特許第5944563号(P5944563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944563
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】複合材料
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20160621BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20160621BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20160621BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B32B27/20 Z
   C08L101/00ZAB
   C08L1/02
   B32B5/18
【請求項の数】18
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-126076(P2015-126076)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-55624(P2016-55624A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2015年8月5日
(31)【優先権主張番号】20145777
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】FI
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314013187
【氏名又は名称】ウーペーエム−キュンメネ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UPM−Kymmene Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】ペルトラ,ピーア
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1385465(CN,A)
【文献】 特開平09−067520(JP,A)
【文献】 特開2006−305802(JP,A)
【文献】 特開2000−025141(JP,A)
【文献】 特開2000−319405(JP,A)
【文献】 特開2007−021762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
C08J 9/00−42
C08L
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然繊維プラスチック複合製品であって、第1の層と第2の層とを含んでなり、前記第1の層が前記製品の表面の少なくとも一部を形成する、天然繊維プラスチック複合製品において、
− 前記第1の層は、熱可塑性ポリマとセルロースベースの粒子とを含み、
− 前記第2の層は、熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む乾燥脱インクスラッジとを含み、
前記第2の層は、10〜70%の範囲の量の熱可塑性ポリマと、30〜90%(w/w)の範囲の乾燥脱インクスラッジとを含み、当該乾燥脱インクスラッジは、10〜30%(w/w)の範囲のセルロース繊維と、55〜75%(w/w)の範囲の無機物とを含む、天然繊維プラスチック複合製品。
【請求項2】
前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、ポリオレフィンを含むことを特徴とする請求項1に記載の天然繊維プラスチック複合製品。
【請求項3】
前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンを含むことを特徴とする請求項2に記載の天然繊維プラスチック複合製品。
【請求項4】
前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、少なくとも200℃の融点を有することを特徴とする請求項1に記載の天然繊維プラスチック複合製品。
【請求項5】
前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、少なくとも220℃の融点を有することを特徴とする請求項1に記載の天然繊維プラスチック複合製品。
【請求項6】
前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、ポリスチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオライド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネートから選択される熱可塑性ポリマを含むことを特徴とする請求項1、4またはに記載の天然繊維プラスチック複合製品。
【請求項7】
前記第2の層の複合材料は、発泡されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の天然繊維プラスチック複合製品。
【請求項8】
天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法において、
− 熱可塑性ポリマとセルロースベースの粒子とを含む混合物から、前記製品の表面の少なくとも一部を形成する、前記製品の第1の層を形成することと、
− 熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを含む混合物から、前記製品の第2の層を形成することと、
を含み、
前記第2の層は、10〜70%の範囲の量の熱可塑性ポリマと、30〜90%(w/w)の範囲の乾燥脱インクスラッジとを含み、当該乾燥脱インクスラッジは、10〜30%(w/w)の範囲のセルロース繊維と、55〜75%(w/w)の範囲の無機物とを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記第1の層および前記第2の層は、共押出プロセスによって形成されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、ポリオレフィンを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリオレフィンは、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、少なくとも200℃の融点を有することを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、少なくとも220℃の融点を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の層を形成する前記混合物は、200〜360℃の範囲にまで加熱されることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の層を形成する前記混合物は、220〜360℃の範囲にまで加熱されることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、ポリスチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオライド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネートから選択される熱可塑性ポリマを含むことを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の層を形成する前記混合物を形成する前に、前記混合物を発泡させることを含むことを特徴とする請求項8〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の天然繊維プラスチック複合製品を含む複合製品において、建築要素、手すりまたはフェンス、カバーストリップ、遮音材、柱枠、板またはパネル、家具または家具の一部から選択されることを特徴とする複合製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然繊維プラスチック複合材料、それを含む製品、ならびに、かかる複合材料および製品を作製するための方法に関する。特に、本発明は、充填剤および/または強化材料として、脱インクスラッジを含む天然繊維プラスチック複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
天然繊維プラスチック複合製品は、典型的には、有機繊維材料であって、通常、のこぎり屑のような木材に由来する有機繊維材料と、少なくとも1種のプラスチックポリマとを含む。複合製品は、たとえば、家具、デッキ床、フェンス、窓枠および戸枠などのために使用可能である。
【発明の概要】
【0003】
脱インクスラッジは、天然繊維プラスチック複合製品における充填剤として、および/または強化材料として使用可能であることが見いだされた。脱インクスラッジは、脱インクプロセスにおける側留として形成され、典型的には、無機充填剤、繊維およびインクを含む。今のところ側留は、埋立て材料または焼却灰として使用されている。乾燥スラッジの典型的成分は、およそ20%(w/w)のセルロース繊維、および、主として炭酸カルシウムである、およそ70%の無機物を含む。インクの量はわずかではあるが、最終製品の外観に影響を及ぼし、複合製品におけるスラッジの用途の決定において非常に厄介であるので重要である。
【0004】
一実施形態は、熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む乾燥脱インクスラッジとを含んでなる天然繊維プラスチック複合製品を提供する。
【0005】
一実施形態は、脱インクスラッジを含む天然繊維プラスチック複合材料を作製するための方法を提供する。
【0006】
一実施形態は、脱インクスラッジを含む天然繊維プラスチック複合材料を含んでなる複合製品を提供する。
【0007】
一実施形態は、第1の層と第2の層とを含んでなり、前記第1の層が前記製品の表面の少なくとも一部を形成する、天然繊維プラスチック複合製品を提供し、その天然繊維プラスチック複合製品において、
− 前記第1の層は、熱可塑性ポリマとセルロースベースの粒子とを含み、
− 前記第2の層は、熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む乾燥脱インクスラッジとを含む。
【0008】
一実施形態は、天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法を提供し、その方法は
− 前記製品の第1の層であって、熱可塑性ポリマ材料とセルロースベースの粒子とを含み、前記製品の表面の少なくとも一部を形成する第1の層を形成することと、
− 熱可塑性ポリマとセルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを含む混合物から、前記製品の第2の層を形成することとを含む。
【0009】
これら主たる実施形態は、独立請求項において特徴づけられている。他の多様な実施形態については従属請求項に開示されている。従属請求項に言及された特徴は、別段の明示的記載がない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。
【0010】
市販の充填剤を、一般的には廃棄物と考えられている材料で代替させようとする場合、環境負荷に対する影響がもたらされる。
【0011】
一態様において、埋立地における廃棄物の量は、上記の廃棄物がどこで利用されても、減少する。さらにまた、廃棄物を燃焼させる必要性も低下し、したがって、温室効果ガスがあまり放出されなくなる。さらにまた、比較的多量の脱インクスラッジが複合材料中に組み込まれることもあり得る。
【0012】
他の態様において、滑石または炭酸カルシウムのような未使用の充填材料の量は少なくされ、再生不能天然資源が、比較的少量使用される。たとえば、採掘、および未使用充填材料の粉砕などの再処理は、多大のエネルギと資源を消費する。側留に要する総費用は、おおよそ1800万ユーロと見積もられるので、節約見込み額は莫大である。これらの側留を、充填材料、強化材料などの新しい製品に変換可能であるならば、経済的価値は一層高くなる。
【0013】
複合材料中の未使用充填材料および/または強化繊維を、一般に繊維成分が比較的低い、脱インクスラッジで置き換える場合に、複合製品の製造プロセスにおいては、高い温度を利用するかもしれない。このことは、充填材料および強化材料を損傷させることなく、比較的高い融点を有する熱可塑性ポリマの利用を可能にするという効果をもたらす。これは、たとえば、産業用プラスチックとして利用し得る、またはポリアミドガラス繊維のために利用し得る、耐熱複合材料の作製を可能にする。
【0014】
再生スラッジを含むポリマを形成する場合、比較的充填材料成分が高いとき、溶融強度が高い製品が得られる。このことは、一般に難度の高いことであって、たとえば、剛性と寸法安定性とが改善され、かつ重さとコストとが低減された高品質の製品が得られるという効果がもたらされる。
【0015】
得られた、溶融強度の高い複合材料は、たとえば、薄層または薄壁の製品において利用可能であるところの、持続性を有し均質な製品の製造を可能にする。
【0016】
脱インクスラッジを含む、複合材料が、少なくとも2層を有する複合製品において使用される場合には、再生されたインク含有材料の不快な外観を、別の、しかしながらスラッジ含有複合材料と互換性を有する複合材料層で覆うことが可能である。これによって、表面の外観が満足のできる製品であって、発泡された場合に軽量で持続性のある製品において、インク含有材料を多量に使用できるという効果が得られる。スラッジ含有複合材料は、強化特性を付与するものであって、2つの異なる複合材料層間における良好な付着を可能にする方法において作製することが可能である。
【0017】
さらに詳しくは、本発明は、天然繊維プラスチック複合製品であって、第1の層と第2の層とを含んでなり、前記第1の層が前記製品の表面の少なくとも一部を形成する、天然繊維プラスチック複合製品において、
− 前記第1の層は、熱可塑性ポリマとセルロースベースの粒子とを含み、
− 前記第2の層は、熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む乾燥脱インクスラッジとを含む、天然繊維プラスチック複合製品である。
【0018】
本発明において、前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、ポリオレフィン、たとえばポリプロピレンまたはポリエチレンを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明において、前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、少なくとも200℃、たとえば少なくとも220℃の融点を有することを特徴とする。
【0020】
本発明において、前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、ポリスチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオライド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネートから選択される熱可塑性ポリマを含むことを特徴とする。
【0021】
本発明において、前記脱インクスラッジは、10〜30%(w/w)の範囲のセルロース繊維と、55〜75%(w/w)の範囲の無機物とを含むことを特徴とする。
【0022】
本発明において、前記第2の層は、10〜70%の範囲の量の熱可塑性ポリマと、30〜90%(w/w)の範囲の乾燥脱インクスラッジとを含むことを特徴とする。
本発明において、前記第2の層の複合材料は、発泡されることを特徴とする。
【0023】
本発明は、天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法において、
− 熱可塑性ポリマとセルロースベースの粒子とを含む混合物から、前記製品の表面の少なくとも一部を形成する、前記製品の第1の層を形成することと、
− 熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを含む混合物から、前記製品の第2の層を形成することと、
を含むことを特徴とする方法である。
【0024】
本発明において、前記第1の層および前記第2の層は、共押出プロセスによって形成されることを特徴とする。
【0025】
本発明において、前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、ポリオレフィン、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことを特徴とする。
【0026】
本発明において、前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、少なくとも200℃、たとえば少なくとも220℃の融点を有することを特徴とする。
【0027】
本発明において、前記第2の層を形成する前記混合物は、200〜360℃の範囲、たとえば220〜360℃の範囲にまで加熱されることを特徴とする。
【0028】
本発明において、前記第2の層における前記熱可塑性ポリマは、ポリスチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオライド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネートから選択される熱可塑性ポリマを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明において、前記第2の層を形成する前記混合物を形成する前に、前記混合物を発泡させることを含むことを特徴とする。
【0030】
本発明は、上述の天然繊維プラスチック複合製品を含む複合製品において、デッキボードまたはファサードパネルなどの建築要素、手すりまたはフェンス、カバーストリップ、遮音材、柱、棚用枠などの枠、板またはパネル、家具または家具の一部から選択されることを特徴とする複合製品である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1a】2層の製品の例を示している。
図1b】2層の製品の例を示している。
図1c】2層の製品の例を示している。
図1d】2層の製品の例を示している。
図1e】2層の製品の例を示している。
図2】一実施形態に従った構成の一例を示している。
図3】一実施形態に従った方法の一例を縮小された概略図において示している。
図4】得られた製品の引張強さおよび曲げ強さを示している。
図5】得られた製品の衝撃強さを示している。
図6】製品の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本詳細説明に開示された百分率値は、別段の記載がない限り、乾燥重量の重量パーセントをいう。一実施形態は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマと、有機繊維と無機物充填剤とを含む、天然繊維プラスチック複合製品を提供し、該複合製品は、脱インクスラッジを含み、該脱インクスラッジは、セルロース繊維などの有機繊維と、無機物とを含む。有機繊維と無機充填剤とは、少なくとも部分的に脱インクスラッジに由来する。脱インクスラッジは、有機繊維と無機充填剤を含有する材料の少なくとも50%(w/w)、または少なくとも60%(w/w)、または少なくとも70%(w/w)、または少なくとも80%(w/w)、または少なくとも90%(w/w)、または少なくとも95%(w/w)を与え得る。一実施形態において、有機繊維および無機充填剤のすべてが、または少なくとも99%(w/w)が、脱インクスラッジに由来する。しかしながら、いくつかの場合には、セルロース繊維などの追加の有機繊維を、複合製品の強度を上げるために、たとえば、繊維の量の30〜50%(w/w)の範囲の量を追加してもよい。一実施形態においては、他の再生材料が、たとえば、再生プラスチック、接着剤、シリコーンなどを含む材料が、充填剤および/または強化材料として添加される。かかる材料は、たとえば、紙およびプラスチック積層体に由来するものであってよい。これらの材料は、複合製品においては、充填剤および/または強化材料の約10〜90%(w/w)を構成してもよく、たとえば、通常の複合材料においては、50〜90%、発泡複合材料においては10〜20%を構成してもよい。
【0033】
脱インクは、脱インクされたパルプを作るために、再生紙の紙繊維から印刷インクを取除く、工業的工程である。使い残しの、未使用材料、主として、インクや、プラスチック、充填剤、短繊維などがスラッジと呼ばれる。生成されるスラッジは、大きく2つのタイプである、高灰分スラッジ(>30% 乾燥重量)と低灰分スラッジ(<30% 乾燥重量)とに分類されると考えられる。高灰分スラッジとは、パルプ工場から生じる化学凝集スラッジ、再生繊維からの紙の生産によって発生する一次スラッジ、およびパルプ工場から発生する脱インクスラッジである。低灰分スラッジとは、パルプ工場または製紙工場から発生する、一次スラッジ、二次スラッジ、または生物スラッジが代表的である。
【0034】
複合製品を作製するための出発材料は、一般に、古紙処理、および/または製紙工場、および/または廃水処理工場からの廃棄物を含むスラッジから形成される。このスラッジは、少なくとも1つの乾燥工程における乾燥によって処理される。このスラッジは、古紙処理、および/または製紙工場、および/または廃水処理工場からのスラッジ、廃棄物、および残留物など含む。一実施形態において、スラッジは、少なくとも、古紙処理からのスラッジ、廃棄物、および残留物などの廃棄物、たとえばRCFスラッジを含む。一実施形態において、スラッジは、主として、古紙処理スラッジなどの、古紙処理からの廃棄物、たとえば、RCFスラッジなどの、脱インクプロセスからの廃棄物を含む。さらにまた、スラッジは、製紙工場からのスラッジ、廃棄物、および残留物などの廃棄物を含む。典型的には、これらの製紙工場からの廃棄物は、生物スラッジを含まない。さらにまた、スラッジは、廃水処理工場からの、スラッジなどの廃棄物、たとえば一次スラッジおよび/または生物スラッジなどを含み得る。さらにまた、スラッジは、製紙工程から出るスラッジ、廃棄物および残留物などの廃棄物を含み得る。さらにまた、スラッジは、他の工程から出る、スラッジおよび廃棄物も含み得る。これに関連して、RCFスラッジとは、RCFの廃棄物のいかなるものをも意味しており、たとえば、脱インク廃棄物、または、RCF工程から出る、すなわち古紙が処理される、再循環または再生繊維工場から出る、異なるRCF廃棄物のあらゆる組み合わせを意味する。スラッジは、紙の被覆に使用される無機物、ならびに、充填剤および印刷インク、ならびに、繊維、微粒子、および、のり、ラテックス、接着剤などの粘着物質、ならびに他の無機成分、ならびに/または少量の他の成分、好ましくは、他の廃棄物を含み得る。一実施例において、スラッジは、50〜90%(w/w)、たとえば60〜80%(w/w)の無機成分を含む。一実施例において、スラッジは、90%(w/w)以下の、たとえば85%(w/w)以下の無機成分を含む。一実施例において、スラッジは、55%(w/w)より多くの、たとえば60%(w/w)より多くの無機成分を含む。スラッジは、乾燥固体含有量が、約50〜70%であり得る、高固体スラッジであってもよい。スラッジは、使用する前に、高固体スラッジを形成するために脱水してもよい。一実施例においては、スラッジは、重力テーブル、ディスクフィルタ、および/またはねじプレスなどによって、脱水の時に処理してもよい。
【0035】
一実施例において、スラッジは、古紙処理から出る50〜100%(w/w)の廃棄物を含む。一実施例において、スラッジは、古紙処理から出る80〜100%(w/w)の廃棄物を含む。一実施例において、スラッジは、古紙処理から出る80%(w/w)より多い、好ましくは90%(w/w)より多い廃棄物を含む。一実施例において、スラッジは、80%(w/w)より多いRCFスラッジを含む。一実施例において、スラッジは、90%(w/w)より多いRCFスラッジを含む。一実施例において、スラッジは、80〜100%(w/w)のRCFスラッジを含む。一実施例において、スラッジは、製紙工場から出る50%(w/w)以下の、または40%(w/w)以下の、または30%(w/w)以下の、または20%(w/w)以下の廃棄物を含む。一実施例において、スラッジは、製紙工場から出る10%(w/w)以下の廃棄物を含む。一実施例において、スラッジは、廃水処理工場から出る、50%(w/w)以下の、または40%(w/w)以下の、または30%(w/w)以下の、または20%(w/w)以下の廃棄物を含む。一実施例において、スラッジは、廃水処理工場から出る10%(w/w)以下の廃棄物を含む。一実施例において、スラッジは、50%(w/w)以下の、または40%(w/w)以下の、または30%(w/w)以下の、製紙工場からの廃棄物と、廃水処理工場からのスラッジとを含む。一実施例において、スラッジは、20%(w/w)以下の、製紙工場からの廃棄物と、廃水処理工場からのスラッジとを含む。一実施例において、スラッジは、製紙工場から出る50〜100%(w/w)の廃棄物を含む。一実施例において、スラッジは、廃水処理工場から出る、50%(w/w)以下の廃棄物を含む。
【0036】
乾燥は、1または複数の乾燥工程において行われる。一実施例において、乾燥は、1つの工程で行われる。一実施例において、乾燥は少なくとも2つの工程において行われる。好ましくは、乾燥後、乾燥スラッジの水分量は、15%以下、または10%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2%以下、または1%以下である。
【0037】
乾燥は、間接式乾燥機、直接式スラッジ乾燥機、パドル式乾燥機、気流乾燥機、流動層乾燥機、サイクロン乾燥機、エア式乾燥機、エア式研磨機、回転式ミル、遠心ミル、乱気流ミル、乱気流乾燥機、他の適切な乾燥機、他の適切なミル、およびそれらの組み合わせの群から選択される乾燥装置によって行うことが可能である。乾燥は、粒子を互いに分離することが可能であるようなエア式乾燥機、エア式研磨機によって行うことが可能である。一実施例においては、乾燥は回転式ミルによって行われる。乾燥が回転式ミルによって行われる場合には、熱による乾燥および機械的乾燥を同時に行ってもよく、これによって、確実に、乾燥の間、材料を繊維に分解して乾燥させることができる。次にさらなる繊維分解工程は不要である。他の乾燥装置も使用可能である。一実施例において、乾燥装置は、研磨機としての役目を果たすことも可能である。一実施例において、繊維への分解は、乾燥と同時に行われる。一実施例において、乾燥には低温を利用してもよい。一実施例において、スラッジは25〜170℃の間の温度で乾燥され、好ましくは、25〜100℃の間、または100〜170℃の間、より好ましくは、25〜60℃の間、または50〜100℃の間、または100〜160℃の間の温度で乾燥される。温度は、有機成分が損傷を受けないように選択することが重要である。さらにまた、残留熱、たとえばミルからの残留熱を、本発明の工程において利用してもよい。
【0038】
一実施例において、発明の方法は、スラッジを乾燥した後、スラッジ塊を分離または分解するための工程をさらに含む。スラッジ塊の分解は、それ自体が知られた分解装置または粉砕装置によって行うことが可能である。
【0039】
一実施例において、スラッジは、乾燥に関連させて粉砕される。一実施例において、スラッジ塊は、乾燥中に破砕され、その後の分離粉砕工程は不要である。一実施例において、発明に従った方法は、乾燥の前にスラッジを粉砕する前処理工程を含む。粉砕は、それ自体が知られた粉砕装置によって行うことが可能である。
【0040】
複合製品に使用される脱インクスラッジは、一般に、輸送および/または使用の前に乾燥される。乾燥されたスラッジの水または水分は、0.1〜10%(w/w)の範囲、たとえば、0.1〜1%(w/w)の範囲であればよい。スラッジは25〜45%(w/w)の範囲で有機材料を含んでいてもよく、55〜75%(w/w)の範囲で無機物を含んでもよく、通常は、(一般には、全成分の50〜60%(w/w)の範囲で)炭酸カルシウムを含む。他の無機物はカオリン、滑石を含む。有機材料は、主としてセルロース繊維などの有機繊維、接着剤、ラテックス、でんぷん、および樹脂、脂肪酸および樹脂酸などの他の抽出樹木成分を含む。いくつかの実施例において、スラッジは約17〜19%のセルロース繊維を含む。粘着剤(接着剤、ラテックス、でんぷんなど)の量は、たとえば、約11〜13%の範囲内であればよく、抽出物の量は約0.5%であればよい。一実施形態において、スラッジは、10〜30%(w/w)の範囲内のセルロース繊維を含み、たとえば、15〜25%(w/w)の範囲内の、たとえば17〜23%(w/w)の範囲内のセルロース繊維を含む。一実施形態において、スラッジは、55〜75%(w/w)の範囲内の無機物を含み、たとえば、65〜75%(w/w)の範囲内の、たとえば67〜73%(w/w)の範囲内の無機物を含む。一実施形態において、スラッジは、10〜30%(w/w)の範囲内のセルロース繊維と、55〜75%(w/w)の範囲内の無機物とを含む。一実施形態において、スラッジは、15〜25%(w/w)の範囲内のセルロース繊維を含み、65〜75%(w/w)の範囲内の無機物を含む。他の言い方をすれば、有機物として(たとえばおよそ30%)、および無機物として(たとえばおよそ70%)、成分を定義してもよい。スラッジの全成分100%は、ごく少量のインク、およびその他の物質、たとえば、他の有機材料も含む。
【0041】
インク成分は、たとえば、スラッジの全乾燥成分の0.01〜1%(w/w)の範囲内であればよい。有機繊維は、多くはセルロース繊維であり、したがって、繊維のセルロース成分は、80〜100%、たとえば90〜100%、たとえば95〜100%の範囲内であればよい。一実施例において、有機繊維は、実質的にセルロース繊維からなり、たとえばおよそ99%、または100%のセルロース繊維から成り、または99〜100%のセルロース繊維から成る。
【0042】
一般に、本複合材料は5〜90%の範囲の量の乾燥スラッジを含んでもよい。一実施形態において、複合材料は、30〜80%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジを含む。一実施形態において、複合材料は、30〜80%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジを含む。一実施形態において、複合材料は、55〜65%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジを含む。一実施形態において、複合材料は、20〜70%(w/w)の範囲の量の熱可塑性ポリマと、30〜80%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジとを含む。一実施形態において、複合材料は、30〜45%(w/w)の範囲の量の熱可塑性ポリマと、55〜70%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジとを含む。複合材料の乾燥重量中の脱インクスラッジの全量の例は、およそ30%、40%、50%、60%、70%、80%、および90%(w/w)を含む。
【0043】
複合材料は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマまたは熱可塑性プラスチックを含む。熱可塑性プラスチックは、特定の温度を超えると曲げやすく、成形可能になり、冷却すると固体状態に戻るプラスチックである。熱可塑性ポリマの例は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオライド(テフロン)、ポリエチレンテレフタレート、およびそれらの混合物を含む。
【0044】
熱可塑性ポリマは、熱可塑性ポリオレフィンとしてもよく、またはその混合物、または、ポリオレフィンと別の熱可塑性ポリマとの混合物、または熱可塑性ポリマから派生したポリマとしてもよい。熱可塑性ポリオレフィンの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、およびポリブテン−1を含む。一実施形態において、熱可塑性ポリマは、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などのポリオレフィンを含む、またはかかるポリオレフィンからなる。一実施形態において熱可塑性ポリマは、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィンを含む。一実施形態において、熱可塑性ポリマは、ポリオレフィンである。
【0045】
一実施例において、熱可塑性ポリマは、200℃以上の融点を有する。かかる場合、熱可塑性ポリマは、たとえば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリカーボネートから選択可能である。いくつかのポリエチレンはかかる高い融点を有し得る。
【0046】
ポリプロピレンは、およそ−20℃のガラス遷移温度を有する熱可塑性ポリマ(アタクチックポリプロピレン)、またはおよそ0℃のガラス遷移温度を有する熱可塑性ポリマ(イソタクチックポリプロピレン)である。適切なポリプロピレン、またはポリプロピレンから派生したポリマの例は、PP−ホモポリマ、ランダムPPコポリマ、PPブロックコポリマ、PPターポリマ、PPエラストマ、およびPPプラストマを含む。
【0047】
ポリエチレンは、密度および分枝に基づいていくつかの異なる種類に分類される熱可塑性ポリマである。かかる種類には、ポリエチレン超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、超低分子量ポリエチレン(ULMWPEまたはPE−WAX)、高分子量ポリエチレン(HMWPE)、高分子量ポリエチレン(HDPE)、高密度架橋ポリエチレン(HDXLPE)、架橋ポリエチレン(PEXまたはXLPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、および塩素化ポリエチレン(CPE)が含まれる。その融点およびガラス遷移温度は、ポリエチレンのタイプに依存して異なる。中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンの場合、融点は、典型的には、120〜180℃の範囲であり、平均的な低密度ポリエチレンの場合、105〜115℃の範囲である。LDPEのガラス遷移温度は.およそ−125℃である。
【0048】
ポリ塩化ビニル(PVC)は、モノマ塩化ビニルの重合によって生成されるポリマである。未加工のPVCの熱安定性は非常に悪く、したがって、製品の特性を確保するためには、加工中に熱安定剤を加えることが必要である。温度が140℃に達すると、PVCは分解を開始し、また、160℃あたりは融点である。
【0049】
一実施形態において、天然繊維プラスチック複合製品は、10〜80%(w/w)(乾燥重量)のプラスチックポリマ、好ましくは熱可塑性ポリマを含む。一実施形態において、天然繊維プラスチック複合製品は、20〜80%(w/w)(乾燥重量)のプラスチックポリマ、好ましくは熱可塑性ポリマを含む。一実施形態において、熱可塑性ポリマの全量は、複合材料の乾燥重量の10〜60%の範囲内である。一実施形態において、熱可塑性ポリマの全量は、複合材料の乾燥重量の10〜50%の範囲内である。一実施形態において、熱可塑性ポリマの全量は、複合材料の乾燥重量の10〜40%の範囲内である。一実施形態において、熱可塑性ポリマの全量は、複合材料の乾燥重量の10〜30%の範囲内である。複合材料の乾燥重量における熱可塑性ポリマの全量の例は、およそ10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%および80%(w/w)を含む。
【0050】
一実施形態において、複合材料は、10〜70%の範囲の量の熱可塑性ポリマと30〜90%(w/w)の範囲内の乾燥脱インクスラッジとを含む。一実施形態において、複合材料は、20〜70%の範囲の量の熱可塑性ポリマと30〜80%(w/w)の範囲内の乾燥脱インクスラッジとを含む。一実施形態において、複合材料は、30〜70%の範囲の量の熱可塑性ポリマと30〜70%(w/w)の範囲内の乾燥脱インクスラッジとを含む。
【0051】
一実施形態において、熱可塑性ポリマは、ポリオレフィンを含む。一実施形態において、ポリオレフィンの全量は、複合材料において使用される熱可塑性ポリマの、少なくとも60%(w/w)または少なくとも70%(w/w)、より好ましくは少なくとも75%(w/w)または少なくとも80%(w/w)、最も好ましくは少なくとも85%(w/w)または少なくとも90%(w/w)である。
【0052】
複合材料は、未使用のおよび/または再利用された熱可塑性ポリマを含んでもよい。一実施形態において、複合材料中の熱可塑性ポリマの少なくとも50%(w/w)、または少なくとも60%(w/w)が再利用されている。また、再利用された熱可塑性ポリマだけを用いることも可能である。一実施例において、複合材料は、少なくとも1種の再利用された熱可塑性ポリマを含み、より好ましくは、複合材料は、少なくとも2種の再利用された熱可塑性ポリマを含む。一実施例において再利用された熱可塑性ポリマは、ポリエチレン(PE)および/またはポリプロピレン(PP)および/またはポリ塩化ビニル(PVC)および/またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
【0053】
複合材料は、さらに無機充填剤を含んでもよい。無機充填剤は、カオリン粘土、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、二酸化チタン、珪灰石、滑石、雲母、シリカ、またはそれらの混合物を含んでもよい。複合材料は、さらにまた、着色剤、紫外線安定剤、架橋剤、発泡剤、および潤滑剤などの添加物を含んでもよい。着色剤または染料を、スラッジ中に存在する印刷インクに由来する複合材料の暗色の補償のために使用可能であり、または黒色であっても使用可能である。有用な着色剤の例には、黒色および白色が含まれ、これらは、製品をより満足度の高い色にするために使用可能である。しかしながら、着色剤は通常、印刷インクの所望しない色をすべて隠すことができるわけではない。一実施例において、複合材料は、架橋剤を含む。複合製品中の架橋剤の含有量は、1〜3%(w/w)の範囲内とすることが可能である。架橋剤は、たとえば、無水マレイン酸官能基化HDPE(高密度ポリエチレン)、無水マレイン酸官能基化LDPE(低密度ポリエチレン)、無水マレイン酸変性ポリエチレン(MAHPE)、無水マレイン酸官能基化EP(エチレン−プロピレン)共重合体、アクリル酸官能基化PP(ポリプロピレン)、HDPE、LDPE、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)およびEP共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ビニルトリアルコキシシラン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0054】
一実施形態は、天然繊維プラスチック複合製品を作製するための方法であって、熱可塑性ポリマを提供することと、セルロース繊維と無機物とを含むスラッジの脱インクを行うことと、これらの材料を混合することと、混合物を複合製品に成形することとを含む方法を提供する。熱可塑性ポリマは、顆粒状または粒子状で提供することが可能である。これは、顆粒状物質であって、その物質の粒子サイズが十分に小さく、それによってこの物質それ自身が、実質的に自由流動性を有する凝集体になる顆粒状物質の物理的状態について言及している。この用語は、紛体形状と同じくらい細かい物質の状態を含む。材料を混合した後、その混合物を所望の温度にまで加熱し、熱可塑性ポリマを融解し、所望の製品に成形可能な溶解物を成形する。成形は、たとえば複合材料を複合材品への成形を含む。複合製品を成形後、熱可塑性ポリマを硬化または冷却して最終製品を得ることが可能である。この処理は、バッチ処理でも連続処理でもよい。
【0055】
一実施例において、天然繊維プラスチック複合製品を作製するための方法は、
− 熱可塑性ポリマと、
セルロース繊維および無機物を含むスラッジとを、
提供することと、
− 前記材料を混合することと、
− 前記混合物を熱可塑性ポリマの融点以上に加熱することと、
− 前記混合物を複合製品に成形することと、
を含む。一実施形態において、脱インクスラッジは乾燥されたものとして提供される。
【0056】
熱可塑性ポリマの融解温度または融点は、たとえば、約120℃、約130℃、約150℃、約155℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、約200℃、約220℃、約300℃、または327℃が可能である。非常に高い融点の一例は、ポリアミド(ナイロン)の約190〜350℃、またはポリテトラフルオライド(テフロン)の約327℃である。「熱可塑性ポリマの融点以上」とは、熱可塑性ポリマが少なくとも部分的に融解して、加工が可能になる温度を意味しており、融解温度を含んでもよい。
【0057】
一実施例において、天然繊維プラスチック複合製品を作製するための方法は、
− 熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含むスラッジとを、提供することと、
− 前記材料を混合することと、
− 前記混合物を加熱して、熱可塑性ポリマを少なくとも部分的に融解することと、
− 前記混合物を複合製品に成形することと、
を含む。
【0058】
熱可塑性ポリマを融解するために使用される温度は、たとえば120〜380℃の範囲、たとえば150〜360℃、たとえば180〜360℃であればよい。一般的には、380℃までの温度が使用されるが、総体的にその温度は、360℃まで、350℃まで、340℃まで、330℃まで、または300℃までであってよい。一実施形態において、温度は、200〜360℃の範囲内である。一実施形態において、温度は、200〜340℃である。一実施形態において、温度は、200〜300℃である。一実施形態において、温度は、220〜360℃である。一実施形態において、温度は、220〜340℃である。一実施形態において、温度は、220〜300℃である。一実施形態において、温度は、240〜360℃である。一実施形態において、温度は、250〜360℃である。200℃を超える、または210℃を超える、または220℃を超える、または230℃を超える、または240℃を超えるような、高い温度を利用する場合には、ポリスチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオライド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリカーボネート(PC)を使用してもよい。これらの材料は、融点が高く、それゆえ得られた製品も高温に耐えるものである。180℃より低い、または160℃より低いような低い温度では、ポリオレフィンも使用可能である。ポリオレフィンについては、たとえば、120〜190℃の範囲または120〜180℃の範囲の温度が使用可能である。一実施例において、温度は150〜200℃の範囲内にある。一実施形態において、温度は150〜200℃の範囲内にある。一実施形態において、温度は、180〜200℃の範囲内である。一実施形態において、温度は180〜220℃である。
【0059】
一実施例において、熱可塑性ポリマは、少なくとも200℃の融点を有し、たとえば、少なくとも220℃、または少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃である。一実施形態において、熱可塑性ポリマは、ポリスチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオライド、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリカーボネートから選択される熱可塑性ポリマを含む。
【0060】
一実施例において、天然繊維プラスチック複合製品を作製するための方法は、
− 200℃以上の融点を有する熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含むスラッジとを提供することと、
− 前記材料を混合することと、
− 前記混合物を200〜260℃の範囲の温度にまで加熱することと、
− 前記混合物を複合製品に成形することと、
を含む。
【0061】
一実施例において、天然繊維プラスチック複合製品を作製するための方法は、
− 220℃以上の融点を有する熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含むスラッジとを提供することと、
− 前記材料を混合することと、
− 前記混合物を200〜360℃の範囲の温度にまで加熱することと、
− 前記混合物を複合製品に成形することと、
を含む。
【0062】
ポリアミドは、アミド結合によってつなげられた繰り返し単位を有する高分子である。繰り返し単位のタイプの数に従って、ポリアミドは、単独重合体または共重合体であってもよい。
【0063】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、熱可塑性ポリマ樹脂であって、飲料、食品、および他の液体用の容器において、リサイクル可能な材料として使用可能である。グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)とは、PETであって、シクロヘキサンジメタノールが、エチレングリコールの代わりに、ポリマ骨格に添加されたPETをいう。一般に、PETは高温に耐えるものであり、その融点はおおよそ250〜260℃である。また、PETは、1,4−(パラ−)に結合したテレフタレート単位のいくつかを交換するイソフタル酸で修飾してもよい。これは、PET鎖に角度を形成することになり、結晶化と干渉し、ポリマの融点を低下させる。
【0064】
ポリカーボネートは、カーボネート基(−O−(C=O)−O−)を含むポリマである。商業用として関心のあるポリカーボネートのほとんどが硬質モノマに由来する。日用品プラスチックと工業用プラスチックとの間の、温度抵抗、衝撃抵抗、および光学特性を含む有用な特徴のバランスが、ポリカーボネートを位置づける。ポリカーボネートは、持続性のある材料である。ポリカーボネートは高い衝撃抵抗を有するが、ひっかき抵抗性は低く、したがって、ポリカーボネートのメガネレンズ、およびポリカーボネートの車両用外装部品には、硬質のコーティングが施される。ポリカーボネートの特性は、ポリメチルメタクリレート(PMMA、アクリル)の特性に似ているが、ポリカーボネートは広い温度範囲にわたって強くて有用なものである。ポリカーボネートの融点は、おおよそ230〜260℃であればよい。
【0065】
ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)は、軽量、または耐破砕性の、ガラス代替品としてしばしば利用される。これは、技術的にはガラスに分類されるものではないが、歴史的に、アクリルガラスと呼ばれてきている。化学的には、メチルメタクリレートの合成ポリマである。PMMAの融点は、約160℃である。
【0066】
ポリスチレン(PS)は、液体石油化学製品である、モノマスチレンから作られた合成芳香族ポリマである。ポリスチレンは、硬質ポリスチレンでも、発泡ポリスチレンでもよい。一般用のポリスチレンは、透明で、硬質、かつ脆弱である。また、単位重さあたりで、高額の樹脂ではない。ポリスチレンは、室温で固体(ガラス)状態であるが、ガラス転移温度である約100℃以上に加熱されると流れだす。冷却するとまた硬くなる。この温度挙動が、押し出し成形のために、また、鋳型成形および真空成形のために利用される。なぜなら、これは精密な鋳型に流し込むことが可能であるからである。
【0067】
一般に、熱可塑性ポリマを加熱した後、製品を冷却して材料を硬化させる。一般に、冷却は、製品の温度が、または少なくとも製品の表面が、20〜60℃の温度範囲の温度になる、または環境温度になるまで続けられる。この冷却は、1または複数の工程において行ってもよい。一実施例においては、たとえば約150〜180℃にて第1の冷却があり、約60〜140℃の温度で第2の冷却がある。製品の構造に悪影響を及ぼし得る成形品における大きな温度変化を回避するために、1つの冷却温度ではなく、複数の冷却温度を用いてもよい。複合製品に、この段階で最終形状を与えてもよく、または、たとえば、シートまたはペレットの形状から、加圧成形または成型技術などの熱成形方法によってさらに処理を行ってもよい。
複合材料製品は、上述のように、非発泡成形品でもよく、または発泡成形品でもよい。
【0068】
発泡複合製品
一実施形態において、複合製品、または複合材料は、発泡体のものである。より詳細には、一実施形態は、熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを含んでなる、発泡成形体としての天然繊維プラスチック複合製品と提供する。
【0069】
プラスチックの発泡は材料の節約になり、そして複合材料を軽量化するが、脆弱にする。また、発泡は精密な、すなわち寸法精度の高い製品の製造を可能にする。しかしながら、複合材料、たとえば、木材・プラスチック複合材料を発泡することは、融解強度が低く、泡の形成が制御できないので、問題がある。一般に、セルロース繊維などの繊維は、発泡を妨害する。
【0070】
一般に、複合材料は、5〜80%(w/w)の範囲の量の乾燥スラッジを含んでもよい。しかしながら、複合材料中に、ある量のスラッジ、たとえば、約60%(w/w)の乾燥スラッジを用いた場合、よい融解強度が得られ、複合材料の発泡が良好に行えるといことが発見された。一般に、高い融解強度を保ちながら、このように高い割合で充填材料を使用することはできない。これは、スラッジの繊維含有量が比較的低く、および/または粒子サイズが比較的小さいからであるかもしれない。
【0071】
一実施形態において、複合材料は、発泡熱可塑性ポリマ中に、30〜65%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジを含む。一実施形態において、複合材料は、発泡熱可塑性ポリマ中に、55〜60%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジを含む。一実施形態において、複合材料は、35〜70%(w/w)の範囲の量の熱可塑性ポリマと、30〜65%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジとを含む。複合材料は、40〜45%(w/w)の範囲の量の熱可塑性ポリマと、55〜60%(w/w)の範囲の量の乾燥脱インクスラッジとを含む。
【0072】
発泡熱可塑性ポリマを使用する場合、必要な材料は少なくてすむので、材料コストが節約されながら、より軽量の製品を得ることが可能である。
【0073】
発泡は、一般には、発泡剤を用いて行われる。発泡剤は、ポリマ、プラスチック、および金属などの、硬化または位相転位がある種々の材料における発泡プロセスを介して、セル構造を生成することが可能な物質である。それらは、典型的には、発泡材料が液体状態のときに付与される。マトリックス状のセル構造は、密度を低下させ、断熱性および防音性を高めるが、原ポリマの相対剛性を高める。
【0074】
発泡剤は、一般に、物理的発泡剤と化学的発泡剤との2種類に分類される。様々なガスおよび揮発性液体が物理的発泡剤として使用される。化学的発泡剤(CFA)は、熱分解時にガスを放出する有機または無機化合物であってもよい。CFAは、中密度〜高密度の発泡体を得るために典型的に使用され、低密度の発泡体を得るために、しばしば物理的発泡剤と同時に使用される。物理的発泡剤の例は、二酸化炭素、窒素ガス、およびペンタン、イソペンタン、シクロペンタンなどの炭化水素を含む。
【0075】
化学的発泡剤は、たとえばイソシアネートおよび水(PU用)、アゾ、ヒドラジンおよび他の窒素系材料(熱可塑性およびエラストマ系用)、重炭酸ナトリウム(別名、重曹、熱可塑性発泡体で使用)を含む。ここで、ガス状生成物および他の副産物は、化学反応によって形成され、プロセスまたは反応しているポリマの発熱によって促進される。発泡反応は発泡ガスとして作用する低分子量化合物を形成することを生じるので、追加の発熱がまた放出される。
【0076】
化学的発泡剤は、熱可塑性ポリマと脱インクスラッジとの混合物に、たとえば混合物の加熱前に、または加熱中に添加されてもよい。
【0077】
一実施形態は、天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法を提供し、その方法は、熱可塑性ポリマとセルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを提供することと、前記材料を混合および発泡させることと、前記混合物を複合製品に成形することとを含む。前記材料を混合した後、混合物は、所望の温度にまで加熱されて熱可塑性ポリマを融解させ、発泡可能でかつ所望の製品に形成可能な融解物を形成する。複合製品を成形した後、熱可塑性ポリマは硬化または冷却されて最終製品を得る。一般に、通常の複合材料のために上述されたものと同一の材料およびプロセス条件は、発泡複合材料を作製するためにも使用されてもよい。
【0078】
熱可塑性ポリマを融解させるために用いられる温度は、たとえば150〜360℃の範囲、たとえば180〜360℃であってもよい。一実施形態において、前記温度は、200〜360℃の範囲である。一実施形態において、前記温度は、200〜340℃の範囲である。一実施形態において、前記温度は、220〜360℃の範囲である。一実施形態において、前記温度は、240〜360℃の範囲である。200℃以上または220℃以上などの高温を用いるとき、ポリスチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオライド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メチルメタクリレート)およびポリカーボネート(PC)などのポリマが使用されてもよい。これらの材料は高い融点を有するので、得られた製品は、高温にも耐えるであろう。180℃以下または160℃以下などの低温において、ポリオレフィンがまた使用されてもよい。ポリオレフィンによって、たとえば100〜190℃または100〜180℃の範囲の温度が用いられてもよい。
【0079】
一実施例において、発泡天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法は、
− 熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを提供することと、
− 前記材料を混合することと、
− 前記混合物を前記熱可塑性ポリマの融点以上に加熱することと、
− 前記混合物を発泡させることと、
− 前記混合物を複合製品に成形することと、
を含む。
【0080】
一実施例において、発泡天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法は、
− 少なくとも200℃の融点を有する熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジを提供することと、
− 前記材料を混合することと、
− 前記混合物を200〜360℃の範囲の温度にまで加熱することと、
− 前記混合物を発泡させることと、
− 前記混合物を複合製品に成形することと、
を含む。
【0081】
一実施例において、発泡天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法は、
− 少なくとも220℃の融点を有する熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを提供することと、
− 前記材料を混合することと、
− 前記混合物を220〜360℃の範囲の温度にまで加熱することと、
− 前記混合物を発泡させることと、
− 前記混合物を複合製品に成形することと、
を含む。
【0082】
2層複合製品
脱インクスラッジにおけるインクおよび他の不純物は、最終複合製品の外観に影響を与えてもよい。また、製品の色は、特に屋外使用または保存においてあせてもよい。製品の外観に影響を与えてもよいスラッジの色および組成にばらつきがあってもよい。したがって、不透明被覆層などの被覆層を、脱インクスラッジを含む色付き複合材料に塗布することができる。被覆層は、塗料の層などであってもよく、または異なる複合材料の層であってもよい。被覆層は、第1の層または外側層と呼ばれてもよく、脱インクスラッジを含む他の層は、第2の層、または内側層、もしくは内側複合材料と呼ばれてもよい。
【0083】
一実施形態は、天然繊維プラスチック複合製品であって、第1の層と第2の層とを含み、第1の層が製品の表面の少なくとも一部を形成する、天然繊維プラスチック複合製品を提供し、その天然繊維プラスチック複合製品において、
− 第1の層は、熱可塑性ポリマとセルロースベースの粒子とを含み、
− 第2の層は、熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを含む。脱インクスラッジは、不純物としてインクをさらに含む。第2の層は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを含む、ここに記載されたいずれかの複合材料を含んでもよい。一般に、上述したものと同一の材料およびプロセス条件は、第2の層を作製するためにも使用されてもよい。
【0084】
一実施形態において、熱可塑性ポリマは、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィンを含む。一実施形態において、熱可塑性ポリマは、ポリオレフィンである。
【0085】
一実施形態において、第2の層は、少なくとも200℃、たとえば上述のように、少なくとも220℃または少なくとも240℃の融点を有する熱可塑性ポリマを含む。一実施形態において、熱可塑性ポリマは、ポリアミド、PETおよびポリカーボネートから選択される熱可塑性ポリマを含む。
【0086】
一実施形態において、第2の層は、熱可塑性ポリマが発泡体のものである複合材料である。特に、一実施形態において、第2の層、または第2の層の複合材料は、発泡体のものである。このような場合、製品は軽量であり、第1の層は発泡された第2の層を保護し、こうして機械的強度および耐久性を提供する。得られた製品は、たとえば屋外使用、または内側層を保護することが望まれる他の使用に適している。したがって、一実施形態において、第1の層は発泡されておらず、第2の層は発泡されている。
【0087】
第1の層は、製品の表面の少なくとも一部を形成する。換言すれば、第1の層は、第2の層を少なくとも部分的に覆う。インクなどの不純物の量は、好ましくは、複合製品の第1の層よりも、製品の第2の層がより多い。第1の層は、第2の層の少なくとも1面、たとえば1、2、3または4面を覆ってもよい。
【0088】
第1の層が少なくとも部分的に第2の層、すなわち内側層を覆うとき、第2の層は、多量の再生脱インクスラッジを含んでいてもよい。スラッジに存在するインクのために、第2の層の色は暗い。通常、このような複合製品の外表面は明るい色を有することが望まれるので、第2の層はより受容可能な外観を有する材料からなる第1の層で覆われる。
【0089】
一般に、天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法は、
− 前記製品の第1の層であって、熱可塑性ポリマ材料とセルロースベースの粒子とを含み、前記製品の表面の少なくとも一部を形成する第1の層を形成することと、
− 熱可塑性ポリマとセルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを含む、前記製品の第2の層を形成することと、
を含む。
【0090】
一実施形態は、天然繊維プラスチック複合製品を製造するための方法を提供し、その方法は、
− 前記製品の第1の層であって、熱可塑性ポリマとセルロースベースの粒子とを含む混合物から、前記製品の表面の少なくとも一部を形成する第1の層を形成することと、
− 熱可塑性ポリマとセルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを含む混合物から、前記製品の第2の層を形成することと、
を含む。
【0091】
一実施形態は、前記混合物を前記第2の層に形成する前に、前記第2の層を形成する混合物を発泡させることを含む。このような場合、前記第2の層は、
− 熱可塑性ポリマとセルロース繊維および無機物を含む脱インクスラッジとを提供することと、
− 前記材料を混合することと、
− 前記混合物を前記熱可塑性ポリマの融点以上に加熱することと、
− 前記混合物を発泡させることと、
− 前記混合物を複合製品に成形することと
によって作製されてもよい。
【0092】
一般に、第1の層は、熱可塑性ポリマとセルロースベースの粒子とを提供することと、前記材料を混合することと、前記混合物を前記熱可塑性ポリマの融点以上に加熱することと、前記混合物を複合製品に成形することとによって作製される。
【0093】
第1の層および/または第2の層は、積層プロセス、接着プロセス、成形プロセス、押出プロセスまたは溶接プロセスにおいて形成されてもよい。
【0094】
押出は、一定の断面形状の物体を作製するのに用いられるプロセスである。材料が所望の断面の金型を通って押されまたは引かれる。他の製造プロセスを超えるこのプロセスの2つの主な利点は、非常に複雑な断面を作製することができることと、材料が圧縮応力およびせん断応力だけを受けるので、脆い材料を加工することができることとである。また押出は、優れた表面仕上げを伴う部品を形成する。押出プロセスにおいて、熱可塑性ポリマと充填剤および/または強化材料とは、混合されて押出機に供給され、そこで材料は所望の温度にまで加熱され、金型を通って押されて押出成形品を得る。押出は、連続的(無限に長い材料を理論的に製造)または半連続的(多数の部品を製造)であってもよい。押出プロセスの一例は、押出成形である。
【0095】
共押出は、複数の押出成形品が冷却前に層構造に融合し溶接するように配置された2以上の開口を有する単一の金型を通って2以上の材料を押出すプロセスである。各材料は、別個の押出機から金型に供給されるが、開口は、各押出機が同じ材料の2以上の薄層を供給するように配置されてもよい。共押出の利点は、積層体の各薄層が、剛性、熱シール性、不浸透性または耐環境性などの所望の特徴的な特性を与えることであるが、すべての特性はいずれの単一の材料では達成できないであろう。
【0096】
驚くべきことに、第1の層と第2の層とは、共押出プロセスによって有効に形成可能であることが見出された。第2の層における大量の不純物は、2つの層の取付けを妨げたかもしれず、共押出の使用を促進しなかった。第2の層は、リグニンまたは2つの層の取付けを支援し得る他の物質をさらに欠いている。
【0097】
一実施例において、第1の層および第2の層は、共押出プロセスによって形成される。このプロセスは、2つの層を含む製品を異なる原料で製造するのに有効な方法である。たとえば、原料の流れ特性は、共押出プロセス中、別個に制御されてもよい。共押出を用いることによって、発泡層などの「弱い」第2の層の特性が補償されてもよい。共押出された発泡されていない第1の層は、その高い衝撃強さおよび少量の不純物のために、発泡された第2の層を有する製品に強度を与える。脱インクスラッジを含む第2の層は、共押出によって、外側の第1の層に有効に取付けられてもよい。これは、長期の耐久性を有し、機械的応力を許容する様々な製品を製造することができるという効果を与える。このような製品は、たとえば、屋外で床要素などとして使用されてもよい。共押出は、接着剤または接着テープを積層してまたは用いて適切に取付けることができない、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィンのために特に使用されてもよい。
【0098】
一実施例において、第1の層および第2の層は、まず、たとえば射出成形プロセスまたは押出プロセスにおいて、別個に形成され、その後、両層は、たとえば積層プロセスにおいて相互に取付けられる。
【0099】
一実施例において、複合製品の寸法の1つは、前記製品の2つの他の寸法よりも少なくとも10倍大きい。
【0100】
一実施形態において、天然繊維プラスチック複合製品は、デッキボードまたはファサードパネルなどの建築要素、もしくは造園要素である。複合製品の例は、手すり、フェンスまたは遮音材を含む。天然繊維プラスチック複合製品は、他の製品の表面を覆うために使用される、カバーストリップなどの製品であってもよい。
【0101】
以下の参照符号が図面において使用される。
符号の説明
11 天然繊維プラスチック複合製品(複合製品)
12 天然繊維プラスチック複合製品の第1の層
12a 第1の層の厚み
13 天然繊維プラスチック複合製品の第2の層
13a 第2の層の厚み
14 天然繊維プラスチック複合製品の孔
21 固定具
21b 固定具の頭部
22 固定部材
23 ベース要素
31 天然繊維プラスチック複合製品用原料
32 天然繊維を形成するために構成された装置
【0102】
天然繊維プラスチック複合製品11の「第1の層」12とは、複合製品11の表面領域の少なくとも一部を形成する層をいう。好ましくは、第1の層12は、製品11が使用されるとき、少なくとも部分的に見える。たとえば、建築要素の場合、第1の層12は、好ましくは、使用時に見える側面の表面を形成する。床の一部を形成するデッキボードの場合、第1の層12は、好ましくは、デッキボードの少なくとも上面を覆う。
【0103】
天然繊維プラスチック複合製品11の「第2の層」13とは、第1の層12によって少なくとも部分的に覆われる層をいう。換言すれば、天然繊維プラスチック複合製品の「第2の層」13とは、少なくとも部分的に第1の層12「の下」にある層をいう。第2の層13は、内側層であってもよい。好ましくは、第2の層13は、製品11が使用されるとき、見えない。しかしながら、一実施例において、第2の層は、製品11が使用されるとき、部分的に見える。
【0104】
天然繊維プラスチック複合繊維11は、2つの層を含んでもよい。また、3以上の層、たとえば3、4、5、6、7、8またはさらに9以上の層を含んでもよい。いくつかの実施例において、製品11は、2、3または4つの層を含む。一実施例において、第1の層と第2の層との間に少なくとも1つの接着層が存在する。
【0105】
「セルロースベースの粒子」とは、セルロースを含有する植物材料に由来してもよいセルロース粒子をいう。該粒子は、粉塵(粉末)の形態であってもよく、好ましくは、少なくとも部分的に繊維の形態である。本願において、少なくとも0.1mm、より好ましくは、少なくとも0.2mmの長さを有する粒子が繊維粒子または繊維と呼ばれ、上述の大きさよりも小さな粒子が粉末粒子または粉末と呼ばれる。
【0106】
天然繊維プラスチック複合材料は、たとえば木材プラスチック複合材料であってもよく、すなわちセルロースベースの粒子が木材に由来する。一実施例において、第1の層のセルロースベースの粒子の少なくとも30%(w/w)、より好ましくは、少なくとも80%(w/w)、最も好ましくは、少なくとも90%(w/w)が、木材ベースの粒子である。木材は、トウヒ、マツ、モミ、カラマツ、ベイマツ、またはアメリカツガなどの針葉樹、もしくはカバノキ、アスペン、ポプラ、ハンノキ、ユーカリまたはアカシアなどの広葉樹、あるいは針葉樹と広葉樹との混合物であってもよい。非木材材料は、農業残渣、草、または、わら、葉、樹皮、種、さや、花、綿の実、トウモロコシ、小麦、エンバク、ライ麦、大麦、コメ、亜麻、大麻、マニラ麻、サイザル麻、ジュート、カラムシ、ケナフ麻、バガス、竹またはアシなどの他の植物性物質であってもよい。セルロースベースの粒子は、未使用であってもよく、再利用されてもよい。
【0107】
一実施例において、製品11の第1の層12のセルロースベースの粒子は、低リグニン含有量のセルロースベースの粒子を含む。有利には、セルロースベースの粒子は、化学的に処理されたセルロース粒子(すなわちいわゆるリグニンフリーセルロース粒子)を含む。あるいは、セルロースベースの粒子は、粒子のリグニン含有量が元来低い植物材料に由来する。
【0108】
再利用原料ならびに不均質な他の原料および/または色付き原料の量は、環境上の理由および/または効率上の理由のために、複合製品11において増加させる必要があり得る。しかしながら、製造された製品11の表面の欠陥の量は、前記原料の添加にともなって増加する可能性があり、したがって、複合製品11の表面の外観および/または強度特性が悪くなり得る。製品11の表面の少なくとも一部を覆う第1の層を含む新規な複合製品11のために、従来の製品よりもより多くの量の再生材料および/または色付き材料および/または不均質な材料を、複合製品11用の原料として使用することができる。したがって、製品11は、従来の製品よりも、より環境に優しい、および/または経済的であり得る。
【0109】
図1a〜図1eは、第1の層12と第2の層13とを含む製品11のいくつかの例を示す。図1a〜図1eにおいて、とりわけ、第1の層12の厚み12aと第2の層の厚み13aとが図示される。図1eは、孔14を有する複合製品の例を示す。
【0110】
第1の層12は、製品11の全表面領域に形成されてもよい。この場合、第1の層12は、第2の層14を全体的に覆う。あるいは、第2の層13の一部だけが第1の層12によって覆われてもよい。
【0111】
図1aおよび図1cは、第1の層12が複合製品11の1つの表面を覆う例を示す。図1bは第1の層12が複合製品11の少なくとも4つの表面を、少なくとも部分的に覆う、好ましくは、複合製品11の全表面領域を覆う例を示す。図1dは、第1の層12が少なくとも3つの表面を、少なくとも部分的に覆う例を示す。図1eは、建築用パネルの端面の例を示す。図1eに示される建築用パネルは、2つの孔14を含むが、この孔の数は変更してもよい。好ましくは、複合製品は、1、2、3、4、5または6つの孔14を有する。他の例において、複合製品は、孔14を含まない。したがって、製品11は、中実または中空形状として形成されてもよい。複合製品11の重量は、孔14のために、典型的に減少する。
【0112】
一実施例において、複合製品の第1の層12は、複合製品の表面領域の、少なくとも50%または少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%または少なくとも80%、最も好ましくは、少なくとも90%または少なくとも95%を形成する。最も有利には、複合製品の第1の層12は、使用時に見える製品11の表面領域の、少なくとも60%または少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%または少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%または少なくとも99%を形成する
【0113】
複合製品11の第1の層12の厚み12aは、好ましくは、少なくとも0.2mmまたは少なくとも0.3mm、より好ましくは、少なくとも0.4mmまたは少なくとも0.5mm、最も好ましくは、少なくとも0.6mmまたは少なくとも0.7mmである。また複合製品11の第1の層12の厚み12aは、好ましくは、5mm以下または4mm、より好ましくは、3mm以下または2.5mm、最も好ましくは、2.0mm以下または1.5mmである。一実施例において、第1の層12の厚み12aは、0.2〜5mmである。複合製品11の第1の層12の厚み12aは、好ましくは、第1の層の平均厚みとして決定される。製品11が、製品11の使用時に見える側部を有する場合、第1の層12の厚み12aは、好ましくは、製品11のその側部の平均厚みとして決定される。
【0114】
第2の層の厚み13aは、好ましくは、0.5〜40mm、より好ましくは、1〜20mm、最も好ましくは、3〜10mmである。第2の層13の厚み13aは、好ましくは、第2の層の平均厚みとして計算される。
【0115】
一実施例において、製品の長さは、製品の厚みの、好ましくは、少なくとも10倍、より好ましくは、50倍または100倍、最も好ましくは、200倍大きい。また、製品の幅は、製品の厚みの、好ましくは、少なくとも2倍、より好ましくは、少なくとも3倍、最も好ましくは、少なくとも5倍大きい。
【0116】
複合製品の第1の層は、セルロースベースの粒子を含む。セルロースベースの粒子のために、第1の層の特性は、改善され得る。一実施例において、製品の第1の層のセルロース粒子の量は、5〜80%(w/w)の範囲または10〜70%(w/w)の範囲、より好ましくは、15〜60%(w/w)の範囲または20〜50%(w/w)の範囲、最も好ましくは、30〜40%(w/w)の範囲である。セルロース粒子は、好ましくは、木材粉塵および/または機械パルプおよび/または化学パルプを含み、そのうち、粉末状または繊維状の化学パルプが好ましくは使用され、繊維状の化学パルプが最も好ましくは使用される。一実施例において、製品の第1の層におけるセルロースベースの粒子の少なくとも60%(w/w)、好ましくは、少なくとも70%(w/w)または少なくとも80%(w/w)、最も好ましくは、少なくとも90%(w/w)または少なくとも95%(w/w)が、低リグニン含有量の粒子、すなわち化学的に処理されたセルロース粒子および/または繊維のリグニン含有量が元来低い植物材料である。一実施例において、第1の層におけるセルロースベースの粒子の全量から計算される製品の第1の層におけるリグニンの量は、15%(w/w)未満または10%(w/w)未満、より好ましくは、5%(w/w)未満または3%(w/w)未満、最も好ましくは、2%(w/w)未満または1%(w/w)未満である。
【0117】
好ましくは、天然繊維プラスチック複合製品の第1の層は、熱可塑性ポリマを含む。熱可塑性ポリマの全量は、第1の層の20〜80%(w/w)の範囲、たとえば20〜60%(w/w)の範囲にあってもよい。第1の層は、未使用および/または再生された熱可塑性ポリマを含んでもよい。有利には、第1の層は、未使用の熱可塑性ポリマを含む。熱可塑性ポリオレフィンの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンおよびポリブテン−1を含む。
【0118】
一実施形態において、熱可塑性ポリマは、ポリオレフィン、すなわちポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)を含む、またはから成る。ポリオレフィンが使用される場合、複合製品の製造プロセスにおいて低い温度が用いられ得、したがって、セルロースベースの粒子の黒ずみを回避することができる。有利には、第1の層に使用される熱可塑性ポリマの少なくとも60%(w/w)または少なくとも70%(w/w)、より好ましくは、少なくとも75%(w/w)または少なくとも80%(w/w)、最も好ましくは、少なくとも85%(w/w)または少なくとも90%(w/w)がポリオレフィンである。
【0119】
一実施例において、熱可塑性ポリマは、ポリラクチド(PLA)を含む。この場合、ポリラクチドの全量は、第1の層における熱可塑性ポリマの少なくとも30%(w/w)または少なくとも40%(w/w)、たとえば少なくとも50%(w/w)または少なくとも60%(w/w)または少なくとも70%(w/w)または少なくとも80%(w/w)であってもよい。
【0120】
一実施例において、製品の第1の層および/または第2の層は、ポリ塩化ビニル(PVC)を含む。この場合、前記層におけるPVCの全量は、有利には、前記層におけるプラスチックポリマの少なくとも10%(w/w)、たとえば少なくとも30%(w/w)、たとえば少なくとも50%(w/w)である。
【0121】
第1の層は、無機充填剤を含んでもよい。無機充填剤は、好ましくは、カオリン粘土、珪灰石、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、二酸化チタン、滑石、雲母、シリカ、または上記無機充填剤のうちの2、3、4、5または6つから成る混合物を含んでもよい。最も好ましくは、第1の層における無機充填剤は、滑石を含む、またはから成る。
【0122】
一実施例において、第1の層は、20〜80%(w/w)の熱可塑性ポリマと、5〜80%(w/w)のセルロースベースの粒子と、0〜20%(w/w)の無機充填剤とを含み、前記材料の全量が、第1の層の少なくとも90%(w/w)、たとえば少なくとも95%(w/w)、たとえば少なくとも97%(w/w)を構成する。また、第1の層は、たとえば着色剤、紫外線安定剤、架橋剤、発泡剤および/または潤滑剤などの添加剤を含んでもよい。
【0123】
少なくともポリオレフィンの場合、複合製品は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、たとえば無水マレイン酸官能基化HDPE、無水マレイン酸官能基化LDPE、無水マレイン酸変性ポリエチレン(MAHPE)、無水マレイン酸官能基化EP共重合体、アクリル酸官能基化PP、HDPE、LDPE、LLDPE、およびEP共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ビニルトリアルコキシシラン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0124】
第1の層によって少なくとも部分的に覆われる第2の層は、異なる色を有するさらなる再生材料を含んでもよい。第1の層のために、複合製品は、耐候性であり、良好な強度特性を有することができ、たとえ第2の層の原料が時々変化したとしても、製品の表面にいかなる欠陥も存在しない。
【0125】
第1の層は、5%(w/w)未満または3%(w/w)未満、より好ましくは、2%(w/w)未満または1%(w/w)未満、最も好ましくは、0.5%(w/w)未満の不純物を含んでもよい。いくつかの実施例において、第1の層は、5%(w/w)未満または3%(w/w)未満、より好ましくは、2%(w/w)未満または1%(w/w)未満、最も好ましくは、0.5%(w/w)未満の、リグニン、印刷インク、シリコーンおよび/または接着剤、またはそれらの組み合わせなどの材料を含む。一実施形態において、第1の層は、5%(w/w)未満または3%(w/w)未満、より好ましくは、2%(w/w)未満または1%(w/w)未満、最も好ましくは、0.5%(w/w)未満の印刷インクを含む。一実施形態において、第1の層は、印刷インクを含有しない。いくつかの実施例において、第1の層は、5%(w/w)未満または3%(w/w)未満、より好ましくは、2%(w/w)未満または1%(w/w)未満、最も好ましくは、0.5%(w/w)未満のリグニンを含む。
【0126】
第1の層における少量の不純物、および熱可塑性ポリマおよびセルロース粒子のために、たとえ製品が、製品の第2の層における有意な量の不純物を含んでいたとしても、製品の表面は、良好な外観とともに良好な強度特性を有することができる。
【0127】
図2は、構成の一例を示す。図2において、複合製品11、第1の層12、第1の層の厚み12a、第2の層13、製品11の孔14、固定具21、固定具の頭部21b、固定部材22およびベース要素23が示される。
【0128】
好ましくは、複合製品11は、固定部材22に適合して複合製品11のベース要素23への良好な固定を達成する構造を有する。考慮が必要な、使用時における複合製品11の熱膨張が存在してもよい。
【0129】
一実施形態によれば、複合製品は、デッキボードまたはファサードパネルであり、複合製品11の構造は、固定部材22、好ましくはウーペーエムコーポレイションによって製造された、いわゆるTクリップが複合製品11とともに使用されてもよいものである。固定部材22は、製造された複合製品を、好ましくはねじまたは爪などの固定具21とともに固定するために使用されてもよい。固定具21は、固定部材22なしで使用されてもよい。一実施例において、複合製品は、固定具21、たとえばねじまたは爪のために用いられる長孔を含む。長孔のために、複合製品の熱膨張が許容される。別の実施例において、固定は、アルレール締付け固定部材などの、いわゆる支持レール固定部材によって実施される。
【0130】
製品11は、第1の層12が、製品11の見える表面を形成するように設置されてもよい。一実施例において、天然繊維プラスチック複合製品が建築物の一部を形成するように固定される。一実施例において、天然繊維プラスチック複合材がテラスの一部を形成するように固定される。
【0131】
一実施例において、固定具21は、頭部21bを含む。この場合、固定具は、たとえばねじまたは爪、好ましくはねじであってもよい。有利には、ねじ21の頭部21bは、図2に示されるように、製品11の表面と平行である。有利には、固定具21は、固定部材22とともに使用されて複合製品11をベース要素23に固定する。固定部材は、たとえばT字形状を有してもよい。
【0132】
図3は、削減された概略チャートにおいて、例示の実施形態を示す。図3は、天然繊維プラスチック複合製品11のための原料31、天然繊維プラスチック複合製品11を成形するために構成された装置32、および天然繊維プラスチック複合製品11を示す。
【0133】
本発明に従うシステムは、好ましくは、原料31を装置32に供給する少なくとも1つの供給装置を含み、該装置32は天然繊維プラスチック複合製品11を成形する。装置は、原料31を混合するための手段を含んでもよい。装置は、原料を所望の温度まで加熱するための手段と、好ましくは所望の温度を監視し、制御し、維持するための手段を含む。一実施形態において、装置は、材料を混合するための手段と材料を加熱するための手段とを含む。一実施例において、装置32は押出機である。一実施例において、装置32は、共押出機である。一実施例において、装置32は、射出成形装置である。
【0134】
第1の層、および第2の層は、好ましくは、押出機を用いた押出プロセスによって形成される。一実施形態において、第1の層、および第2の層は、共押出プロセスによって形成される。これらの場合、製造装置32は、ホットエクストルーダのような押出機を含む。押出機は、少なくとも1つの押出スクリュを含んでもよい。一実施例において、押出機は、2軸押出機である。一実施例において、押出機は、タンデム押出機であり、たとえば材料は、第1の装置において融解され、第2の装置に移動させられ、ガスが材料に注入される。
【0135】
一般例において、ナードル(Nurdles)(小ビーズ、しばしば業界において樹脂と呼ばれる)状の原化合物材料が、最上部に取り付けられたホッパから押出機のバレルに、重力によって供給される。添加物(液体、またはペレット状のいずれか)が、大抵の場合に用いられ、添加物は、ホッパに到着する前に、樹脂に混合されてもよい。材料は、供給口(バレルの背面に近接した開口)を介して入り、スクリュに接触する。回転スクリュ(たとえば毎分120回転までの回転を行う)は、プラスチックビーズを、加熱されたバレルに向かって前進させる。粘性加熱、およびその他の影響により、所望の押出温度が、バレルの設定温度に等しくなることは稀である。大抵のプロセスにおいて、加熱プロファイルは、バレルに対して設定され、バレルにおいては、3つ以上の独立PID制御ヒータゾーンが、バレルの温度を(プラスチックが入る)背面から前面に向かって徐々に上昇させる。このことは、プラスチックビーズがバレルを通って押されるにつれて、プラスチックビーズが徐々に融解することを可能にし、ポリマの分解を引き起こす恐れがある、過熱の危険性を低下させる。余分な熱は、バレルの内部で発生する強い圧力、および摩擦を要因とする。
【0136】
バレルを通過した後、融解混合物は、金型に入る。金型は、最終製品に、その形状を与えるものであり、融解プラスチックが、円柱形状から製品の形状輪郭に均一に流れるように設計される。最後に、製品は、断面形状を制御する較正ユニットを通過する。較正の間、材料は、真空を利用して、所望の形状に加工される。良好な融解強度のような複合材料の特性は、較正を容易にするとともに、高品質の製品の製造を可能にするであろう。
【0137】
その後、製品は、冷却される。このことは、押出成形品を、水槽を介して引き抜くことによって達成されてもよい。しかしながら、プラスチックは、非常に優れた熱絶縁体であるので、急速に冷却することは困難である。
【0138】
一実施例において、製品は、射出成形プロセスのような成形プロセス、または積層プロセス、接着プロセス、成形プロセス、もしくは溶接プロセスで製造される。
【0139】
実施例において、層は、まず、たとえば成形プロセス、または押出プロセスで、別個に形成され、その後、形成された層が、たとえば積層プロセスで互いに貼り付けられる。換言すると、第1の層、および第2の層は、製品を形成するために、互いに積層されてもよい。この場合、製造装置32は、積層装置を含む。
【0140】
本願明細書に記載される複合製品は、種々の応用において使用されてもよい。「複合製品」はまた、発泡ポリマを含有する製品、ならびに第1の層および第2の層を備えた製品を含む。一実施例において、複合製品は、デッキボード、またはファサードパネルのような建築要素である。デッキボード、またはファサードパネルの場合、製品は、孔を含んでもよく、あるいは孔を有さないいわゆる中実形状であってもよい。
【0141】
一実施形態において、製品は、手すり、またはフェンスである。
一実施形態において、製品は、カバーストリップである。
一実施形態において、製品は、遮音材である。
一実施形態において、製品は、柱である。
【0142】
一実施形態において、製品は、食器棚またはキッチン用家具などの棚またはキャビネット用枠などの枠、またはキッチン−サニタリ建築用ブロックモジュールである。
一実施形態において、製品は、家具、または家具の一部である。
【0143】
最終製品は、5mm未満、3mm未満、または約1mmであるような薄い肉厚を有する製品であってもよい。
【0144】
一実施形態において、製品は、建築用板材または建築用パネル、壁板材または壁パネル、床板材または床パネル、天井板または天井パネルなどのような、板材またはパネルである。
【0145】
一実施形態は、前述の複合製品を含む建築物を提供し、天然繊維プラスチック複合材料は、建築物の一部を形成するために、固定具によって固定される。
【0146】
一実施形態は、前述の複合材料製品を含むテラスを提供し、テラスの一部分を形成するために、天然繊維プラスチック複合材料製品は、固定具によって固定される。
【0147】
一実施形態は、前述の複合材料製品、固定部材、およびベース要素を含む配置を提供し、複合材料製品は、固定具、およびベース要素によって、ベース要素に固定され、固定具は、頭部を含み、頭部は、製品の表面に平行である。
【0148】
一実施形態は、熱可塑性ポリマと、セルロース繊維および無機物を含む乾燥脱インクスラッジとを含んでなる天然繊維プラスチック複合材料製品の、建築要素、手すりもしくはフェンス、カバーストリップ、柱、棚用枠などの枠、または家具もしくは家具の一部などの前述の製品における使用を提供する。「複合製品」はまた、本願明細書に記載されているような、発泡ポリマまたは複合材料を含有する製品、ならびに第1の層、第2の層、およびそれらの組み合わせを含む。
【0149】
実施例
脱インクスラッジ複合材料
19%のセルロース繊維を含有する脱インクスラッジを、ポリオレフィンと混合した。材料を、粒状にして、試験片に射出成形した。特性を、純PP、純PE、および滑石を含有する化合物と比較した。
【0150】
10%、20%、および50%の量の脱インクスラッジを、ポリプロピレン(PP)と混合した。10%、および50%の量の脱インクスラッジを、ポリエチレン(PE)と混合した。
【0151】
引張強さ、および3点曲げ強さを、ISO527、およびISO178に従って測定した。結果を図4に示す。
【0152】
衝撃強さを、ISO179に従って測定した。ノッチ付き、およびノッチなし衝撃強さを試験した。ノッチがない場合、PP、およびPEは、破損しなかった。10%の滑石が添加された場合にも、同様の結果が得られた。結果を図5に示す。
【0153】
工業試験
第2試験は、産業用規模で行った。再生ポリエチレン(PE)を脱インクスラッジと混合した。使用された処方は、
− 再生ポリエチレン(PE−HD)38%
− 脱インクスラッジ 59%
− 架橋剤MAHPE 3%
であった。
【0154】
材料を混合して押出して中空形状体にした。この中空形状体についての特性を、以下のように測定した。すなわち、EN310、EN317、EN477、ISO1183、EN1534、EN438−2にそれぞれ従って、3点曲げ、吸水率、衝撃強さ、密度、硬度、耐摩耗性を測定した。結果を表1に示す。図6は、得られた製品を示している。
【0155】
【表1】
図1a
図1b
図1c
図1e
図2
図3
図1d
図4
図5
図6