特許第5944684号(P5944684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944684
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】本体ケースとアダプターの着脱機構
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20160621BHJP
   F17C 13/08 20060101ALI20160621BHJP
   F17C 7/00 20060101ALI20160621BHJP
   B63C 9/19 20060101ALN20160621BHJP
【FI】
   F17C13/00 301C
   F17C13/08 301Z
   F17C7/00 C
   !B63C9/18 B
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-30768(P2012-30768)
(22)【出願日】2012年2月15日
(65)【公開番号】特開2013-167300(P2013-167300A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390009818
【氏名又は名称】日本炭酸瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595016761
【氏名又は名称】株式会社ワコ−産業
(74)【代理人】
【識別番号】100067688
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 公達
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 彰
(72)【発明者】
【氏名】橋本 暢博
(72)【発明者】
【氏名】原田 昇
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2003/022631(WO,A1)
【文献】 米国特許第05413247(US,A)
【文献】 国際公開第2011/096257(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3109059(JP,U)
【文献】 米国特許第06254447(US,B1)
【文献】 米国特許第06422420(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
F17C 7/00
F17C 13/08
B63C 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース(1)とアダプター(2)を包含し、
該本体ケース(1)は該アダプター(2)の取付口(3)を備え、
該アダプター(2)は軸孔(4)を備えた筒状体で該軸孔(4)の一端部が高圧ガス容器(B)の取付部(5)で他端部が撃針伝導軸(6)の導入部(7)となっており、かつ該取付部(5)側の外径(D)が該導入部(7)側の外径(d)より大となっており、
該導入部(7)側の外壁面(8)と該取付口(3)の内壁面(9)にバヨネット型の係合機構(10)が分設され、
該導入部(7)側は表示窓(11)を、該アダプター(2)を該取付口(3)に取り付けた状態でも外部に開放する位置に備え、
該本体ケース(1)は該取付口(3)に該係合機構(10)の係合状態保全用のロック機構(12)を備えている
ことを特徴とする本体ケースとアダプターの着脱機構。
【請求項2】
該係合機構(10)は該取付部(5)の該外壁面(8)側が突起(31)で該内壁面(9)側が凹部(32)となっており、該突起(31)と該凹部(32)はそれぞれ直径上にかつ各一方が周方向にある角度(θ)だけずれた位置に対設されて特定の相対位置でのみ係合可能となっており、該表示窓(11)は該係合機構(10)の係合状態で特定方向に開放するようになっている請求項1に記載の本体ケースとアダプターの着脱機構。
【請求項3】
該係合機構(10)は該取付部(5)の該外壁面(8)側が突起(41)で該内壁面(9)側が凹部(42)となっており、該突起(41)と該凹部(42)はそれぞれ直径上にかつ各一方の外周長を他方の外周長より大にして対設されて特定の相対位置でのみ係合可能となっており、該表示窓(11)は該係合機構(10)の係合状態で特定方向に開放するようになっている請求項1に記載の本体ケースとアダプターの着脱機構。
【請求項4】
該表示窓(11)は、該撃針伝導軸(6)が該導入部(7)内を移動した場合に該撃針伝導軸(6)に関して設けた標識(51)を視認可能として、高圧ガス容器(B)の使用済みを表示するものである請求項1、2又は3に記載の本体ケースとアダプターの着脱機構。
【請求項5】
該ロック機構(12)は該アダプター(2)の該突起(31,41)の移動通路上に臨出するロック片(61)、該ロック片(61)を該取付口(3)の軸線(x)方向へ押圧するスプリング(62)及び該ロック片(61)と結合したつまみ(63)を包含している請求項1からの一つの項に記載の本体ケースとアダプターの着脱機構。
【請求項6】
該ロック片(61)は欠環状となっており、該取付口(3)の周壁に該取付口(3)と同心に形成した欠環状溝(71)に該取付口(3)の軸線(x)方向に移動自在に収容され、該アダプター(2)の圧入により該突起(31,41)が該ロック片(61)の当接面(72)に当接してこれを押し込み、続く回転動作で該当接面(72)から離脱した状態で該スプリング(62)により原位置に復帰し、その湾曲方向の端面(73)で該突起(31,41)の側面(74,75)と係合して該アダプター(2)の戻りを阻止するようになっている請求項に記載の本体ケースとアダプターの着脱機構。
【請求項7】
該つまみ(63)は該本体ケース(1)に穿った長孔(81)を通して該本体ケース(1)の外部から該ロック片(61)と弾発的に係合しており、該つまみ(63)の移動により該ロック片(61)の端面(73)を該突起(31,41)の側面(74,75)から外して、該突起(31,41)の戻りを許容するようになっている請求項に記載の本体ケースとアダプターの着脱機構。
【請求項8】
該本体ケース(1)の該長孔(81)は、該つまみ(63)の移動範囲を、該ロック片(61)が欠環状溝(71)から脱出しない範囲に、規制している請求項に記載の本体ケースとアダプターの着脱機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本体ケースとアダプターの着脱機構に関し、本体ケースと高圧ガス容器のアダプターの着脱を簡単かつ確実に行えるようにすると共に、高圧ガス容器が使用済みであるか否かをも簡単かつ確実に知ることができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
高圧ガス容器を本体ケースに取付ける場合、高圧ガス容器の首部外周面に形成した雄ねじを本体ケースの取付口の内周面に形成した雌ねじと螺合させるのが一般的である(例えば、特許文献1、2)が、アダプターを採用し、高圧ガス容器をこのアダプターに取り付けてからこのアダプターを本体ケースの取付口にバヨネット結合するものも知られている(例えば、特許文献3、4)。
【0003】
また、使用に供される高圧ガス容器は未使用のものでなくてはならないが、不注意により使用済みのものが採用される危険性もある。殊に、開封装置が救命胴着に付設されるような場合には人命に重大な影響を及ぼす。そこで、高圧ガス容器が使用された場合に使用済みを表示して誤使用を防ぐ各種の方法が開示されている(例えば、特許文献1、2、3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−213391号公報
【特許文献2】特開2004−58971号公報
【特許文献3】USP 5413247号明細書
【特許文献4】PCT公開WO 03/022631 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の特開2001−213391号公報や特許文献2の特開2004−58971号公報に示された螺合方式は、ねじのピッチが小さくて数が多い場合、次のような困難を伴う。先ず、着脱の際にアダプターのねじを高圧ガス容器のねじと整合させないと、ねじが段違いで螺合してしまい、ねじ込みが不可能となる。この整合を取るのは案外厄介である。次に、何回も回転する必要があり、作業が面倒である。
【0006】
特許文献3のUSP 5413247号明細書や特許文献4のPCT公開WO 03/022631 A2号公報に示されたバヨネット式の着脱機構は、高圧ガス容器の取付作業を所謂ワンタッチで行えるが、取外しも取付動作と反対の動作で簡単に行えるので、取付状態を保全したい意向に反して取外される危険性がある。
【0007】
また、高圧ガス容器の使用済み、又は未使用を表示するための手段が、既記の特許文献1〜3や特許文献4のPCT公開WO 03/022631 A2号公報に開示されている。
【0008】
特許文献1の特開2001−213391号公報によれば、段落0049や図9に示されたように、ボンベ65から噴出したガスの一部をインジケータ49に導入し、不可表示体56の移動でボンベの使用可、不可を表示するようになっている。この場合、インジケータ49を別個に用意する必要があり、構造が複雑で、コスト高になる欠点がある。
【0009】
特許文献2の特開2004−58971号公報では、段落0031や図6に示されているように、救命用浮体膨張装置1が自動又は手動で作動するとき、シーソー型レバー22は撃針12と同方向に伝動杆14も摺動させ、この伝動杆14の先端で色表示環18中にある色表示環38を押し出して本体色表示窓19内の可使用色を無くすると共にプラグ16はソケット24内を摺動してそれまで可使用色6…であったソケット色表示窓32の中を不可使用色7で満たして静止する。この場合、プラグ16やソケット24に加え、救命用浮体膨張装置1にプラグ16の色表示環38の嵌合溝18も形成しなければならず、構造が大変複雑で、当然コスト高を招く。
【0010】
の第2欄中ほどの「光学的表示手段」の次の「は」は続く半円( )がこの光学的表示手段」の補足説明となっているので、除きました。
特許文献3のUSP 5413247号明細書中のクレーム2と3に、カートリッジ10が開放されたことを視認させる光学的表示手段が開示されている。クレーム2は、カッター19がカートリッジ10を開放する方向へ動いたときの分力で分離要素14を作動させ、この光学的表示手段を使い捨て部品11から押し出すようにした構成である。また、クレーム3はクレーム2の従属項で、光学的表示手段を具体的に「小さな表示板13」と特定している。この小さな表示板13はまた、噴出ガスの圧力でも使い捨て部品11から押し出されるようになっている。
ここでは使い捨て部品11が採用され、光学的表示手段(小さな表示板13)は外力によりこの使い捨て部品11から取り外し自在となっている。従って、反復使用は意図されておらず、極めて不経済で、今日のリサイクル、省資源の傾向に反する。
【0011】
特許文献4のPCT公開WO 03/022631 A2の第22頁上から5行目〜13行目に「Thus, while moving…an inoperable condition.」の記載があり、翻訳すると以下の通りとなろう。
「かくして、伸長位置へ移動する間に、起立腕102はシリンダアダプタ40の破砕カラー44を強制破砕し、同時に、指示器シャッター100は指示窓26と同列上に移動する。“赤”色となった往復動部材96と共に、膨張器10の発動で赤指示器シャッター100は、指示器窓26を通して見ることができるようになって、作動不可状態を見えるように指示することが容易に分かる。更に、ボス14の端から伸びている赤の起立腕102と衝撃溝92内で見られる切断腕106は同様に作動不可状態を指示する。」
これによると、往復動部材96の構成が複雑で、コスト高になる恐れがあり、しかも作動の確実性が疑問とならざるを得ない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(請求項1) 本発明にかかる本体ケースとアダプターの着脱機構は、本体ケースとアダプターを包含している。該本体ケースは該アダプターの取付口を備えている。該アダプターは軸孔を備えた筒状体で、該軸孔の一端部が高圧ガス容器の取付部で他端部が撃針伝導軸の導入部となっており、該取付部側の外径は該導入部側の外径より大となっている。該導入部側の外壁面と該取付口の内壁面にバヨネット型の係合機構が分設される。該導入部側は表示窓を、該アダプターを該取付口に取り付けた状態でも外部に開放する位置に備えている。そして、該本体ケースは該取付口に該係合機構の係合状態保全用のロック機構を備えている。
【0013】
アダプターは高圧ガス容器を本体ケースに取付ける際に使用され、高圧ガス容器をアダプターの一端部に取付けてからこのアダプターの他端部を本体ケースの取付口に取付ける。この取付けでこの取付口に連通して本体ケースに設けられている透孔に摺嵌している撃針伝導軸の一端部が該軸孔内に入り込む。この撃針伝導軸の一端部には指示器が取り付けられ、この指示器の端部に穿針が取り付けられる。この撃針伝導軸の長さを指示器も含めたものとし、この撃針伝導軸の側面に標示を施して端部に穿針を取り付けるようにしてもよい。標識は色分けや、文字若しくは図形等、適宜のものを採用できる。
【0014】
アダプターの他端部は取付口にバヨネット係合するので、操作はワンタッチでできる。
また、該アダプターは該取付部側の外径が該導入部側の外径より大となっているので、本体ケースの該取付口の内径を小さくでき、ロック機構を臨設してもこの部分が大きくならず、アダプターに高圧ガス容器を取付けても表示窓が塞がらない。
【0015】
表示窓はこの他端部に設けられ、この他端部を取付口に取付けた状態でも開放する位置にある。人力又はスプリングの解除力により撃針伝導軸を移動させると、穿針が高圧容器の封板を突き破り、内部のガスを取り出す。撃針伝導軸に関して「使用可」の標示を設けておけば、この撃針伝導軸の移動で標示も変わり、使用不可を表示する。
【0016】
「該導入部側の外壁面と該取付口の内壁面にバヨネット型の係合要素を分設する」という記載中の「分設」とは、バヨネット係合に必要な互いに協働する一対の係合要素を、係合させようとする各部材に各別に配置することを意味している。
【0017】
該ロック機構は、該他端部を該取付口に取り付けると、分設された係合要素の一方により強制的に退散するので係合に支障はなく、バヨネット係合が完了すると該ロック機構は該一方による抑制を解かれるので、原位置に復帰して該バヨネット係合状態を保全する。
【0018】
(請求項)該係合機構は該取付部の該外壁面側が突起で該内壁面側が凹部となっており、該突起と該凹部はそれぞれ直径上にかつ各一方が周方向にある角度だけずれた位置に対設されて特定の相対位置でのみ係合可能となっており、該表示窓は該係合機構の係合状態で特定方向に開放するようになっていてもよい。
こうすると、突起の周長が同じなので寸法取りが容易で、アダプターと本体ケースは決まった位置でしか嵌合できないので、表示窓の係合状態での開放方向を自由に決めて使用者に相対させることにより、高圧ガス容器の使用、不使用を確実に視認できる。
【0019】
(請求項)該係合機構は該取付部の該外壁面側が突起で該内壁面側が凹部となっており、該突起と該凹部はそれぞれ直径上にかつ各一方の外周長を他方の外周長より大にして対設されて特定の相対位置でのみ係合可能となっており、該表示窓は該係合機構の係合状態で特定方向に開放するようになっていてもよい。
こうすると、突起は直径上に対設するので製造が容易で、アダプターと本体ケースは決まった位置でしか嵌合できないので、表示窓の嵌合状態での開放方向を自由に決めて使用者に相対させることにより、高圧ガス容器の使用、不使用を確実に視認できる。
【0020】
(請求項)該表示窓は、該撃針伝導軸が該導入部内を移動した場合に該撃針伝導軸に関して設けた標識を視認可能として、高圧ガス容器の使用済みを表示するものであっていてもよい。
こうすると、表示窓に標識が現れた状態では撃針伝導軸に取り付けた穿針が必ず封板を突き破っているので、高圧ガス容器が使用済みであることを保証できる。「関して」は、標識を撃針伝導軸に設けても、また一端部で該撃針伝導軸に結合し他端部に該穿針の支持する支持体に設けてもよいことを意味し、標識は色分けや文字若しくは図形等、適宜のものを採用できる。
【0021】
(請求項) 該ロック機構は該アダプターの該突起の移動通路上に臨出するロック片、該ロック片を該取付口の軸線方向へ押圧するスプリング及び該ロック片と結合したつまみを包含していてもよい。
こうすると、該ロック機構は、そのつまみにより該バヨネット係合状態を離脱させることができ、つまみを操作しない限り、該他端部の戻りを許容しないので、振動等で高圧ガス容器が本体ケースから離脱することはない。
【0022】
(請求項) 該ロック片は欠環状となっており、該取付口の周壁に形成した該取付口と同心の欠環状溝に該取付口の軸線方向に移動自在に収容され、該アダプターの圧入により該突起が該ロック片の当接面に当接してこれを押し込み、続く回転動作で該当接面から離脱した状態で該スプリングにより原位置に復帰し、その湾曲方向の端面で該突起の側面と係合して該アダプターの戻りを阻止するようになっていてもよい。
こうすると、該ロック片の自動復帰により該突起の自動ロックができ、一旦ロックすると、該ロック片は人為的に力を加えない限り原状復帰をしないので、高圧ガス容器が意に反して本体ケースから脱出する恐れはない。
【0023】
(請求項)該つまみは該本体ケースに穿った長孔を通して該本体ケースの外部から該ロック片と弾発的に係合しており、該つまみの移動により該ロック片の端面を該突起の側面から外して、該突起の戻りを許容するようになっていてもよい。
こうすると、該ロック片を該欠環状溝に収めた状態で該つまみを該ロック片と、該長孔を通して結合でき、組立てが容易で、該つまみにより該ロック片を退避させることにより、該アダプターを該本体ケースから取り外すことができる。
【0024】
(請求項) 該本体ケースの該孔は、該つまみの移動範囲を、該ロック片が欠環状溝から脱出しない範囲に、規制していてもよい。
こうすると、該ロック片が該欠環状溝から脱出するのを防げる。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる本体ケースとアダプターの着脱機構によれば、以下に述べる効果を奏する。即ち、アダプターの他端部は取付口にバヨネット係合するので操作はワンタッチでできる。該アダプターは該取付部側の外径が該導入部側の外径より大となっているので本体ケースの該取付口の内径を小さくでき、ロック機構を臨設してもこの部分が大きくならない。
【0026】
表示窓はこの他端部を取付口に取付けた状態でも露出した位置にあるので高圧ガス容器の使用又は不使用の表示を目視可能にできる。ロック機構は、該他端部の取り付け時に該係合要素により強制的に退避位置に退散するので係合に支障はなく、バヨネット係合が完了すると該ロック機構は該係合要素による抑制を解かれるので、原位置に復帰して該バヨネット係合状態を保全する。
【0027】
請求項によれば、アダプターと本体ケースは決まった位置でしか嵌合できず、係合状態で表示窓が使用者に相対し、高圧ガス容器の使用、不使用を確実に視認できる。
【0028】
請求項によれば、アダプターと本体ケースは決まった位置でしか嵌合できず、嵌合状態で表示窓が使用者に相対し、使用者は高圧ガス容器の使用、不使用を確実に視認できる。
【0029】
請求項によれば、つまみの操作により、該ロック機構を解放してアダプターを本体ケースから取り外せ、取り外し後につまみを放せば、スプリングによりつまみは原位置に戻ってアダプターの次の取り付けに備えさせられ、つまみを操作しない限りアダプターが本体ケースから外れる恐れはない。
【0030】
請求項によれば、該ロック片の自動復帰により該突起の自動ロックができる。
【0031】
請求項によれば、ロック片を欠環状溝に収めた状態でつまみをロック片と、長孔を通して結合でき、組立てが容易で、つまみによりロック片を退避させることにより、アダプターを本体ケースから取り外すことができる。
【0032】
請求項によれば、ロック片が欠環状溝から脱出するのを防げる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明にかかる本体ケースとアダプターの着脱機構の具体例を、救命胴着用膨張装置に対する組み込み用として示す斜面図である。
図2図1の2−2線切断斜面図である。
図3図2のアダプター部分の線3−3視図である。
図4図2の本体ケース部分の線4−4視図である。
図5】ロック機構12のロック片61を含めた斜面図である。
図6】撃針伝導軸6の詳細斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(請求項1)本発明にかかる本体ケースとアダプターの着脱機構は、本体ケース1とアダプター2を包含している。この本体ケース1はアダプター2の取付口3を備える。このアダプター2は軸孔4を備えた筒状体で、この軸孔4の一端部が高圧ガス容器Bの取付部5で他端部が撃針伝導軸6の導入部7となっている。またこのアダプターは、取付部5側の外径Dが導入部7側の外径dより大となっている。
【0035】
この導入部7側の外壁面8と取付口3の内壁面9にバヨネット型の係合機構10が分設
される。この導入部7側は表示窓11を、このアダプター2を取付口3に取り付けた状態でも外部に開放する位置に備えている。本体ケース1は取付口3に係合機構10の係合状態保全用のロック機構12を備えている。
【0036】
この本体ケース1は、これに取り付けた高圧ガス容器Bを開封して内部の圧力ガスを需要側の要求に応じて送るためのものである。例えば、救命胴着に本体ケース1を装着しておき、緊急時に高圧ガス容器Bの封板53を手動で、又は水脆性を有する紙環で拘束した作動桿の釈放で、破断してガスで胴着を膨らませる。また、飲料容器ではこのガス圧で内部液体を押し出す。
【0037】
高圧ガス容器は直接本体ケースに取り付けられる場合もあるが、本発明ではアダプター2を介して本体ケース1に取り付けられる。このアダプター2は取付部5側の外径Dが導入部7側の外径dより大となっているので、本体ケース1の取付口3の内径を小さくでき、ロック機構12を臨設してもこの部分が大きくならない。
【0038】
高圧ガス容器Bをアダプター2の取付部5に取り付け、このアダプター2を本体ケース1の取付口3に取り付ける。この取付けは図示の場合はねじ式となっているが、バヨネット式でもよい。
【0039】
このアダプター2を本体ケース1に、他端部側の外壁面と取付口3の内壁面9に分設したバヨネットの係合機構10を利用して取り付ける。この取付けの完了状態でも表示窓11が外方へ開放しているので、撃針伝導軸6が開封のために移動すると、表示窓11を通してそれを確認できる。念のため、撃針伝導軸6に標識51を施しておくのが望ましい。
【0040】
ロック機構12はアダプター2の係合機構10の移動通路上に弾発的に臨出し、このアダプター2の他端部側を取付口3に圧嵌する際、係合機構10により強制的に退避位置に退散して係合機構10の進入を許す。
【0041】
このアダプター2を回転してその係合機構10がロック機構12と離別すると、ロック機構12は原位置に復帰してバヨネット係合状態を保全する。この離別でアダプター2とロック機構12の係合機構10は、アダプター2とロック機構12の相対的な軸線方向の移動に対しては互いに無干渉となり、相対的な回転動作に対してのみ干渉する。そのため、アダプター2を押し込んでもその係合機構10は取付口3のロック機構12を現状位置から退散させられず、アダプター2は回転不能のままとなって取付口3から取り外せないので、高い安全性を保証できる。
【0042】
(請求項)係合機構10は取付部5の外壁面8側が突起31で内壁面9側が凹部32となっており、この突起31と凹部32はそれぞれ直径上にかつ各一方が周方向にある角度θだけずれた位置に対設されて特定の相対位置でのみ係合可能となっている。そして、表示窓11は係合機構10の係合状態で特定方向に開放するようになっている。
この場合、突起31の周長が同じなので寸法取りが容易で、アダプター2と本体ケース1は決まった位置でしか嵌合できないので、表示窓11の係合状態での開放方向を自由に決めて使用者に相対させることにより、高圧ガス容器Bの使用、不使用を確実に視認できる。
【0043】
(請求項)係合機構10は取付部5の外壁面8側が突起41で内壁面9側が凹部42となっている。突起41と凹部42はそれぞれ直径上にかつ各一方の外周長を他方の外周長より大にして対設されて特定の相対位置でのみ係合可能となっている。そして、表示窓11はバヨネット係合状態で特定方向に開放するようになっている。
この場合、突起41は直径上に対設するので製造が容易で、アダプター2と本体ケース1は決まった位置でしか嵌合できないので、表示窓11の嵌合状態での開放方向を自由に決めて使用者に相対させることにより、高圧ガス容器Bの使用、不使用を確実に視認できる。
【0044】
(請求項)表示窓11は、撃針伝導軸6が導入部7内を移動した場合に撃針伝導軸6又はこの撃針伝導軸6に関して設けた標識51を視認可能として、高圧ガス容器Bの使用済みを表示するものである。標識51としては、色分け、文字もしくは表示等、適当なものを採用できる。
この場合、表示窓11に標識51が現れた状態では撃針伝導軸6に取り付けた穿針52が必ず封板53を突き破っているので、使用済みであることを保証できる。標識51を撃針伝導軸6に設けてもよいが、この撃針伝導軸6と同一軸線上で隣設され、他端面に穿針52を支持する支持体54に設けてもよい。
【0045】
この支持体54の他端面には穿針52の嵌合孔55とガス通孔56が開口し、これらの嵌合孔55とガス通孔56は内部で導出孔57に合流して一端面に開口する。撃針伝導軸6が支持体54と対接する面と側面の縮径部58にかけてガスを導く傾斜路59が形成される。この縮径部58は需要側のガス導入孔(図示省略)に連通する。60はOリングである。54’は支持体54の他端面から突き出た抵抗片で、支持体54が軸孔4から簡単に脱出しないようにするためのものである。
【0046】
(請求項)ロック機構12はアダプター2の突起31、41の移動通路上に臨出するロック片61、このロック片61を取付口3の軸線x方向へ押圧するスプリング62及びこのロック片61と結合したつまみ63を包含している。
この場合、つまみ63の操作により、ロック機構12を解放してアダプター2を本体ケース1から取り外せ、取り外し後につまみ63を放せば、スプリング62によりつまみ63は原位置に戻ってアダプター2の次の取り付けに備えさせられる。
【0047】
(請求項)ロック片61は欠環状となっており、取付口3の周壁に取付口3と同心に形成した欠環状溝71に取付口3の軸線x方向に移動自在に収容され、アダプター2の圧入により突起31、41がロック片61の当接面72に当接してこれを押し込み、続く回転動作でこの当接面72から離脱した状態でスプリング62により原位置に復帰し、その湾曲方向の端面73で突起31、41の側面74、75と係合してアダプター2の戻りを阻止するようになっている。
この場合、ロック片61の自動復帰により突起31、41の自動ロックができ、一旦ロックすると、ロック片61は人為的に力を加えない限り原状復帰をしないので、高圧ガス容器が意に反して本体ケースから脱出する恐れはない。
【0048】
(請求項)つまみ63は本体ケース1に穿った長孔81を通して本体ケース1の外部からロック片61と弾発的に係合しており、つまみ63の移動によりロック片61の端面73を突起31、41の側面74、75から外して、突起31、41の戻りを許容するようになっている。
この場合、ロック片61を欠環状溝7に収めた状態でつまみ63をロック片61と、長孔81を通して結合でき、組立てが容易で、つまみ63によりロック片61を退避させることにより、アダプター2を本体ケース1から取り外すことができる。
【0049】
(請求項) 本体ケース1の孔81は、つまみ63の移動範囲を、ロック片61が欠環状溝71から脱出しない範囲に、規制している。
この場合、ロック片61が欠環状溝71から脱出するのを防げる。
【符号の説明】
【0050】
1 本体ケース
2 アダプター
3 取付口
4 軸孔
5 取付部
6 撃針伝導軸
7 導入部
B 高圧ガス容器
8 外壁面
9 内壁面
10 係合機構
11 表示窓
12 ロック機構
D 外径
d 外径
31 突起
32 凹部
41 突起
42 凹部
51 標識
52 穿針
53 封板
54 支持体
61 ロック片
62 スプリング
63 つまみ
71 欠環状溝
72 当接面
73 端面
x 軸線
74 側面
75 側面
81 長孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6