特許第5944507号(P5944507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944507
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】充電装置、および、アース確認方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20160621BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20160621BHJP
   H02H 3/16 20060101ALI20160621BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   G01R31/02
   B60L11/18 C
   H02H3/16 B
   H02J7/00 S
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-525238(P2014-525238)
(86)(22)【出願日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2012083822
(87)【国際公開番号】WO2014102954
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2014年5月27日
【審判番号】不服2015-9882(P2015-9882/J1)
【審判請求日】2015年5月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(72)【発明者】
【氏名】河原 正典
(72)【発明者】
【氏名】鴨井 直人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博之
【合議体】
【審判長】 清水 稔
【審判官】 中塚 直樹
【審判官】 関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−96106(JP,A)
【文献】 特開昭62−152325(JP,A)
【文献】 特開2009−113554(JP,A)
【文献】 特開2009−268188(JP,A)
【文献】 特開平5−276674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
H02H 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を積載した車両である負荷に電流を供給し、電源から出力された充電電流を前記電池に充電する充電装置であって、
前記電源に一端が接続され、前記負荷が電流を受けるための前記負荷の端子に他端が接続される遮断手段と、
前記充電装置を接地するための内部アース端子及び前記負荷を接地するための前記負荷の負荷アース端子に接続されるアース用外部端子に接続された内部アース線と、
前記内部アース線の一端に流れる漏洩電流を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記漏洩電流の検出値と比較するための第1の閾値を記憶する記憶部と、
前記遮断手段を、前記遮断手段の一端と他端との間を導通する導通状態または前記遮断手段の一端と他端との間を遮断する遮断状態に、制御するように構成されており、また、前記第1の閾値と前記検出値とを比較した結果に応じて予め設定された制御を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記内部アース線の一端がアース端子を介して接地された後に前記検出部により検出された前記内部アース線の一端の漏洩電流の検出値を、前記第1の閾値として、前記記憶部に記憶させるための制御を実行し、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後に前記検出部により検出される前記内部アース線の一端の漏洩電流の検出値が、前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後から設定期間の経過する前に、前記第1の閾値より大きく設定された第1の許容値以上になった場合または前記第1の閾値より小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、前記遮断手段を遮断状態にする制御を実行し、
一方、前記設定期間の経過後に前記検出部により検出される前記内部アース線の一端の漏洩電流の検出値が、前記設定期間の経過後、前記第1の許容値以上になった場合または前記第2の許容値以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行し、
前記第1の許容値は、前記第1の閾値と、前記充電装置の使用を停止する漏洩電流の上限値を規定する第2の閾値と、の間に位置するように設定され、且つ、
前記第2の許容値は、前記第1の閾値と、前記第2の閾値よりも小さく設定され且つ前記充電装置の使用を停止する漏洩電流の下限値を規定する第3の閾値と、の間に位置するように設定され、
前記第1の閾値は、前記充電装置毎に異なる固有の値であり、
一方、前記第2の閾値および前記第3の閾値は、前記第1の閾値とは異なり、予め設定された値である
ことを特徴とする充電装置
【請求項2】
前記第1の閾値は、前記充電装置毎に接地されたタイミングで設定される値であり、
一方、前記第2の閾値および前記第3の閾値は前記第1の閾値とは異なり、予め設定された値である
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記内部アース線の一端が接地された後、前記制御部が起動した時に前記検出部により検出された漏洩電流の検出値を、前記第1の閾値として、前記記憶部に記憶させるための制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置
【請求項4】
前記内部アース線の他端は、前記負荷を接地するための前記負荷アース端子に接続されることを特徴とする請求項1に記載の充電装置
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後、前記検出値が、前記第1の閾値よりも大きく設定された第1の許容値以上になった場合、または、前記第1の閾値よりも小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後、前記検出値が、前記第1の閾値よりも大きく設定された第1の許容値以上になった場合、または、前記第1の閾値よりも小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、所定の情報を前記充電装置の外部に出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置
【請求項7】
前記制御部は、
前記検出値が、前記第1の許容値以上になった場合に、第1の情報を前記充電装置の外部に出力し、
一方、前記検出値が、前記第2の許容値以下になった場合に、前記第1の情報とは異なる第2の情報を前記充電装置の外部に出力する
ことを特徴とする請求項に記載の充電装置
【請求項8】
前記制御部により制御され、情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶した後、前記検出値が、前記第1の閾値よりも大きく設定された第1の許容値以上になった場合および前記第1の閾値よりも小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、前記表示部に所定の情報を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置
【請求項9】
前記制御部は、
前記検出値が、前記第1の許容値以上になった場合に、前記表示部に第1の情報を表示させ、
一方、前記検出値が、前記第2の許容値以下になった場合に、前記表示部に前記第1の情報とは異なる第2の情報を表示させる
ことを特徴とする請求項に記載の充電装置
【請求項10】
前記電源は、交流電源であり
充電装置は、前記電源から出力された充電電流を前記電池に充電
前記遮断手段の他端は、交流を直流に変換するAC/DC変換器を介して前記電池に接続されることを特徴とする請求項1に記載の充電装置
【請求項11】
前記第1の情報は、前記充電装置の絶縁劣化の確認を指示する情報、または、配線部品の劣化の確認を指示する情報を含み、
前記第2の情報は、前記アース端子と前記アースとの接続の状態の確認を指示する情報、または、前記内部アース線と前記アース端子との間における開放の確認を指示する情報を含む
ことを特徴とする請求項に記載の充電装置
【請求項12】
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後、前記検出値が、前記第2の閾値以上になった場合、および、前記第3の閾値以下になった場合に、前記充電装置の使用の停止を指示する情報を出力するための制御を実行する
ことを特徴とする請求項に記載の充電装置
【請求項13】
電池を積載した車両である負荷に電流を供給し、電源から出力された充電電流を前記電池に充電する充電装置であって、電源に一端が接続され、前記負荷が電流を受けるための前記負荷の端子に他端が接続される遮断手段と、前記充電装置を接地するための内部アース端子及び前記負荷を接地するための前記負荷の負荷アース端子に接続されるアース用外部端子に接続された内部アース線と、前記内部アース線の一端に流れる漏洩電流を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記漏洩電流の検出値と比較するための第1の閾値を記憶する記憶部と、前記遮断手段を、前記遮断手段の一端と他端との間を導通する導通状態または前記遮断手段の一端と他端との間を遮断する遮断状態に、制御するように構成されており、また、前記第1の閾値と前記検出値とを比較した結果に応じて予め設定された制御を実行する制御部と、を備えた充電装置のアース確認方法であって、
前記制御部により、前記内部アース線の一端がアース端子を介して接地された後に前記検出部により検出された前記内部アース線の一端の漏洩電流の検出値を、前記第1の閾値として、前記記憶部に記憶させるための制御を実行し、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後に前記検出部により検出される前記内部アース線の一端の漏洩電流の検出値が、前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後から設定期間の経過する前に、前記第1の閾値より大きく設定された第1の許容値以上になった場合または前記第1の閾値より小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、前記遮断手段を遮断状態にする制御を実行し、
一方、前記設定期間の経過後に前記検出部により検出される前記内部アース線の一端の漏洩電流の検出値が、前記設定期間の経過後、前記第1の許容値以上になった場合または前記第2の許容値以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行し、
前記第1の許容値は、前記第1の閾値と、前記充電装置の使用を停止する漏洩電流の上限値を規定する第2の閾値と、の間に位置するように設定され、且つ、
前記第2の許容値は、前記第1の閾値と、前記第2の閾値よりも小さく設定され且つ前記充電装置の使用を停止する漏洩電流の下限値を規定する第3の閾値と、の間に位置するように設定され、
前記第1の閾値は、前記充電装置毎に異なる固有の値であり、
一方、前記第2の閾値および前記第3の閾値は、前記第1の閾値とは異なり、予め設定された値である
ことを特徴とするアース確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置、および、アース確認方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(負荷)に積載されている電池を充電するための充電装置(電気機器)がある。電気自動車用の充電装置においては、車両と充電装置との間のアースの状態を検出することが要求されている。
【0003】
ここで、従来技術には、例えば、外部電源によって充電可能な充電装置を搭載した車両において、充電時に車両ボデーと外部電源のアース線との間で発生する漏洩電流を抑制するための充電システムがある(例えば、特開2011−55684号公報参照)。
【0004】
また、他の従来技術には、例えば、電気自動車側の絶縁劣化により充電装置側のアース故障等の有無を判断する充電装置がある(例えば、特開平5−276674号公報参照)。
【0005】
上述のように、上記従来の充電装置では、充電装置のアース線とアースとの間の断線や絶縁の劣化を検出するものではない。
【0006】
すなわち、上記従来の充電装置では、アース線とアースとの間の断線や絶縁の劣化により、例えば、充電装置の筐体等が高電圧になる問題がある。
【発明の開示】
【0007】
本発明の一態様に係る実施例に従った電気機器は、
負荷に電流を供給するための電気機器であって、
電源に一端が接続され、前記負荷が電流を受けるための前記負荷の端子に他端が接続される遮断手段と、
前記電気機器を接地するための内部アース端子に接続された内部アース線と、
前記内部アース線の一端に流れる漏洩電流を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記漏洩電流の検出値と比較するための第1の閾値を記憶する記憶部と、
前記遮断手段を、前記遮断手段の一端と他端との間を導通する導通状態または前記遮断手段の一端と他端との間を遮断する遮断状態に、制御するように構成されており、また、前記第1の閾値と前記検出値とを比較した結果に応じて予め設定された制御を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記内部アース線の一端がアース端子を介して接地された後に前記検出部により検出された漏洩電流の検出値を、前記第1の閾値として、前記記憶部に記憶させるための制御を実行する
ことを特徴とする。
【0008】
前記電気機器において、
前記制御部は、
前記内部アース線の一端が接地された後、前記制御部が起動した時に前記検出部により検出された漏洩電流の検出値を、前記第1の閾値として、前記記憶部に記憶させるための制御を実行する
ことを特徴とする。
【0009】
前記電気機器において、
前記内部アース線の他端は、前記負荷を接地するための前記負荷の負荷アース端子に接続されることを特徴とする。
【0010】
前記電気機器において、
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後、前記検出値が、前記第1の閾値よりも大きく設定された第1の許容値以上になった場合、または、前記第1の閾値よりも小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行する
ことを特徴とする。
【0011】
前記電気機器において、
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後、前記検出値が、前記第1の閾値よりも大きく設定された第1の許容値以上になった場合、または、前記第1の閾値よりも小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、前記遮断手段を遮断状態にする制御を実行する
ことを特徴とする。
【0012】
前記電気機器において、
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後、前記検出値が、前記第1の閾値よりも大きく設定された第1の許容値以上になった場合、または、前記第1の閾値よりも小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、所定の情報を前記電気機器の外部に出力する
ことを特徴とする。
【0013】
前記電気機器において、
前記制御部は、
前記検出値が、前記第1の許容値以上になった場合に、第1の情報を前記電気機器の外部に出力し、
一方、前記検出値が、前記第2の許容値以下になった場合に、前記第1の情報とは異なる第2の情報を前記電気機器の外部に出力する
ことを特徴とする。
【0014】
前記電気機器において、
前記制御部により制御され、情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶した後、前記検出値が、前記第1の閾値よりも大きく設定された第1の許容値以上になった場合および前記第1の閾値よりも小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、前記表示部に所定の情報を表示させる
ことを特徴とする。
【0015】
前記電気機器において、
前記制御部は、
前記検出値が、前記第1の許容値以上になった場合に、前記表示部に第1の情報を表示させ、
一方、前記検出値が、前記第2の許容値以下になった場合に、前記表示部に前記第1の情報とは異なる第2の情報を表示させる
ことを特徴とする。
【0016】
前記電気機器において、
前記電源は、交流電源であり、
前記負荷は、電池を積載した車両であり、
前記電気機器は、前記電源から出力された充電電流を前記電池に充電するための充電装置であり、
前記遮断手段の他端は、交流を直流に変換するAC/DC変換器を介して前記電池に接続されることを特徴とする。
【0017】
前記電気機器において、
前記第1の許容値は、前記第1の閾値と、前記電気機器の使用を停止する漏洩電流の上限値を規定する第2の閾値と、の間に位置するように設定され、且つ、
前記第2の許容値は、前記第1の閾値と、前記第2の閾値よりも小さく設定され且つ前記電気機器の使用を停止する漏洩電流の下限値を規定する第3の閾値と、の間に位置するように設定される
ことを特徴とする。
【0018】
前記電気機器において、
前記第1の情報は、前記電気機器の絶縁劣化の確認を指示する情報、または、配線部品の劣化の確認を指示する情報を含み、
前記第2の情報は、前記アース端子と前記アースとの接続の状態の確認を指示する情報、または、前記内部アース線と前記アース端子との間における開放の確認を指示する情報を含む
ことを特徴とする。
【0019】
前記電気機器において、
前記制御部は、
前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後、前記検出値が、前記第2の閾値以上になった場合、および、前記第3の閾値以下になった場合に、前記電気機器の使用の停止を指示する情報を出力するための制御を実行する
ことを特徴とする。
【0020】
前記電気機器において、
前記制御部は、
前記検出値が、前記第1の閾値を前記記憶部に記憶させた後から設定期間の経過する前に、前記第1の許容値以上になった場合または前記第2の許容値以下になった場合に、前記遮断手段を遮断状態にする制御を実行し、
一方、前記検出値が、前記設定期間の経過後、前記第1の許容値以上になった場合または前記第2の許容値以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行する
ことを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る実施例に従ったアース確認方法は、
負荷に電流を供給するための電気機器であって、電源に一端が接続され、前記負荷が電流を受けるための前記負荷の端子に他端が接続される遮断手段と、前記電気機器を接地するための内部アース端子に接続された内部アース線と、前記内部アース線の一端に流れる漏洩電流を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記漏洩電流の検出値と比較するための第1の閾値を記憶する記憶部と、前記遮断手段を、前記遮断手段の一端と他端との間を導通する導通状態または前記遮断手段の一端と他端との間を遮断する遮断状態に、制御するように構成されており、また、前記第1の閾値と前記検出値とを比較した結果に応じて予め設定された制御を実行する制御部と、を備えた電気機器のアース確認方法であって、
前記制御部により、前記内部アース線の一端がアース端子を介して接地された後に前記検出部により検出された漏洩電流の検出値を、前記第1の閾値として、前記記憶部に記憶させるための制御を実行する
ことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る電気機器は、負荷に電流を供給するための電気機器であって、電源に一端が接続され、負荷が電流を受けるための負荷の端子に他端が接続される遮断手段と、電気機器を接地するための内部アース端子に接続された内部アース線と、内部アース線の一端に流れる漏洩電流を検出する検出部と、検出部により検出された漏洩電流の検出値と比較するための第1の閾値を記憶する記憶部と、遮断手段を、遮断手段の一端と他端との間を導通する導通状態または遮断手段の一端と他端との間を遮断する遮断状態に、制御するように構成されており、また、第1の閾値と検出値とを比較した結果に応じて予め設定された制御を実行する制御部と、を備える。
【0023】
そして、制御部は、内部アース線の一端がアース端子を介して接地された後、制御部が起動した時に検出部により検出された検出値を、第1の閾値として、記憶部に記憶させるための制御を実行する。
【0024】
特に、制御部は、第1の閾値を記憶部に記憶させた後、検出値が、第1の閾値よりも大きく設定された第1の許容値以上になった場合、または、第1の閾値よりも小さく設定された第2の許容値以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行する。
【0025】
なお、第1の許容値は、第1の閾値と、電気機器の使用を停止する漏洩電流の上限値を規定する第2の閾値と、の間に位置するように設定され、且つ、第2の許容値は、第1の閾値と、第2の閾値よりも小さく設定され且つ電気機器の使用を停止する漏洩電流の下限値を規定する第3の閾値と、の間に位置するように設定される。
【0026】
これにより、例えば、使用者は、電気機器から出力された情報または表示部に表示された情報に応じて、電気機器の内部アース線とアースとの間の断線や絶縁の劣化に対する保守・点検の作業を実施することができる。
【0027】
したがって、本発明に係る電気機器(充電装置)では、内部アース線とアースとの間の断線や絶縁の劣化により、電気機器の筐体等が高電圧になるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の一態様である実施例1に係る電気機器100の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示す電気機器100の漏洩電流の検出値、各閾値、および許容値の関係の一例を示す波形図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る各実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係る電気機器100の構成の一例を示す図である。また、図2は、図1に示す電気機器100の漏洩電流の検出値、各閾値、および許容値の関係の一例を示す波形図である。
【0031】
図1に示す電源Sは、例えば、交流電源である。
【0032】
また、図1に示す負荷Aは、例えば、ハイブリッドカーや電気自動車等の電気を動力源の一つとする車両である。すなわち、図1の例では、電気機器100に接続される負荷Aは、電池Bを積載した車両である。
【0033】
ここで、図1に示すように、負荷(車両)Aは、端子TLA、TNAと、負荷アース端子TFGAと、電池Bと、を備える。なお、負荷(車両)Aは、例えば、図示しない交流を直流に変換する車載充電器(AC/DC)を備えている。
【0034】
端子TLA、TNAは、車載充電器(AC/DC)を介して、電池Bに接続されている。
【0035】
負荷アース端子TFGAは、負荷Aを接地するための負荷Aの端子である。
【0036】
また、電気機器100は、負荷Aに電流を供給するようになっている。上記場合、電気機器100は、例えば、電源Sから出力された電流(充電電流)を電池Bに充電するための充電装置である。
【0037】
この電気機器100は、例えば、図1に示すように、L相用ラインL1、L2と、N相用ラインN1、N2と、電力供給端子TL1、TL2、TN1、TN2と、第1の外部アース線FG1と、第2の外部アース線FG2と、第1のアース用外部端子TFG1と、第2のアース用外部端子TFG2と、遮断手段SWと、内部アース線FGinと、検出部Dと、内部回路100aと、端子TLin、TNinと、内部アース端子TFGinと、を備える。
【0038】
内部回路100aは、記憶部Mと、制御部CONと、表示部Xと、を含む。この内部回路100aは、電源SからL相用ラインL1、N相用ラインN1、端子TLin、TNinを介して供給された電力より動作するようになっている。また、内部回路100aは、内部アース端子TFGin、内部アース線TGin、第1の外部アース線FG1、およびアース端子TGNDを介して、接地されるようになっている。
【0039】
電力供給ラインZは、L相用ラインL1、L2と、N相用ラインN1、N2との2本のラインからなる。
【0040】
L相用ラインL1は、一端が電源SのL相に接続され、他端が電力供給端子TL1を介して遮断手段SWに接続されている。
【0041】
L相用ラインL2は、一端が電力供給端子TL2を介して遮断手段SWに接続され、他端が負荷Aの端子TLAに接続されている。
【0042】
N相用ラインN1は、一端が電源SのN相に接続され、他端が電力供給端子TN1を介して遮断手段SWに接続されている。
【0043】
N相用ラインN2は、一端が電力供給端子TN2を介して遮断手段SWに接続され、他端が負荷Aの端子TNAに接続されている。
【0044】
第1の外部アース線FG1は、一端がアース端子TGNDに接続され、他端が第1のアース用外部端子TFG1を介して内部アース線FGinの一端(内部アース端子TFGin)に接続されている。
【0045】
第2の外部アース線FG2は、一端が第2のアース用外部端子TFG2を介して内部アース線FGinの他端に接続され、他端が負荷アース端子TFGAに接続されている。
【0046】
遮断手段SWの一端は、既述のように、L相用ラインL1および電力供給端子TL1(N相用ラインN1および電力供給端子TN1)を介して、電源Sに接続されている。
【0047】
また、遮断手段SWの他端は、既述のように、L相用ラインL2および電力供給端子TL2(N相用ラインN2および電力供給端子TN2)を介して、負荷Aが電流を受けるための負荷Aの端子TLA(TNA)に接続されている。
【0048】
すなわち、遮断手段SWの他端は、交流を直流に変換するAC/DC変換器(図示せず)を介して電池Bに接続される。
【0049】
この遮断手段SWは、導通状態において、遮断手段SWの一端と他端との間(すなわち、L相用ラインL1の他端とL相用ラインL2の一端との間、および、N相用ラインN1の他端とN相用ラインN2の一端との間)を導通するようになっている。
【0050】
また、遮断手段SWは、遮断状態において、遮断手段SWの一端と他端との間(すなわち、L相用ラインL1の他端とL相用ラインL2の一端との間、および、N相用ラインN1の他端とN相用ラインN2の一端との間)を遮断するようになっている。
【0051】
なお、この遮断手段SWは、例えば、半導体スイッチ、マグネット、遮断機、リレーのいずれかで構成される。
【0052】
内部アース線FGinは、電気機器100(特に、内部回路100a)を接地するための内部アース端子TFGinに接続されている。
【0053】
内部アース線FGinの一端は、第1のアース用外部端子TFG1に接続されている。この第1のアース用外部端子TFG1は、第1のアース線FG1およびアース端子TGNDを介してアースGNDに接続される。
【0054】
すなわち、内部アース線FGinの一端は、第1のアース用外部端子TFG1、第1のアース線FG1およびアース端子TGNDを介して、電気的にアースGNDに接続される。
【0055】
内部アース線FGinの他端は、第2のアース用外部端子TFG2に接続されている。この第2のアース用外部端子TFG2は、第2の外部アース線FG2を介して負荷アース端子TFGAに接続される。
【0056】
すなわち、内部アース線FGinの他端は、第2のアース用外部端子TFG2および第2の外部アース線FG2を介して、負荷Aを接地するための負荷Aの負荷アース端子TFGAに、電気的に接続される。
【0057】
検出部Dは、例えば、内部アース線FGinの一端に流れる漏洩電流I(より詳しくは、電気機器100を接地するための内部アース端子TFGinと第1のアース用外部端子TFG1との間に流れる漏洩電流I)を検出するようになっている。
【0058】
記憶部Mは、検出部Dにより検出された漏洩電流Iの検出値idと比較するための第1の閾値TH1を記憶するようになっている。
【0059】
さらに、この記憶部Mは、電気機器100の使用を停止する漏洩電流Iの上限値を規定する第2の閾値TH2と、電気機器100の使用を停止する漏洩電流Iの下限値を規定する第3の閾値TH3と、第1の閾値TH1よりも大きく設定された第1の許容値PV1と、第1の閾値TH1よりも小さく設定された第2の許容値PV2と、を記憶するようになっている。
【0060】
なお、第1の許容値PV1は、例えば、第1の閾値TH1と、第2の閾値TH2との間に位置するように設定される(図2)。
【0061】
また、第2の許容値PV2は、例えば、第1の閾値TH1と、第3の閾値TH3との間に位置するように設定される(図2)。
【0062】
なお、上記第2、第3の閾値TH2、TH3は、電気機器100毎に接地されたタイミングで設定される第1の閾値TH1とは異なり、予め設定された値である。
【0063】
また、表示部Xは、制御部CONにより制御され、所定の情報を表示するようになっている。
【0064】
また、制御部CONは、遮断手段SWを、遮断手段SWの一端と他端との間を導通する導通状態または遮断手段SWの一端と他端との間を遮断する遮断状態に、制御するように構成されている。
【0065】
また、制御部CONは、記憶部Mに記憶された第1の閾値TH1と検出部Dにより検出された検出値idとを比較した結果に応じて、予め設定された制御を実行するようになっている。
【0066】
例えば、制御部CONは、内部アース線FGinが第1の外部アース線FG1およびアース端子TGNDを介してアースGNDに接続された後に検出部Dにより検出された検出値idを、第1の閾値TH1として、記憶部Mに記憶させるための制御を実行するようになっている。
【0067】
より詳しくは、制御部CONは、内部アース線FGinが第1の外部アース線FG1およびアース端子TGNDを介してアースGNDに接続された後、制御部CONが起動した時に検出部Dにより検出された漏洩電流Iの検出値idを、第1の閾値TH1として、記憶部Mに記憶させるための制御を実行するようになっている。
【0068】
このように、第1の閾値TH1は、電気機器100を接地した後に設定される固有の値であり、電気機器100毎に異なる値である。
【0069】
さらに、例えば、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第1の閾値TH1よりも大きく設定された第1の許容値PV1以上になった場合、または、第1の閾値TH1よりも小さく設定された第2の許容値PV2以下になった場合に、遮断手段SWを遮断状態にする制御を実行するようになっている。
【0070】
さらに、例えば、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第1の閾値TH1よりも大きく設定された第1の許容値PV1以上になった場合、または、第1の閾値TH1よりも小さく設定された第2の許容値PV2以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行するようになっている。
【0071】
より詳しくは、例えば、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第1の閾値TH1よりも大きく設定された第1の許容値PV1以上になった場合、または、第1の閾値TH1よりも小さく設定された第2の許容値PV2以下になった場合に、所定の情報を電気機器100の外部に出力するようになっている。
【0072】
なお、制御部CONは、検出値idが、第1の許容値PV1以上になった場合に、第1の情報を電気機器100の外部に出力するようにしてもよい。
【0073】
一方、制御部CONは、検出値idが、第2の許容値PV2以下になった場合に、第1の情報とは異なる第2の情報を電気機器100の外部に出力するようにしてもよい。
【0074】
なお、上述の予め設定された情報(第1、第2の情報)は、例えば、図示しないパソコン等に送信される。そして、使用者は、パソコンから予め設定された情報に基づいた所定の情報を取得し、または、パソコンを操作して予め設定された情報に基づいた制御を実行させる。
【0075】
また、例えば、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶した後、検出値idが、第1の閾値TH1よりも大きく設定された第1の許容値PV1以上になった場合および第1の閾値TH1よりも小さく設定された第2の許容値PV2以下になった場合に、表示部Xに所定の情報を表示させるようになっている。
【0076】
なお、制御部CONは、検出値idが、第1の許容値PV1以上になった場合に、表示部Xに第1の情報を表示させるようにしてもよい。
【0077】
一方、制御部CONは、検出値idが、第2の許容値PV2以下になった場合に、表示部Xに第1の情報とは異なる第2の情報を表示させるようにしてもよい。
【0078】
なお、既述の第1の情報は、例えば、電気機器100の絶縁劣化の確認を指示する情報、または、配線部品の劣化の確認を指示する情報を含む。
【0079】
また、既述の第2の情報は、アース端子TGNDとアースGNDとの接続の状態の確認を指示する情報、または、内部アース線FGinとアース端子TGNDとの間における開放の確認を指示する情報を含む。
【0080】
さらに、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第2の閾値TH2以上になった場合、および、第3の閾値TH3以下になった場合に、電気機器100の使用の停止を指示する情報を出力(外部に出力または表示部Xに表示)するための制御を実行するようになっている。
【0081】
さらに、制御部CONは、検出値idが、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後から設定期間Y(図2)の経過する前に、第1の許容値PV1以上になった場合または第2の許容値PV2以下になった場合に、遮断手段SWを遮断状態にする制御を実行するようにしてもよい。
【0082】
なお、この場合、制御部CONは、上記遮断手段SWの制御に加えて、予め設定された情報を出力するための制御をさらに実行するようにしてもよい。
【0083】
一方、制御部CONは、検出値idが、設定期間Y(図2)の経過後、第1の許容値PV1以上になった場合または第2の許容値PV2以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行するようにしてもよい。
【0084】
次に、以上のような構成を有する電気機器100のアース確認方法の一例について、説明する。
【0085】
先ず、使用者により、内部アース線FGinが第1の外部アース線FG1およびアース端子TGNDを介してアースGNDに接続される。
【0086】
さらに、使用者により、電源SがL相用ラインL1、N相用ラインN1を介して電力供給端子TL1、TN1に接続される。これにより、電源Sから内部回路100aに電力が供給され、制御部CONが起動する。
【0087】
そして、制御部CONは、内部アース線FGinが第1の外部アース線FG1およびアース端子TGNDを介してアースGNDに接続された後、制御部CONが起動した時に検出部Dにより検出された漏洩電流Iの検出値idを、第1の閾値TH1として、記憶部Mに記憶させるための制御を実行する。
【0088】
さらに、使用者により、L相用ラインL2およびN相用ラインN2が負荷Aの端子TLA、TNAに接続されると共に、第2の外部アース線FG2が負荷Aの負荷アース端子TFGAに接続される。
【0089】
これにより、負荷Aの電池Bに対する充電が開始され、電源Sから出力された電流(充電電流)が電池Bに供給される。
【0090】
ここで、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第1の許容値PV1以上になった場合、または、第2の許容値PV2以下になった場合に、遮断手段SWを遮断状態にする制御を実行する。
【0091】
これにより、漏洩電流Iの値が電気機器100を接地したときに個別に設定される第1の閾値TH1よりも所定レベルだけ離れると、遮断手段SWが遮断状態になり、負荷Aへの電流の供給が停止する(または充電が開始されない)。すなわち、電気機器100は、接地する配線経路に何らかの異常がある場合には、負荷Aへの電流の供給を停止(または開始されないように)することができる。
【0092】
さらに、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第1の許容値PV1以上になった場合に、第1の情報を電気機器100の外部に出力する。さらに、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第1の許容値PV1以上になった場合に、表示部Xに第1の情報を表示させる。
【0093】
既述のように、第1の情報は、例えば、電気機器100の絶縁劣化の確認を指示する情報、または、配線部品の劣化の確認を指示する情報を含む。
【0094】
したがって、使用者は、電気機器100から出力された情報または表示部Xに表示された第1の情報に応じて、電気機器100の絶縁劣化の確認や配線部品の劣化の確認をすることができる。
【0095】
一方、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第2の許容値PV2以下になった場合に、第2の情報を電気機器100の外部に出力する。さらに、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第2の許容値PV2以下になった場合に、表示部Xに第2の情報を表示させる。
【0096】
既述のように、第2の情報は、アース端子TGNDとアースGNDとの接続の状態の確認を指示する情報、または、内部アース線FGinとアース端子TGNDとの間における開放の確認を指示する情報を含む。
【0097】
したがって、使用者は、電気機器100から出力された情報または表示部Xに表示された第2の情報に応じて、アース端子TGNDとアースGNDとの接続の状態の確認、または、内部アース線FGinとアース端子TGNDとの間における開放の確認を実行することができる。
【0098】
さらに、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第2の閾値TH2以上になった場合、および、第3の閾値TH3以下になった場合に、電気機器100の使用の停止を指示する情報を出力(外部に出力または表示部Xに表示)するための制御を実行する。
【0099】
これにより、使用者は、電気機器100から出力された使用の停止を指示する情報または表示部Xに表示された使用の停止を指示する情報に応じて、電気機器100の使用を停止することができる。
【0100】
さらに、制御部CONは、検出値idが、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後から設定期間Y(図2)の経過する前に、第1の許容値PV1以上になった場合または第2の許容値PV2以下になった場合に、遮断手段SWを遮断状態にする制御を実行する。
【0101】
これにより、電気機器100は、例えば、内部アース線FGinまたは第1の外部アース線FG1が断線して漏洩電流Iが急に小さくなる場合等には、遮断手段SWを遮断状態にして充電を停止することができる。
【0102】
一方、制御部CONは、検出値idが、設定期間Y(図2)の経過後、第1の許容値PV1以上になった場合または第2の許容値PV2以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行する。
【0103】
これにより、制御部CONは、経年劣化等によりゆっくりと漏洩電流Iが上昇した場合等には、内部アース線FGinや第1の外部アース線FG1の張り替え等の予め設定された情報を出力することができる。
【0104】
以上のように、本発明の一態様に係る電気機器100は、負荷(車両)Aに電流を供給するための電気機器100であって、電源Sに一端が接続され、負荷Aが電流を受けるための負荷Aの端子TLA、TNAに他端が接続される遮断手段SWと、電気機器100を接地するための内部アース端子TFGinに接続された内部アース線FGinと、内部アース線FGinの一端に流れる漏洩電流Iを検出する検出部Dと、検出部Dにより検出された漏洩電流Iの検出値idと比較するための第1の閾値TH1を記憶する記憶部Mと、遮断手段SWを、遮断手段SWの一端と他端との間を導通する導通状態または遮断手段SWの一端と他端との間を遮断する遮断状態に、制御するように構成されており、また、第1の閾値TH1と検出値idとを比較した結果に応じて予め設定された制御を実行する制御部CONと、を備える。
【0105】
そして、制御部CONは、内部アース線FGinの一端がアース端子TGNDを介してアースGNDに接続された後、制御部CONが起動した時に検出部Dにより検出された検出値idを第1の閾値TH1として、記憶部Mに記憶させるための制御を実行する。
【0106】
特に、制御部CONは、第1の閾値TH1を記憶部Mに記憶させた後、検出値idが、第1の閾値TH1よりも大きく設定された第1の許容値PV1以上になった場合、または、第1の閾値TH1よりも小さく設定された第2の許容値PV2以下になった場合に、予め設定された情報を出力するための制御を実行する。
【0107】
なお、第1の許容値PV1は、第1の閾値TH1と、電気機器100の使用を停止する漏洩電流Iの上限値を規定する第2の閾値TH2と、の間に位置するように設定され、且つ、第2の許容値PV2は、第1の閾値TH1と、第2の閾値TH2よりも小さく設定され且つ電気機器100の使用を停止する漏洩電流Iの下限値を規定する第3の閾値TH3と、の間に位置するように設定される。
【0108】
したがって、例えば、使用者は、電気機器100から出力された情報または表示部Xに表示された情報に応じて、電気機器100の内部アース線FGinとアースGNDとの間の断線や絶縁の劣化に対する保守・点検の作業を実施することができる。
【0109】
すなわち、本発明に係る電気機器(充電装置)100では、内部アース線FGinとアースGNDとの間の断線や絶縁の劣化により、電気機器100の筐体等が高電圧になるのを抑制することができる。
【0110】
なお、実施例は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。特に、電気機器100は充電装置に限定されず、負荷に電流を供給するものであれば良い。また、負荷Aも車両に限定されない。
【符号の説明】
【0111】
100 電気機器(充電装置)
L1、L2 L相用ライン
N1、N2 N相用ライン
TL1、TL2、TN1、TN2 電力供給端子
FG1 第1の外部アース線
FG2 第2の外部アース線
TFG1 第1のアース用外部端子
TFG2 第2のアース用外部端子
TLin、TNi 端子
TFGin 内部アース端子
SW 遮断手段
FGin 内部アース線
D 検出部
100a 内部回路
M 記憶部
CON 制御部
X 表示部
A 負荷(車両)
TLA、TNA、TFGA 端子
B 電池
S 電源(交流電源)
図1
図2