラが、0.3から1の範囲にあるポンピング流量数N
Qpを有し、
Q
p=N
QpxNxD
3であり、ここで、Q
pが、プロペラのポンピング流量であり、Nが、プロペラの回転速度であり、Dが、プロペラの直径である。
【0032】
− 注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、プロペラの直径に内接される円の中に位置付けられており、トーラスが、プロペラの上方に、プロペラの直径の0.01倍から1.5倍の範囲にある距離に位置付けられており、好ましくは、プロペラの上方に、プロペラの直径の0.03倍から0.3倍の範囲にある距離に位置付けられている。
【0033】
− 注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、トーラスが、プロペラの直径の20%から200%の間の直径を有し、有利には、プロペラの直径の30%から120%の直径を有する。
【0034】
− 注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、トーラスの内部スペースが、異なるガスを供給されることが可能な少なくとも2つの別々のゾーンへ区分化されている。
【0035】
例として、トーラスのゾーンのうちの1つに酸素を供給し、かつ、もう一方のゾーンに、または、他のゾーンのうちの1つに、O
2/O
3の混合物を供給することが可能である。異なるガス(O
2/O
2+O
3、O
2/空気、O
2または空気/CO
2など)を有することが可能であるということ、または、異なる質のガスによって供給することが可能であるということは、いくつかの用途に対して、とりわけ有利である。したがって、例として、完全に別々のネットワークを使用することによって(酸素ラインを低品質の空気で汚染するリスクがない、酸素が空気圧縮機などに向かって戻るリスクがない)、あらゆる安全性リスクを除去することによって、同時にまたは代替的な方式で、空気と酸素とを注入することを考慮することが可能である。
【0036】
また、CO
2の注入のために、pHを調整することとの関連で、同じ機器を使用することを考慮することも可能であり、同時に、または、代替的な方式で、エアレーションを実施するために酸素を備えるガスを注入することが可能である。
【0037】
異なる流量/圧力を有するガスとの関連で、互いに対して圧力と流量とを制御することに関連する問題が、除去される。
【0038】
− 一変形例では、注入デバイスは、2つの半トーラスによって形成され、それぞれの半トーラスは、既に上述のように、異なるガスを供給されることが可能である。
【0039】
− 注入デバイスが、多孔性のキャンドルフィルタータイプ、または多孔性のプレートタイプ、または穿孔されたプレートタイプの多孔性の要素のアッセンブリにより形成されており、多孔性の要素が、好ましくは、合計で3つであり、プロペラの垂直軸の上に中心を置いた垂直方向円筒体によって画定されている体積部の中に位置しており、垂直方向円筒体が、好ましくはプロペラの直径の少なくとも3倍に等しい外径を有し、好ましくはプロペラの直径の少なくとも3倍に等しい高さを有する。
【0040】
− 浮遊体の下側面とプロペラの上側前縁部との間の距離が、プロペラの直径の0.5倍から1.5倍の範囲にあり、好ましくは、プロペラの直径の0.8倍から1.0倍の範囲にある。
【0041】
− 注入トーラスと傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターとの間の距離が、モバイルエアレーターの直径の1%から20%の範囲にあり、好ましくは、モバイルエアレーターの直径の2.5%に近い。
【0042】
− 傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターが、2つから12個のブレード、好ましくは4つから8つのブレード、好ましくはシャフトの端部に位置するプロペラのブレード数の偶数倍を含む。
【0043】
− 傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターが、注入器の下方に、5mmから100mmの範囲にある距離に位置付けられている。
【0044】
− 注入されるガスは、25%から100%の範囲にある酸素含有量を有するガス、または、オゾンを含有するガス、または、そのCO
2含有量が5%から100%の範囲にある二酸化炭素を含有するガス、または、80%から100%の窒素を備えるガスである。
【0045】
本発明の他の特徴と利点とは、非限定的な例として与えられている実施形態の以下の説明から、および、添付の図面を参照して、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】トーラスタイプの注入手段を使用する本発明の機器の一実施形態を示す部分的な概略断面図。
【
図2】6つのブレードを含む本発明の傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーターの実施形態を示す図。
【
図3】防振プレートを備える本発明の実施形態のうちの1つの詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、浮遊式機器において、本発明にしたがって、液体流出物または廃水の槽1の中へガスを注入するために、下記を示している。
【0048】
− 液体1の上方に配設されることが意図されている駆動デバイスであって、駆動デバイスは、垂直方向の出力シャフト8が設けられ、その端部に、液体に浸漬されるプロペラ6が装備されている、駆動デバイスと、
− 1つまたは複数の浮遊体3の存在のおかげで浮遊する装置と、
− トーラス形状の注入デバイス7(ガス入口部2によって供給される)を備える予混合デバイス5であって、注入デバイス7は、傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーター9の上方に位置付けられており、プロペラが、予混合反応装置の下において、シャフトの端部に位置している、予混合デバイス5。本明細書で示されている実施形態は、トーラス7の場合を図示しており、その内部スペースは、連続的で区分化されておらず、単一の入口部2を介してガスを供給されているが、当業者は、少なくとも2つの別々のゾーンへ区分化された内部スペースを備え、異なるガスを供給されることが可能な、区分化されたトーラスの場合には、2つ以上のガス入口部2が、トーラスの上に設けられることとなるということを理解することとなる。
【0049】
− 表されている実施形態では、プロペラのブレードの数は3つであり、モバイルエアレーターのブレードの数は6つである。
【0050】
− カウンターブレードのシステム4(ここで、示されている実施形態に関して、デバイスは、3つのカウンターブレードを備えている)は、一方では、予混合領域の境界を画定することを可能にするだけでなく、渦の形成を防止し、機器を駆動して回転させる(機器は、こまのように回ることとなる)。そのうえ、このカウンターブレードのシステムは、軸線方向の流れの配向を可能にする。
【0051】
図1は、単なる機器の部分的な図表示であり、それは、本発明に属する必須要素をより明確に示すために、二次的なまたは随意的な細部の全てを示しているとは限らず、したがって、とりわけ、従来的に、そのような注入機器の構成要素に、ここでは、例えば、浮遊体、トーラス、または、カウンターブレードにも接合されるアッセンブリの金属製本体部は、示されていない。したがって、
図1は、2つのカウンターブレード4を接続する2つの補強バー10を示しており、前記バーは、そのような本体部の一部を形成している。
【0052】
図3は、本発明を実施する有利な様式のうちの1つを詳細図で図示しており、それは、非常に興味深い構成であると見ることが可能であり、とりわけ、デバイスの振動を制限することが可能である。この有利な様式では、デバイスは、平行六面体または台形の形態を備えるプレート11(ここでは、合計で3つ(1つのカウンターブレード当たり1つのプレート))を備え、前記プレートは、一方の端部において、本体部10に固定され、例えば、カウンターブレード4(それらは、そのような本体部の一部も形成している)のうちの1つに固定され、プレートは、プロペラの駆動軸に向けて方向付けられており、一方では、水位線の下方に位置付けされている。
【0053】
以下の技術的な説明によって全く制限されることなく、出願人は、そのような構成が、プロペラによって吸い込まれる液体の流れを部分的に導き、潜在的なシステムの振動の低減に貢献することが可能であるということを提案してきた。
【0054】
図1と
図2との関連で説明されているような機器は、書類仕事(paperwork)からの流出物を処理する生物的酸化槽の中へ酸素を注入するために使用されてきた。
【0055】
53.3kg/hと評価された酸素要求量に関して、45m
3/hの酸素の流量が、槽の中へ注入された。計算される移動効率は、91.3%に近い値と評価され、それは、素晴らしい性能を表している。
【0056】
したがって、機器の簡単化が、それとは逆に、得られる性能を低下させるのではないということが実証された。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1]
液体流出物または廃水の中へガスを注入するための浮遊式機器であって、より具体的には、酸素を豊富に含むガスを表面から槽の中へ注入するための浮遊式機器であって、以下の要素、すなわち、
− 前記液体の上方に配設されることが意図されている駆動デバイスであって、垂直方向の出力シャフト(8)が設けられ、その端部に、前記液体に浸漬されるプロペラ(6)が装備されている、駆動デバイスと、
− 傾斜したブレードを備えるモバイルエアレーター(9)の上方または下方に位置付けられている注入デバイス(7)を備える予混合デバイス(5)であって、前記プロペラが、前記予混合反応装置の下において、前記シャフトの前記端部に位置している、予混合デバイス(5)とを備える、浮遊式機器。
[2]
前記プロペラが、0.3から1の範囲にあるポンピング流量数NQpを有し、
Qp=NQpxNxD3であり、ここで、Qpが、前記プロペラのポンピング速度であり、Nが、前記プロペラの回転速度であり、Dが、前記プロペラの直径であることを特徴とする、請求項1に記載の機器。
[3]
前記注入デバイスが、トーラス形状であることを特徴とする、請求項1または請求項2
に記載の機器。
[4]
前記注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、前記プロペラの前記直径に内接される円の中に位置付けられており、前記トーラスが、前記プロペラの上方に、前記プロペラの前記直径の0.01倍から1.5倍の間の距離に位置付けられており、好ましくは、前記プロペラの上方に、前記プロペラの前記直径の0.03倍から0.3倍の間の距離に位置付けられていることを特徴とする、請求項3に記載の機器。
[5]
前記注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、前記トーラスが、前記プロペラの前記直径の20%から200%の間の直径を有し、好ましくは、前記プロペラの前記直径の30%から120%の間の直径を有することを特徴とする、請求項3に記載の機器。
[6]
前記注入デバイスが、トーラスであり、注入オリフィスが設けられており、前記トーラスの内部スペースが、異なるガスを供給されることが可能な少なくとも2つの別々のゾーンへ区分化されていることを特徴とする、請求項3に記載の機器。
[7]
前記注入トーラスと傾斜したブレードを備える前記モバイルエアレーターとの間の前記距離が、前記モバイルエアレーターの前記直径の1%から20%の間であり、好ましくは、前記モバイルエアレーターの前記直径の2.5%に近いことを特徴とする、請求項3から6までのいずれか一項に記載の機器。
[8]
前記注入デバイスが、多孔性のキャンドルフィルタータイプ、または多孔性のプレートタイプ、または穿孔されたプレートタイプの多孔性の要素のアッセンブリにより形成されており、前記多孔性の要素が、好ましくは、合計で3つであり、前記プロペラの前記垂直軸の上に中心を置いた垂直方向円筒体によって画定されている体積部の中に位置しており、前記垂直方向円筒体が、好ましくは前記プロペラの前記直径の少なくとも3倍に等しい外径を有し、好ましくは前記プロペラの前記直径の少なくとも3倍に等しい高さを有することを特徴とする、請求項1に記載の機器。
[9]
前記機器が、1つまたは複数の浮遊体(3)の存在のおかげで浮遊しており、前記浮遊体の前記下側面と前記プロペラの前記上側前縁部との間の前記距離が、前記プロペラの前記直径の0.5倍から1.5倍の間であり、好ましくは、前記プロペラの前記直径の0.8倍から1.0倍の間であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の機器。
[10]
傾斜したブレードを備える前記モバイルエアレーターが、2つから12個のブレード、好ましくは4つから8つのブレード、好ましくは前記シャフトの前記端部に位置する前記プロペラのブレード数の偶数倍を含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の機器。
[11]
傾斜したブレードを備える前記モバイルエアレーターが、前記注入デバイスの下方に、前記注入デバイスから5mmから100mmの間の距離に位置付けられていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の機器。
[12]
前記機器が、少なくとも2つのプレート(11)のアッセンブリを備え、前記少なくとも2つのプレート(11)のアッセンブリは、実質的に平行六面体または台形の形態を備え、前記水位線の下方に位置付けされており、前記プレートが、一方の端部において本体部に固定され、前記注入機器の前記構成要素に完全にまたは部分的に接合されており、とりわけ、前記注入デバイス(7)と浮遊要素とが、前記機器が浮遊していることを可能にし、前記プレートが、前記プロペラの駆動軸に向けて方向付けられていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の機器。