特許第5944492号(P5944492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944492
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】ドビー織機および対応する製織方法
(51)【国際特許分類】
   D03C 13/00 20060101AFI20160621BHJP
   D03C 1/00 20060101ALI20160621BHJP
   D03D 35/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   D03C13/00 A
   D03C13/00 Z
   D03C1/00 Z
   D03D35/00
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-513087(P2014-513087)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公表番号】特表2014-518957(P2014-518957A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】EP2012055856
(87)【国際公開番号】WO2012163571
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2014年12月22日
(31)【優先権主張番号】11168445.2
(32)【優先日】2011年6月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500031009
【氏名又は名称】テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】エンゲサー,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】レンツィン,シュテファン
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−004597(JP,A)
【文献】 実開平06−079781(JP,U)
【文献】 特開2009−062637(JP,A)
【文献】 特開2000−064145(JP,A)
【文献】 特開昭50−138176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03C 1/00 − 19/00
D03D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸杼口を形成するための開口装置を有する織機であって、
ヘルド部材および複数のヘルドフレーム(4,6,8,10)を備え、前記ヘルドフレーム(4,6,8,10)は、それぞれリニアモータに接続され、前記リニアモータの制御によって、前記ヘルドフレーム(4,6,8,10)の上側最大位置から下側最大位置への運動およびその逆の運動が可能に構成されており、
選択的な複数の緯糸を前記経糸杼口(22,24)内に打ち込むための複数の色制御手段(18,20)を有する緯糸打込み装置(14)を備え、
前記リニアモータを制御するための制御ユニットを備え、前記制御ユニットは、所定時点における前記ヘルドフレーム(4,6,8,10)の前記上側最大位置と前記下側最大位置との間の特定位置の制御を可能にするように設計されており、前記制御ユニットはセンサーユニットを備え、前記センサーユニットによって、前記ヘルドフレーム(4,6,8,10)の各1つの前記位置が連続的に測定可能に構成されているものにおいて、
前記複数のヘルドフレームは、前記複数の色制御手段(18,20)が個別に取付けられる複数の緯糸用ヘルドフレーム(4,6)を含み、前記各色制御手段(18,20)対応する緯糸(40,42)の選択的な打込みが前記緯糸用ヘルドフレーム(4,6)の運動によって制御可能に構成されていることを特徴とする織機。
【請求項2】
前記緯糸打込み装置は、複数の能動的に制御される緯糸送給手段(30,32)を備えており、前記緯糸を打込むための前記色制御手段(18,20)が選択されたとき、前記緯糸送給手段(30,32)によって、所定量の前記対応する緯糸(40,42)が送り込まれるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の織機。
【請求項3】
前記制御ユニットはPIDコントローラによる制御装置を備え前記制御装置によって、各ヘルドフレーム(4,6,8,10)の運動の瞬間的な目標位置が決定され前記ヘルド装置の各ヘルドフレーム(4,6,8,10)のトラッキングエラーとなる現在の実位置と現在の目標位置との間の差制御可能であり、かつ、所定位置における前記トラッキングエラー実質的に消滅させることができるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の織機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のドビー織機による製織方法であって、
前記ドビー織機が、経糸杼口(22,24)を形成するためのヘルド部材および複数のヘルドフレーム(4,6,8,10)を有する開口装置を備え、前記ヘルドフレーム(4,6,8,10)は、それぞれリニアモータに接続され、前記リニアモータの制御によって、前記ヘルドフレーム(4,6,8,10)の上側最大位置から下側最大位置への運動およびその逆の運動が可能に構成され選択的な複数の緯糸(40,42)を前記経糸杼口内に打ち込むための複数の色制御手段(18,20)を有する緯糸打込み装置(14)をさらに備えており、前記ヘルドフレーム(4,6,8,10)の前記上側最大位置と前記下側最大位置との間の特定位置の制御が所定時点に行われるように、前記リニアモータを制御するための制御ユニットによって実行され、前記ヘルドフレーム(4,6,8,10)の各1つの位置が、センサーユニットによって連続的に測定される製織方法において、
前記複数のヘルドフレームは、前記複数の色制御手段(18,20)が個別に取付けられる複数の緯糸用ヘルドフレーム(4,6)を含み、前記色制御手段(18,20)対応する緯糸(40,42)の選択的な打込みが、前記緯糸用ヘルドフレーム(4,6)運動を制御することによって行われることを特徴とする製織方法。
【請求項5】
前記緯糸(40,42)の打込みのための前記色制御手段(18,20)が選択されたとき、所定量の前記対応する緯糸(40,42)が能動的に送り込まれることを特徴とする請求項4に記載の製織方法。
【請求項6】
PIDコントローラによる制御ユニットにおいて、前記各ヘルドフレーム(4,6,8,10)の運動の瞬間的な目標位置が決定され、前記ヘルド装置の各ヘルドフレーム(4,6,8,10)のトラッキングエラーとなる現在の実位置と現在の目標位置との間の差制御し、所定位置における前記トラッキングエラー実質的に消滅させることを特徴とする請求項4または5に記載の製織方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織機、特に、請求項1の前文に記載されているヘルド装置およびヘルドフレームを備える開口装置を有するリボン織機に関する。さらに、本発明は、対応する製織方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルド装置およびヘルドフレームを備える織機用の開口装置は、基本的に、種々の文献から知られている。特許文献1から、係合部、例えば、織機の経糸に係合するヘルドフレームを備える係合部が2つのバネ間にクランプされている、織機が知られている。バネ間にクランプされた箇所において、係合部が揺動し、保持装置が、ある時間にわたって振動を停止し、これによって、緯糸打込み中に開口を形成することができるようになっている。この開口装置は、特許文献2においてさらに発展されている。
【0003】
このような開口装置は、特に、高駆動速度、すなわち、高製織速度での操業に対して、特に、必要とされるエネルギを制限するのに極めて有利であることが分かっている。
【0004】
しかし、このような開口装置は、それらの柔軟性に関して制限されている。第1に、任意選択的な中間杼口位置に加えて、下側杼口位置および上側杼口位置しか得ることができない。すなわち、それらの位置でしか保持装置を停止することができない。第2に、いったんヘルドフレームを拘束磁石から解放することによって、運動が引き起こされると、程度の差はあれ、予め定められた形態で、すなわち、運動を細部にわたって制御する可能性を殆ど有することなく、その運動が継続されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願公開第98/24955A号パンフレット
【特許文献2】国際特許出願公開第2008/037106A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ドビーに連結された装置によって、ドビー織機における緯糸打込みを柔軟に行うことにある。そのような装置の例として、色緯糸変更装置またはリボン縁に規則的または不規則的な距離を隔てて種々の大きさの緯糸ループを作るための装置が挙げられる。さらに、本発明の目的は、これらの利点をそれ相応に利用する有利な製織方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、第1の態様によれば、請求項1に記載されているドビー織機によって達成されることになる。第1に、本発明の特徴によれば、予期し得ない高度の柔軟性が得られる。リニアモータを制御するための制御ユニットが、ヘルドフレームの上側最大位置と下側最大位置との間の特定位置への標的化が任意の所定時期に行われるように構成されているという事実によって、例えば、国際特許出願公開第2008/037106A1号におけるのと違って、各ヘルドフレームを極めて柔軟に活用することができる。例えば、製織速度を高めるために、より小さい大きさの杼口を設定することができる。すなわち、製織速度を高めるために、上側杼口と下側杼口との間の差を最大差よりも小さくすることができる。この目的を達成するために、コントローラは、原理的に、「十分な状態にある」杼口を極めて迅速に形成することができ、次いで、必要に応じて、該杼口を所定時間にわたって保持することができる。この場合、緯糸打込み装置は、好ましくは、緯糸ニードルまたは代替的にグリッパー装置または空圧装置によって、緯糸を打込む能力を高めることができる。さらに、従来の構成と違って、緯糸変更が行われるか否かとは無関係に互いに異なる緯糸を同時に打ち込む場合に、経糸の上側杼口位置および下側杼口位置から種々の「中間杼口位置」に移動させることができる。従って、「中間杼口位置」は、全く同じである必要がなく、むしろ、例えば、上側杼口または下側杼口位置のいずれから移動されるかに依存して、プログラム化された方法によって互いに異ならせることができる。これによって、例えば、経糸の保護に関するいくつかの利点が得られる。ヘルドフレームの各1つの位置を連続的に決定することができるという事実によって、コントローラは、ヘルドフレームの運動の時点、好ましくは、各運動の開始を実質的に制御するように構成されることになる。これは、リニアモータが各運動の開始時に最大電力消費を必要とする場合、特に有利である。何故なら、このようにして、運動の開始時点を互いにずらすことができるからである。これは、少なくともリニアモータの全てが最大電力消費を同時に行わないことを意味している。
【0008】
所定時点におけるヘルドフレームの上側最大位置と下側最大位置との間の特定位置の制御が可能になっているので、完全に異なる新たな可能性が得られることになる緯糸打込み装置ヘルド装置の複数のヘルドフレームに協同的に接続されており、これによって色制御手段の1つは、それぞれ、1つのヘルドフレームに付随的に取り付けられ対応する緯糸の選択的な打込みは、前述のヘルドフレームの運動によって制御されるこの特徴は、もし緯糸打込み装置が複数の能動的に制御される緯糸送給手段を備えている場合、特に有利になる。緯糸の打込みのための付随的に取り付けられた色制御手段が選択されたとき、この送給手段によって、所定量の対応する緯糸が送り込まれることになる。
【0009】
所定時点におけるヘルドフレームの上側最大位置と下側最大位置との間の任意の位置を制御する能力からさらに得られるさらに他の効果は、任意の大きさの互いに離間した緯糸ループをリボン縁に作る可能性にある。これによって、緯糸を(各々がドビーによって操作され、適切な時点に作動される)円錐形状の「ブレード」の周りに配置することができる。ブレードをその円錐形状と関連させて埋設する程度を変化させることによって、種々の大きさの緯糸ループを作ることができる。
【0010】
有利には、制御ユニットは、好ましくは、PIDコントローラによる制御装置を備えており、この制御装置によって、各ヘルドフレームの運動に対する現在の目標位置が決定されるようになっている。従って、ヘルド装置の各ヘルドフレームのトラッキングエラー、すなわち、現在の実位置と現在の目標位置との間の差を制御することができる。これによって、制御装置は、好ましくは、前述の時点、すなわち、所定位置におけるトラッキングエラーが実質的に消滅するように、構成されている。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、本発明の目的は、請求項に記載されている方法によってそれ相応に達成されることになる、本発明の方法の有利な実施形態は、請求項5,6に記載されている。
【0012】
本発明によって用いられることになる前述の要素、請求項に記載の要素、および以下の例示的実施形態に記載の要素は、寸法、形状、材料の使用、および技術的設計に関して、どのような例外的な特定条件にも束縛されるものではなく、各応用分野において知られている選択基準を制限なく適用することができる。
【0013】
以下、概略図を参照して、本発明の実施例をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】色制御手段の1つがそれぞれ1つのヘルドフレームに付随的に取り付けられており、対応する緯糸の選択的な打込みが該ヘルドフレームの運動によって制御可能になっている、緯糸打込み装置を備える本発明の一応用例の基本構造を示す図である。
図2】第1の色緯糸が杼口内に打ち込まれ、第2の色緯糸が織端に織り込まれる場合における、図1による応用例に対応する製織要素の運動曲線を示す図である。
図3】第1の色緯糸が離脱され、第2の色緯糸が捕捉される色変更の場合における、図1による応用例に対応する製織要素の運動曲線を示す図である。
図4a】第1の色緯糸の打込みを示す図である。
図4b】第2の色緯糸の捕捉の直前の状態を示す図である。
図4c】左側の反転ポイントにおける緯糸ニードルを示す図である。
図4d】杼口内への再打込みの直前の緯糸ニードルを示す図である。
図4e】第2の色緯糸の打込みを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本発明の特に有利な実施形態が示されている。具体的には、図1は、緯糸打込み装置を有するドビー織機の不可欠な要素を示している。色制御手段、この例では、第1の色のための糸位置決め装置18および第2の色のための糸位置決め手段20が、それぞれ、ヘルドフレーム4,6に付随的に取り付けられている。対応する経糸の選択的な打込みは、該ヘルドフレーム4,6の運動によって制御可能になっている。さらに他のヘルドフレーム8,10は、従来通りに開口を形成するように関連付けられている。周知のドビー織機のさらに他の従来の要素として、ドビー織機のさらに他の要素、すなわち、筬28、筬打ちされる織材料26のみならず、上側杼口22内の経糸および下側杼口24内の経糸も、ここに代表的に示されている。このような応用例は、織機がドビーのためにリニアモータを制御するための制御ユニットを備えている場合にのみ可能である。このような制御ユニットは、所定時点におけるヘルドフレームの上側最大位置と下側最大位置との間の特定位置の制御が可能になるように構成されている。この実施形態では、ドビー織機は、センサーユニットを備えており、該センサーユニットによって、ヘルドフレーム4,6,8,10の各1つの位置が連続的に測定されるようになっている。
【0016】
本実施例では、緯糸打込み装置は、複数の能動的に制御される緯糸送給手段30,32をさらに付随的に備えており、緯糸40,42を打込むための付随的に設けられた色制御手段18,20が選択されたとき、これらの手段30,32によって、所定量の対応する緯糸40,42が送り込まれるようになっている。
【0017】
制御ユニットは、好ましくは、PIDコントローラによる制御装置を備えており、該制御装置によって、ヘルドフレーム4,6,8,10のそれぞれの運動の瞬間的な目標位置が決定され、ヘルド装置の各ヘルドフレームのトラッキングエラー、すなわち、現在の実位置と現在の目標位置との間の差が制御されるようになっている。本実施例では、制御装置は、前述の時点、すなわち、所定位置におけるトラッキングエラーが実質的に消滅するように構成されている。
【0018】
図2には、製織要素の位相シーケンス、すなわち、運動曲線が主軸の回転角度(位相角)の関数として示されている。この図は、第1の色緯糸が杼口22,24内に打ち込まれ、第2の色緯糸が織材料26の織端に織り込まれる場合における、図1による応用例に対応している。ここでは、重要な位相時点、すなわち、位相点A(筬打ち)、位相点B(杼口内への緯糸ニードの打込み)が図示されている。
【0019】
図3には、主軸回転角度(位相角)の関数としての製織要素の位相シーケンス、すなわち、運動曲線が示されている。この図は、第1の緯糸色の緯糸が捕捉され、第2の緯糸色の緯糸が離脱される場合における、図1による応用例に対応している。ここでは、重要な位相時点、すなわち、位相時点A(筬打ち)、位相時点B(杼口内への緯糸ニードの打込み)、位相時点C(第1の緯糸色の緯糸の捕捉)、および位相時点D(第2の緯糸色の緯糸の離脱)が図示されている。
【0020】
緯糸打込みおよび緯糸変更のプロセスが、図4a−4eに示されている。図4aは、第1の色緯糸の打込みを示している。第1の緯糸色の緯糸40は、緯糸ニードル14の先端近くの開口によって捕捉されている。第2の緯糸色の緯糸42は、緯糸ニードル14によって捕捉されておらず、左側のリボン端の領域にとどまっている。図4bは、第2の緯糸色の緯糸42の捕捉の直前の状態を示している。緯糸ニードル14は、杼口の外に移動している。第2の色用の色制御ニードル20は、その上側位置に引き上げられており、第2の緯糸色の緯糸42は、下から色緯糸ニードル14に接触し、次いで、緯糸ニードル14の先端の開口内にスナップ留めされることになる。図4cは、左側の反転位置における緯糸ニードル14を示している。両緯糸色の緯糸40,42が、緯糸ニードル14の先端の開口内に配置されている。図4dは、杼口内への再打込みの直前の緯糸ニードル14を示している。第1の緯糸色用の色制御ニードル18が、下側位置に引き下げられ、これによって、第1の緯糸色の緯糸40は、緯糸ニードル14の先端の開口から抜け出している。第2の緯糸色の緯糸42は、緯糸ニードル14の先端の開口内にとどまっている。何故なら、対応する色制御ニードル20がその上側位置にとどまっているからである。図4eは、第2の緯糸色の経糸42の打込みを示している。緯糸42は、緯糸ニードル14の先端の開口によって捕捉されている。第1の緯糸色の緯糸40は、緯糸ニードル14によって捕捉されておらず、左側のリボン縁の領域にとどまっている。
【0021】
この実施例は、以下の条件、すなわち、本発明に従って、リニアモータを制御するための制御ユニットによって、ヘルドフレームの上側最大位置と下側最大位置との間の特定位置の制御が所定時点に行われ、かつヘルドフレームの各々の位置がセンサーユニットによって連続的に測定されるように、製織プロセスを実行することができるという条件が満たされた場合に、本質的に同一である多数のヘルドフレームによって、杼口形成に加え、ドビー織機のいくつかの制御プロセスを実行し、かつ制御することができるという利点を特に印象的に示している。
【符号の説明】
【0022】
4 第1の色用のヘルドフレーム
6 第2の色用のヘルドフレーム
8 杼口形成用のヘルドフレーム
10 杼口形成用のヘルドフレーム
14 緯糸ニードル
18 第1の色用の色制御手段
20 第2の色用の色制御手段
22 上側杼口における経糸
24 下側杼口における経糸
26 織材料
28 筬
30 第1の色用の能動的糸送給装置
32 第2の色用の能動的糸送給装置
40 第1の緯糸色の緯糸
42 第2の緯糸色の緯糸
A 筬打ちの位相点
B 杼口内への緯糸ニードル打込みの位相点
C 第1の緯糸色の緯糸が捕捉されるときの位相時点
D 第1の緯糸色の緯糸が離脱されるときの位相時点
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e