特許第5944672号(P5944672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5944672LED点灯装置、それを備えた照明器具、及び照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944672
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】LED点灯装置、それを備えた照明器具、及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20160621BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-17165(P2012-17165)
(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公開番号】特開2013-157207(P2013-157207A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】阿野 康則
(72)【発明者】
【氏名】須藤 学
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0204820(US,A1)
【文献】 特開2001−155869(JP,A)
【文献】 特開2010−196791(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0167207(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給される交流電圧を整流及び平滑して直流電圧を生成する電源回路と、
該電源回路から前記直流電圧を供給され、出力側に接続される負荷であるLED光源を定電流制御によって点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路の動作を制御する制御装置と、
記LED光源の上限調光時の出力電流に対応する識別値、及び、前記LED光源を調光する調光信号、外部から受信するインターフェース回路と、
を備え、
前記制御装置は、
前記インターフェース回路から前記識別値及び前記調光信号を受信し、
該識別値に対応する出力電流である上限調光時出力電流を決定すると共に該調光信号に対応する出力電流目標値を決定し、
前記点灯回路は、前記LED光源に前記出力電流目標値である一定の電流を流す際、前記LED光源に、前記上限調光時出力電流より大きい出力電流を流さない
ことを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
前記インターフェース回路は、外部から前記LED光源の下限調光時の出力電流に対応する識別値を受信し、
前記制御装置は、
前記インターフェース回路から前記識別値を受信し、
該識別値に対応する出力電流である下限調光時出力電流を決定し、
前記点灯回路は、前記LED光源に、前記下限調光時出力電流より小さい出力電流を流さない
ことを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項3】
前記制御装置が決定した前記識別値に対応する前記出力電流を記憶する不揮発性の記憶装置を備えた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のLED点灯装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記識別値と前記出力電流との対応関係の情報を記憶し、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された該情報に基づいて、前記識別値に対応する前記出力電流を決定する
ことを特徴とする請求項3記載のLED点灯装置。
【請求項5】
前記インターフェース回路は、外部から前記LED光源を調光するための調光信号を受信し、
前記制御装置は、前記調光信号に基づいて、前記出力電流目標値を決定し、少なくとも、該出力電流目標値を識別する情報を前記点灯回路に送信し、
前記点灯回路は、前記出力電流目標値を識別する情報に基づいて、前記LED光源を流れる出力電流が前記出力電流目標値となるように前記定電流制御を実施する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のLED点灯装置。
【請求項6】
前記点灯回路は、
スイッチング手段を備え、該スイッチング手段のON/OFF動作によって、前記電源回路から出力される前記直流電圧の大きさを調整する降圧チョッパー回路と、
前記スイッチング手段をON/OFF動作させる駆動回路と、
両端電圧によって、前記LED光源を流れる出力電流を検出するための出力電流検出抵抗と、
前記制御装置から前記出力電流目標値を識別する情報を受信し、該出力電流目標値を識別する情報、及び、前記出力電流検出抵抗から検出される前記両端電圧に基づいて、制御信号を生成して前記駆動回路に出力するフィードバック部と、
を有し、
前記駆動回路は、前記フィードバック部から入力した前記制御信号に基づいて、所定のデューティー比を有する駆動信号を生成し、該駆動信号によって前記スイッチング手段をON/OFF動作させ、前記LED光源を流れる出力電流が前記出力電流目標値となるようにする
ことを特徴とする請求項5記載のLED点灯装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のLED点灯装置を備えた
ことを特徴とする照明器具。
【請求項8】
それぞれ出力仕様が異なる前記LED光源を点灯させる前記LED点灯装置を備えた複数の請求項7記載の照明器具を有する
ことを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED光源を点灯するLED点灯装置それを備えた照明器具、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明装置として、調光器から出力され、調光レベルに対応付けたデューティ比のパルス幅変調信号である調光制御信号に応じて光源の光出力を調光する照明装置であって、光源たるLED光源の光出力と調光制御信号のデューティ比とを所定の調光カーブの関係になるように調光制御信号を変調する調光変調データを複数個記憶する記憶部と、調光制御信号の周期により記憶部に記憶された複数個の調光変調データから特定の調光変調データを選択する選択部と、その選択部で選択された調光変調データに基づいて調光制御信号を変調した制御信号によりLED光源を調光して点灯させる点灯回路部と、を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−9011号公報(第4−5頁、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された照明装置は、LED光源に流れる出力電流に対して、上下限値を設けておらず、例えば、LED光源の出力仕様に基づく出力電流の下限値よりも小さい出力電流に対応するような調光制御信号が調光器から入力された場合、LED光源のLEDの順方向電圧に達することなく不点灯となる場合もあり、また、出力電流の上限値よりも大きい出力電流に対応するような調光制御信号が調光器から入力された場合、LED光源が破損してしまう可能性があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、LED光源の出力仕様に基づき、出力電流として出力可能な範囲を設定し、正常なLED光源の点灯状態を確保することができるLED点灯装置及びそれを備えた照明器具を得ることである。
また、第2の目的は、1つのLED点灯装置によって、それぞれ出力仕様の異なる複数のLED光源に対して、出力電流として出力可能な範囲を設定することができるLED点灯装置及びそれを備えた照明器具を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るLED点灯装置は、交流電源から供給される交流電圧を整流及び平滑して直流電圧を生成する電源回路と、電源回路から直流電圧を供給され、出力側に接続される負荷であるLED光源を定電流制御によって点灯させる点灯回路と、点灯回路の動作を制御する制御装置と、ED光源の上限調光時の出力電流に対応する識別値、及び、LED光源を調光する調光信号、外部から受信するインターフェース回路と、を備え、制御装置は、インターフェース回路から識別値及び調光信号を受信し、識別値に対応する出力電流である上限調光時出力電流を決定すると共に調光信号に対応する出力電流目標値を決定し、点灯回路は、LED光源に出力電流目標値である一定の電流を流す際、LED光源に、上限調光時出力電流より大きい出力電流を流さないものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上限調光時の出力電流を設定し、その出力電流より大きい電流をLED光源に流さないようにすることができるので、接続されるLED光源の破損等の発生を抑制することができる。
また、LED光源の出力仕様に基づいて、上限調光時の出力電流を設定できるので、LED光源の出力仕様ごとに、LED点灯装置を専用設計する必要がなく、共通のLED点灯装置によって、複数種類のLED光源の点灯動作に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1の回路図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1の出力電流と出力指令値との関係を示すグラフである。
図3】本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1の上限調光時における出力電流近傍の出力電流に対応する識別値の例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1の下限調光時における出力電流近傍の出力電流に対応する識別値の例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1において上下限調光時の出力電流が設定されている場合における出力電流と出力指令値との関係を示すグラフである。
図6】本発明の実施の形態2に係る複数の照明器具の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(LED点灯装置1の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1の回路図である。
図1で示されるように、本実施の形態に係るLED点灯装置1は、交流電源7からの入力電圧を整流及び平滑して昇圧させる電源回路2と、電源回路2から電力を供給され、負荷であるLEDモジュール25のLEDを点灯させる点灯回路3と、外部から信号を受信するインターフェース回路4と、LEDモジュール25を流れる出力電流の目標値を送信する制御装置6と、この制御装置6から出力されたデータを記憶する記憶装置5と、制御装置6から送信された出力電流目標値に基づいて出力指令値を生成する出力指令値生成部26と、を備える。
【0010】
電源回路2は、ダイオードブリッジ8、平滑コンデンサー9、インダクター10、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)11、駆動回路12、フィードバック部13、ダイオード14、抵抗15、16及び電解コンデンサー17を備えている。ダイオードブリッジ8は、交流電源7の交流電圧を整流し、その整流電圧を出力する出力端にはその整流電圧を平滑する平滑コンデンサー9が並列接続され、ダイオードブリッジ8の出力端のうち、負極側は接地されている。また、平滑コンデンサー9の両端には、インダクター10及びMOSFET11の直列回路が並列接続されている。このとき、平滑コンデンサー9の正極側に接続されているのは、インダクター10である。また、MOSFET11の両端には、ダイオード14、抵抗15及び抵抗16の直列回路が並列接続されている。このとき、ダイオード14のアノード側はMOSFET11に接続され、カソード側は抵抗15に接続されている。このMOSFET11のON/OFF動作は、駆動回路12から出力される駆動信号(PWM信号)によって制御される。また、抵抗15及び抵抗16の直列回路の両端には、電解コンデンサー17が並列接続されており、電解コンデンサー17の正極側は、抵抗15に接続されている。この電解コンデンサー17の両端電圧が、電源回路2の出力電圧となる。また、電解コンデンサー17の両端電圧は、抵抗15及び抵抗16によって分圧され、その分圧された電圧がフィードバック部13に入力される。そして、フィードバック部13は、この分圧電圧に基づいて制御信号を駆動回路12に出力する。
【0011】
点灯回路3は、MOSFET18、駆動回路19、フィードバック部20、ダイオード21、インダクター22、コンデンサー23及び抵抗24を備えている。MOSFET18及びダイオード21の直列回路が、電源回路2における電解コンデンサー17の両端に並列接続されている。このとき、ダイオード21のアノード側は電解コンデンサー17の負極側に接続され、カソード側はMOSFET18に接続されている。このMOSFET18のON/OFF動作は、駆動回路19から出力される駆動信号(PWM信号)によって制御される。また、ダイオード21の両端には、インダクター22、コンデンサー23及び抵抗24の直列回路が並列接続されている。このとき、ダイオード21のアノード側に接続されているのは、インダクター22である。このコンデンサー23の両端電圧が、点灯回路3の出力電圧となる。この点灯回路3の出力側には、負荷であるLEDモジュール25が接続されており、点灯回路3の出力電圧によって、LEDモジュール25を構成する直列接続された各LEDが点灯する。また、コンデンサー23と抵抗24との間の電圧(抵抗24の両端電圧)は、フィードバック部20に入力される。そして、フィードバック部20は、この電圧、及び、後述する出力指令値生成部26からの送信される出力指令値に基づいて制御信号を駆動回路19に出力する。
【0012】
インターフェース回路4は、図3及び図4で後述するように、外部ユニット27から送信され、LEDモジュール25に流れる出力電流と一意に対応する識別値、及び、LEDモジュール25に対して調光するための調光信号を受信して、その識別値及び調光信号を制御装置6に送信するものである。ここで、調光信号とは、例えば、所定のデューティー比を有するPWM信号である。
なお、このインターフェース回路4と外部ユニット27との接続方法は、有線又は無線のいずれでもよい。
また、インターフェース回路4は、識別値及び調光信号の双方を受信するものとしているが、これに限定されるものではなく、識別値と調光信号とが、別々のインターフェース回路に受信される構成としてもよい。
【0013】
制御装置6は、マイコン等によって構成されるものであり、外部ユニット27から送信された識別値を、インターフェース回路4を介して受信し、この識別値から、その識別値に一意に対応するLEDモジュール25の出力電流に変換するもので、この変換動作は、後述する、上下限調光時の出力電流の設定動作時に実施されるものである。また、制御装置6は、外部ユニット27から送信されるデータが調光信号である場合、後述するように、記憶装置5に記憶された調光信号と出力電流目標値との対応テーブル(図示せず)に基づいて、その調光信号に対応した出力電流目標値を導出し、出力指令値生成部26に送信する。
【0014】
記憶装置5は、前述のように、制御装置6から出力されたデータを記憶するものである。また、記憶装置5は、制御装置6から出力されたデータを記憶するのみだけでなく、制御装置6は、記憶装置5に記憶されたデータを読み出したり、あるいは、更新も行う。
なお、記憶装置5は、制御装置6と物理的に別体である必要はなく、制御装置6の内部に備えられるものとしてもよい。
【0015】
出力指令値生成部26は、制御装置6から送信された出力電流目標値に基づいて、出力指令値に変換し、この出力指令値をフィードバック部20へ送信する。
【0016】
なお、制御装置6は、調光信号に基づいて、出力電流目標値を導出し、出力指令値生成部26が、その出力電流目標値に基づいて、出力指令値に変換してフィードバック部20へ送信するものとしているが、これに限定されるものではない。すなわち、制御装置6が、調光信号に基づいて、直接、出力指令値を求めるものとしてもよい。この場合、出力指令値生成部26は不要となる。
また、制御装置6が送信する出力電流目標値、又は、出力指令値は、本発明の「出力電流目標値を識別する情報」に相当する。
【0017】
また、LEDモジュール25は、本発明の「LED光源」に相当する。
【0018】
(電源回路2の動作)
次に、図1を参照しながら、電源回路2の動作について説明する。
交流電源7から供給される交流電圧は、ダイオードブリッジ8によって整流され、さらに、平滑コンデンサー9によって平滑された直流電圧となる。また、インダクター10、MOSFET11、ダイオード14及び電解コンデンサー17は、いわゆる昇圧チョッパー回路を構成する。そして、MOSFET11は、駆動回路12から出力される駆動信号によって、ON/OFF動作を実施し、これによって、平滑コンデンサー9の両端電圧を昇圧させると共に、交流電源7を流れる入力電流を正弦波に整えて力率を改善する。
【0019】
具体的には、MOSFET11がON状態のとき、インダクター10に流れる電流が増加してエネルギーが蓄積される。また、MOSFET11がOFF状態になると、インダクター10に蓄積されたエネルギーが出力側(電解コンデンサー17側)に電流として伝達し、ダイオード14を経由して電解コンデンサー17に電荷が蓄積される。このMOSFET11のON/OFF動作の繰り返しによって、電解コンデンサー17の両端電圧は、平滑コンデンサー9の両端電圧よりも高い電圧に昇圧される。
【0020】
また、電解コンデンサー17の両端電圧は、抵抗15及び抵抗16によって分圧され、その分圧された電圧がフィードバック部13に入力される。フィードバック部13は、この分圧電圧に基づいて、電解コンデンサー17の両端電圧が目的の所定電圧(例えば、400[V])となるようなMOSFET11のON/OFF動作のデューティー比を指定する制御信号を駆動回路12に出力する。駆動回路12は、この制御信号に基づいて、指定されたデューティー比の駆動信号をMOSFET11に対して出力し、MOSFET11をON/OFF動作させる。
【0021】
なお、図1で示されるように昇圧チョッパー回路を構成しているスイッチング手段として、MOSFET11を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスターを用いるものとしてもよい。
【0022】
また、図1で示されるように、ダイオードブリッジ8及び平滑コンデンサー9によって整流及び平滑された直流電圧を、昇圧チョッパー回路によって昇圧させる構成としているが、これに限定されるものではなく、LEDモジュール25を点灯させるだけの大きさを有し、かつ、特に力率改善を目的とするものではない場合、必ずしも昇圧チョッパー回路を設ける必要はない。また、交流電源7の交流電圧が十分な大きさであれば、昇圧チョッパー回路ではなく、平滑コンデンサー9の両端電圧を降圧させる降圧チョッパー回路を設ける構成としてもよい。
【0023】
(点灯回路3の動作)
図2は、本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1の出力電流と出力指令値との関係を示すグラフである。次に、図1及び図2を参照しながら、点灯回路3の動作について説明する。
電源回路2から出力された電圧(電解コンデンサー17の両端電圧)は、点灯回路3に入力される。また、MOSFET18、ダイオード21、インダクター22及びコンデンサー23は、いわゆる降圧チョッパー回路を構成する。そして、MOSFET18は、駆動回路19から出力される駆動信号によって、ON/OFF動作を実施し、これによって、点灯回路3に入力された電圧が調整される。
【0024】
具体的には、MOSFET18がON状態のとき、インダクター22、コンデンサー23、そして、抵抗24の順に電流が流れて、コンデンサー23が充電され、インダクター22にエネルギーが蓄積される。また、MOSFET18がOFF状態になると、インダクター22に蓄積されたエネルギーが出力側(コンデンサー23側)に電流として伝達し、インダクター22、コンデンサー23、抵抗24、そして、ダイオード21の順に電流が流れ、さらに、コンデンサー23が充電される。そして、LEDモジュール25に流れる出力電流が一定となるように、MOSFET18のON/OFF動作のデューティー比が調整される。
【0025】
また、LEDモジュール25に出力電流が流れると共に、抵抗24にも電流が流れ、その両端に電圧が発生し、この抵抗24の両端電圧がフィードバック部20に入力される。また、後述するように、制御装置6は、出力電流目標値を出力指令値生成部26に送信し、出力指令値生成部26は、この出力電流目標値に基づいて、図2で示されるグラフから、出力指令値を生成し、この出力指令値をフィードバック部20に送信する。ここで、出力指令値生成部26は、出力指令値を生成するために、図2で示される出力電流目標値と出力指令値との対応関係を記憶しているものとすればよい。また、この出力指令値は、例えば、出力電流目標値がLEDモジュール25に流れる場合の抵抗24の両端電圧値とすればよい。このようにすれば、出力指令値及び出力電流は、図2で示されるような比例関係を有することになる。フィードバック部20は、抵抗24の両端電圧、及び、後述するように出力指令値生成部26から受信する出力指令値に基づいて、LEDモジュール25に流れる出力電流が一定となるようなMOSFET18のON/OFF動作のデューティー比を指定する制御信号を駆動回路19に出力する。このとき、出力指令値が前述のように抵抗24の両端電圧値である場合、フィードバック部20は、実際に検出される抵抗24の両端電圧と、目標とする抵抗24の両端電圧との差分が0となるような制御信号を駆動回路19に出力すればよいことになる。駆動回路19は、この制御信号に基づいて、指定されたデューティー比の駆動信号をMOSFET18に対して出力し、MOSFET18にON/OFF動作させる。
【0026】
なお、図1で示されるように降圧チョッパー回路を構成しているスイッチング手段として、MOSFET18を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、IGBT等のバイポーラトランジスターを用いるものとしてもよい。
また、MOSFET18は、本発明の「スイッチング手段」に相当する。なお、MOSFET18が、上記のようにIGBT等に置換された場合、これらが本発明の「スイッチング手段」に相当することになる。
【0027】
また、抵抗24は、本発明の「出力電流検出抵抗」に相当する。
【0028】
(上限調光時及び下限調光時の出力電流の設定動作)
図3は、本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1の上限調光時における出力電流近傍の出力電流に対応する識別値の例を示す図であり、そして、図4は、同LED点灯装置1の下限調光時における出力電流近傍の出力電流に対応する識別値の例を示す図である。
【0029】
まず、図2及び図3を参照しながら、上限調光時の出力電流を設定する動作について説明する。
まず、ユーザーは、調光器等である外部ユニット27から、現在、LED点灯装置1の出力側、すなわち、点灯回路3の出力側に接続されているLEDモジュール25の出力仕様で定められている上限調光時の出力電流に対応する識別値を、LED点灯装置1のインターフェース回路4を介して、制御装置6に送信させる。ここで、外部ユニット27側で、図3で示されるような、出力電流と識別値との対応テーブルを記憶しているものとする。このようにすれば、外部ユニット27は、上限調光時の出力電流に対応する識別値を制御装置6に送信することができることになる。図3は、出力電流と識別値との対応テーブルにおいて、出力電流の最大値が500[mA]である場合を例として示している。記憶装置5は、外部ユニット27と同様に、図3で示される対応テーブルを記憶しており、外部ユニット27から識別値を受信した制御装置6は、その識別値に対応する出力電流を記憶装置5から読み出し、その出力電流を上限調光時の出力電流として決定し、記憶装置5に上限調光時出力電流として記憶させる。例えば、制御装置6に送信された識別値が「0001」である場合、制御装置6は、上限調光時出力電流が400[mA]であるとして、この出力電流を記憶装置5に記憶させる。
【0030】
なお、図3で示されるように、出力電流が100[mA]ごとに識別値を対応させているが、これに限定されるものではなく、例えば、10[mA]又は1[mA]ごと等に識別値を対応させるものとしてもよい。
【0031】
次に、図2及び図4を参照しながら、下限調光時の出力電流を設定する動作について説明する。
まず、ユーザーは、調光器等である外部ユニット27から、現在、LED点灯装置1の出力側、すなわち、点灯回路3の出力側に接続されているLEDモジュール25の出力仕様で定められている下限調光時の出力電流に対応する識別値を、LED点灯装置1のインターフェース回路4を介して、制御装置6に送信させる。ここで、外部ユニット27側で、図4で示されるような、出力電流と識別値との対応テーブルを記憶しているものとする。このようにすれば、外部ユニット27は、下限調光時の出力電流に対応する識別値を制御装置6に送信することができることになる。図4は、出力電流と識別値との対応テーブルにおいて、出力電流の最小値が10[mA]である場合を例として示している。記憶装置5は、外部ユニット27と同様に、図4で示される対応テーブルを記憶しており、外部ユニット27から識別値を受信した制御装置6は、その識別値に対応する出力電流を記憶装置5から読み出し、その出力電流を下限調光時の出力電流として決定し、記憶装置5に下限調光時出力電流として記憶させる。例えば、制御装置6に送信された識別値が「1011」である場合、制御装置6は、下限調光時出力電流が20[mA]であるとして、この出力電流を記憶装置5に記憶させる。
【0032】
なお、図4で示されるように、出力電流が10[mA]ごとに識別値を対応させているが、これに限定されるものではなく、例えば、100[mA]又は1[mA]ごと等に識別値を対応させるものとしてもよい。
【0033】
また、図3及び図4で示されるように、識別値は「0010」等のバイナリーデータとしているが、これに限定されるものではなく、数値データ、テキストデータその他のデータによって構成されるものとしてもよい。
【0034】
また、記憶装置5を不揮発性の記憶装置によって構成してもよく、この場合、一度、上限調光時出力電流及び下限調光時出力電流が記憶装置5に記憶された場合で、交流電源7が停止状態となり、再度、交流電源7が起動した場合でも、記憶装置5に上限調光時出力電流及び下限調光時出力電流が記憶されたままであるので、再度、上下限調光時の出力電流の設定動作をする必要がない。
【0035】
(LED点灯装置1の調光動作)
図5は、本発明の実施の形態1に係るLED点灯装置1において上下限調光時の出力電流が設定されている場合における出力電流と出力指令値との関係を示すグラフである。以下、図1及び図5を参照しながら、LED点灯装置1の調光動作について説明する。
【0036】
まず、ユーザーは、調光器等である外部ユニット27から、LEDモジュール25の点灯状態を目的の明るさにするための調光信号を、LED点灯装置1のインターフェース回路4を介して、制御装置6に送信させる。外部ユニット27から調光信号を受信した制御装置6は、記憶装置5に記憶された調光信号と出力電流目標値との対応テーブルに基づいて、その調光信号に対応する出力電流目標値を導出し、出力指令値生成部26に送信する。ただし、上下限調光時の出力電流が設定、すなわち、出力電流の上下限値(上限調光時出力電流及び下限調光時出力電流)が設定されているので、制御装置6は、外部ユニット27から受信した調光信号に対応する出力電流目標値が、下限値未満である場合、又は、上限値を超える場合、出力電流目標値を出力指令値生成部26に送信しない。したがって、図5で示される出力電流の範囲(図5においては、50[mA]〜400[mA])でLEDモジュール25の調光が可能となる。これによって、下限値未満の出力電流を送信することによるLEDモジュール25の不点灯、及び、上限値を超える出力電流を送信することによるLEDモジュール25の破損等の発生を抑制することができる。出力電流目標値を受信した出力指令値生成部26は、その出力電流目標値に基づいて、出力指令値を生成し、フィードバック部20に送信する。出力指令値を受信したフィードバック部20は、検出した抵抗24の両端電圧、及び、出力指令値に基づいて、LEDモジュール25に出力電流目標値が流れるようにするための制御信号を駆動回路19に出力する。駆動回路19は、その制御信号に基づいて、駆動信号(PWM信号)を生成し、この駆動信号によって、MOSFET18にON/OFF動作を実施させる。このような動作によって、LEDモジュール25には出力電流目標値である一定の電流が流れ、定電流制御が実施される。
【0037】
(実施の形態1の効果)
以上の構成及び動作のように、LED光源(実施の形態1においてはLEDモジュール25)の出力仕様に基づいて、上下限調光時の出力電流を設定できるので、照明器具の出力仕様ごとに、LED点灯装置1を専用設計する必要がなく、共通のLED点灯装置1によって、複数種類のLED光源の点灯動作に対応することができる。
【0038】
また、上下限調光時の出力電流を設定し、出力電流の上下限値から外れるような調光信号が入力されても、出力電流を流さないように制御するので、下限値未満の出力電流を送信することによるLED光源の不点灯、及び、上限値を超える出力電流を送信することによるLED光源の破損等の発生を抑制することができる。
【0039】
なお、図5で示されるように、外部ユニット27から識別値を送信し、その識別値によって、上下限調光時の出力電流を設定するものとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、下限調光時の出力電流を設定する、すなわち、下限調光時出力電流を導出する必要がない場合は、上限調光時の出力電流のみを設定するものとしてもよい。
【0040】
実施の形態2.
(複数の照明装置の構成)
図6は、本発明の実施の形態2に係る複数の照明器具の構成図である。
図6で示されるように、本実施の形態においては、4つの照明器具が、外部ユニット27を介して接続されている。これらの照明器具のうち、照明器具100aは、LED点灯装置1及びLEDモジュール25aを備えている。また、これらの照明器具のうち、2つの照明器具100bは、それぞれLED点灯装置1及びLEDモジュール25bを備えている。そして、これらの照明器具の内、照明器具100cは、LED点灯装置1及びLEDモジュール25cを備えている。各照明器具のLED点灯装置1は、交流電源7から電源を供給されており、LED点灯装置1の内部構成は、図1で示される実施の形態1のLED点灯装置1と同様である。また、各照明器具のLED点灯装置1内のインターフェース回路4(図6において図示せず)には、調光器等である1つの外部ユニット27が接続されている。また、LEDモジュール25a〜25cは、それぞれ出力仕様(例えば、最大電流値、最小電流値及び定格電流値)が異なる。
【0041】
なお、図6においては、外部ユニット27が4つの照明器具(1つの照明器具100a、2つの照明器具100b、及び、1つの照明器具100c)に接続された構成が示されているが、これに限定されるものではない。すなわち、その他の数の照明器具が外部ユニット27に接続される構成としてもよく、また、LEDモジュール25a〜25cとは出力仕様の異なるLEDモジュールを備えた照明器具が接続された構成でもよいのは言うまでもない。
【0042】
(上限調光時及び下限調光時の出力電流の設定動作)
次に、4つの照明器具のうち、照明器具100aを例として、上限調光時及び下限調光時の出力電流の設定動作について説明する。
【0043】
まず、ユーザーは、調光器等である外部ユニット27から、現在、照明器具100aのLED点灯装置1の出力側に接続されているLEDモジュール25aの出力仕様で定められている上限調光時の出力電流に対応する識別値を、LED点灯装置1のインターフェース回路4を介して、制御装置6(図6において図示せず)に送信させる。ここで、外部ユニット27側で、図3で示されるような、出力電流と識別値との対応テーブルを記憶しているものとすると、図6で示されるように、LEDモジュール25aの上限調光時の出力電流は400[mA]であるので、識別値「0001」を制御装置6に送信する。そして、実施の形態1において示した同様の方式によって、制御装置6は、この出力電流400[mA]を上限調光時出力電流として、記憶装置5(図6において図示せず)に記憶させる。また、下限調光時出力電流(図6で示される50[mA])についても同様の方式によって、記憶装置5に記憶される。
【0044】
また、照明器具100b、100cについても、共通の調光器等である外部ユニット27によって、それぞれのLEDモジュール25b、25cについて、それぞれ上限調光時出力電流及び下限調光時出力電流が設定される。具体的には、図6においては、照明器具100bのLEDモジュール25bについては、上限調光時出力電流として300[mA]、そして、下限調光時出力電流として20[mA]が設定されている。また、照明器具100cのLEDモジュール25cについては、上限調光時出力電流として500[mA]、そして、下限調光時出力電流として100[mA]が設定されている。
【0045】
図6で示される各照明器具のLED点灯装置1の調光動作については、実施の形態1で示した方式と同様であり、外部ユニット27が出力する調光信号によって、それぞれの照明器具について調光制御を実施することができる。
【0046】
(実施の形態2の効果)
以上の構成及び動作によって、実施の形態1のようにLED光源の出力仕様に基づいて、上下限調光時の出力電流を設定できることによる効果が得られるのはもちろんのこと、複数の照明器具に対して、共通の外部ユニット27が接続されているので、上下限調光時の出力電流の設定動作、及び、各照明器具におけるLED点灯装置1の調光動作を、共通の外部ユニット27によって実施することが可能となり、照明装置の設定操作及び調光操作の利便性が飛躍的に向上する。
【0047】
なお、本実施の形態においては、複数の照明器具と外部ユニット27とを接続してから、各照明器具の上限調光時及び下限調光時の出力電流を設定する場合について説明したが、工場等において照明器具を組み立てる際に、組み合わされるLEDモジュールの出力仕様に合わせて設定するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 LED点灯装置、2 電源回路、3 点灯回路、4 インターフェース回路、5 記憶装置、6 制御装置、7 交流電源、8 ダイオードブリッジ、9 平滑コンデンサー、10 インダクター、11 MOSFET、12 駆動回路、13 フィードバック部、14 ダイオード、15、16 抵抗、17 電解コンデンサー、18 MOSFET、19 駆動回路、20 フィードバック部、21 ダイオード、22 インダクター、23 コンデンサー、24 抵抗、25、25a〜25c LEDモジュール、26 出力指令値生成部、27 外部ユニット、100a〜100c 照明器具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6