(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944522
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】非鉄金属の製錬工程で排出される廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法
(51)【国際特許分類】
C22B 7/04 20060101AFI20160621BHJP
C21B 13/12 20060101ALI20160621BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20160621BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20160621BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
C22B7/04 A
C22B7/04 B
C21B13/12
B09B3/00 ZZAB
B09B3/00 304D
B09B5/00 J
B03C1/00 A
B03C1/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-543402(P2014-543402)
(86)(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公表番号】特表2014-534349(P2014-534349A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】KR2012008535
(87)【国際公開番号】WO2014038745
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2014年5月26日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0099277
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510032586
【氏名又は名称】韓国地質資源研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】キム ビョン ス
(72)【発明者】
【氏名】イー ジェ チョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ス ボク
(72)【発明者】
【氏名】シン ドヨン
【審査官】
長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0077258(KR,A)
【文献】
特開昭62−254851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00−61/00
C21B 13/00−13/14
B09B 3/00
B03C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記段階を含む選別法による非鉄金属の製錬工程で排出される廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法:
(a)廃非鉄スラグを破砕する段階と、
(b)段階 (a)で得られた破砕物を還元剤である炭素及び反応触媒剤である炭酸カルシウム(CaCO3)と共に混合して、還元反応することによって廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al2O3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、又は酸化鉛(PbO)と無結晶質状態で結合した酸化鉄を還元鉄(Fe)と炭化鉄(Fe2C)に結晶構造を変化させる段階と、
(c) 段階 (b)で得られた産物を破砕して(b)段階で還元反応によって生成さ
れた還元鉄と炭化鉄を分離させる段階と、
(d) 段階 (c)で得られた破砕物を粒子の大きさに応じて篩を利用して直径61〜74μm範囲の粒子と直径75〜104μm範囲の粒子に分離する段階と、
(e) 段階 (d)で得られた粒子の大きさに応じた破砕物を直径61〜74μm範囲の粒子は湿式磁力選別し、直径75〜104μm範囲の粒子は乾燥式磁力選別して、鉄を磁性体である鉄濃縮物に分離回収し、直径61〜74μm範囲の粒子の鉄と直径75〜104μm範囲の粒子の鉄を混合する段階。
【請求項2】
前記廃非鉄スラグを直径150〜203μm範囲に破砕することを特徴とする請求項1に記載の廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法。
【請求項3】
前記 段階 (b)は、 段階(a)で破砕された廃非鉄スラグを還元剤である炭素及び反応触媒剤である炭酸カルシウム(CaCO3)と共に混合して、固体還元反応することによって廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al2O3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、又は酸化鉛(PbO)と無結晶質状態で結合した酸化鉄を還元鉄(Fe)と炭化鉄(Fe2C)に結晶構造を変化させることで行われることを特徴とする請求項1に記載の廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法。
【請求項4】
前記 段階(b)は、廃非鉄スラグに対して、炭素5〜40重量%と、炭酸カルシウム(CaCO3)3〜20重量%とを添加し、均一に混合して電気炉に前記混合物を5〜15cm範囲の厚さで装入して、1000〜1300℃の温度で30〜90分間空気を0.5〜1.5l/minで通過させながら、固体還元反応をすることで行われることを特徴とする請求項1に記載の廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法。
【請求項5】
前記 段階(c)は、段階(b)で得られた産物を直径61〜104μm範囲で破砕することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法。
【請求項6】
前記 段階(d)は、篩を利用して61〜74μm範囲の粒度と75〜104μm範囲の粒度に分離することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法。
【請求項7】
前記 段階(e)は、段階(d)で得られた粒子の大きさに応じた破砕物を直径61〜74μm範囲の粒子は湿式磁力選別し、そして直径75〜104μm範囲の粒子は乾燥式磁力選別して、鉄を磁性体である鉄濃縮物に分離して、直径61〜74μm範囲の粒子の鉄と直径75〜104μm範囲の粒子の鉄を混合することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法。
【請求項8】
前記 段階(e)は、61〜74μm範囲の粒度に対しては2500〜3500ガウスで湿式磁力選別して磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離して、75〜104μm範囲の粒度に対しては200〜400ガウスで乾式磁力選別して磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離して湿式磁力選別と乾式磁力選別で得られた磁性体を混合することによって遂行されるのを特徴とする請求項1に記載の廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物として排出される廃非鉄スラグから鉄鋼原料として用いられる鉄を回収する方法に関し、より詳細には、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の製錬工程で発生する廃非鉄スラグを破砕して得られた破砕物を還元剤として炭素と、反応触媒剤として炭酸カルシウム(CaCO
3)と混合して、鉄の溶融温度以下で固体還元反応することによって廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合した酸化鉄を、還元鉄と炭化鉄に結晶構造を変化させて破砕して還元鉄と炭化鉄をアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等の成分
と分離させて、湿式磁力選別と乾式磁力選別して、還元鉄と炭化鉄を磁性体である鉄濃縮物に分離回収す
る選別法による、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の製錬工程で排出される廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法に関するもので、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の製錬工程で排出される産業廃棄物である鉄を35〜45重量%含有する廃非鉄スラグを鉄の溶融温度以下で還元剤として炭素と、反応触媒剤として炭酸カルシウムを添加して固体還元反応して、廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合した酸化鉄を還元鉄と炭化鉄に結晶構造を変化させて、磁力選別して廃非鉄スラグ中に含まれた鉄を容易に濃縮分離回収することができるようにして、工程費用上昇を起こす多様かつ多量のスラグ形成剤を用いることなく、鉄鋼の原料として用いられる鉄を60%以上含有する高品位鉄濃縮物を回収できるものである。加えて、反応触媒剤として炭酸カルシウムの利用は、廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合しており、反応性が非常に低い酸化鉄の固体還元反応を促して工程時間を短縮できる。また、本技術は、結果物として廃非鉄スラグに含まれた亜鉛を固体還元反応段階で還元揮発して回収できるだけでなく鉄を微量含有する非磁性体の残渣は、環境問題がなく、セメント原料としてリサイクルできるようにする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、銅精鉱と鉛精鉱の乾燥式製錬工程と亜鉛の湿式製錬工程で排出される残渣の再処理のための乾式製錬工程で排出される廃非鉄スラグには鉄が多量含まれている。回収対象である鉄の含有量は、前記非鉄金属の乾式製錬工程に応じて変わるが、概略,鉄が35〜45重量%程度含まれていると知られている。
【0003】
それにもかかわらず、現状は廃非鉄スラグには鉄鋼の熱間脆性を悪化させる銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属含有量が合計4重量%以上含まれていたため、鉄鋼原料として用いられないままである。
【0004】
従って、従来技術として、鉄鋼スラグから鉄を回収する技術は種々発展してきたが、廃非鉄スラグから鉄を回収する技術は実施されていないのが現状である。
【0005】
韓国公開公報2005−76556号には、高炉水滓スラグから鉄分回収及び鉄粉の製造方法が記載されている。この発明は、製鉄工程で銑鉄製造時発生するスラグから完全には除去されないため、スラグの品質低下要因になっている、高炉水滓スラグに内在する鉄分を除去してこれを利用する方法として、特に水滓スラグ内に混在されている鉄分を磁力選別してこれを高価な鉄粉原料として直接用いたり、粉砕還元して高付加スポンジ型の粉鉄を製造する方法に関する物であるが、この方法では廃非鉄スラグの特徴である鉄鋼の熱間脆性を悪化させる非鉄金属の問題を解決する方法を分からず、廃非鉄スラグ内の鉄成分は無結晶質状態で結合しており、還元反応性が非常に低いという問題点が解決できない。
【0006】
また、韓国公開公報2002−36075号には、非鉄金属スラッジから有価金属を抽出する技術が記載されている。この発明は、産業現場において捨てられる非鉄金属のスラッジの中に含まれている少量の有価金属を抽出する技術が記載されているが、無結晶質状態で多量含まれている廃非鉄スラグの鉄成分の処理に対しは記載がない。
【0007】
また、大韓民国公開特許公報2002−51631号には、製鋼工程で副産物として発生するスラグから鉄分を分離する方法として、粉スラグを粒度別に磁力選別処理することによって鉄分回収率を高めることができるスラグから鉄分を回収する方法を記載しているが、この発明も無結晶質状態で多量含まれている廃非鉄スラグの鉄成分の処理に対しは記載がない。
【0008】
一方、銅精鉱の乾式製錬工程では、銅1トン生産量当たり2トンの廃非鉄スラグが、鉛精鉱の乾式製錬工程では、鉛1トン生産量当たり0.45トンの廃非鉄スラグが、そして亜鉛の湿式製錬工程で排出される残渣の再処理のための乾式製錬工程では、亜鉛1トン生産量当たり0.2トンの廃非鉄スラグが発生し、これによる環境汚染が社会問題となっている。
【0009】
しかし、前記のような廃非鉄スラグの産業廃棄物に多量含まれている鉄は、廃棄物として処理するには非常にもったいない資源に違いなく、従って資源リサイクルの側面から回収されることが国家経済面から求められ、これを回収してリサイクルすることによって資源の有効利用の側面で非常に有用であると言える。
【0010】
このような廃非鉄スラグの産業廃棄物から鉄を回収する方法は、物理的選別法と乾式法に大別される。
【0011】
これらの中、物理的選別法は、廃非鉄スラグを破砕した後、酸化処理して磁力選別することによって鉄を分離回収する方法であって、廃非鉄スラグ中に含まれた酸化鉄の反応性が非常に低く、廃非鉄スラグの酸化処理による結晶構造の変化がかなり難しく、鉄の分離回収率が50%以下と非常に低く、また、回収された鉄濃縮物には鉄鋼の熱間脆性を悪化させる銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属が、銅の場合1%、亜鉛の場合2%、そして鉛の場合1%以上と非常に多くの量を含有する短所があって、廃非鉄スラグを破砕した後、酸化処理して磁力選別する方法によって回収された鉄濃縮物を鉄鋼の原料として使うには再処理が必要な短所がある。従って、廃非鉄スラグを破砕した後、酸化処理して磁力選別する方法は、未だに商業化された工程がないのが実情である。
【0012】
一方、乾燥式法は、溶融炉を利用して廃非鉄スラグをアルミナ(Al
2O
3)、生石灰(CaO)、マグネシア(MgO)、珪石(SiO
2)等のような種々のスラグ造成調節剤である溶剤と、還元剤である炭素を加えた後、1550〜1600℃程度鉄の溶融温度以上の高温で溶融して、鉄を回収する方法で、種々のスラグ造成調節剤である溶剤が用いられて、費用面で不利で、工程の制御が難しく、温度が高い短所がある。また、廃非鉄スラグに含まれた銅、亜鉛、鉛等鉄鋼の熱間脆性を悪化させる非鉄金属が前述した物理的選別法よりさらに多く鉄と共に回収されて、鉄鋼の原料として用いるには複雑な再処理が必要な短所がある。そこで、未だに廃非鉄スラグの産業廃棄物から鉄を回収する商業化された乾式工程はないのが実情である。
【0013】
また、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属が含まれていない鉄を10〜25重量%含有した鉄鋼スラグから鉄を回収する方法は、大きく物理的選別法と乾式法があり、このような方法では銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属を除去する段階が必要なく、廃非鉄スラグの産業廃棄物から鉄を回収する方法は、技術的に非常に単純な方法である。
【0014】
そこで、本発明者等は、前記従来技術の問題点を解決しようと鋭意努力した結果、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の製錬工程で発生する廃非鉄スラグを破砕して得られた破砕物を還元剤として炭素と、反応触媒剤として炭酸カルシウム(CaCO
3)と混合して鉄の溶融温度以下で固体還元反応することによって廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合した酸化鉄を還元鉄と炭化鉄に結晶構造を変化させた後、破砕して還元鉄と炭化鉄をアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等のような成分
と分離させて、湿式磁力選別と乾燥式磁力選別し、磁性体で鉄を銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属含有量の合計が1%以下である鉄濃縮物に分離回収し、回収された鉄濃縮物を再処理することなく鉄鋼の原料として使用できることを確認して、本発明の完成に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の製錬工程で発生する廃非鉄スラグから鉄を濃縮分離回収する方法に関し、より詳細には廃非鉄スラグに還元剤と反応触媒剤を添加した後、固体還元反応によって廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合した酸化鉄を還元鉄(Fe)と炭化鉄(Fe
2C)に結晶構造を変化させ、破砕して固体還元反応によって生成された還元鉄と炭化鉄
を分離させた後、粒子の大きさに応じて湿式磁力選別と乾式磁力選別して、磁性体で鉄を銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属含有量の合計が1%以下の鉄濃縮物に分離回収する銅、亜鉛、鉛の非鉄金属の製錬工程で発生する廃非鉄スラグから鉄を濃縮分離回収する方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明
の選別法による銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の製錬工程で排出される廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法は、(a)廃非鉄スラグを破砕する段階と、(b)段階(a)で得られた破砕物を還元剤である炭素及び反応触媒剤である炭酸カルシウム(CaCO
3)と共に混合して、還元反応することによって廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合した酸化鉄を還元鉄(Fe)と炭化鉄(Fe
2C)に結晶構造を変化させる段階と、(c)段階(b)で得られた産物を破砕して(b)段階で固体還元反応によって生成された還元鉄と炭化鉄
を分離させる段階と、(d) 段階 (c)で得られた破砕物を粒子の大きさに応じて分離する段階と、(e) 段階 (d)で得られた粒子の大きさに応じた破砕物を湿式磁力選別と乾式磁力選別して、鉄を磁性体である鉄濃縮物に分離回収して混合する段階と、を含んでなることを特徴とする。また、本技術は、結果物として、廃非鉄スラグに含まれた亜鉛を固体還元反応段階で還元揮発して回収できるだけでなく、鉄を微量含有した非磁性体である残渣は、環境問題がなく、セメント原料としてリサイクルできるようにする方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の製錬工程で排出される産業廃棄物の廃非鉄スラグを鉄の溶融温度以下で固体還元反応して廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合した酸化鉄を還元剤である炭素及び反応触媒剤である 炭酸カルシウム(CaCO
3)と共に混合して還元反応することによって還元鉄と炭化鉄に結晶構造を変化させた後、固体還元反応によって生成された還元鉄と炭化鉄を破砕してアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等のような成分
と分離させて、湿式磁力選別と乾式磁力選別して磁性体で鉄を銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属含有量の合が1重量%以下の鉄濃縮物で分離回収するようにする。現在廃非鉄スラグには、鉄が35〜45重量%と非常に多くの量が含まれているが、鉄鋼の熱間脆性を悪化させる銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属含有量の合計が4重量%以上に含まれているため、鉄鋼原料として使用されないままの廃非鉄スラグを鉄鋼原料として活用することで、資源貧困国である国内事情から全量輸入に依存している鉄鉱石代替剤として廃非鉄スラグを利用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による工程を図示したブロック図である。
【
図2】本発明のよる廃非鉄スラグからの鉄を回収する段階別工程ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る廃非鉄スラグからの鉄を回収する方法によって製造された鉄濃縮物のX線回折パターン(X−Ray Diffraction Pattern)図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る廃非鉄スラグからの鉄を回収する方法によって回収された亜鉛濃縮物のX線回折パターン(X−Ray Diffraction Pattern)図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一観点において、本発明は、(a)廃非鉄スラグを破砕する段階と、(b)段階 (a)で得られた破砕物を還元剤である炭素及び反応触媒剤である炭酸カルシウム(CaCO
3)と共に混合して、還元反応することによって廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合した酸化鉄を還元鉄(Fe)と炭化鉄(Fe
2C)に結晶構造を変化させる段階と、(c) 段階 (b)で得られた産物を破砕して(b)段階で還元反応によって生成された還元鉄と炭化鉄
を分離させる段階と、(d) 段階 (c)で得られた破砕物を粒子の大きさに応じて分離する段階と、(e) 段階 (d)で得られた粒子の大きさに応じた破砕物を湿式磁力選別と乾式磁力選別して、鉄を磁性体である鉄濃縮物に分離回収して混合する段階と、を含んでなる
、破砕のような物理的選別法と還元反応のような化学的選別法を順次に実行する、言わば物理化学的選別法による銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の製錬工程で発生される廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法に関する。
【0020】
本発明において、前記 段階(a)の廃非鉄スラグを破砕する段階で廃非鉄スラグは、直径150〜203μm範囲で破砕されることを特徴とする。前記廃非鉄スラグ粒度が、150μm未満であると、固体還元反応時間が短縮されるが大きく短縮されることなく、むしろエネルギー消耗が増加するため、さほどメリットがない。また、前記廃非鉄スラグ粒度が203μm超えると、固体還元反応時間が長くなる短所と共に、炭化鉄の成分が増加して、工程制御に時間がかかる問題点がある。
【0021】
本発明において、前記 段階(b)は、廃非鉄スラグ
に対して、炭
素5〜40重量%
と、炭酸カルシウム(CaCO
3)3〜20重量%
とを添加し、均一に混合して電気炉に前記混合物を5〜15cm範囲の厚さで装入して、1000〜1300℃の温度で30〜90分間空気を0.5〜1.
5L/minで通過させながら、固体還元反応をすることで行われることを特徴とする。一方、 段階 (b)では、廃非鉄スラグ中に含まれた酸化鉄の90%〜95重量%が、磁性体の還元鉄と炭化鉄に還元され、その中90%〜95%は、磁性体である還元鉄に還元され、5%〜10%は磁性体である炭化鉄に還元される。
【0022】
この時、還元剤である炭素は、廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合している酸化鉄を還元して、還元鉄と炭化鉄に結晶構造を変えるために投入される。前記炭素添加量が5重量%未満であると、廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合している酸化鉄の還元が完全に行われなく 段階 (c)での還元鉄と炭化鉄
の分離が難しい短所がある。また、前記炭素添加量が40重量%を超えると、廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶状態に結合している酸化鉄の還元率が増加するものの大きく増加することなく、さほどメリットがない。
【0023】
また、反応触媒剤である炭素カルシウムは、廃非鉄スラグの固体還元反応速度を促すために投入される。前記炭酸カルシウム添加量が3重量%未満であると、廃非鉄スラグの固体還元反応速度の増進効果がなくて、さほどメリットがない。また、前記炭酸カルシウムの添加量が20重量%超えると、廃非鉄スラグの固体還元反応速度が増進されるものの、その効果が大きくなく、それによるメリットがない。
【0024】
また、廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合している酸化鉄の還元に対する還元剤である炭素の効率を増進させるために破砕された廃非鉄スラグと炭素、そして炭酸カルシウムの混合物が一定厚さ以上に電気炉に投入される。前記混合物の厚さが5cm未満であると、試料内の炭素還元の雰囲気が弱まって廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合している酸化鉄の還元率が落ちる短所がある。また、前記混合物の厚さが15cmを超えると、試料内の炭素還元の雰囲気が強化されて廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合している酸化鉄の還元率が増加する効果はあるが、廃非鉄スラグに含まれた亜鉛の還元揮発回収率が落ちて、段階(c)で還元鉄と炭化鉄
の分離が難しい短所がある。
【0025】
また、前記溶融温度が1000℃ 未満であると、廃非鉄スラグの固体還元反応が完全に行われなく、同時に亜鉛の還元揮発率が悪化する短所がある。前記溶融温度が1300℃を超えると、廃非鉄スラグの固体還元反応が速いがその効果が大きくなく、むしろ廃非鉄スラグが炉壁に融着する現象が起きる短所がある。
【0026】
また、前記固体還元反応時間が30分未満であると、廃非鉄スラグの固体還元反応が完全に行われない短所がある。前記固体還元反応時間が90分を超えると、廃非鉄スラグの還元率が増加するものの、その効果が大きくなく、それによるメリットがない。
【0027】
また、前記空気注入速度が、0.
5L/min未満であると、廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合している酸化鉄の還元率が増加する効果はあるが、廃非鉄スラグに含まれた亜鉛の還元揮発回収率が落ちて、段階(c)で還元鉄と炭化鉄
の分離が難しい短所がある。前記空気注入速度が1.
5L/minを超えると、廃非鉄スラグに含まれた亜鉛の還元揮発回収率が増加する効果はあるが、その効果が大きくなくて、むしろ還元剤である炭素の消耗が増大する短所がある。
【0028】
本発明において、前記 段階(c)は、 段階(b)で得られた産物を直径61〜104μm範囲で破砕することによって行われることを特徴とする。前記廃非鉄スラグの粒度が61μm未満であると
、分離度は増加するものの、大きく増加することなく、かえって粉塵発生量が増加するため、それによるメリットがない。また、前記廃非鉄スラグの粒度が、104μmを超えると
、分離度が小さくなる短所がある。
【0029】
一方、還元された廃非鉄スラグを61〜104μm範囲で破砕する理由は、還元された廃非鉄スラグに含まれたアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と鉄を効率的
に分離するためである。
【0030】
本発明において、前記 段階(d)は、篩を利用して61〜74μm範囲の粒度と75〜104μm範囲の粒度に分離することによって行われることを特徴とする。前記廃非鉄スラグ口も74μmを基準に分離するのは、段階(e)で行われる磁力選別で効率的に鉄を濃縮分離回収するためである。
【0031】
本発明において、前記 段階(e)は、61〜74μm範囲の粒度に対しては2500〜3500ガウスで湿式磁力選別して磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離して、75〜104μm範囲の粒度に対しては200〜400ガウスで乾燥式磁力選別して磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離して湿式磁力選別と乾燥式磁力選別で得られた磁性体を混合することによって遂行されるのを特徴とする。
【0032】
ここで61〜74μm範囲の粒度に対し湿式磁力選別を利用するのは、粒度が小さいため発生する物理的に粒子間の引き寄せる力によって現れる凝集現象を防止して、鉄の分離回収率を高め、また、選別過程での粉塵の発生を防止して、環境に優しい操業が可能になるようにするためである。
【0033】
一方、湿式磁力選別は、水と共に破砕物を磁場中に通過させて、磁性体と非磁性体を分離する方法であり、乾燥式磁力選別は、水を用いず破砕物を磁場中に通過させて磁性体と非磁性体を分離する方法である。
【0034】
この時、前記湿式磁力選別で2500ガウス未満では、還元鉄と炭化鉄の非磁性体に損失率が増加して磁性体への鉄の回収率が低くなる短所がある。また、前記磁力強度3500ガウス超では磁性体で還元鉄と炭化鉄の回収率は増加するが、アルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等が還元鉄及び炭化鉄と共に磁性体に分離して磁性体混合物中の鉄の品位が低くなる短所がある。
【0035】
また、前記乾燥式磁力選別で200ガウス未満では、還元鉄と炭化鉄の非磁性体に損失率が増加して、磁性体への鉄の回収率が低くなる短所がある。また、前記磁力強度400ガウス超では磁性体で還元鉄と炭化鉄の回収率は増加するが、アルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等が還元鉄及び炭化鉄と共に磁性体に分離して磁性体混合物中の鉄の品位が低くなる短所がある。
【0036】
この時、前記湿式磁力選別と乾式磁力選別で磁性体と非磁性体に分離した後、還元鉄と炭化鉄が濃縮された磁性体は、互いに混合して鉄鋼原料として用いられ、鉄が非常に低く含まれた非磁性体はセメントの原料として用いられる。
【0037】
結果的に、本発明は、固体還元反応工程で反応触媒剤として炭酸カルシウムを利用して反応性が非常に低い廃非鉄スラグ中にアルミナ(Al
2O
3)、石灰石(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、珪石(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、そして酸化鉛(PbO)等と無結晶質状態で結合した酸化鉄の固体還元反応速度を促して、工程時間を短縮できるようにすると共に、結果物として廃非鉄スラグに含まれた亜鉛を固体還元反応段階で還元揮発して回収できるようにし、また、発生する鉄を微量含有した非磁性体である残渣は、環境問題がなくリサイクルできるようにする方法を提供する省エネ環境に優しい技術であると同時に捨てられている産業廃棄物を資源化できる技術を提示するという点でその意味があると言える。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0039】
[実施例1]
廃非鉄スラグを150〜203μm範囲で破砕した。次に、破砕された廃非鉄スラグと還元剤である炭素と反応触媒剤である炭酸カルシウム(CaCO
3)を混合した。混合比は、廃非鉄スラグ対応炭素を25重量%、そして炭酸カルシウム(CaCO
3)を10重量%になるべく秤量した後、V型ミキサーを用いて均一に混合した。(V型ミキサー、HANYANG科学、KR)均一に混合した原料を電気炉に5cm厚さで投入して、1250℃で30分間空気を1.
0L/minで注入しながら固体還元した。続いて得られた固体試料を61〜104μm範囲で破砕して、得られた破砕物を61〜74μm範囲の粒度と75〜104μm範囲の粒度に分離した。以後、61〜74μm範囲の粒度に対しては、2500ガウスで湿式磁力選別して、磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離し、75〜104μm範囲の粒度に対しては、300ガウスで乾式磁力選別して磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離して、各々湿式磁力選別と乾式磁力選別で得られた磁性体を混合して鉄を磁性体である鉄濃縮物として分離して回収した。
【0040】
その結果、廃非鉄スラグ500g中に入っている鉄が208.0g、亜鉛が28.0gであり、本発明によって回収された鉄濃縮物である磁性体に存在する鉄の含有量が193.8gであり、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の含有量の合が1%以下で、亜鉛濃縮物の粉塵に存在する亜鉛の含有量は27.4gであり、鉄、亜鉛共に回収率が90%以上であった。
【0041】
[実施例2]
廃非鉄スラグを150〜203μm範囲で破砕した。次に、破砕された廃非鉄スラグと還元剤である炭素と反応触媒剤である炭酸カルシウム(CaCO
3)を混合した。混合比は、廃非鉄スラグ対応炭素を30重量%、そして炭酸カルシウム(CaCO
3)を5重量%になるべく秤量した後、V型ミキサーを用いて均一に混合した。(V型ミキサー、HANYANG科学、KR)均一に混合した原料を電気炉に10cm厚さで投入して、1150℃で60分間空気を1.
5L/minで注入しながら固体還元した。続いて得られた固体試料を61〜104μm範囲で破砕して、得られた破砕物を61〜74μm範囲の粒度と75〜104μm範囲の粒度に分離した。以後、61〜74μm範囲の粒度に対しては、3000ガウスで湿式磁力選別して、磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離し、75〜104μm範囲の粒度に対しては、250ガウスで乾式磁力選別して磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離して、各々湿式磁力選別と乾式磁力選別で得られた磁性体を混合して鉄を磁性体である鉄濃縮物として分離して回収した。
【0042】
その結果、廃非鉄スラグ1000g中に入っている鉄が446.4g、亜鉛が21.0gであり、本発明によって回収された鉄濃縮物である磁性体に存在する鉄の含有量が404.7gであり、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の含有量の合が1%以下で、亜鉛濃縮物の粉塵に存在する亜鉛の含有量は19.9gであり、鉄、亜鉛共に回収率が90%以上であった。
【0043】
[実施例3]
廃非鉄スラグを150〜203μm範囲で破砕した。次に、破砕された廃非鉄スラグと還元剤である炭素と反応触媒剤である炭酸カルシウム(CaCO
3)を混合した。混合比は、廃非鉄スラグ対応炭素を10重量%、そして炭酸カルシウム(CaCO
3)を15重量%になるべく秤量した後、V型ミキサーを用いて均一に混合した。(V型ミキサー、HANYANG科学、KR)均一に混合した原料を電気炉に15cm厚さで投入して、1100℃で90分間空気を0.
5L/minで注入しながら固体還元した。続いて得られた固体試料を61〜104μm範囲で破砕して、得られた破砕物を61〜74μm範囲の粒度と75〜104μm範囲の粒度に分離した。以後、61〜74μm範囲の粒度に対しては、3500ガウスで湿式磁力選別して、磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離し、75〜104μm範囲の粒度に対しては、350ガウスで乾式磁力選別して磁性体である還元鉄と炭化鉄を分離して、各々湿式磁力選別と乾式磁力選別で得られた磁性体を混合して鉄を磁性体である鉄濃縮物として分離して回収した。
【0044】
その結果、廃非鉄スラグ1500g中に入っている鉄が643.5g、亜鉛が39.6gであり、本発明によって回収された鉄濃縮物である磁性体に存在する鉄の含有量が581.8gであり、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属の含有量の合が1%以下で、亜鉛濃縮物の粉塵に存在する亜鉛の含有量は36.7gであり、鉄、亜鉛共に回収率が90%以上であった。
【0045】
前記実施例1、実施例2、実施例3で各試料に対する添加量と回収率は表1、表2、表3に各々まとめて示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明
の選別法による銅、亜鉛、鉛の非鉄金属の製錬工程で発生する廃非鉄スラグから鉄を分離回収する方法は、廃非鉄スラグを破砕して炭素と炭酸カルシウムを共に混合した後、鉄の溶融温度以下で固体還元反応することによって廃非鉄スラグ中にアルミナ、石灰石、酸化マグネシウム及び珪石等と無結晶質状態で含まれた酸化鉄を還元鉄と炭化鉄に結晶構造を変化させて、破砕して還元鉄と炭化鉄をアルミナ、石灰石、酸化マグネシウム及び珪石等
と分離させて、湿式磁力選別と乾式磁力選別して高品位の鉄濃縮物を回収する方法に関し、炭酸カルシウムを利用して、固体還元反応工程で廃非鉄スラグ中に無結晶質状態で含まれた酸化鉄の固体還元反応を促して、工程時間を短縮し、工程温度を低くして操業を容易にし、銅、亜鉛、鉛の非鉄金属の製錬工程で発生する廃非鉄スラグから鉄を分離濃縮回収するようにして、廃棄物によるリサイクルが可能にして、鉄鋼原料として活用することで、資源貧困国の国内実情上鉄資源の利用率を最大限に高めることができる効果を提供するようになり、非鉄製錬分野及び鉄鋼製錬分野で鉄の回収に関連した産業廃棄物のリサイクルに広く活用できるであろう。