(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
円盤状の基板に形成された配線パターンによるコイルを用いたモータや発電機を高出力化する場合には、より多くの電流を流すために配線パターンの断面積を広げる必要がある。ここで、円盤状の基板に配線パターンを形成する場合には、一般に、サブトラクティブ法が採用され、基板にはプリプレグが用いられている。
【0007】
しかし、プリプレグが用いられている両面基板は60μm程度以上の厚さであり、機器の薄型化および小型化の妨げとなる。
【0008】
そして、基板が厚くなると円盤の表面側の配線パターンと裏面側の配線パターンとの間の距離が長くなり、配線密度を十分に高めることができず、モータの出力を大きくすることが困難になる。
【0009】
また、一方の配線パターンが形成されている面と他方の配線パターンが形成されている面との間にプリプレグが押し入れられて基板が形成された場合、厚さを一定にすることが困難である。従って、特許文献1に記載されているようなモータ用コイルを、特許文献2に記載されているように層間の絶縁状態を維持しつつ積層するためには、十分な厚さの絶縁シートを介する必要がある。従って、特許文献2に記載されているコイル装置を十分に薄型化することは困難である。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、薄型化することが容易な円盤状コイルおよびその円盤状コイルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の円盤状コイルは、円盤の両面にコイルとして機能するように配線パターンが形成された円盤状コイルであって、円盤状であって、一方の配線パターンが形成された一方の樹脂体と、前記円盤状であって、他方の配線パターンが形成された他方の樹脂体と、前記一方の樹脂体と前記他方の樹脂体とを貼り合わせるために前記一方の樹脂体と前記他方の樹脂体との間に介装される絶縁性樹脂材とを含み、前記一方の樹脂体と前記他方の樹脂体とのうち少なくとも前記一方の樹脂体には、前記絶縁性樹脂材が配置された後に前記他方の樹脂体が貼り合わされていることを特徴とする。
【0012】
前記一方の樹脂体は、平板状の樹脂と、前記平板状の樹脂に設けられた溝状の間隙に導体が充填されることによって形成された前記一方の配線パターンとを含み、前記他方の樹脂体は、平板状の樹脂と、前記平板状の樹脂に設けられた溝状の間隙に導体が充填されることによって形成された前記他方の配線パターンとを含んでいてもよい。
【0013】
前記一方の樹脂体に形成されている前記一方の配線パターンは、導体が一の平面上に所定の第1の形状でめっきされたことによって形成され、前記一方の樹脂体は、前記一方の配線パターンと、前記一の平面上において前記導体がめっきされていない部分に配置された樹脂とを含み、前記他方の樹脂体に形成されている前記他方の配線パターンは、導体が他の平面上に所定の第2の形状でめっきされたことによって形成され、前記他方の樹脂体は、前記他方の配線パターンと、前記他の平面上において前記導体がめっきされていない部分に配置された樹脂とを含んでいてもよい。
【0014】
前記樹脂は、ガラス転移点が90℃以上であって110℃以下の絶縁体であることが好ましい。そのような樹脂が採用された場合には、ガラス転移点が90〜110℃でない樹脂を採用した場合に比べて、曲げに強い円盤状コイルを実現することができる。
【0015】
前記絶縁性樹脂材は、絶縁性樹脂フィルムであってもよいし、プリプレグであってもよい。
【0016】
本発明の円盤状コイルの製造方法は、円盤の両面にコイルとして機能するように配線パターンが形成された円盤状コイルの製造方法であって、一方の樹脂体に一方の配線パターンを形成する第1配線パターン形成ステップと、他方の樹脂体に他方の配線パターンを形成する第2配線パターン形成ステップと、前記一方の樹脂体と前記他方の樹脂体とのうち少なくとも前記一方の樹脂体に、前記一方の配線パターンと前記他方の配線パターンとを貼り合わせるための絶縁性樹脂材を配置する絶縁性樹脂材配置ステップと、前記一方の樹脂体と前記他方の樹脂体とを貼り合わせる貼り合わせステップと、前記一方の樹脂体および前記他方の樹脂体を円盤状に成形する成形ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
前記第1配線パターン形成ステップで、前記一方の配線パターンは、平板状の前記一方の樹脂体に設けられた溝状の間隙に導体が充填されることによって形成され、前記第2配線パターン形成ステップで、前記他方の配線パターンは、平板状の前記他方の樹脂体に設けられた溝状の間隙に導体が充填されることによって形成されてもよい。
【0018】
前記第1配線パターン形成ステップおよび前記第2配線パターン形成ステップで、前記一方の樹脂体および前記他方の樹脂体に設けられた溝状の間隙は、レーザ加工またはスクリーン印刷法によって設けられてもよい。
【0019】
前記第1配線パターン形成ステップで、前記一方の樹脂体に形成されている前記一方の配線パターンは、導体が一の平面上に所定の第1の形状でめっきされたことによって形成され、前記一の平面上において前記導体がめっきされていない部分には樹脂が配置されて、前記樹脂と前記一方の配線パターンとによって前記一方の樹脂体を成し、前記第2配線パターン形成ステップで、前記他方の樹脂体に形成されている前記他方の配線パターンは、導体が他の平面上に所定の第2の形状でめっきされたことによって形成され、前記他の平面上において前記導体がめっきされていない部分には樹脂が配置されて、前記樹脂と前記他方の配線パターンとによって前記他方の樹脂体を成してもよい。
【0020】
前記第1配線パターン形成ステップおよび前記第2配線パターン形成ステップで、前記樹脂は、スクリーン印刷法、インクジェットプリント、またはスピンコートによって配置されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一方の樹脂体と他方の樹脂体とが絶縁性樹脂材を介して貼り合わされるので、一方の樹脂体と他方の樹脂体との間の距離を短くして、円盤状コイルを薄型化することができる。
【0022】
また、本発明によれば、一方の樹脂体と他方の樹脂体とが絶縁性樹脂材を介して貼り合わされるので、一方の樹脂体と他方の樹脂体との間の距離を短くして、円盤状コイルの配線密度を高めることができる。従って、大出力のモータを実現することが可能になる。
【0023】
さらに、本発明によれば、一方の樹脂体と他方の樹脂体とが絶縁性樹脂材を介して貼り合わされるので、一方の樹脂体と他方の樹脂体との間の距離を一定に保ち、複数の円盤状コイルを積層した場合に層間の絶縁状態を容易に維持することができる。従って、一方の樹脂体と他方の樹脂体との間に樹脂が流し込まれて接合された場合よりも薄い絶縁シートを介して円盤状コイルを積層し、当該円盤状コイルと当該絶縁シートとによってより薄いモータを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による円盤状コイル1およびその円盤状コイル1の製造方法について、図面を参照して説明する。まず、円盤状コイル1の構成について説明する。
【0026】
図1は、本発明による円盤状コイル1の例を示す上面図である。
図2は、
図1に示す円盤状コイル1の要部の抽出図である。
図1および
図2に示すように、本発明による円盤状コイル1の上面には、
図1および
図2において実線で示されている上面側配線パターン(一方の配線パターン)2aが形成され、下面には
図1および
図2において破線で示されている下面側配線パターン(他方の配線パターン)2bが形成されている。なお、
図1に示すように、円盤状コイル1の上面には複数の上面側配線パターン2aが形成され、円盤状コイル1の下面には複数の下面側配線パターン2bが形成されている。
【0027】
そして、円盤状コイル1の上面において、各上面側配線パターン2aの間には樹脂3aが配置され、円盤状コイル1の下面において、各下面側配線パターン2aの間には樹脂3b(
図1および
図2において図示せず)が配置されている。また、上面側配線パターン2aと下面側配線パターン2bとは、円盤状コイル1の外縁部および中央部にそれぞれ設けられたスルーホール6によって電気的に接続されている。
【0028】
そして、円盤状コイル1は、電流が供給されると上面側配線パターン2aおよび下面側配線パターン2bの電流によって磁力が生じ、生じた磁力によって、中央部分に設けられた貫通孔11に設置される回転軸を中心に円盤の面に沿って回転する。
【0029】
次に、円盤状コイル1の製造方法について説明する。
【0030】
実施形態1.
図3は、円盤状コイル1の製造方法の第1の実施形態を示す説明図である。なお、
図3には、
図1に示すIII−III線に沿う概略断面が示されている。
【0031】
本実施形態においては、まず、支持板5a上に金属層4aを形成する。本工程では、
図3(a)に示すように、支持板5aを準備する。この支持板5aは、例えばステンレス鋼製の板である。そして、
図3(a)に示すように、支持板5aの一方の面(
図3(a)〜(c)においては上側の面)に5〜20μm程度の厚さの薄膜からなる金属層4aを形成する。この金属層4aは、例えば、電解めっき法により得られる銅めっき膜からなる。このようにして、一面が銅のめっき膜で覆われたステンレス鋼板からなる配線パターン形成用支持体10aを得る。
【0032】
ここで、金属層4aとしての薄膜を形成する方法としては、電解めっき法に限定されるものではなく、無電解めっき法、化学気相成長法(CVD法)、物理気相成長法(PVD法)等を採用することもできる。
【0033】
そして、
図3(a)に示すように、金属層4aの一方の面(
図3(a)〜(c)においては上側の面)に絶縁性の樹脂3aを層状に形成する。従って、樹脂3aは、金属層4aの一方の面の少なくとも一部を覆う平板状に成形されている。この樹脂3aは、例えば、エポキシ樹脂やフェノール等の加熱されることにより硬化する熱硬化性樹脂であり、ガラス転移点が90〜110℃であることが好ましい。樹脂3aにガラス転移点が90〜110℃である樹脂が採用された場合には、ガラス転移点が90〜110℃でない樹脂が採用された場合に比べて、曲げに強い円盤状コイル1を実現することができる。
【0034】
このようにして、配線パターン形成用支持体10aの一面が樹脂3aで層状に覆われる。なお、この樹脂3aの層の厚さは、上面側配線パターン2aの高さと略同じとなるので、樹脂3aの層の厚さを予め所望する上面側配線パターン2aの高さに設定することが好ましい。
【0035】
ここで、金属層4aの一方の面に樹脂3aを層状に形成するためには、例えば、未硬化状態の熱硬化性樹脂を金属層4aの一方の面に塗布してから加熱し、当該熱硬化性樹脂を硬化させたり、予めフィルム状に硬化された熱硬化性樹脂を金属層4aの一方の面に貼付したりする方法がある。
【0036】
さらに、
図3(b)に示すように、樹脂3aに、後の工程でめっき処理によって導体が充填される溝31が設けられる。
図3(b)に示すように、溝31は、底部が金属層4aの一方の面(
図3(b)においては上側の面)によってなり、側壁が樹脂3aの間隙の側面によってなる。この溝31は、例えば、レーザ加工やスクリーン印刷法によって、円盤状コイル1の上面において上面側配線パターン2aとなるべき部分が除去されることによって設けられる。なお、レーザ加工としては紫外線レーザ加工等の非熱加工が用いられることが好ましい。紫外線レーザ加工等の非熱加工がなされた場合には、赤外線レーザ加工のような熱加工がなされた場合のように樹脂3aが焼損することがなく、後処理が容易になるからである。
【0037】
そして、
図3(c)に示すように、樹脂3aに設けられた溝31に、めっき処理によって導体が充填され、上面側配線パターン2aが形成される。ここで、
図3(b)を参照して説明した工程および
図3(c)を参照して説明する工程が第1配線パターン形成ステップに相当する。溝31に充填され、上面側配線パターン2aとなる導体は、例えば、銅である。なお、上面側配線パターン2aと樹脂3aとによって構成されて金属層4aの一方の面に接する面(
図3(c)においては下側の面)を第1面15aといい、上面側配線パターン2aと樹脂3aとによって構成されて第1面15aの反対側の面(
図3(c)においては上側の面)を第2面12aといい、上面側配線パターン2aと樹脂3aとを上面部(一方の樹脂体)20と総称する。
【0038】
また、
図3(a)〜(c)に示して前述した工程と同様な工程で、配線パターン形成用支持体10aと同様に構成されて支持板(他の平面)5bおよび金属層4bを含む配線パターン形成用支持体10bと、上面側配線パターン2aと同様に樹脂3bに設けられた溝に形成された下面側配線パターン2bとを作成する。なお、下面側配線パターン2bと樹脂3bとを下面部(他方の樹脂体)30と総称する。従って、下面部30は、下面側配線パターン2bと樹脂3bとによって構成されて金属層4bの一方の面に接する面(後述する
図3(d)においては下側の面)である第1面15bと、下面側配線パターン2bと樹脂3bとによって構成されて第1面15bの反対側の面(後述する
図3(d)においては上側の面)である第2面12bとを有する。なお、下面側配線パターン2bは、円盤状コイル1の下面において所望される配線パターンに応じた形状に形成されている。従って、第2配線パターン形成ステップとして、
図3(b)に示す工程および
図3(c)に示す工程に相当する工程が行われている。
【0039】
そして、貼り合わせステップに相当する工程として、
図3(d)に示すように、絶縁性を有して薄膜状に形成された樹脂である絶縁性樹脂材7を間に挟んで、上面部20の第2面12aと下面部30の第2面12bとが対向配置されて貼り合わされる。つまり、上面部20の第2面12aと下面部30の第2面12bとは、永久レジストを挟んで貼り合わされる。
【0040】
具体的には、絶縁性樹脂材7は、絶縁性樹脂材配置ステップに相当する工程として、一方の面が少なくとも上面部20の第2面12aに配置された後に、貼り合わせステップに相当する工程として、他方の面に下面部30の第2面12bが貼り合わされる。なお、絶縁性樹脂材7は、絶縁性樹脂材配置ステップに相当する工程として、一方の面が少なくとも下面部30の第2面12bに配置された後に、貼り合わせステップに相当する工程として、他方の面に上面部20の第2面12aが貼り合わされてもよい。また、絶縁性樹脂材7が後述する絶縁性接着剤である場合には、絶縁性樹脂材配置ステップに相当する工程として、上面部20の第2面12aと下面部30の第2面12bとのうちいずれか一方または両方に塗布された後に、貼り合わせステップに相当する工程として、上面部20の第2面12aと下面部30の第2面12bとが貼り合わされてもよい。
【0041】
そして、上面部20の第1面15aが円盤状コイル1の上面になり、下面部30の第1面15bが円盤状コイル1の下面になる。
【0042】
絶縁性樹脂材7は、上面側配線パターン2aと下面側配線パターン2bとを電気的に絶縁しつつ貼り合わせることが可能であればよく、例えば、両面に接着剤が塗布された絶縁性を有する樹脂シートや樹脂フィルムであってもよいし、絶縁性接着剤でもよいし、ガラス繊維が未硬化状態の熱硬化性樹脂に含浸されたプリプレグであってもよい。
【0043】
そして、
図3(e)に示すように、配線パターン形成用支持体10a,10bが除去される支持体除去ステップに相当する工程が行われる。なお、配線パターン形成用支持体10a,10bを構成する金属層4a,4bは、例えば、溶解または物理研磨によって除去される。ここで、金属層4a,4bを除去する場合に、上面側配線パターン2a,下面側配線パターン2bに接する部分以外の残部を除去するようにしてもよい。そのようにした場合には、金属層4a,4bの残部も、実質的に電流路の一部として上面側配線パターン2a,下面側配線パターン2bとともに使用されるので、上面側配線パターン2a,下面側配線パターン2bの最大電流量を実質的に増やすことができる。従って、円盤状コイル1の電流量を増やすことができるので、円盤状コイル1を用いたモータに、より大きな運動エネルギを出力させることができる。
【0044】
また、
図1、
図2および
図3(f)に示すように、円盤状コイル1における外縁部および中央部には、上面から下面に至る貫通孔であるスルーホール6が設けられるスルーホール作成ステップに相当する工程が行われる。スルーホール6は、円盤状コイル1の外縁部および中央部において、上面部20に上面側配線パターン2aが形成され、かつ、下面部30に下面側配線パターン2bが形成されている所定の位置に、例えば、ドリルによる孔開けによって設けられる。
【0045】
そして、
図3(g)に示すように、スルーホール6の内面を導体で被覆するめっき処理が行われるスルーホールめっきステップに相当する工程が行われる。
図3(g)に示す例では、スルーホール6の内面にめっき層60が設けられている。なお、めっき層60は、導体によってなるので、上面側配線パターン2aと下面側配線パターン2bとが電気的に接続される。なお、めっき層60を構成する導体は、例えば、銅や銀等である。
【0046】
図3(g)に示す例では、スルーホール6の内面にめっき処理が施されているが、スルーホール6に銅や銀等の導体が充填されていてもよい。
【0047】
円盤状コイル1は、例えば、
図3(g)に示すめっき処理の工程の後に、所望の形状にするための加工が行われる成形ステップに相当する工程が行われる。具体的には、外形形状を円盤状にし、中央部に円形の貫通孔を有するように打ち抜き加工が行われる。なお、
図3(f)に示すスルーホール6を設けるための孔開け工程を行うときに、スルーホール6を形成すると共に、外形形状を円盤状にし、中央部に円形の貫通孔を有するように打ち抜き加工が行われてもよい。また、
図3(a)に示す樹脂3aを金属層4aの一方の面に形成するときに、当該樹脂3aが、外形形状が円盤状であり、中央部に円形の貫通孔を有するようにしてもよい。
【0048】
以上に述べたように、本実施形態によれば、円盤状コイル1において上面部20と下面部30とが絶縁性樹脂材7によって貼り合わされるので、上面部20と下面部30との間に樹脂が流し込まれて接合された場合よりも円盤状コイル1を薄くすることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、上面部20と下面部30とが、樹脂シートや、絶縁性接着剤等の絶縁性樹脂材7によって貼り合わされており、上面部20と下面部30との間に樹脂が流し込まれて接合された場合よりも上面部20と下面部30との間の距離を短くすることができるので、円盤状コイル1の配線密度を高めることができる。従って、本実施形態の円盤状コイル1を用いた場合に、上面部20と下面部30との間に樹脂が流し込まれて接合された場合よりも大出力のモータを実現することが可能になる。
【0050】
さらに、本実施形態によれば、上面部20と下面部30との間に樹脂が流し込まれて接合された場合よりも上面部20と下面部30との間の距離を一定に保つことができるので、複数の円盤状コイル1を積層した場合に層間の絶縁状態を容易に維持することができる。従って、上面部20と下面部30との間に樹脂が流し込まれて接合された場合よりも薄い絶縁シートを介して円盤状コイル1を積層し、当該円盤状コイル1と当該絶縁シートとによってより薄いモータを実現することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、配線パターン形成用支持体10a,10bを用いることによって、上面部20の第1面15a(つまり、円盤状コイル1の上面)と下面部30の第1面15b(つまり、円盤状コイル1の下面)とが略平面状に成形されているので、複数の円盤状コイル1を積層した場合に、薄い絶縁シートを介して各円盤状コイル1間の絶縁状態を容易に維持することができる。従って、当該円盤状コイル1と当該絶縁シートとによってより薄いモータを実現することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、上面部20と下面部30との間に樹脂が流し込まれて接合された場合よりも上面部20と下面部30との間の距離を一定に保つことができるので、円盤状コイル1を積層した場合に層間の絶縁状態を容易に維持することができる。従って、上面部20と下面部30との間に樹脂が流し込まれて接合された場合よりも薄い絶縁シートを介して円盤状コイル1を積層し、当該円盤状コイル1と当該絶縁シートとによってより薄いモータを実現することができる。
【0053】
実施形態2.
図4は、円盤状コイル1の製造方法の第2の実施形態を示す説明図である。なお、
図4には、
図1に示すIII−III線に沿う概略断面が示されている。
【0054】
本実施形態においても、まず、支持板5a上に金属層4aを形成する。本実施形態において、支持板5a上に金属層4aを形成して配線パターン形成用支持体10aを得る工程は、第1の実施形態における工程と同様なため、説明を省略する。
【0055】
そして、
図4(a)に示すように、金属層4aの一方の面(
図4(a),(b)においては上側の面((一の平面)))に、めっき処理によって上面側配線パターン2aを形成する。具体的には、例えば、金属層4aの一方の面に、ドライフィルム等でレジスト層8aを形成し、形成したレジスト層8aのうち、上面側配線パターン2aとなるべき部分を除去した後に銅等の導体のめっき処理を施す。従って、金属層4aの一方の面には、上面側配線パターン2aとなるべき部分に応じた形状(所定の第1の形状)で銅等の導体がめっきされる。
【0056】
また、
図4(b)に示すように、金属層4aの一方の面において、銅等の導体がめっきされていない部分には、樹脂9aが配置される。具体的には、例えば、
図4(a)に示す工程で金属層4aの一方の面に形成されたレジスト層8aを除去し、レジスト層8aが除去されたことによって生じた空隙に、スピンコート等の方法で樹脂9aを配置する。以上のように、
図4(a)を参照して説明した工程および
図4(b)を参照して説明した工程が本実施形態の第1配線パターン形成ステップに相当する。
【0057】
なお、上面側配線パターン2aと樹脂9aとによって構成されて金属層4aの一方の面に接する面(
図4(b)においては下側の面)を第1面16aといい、上面側配線パターン2aと樹脂9aとによって構成されて第1面16aの反対側の面(
図4(b)においては上側の面)を第2面14aといい、上面側配線パターン2aと樹脂9aとを上面部(一方の樹脂体)22と総称する。
【0058】
また、
図4(a),(b)に示して前述した工程と同様な工程で、配線パターン形成用支持体10aと同様に構成されて支持板5bおよび金属層4bを含む配線パターン形成用支持体10bと、上面側配線パターン2aと同様に下面側配線パターン2bとを作成する。なお、下面側配線パターン2bと樹脂9bとを下面部(他方の樹脂体)32と総称する。従って、下面部32は、下面側配線パターン2bと樹脂9bとによって構成されて金属層4bの一方の面((他の平面))に接する面(後述する
図4(c)においては下側の面)である第1面16bと、下面側配線パターン2bと樹脂9bとによって構成されて第1面16bの反対側の面(後述する
図4(c)においては上側の面)である第2面14bとを有する。なお、下面側配線パターン2bは、円盤状コイル1の下面において所望される配線パターンに応じた形状(所定の第2の形状)に形成されている。従って、本実施形態の第2配線パターン形成ステップとして、
図4(a)に示す工程および
図4(b)に示す工程に相当する工程が行われている。
【0059】
よって、本実施形態における第1配線パターン形成ステップに相当する工程、および第2配線パターン形成ステップに相当する工程が行われた後には、第1実施形態において対応する各工程が行われた後に得られる上面部20および下面部30と同様な上面部22および下面部32が得られる。
【0060】
その後、本実施形態においても、絶縁性樹脂材配置ステップに相当する工程、貼り合わせステップに相当する工程、支持体除去ステップに相当する工程、スルーホール作成ステップに相当する工程、スルーホールめっきステップに相当する工程、および成形ステップに相当する工程が行われるが、各工程は、第1実施形態において対応する各工程と同様なため説明を省略する。
【0061】
従って、本実施形態においても、第1の実施形態において得られた円盤状コイル1と同様な円盤状コイル1を得ることができる。そして、本実施形態においても、第1の実施形態における効果と同様な効果を奏する。