(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944512
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】より高い温度での反応性ガスへの暴露の後で、低い温度で再活性化され得る非蒸発性ゲッター組成物
(51)【国際特許分類】
H01J 7/18 20060101AFI20160621BHJP
H01J 29/94 20060101ALI20160621BHJP
H01J 35/20 20060101ALI20160621BHJP
C22C 16/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
H01J7/18
H01J29/94
H01J35/20
C22C16/00
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-535199(P2014-535199)
(86)(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公表番号】特表2015-501509(P2015-501509A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】IB2012055441
(87)【国際公開番号】WO2013054251
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年10月8日
(31)【優先権主張番号】MI2011A001870
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511020829
【氏名又は名称】サエス・ゲッターズ・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アレッシオ・コラッツァ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・ガッリトニョッタ
(72)【発明者】
【氏名】ビンセンツォ・マッサーロ
【審査官】
遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−539147(JP,A)
【文献】
特表平09−509525(JP,A)
【文献】
特開平08−225806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 7/18
B01J 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの異なる構成要素の粉末の混合物を含むゲッター組成物であって、前記構成要素が、非蒸発性ゲッター合金で構成されており、前記二つの構成要素の第一構成要素が、高い活性化温度を有する少なくとも一つの非蒸発性ゲッター合金で構成され、第二構成要素が、低い活性化温度を有する少なくとも一つの非蒸発性ゲッター合金で構成され、前記第一構成要素と前記第二構成要素との重量比が、1:4より大きく、7:3より小さいことを特徴とする、ゲッター組成物。
【請求項2】
高い活性化温度を有する前記非蒸発性ゲッター合金と、低い活性化温度を有する前記非蒸発性ゲッター合金との前記重量比が、3:7より大きく、3:2より小さい、請求項1に記載のゲッター組成物。
【請求項3】
高い活性化温度を有する前記非蒸発性ゲッター合金が、二成分のZr系合金若しくはTi系合金又はそれらの混合物、及び、三成分のZr系合金若しくはTi系合金又はそれらの混合物の中から選択される、請求項1又は2に記載のゲッター組成物。
【請求項4】
前記Zr系合金又はTi系合金が、Zr−Al,Zr−Ni、Ti−Ni、Zr−Al−X、Zr−Ni−X合金、又はそれらの混合物の中から選択される、請求項3に記載のゲッター組成物。
【請求項5】
低い活性化温度を有する前記非蒸発性ゲッター合金が、Zr−Fe−Y合金、Zr−V−Fe合金、Zr−V−Fe−Mn−ミッシュメタル合金、及び、Aがイットリウム、ランタン、希土類元素又はそれらの混合物の中から選択される元素であるZr−Co−A合金、の中から選択されるZr系合金で構成される、請求項1から4の何れか一項に記載のゲッター組成物。
【請求項6】
前記高い活性化温度の合金及び前記低い活性化温度の合金が、それぞれ230μm及び250μmより小さい粒径を有する粉末の形状で用いられる、請求項1から5の何れか一項に記載のゲッター組成物。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載のゲッター組成物を含むゲッターデバイス。
【請求項8】
システムが、粒子加速器、X線発生管、陰極線管又はCRTで形成されるディスプレイ、(FEDと呼ばれる)フィールドエミッションタイプのフラットディスプレイ、サーマルボトル(サーモス)、デュワー瓶、並びに、油の抽出及び輸送のための管で用いられる断熱のための真空カバー、高輝度放電ランプ及び真空断熱ガラスの真空カバー、又はガス封入ランプの中から選択される、請求項7に記載のゲッターデバイスを含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一温度での反応性ガスへの暴露の結果としてそれらの機能を失わせた後、第一温度未満の第二温度での熱処理によって再活性化され得る非蒸発性ゲッター合金を含む組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
NEG合金としても知られる非蒸発性ゲッター合金は、水素を可逆的に収着し得、且つ酸素、水、酸化炭素、炭化水素、及び、いくつかの合金の場合、窒素等のガスを不可逆的に収着し得る。
【0003】
これらの合金は、密閉されたシステムにおいて真空の維持を必要とする工業用途において採用される:これらの用途の例は、粒子加速器、X線発生管、陰極線管又はCRTで形成されたディスプレイ、(FEDと呼ばれる)フィールドエミッションタイプのフラットディスプレイ、サーマルボトル(サーモス)において用いられるような断熱のための真空カバー、油の抽出及び輸送のためのデュワー瓶及び管、高輝度放電ランプ及び真空断熱ガラスの真空カバーである。
【0004】
また、NEG合金は、その痕跡が他のガス、一般的には希ガス又は窒素に存在する際に、上述のガスを除去するための用いられ得る。例は、ガス封入ランプ、特に、数ヘクトパスカル(hPa)から数十ヘクトパスカルの範囲の圧力の希ガスで満たされる蛍光灯での使用であり、NEG合金は、適切なランプ動作のための適切に清潔な雰囲気を維持するために、酸素、水蒸気、水素、及び他のガスの痕跡を除去する機能を有する。他の例は、プラズマディスプレイでの使用であり、NEG合金の機能は、蛍光灯において実施されるものと実質的に同様である。他の一つの例は、半導体分野で採用される、希ガス及び窒素等のガスの精製のための、ガス状不純物の痕跡を除去するためのNEG合金の使用である。
【0005】
これらの合金は主な構成要素として一般的に、ジルコニウム及び/又はチタンを含み、遷移金属、希土類元素、又はアルミニウムの内から選択される一以上の追加の元素を含む。
【0006】
NEG合金の機能の原則は、合金表面上の金属原子と、その表面上に金属の酸化物、窒化物、又は炭化物の層が形成された結果における吸収されたガスと、の間での反応である。表面被覆が完了すると、合金はさらなる吸収に関して不活性になる:その機能は、吸着した層を合金バルク内へと拡散させ、清潔で活性な表面を再び生成するため、十分長い時間の間、少なくとも使用温度と同一、好ましくは使用温度よりも高い温度で、再活性化処理を介して復元され得る。ゲッター合金の活性化温度は、合金が少なくとも部分的に活性表面を得て、数十秒以内に活性ガスの収着を開始するのに必要な最低温度として定義される。
【0007】
非蒸発性ゲッター合金は、二つの主なサブグループに分類され得る。450℃より高い活性化温度を必要とするNEG合金は、通常“高い活性化温度の合金”、又は単純に“高温ゲッター合金”と呼ばれ、一方、450℃未満の活性化温度を必要とするNEG合金は、“低い活性化温度の合金”、又は単純に“低温ゲッター合金”として識別される。“活性化温度”の定義のため、低温ゲッター合金は、450℃より高い温度を用いることによっても再活性化され得る。これらの条件では、それらは、高温ゲッター合金に必要な時間に対して非常に短い時間で活性化されることを特徴とする。例えば、適用される高温に依存するが、それらは、高温合金と比較して3倍から30倍短い時間で活性化され得る。
【0008】
高温ゲッター合金の例として、特許文献1は、Zr−Al合金を開示し、特許文献2は、Zr−Ni合金を開示する。
【0009】
一方、低温ゲッター合金の例として、特許文献3は、Zr−V−Fe合金を開示し、特許文献4は、一以上の他の遷移金属の任意の追加を伴うジルコニウム−ニッケル−ミッシュメタル合金を開示し、特許文献5は、Zr−V−E合金であって、Eが鉄、ニッケル、マンガン、及びアルミニウムから選択される元素、又はそれらの混合物である合金を開示し、特許文献6は、金属間化合物Zr−M’−M”であって、M’及びM”が、同一、又は互いに異なり、Cr、Mn、Fe、Co及びNiから選択される金属間化合物を開示し、特許文献7は、Zr−Co−A合金であって、Aがイットリウム、ランタン、希土類元素又はそれらの混合物から選択される元素である合金を開示し、引用文献8は、ジルコニウム−バナジウム−鉄−マンガン−ミッシュメタル合金を開示し、特許文献9は、Zr−Y−M組成物であって、MがAl、Fe、Cr、Mn、Vから選択される組成物を開示する。
【0010】
NEG合金は、単独、又は第二構成要素、一般的に、より高い機械的強度等の合金の特定の特徴を備えて形成される組織を付与することが可能な金属との混合物において用いられる。最も一般的な金属との混合物は、特許文献10及び特許文献11においてそれぞれ記載されるようなZr−V−Fe又はZr−Al合金及びジルコニウム又はチタンを含む組成物であり、一方、特許文献12は、アルミニウム、並びに、化学式Zr
1−x−Ti
x−M’−M”のNEG合金であって、M’及びM”がCr、Mn、Fe、Co及びNiの中から選択される金属であり、xが0と1との間に含まれるNEG合金を含む組成物を記載する。
【0011】
いくつかの場合において生じる一つの重要な問題は、デバイスの製造の間に合金が前もってガスに暴露された温度よりも高い温度で、その活性化又は再活性化のために合金を処理することが不可能なことである。特に、真空又は制御された雰囲気下で維持される空間が、ガラスで作製された壁によって画定されるデバイスで用いられる合金の場合である。これらのデバイスの製造は一般的に、デバイスがまだ開いていて、その内部空間が雰囲気に暴露されているときに、ゲッター合金が最終的な位置に挿入されていることを必要とし、その後デバイスは、低融点ガラスペーストが、一緒に溶接される二つのガラス部分の間に配され、約400℃から420℃に加熱され、融解することで二つの部位が結合する、いわゆる“フリット封止”段階を介して封止される。
【0012】
真空又は制御された雰囲気は、上記空間につながり、ポンプ装置への接続に適した“テール”、すなわち、小さなガラス管状体によって、(デバイス組み立て段階が、真空又は制御された雰囲気下で筺体において実施される、いわゆる“チャンバーでの”プロセスにおける)封止の前に、又は、より一般的には、フリット封止の後に、デバイスの内部空間において得られ得る。プラズマディスプレイ及びいくつかのランプ等の、制御された雰囲気を含むデバイスの場合、テールは、空気除去の後に所望のガスで満たすためにも用いられる。最終的に、デバイスは、通常は加熱圧縮によってテールを閉じることで封止される。
【0013】
いかなる場合でも、フリット封止の間、NEG合金は、反応性ガスの雰囲気に曝され、上記ガスは“チャンバーでの”プロセスの場合において低融点ガラスペーストによって放出され、これらの同一のガスと大気ガスが“テール”プロセスの場合において放出される。合金と反応性ガスとの間の接触は、プロセスに応じた温度で生じる。デバイスは炉内でフリット封止温度まで均一に昇温され得、その場合NEG合金は約400℃〜420℃の温度で反応性ガスに暴露されるであろう。代わりに、例えば放射による、局所加熱を用いることが可能であり、その場合、動作中のゲッター温度はフリット封止領域からのその距離に依存する。
【0014】
いかなる場合でも、これらの動作の間、NEG合金表面は、多かれ少なかれの強度で、存在するガスと反応し、結果として合金の少なくとも一部が不活性化し、残りの収着速度及び容量は、デバイスで想定される動作に関して不十分となり得る。従って、フリット封止の温度と少なくとも等しい、又は好ましくはフリット封止の温度よりも高い温度での再活性化処理が必要とされるであろう。しかしながら、溶接封止を危うくすることになるフリット封止ペーストの再溶解を防ぐことと、ゲッターを含むデバイスの壁を形成するガラス状の部分の機械的安定性の損傷を回避することの両方は一般的に不可能である。
【0015】
大部分の放電ランプの製造等の、他の場合では、ゲッター合金は、デバイスがまだ大気中にあるとき、及びガラス部分がガラスの溶解によって封止されるとき(いわゆるガラス封止)に、その最終的な位置に挿入される。その後、デバイスは、そのポンプ装置への接続後に、構造体に存在する小さなガラス管状体によって排気される。ガラス封止プロセスの間、ゲッター合金は、大気の及び他の反応性ガスの存在の中で400℃〜450℃の範囲の温度に達し得、結果として合金が不動態化及び不活性化する。
【0016】
特許文献13は、以前の反応性ガスへの暴露の温度よりも低い温度での処理によって再活性化し得、チタン、又は、チタンと、ニッケル及びコバルトの内の少なくとも一つとの混合物である第一の構成要素と、ジルコニウム、バナジウム、鉄、並びに、マンガンと、イットリウム、ランタン、及び希土類元素の中から選択される一以上の元素とから選択される少なくとも一つのさらなる構成要素を含む非蒸発性ゲッター合金である第二の構成要素と、の粉末の混合物、から形成されるゲッター組成物を記載する。たとえこれらの混合物が一酸化炭素の収着特性に関して完全に再活性化し得ることが見いだされたとしても、それらは、他のガス、例として水素を吸収するために再活性化された、限定された性能を示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第3203901号明細書
【特許文献2】米国特許第4071335号明細書
【特許文献3】米国特許第4312669号明細書
【特許文献4】米国特許第4668424号明細書
【特許文献5】米国特許第4839085号明細書
【特許文献6】米国特許第5180568号明細書
【特許文献7】米国特許第5961750号明細書
【特許文献8】米国特許第6521014号明細書
【特許文献9】米国特許第7727308号明細書
【特許文献10】英国特許第2077487号明細書
【特許文献11】米国特許第3926832号明細書
【特許文献12】米国特許第5976723号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第1537250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本願発明の目的は、第一温度での反応性ガスへの暴露の結果においてそれらの機能を失わせた後で、第一温度よりも低い第二温度での熱処理を介して再活性化され得、先行技術で記載される組成物の特徴である収着特性の制限がない、非蒸発性ゲッター合金を含む組成物を提供することである。
【0019】
この目的は、二つの異なる構成要素の粉末の混合物を含むゲッター組成物を備える本願発明によって達成される。上記構成要素は、上記二つの構成要素の第一構成要素が高い活性化温度を有する非蒸発性ゲッター合金で構成され、第二構成要素が低い活性化温度を有する非蒸発性ゲッター合金で構成され、上記第一構成要素及び上記第二構成要素の間の重量比が1:4より大きく、7:3より小さいことを特徴とする非蒸発性ゲッター合金で構成される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
出願人は、NEG合金単独、及び一以上の金属を備えるNEG合金の既存の組成物と異なり、本発明の組成物が、ガラス状の部分のフリット封止による溶接のために、又は直接のガラス封止のために必要とされる、比較的高い温度、例えば約400℃〜450℃で(大気ガス等の)反応性ガスに暴露され得、その後、ガラス状の溶接の封止、又は組成物に近いガラス部分の機械的強度を危うくすることがないような、より低い温度での熱処理によって、完全に再活性化され得、活性化ガスに関する優れた収着特性を回復することを見い出した。本発明の組成物は、封止プロセス中に存在する活性化ガスとの限定された相互作用を有し、その後、ガスを収着するためのより高い残りの性能を維持する。
【0021】
本発明は、その中で本発明のいくつかの組成物の400℃でのH
2に関する収着曲線が、反応性ガスへの暴露後に再活性化された際、先行技術の組成物の収着曲線と比較されている
図1を参照にして以下で説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のいくつかの組成物の400℃でのH
2に関する収着曲線が、反応性ガスへの暴露後に再活性化された際、先行技術の組成物の収着曲線と比較されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
高い活性化温度を有する非蒸発性ゲッター合金としての組成物において用いられるNEG合金は、例えば、Zr−Ni及びZr−Alとしてのジルコニウム二成分合金、Ti−Niとしてのチタン二成分合金、又はZr−Ni−X及びZr−Al−Xとしてのジルコニウム三成分合金であって、第三の金属元素含有量がゲッター合金混合物の総重量に対して10%未満であるジルコニウム三成分合金に特に関連する、Zr系、又はTi系合金であり得る。本発明による組成物を得るために、高温活性の非蒸発性ゲッター合金は、450℃より高い活性化温度を有することを特徴とし、それは一般的に、220μm未満の、好ましくは130μm未満の粒子サイズを有する粉末の形状で用いられる。
【0024】
低い活性化温度を有する非蒸発性ゲッター合金としての組成物において用いられるNEG合金は例えば、Aがイットリウム、ランタン、希土類元素又はその混合物の中から選択されるZr−Co−A合金、Zr−Fe−Y合金、Zr−V−Fe合金、及びZr−V−Fe−Mn−ミッシュメタル合金に特に関連するZr系合金であり得る。本発明による組成物を得るために、低温活性の非蒸発性ゲッター合金は450℃未満の活性化温度を有することを特徴とする。これらの合金は一般的に、250μm未満の、好ましくは210μm未満の粒子サイズを有する粉末の形状で用いられる。
【0025】
本発明によると、高温NEG合金と低温NEG合金との間の重量比は、約1:4と7:3との間に、好ましくは約3:7と3:2内に含まれ、さらにより好ましくは約2:3の比率に含まれる。
【0026】
本発明の組成物は、反応性ガスへの暴露に続く再活性化の後で優れたH
2収着特性を示した。水素除去特性に加えられ得る第二の予想できない結果として、さらに、それらは他のガス(例えば、メタン、又は含酸素ガス)の高い収着性能及び収着速度を示した。組成物は、支持体を有する、又は有しない、様々な形状のゲッターデバイスを製造するのに用いられ得る。
【0027】
本発明の組成物を用いるための可能な方法は、ゲッターデバイス、又は、適切な金型内に混合物の粉末を注入し、それを適切な抜き型によって、一般的に3000kg/cm
2よりも高い圧力の値で印加された、圧縮によって得られるペレット形状の構成要素を作製することである。圧縮は、焼結段階が続き得、ペレットは、真空又は不活性雰囲気下で約700℃から1000℃の間に含まれる温度で熱処理を受ける。圧縮の場合はゲッターデバイスは一般的にペレットの形状を有するのみである一方で、完成した本体の機械的抵抗を増加する焼結も実行される際は、比較的薄いタブレット等の他の形状も得られ得る。
【0028】
興味深い代替案として、ゲッターデバイスは、一般的には金属の、適切な機械的基板上に支持された本発明による組成物の粉末を含む。基板は、金属のストリップ又はシートであり得、その場合、組成物の粉末は、その後焼結が続く冷間圧延又はスクリーン印刷によって堆積され得る。冷間圧延は粉末冶金の分野でよく知られた技術である一方、スクリーン印刷によるゲッター材料の堆積物の製造は、米国特許第5882727号明細書に開示されている。また、基板は、それを介して本発明の組成物が、そこからガス状不純物が除去されなくてはならない空間と接触し得る開口部を少なくとも提供する、短い円筒等の様々な形状の入れ物であり得、粉末の混合物が注入され、その後上記混合物が適切な抜き型によって圧縮される。本発明の組成物が入れ物に導入される場合、一般的に焼結が必要とされない。代替の構造は、ガス収着に有利に働く縦スリットを除いて、本発明の粉末を包み、覆うために、長くて狭い金属製の基板を曲げることによって生成される糸状の構造である。
【0029】
第二の態様では、本発明は、二つの異なる構成要素の粉末の混合物を含むゲッター組成物の使用によって得られるゲッターデバイスを備える高感度システムで構成される。上記構成要素は、上記二つの構成要素の第一構成要素が、高い活性化温度を有する非蒸発性ゲッター合金で構成され、第二構成要素が、低い活性化温度を有する非蒸発性ゲッター合金で構成され、上記第一構成要素と上記第二構成要素との間の重量比が、1:4より大きく、7:3より小さいことを特徴とする非蒸発性ゲッター合金で構成されている。本発明で改善され得る高感度システムの例は、非限定的なリストでは、粒子加速器、X線発生管、陰極線管又はCRTで形成されるディスプレイ、(FEDと呼ばれる)フィールドエミッションタイプのフラットディスプレイ、サーマルボトル(サーモス)等で用いられる断熱のための真空カバー、油の抽出及び輸送のためのデュワー瓶及び管、高輝度放電ランプ及び真空断熱ガラスの真空カバー、又はガス封入ランプである。
【0030】
本発明は以下の実施例によってさらに説明されるであろう。これらの非限定的な実施例は、どのように本発明を実施するかを当業者に教示するために、及び本発明自身を実行するための最もよく考慮された方法を示すために設計されたいくつかの実施形態を示す。
【0031】
実施例1
本発明の組成物によるサンプルは、高い活性化温度の合金Zr86重量%−Al重量14%の粉末を、低い活性化温度の合金Zr重量70%−Fe15重量%−Y15重量%の粉末と、2:3の比率で混合することによって作製され、粉末の粒径は両方の合金に関して0μmから125μmの間に含まれた。その後、120mgの混合物が、適切な環状の入れ物で約4000kg/cm
2の圧力でプレスされ、サンプルは大気下、420℃で約1分間加熱された。
【0032】
最後に、H
2による収着試験が、400℃で1分間の活性化の後、約5000cm
3の(“立方センチメートル”または“cc”とも示される)容積を有するゲッターチャンバーにおいて0.133hPaの初期圧力で水素を400℃で、静的条件下で、投与することでサンプル上で実施された。
【0033】
実施例2
本発明の組成物によるサンプルは、高い活性化温度の合金Zr76重量%−Ni24重量%の粉末を、低い活性化温度の合金Zr70重量%−Fe15重量%−Y15重量%の粉末と、2:3の比率で混合することによって作製され、粉末の粒径は、両方の合金に関して0μmと125μmの間に含まれた。その後、サンプルは実施例1に従って作製され、試験された。
【0034】
実施例3
本発明の組成物によるサンプルは、高い活性化温度の合金Zr79.2重量%−Ni21.8重量%の粉末を、低い活性化温度の合金Zr70重量%−Fe15重量%−Y15重量%の粉末と、2:3の比率で混合することによって作製され、粉末の粒径は両方の合金に関して0μmと125μmの間に含まれた。その後、サンプルは実施例1に従って作製され、試験された。
【0035】
実施例4
本発明の組成物によるサンプルは、高い活性化温度の合金Zr86重量%−Al14重量%の粉末を、低い活性化温度の合金Zr70重量%−V24.6重量%−Fe5.4重量%の粉末と、2:3の比率で混合することによって作製され、粉末の粒径は両方の合金に関して0μmと125μmの間に含まれた。その後、サンプルは実施例1に従って作製され、試験された。
【0036】
実施例5
本発明の組成物によるサンプルは、高い活性化温度の合金Zr76重量%−Ni24重量%の粉末を、低い活性化温度の合金Zr80.8重量%−Co14.2重量%−希土類元素5.0重量%の粉末と、2:3の比率で混合することによって作製され、粉末の粒径は両方の合金に関して0μmと125μmの間に含まれた。その後、サンプルは実施例1に従って作製され、試験された。
【0037】
実施例6(比較)
サンプルは、元素Tiの粉末を、低い活性化温度の合金Zr70重量%−V24.6重量%−Fe5.4重量%の粉末と、2:3の比率で混合することによって作製され、粉末の粒径は、両方の合金に関して0μmと125μmの間に含まれた。その後、サンプルは、実施例1に従って作製され、試験された。
【0038】
実施例7(比較)
サンプルは、元素Tiの粉末を、低い活性化温度の合金Zr70重量%−V15重量%−Fe3.3重量%−Mn8.7重量%−ミッシュメタル(MM)3重量%の粉末と、2:3の比率で混合することによって作製され、粉末の粒径は、両方の合金に関して0μmと125μmの間に含まれた。その後、サンプルは、実施例1に従って作製され、試験された。
【0039】
(
図1に示される)収着曲線は、ガラス封止条件をシミュレートするために、それらの材料を420℃で短い時間のあいだ不動態化した後、異なるゲッターのサンプルに関して得られた。試験チャンバーからの水素の除去という点について、本発明による組成物のサンプルが、比較例のサンプルよりも非常に優れていることは明確である。