【実施例】
【0095】
(化合物合成の実施例)
以下の調製例を参照すれば本発明をより充分に理解できるが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0096】
<概要>
使用した薬品は全て市販の試薬級製品である。溶媒は市販の無水物であり、それ以上精製せずに使用した。反応の進行は、プレコートシリカゲル60F254(Merck社製TLCプレート)を使用し、UV光で視覚化して薄層クロマトグラフィーによりモニタリングした。
1H NMRスペクトルにおける多重度は、一重線(s)、ブロードな一重線(br s)、二重線(d)、三重線(t)、四重線(q)及び多重線(m)で表し、NMRスペクトルは、Bruker Avance社製の300、360又は400MHz分光計で得た。マススペクトルは、ポジティブモードのエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI MS)、又は、ポジティブモードの大気圧化学イオン化質量分析(APCI MS)により得た。
【0097】
<LCMS法>
方法1(Method 1):
本方法は、TQD質量分析計と連結した超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)装置ACQUITY(Waters社製)で実施した。勾配は以下の通りとした。
開始時(t=0.0分)からt=0.5分まで:5%CH
3CN+0.1%ギ酸水溶液+0.1%ギ酸
t=0.5分からt=7.0分:100%CH
3CN+0.1%ギ酸となるまで直線勾配
t=7.0分からt=10.0分:この状態を保持
カラムは、Waters社製HSS C18(1.8μm、2.1×50mm)を使用した。検出装置は、ESIポジティブモードのトリプル四重極質量分析計(TQD)を使用した。
【0098】
方法2(Method 2):
本方法は、ZMD質量分析計と連結したAlliance HPLC2695(Waters社製)で実施した。勾配は以下の通りとした。
開始時(t=0.0分):0%CH
3CN+0.04%ギ酸水溶液(10mM)
〜t=3.1分:100%CH
3CN+0.04%ギ酸となるまで直線勾配
〜t=3.8分:この状態を保持
〜t=4.8分:0%CH
3CN+0.04%ギ酸水溶液となるまで減少
カラムは、Sunfire(2.1×50mm、dp:3.5μm)を使用した。
【0099】
(略号)
AcCl:塩化アセチル
Al
2O
3:アルミナゲル
APCI MS:大気圧化学イオン化質量分析計
BINAP:2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン
nBuLi:n−ブチルリチウム
tBuONO:亜硝酸tert−ブチル
C
2Cl
6:ヘキサクロロエタン
CDCl
3:重水素化クロロホルム
CH
3I:ヨードメタン
mCPBA:3−クロロペルオキシ安息香酸
Davephos:2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル
DCM:ジクロロメタン
DCE:1,2−ジクロロエチレン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO−d
6:ヘキサ重水素化ジメチルスルホキシド
EDCI:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EI−MS:電子衝撃イオン化質量分析
ES−MS:エレクトロスプレー質量分析
Et
2O:ジエチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
h:時間
H
2O
2:過酸化水素
HOBT:N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
K
2CO
3:炭酸カリウム
K
3PO
4:第三リン酸カリウム
KOtBu:カリウムtert−ブトキシド
KSCN:チオシアン酸カリウム
LiHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
MeOH:メタノール
MgSO
4:硫酸マグネシウム
min:分
NaH:水素化ナトリウム
NaHCO
3:重炭酸ナトリウム
NaI:ヨウ化ナトリウム
NaOH:水酸化ナトリウム
NaOtBu:ナトリウムtert−ブトキシド
NaOEt:ナトリウムエトキシド
NaOMe:ナトリウムメトキシド
NBS:N−ブロモスクシンイミド
NEt
3:トリエチルアミン
Pd
2(dba)
3:トリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)
Pd(PPh
3)
4:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
iPrOH:2−プロパノール
SiO
2:シリカゲル
SnCl
2・2H
2O:塩化スズ(II)2水和物
TosMIC:p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド
THF:テトラヒドロフラン
キサントホス:4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン
【0100】
(実施例214)
実施例214の合成法
【0101】
【化7】
【0102】
中間体I−eの合成法
【0103】
【化8】
【0104】
・中間体I−aの合成:1,3−ジブロモ−5−イソプロポキシ−ベンゼン
60%NaH鉱油分散液(1.89g、47.25mmol)の乾燥DMF(20mL)溶液に、不活性雰囲気下、0℃で、i−PrOH(3.62mL、47.25mmol)を滴下し、混合液を0℃で15分間攪拌した。続いて、1,3−ジブロモ−5−フルオロベンゼン(1.98mL、15.75mmol)の乾燥DMF(20mL)溶液を0℃で滴下し、反応液を室温で16時間攪拌した。NaHCO
3飽和溶液を滴下し、粗生成物をEt
2Oで(2回)抽出し、有機層をNaHCO
3飽和溶液(3回)、次いでNaCl飽和溶液で洗浄した後、MgSO
4で乾燥し、濃縮することで、I−aを黄色油状物として定量的収率で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.21(t、J=1.4Hz、1H)、6.97(d、J=1.5Hz、2H)、4.61−4.40(m、1H)、1.32(d、J=6.0Hz、6H)
【0105】
・中間体I−bの合成:3−ブロモ−5−イソプロポキシ−ベンズアルデヒド
I−a(4.630g、15.75mmol)の乾燥Et
2O(60mL)溶液に、不活性雰囲気下、−78℃でn−ブチルリチウムの乾燥Et
2O溶液(6.3mL、15.75mmol)を滴下し、反応液を−78℃で0.5時間攪拌した。次いで、乾燥DMF(1.35mL)を−78℃で滴下し、1.5時間かけて温度を−40℃に戻した。HCl溶液(3N)を加え、粗生成物をEt
2Oで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮することで、I−bを黄色油状物として収率82%で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ9.89(s、1H)、7.54(m、1H)、7.29(m、2H)、4.60(dt、J=12.1、6.0Hz、1H)、1.36(t、J=6.0Hz、6H)
【0106】
・中間体I−cの合成:5−(3−ブロモ−5−イソプロポキシ−フェニル)−オキサゾール
I−b(6.925g、28.50mmol)のMeOH(125mL)溶液に、K
2CO
3(11.811g、85.50mmol)及びTosMIC(6.674g、34.20mmol)を順次加え、反応液を室温で16時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、5%から30%EtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、I−cを黄色油状物として収率86%で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.90(s、1H)、7.34(m、2H)、7.09(m、1H)、7.00(m、1H)、4.56(dt、J=12.1、6.0Hz、1H)、1.49−1.26(m、6H)
【0107】
・中間体I−dの合成:5−(3−ブロモ−5−イソプロポキシ−フェニル)−2−クロロ−オキサゾール
I−c(6.921g、24.50mmol)の乾燥THF(130mL)溶液に、不活性雰囲気下、−78℃でLiHMDSの乾燥THF溶液(29mL、29.00mmol)を滴下し、反応液を−78℃で0.5時間攪拌した。次いで、C
2Cl
6(8.712g、36.75mmol)を−78℃で加え、反応液を室温で16時間攪拌した。水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から20%EtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、I−dを黄色油状物として収率92%で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.29(t、J=1.5Hz、1H)、7.27(s、1H)、7.02(d、J=1.4Hz、2H)、4.57(dt、J=12.1、6.0Hz、1H)、1.36(s、3H)、1.34(s、3H)
【0108】
・中間体I−fの合成:[5−(3−ブロモ−5−イソプロポキシ−フェニル)−オキサゾール−2−イル]−((5−エトキシメチル)−2−メチル−フェニル)−アミン
I−d(1.556g、4.915mmol)及びI−e(0.812g、4.915mmol)のi−PrOH(45mL)溶液に、不活性雰囲気下、HClの乾燥Et
2O溶液(0.98mL、0.98mmol)を滴下し、反応液を80℃で16時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去し、NaOH溶液(2.5N)を加えた。粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から30%EtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、I−fを白色固体として収率64%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.30(s、1H)、7.81(s、1H)、7.56(s、1H)、7.30(s、1H)、7.16(d、J=7.7Hz、1H)、7.09(d、J=1.4Hz、1H)、7.00(d、J=1.7Hz、1H)、6.94(d、J=7.8Hz、1H)、4.69(dt、J=12.0、5.9Hz、1H)、4.41(s、2H)、3.47(q、J=7.0Hz、2H)、2.27(s、3H)、1.39(s、3H)、1.27(d、J=6.0Hz、6H)、1.14(t、J=7.0Hz、3H)
【0109】
・中間体I−gの合成:4−エトキシメチル−1−メチル−2−ニトロ−ベンゼン
NaOEtの乾燥EtOH溶液(45mL、114.90mmol)に、不活性雰囲気下、4−クロロメチル−1−メチル−2−ニトロ−ベンゼン(7.0g、38.30mmol)を加えた。反応液を室温で16時間攪拌した。水を加え、エタノールを減圧下で除去した。粗生成物をDCMで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮することで、I−gを茶色油状物として収率96%で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.95(s、1H)、7.48(d、J=7.8Hz、1H)、7.31(d、J=7.9Hz、1H)、4.52(s、2H)、3.56(q、J=7.0Hz、2H)、2.57(d、J=10.1Hz、3H)、1.26(t、J=7.0Hz、3H)
【0110】
・中間体I−eの合成:5−エトキシメチル−2−メチル−フェニルアミン
I−g(7.21g、36.93mmol)のEtOH(238mL)溶液に、Pd/C(2.432g)と、0℃でヒドラジン一水和物(4.84mL、99.71mmol)を順次滴下し、反応液を80℃で2時間攪拌した。続いて、熱い反応液をセライトパッドでろ過し、EtOHで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮することで、I−eを黄色油状物として定量的収率で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ6.99(d、J=7.6Hz、1H)、6.67(d、J=7.5Hz、2H)、4.41(s、2H)、3.52(q、J=7.0Hz、3H)、2.18(s、3H)、1.04(t、J=8.5Hz、3H)
【0111】
・実施例214の合成:1−{3−[2−((5−エトキシメチル)−2−メチル−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−5−イソプロポキシ−フェニル}−イミダゾリジン−2−オン
封管内で、I−f(872mg、1.56mmol)の乾燥ジオキサン(13mL)溶液に、イミダゾリジン−2−オン(674mg、7.84mmol)、炭酸セシウム(1.595g、4.90mmol)、Pd
2(dba)
3(113mg、0.20mmol)及びキサントホス(54mg、0.06mmol)を順次加え、反応液を110℃で16時間攪拌した。水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、50%から100%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、化合物214を白色固体として収率50%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.26(s、1H)、7.81(s、1H)、7.40(s、1H)、7.29(s、1H)、7.15(d、J=7.7Hz、1H)、7.11(t、J=2.0Hz、1H)、7.01(s、1H)、6.92(d、J=7.7Hz、1H)、6.78(s、1H)、4.62(dt、J=12.1、6.0Hz、1H)、4.41(s、2H)、3.92−3.81(m、2H)、3.53−3.34(m、4H)、2.27(s、3H)、1.29(s、3H)、1.27(s、3H)、1.14(t、J=7.0Hz、3H)
(ESI+):m/z 451.2(M+H)
+
保持時間(Retention time)=3.52分(方法2)
【0112】
(実施例215)
実施例215の合成法
【0113】
【化9】
【0114】
・中間体II−aの合成:2−ブロモ−ピリジン−4−カルバルデヒドオキシム
2−ブロモ−4−メチルピリジン(10.0g、58.13mmol)の乾燥THF(60mL)溶液に、不活性雰囲気下、−10℃で亜硝酸tert−ブチル(12.5mL、104.63mmol)とKOtBuの乾燥THF溶液(88mL、87.20mmol)とを順次滴下し、反応液を−10℃で3時間攪拌した。続いて、NH
4Cl飽和溶液を加え、HCl溶液(4N)を加えてpH=6〜7とした。粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮することで、II−aを黄色油状物として収率90%で得た。粗生成物はそのまま次の工程で使用した。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ12.47(s、1H)、8.49(d、J=5.1Hz、1H)、8.12(s、1H)、7.90(dd、J=5.1、1.0Hz、1H)、7.55(s、1H)
【0115】
・中間体II−bの合成:2−ブロモ−ピリジン−4−カルバルデヒド
II−a(10.5g、52.23mmol)の水(50mL)懸濁液に、−10℃で濃HCl溶液(50mL)とホルムアルデヒド(50mL)の水溶液(37%w/w)とを順次滴下し、反応液を−10℃で4時間攪拌した。続いて、NaOH溶液(2N)を加えてpH=6〜7とした。粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮することで、II−bを茶色がかった油状物として収率97%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ10.03(s、1H)、8.68(d、J=4.9Hz、1H)、8.07(s、1H)、7.84(d、J=4.9Hz、1H)
【0116】
・中間体II−cの合成:2−ブロモ−4−オキサゾール−5−イル−ピリジン
II−b(9.4g、50.53mmol)のMeOH(100mL)溶液に、K
2CO
3(13.97g、101.06mmol)及びTosMIC(14.80g、75.8mmol)を順次加え、反応液を室温で16時間攪拌した。続いて、溶媒を減圧下で除去し、水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。暗褐色固体を冷エーテル中で粉砕し、ろ過した後、追加のエーテルで洗浄することで、最終生成物II−cを薄茶色固体として収率73%で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.42(d、J=5.2Hz、1H)、8.02(s、1H)、7.73(s、1H)、7.60(s、1H)、7.48(dd、J=5.2、1.3Hz、1H)
【0117】
・中間体II−dの合成:2−メチルスルファニル−1H−イミダゾール
2−メルカプトイミダゾール(5.0g、49.93mmol)の水(200mL)溶液に、NaOH(2.4g、59.91mmol)を加えた。反応液を室温で0.5時間攪拌した。続いて、アセトン(200mL)及びMeI(3.4mL、54.92mmol)を加え、反応液を室温で16時間攪拌した。続いて、溶媒を減圧下で除去し、水を加え、粗生成物をEtOAcで(5回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。橙色固体を石油エーテルを使用して数回粉砕し、ろ過することで、化合物II−dを薄茶色固体として収率88%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ12.16(s、1H)、7.14(s、1H)、6.91(s、1H)、2.50(s、3H)
【0118】
・中間体II−eの合成:2−(2−メチルスルファニル−イミダゾール−1−イル)−4−オキサゾール−5−イル−ピリジン
封管に、II−d(1.98g、17.33mmol)、II−c(3.0g、13.33mmol)、K
2CO
3(3.87g、27.99mmol)、CuI(253mg、1.33mmol)及びN,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(420μL、2.66mmol)の乾燥トルエン(19mL)溶液を投入し、反応液を110℃で4日間攪拌した。次に、水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。茶色固体を冷エーテル中で粉砕し、ろ過した後、追加のエーテルで洗浄することで、最終生成物II−eを薄茶色固体として収率70%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ8.67(s、1H)、8.60(d、J=5.2Hz、1H)、8.13(s、1H)、7.97(s、1H)、7.96(s、1H)、7.70(dd、J=5.2、1.4Hz、1H)、7.15(d、J=1.5Hz、1H)、2.52(s、3H)
【0119】
・中間体II−fの合成:2−(2−メタンスルホニル−イミダゾール−1−イル)−4−オキサゾール−5−イル−ピリジン
II−e(2.17g、7.83mmol)のDCM(260mg)溶液に、mCPBA(2.97g、17.23mmol)を加え、混合液を室温で16時間攪拌した。NaHCO
3飽和溶液を加え、粗生成物をDCMで(2回)抽出し、有機層をNaHCO
3飽和溶液(3回)、次いで水、更にNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、5%から10%のMeOH/EtOAcを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、II−fを固体として収率84%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ8.69(m、2H)、8.14(s、1H)、8.06(d、J=0.7Hz、1H)、8.00(d、J=1.2Hz、1H)、7.89(dd、J=5.2、1.5Hz、1H)、7.38(d、J=1.2Hz、1H)、3.53(s、3H)
【0120】
・中間体II−gの合成:2−(2−メトキシ−イミダゾール−1−イル)−4−オキサゾール−5−イル−ピリジン
II−f(600mg、2.07mmol)の乾燥MeOH/THF(1/1、6mL)溶液に、0℃でNaOMeのMeOH溶液(6.2mL、3.10mmol)を加え、反応液を50℃で16時間攪拌した。水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮することで、化合物II−gを薄茶色固体として収率98%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ8.66(s、1H)、8.58(d、J=5.3Hz、1H)、8.11(s、1H)、8.03(s、1H)、7.68(dd、J=5.2、1.4Hz、1H)、7.51(d、J=1.9Hz、1H)、6.70(d、J=1.9Hz、1H)、4.09(s、3H)
【0121】
・中間体II−hの合成:4−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−2−(2−メトキシ−イミダゾール−1−イル)−ピリジン
II−g(366mg、1.51mmol)の乾燥THF(15mL)溶液に、不活性雰囲気下、−78℃でLiHMDSの乾燥THF溶液(2.3mL、2.27mmol)を滴下し、反応液を−78℃で0.5時間攪拌した。続いて、C
2Cl
6(537mg、2.27mmol)を−78℃で加え、反応液を室温で16時間攪拌した。水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から10%のMeOH/EtOAcを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、中間体II−hを白色固体として収率74%で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.51(dd、J=5.2、0.8Hz、1H)、7.95(dd、J=1.4、0.8Hz、1H)、7.55(s、1H)、7.52(d、J=1.9Hz、1H)、7.33(dd、J=5.2、1.5Hz、1H)、6.75(d、J=2.0Hz、1H)、4.21(s、3H)
【0122】
・中間体II−lの合成:4−メトキシメチル−1−メチル−2−ニトロ−ベンゼン
NaOMe(1.6g、29.63mmol)の乾燥MeOH(40mL)溶液に、不活性雰囲気下、4−クロロメチル−1−メチル−2−ニトロ−ベンゼン(5.0g、26.94mmol)を加え、反応液を室温で16時間攪拌した。水を加え、EtOHを減圧下で除去した。粗生成物をDCMで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮することで、中間体II−lを黄色油状物として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.94(s、1H)、7.47(d、J=7.8Hz、1H)、7.32(d、J=7.8Hz、1H)、4.48(s、2H)、3.41(s、3H)、2.58(s、3H)
【0123】
・中間体II−mの合成:5−メトキシメチル−2−メチル−フェニルアミン
中間体II−l(4.77g、26.32mmol)のEtOH/H
2O(9/1、150mL)溶液に、SnCl
2・2H
2O(29.70g、131.60mmol)及び37%塩酸(15mL)を順次滴下し、反応液を室温で16時間攪拌した。EtOHを減圧下で除去し、得られた水溶液にNaOH溶液(10N)を加えてpH=6〜7とした。続いて、粗生成物をDCMで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から30%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、中間体II−mを黄色油状物として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ6.88(d、J=7.5Hz、1H)、6.58(s、J=17.6Hz、1H)、6.41(d、J=7.5Hz、1H)、4.80(s、2H)、4.24(s、2H)、3.23(s、3H)、2.03(s、3H)
【0124】
・中間体II−iの合成:N−(5−メトキシメチル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド
II−m(2.0g、13.23mmol)の乾燥DCM(45mL)溶液に、乾燥NEt
3(2.3mL、15.88mmol)と、0℃でAcCl(1.0mL、14.55mmol)を順次滴下し、反応液を室温で2時間攪拌した。水を加え、粗生成物をDCMで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、50%から80%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、中間体II−iを淡黄色固体として収率88%(3つのステップを通じての収率)で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.27(s、1H)、7.36(s、1H)、7.16(d、J=7.7Hz、1H)、7.00(d、J=7.6Hz、1H)、4.34(s、2H)、3.26(s、3H)、2.18(s、3H)、2.05(s、4H)
【0125】
・中間体II−jの合成:{5−[2−(2−メトキシ−イミダゾール−1−イル)−ピリジン−4−イル]−オキサゾール−2−イル}−(5−メトキシメチル−2−メチル−フェニル)−アミン
60%NaH鉱油分散液(237mg、6.16mmol)の乾燥DMF(20mL)溶液に、中間体II−i(595mg、3.08mmol)の乾燥DMF(20mL)溶液を0℃で滴下し、反応液を室温で1時間攪拌した。中間体II−h(852mg、3.08mmol)の乾燥DMF(20mL)溶液を0℃で滴下し、反応液を0℃で3時間攪拌した。水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層をNaHCO
3飽和溶液(3回)、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から20%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、中間体II−jを白色固体として収率44%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.65(s、1H)、8.45(d、J=5.3Hz、1H)、7.86(s、1H)、7.79(s、1H)、7.72(s、1H)、7.46(dd、J=5.1、3.6Hz、2H)、7.21(d、J=7.7Hz、1H)、7.00(d、J=7.7Hz、1H)、6.68(d、J=1.8Hz、1H)、4.38(s、2H)、4.05(s、3H)、3.28(s、3H)、2.29(s、3H)
【0126】
・実施例215の合成:1−{4−[2−((5−メトキシメチル)−2−メチル−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−ピリジン−2−イル}−1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オン塩酸塩
II−j(100mg、0.26mmol)の乾燥ジオキサン(4mL)溶液に、HClの乾燥エーテル溶液(546μL、0.55mmol)を0℃で滴下し、反応液を60℃で2時間、室温で16時間攪拌した。続いて、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をエーテル中で粉砕し、ろ過することで、化合物215を白色固体として収率57%で得た。
1H NMR(300MHz、CD
3OD):δ10.04−9.95(m、1H)、9.46(s、1H)、9.15(s、1H)、9.03(d、J=4.6Hz、1H)、8.95−8.87(m、1H)、8.78(d、J=7.8Hz、1H)、8.19(d、J=3.2Hz、1H)、6.04(s、2H)、4.97(s、3H)、3.91(s、3H)
【0127】
(実施例216)
化合物216の合成法
【0128】
【化10】
【0129】
・中間体III−aの合成:1−ブロモ−3−(2−メトキシ−ビニル)−ベンゼン
(メトキシメチル)トリホスホニウムクロリド(5.56g、16.21mmol)の乾燥THF(13mL)溶液に、不活性雰囲気下、0℃でnBuLiの乾燥THF溶液(22mL、21.62mmol)を滴下し、反応液を室温で1時間攪拌した。続いて、3−ブロモベンズアルデヒド(2.0g、10.81mmol)の乾燥THF(20mL)溶液を0℃で滴下し、反応液を室温で16時間攪拌した。NH
4Cl飽和溶液を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、10%から15%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、III−aを黄色油状物として収率66%で得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.79(s、J=1.5Hz、1H)、7.48−7.24(m、5H)、7.20−7.12(m、2H)、7.06(d、J=13.0Hz、1H)、6.19(d、J=7.0Hz、1H)、5.75(d、J=13.0Hz、1H)、5.17(d、J=7.0Hz、1H)、3.82(s、3H)、3.71(s、3H)
【0130】
・中間体III−bの合成:(5−メトキシ−2−メチル−フェニル)−チオウレア
KSCN(780mg、8.02mmol)のアセトン(10mL)溶液に、室温でAcCl(900μL、8.02mmol)のアセトン(10mL)溶液を滴下し、反応液を50℃で15分間攪拌した。続いて、5−メトキシ−2−メチルアニリン(1.0g、7.29mmol)のアセトン(10mL)溶液を加え、反応液を50℃で15分間攪拌した。水を加え、固体をろ過し、追加の水及びエーテルで洗浄することで、白色固体を得た。白色固体とK
2CO
3(2.0g、14.58mmol)とのMeOH(20mL)溶液を室温で3時間攪拌した。MeOHを減圧下で除去し、固体を水及びエーテルで洗浄することで、III−bを白色固体として収率78%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.20(s、1H)、7.13(d、J=8.4Hz、1H)、6.81(d、J=2.4Hz、1H)、6.75(dd、J=8.3、2.6Hz、1H)、3.71(s、3H)、2.10(s、3H)
【0131】
・中間体III−cの合成:[5−(3−ブロモ−フェニル)−チアゾール−2−イル]−(5−メトキシ−2−メチル−フェニル)−アミン
III−a(300mg、1.41mmol)のジオキサン/水(1/1、6mL)溶液に、NBS(276mg、1.55mmol)を加え、反応液を室温で1時間攪拌した。続いて、III−b(277mg、1.41mmol)を加え、反応液を80℃で16時間攪拌した。水、次いでNH
4Cl飽和溶液を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から35%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、III−cを淡黄色固体として収率69%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.48(s、1H)、7.77−7.69(m、2H)、7.54(d、J=2.1Hz、1H)、7.46(dd、J=7.6、0.9Hz、1H)、7.40(dd、J=7.9、1.0Hz、1H)、7.30(t、J=7.9Hz、1H)、7.11(d、J=8.3Hz、1H)、6.60(dd、J=8.3、2.5Hz、1H)、3.71(s、3H)、2.19(s、3H)
【0132】
・実施例216の合成:1−{3−[2−(5−メトキシ−2−メチル−フェニルアミノ)−チアゾール−5−イル]−フェニル}−イミダゾリジン−2−オン
封管中で、III−c(200mg、0.53mmol)の乾燥ジオキサン(10mL)溶液に、2−イミダゾリジノン(275mg、3.20mmol)、炭酸セシウム(432mg、1.33mmol)、Pd
2(dba)
3(46mg、0.05mmol)及び4,5−キサントホス(61mg、0.11mmol)を順次加え、反応液を110℃で16時間攪拌した。水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から30%のMeOH/EtOAcを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、化合物216を黄色固体として収率41%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.36(s、1H)、7.75(s、1H)、7.63−7.56(m、2H)、7.37(d、J=8.2Hz、1H)、7.29(t、J=7.9Hz、1H)、7.15(d、J=7.5Hz、1H)、7.11(d、J=8.4Hz、1H)、7.01(s、1H)、6.59(dd、J=8.3、2.6Hz、1H)、3.93−3.83(m、2H)、3.72(s、3H)、3.44−3.37(m、2H)、2.20(s、3H)
【0133】
(実施例217)
実施例217の合成法
【0134】
【化11】
【0135】
中間体IV−aの合成法
【0136】
【化12】
【0137】
・中間体IV−cの合成:1−アセチル−3−(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−チオウレア
チオシアン酸アンモニウム(1.05g、13.85mmol)のアセトン(21mL)溶液に、塩化アセチル(0.90mL、12.70mmol)を滴下し、反応液を40℃で30分間攪拌した。続いて、4−メチル−3−ニトロアニリン(1.76g、11.54mmol)のアセトン(7mL)溶液を加え、反応液を室温で4時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、析出物をろ過した後、追加の水及びシクロヘキサンで洗浄することで、化合物IV−cを茶色固体として収率50%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ12.45(s、1H)、11.53(s、1H)、8.38(d、J=2.0Hz、1H)、7.69(dd、J=8.3、2.0Hz、1H)、7.43(d、J=8.3Hz、1H)、2.44(s、3H)、2.09(s、3H).
【0138】
・中間体IV−dの合成:(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−チオウレア
IV−c(873mg、3.45mmol)のメタノール(5mL)溶液に、K
2CO
3(953mg、6.90mmol)を加え、反応液を室温で16時間攪拌した。続いて、溶媒を減圧下で除去し、水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から50%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、化合物IV−dを黄色固体として収率60%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ9.95(s、1H)、8.28(d、J=2.1Hz、1H)、8.00−7.70(m、3H)、7.42(d、J=8.3Hz、1H)、2.47(s、3H)
【0139】
・中間体IV−eの合成:(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−チアゾール−2−イル−アミン
IV−d(377mg、1.79mmol)のEtOH(7mL)懸濁液に、クロロアセトアルデヒド(1.41g、17.93mmol)の水溶液(50%w/w)とKHCO
3(539mg、5.37mmol)とを加え、反応液を70℃で16時間攪拌した。続いて、溶媒を減圧下で除去し、水を加え、粗生成物をEtOAcで(3回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から70%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、化合物IV−eを黄色固体として収率40%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ10.58(s、1H)、8.55(d、J=2.4Hz、1H)、7.69(dd、J=8.4、2.4Hz、1H)、7.41(d、J=8.5Hz、1H)、7.33(d、J=3.7Hz、1H)、7.00(d、J=3.7Hz、1H)、2.45(s、3H)
【0140】
・中間体IV−fの合成:4−メチル−N1−チアゾール−2−イル−ベンゼン−1,3−ジアミン
IV−e(737mg、3.13mmol)のEtOH/DCM(30/13mL)溶液に、SnCl
2・2H
2O(3.54g、15.65mmol)及び37%塩酸(3mL)を順次滴下し、反応液を室温で16時間攪拌した。EtOHを減圧下で除去し、得られた水溶液にNaOH溶液(10N)を加えてpH=6〜7とした。続いて、粗生成物をDCMで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から30%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、中間体IV−fを黄色油状物として収率95%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ9.74(s、1H)、7.18(d、J=3.7Hz、1H)、6.90(d、J=2.0Hz、1H)、6.85−6.77(m、2H)、6.66(dd、J=8.0、2.0Hz、1H)、4.83(brs、2H)、1.99(s、3H)
【0141】
・中間体IV−aの合成:N−[5−(アセチル−チアゾール−2−イル−アミノ)−2−メチル−フェニル]−アセトアミド
IV−f(610mg、2.97mmol)とNaHCO
3(2.50g、29.71mmol)との乾燥DCE(10mL)溶液に、塩化アクチル(0.634mL、8.91mmol)を0℃で滴下し、反応液を50℃で5時間攪拌した。続いて、水を加え、粗生成物をDCMで(3回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、30%EtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、中間体IV−aを黄色固体として収率75%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ9.39(s、1H)、7.54(d、J=1.7Hz、1H)、7.40−7.32(m、2H)、7.29(d、J=3.6Hz、1H)、7.13(dd、J=7.9、1.9Hz、1H)、2.28(s、3H)、2.07(s、3H)、1.99(s、3H)
【0142】
・中間体IV−bの合成:N−{3−[5−(3−ブロモ−5−イソプロポキシ−フェニル)−オキサゾール−2−イルアミノ]−4−メチル−フェニル}−N−チアゾール−2−イル−アセトアミド
60%NaH鉱油分散液(83mg、2.08mmol)の乾燥DMF(3mL)溶液に、中間体IV−a(300mg、1.04mmol)の乾燥DMF(3mL)溶液を0℃で滴下し、反応液を室温で1時間攪拌した。中間体I−d(328mg、1.04mmol)の乾燥DMF(3mL)溶液を0℃で滴下し、反応液を室温で16時間攪拌した。水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層をNaHCO
3飽和溶液(3回)、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、0%から35%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、中間体IV−bをベージュ色固体として収率46%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ9.63(s、1H)、8.08(d、J=2.1Hz、1H)、7.65(s、1H)、7.47(d、J=2.2Hz、1H)、7.45(d、J=2.5Hz、1H)、7.42−7.38(m、2H)、7.19(t、J=2.0Hz、1H)、7.15(dd、J=7.9、2.2Hz、1H)、7.11(t、J=2.0Hz、1H)、4.78(septuplet、J=5.8Hz、1H)、2.49(s、3H)、2.14(s、3H)、1.37(d、J=6.0Hz、6H)
【0143】
・実施例217の合成:1−(3−イソプロポキシ−5−{2−[2−メチル−5−(チアゾール−2−イルアミノ)−フェニルアミノ]−オキサゾール−5−イル}−フェニル)−イミダゾリジン−2−オン
封管中で、IV−b(219mg、0.42mmol)の乾燥ジオキサン(5mL)溶液に、イミダゾリジン−2−オン(286mg、3.36mmol)、炭酸セシウム(162mg、0.50mmol)、Pd
2(dba)
3(11mg、0.01mmol)及びキサントホス(24mg、0.04mmol)を順次加え、反応液を110℃で16時間攪拌した。水を加え、粗生成物をEtOAcで(2回)抽出し、有機層を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。最終生成物を、50%から100%のEtOAc/シクロヘキサンを溶離液として使用したシリカゲルクロマトグラフィーで精製することで、化合物217をベージュ色固体として収率49%で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ10.12(brs、1H)、9.25(s、1H)、8.04(d、J=2.1Hz、1H)、7.42(s、1H)、7.38(dd、J=8.3、2.1Hz、1H)、7.25(brs、1H)、7.19(d、J=3.7Hz、1H)、7.15(t、J=1.9Hz、1H)、7.10(d、J=8.4Hz、1H)、7.01(s、1H)、6.85(d、J=3.6Hz、1H)、6.81(s、1H)、4.61(m、1H)、3.84(m、2H)、3.38(m、2H)、2.23(s、3H)、1.27(d、J=6.0Hz、6H)
(ESI+):m/z 491(M+H)
+
保持時間=3.13分(方法2)
【0144】
(実施例218)
実施例218の合成法
【0145】
【化13】
【0146】
中間体V−hの合成法
【0147】
【化14】
【0148】
・中間体V−aの合成:4−メチル−ピリジン−2−オール
Adgerら(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,1988,p2791−2796)の方法により、中間体V−aを調製した。水(240mL)を入れた1Lのフラスコを濃H
2SO
4(32mL)で処理し、0℃まで冷却した後、一度に2−アミノ−4−ピコリン(30g、277mmol)で処理した。NaNO
2(20.6g、299mmol)の水(40mL)溶液を、内部温度が5℃を超えないように1時間かけて滴下した。反応液を0℃で1時間攪拌した後、95℃まで加熱し、この温度で15分経過後、室温まで冷却した。50%NaOH水溶液(発熱)で溶液のpHを6〜7とし、熱い状態のままでEtOAc(4×120mL)で抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)し、ろ過し、蒸発させることで、中間体V−aをベージュ色結晶性固体(24.5g、81%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ11.31(s、1H)、7.23(d、J=6.7Hz、1H)、6.10(s、1H)、6.00(dd、J=6.7、1.2Hz、1H)、2.10(s、3H)
【0149】
・中間体V−bの合成:3−ブロモ−4−メチル−ピリジン−2−オール
4−メチル−ピリジン−2−オール(V−a、25g、229mmol)を氷酢酸(350mL)及びEtOAc(680mL)に加えた溶液をNBS(37.4g、210mmol)で処理し、室温で30分間攪拌した。続いて、アンモニア水で混合液のpHを8とし、EtOAcで抽出した。分離した有機相をH
2O/ブライン(1:1)で洗浄した後、乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させてから、シリカカラムクロマトグラフィー(1%から4%EtOH/DCM)で精製することで、所望の生成物V−bを白色固体(8.66g)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ11.90(s、1H)、7.32(d、J=6.6Hz、1H)、6.19(d、J=6.6Hz、1H)、2.25(s、3H).
【0150】
・中間体V−cの合成:3−ブロモ−2−メトキシ−4−メチル−ピリジン
3−ブロモ−4−メチル−2−ピリドン(V−b、2.20g、11.7mmol)のDCM(80mL)溶液をMeI(7.29mL、117mmol)及びAg
2CO
3(6.47g、23.5mmol)で処理した。フラスコに栓をし、アルゴン雰囲気下、6日間攪拌した。混合液をろ過し、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、10%EtOAcシクロヘキサン溶液)で精製することで、所望の生成物V−cを透明で流動的な油状物(1.83g、80%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.94(d、J=5.0Hz、1H)、6.77(d、J=5.1Hz、1H)、4.00(s、3H)、2.39(s、3H)
【0151】
・中間体V−dの合成:2−メトキシ−4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン
乾燥封管に、アルゴン雰囲気下、3−ブロモ−2−メトキシ−4−メチルピリジン(V−c、813mg、4.02mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.12g、4.41mmol)、PdCl
2(dppf):DCM(146mg、0.20mmol)、KOAc(1.18g、12.0mmol)及び乾燥DMF(10mL)を投入した。100℃で1.5時間後、混合液を室温まで冷却し、更に触媒(75mg、0.092mmol)を加えた。封管した後、混合液を100℃で一晩攪拌した。混合液を冷却し、溶媒を留去し、混合物をDCMに取ってから水で洗浄した。分離した有機相を乾燥(MgSO
4)し、ろ過し、蒸発させた後、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、10%から20%のEtOAcシクロヘキサン溶液)で精製することで、中間体V−dを流動的な黄色油状物(2.14g、51%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.00(d、J=5.3Hz、1H)、6.65(d、J=5.3Hz、1H)、3.89(s、3H)、2.33(s、3H)、1.40(d、J=11.1Hz、12H)
【0152】
・中間体V−eの合成:2’−メトキシ−4’−メチル−4−オキサゾール−5−イル−[2,3’]ビピリジニル
アルゴン雰囲気下、オーブン乾燥したフラスコに、2−ブロモ−4−オキサゾール−5−イル−ピリジン(中間体II−c、461mg、2.07mmol)、2−メトキシ−4−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン(V−d、510mg、2.07mmol)、K
3PO
4(2.82g、13.3mmol)、Pd(OAc)
2(51mg、0.225mmol)、Davephos(89mg、0.225mmol)をiPrOH(5mL)及び水(3mL)に添加した溶液を投入した。100℃で40分経過後、混合液を室温まで冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出した後、ブラインで洗浄した。有機相を乾燥(MgSO
4)し、ろ過し、蒸発させた後、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、30%から100%EtOAcシクロヘキサン溶液)で精製することで、所望の生成物V−eを灰色がかった白色固体(240mg、43%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.78(d、J=4.8Hz、1H)、8.10(d、J=4.8Hz、1H)、8.01(s、1H)、7.59(d、J=4.9Hz、2H)、7.51(d、J=4.9Hz、1H)、6.86(d、J=4.9Hz、1H)、3.88(s、3H)、2.16(s、3H)
【0153】
・中間体V−fの合成:4−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−4’−メチル−1’H−[2,3’]ビピリジニル−2’−オン
4−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−4’−メチル−1’H−[2,3’]ビピリジニル−2’−オン(V−f)は、上記I−dと同様にして、LiHMDS(1M THF溶液、2.62mL、2.62mmol)及びC
2Cl
6(496mg、2.10mmol)の乾燥THF溶液を使用して4’−メチル−4−オキサゾール−5−イル−1’H−[2,3’]ビピリジニル−2’−オン(V−e、467mg、1.74mmol)から調製した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2;30%から50%のEtOAcシクロヘキサン溶液で溶出)で精製することで、中間体V−fを白色固体(261mg、50%)として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6):δ8.76(d、J=5.3Hz、1H)、8.12(d、J=4.4Hz、2H)、7.70(s、1H)、7.64(dd、J=5.2、1.7Hz、1H)、7.00(d、J=5.2Hz、1H)、3.78(s、3H)、2.06(s、3H)
【0154】
・中間体V−hの合成:4−(3−ブロモ−プロポキシ)−1−メチル−2−ニトロ−ベンゼン
4−メチル−3−ニトロフェノール(1.00g、6.53mmol)のDMF(6mL)溶液を、K
2CO
3(0.903g、6.53mmol)及び1,3−ジブロモプロパン(6.63mL、65.3mmol)で処理し、100℃まで2.5時間加熱した。冷却した混合液を水で希釈し、DCMで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させた後、カラムクロマトグラフィー(SiO
2;20%EtOAcシクロヘキサン溶液で溶出)で精製することで、所望の生成物V−hを流動的な黄色油状物(1.05g、59%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.52(d、J=2.7Hz、1H)、7.23(d、J=8.5Hz、1H)、7.06(dd、J=8.5、2.7Hz、1H)、4.14(t、J=5.8Hz、2H)、3.60(t、J=6.4Hz、2H)、2.53(s、3H)、2.40−2.24(m、2H)
【0155】
・中間体V−iの合成:4−[3−(4−メチル−3−ニトロ−フェノキシ)−プロピル]−モルホリン
4−(3−ブロモ−プロポキシ)−1−メチル−2−ニトロ−ベンゼン(V−h、500mg、1.82mmol)の乾燥ジオキサン(30mL)溶液をK
2CO
3(1.01g、7.28mmol)及びモルホリン(319μL、3.65mmol)で処理し、100℃まで6時間加熱した。冷却した混合液を水で希釈し、DCMで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させた後、カラムクロマトグラフィー(SiO
2;2%EtOHのDCM溶液で溶出)で精製することで、所望の生成物を黄橙色油状物V−i(356mg、70%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.51(d、J=2.7Hz、1H)、7.21(d、J=8.5Hz、1H)、7.05(dd、J=8.5、2.7Hz、1H)、4.06(t、J=6.3Hz、2H)、3.79−3.66(m、4H)、2.49(dt、J=9.0、5.1Hz、9H)、2.07−1.88(m、2H)
【0156】
・中間体V−gの合成:2−メチル−5−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−フェニルアミン
4−[3−(4−メチル−3−ニトロ−フェノキシ)−プロピル]−モルホリン(V−i、350mg、1.25mmol)の90%EtOH(15mL)溶液をSnCl
2・H
2O(1.58g、6.24mmol)及び濃HCl(1.04mL、12.5mmol)で処理し、1時間加熱還流した。冷却した溶液を減圧下で濃縮し、NaHCO
3飽和溶液でpH=8とした後、EtOAcで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させることで、所望の生成物V−gを黄色粘性油状物(306mg、98%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ6.92(d、J=8.8Hz、1H)、6.30−6.24(m、2H)、3.96(t、J=6.3Hz、2H)、3.76−3.69(m、4H)、3.58(s、2H)、2.57−2.42(m、6H)、2.09(s、3H)、1.93(dt、J=13.3、6.5Hz、3H)
【0157】
・実施例218の合成:4’−メチル−4−{2−[2−メチル−5−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−フェニルアミノ]−オキサゾール−5−イル}−1’H−[2,3’]ビピリジニル−2’−オン
4−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−4’−メチル−1’H−[2,3’]ビピリジニル−2’−オン(V−f、50mg、0.159mmol)のiPrOH(4mL)溶液を2−メチル−5−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−フェニルアミン(V−g、48mg、0.191mmol)及びHCl(2Mエーテル溶液、120μL、0.240mmol)で処理し、18時間加熱還流した。溶液を更に150μLのHCl(2Mエーテル溶液、150μL、0.300mmol)で処理し、更に2時間加熱した。混合液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で留去した。残渣をエーテルで処理し、白色析出物をろ別することで、化合物218(31mg、39%)を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ11.62(s、1H)、9.40(s、1H)、8.55(d、J=5.3Hz、1H)、7.73(s、1H)、7.55−7.48(m、2H)、7.38(dd、J=5.2、1.7Hz、1H)、7.29(d、J=6.7Hz、1H)、7.03(d、J=8.8Hz、1H)、6.52(dd、J=8.3、2.5Hz、1H)、6.13(d、J=6.7Hz、1H)、3.92(t、J=6.4Hz、2H)、3.56−3.44(m、4H)、2.40−2.25(m、6H)、2.16(s、3H)、1.98(s、3H)、1.86−1.75(m、2H)
ESI
+MS:m/z 502(M+H)
+
保持時間=1.76分(方法1)
【0158】
(実施例219)
実施例219の合成法
【0159】
【化15】
【0160】
・中間体VI−aの合成:5−(3−ブロモ−フェニル)−オキサゾール
5−(3−ブロモ−フェニル)−オキサゾール(VI−a)は、中間体I−cと同様にして、3−ブロモ−ベンズアルデヒド(10g、54mmol)、TosMIC(12.7g、65mmol)及びK
2CO
3(8.97g)のMeOH溶液を使用して調製し、所望の中間体VI−aを茶色がかった固体(12.1g、100%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.92(s、1H)、7.80(s、1H)、7.57(d、J=7.7Hz、1H)、7.46(d、J=8.0Hz、1H)、7.37(s、1H)、7.29(d、J=7.9Hz、1H)
【0161】
・中間体VI−bの合成:2−メトキシ−3−(3−オキサゾール−5−イル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン
5−(3−ブロモ−フェニル)−オキサゾール(VI−a、1.33g、5.94mmol)、2−メトキシ−3−ピリジニルボロン酸(1.00g、6.53mmol)、Pd(PPh
3)
4及びK
2CO
3(1.81g、13.1mmol)をTHF(20mL)及び水(10mL)に添加した混合液を4時間加熱還流した。混合液を冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過し、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO
2;30%EtOAcシクロヘキサン溶液で溶出)で精製することで、所望の生成物VI−bを茶色油状物として得たが、この油状物は時間が経つと結晶化した(1.37g、91%)。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.18(dd、J=1.8、5.0Hz、1H)、7.91(s、1H)、7.81(s、1H)、7.64(d、J=6.9Hz、2H)、7.53−7.44(m、2H)、7.37(s、1H)、6.99(dd、J=5.0、7.2Hz、1H)、3.97(s、3H)
【0162】
・中間体VI−cの合成:3−[3−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−メトキシ−1,2−ジヒドロ−ピリジン
3−[3−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−メトキシ−ピリジン(VI−c)は、上記中間体I−dと同様にして、2−メトキシ−3−(3−オキサゾール−5−イル−フェニル)−ピリジン(1.37g、5.43mmol)、LiHMDS(1M THF溶液、5.97mL、5.97mmol)及びC
2Cl
6(1.54g、6.52mmol)の乾燥THF(50mL)溶液から調製し、カラムクロマトグラフィー(SiO
2;10%から30%のEtOAcシクロヘキサン溶液で溶出)で精製した後、所望の生成物VI−cを白色固体(1.24g、84%)として得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ8.20(dd、J=5.0、1.9Hz、1H)、7.76(t、J=1.6Hz、1H)、7.63(dd、J=7.3、2.0Hz、1H)、7.59−7.45(m、3H)、7.31(s、1H)、6.99(dd、J=7.3、5.0Hz、1H)、3.99(s、3H)
【0163】
・実施例219の合成:3−{3−[2−(3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−フェニル}−1H−ピリジン−2−オン
3−{3−[2−(3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−フェニル}−1H−ピリジン−2−オン(219)は、上記中間体I−fと同様にして、3,5−ジメトキシアニリン(29mg、0.190mmol)及びHCl(2Mエーテル溶液、120μL、0.23mmol)のiPrOH(4mL)溶液を使用して3−[3−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−フェニル]−2−メトキシ−ピリジン(VI−c、40mg、0.150mmol)から調製した。粗反応混合物を減圧下で蒸発させ、残渣をNaHCO
3飽和溶液及びEtOAcで処理した。二相混合物からなる析出物をろ別し、乾燥することで、化合物219をベージュ色固体(19mg、33%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ11.86(s、1H)、10.35(s、1H)、7.96(s、1H)、7.70(dd、J=2.0、6.9Hz、1H)、7.60−7.41(m、5H)、6.89(d、J=2.0Hz、2H)、6.32(t、J=6.7Hz、1H)、6.13(s、1H)、3.73(s、6H)
ESI
+MS:m/z 390(M+H)
+
保持時間=3.45分(方法1)
【0164】
(実施例220)
実施例220の合成法
【0165】
【化16】
【0166】
・中間体VII−aの合成:2−フルオロ−4−ホルミル−ベンゾニトリル
4−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリル(5.00g、25mmol)の乾燥THF(50mL)溶液を、アルゴン雰囲気下、−10℃でイソプロピルマグネシウムクロリド溶液(2M THF溶液、15.0mL、30.0mmol)で滴下処理した後、この温度で3時間攪拌した。N−ホルミルピペリジン(3.89g、35.0mmol)の乾燥THF(15mL)溶液を滴下し、混合液を室温まで昇温してから1.5時間攪拌した。得られた溶液を4M HCl水溶液(各250mL)で処理し、有機相をEtOAcで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させた後、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO
2;30%から50%のEtOAcシクロヘキサン溶液で溶出)で精製することで、2−フルオロ−4−ホルミル−ベンゾニトリル(VII−a)を淡黄色固体(2.73g、73%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ10.07(d、J=1.7Hz、1H)、7.90−7.79(m、2H)、7.74(dd、J=8.5、0.8Hz、1H)
【0167】
・中間体VII−bの合成:2−フルオロ−4−オキサゾール−5−イル−ベンゾニトリル
5−(3−ブロモ−フェニル)−オキサゾール(VII−b)は、中間体I−cと同様にして、2−フルオロ−4−ホルミル−ベンゾニトリル(VII−a、2g、13.43mmol)、TosMIC(2.85g、14.77mmol)及びK
2CO
3(2.41g、1.86mmol)のMeOH(40mL)溶液を使用して調製し、所望の中間体VII−bを黄色固体(1.46g、58%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.94(s、1H)、7.62(dd、J=8.0、6.5Hz、1H)、7.52−7.37(m、3H)
【0168】
・中間体VII−cの合成:2−(3−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−4−オキサゾール−5−イル−ベンゾニトリル
3−メチル−1H−ピリジン−2−オン(1.43g、13.1mmol)の無水EtOH(100mL)溶液をKOH(735mg、13.1mmol)で処理し、激しく攪拌しながら2時間加熱還流した後、室温まで冷却し、減圧下で溶媒を留去した。橙色固体残渣を乾燥DMF(100mL)に取り、2−フルオロ−4−オキサゾール−5−イル−ベンゾニトリル(VII−b、2.24g、11.9mmol)で処理し、100℃で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をNaHCO
3飽和溶液で処理し、DCMで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO
2;50%EtOAcシクロヘキサン溶液で溶出)で精製することで、所望の中間体VII−cを灰色がかった白色固体(2.55g、77%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ8.62(s、1H)、8.15(d、J=8.1Hz、1H)、8.04(s、2H)、7.99(dd、J=8.1、1.6Hz、1H)、7.62(dd、J=6.9、1.1Hz、1H)、7.49(d、J=6.6Hz、1H)、6.34(t、J=6.8Hz、1H)、2.07(s、3H)
【0169】
・中間体VII−dの合成:4−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−2−(3−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−ベンゾニトリル
2−(3−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−4−オキサゾール−5−イル−ベンゾニトリル(VII−c、2.55g、9.19mmol)の乾留THF(160mL)溶液を、アルゴン雰囲気下、−78℃でLiHMDS(1M THF溶液、11.0mL、11.0mmol)で滴下処理することで、不透明な黄色スラリーを得た。この温度で1時間経過後、C
2Cl
6(3.26g、13.8mmol)を一度に加え、混合液を室温まで昇温した。この混合液を水で処理し、DCMで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO
2;50%EtOAcシクロヘキサン溶液で溶出)で精製することで、所望の生成物VII−dを桃色固体(1.51g、52%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ8.16(d、J=8.2Hz、1H)、8.10(s、1H)、8.02(d、J=1.4Hz、1H)、7.96(dd、J=8.1、1.5Hz、1H)、7.61(d、J=6.9Hz、1H)、7.49(d、J=6.7Hz、1H)、6.35(t、J=6.8Hz、1H)、2.07(s、3H)
【0170】
・中間体VII−eの合成:N−(5−エトキシメチル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド
N−(5−エトキシメチル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド(VII−e)は、中間体II−iと同様にして、5−エトキシメチル−2−メチル−フェニルアミン(I−e、5g、30.26mmol)、乾燥トリエチルアミン(12.23mL)、DCM(60mL)及びAcCl(4.32mL)を使用して調製し、所望の中間体VII−eを白色固体(5.39g、86%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ7.69(s、1H)、7.15(d、J=7.7Hz、1H)、7.07(d、J=8.2Hz、1H)、4.46(s、2H)、3.53(q、J=7.0Hz、2H)、2.23(s、3H)、2.18(s、3H)、1.23(t、J=7.0Hz、3H)
【0171】
・実施例220の合成:4−[2−((5−エトキシメチル)−2−メチル−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−2−(3−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−ベンゾニトリル
N−(5−エトキシメチル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド(VII−e、74mg、0.361mmol)、乾燥THF(3mL)及びNaH(60%油、29mg、0.722mmol)の混合液を、アルゴン雰囲気下、室温で1時間攪拌した。4−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−2−(3−メチル−2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−ベンゾニトリル(VII−d、75mg、0.241mmol)の乾燥THF(3mL)懸濁液を0℃で滴下した後、室温まで2時間かけて昇温した。混合液を水で処理し、EtOAcで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO
2;50%EtOAcシクロヘキサン溶液で溶出)で精製することで、所望の生成物220を桃色固体(61mg、56%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.55(s、1H)、8.05(d、J=8.0Hz、1H)、7.83−7.68(m、4H)、7.61(d、J=6.7Hz、1H)、7.48(d、J=6.6Hz、1H)、7.18(d、J=7.8Hz、1H)、6.97(d、J=7.4Hz、1H)、6.33(t、J=6.8Hz、1H)、4.41(s、2H)、3.46(q、J=7.0Hz、2H)、2.27(s、3H)、2.06(d、J=7.1Hz、3H)、1.12(t、J=7.0Hz、3H)
【0172】
(実施例221)
実施例221の合成法
【0173】
【化17】
【0174】
・中間体VIII−aの合成:3−ブロモ−5−オキサゾール−5−イル−ピリジン
5−(3−ブロモ−フェニル)−オキサゾール(VIII−a)は、中間体I−cと同様にして、2−5−ブロモ−ピリジン−3−カルバルデヒド(0.260g、1.4mmol)、TosMIC(0.273g、1.54mmol)及びK
2CO
3(0.580g、4.2mmol)のMeOH(15mL)溶液を使用して調製し、所望の中間体VIII−aをベージュ色固体(0.16g、50%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ8.95(s、1H)、8.70(s、1H)、8.59(s、1H)、8.43(s、1H)、7.95(s、1H)
【0175】
・中間体VIII−bの合成:5’−オキサゾール−5−イル−[1,3’]ビピリジニル−2−オン
オーブン乾燥し、3−ブロモ−5−オキサゾール−5−イル−ピリジン(VIII−a、1.00g、4.44mol)の脱気1,4−ジオキサン(20mL)溶液を入れた封管に、2−ヒドロキシピリジン(507mg、5.33mmol)、K
2CO
3(1.23g、1.78mmol)、CuI(169mg、0.899mmol)及びrac−trans−N,N’−ジメチルシクロヘキサンジアミン(280μL、1.78mmol)を加えた。封管にアルゴンを流し込み、封止した後、オイルバス中、120℃で一晩加熱した。室温まで冷却後、混合液をろ過し、ろ過ケークを1,4−ジオキサンで洗浄した。混合物を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(2%から5%のEtOHのDCM溶液)で精製することで、所望の生成物VIII−bをベージュ色固体(752mg、71%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.06(s、1H)、8.68(s、1H)、8.60(s、1H)、8.29(s、1H)、7.95(s、1H)、7.80(dd、J=6.8、1.6Hz、1H)、7.57(ddd、J=8.8、6.6、1.9Hz、1H)、6.54(d、J=9.2Hz、1H)、6.39(t、J=6.7Hz、1H)
【0176】
・中間体VIII−cの合成:5’−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−[1,3’]ビピリジニル−2−オン
5’−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−[1,3’]ビピリジニル−2−オン(VIII−c)は、上記I−dと同様にして、LiHMDS(1M THF溶液、4.64mL、4.64mmol)及びC
2Cl
6(1.10g、4.64mmol)の乾燥THF溶液を使用して5’−オキサゾール−5−イル−[1,3’]ビピリジニル−2−オン(VIII−b、740mg、3.09mmol)から調製した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2;2%から5%のEtOHのDCM溶液で溶出)で精製することで、所望の生成物VIII−cを白色固体(393mg、47%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.91(s、1H)、8.61(s、1H)、8.06(t、J=2.2Hz、1H)、7.50−7.42(m、2H)、7.35(dd、J=6.9、1.9Hz、1H)、6.70(d、J=9.3Hz、1H)、6.34(td、J=6.8、1.2Hz、1H)
【0177】
・実施例221の合成:5’−[2−(5−メトキシ−2−メチル−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−[1,3’]ビピリジニル−2−オン
5’−[2−(5−メトキシ−2−メチル−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−[1,3’]ビピリジニル−2−オン(221)は、上記I−fと同様にして、5’−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−[1,3’]ビピリジニル−2−オン(VIII−c、68mg、0.250mmol)及び5−メトキシ−2−メチルアニリン(35mg、0.250mmol)のiPrOH(3mL)溶液から調製し、カラムクロマトグラフィー(SiO
2;2%から5%のEtOHのDCM溶液で溶出)後に、表題の化合物221を橙色固体(28mg、30%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.83(d、J=1.9Hz、1H)、8.45(d、J=2.3Hz、1H)、7.93(t、J=2.1Hz、1H)、7.73(d、J=2.4Hz、1H)、7.41(m、1H)、7.34(m、1H)、7.30(s、1H)、7.07(d、J=8.3Hz、1H)、6.78(s、1H)、6.68(d、J=9.3Hz、1H)、6.55(dd、J=8.3、2.5Hz、1H)、6.30(t、J=5.6Hz、1H)、3.81(s、3H)、2.25(s、3H)
ESI
+MS:m/z 375(M+H)
+
保持時間=2.99分(方法1)
【0178】
(実施例222)
・実施例222の合成:3−{3−[2−(3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−フェニル}−1−(2−ジメチルアミノ−エチル)−1H−ピリジン−2−オン
【0179】
【化18】
【0180】
3−{3−[2−(3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−フェニル}−1H−ピリジン−2−オン(219)(39mg、0.10mmol)、(2−クロロ−エチル)−ジメチル−アミン塩酸塩(17.5mg、0.11mmol)、K
2CO
3(31mg、0.22mmol)及びヨウ化カリウム(19mg、0.11mmol)をDMF(4mL)に添加した混合液を50℃で16時間加熱した。DMFを留去した後、混合物を水で処理し、EtOAcで抽出した。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO
4)、ろ過、蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(Al
2O
3;1%EtOHのDCM溶液で溶出)で精製することで、所望の生成物222を黄色固体(23mg、50%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO):δ10.32(s、1H)、7.95(s、1H)、7.72(d、J=6.7Hz、1H)、7.66(dd、J=6.9、1.6Hz、1H)、7.58−7.31(m、4H)、6.90(s、1H)、6.89(s、1H)、6.35(t、J=6.8Hz、1H)、6.13(s、1H)、4.07(t、J=6.3Hz、2H)、3.73(s、6H)、2.55(t、J=6.3Hz、2H)、2.20(s、6H)
ESI
+MS:m/z 461(M+H)
+
保持時間=2.90分(方法1)
【0181】
(実施例223)
実施例223の合成法
【0182】
【化19】
【0183】
・中間体IX−aの合成:2−ブロモ−4−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−ピリジン
2−ブロモ−4−(2−クロロ−オキサゾール−5−イル)−ピリジン(IX−a)は、実施例I−dと同様にして、2−ブロモ−4−オキサゾール−5−イル−ピリジン(450mg、2mmol)、LiHMDS(2.2mL、2.2mmol)及びC
2Cl
6(568mg、2.4mmol)のTHF溶液を使用して調製し、中間体IX−aを黄橙色固体(465mg、90%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.43(d、J=5.1Hz、1H)、7.68(s、1H)、7.53(s、1H)、7.46−7.36(m、1H)
【0184】
・中間体IX−bの合成:[5−(2−ブロモ−ピリジン−4−イル)−オキサゾール−2−イル]−(5−エトキシメチル−2−メチル−フェニル)−アミン
[5−(2−ブロモ−ピリジン−4−イル)−オキサゾール−2−イル]−(5−エトキシメチル−2−メチル−フェニル)−アミン(IX−b)は、実施例220と同様にして、中間体VII−e(169mg、0.65mmol)、N−(5−エトキシメチル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド(162mg、0.78mmol)及びNaH(65mg、1.6mmol)のDMF溶液を使用して調製し、中間体IX−bを黄色固体(162mg、64%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.32(d、J=5.1Hz、1H)、7.94(s、1H)、7.56(s、1H)、7.42(s、1H)、7.32(d、J=5.2Hz、1H)、7.21(d、J=7.6Hz、1H)、7.06(d、J=7.7Hz、1H)、6.91(s、1H)、4.54(s、2H)、3.58(q、J=7.0Hz、2H)、2.34(s、3H)、1.27(t、J=7.0Hz、3H)
【0185】
・実施例223の合成:4’−[2−(5−エトキシメチル−2−メチル−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−3,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2’]ビピリジニル−2−オン
中間体IX−b(51mg、0.13mmol)、δ−バレロラクタム(16mg、0.16mmol)、炭酸セシウム(60mg、0.18mmol)、Pd
2(dba)
3(4mg、0.004mmol)及びキサントホス(7mg、0.012mmol)をジオキサン(2.5mL)に添加した混合液を、開始材料がなくなるまで1時間還流させた(反応はTLCでモニタリングした)。その後、反応液を蒸発させ、未精製の油状物をそのままクロマトグラフィー(SiO
2;1%から10%のEtOHのDCM溶液で溶出)にかけることで、実施例223を黄色固体(22mg、42%)として得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.39(d、J=5.3Hz、1H)、7.99(s、1H)、7.94(s、1H)、7.39(s、1H)、7.25−7.12(m、3H)、7.05(d、J=7.6Hz、1H)、4.54(s、2H)、4.02−3.89(m、2H)、3.57(q、J=6.9Hz、2H)、2.69−2.56(m、2H)、2.34(s、3H)、2.02−1.89(m、4H)、1.26(t、J=7.0Hz、3H)
ESI
+MS:m/z 407(M+H)
+
保持時間=3.48分(方法1)
【0186】
(実施例224)
・実施例224の合成:1−{4−[2−((5−エトキシメチル)−2−メチル−フェニルアミノ)−オキサゾール−5−イル]−ピリジン−2−イル}−テトラヒドロ−ピリミジン−2−オン
【0187】
【化20】
【0188】
中間体IX−b(50mg、0.13mmol)、N,N’−トリメチレン尿素(130mg、1.3mmol)、炭酸セシウム(46mg、0.14mmol)、Pd
2(dba)
3(4mg、0.004mmol)及びキサントホス(7mg、0.012mmol)をジオキサン(2.5mL)に添加した混合液を1時間30分間還流させた。その後、反応液を蒸発させ、酢酸エチルに溶解させ、水で数回洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。未精製の油状物をクロマトグラフィー(SiO
2;1%から10%のEtOHのDCM溶液で溶出)にかけることで、実施例224を黄橙色固体(16mg、31%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.54(s、1H)、8.28(d、J=5.2Hz、1H)、7.99(s、1H)、7.79(s、1H)、7.66(s、1H)、7.24−7.10(m、2H)、7.00−6.86(m、2H)、4.41(s、2H)、3.92−3.80(m、2H)、3.47(q、J=6.9Hz、2H)、3.26−3.19(m、2H)、2.27(s、3H)、2.03−1.80(m、2H)、1.14(t、J=7.0Hz、3H)
【0189】
(実施例225)
実施例225の合成法
【0190】
【化21】
【0191】
・中間体X−aの合成:5−(3−ニトロ−フェニル)−オキサゾール
中間体X−aは、実施例I−cと同様にして、3−ニトロベンズアルデヒド(4g、26mmol)、TosMIC(5.7g、29mmol)及びK
2CO
3(4.4g、32mmol)のMeOH溶液を使用して調製し、中間体X−aを黄色固体(4.7g、93%)として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO−d
6):δ8.56(s、1H)、8.50(t、J=1.9Hz、1H)、8.21(ddd、J=8.2、2.3、1.0Hz、1H)、8.17(ddd、J=7.8、1.6、1.0Hz、1H)、7.99(s、1H)、7.78(t、J=8.0Hz、1H)
【0192】
・中間体X−bの合成:2−クロロ−5−(3−ニトロ−フェニル)−オキサゾール
中間体X−bは、実施例I−dと同様にして、中間体X−a(3.2g、17mmol)、LiHMDS(20.2mL、20mmol)及びC
2Cl
6(4.78g、20mmol)のTHF溶液を使用して調製し、所望の中間体X−bを黄色固体(3.13g、82%)として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO−d
6):δ8.48(d、J=1.5Hz、1H)、8.24(d、J=8.2Hz、1H)、8.14(d、J=7.8Hz、1H)、8.09(d、J=1.9Hz、1H)、7.80(td、J=8.1、1.9Hz、1H)
【0193】
・中間体X−cの合成:4−メチル−N3−[5−(3−ニトロ−フェニル)−オキサゾール−2−イル]−ベンゼン−1,3−ジアミン
中間体X−cは、実施例220と同様にして、中間体X−b(448mg、2mmol)、N−(5−アミノ−2−メチル−フェニル)−アセトアミド(394mg、2.4mmol)及びNaH(160mg、4mmol)のTHF溶液を使用して調製し、中間体X−cを橙色固体(236mg、64%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.17(s、1H)、8.32(s、1H)、8.07(d、J=7.5Hz、1H)、8.00(d、J=7.7Hz、1H)、7.72(m、2H)、7.11(s、1H)、6.82(d、J=8.0Hz、1H)、6.24(d、J=7.4Hz、1H)、4.91(s、2H)、2.11(s、3H)
【0194】
・中間体X−dの合成:N−{4−メチル−3−[5−(3−ニトロ−フェニル)−オキサゾール−2−イルアミノ]−フェニル}−2−ピロリジン−1−イル−アセトアミド
中間体X−c(226mg、0.72mmol)、1−ピロリジニル酢酸塩酸塩(158mg、0.94mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(148mg、1.1mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(252mg、1.3mmol)及びNEt
3(360μL、2.6mmol)をDMF(15mL)に添加した混合液を室温で一晩攪拌した。次いで、反応液を蒸発させ、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、結晶化できる最小体積まで濃縮した。その後、ろ過して表題化合物を回収することで、中間体X−dを黄色固体(224mg、72%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.66(s、1H)、9.43(s、1H)、8.35(s、1H)、8.03(d、J=7.3Hz、1H)、7.89(d、J=7.9Hz、1H)、7.70(m、2H)、7.04(s、1H)、6.89(d、J=8.1Hz、1H)、6.26(d、J=7.5Hz、1H)、3.24(s、2H)、2.63−2.54(m、4H)、2.22(s、3H)、1.76−1.69(m、4H)
【0195】
・中間体X−eの合成:N−{3−[5−(3−アミノ−フェニル)−オキサゾール−2−イルアミノ]−4−メチル−フェニル}−2−ピロリジン−1−イル−アセトアミド
中間体X−d(220mg、0.52mmol)、SnCl
2・2H
2O(590mg、2.6mmol)及び濃塩酸(735μL、5.2mmol)をエタノール/水(9mL/1mL)混合物に添加した混合液を40℃で4時間攪拌した。次いで、反応液を蒸発させ、酢酸エチル及びNaOH水溶液で希釈した。水層を酢酸エチルで2回抽出した後、有機層を合わせたものを水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。未精製の油状物をクロマトグラフィー(Al
2O
3;0.5%EtOHのDCM溶液で溶出)にかけることで、中間体X−eを黄色/ベージュ色固体(147mg、72%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.68(s、1H)、9.40(s、1H)、8.21(s、1H)、7.95(d、J=7.8Hz、1H)、7.88(d、J=7.3Hz、1H)、7.56(s、1H)、7.32(s、1H)、7.05(s、1H)、6.91(d、J=7.3Hz、1H)、6.19(d、J=7.6Hz、1H)、4.85(s、2H)、3.28(s、2H)、2.67−2.56(m、4H)、2.23(s、3H)、1.78−1.68(m、4H)
【0196】
・実施例225の合成:N−(3−{5−[3−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−フェニル]−オキサゾール−2−イルアミノ}−4−メチル−フェニル)−2−ピロリジン−1−イル−アセトアミド
中間体X−e(70mg、0.18mmol)の無水THF(4mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃でグルタル酸無水物(20mg、0.18mmol)を複数回に分けて加えた。混合液を雰囲気温度で1時間攪拌した後、一晩還流させた。形成された固体をろ過して回収し、THF及びジエチルエーテルで洗浄することで、白色固体(52mg)を得た。これを、無水1,2−ジクロロエタン(8mL)中、SOCl
2(30μL、0.4mmol)で10分かけて処理した。混合液を、開始材料がなくなるまで少なくとも4時間還流させた後、DCMで希釈し、NaHCO
3水溶液及び水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(Al
2O
3;0.5%から1%のEtOHのDCM溶液で溶出)にかけることで、化合物225をベージュ色固体(23mg、45%)として得た。
1H NMR(300MHz、DMSO−d
6):δ9.96(s、1H)、9.64(s、1H)、9.27(d、J=12.2Hz、1H)、8.03(d、J=10.9Hz、1H)、7.94(s、1H)、7.54−7.46(m、1H)、7.35−7.27(m、3H)、7.10(d、J=8.2Hz、1H)、3.23(s、2H)、2.69(t、J=6.5Hz、4H)、2.63−2.56(m、4H)、2.23(s、3H)、2.12(m、2H)、1.74(s、4H)
【0197】
他の実施形態によれば、本発明は、上述の化合物を含む医薬組成物に関する。
【0198】
このような医薬組成物は経口投与することができ、この分野で周知の薬学的に許容される基剤を適正量使用することで製剤できる。これらの基剤により、患者又は患畜が摂取できる錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物等として、医薬組成物を製剤できる。これらの医薬組成物は、有効成分に加えて、賦形剤や補助剤を含む薬学的に許容される好適な基剤を含有していてもよく、これらの基剤を用いると、有効化合物を薬学的に使用可能な製剤に加工するのが容易になる。製剤及び投与技術の詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,Pa.)の最新版を参照できる。
【0199】
本発明の組成物はまた、局所投与用の医薬組成物又は化粧品組成物の形態もとることができる。
【0200】
これらの組成物は、例えば、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、懸濁液、水性溶液、水−アルコール性溶液、油性溶液、ローション又はセラムタイプの分散液、無水又は親油性のゲル、液体又は半固体の稠度を持つ乳状エマルジョン(脂肪相を水相に分散させて又は水相を脂肪相に分散させて得られる)、軟性半固体の稠度を持つクリーム状又はゲル状懸濁液又はエマルジョン、あるいはマイクロエマルジョン、マイクロカプセル、ミクロ粒子、イオン性及び/又は非イオン性のベシクル分散液等の形態であってもよい。これらの組成物は標準的な方法で調製される。
【0201】
本発明の組成物は、皮膚科学及び化粧品分野で通常使用される成分を含む。親水性又は親油性のゲル化剤、親水性又は親油性の活性剤、保存料、皮膚軟化剤、粘度向上ポリマー、湿潤剤、界面活性剤、保存料、酸化防止剤、溶剤、充填剤、酸化防止剤、溶剤、香料、充填剤、スクリーニング剤、殺菌剤、臭気吸収剤及び着色剤から選択される成分を少なくとも1つ含んでいてもよい。
【0202】
本発明で使用できる油としては、鉱油(流動パラフィン)、植物油(シアバターの液体画分、ヒマワリ油)、動物油、合成油、シリコーン油(シクロメチコン)及びフッ素オイル等が挙げられる。脂肪族アルコール、脂肪酸(ステアリン酸)及びワックス(パラフィン、カルナバ、蜜蝋)も脂肪族物質として使用できる。
【0203】
本発明において、乳化剤としては、グリセロール、ポリソルベート、グリセリド及びPEGが使用できる。
【0204】
親水性ゲル化剤としては、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリル系共重合体(アクリレート/アルキルアクリレート共重合体等)、ポリアクリルアミド、多糖類(ヒドロキシプロピルセルロース等)、クレー及び天然ガムが挙げられる。親油性ゲル化剤としては、変性クレー(ベントン等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸アルミニウム等)及び疎水性シリカ、あるいはエチルセルロース及びポリエチレンが挙げられる。
【0205】
親水性活性剤としては、タンパク質及びタンパク質加水分解物、アミノ酸、ポリオール、尿素、アラントイン、糖類及び糖誘導体、ビタミン、デンプン、及び、植物抽出物(特にアロエベラの抽出物)が挙げられる。
【0206】
親油性活性剤としては、レチノール(ビタミンA)及びその誘導体、トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体、必須脂肪酸、セラミド、及び、精油が挙げられる。これらの成分を使用すると、更に湿潤性又は皮膚軟化性が得られる。
【0207】
また、組成物に界面活性剤を含有させることで、肥満細胞を激減させることが可能な化合物(例えばチロシンキナーゼ阻害剤、好ましくはc−kit阻害剤等)をより深く浸透させることができる。
【0208】
これらの考えられる成分の中でも、本発明は、例えば、鉱油、水、エタノール、トリアセチン、グリセリン及びプロピレングリコールからなる群より選択される浸透性向上剤;例えば、ポリイソブチレン、ポリビニルアセテート及びポリビニルアルコールからなる群より選択される凝集剤、並びに、増粘剤を包含する。
【0209】
薬剤の局所吸収性を向上させる化学的方法は当業者に周知である。例えば、浸透性を向上させる特性を有する化合物としては、ラウリル硫酸ナトリウム(Dugard,P.H.及びSheuplein,R.J.,“Effects of Ionic Surfactants on the Permeability of Human Epidermis:An Electrometric Study”,J.Ivest.Dermatol.,V.60,pp.263−69,1973)、ラウリルアミンオキシド(Johnson et.al.,米国特許第4,411,893号明細書)、アゾン(Rajadhyaksha,米国特許第4,405,616号及び第3,989,816号明細書)、及び、デシルメチルスルホキシド(Sekura,D.L.及びScala,J.,“The Percutaneous Absorption of Alkylmethyl Sulfides”,Pharmacology of the Skin,Advances In Biolocy of Skin,(Appleton−Century Craft),V.12,pp.257−69,1972)等が挙げられる。また、両性分子中の頭部基の極性を高くすると浸透性向上特性が増すものの、皮膚刺激性の増加という犠牲を払わなくてはならないことがわかっている(Cooper,E.R.及びBerner,B.,“Interaction of Surfactancts with Epidermal Tissues:Physiochemical Aspects”,Surfactant Science Series,V.16,Reiger,M.M.ed.(Marcel Dekker,Inc.),pp.195−210,1987)。
【0210】
セカンドクラスの化学的促進剤は、一般的に共溶媒と呼ばれる。これらの材料は比較的容易に局所吸収され、様々な機序によって、いくつかの薬剤の浸透を向上させる。エタノール(Gale et.al.,米国特許第4,615,699号明細書;並びに、Campbell et.al.,米国特許第4,460,372号及び第4,379,454号明細書)、ジメチルスルホキシド(米国特許第3,740,420号及び第3,743,727号明細書並びに米国特許第4,575,515号明細書)、及び、グリセリン誘導体(米国特許第4,322,433号明細書)は、各種化合物の吸収を向上させることができる化合物の一例である。
【0211】
本発明の医薬組成物はまた、患者又は患畜の気道における標的領域にエアロゾル化製剤として投与することを意図している。
【0212】
米国特許第5,906,202号明細書には、製剤をエアロゾルとして噴射して送達する装置及び方法が開示されている。製剤は溶液であることが好ましく、例えば、水溶液、エタン性溶液、水/エタン性溶液、食塩水、コロイド懸濁液、及び、微結晶懸濁液等が挙げられる。例えば、エアロゾル化粒子は、上記有効成分及び基剤、例えば薬学的に活性な呼吸器疾患治療薬及び基剤等を含み、製剤をノズルから押し出すようにして形成される。上記ノズルは、柔軟な多孔膜の形態であることが好ましい。上記粒子の粒子径は、形成された粒子が空気中に充分な時間浮遊したままとなって、患者又は患畜が肺内に上記粒子を吸入できる充分な小ささである。
【0213】
本発明は、米国特許第5,556,611号明細書に記載された以下のシステムを包含する。
・液体ガスシステム(圧力容器中、液化ガスをプロペラントガス(低沸点FCHC又はプロパン、ブタン等)として使用)
・懸濁液エアロゾル(液体プロペラント相に固体状の有効物質粒子を懸濁)
・加圧ガスシステム(圧縮ガス(窒素、二酸化炭素、一酸化二窒素、空気等)を使用)
【0214】
従って、本発明によれば、有効成分を適切な無毒性媒体に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液を霧化させたエアロゾルとして、すなわち、基剤ガス中に極めて微細に分散させた状態で医薬製剤が製造される。技術的には、例えば、エアロゾルプロペラントガスパック、ポンプエアロゾルの他、それ自体が液体噴霧及び固体噴霧用のものとして知られている装置、特に各投与を正確なものにできる装置の形態などにすることができる。
【0215】
従って、本発明はまた、上述の化合物及びその製剤を含むエアロゾル装置、好ましくは定量噴霧バルブを有するエアロゾル装置にも関する。
【0216】
本発明の医薬組成物はまた、鼻腔内投与を意図したものであってもよい。
【0217】
この場合、鼻粘膜表面に化合物を投与するための薬学的に許容される基剤は、当業者であれば容易に判断できるであろう。これらの基剤は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,16th edition,1980,Ed.By Arthur Osolに記載されている。この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
適切な基剤は、意図される投与のタイプによって異なる。上気道経由で投与する場合、組成物は、緩衝液で処理した又はしていない溶液(水又は等張ブライン等)、又は、懸濁液として製剤化できる。鼻腔内投与の場合、液滴又はスプレーとして製剤化できる。これらの溶液又は懸濁液は、鼻分泌液と等張であり、pHがほぼ同じ(例えば、pH約4.0〜約7.4、又は、pH6.0〜7.0など)であることが好ましい。緩衝液は生理学的に適合するものである必要があり、一例に過ぎないがリン酸緩衝液が挙げられる。例えば、代表的な鼻用充血除去剤として、緩衝剤で処理してpHを約6.2としたものが記載されている(Remington’s(同上)、p.1445)。もちろん、当業者であれば、鼻及び/又は上気道投与用の無毒性水性基剤に適切な塩分量及びpHを容易に決定できる。
【0219】
一般的な鼻腔内基剤としては、粘度が例えば約10〜約3000cps、あるいは約2500〜6500cps、あるいはそれ以上であって、鼻粘膜表面により長く接触できる鼻用ゲル、クリーム、ペースト又は軟膏が使用できる。このように基剤が粘性を有する製剤としては、一例にすぎないが、アルキルセルロース及び/又はその他の当業者に周知である高粘度の生体適合性基剤に基づくものが挙げられる(例えば、Remington’s(上で引用)を参照)。アルキルセルロースとしては、濃度が基剤100mLあたり約5〜約1000mg以上であるメチルセルロース等が好ましい。メチルセルロースの濃度としては、基剤100mLあたり約25〜約mgがより好ましいが、これは一例に過ぎない。
【0220】
その他の成分、例えば当分野で公知の保存料、着色料、潤滑性又は粘性の鉱物油又は植物油、香料、天然又は合成植物抽出物(アロマオイル等)、並びに、湿潤剤及び粘度向上剤(グリコール等)をさらに含むことで、粘度の増加、湿度の保持、心地よい質感及び香気を製剤に付与することもできる。本発明に係る溶液又は懸濁液を経鼻投与する場合、液滴、小液滴及びスプレーを生成可能な当分野の各種装置が利用できる。
【0221】
溶液又は懸濁液を含み、液滴又はスプレーとして送達するドロッパ又は噴霧装置を有する事前測定式単回投与ディスペンサであって、一投与量以上の投与薬剤が入っているディスペンサを準備する。これもまた、本発明の目的である。本発明はまた、一単位用量以上の乾燥させた化合物を、必要な塩及び/又は緩衝剤、保存料、着色料等と共に含むキットであって、適量の水を加えることですぐに溶液又は懸濁液を調製できるキットにも関する。
【0222】
本発明の他の態様としては、薬剤を製造するための上記化合物の使用に関する。すなわち、本発明は、制御されていないc−kit伝達に関連した疾患を治療するための方法であって、その治療を必要とする哺乳動物に上記化合物を有効量投与することを含む方法を包含する。
【0223】
より具体的には、本発明は、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、骨喪失、がん(白血病、GIST等)、腫瘍血管新生、炎症性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、間質性膀胱炎、肥満細胞症、感染症、代謝性疾患、線維症、糖尿病及びCNS疾患から選択される疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする哺乳動物に、上述の化合物を有効量投与することを含む方法を対象としている。
【0224】
上述の化合物は、制御されていないc−kit伝達に関連した疾患を治療するための薬剤を製造するのに有用であり、上記疾患としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
・腫瘍性疾患:肥満細胞症、イヌ肥満細胞腫、固形腫瘍、ヒト消化管間質腫瘍(「GIST」)、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、結腸直腸がん、胃がん、消化管間質腫瘍、精巣がん、膠芽腫、固形腫瘍、及び、星細胞腫等
・腫瘍血管新生
・代謝性疾患:真性糖尿病及びその慢性合併症;肥満;II型糖尿病;高脂血症及び脂質異常症;アテローム性動脈硬化;高血圧;並びに、心血管疾患等
・アレルギー性疾患:喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アナフィラキシー症候群、じんましん、血管浮腫、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、結節性紅斑、多形性紅斑、皮膚壊死性小静脈炎、並びに、虫刺され皮膚炎及び吸血寄生虫感染症等
・間質性膀胱炎
・骨喪失(骨粗鬆症)
・炎症性疾患:関節リウマチ、結膜炎、リウマチ性脊椎炎、変形性関節炎、痛風性関節炎、及び、その他の関節炎症状等
・自己免疫疾患:多発性硬化症、乾癬、腸炎症性疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ及び多発関節炎、限局性及び全身性強皮症、全身性紅斑性狼瘡、円板状紅斑性狼瘡、皮膚ループス、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、結節性汎動脈炎、自己免疫性腸症、並びに、増殖性糸球体腎炎等
・腎臓、膵臓、肝臓、心臓、肺及び骨髄等、あらゆる臓器移植における移植片対宿主病又は移植片拒絶
・慢性活動性肝炎及び慢性疲労症候群等、本発明に包含される他の自己免疫疾患
・表皮下水疱症:天疱瘡等
・脈管炎
・HIV感染症
・メラノサイト機能不全関連疾患:メラノサイト機能不全に起因する色素増加症(例えば、黒子、日光黒子及び老人性黒子、Dubreuilh黒皮症、ほくろ/あざ、並びに、悪性黒色腫等)。この点について、本発明は、ヒトの皮膚を美白化するための薬剤又は化粧品組成物を製造するための上記化合物の使用を包含する。
・CNS疾患:精神疾患、偏頭痛、痛み、記憶喪失及び神経細胞縮退等。より具体的には、本発明に係る方法は以下の疾患を治療するのに有用である。
気分変調性障害、循環病、双極性うつ病、重度又は「メランコリー型」うつ病、非定型うつ病、難治性うつ病、季節性うつ病、食欲不振、過食症、月経前症候群、更年期障害、その他の症候群(精神機能低下及び集中力低下等)、悲観症、激越、自己非難、性欲減退等のうつ病;
急性痛、術後痛、慢性痛、侵害受容性疼痛、がん性痛、神経因性疼痛、心因性疼痛症候群等の痛み;
過呼吸及び不整脈に伴う不安、恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、精神科救急(例えば精神病、妄想性障害、転換性障害、恐怖症、躁病、せん妄等のパニック発作など)等の不安障害;
解離性健忘、解離性遁走、解離性同一性障害等の解離性障害;
離人症;緊張病;けいれん発作;
自傷行為、自己無視、暴力的又は攻撃的行為、精神的外傷、境界性パーソナリティ及び急性精神病等の重度の精神科救急;並びに、
妄想型統合失調症、解体型統合失調症、緊張型統合失調症及び鑑別不能型統合失調症等の統合失調症
・神経変性疾患:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、運動ニューロン病(MND)、及び、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等
・本明細書中、物質使用障害とは、薬物常用、薬物乱用、薬物習慣、薬物依存、離脱症候群及び過剰服用等を含むが、これらに限定されない。
・脳虚血
・線維症
・デュシェンヌ型筋ジストロフィー
【0225】
肥満細胞症に関して、本発明は、以下の通り分類される各カテゴリーの治療への上記化合物の使用を意図している。
【0226】
カテゴリーIは、2つのサブカテゴリー(IA及びIB)で構成される。カテゴリーIAは、肥満細胞が皮膚に厳密に限局して浸潤している疾患からなる。本カテゴリーは、疾患の中で最もよく見られるものであり、
i)皮膚肥満細胞症の最も一般的な形態であって、特に小児でよく見られる色素性じんましん;
ii)びまん性皮膚肥満細胞症;
iii)単発性肥満細胞腫;及び、
iv)水疱性、紅皮症性及び末梢血管拡張性肥満細胞症等の珍しい亜種
を含む。これらの形態の特徴としては、小児においては自然寛解により予後が優れること、成人においては極めて進行が緩徐であることが挙げられる。この形態の疾患における長期生存率は、通常、正規母集団と同等であり、肥満細胞症の他の形態に転換することはまれである。カテゴリーIBは、皮膚に関わる又は関わらない無痛性全身性疾患(SM)を表す。これらの形態は、小児よりも成人においてはるかに一般的である。本疾患の経過としては、緩徐進行性であることが多いが、侵襲性又は悪性肥満細胞症の徴候が現われて、進行性の臓器機能不全に至ることもある。
【0227】
カテゴリーIIは、骨髄増殖性若しくは骨髄異形成症候群、又は、急性白血病等の血液障害を伴う肥満細胞症を含む。これらの悪性肥満細胞症は、皮膚では通常起こらない。疾患の進行状態は、一般的に、予後を決定する付随する血液障害の種類によって異なる。
【0228】
カテゴリーIIIは、異常肥満細胞による複数臓器への広範囲浸潤が一般的である侵襲性全身性肥満細胞症を表す。このように侵襲性の臨床経過をたどる患者においては、骨髄増殖性疾患を示唆する末梢血の特徴がより顕著である。急性白血病と同様、疾患の進行は非常に早いが、患者によっては生存時間が長い場合もある。
【0229】
最後に、カテゴリーIVの肥満細胞症は、肥満細胞白血病を含み、循環肥満細胞及び肥満細胞前駆細胞の存在率が白血球細胞の10%超であることを特徴とする。この疾患は、恐らくヒトでは最も珍しい白血病であり、悪性肥満細胞症の急速進行性亜種と同様に、予後が非常に悪い。肥満細胞白血病は、新たに発症することも、色素性じんましん又は全身性肥満細胞症の終末期症状として生じることもある。
【0230】
本発明はまた、無症候期後に再発する感染症(細菌性膀胱炎等)である再発性細菌感染症を治療するための上記方法も意図している。より具体的には、本発明は、E.coli、Klebsiella pneumoniae、Serratia marcescens、Citrobactor freudii、及び、Salmonella typhimuriumを含むグラム陰性腸内細菌等のFimH発現性細菌感染症を治療するために実施できる。
【0231】
このような細菌感染症を治療する方法においては、バシトラシン、セファロスポリン、ペニシリン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、マクロライド抗生物質(エリスロマイシン等)、フルオロキノロン、アクチノマイシン、スルホンアミド及びトリメトプリムから選択される少なくとも1つの抗生物質を個別、連続又は同時投与することが意図される。
【0232】
好ましい一実施形態によれば、本発明は、肥満細胞症、イヌ肥満細胞腫、固形腫瘍、ヒト消化管間質腫瘍(「GIST」)、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、結腸直腸がん、胃がん、消化管間質腫瘍、精巣がん、膠芽腫、及び、星細胞腫等の腫瘍性疾患を治療する方法であって、その治療を必要とするヒト又は哺乳類(特にイヌ及びネコ)に本明細書中で定義した化合物を投与することを含む方法に関する。
【0233】
他の好ましい一実施形態によれば、本発明は、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、アナフィラキシー症候群、じんましん、血管浮腫、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、結節性紅斑、多形性紅斑、皮膚壊死性小静脈炎、虫刺され皮膚炎、及び、吸血寄生虫感染症等のアレルギー性疾患を治療する方法であって、その治療を必要とするヒト又は哺乳類(特にイヌ及びネコ)に本明細書中で定義した化合物を投与することを含む方法に関する。
【0234】
更に他の好ましい実施形態によれば、本発明は、関節リウマチ、結膜炎、リウマチ性脊椎炎、変形性関節炎、痛風性関節炎、及び、他の関節炎症状等の炎症性疾患を治療する方法であって、その治療を必要とするヒトに本明細書中で定義した化合物を投与することを含む方法に関する。
【0235】
更に他の好ましい実施形態によれば、本発明は、多発性硬化症、乾癬、腸炎症性疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ及び多発関節炎、限局性及び全身性強皮症、全身性紅斑性狼瘡、円板状紅斑性狼瘡、皮膚ループス、皮膚筋炎、多発性筋炎、シェーグレン症候群、結節性汎動脈炎、自己免疫性腸症、並びに、増殖性糸球体腎炎等の自己免疫疾患を治療する方法であって、その治療を必要とするヒトに本明細書中で定義した化合物を投与することを含む方法に関する。
【0236】
更に他の好ましい実施形態によれば、本発明は、腎臓、膵臓、肝臓、心臓、肺及び骨髄等のあらゆる臓器移植における移植片対宿主病又は移植片拒絶を治療する方法であって、その治療を必要とするヒトに本明細書中で定義した化合物を投与することを含む方法に関する。
【0237】
更に他の好ましい実施形態によれば、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、治療効果を得るのに充分な量の他の医薬有効成分を一種以上組み合わせて投与してもよい。ある実施形態においては、本発明の化合物と他の薬剤とは同時に投与される。他の実施形態においては、本発明の化合物と他の薬剤とは連続して投与される。更に別の実施形態においては、本発明の化合物と他の薬剤の投与は、一定期間にわたって行われる。
【0238】
<インビトロTK阻害アッセイの実施例>
c−kit WT及び変異型c−kit(D816V)アッセイの手順
・増殖アッセイ
BaF3 Kit WT又はKit D816細胞株に対して、またヒト及びマウス肥満細胞腫及び肥満細胞性白血病細胞株に対して、比色法による細胞増殖及び生存性アッセイ(CellTiter−Blue試薬、Promega製、カタログ番号G8081)を実施した。
【0239】
96ウェルプレートのウェル毎に合計で2×10
4個/50μlの細胞を播種した。1/2に段階希釈した2X薬剤溶液(0〜10μM)を加えて処理を開始した。37℃で48時間培養後、CellTiter−Blue試薬の1/2希釈液10μlを各ウェルに加え、プレートを培養器に戻して更に4時間培養した。CellTiter−Blue試薬の蛍光強度は生存細胞数に比例し、データの記録にはPOLARstar OMEGAマイクロプレートリーダー(BMG LabteckSarl)を使用した(544
Ex/590
Em)。細胞を含まないバックグラウンドコントロールをブランクとした。アッセイのポジティブコントロールは、薬剤処理をしなかった場合の細胞増殖に対応する(100%増殖)。各サンプルは三連で行った。結果は、処理をしなかった場合の増殖に対するパーセンテージで表した。
【0240】
薬剤は全てDMSOストック溶液(20mM)として調製し、−80℃で保存した。各実験の前に、培地で薬剤希釈液を新しくした。各実験には、DMSOコントロールも含まれる。
【0241】
・細胞
ヒトKit WT及びヒトKit D816Vは、マウスIL−3依存Ba/F3 proBリンパ系細胞に由来する。Ba/F3 Kit WTは250ng/mLの組換マウスSCFで刺激される一方、Kit D816Vを発現する細胞は、その成長についてサイトカインに対し非依存的である。FMA3及びP815細胞株は、Kitの内因性変異型、すなわち、マウスの受容体−コドン573〜579の膜近傍コード領域におけるフレーム欠失を発現する肥満細胞腫細胞(FMA3)、キナーゼドメインにおけるD814Y変異を活性化する肥満細胞腫細胞(P815)である。ヒト白血病MC株HMC−1は、c−kit遺伝子に2つの単一点変異、すなわち膜近傍ドメインにおけるV560GとキナーゼドメインにおけるD816Vとを発現する。
【0242】
・免疫沈降アッセイ及びウェスタンブロット分析
各アッセイについて、各種c−kit変異を発現する5×10
6個のBa/F3細胞及びBa/F3由来細胞を溶解させ、文献の記載通り免疫沈降を行った(Beslu et al.,1996)。簡単にまとめると、抗マウスKIT(Rottapel et al.,1991)又は抗ヒトKIT(Santa Cruz)のいずれかの細胞質ドメインに対するウサギ免疫血清を使用して、細胞溶解物を免疫沈降させた。ウェスタンブロットを、4G10抗ホスホチロシン抗体(UBI)、対応する抗KITウサギ免疫血清、又は、抗シグナル分子抗体とハイブリダイズした。続いて、膜をHRP結合型ヤギ抗マウスIgG抗体又はHRP結合型ヤギ抗ウサギIgG抗体(Immunotech)と培養した後、ECL試薬(Amersham)と共に培養して目的のタンパク質を視覚化した。
【0243】
(実験結果)
上述のプロトコルで実験した本発明に係る各種化合物の結果を表3に示す。
【0244】
表3:c−kit WT及びc−kit D816Vに対する各種化合物のインビトロ阻害
【0245】
【表3】
【0246】
発明者らの観察によれば、本発明の式Iの化合物群により、プロテインキナーゼ、特に天然型及び/又は変異型c−kitが非常に効果的に阻害された。表3に列挙した化合物は、式Iの化合物群をよく表している。