特許第5944705号(P5944705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944705
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】分岐開口連通方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20160621BHJP
   F16L 41/06 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   F16L55/00 C
   F16L41/06
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-58454(P2012-58454)
(22)【出願日】2012年3月15日
(65)【公開番号】特開2013-190087(P2013-190087A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2015年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(72)【発明者】
【氏名】石井 猛文
(72)【発明者】
【氏名】中里 謙介
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−7654(JP,A)
【文献】 特開2011−241873(JP,A)
【文献】 特開平6−249386(JP,A)
【文献】 特開2007−170528(JP,A)
【文献】 特開2002−22085(JP,A)
【文献】 特開2008−51231(JP,A)
【文献】 特開2008−170008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/00
F16L 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管に対し密封状に取り付けられ該流体管と連通する分岐部を備えた筐体において、前記分岐部の分岐開口が閉鎖体により閉鎖されている分岐開口を不断流状態で連通可能にする分岐開口連通方法であって、
前記分岐部に連通するケース体を密封状に取り付け、該ケース体を介し前記閉鎖体を取り外した後、
該閉鎖体に替えて、前記分岐部の内方及び外方に連通する連通孔及び該連通孔を着脱自在に閉じる栓部材を備えた閉塞体を、前記ケース体を介し前記分岐部に対して当接箇所が密封状になるように取り付け
前記閉塞体を前記分岐部に取り付けた後、前記ケース体に替えて、前記連通孔を開閉可能にする補修弁を取り付け、該補修弁を介し前記栓部材を取り外した後、前記補修弁と連通する接続部材を取り付けたことを特徴とする分岐開口連通方法。
【請求項2】
前記閉塞体は、前記流体管の穿孔に当接される環状の防錆部を有しており、前記分岐開口に取り付けるとともに、該防錆部によって前記穿孔を防錆することを特徴とする請求項1に記載の分岐開口連通方法。
【請求項3】
前記穿孔を防錆する前に前記穿孔の穿孔面を切削することを特徴とする請求項2に記載の分岐開口連通方法。
【請求項4】
前記閉塞体を前記分岐部に取り付けた後、該分岐部の係止部によって係止することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の分岐開口連通方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔を有する流体管に対し密封状に取り付けられ該穿孔と連通する分岐部を備えた筐体において、前記分岐部の分岐開口が閉鎖体により閉鎖されている分岐開口を不断流状態で連通可能にする分岐開口連通方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分岐部を備えた筐体においては、水道管(流体管)の止水したい部分の外周を基礎支持部材で覆い、この基礎支持部材の円筒状部から穿孔機により水道管に透孔(穿孔)を形成し、この透孔から所定の作業を行うものがある。その後、円筒状部内に円盤状支持体と閉孔部材とから成る水密閉孔具ユニットを取り付け、円筒状部及び透孔を水密に閉孔しており、これにより水道管の外周より大きく突出して埋設されないため、例えば他の水道管工事の際にパワーシャベル等で引っ掛けて破損させる虞を防止したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−157353号公報(第4、5、6頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、水密閉孔具ユニットが円筒状部及び透孔を閉塞するのみの機能しかなく、円筒状部を有効利用できないため、汎用性に欠けていた。更に、円盤状支持体と閉孔部材とのスペースに閉孔作業の際に流出した流体が滞留するため衛生的ではないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、分岐部を有効に利用することができるとともに、分岐部内に流体を滞留させない分岐開口閉塞方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の分岐開口連通方法は、
流体管に対し密封状に取り付けられ該流体管と連通する分岐部を備えた筐体において、前記分岐部の分岐開口が閉鎖体により閉鎖されている分岐開口を不断流状態で連通可能にする分岐開口連通方法であって、
前記分岐部に連通するケース体を密封状に取り付け、該ケース体を介し前記閉鎖体を取り外した後、
該閉鎖体に替えて、前記分岐部の内方及び外方に連通する連通孔及び該連通孔を着脱自在に閉じる栓部材を備えた閉塞体を、前記ケース体を介し前記分岐部に対して当接箇所が密封状になるように取り付け
前記閉塞体を前記分岐部に取り付けた後、前記ケース体に替えて、前記連通孔を開閉可能にする補修弁を取り付け、該補修弁を介し前記栓部材を取り外した後、前記補修弁と連通する接続部材を取り付けたことを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞体が連通孔を備え、連通孔を開閉可能な接続部材が取り付けられることにより、筐体の配設位置における用途に合わせて、接続部材として例えば空気弁、補修弁、消火栓、ボールバルブ等を適宜接続することができ、筐体の分岐部を有効に利用することができるとともに、接続部材により連通孔を開閉することで分岐部内に流体を滞留させないようにすることができる。
【0007】
本発明の分岐開口連通方法は、
前記閉塞体は、前記流体管の穿孔に当接される環状の防錆部を有しており、前記分岐開口に取り付けるとともに、該防錆部によって前記穿孔を防錆することを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞体が防錆部を有していることにより、穿孔に錆びが形成されることを防止できるとともに、別途に穿孔を防錆する工程を行うことなく、閉塞体を分岐開口に取り付けると同時に穿孔の防錆が行われるため、作業を簡略化できる。
【0008】
本発明の分岐開口連通方法は、
前記穿孔を防錆する前に前記穿孔の穿孔面を切削することを特徴としている。
この特徴によれば、穿孔の防錆を行う前に穿孔の穿孔面を切削することで、錆びや夾雑物が取り除かれた新しい穿孔面を防錆することができ、流体管内を清潔に保つことができる。
【0009】
本発明の分岐開口連通方法は、
前記閉塞体を前記分岐部に取り付けた後、該分岐部の係止部によって係止することを特徴としている。
この特徴によれば、分岐部に係止部が設けられることで閉塞体の位置決めが成され、閉塞体が設置された状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は、実施例1において閉鎖体により分岐開口が閉鎖された状態を示す正面断面図であり、(b)は、同じく側断面図である。
図2】実施例1における閉鎖体を取り外している状態を示す正面断面図である。
図3】実施例1における閉塞体を分岐部に取り付ける状態を示す正面断面図である。
図4】実施例1における閉塞体が分岐開口を閉塞した状態を示す正面断面図である。
図5】実施例2,3における閉塞体を分岐部に取り付ける状態を示す正面断面図である。
図6】実施例2,3における閉塞体が分岐開口を閉塞した状態を示す正面断面図である。
図7】(a)は、実施例3における閉鎖体を分岐部から取り外している状態を示す正面断面図であり、(b)は、閉鎖体を取り外した後、穿孔の穿孔面を切削している状態を示す正面断面図である。
図8】実施例4における閉塞体を分岐部に取り付ける状態を示す正面断面図である。
図9】実施例4における閉塞体を取り付けた後、栓部材を取り外す状態を示す正面断面図である。
図10】実施例4における閉塞体に消火栓を取り付けた状態を示す正面断面図である。
図11】(a)は、実施例5において閉鎖体により分岐開口が閉鎖された状態を示す正面断面図であり、(b)は、閉鎖体を分岐部から取り外している状態を示す正面断面図である。
図12】(a)は、実施例5における閉塞体を分岐部に取り付ける状態を示す正面断面図であり、(b)は、閉塞体が分岐開口を閉塞した状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る分岐開口連通方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
実施例1に係る分岐開口連通方法につき、図1から図4を参照して説明する。図1に示すように、本実施例の流体管1は、例えば、地中に埋設される上水道用のダクタイル鋳鉄製であり、断面視略円形状に形成され、内周面がモルタル層で被覆されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいは石綿、コンクリート製、塩化ビニール、ポリエチレン若しくはポリオレフィン製等であってもよい。更に尚、流体管の内周面はモルタル層に限らず、例えばエポキシ樹脂等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、本実施例では流体管1内の流体は上水であるが、流体管の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管であっても構わない。
【0013】
流体管1の外周面に密封状に取り付けられている筐体2は、いわゆる割T字管であって、流体管1の管軸と略直交方向に延設されるとともに、流体管1の穿孔Qと連通する分岐部12を備え、流体管1の外周の上側を被覆する第1筐体11aと、流体管1の外周の下側を被覆する第2筐体11bと、からなり、第1筐体11a及び第2筐体11bを流体管1を挟む位置で対向させ、ボルト・ナット13により締結されている。また、穿孔Qの外周には、ゴムリング22が分岐部12の内面と流体管1の外面との間に介設されており、穿孔Qを介し流体管1内からの流体の漏出が防止されている。
【0014】
分岐部12には、該分岐部12の分岐開口12bを閉鎖する本発明における閉鎖体である既設の弁蓋3が取り付けられており、この弁蓋3には、穿孔Qに向けて進退移動し、穿孔Qを介して流体管1内を開閉する弁体5が内設されている。また、弁蓋3は、分岐部12の上端部の内径より小径の外径を有しており、弁蓋3の下部には、外周に沿ってOリング19が設けられている。弁蓋3の下部の外周に沿ってOリング19が設けられていることにより、分岐部12の内周面に沿って密封状に嵌挿されている。更に、分岐部12の上フランジ12aから内径方向に螺挿される固定ボルト16によって係止されているとともに、弁蓋3の外周面にリング状のフランジ9が係合するように配設され、このフランジ9と上フランジ12aとがボルト・ナット14によって緊締されていることで位置固定されている。
【0015】
次に、このように弁蓋3により閉鎖されている分岐部12の分岐開口12bを不断流状態で連通可能にする分岐開口連通方法について説明する。
【0016】
先ず、図2に示されるように、分岐部12の上フランジ12aには、内部に作業弁36を配設した本発明におけるケース体である作業弁ケース35を密封状に接続し、作業弁ケース35の上方には、分岐部12に向けて進退可能な挿入機38を内部に配設した外ケース37を取り付ける。そして、挿入機38の先端に弁蓋3を接続するとともに、固定ボルト16を弁蓋3から螺出して該挿入機38を退行移動させ、作業弁ケース35を介して分岐部12から弁蓋3を取り外す。
【0017】
次に、図3に示されるように、作業弁36によって作業弁ケース35を閉塞するとともに、弁蓋3に替えて、分岐部12の内方と外方とに連通する連通孔4aを備えた閉塞体4を挿入機38の先端に取り付ける。本実施例において閉塞体4は、分岐部12の上端部の内径よりも若干小径であり、平面視略円形状を成している。また、閉塞体4の外周面には、固定ボルト16の先端が係止する凹部4bと、分岐開口12bを密封するためのシールリング4cと、が形成されている。更に閉塞体4の連通孔4aは、内周面が雌ネジ状に形成されており、連通孔4aを開閉可能な本発明の接続部材である空気弁6が螺合して取り付けられている。
【0018】
その後、挿入機38を進行移動させることで、空気弁6を取り付けた閉塞体4を分岐部12内に取り付ける。このときには、分岐部12から分岐するホース39を介し、流体管1から流入する流体が外ケース37内へ排出され、作業弁36を境にした分岐部12側と外ケース37側とを等圧とすることができるため、挿入機38による閉塞体4の挿入が容易である。
【0019】
これによれば、閉塞体4が連通孔4aを備え、連通孔4aを開閉可能な接続部材が取り付けられることで、筐体2の配設位置における用途に合わせて、接続部材として空気弁6を適宜接続することができ、筐体2の分岐部12を有効に利用することができるとともに、空気弁6により連通孔4aを開閉することで分岐部12内に流体を滞留させないようにすることができる。
【0020】
閉塞体4を分岐部12内に取り付けた状態においては、図4に示されるように、閉塞体4のシールリング4cが分岐部12の内周面に圧接され、分岐開口12bが密封状に閉塞されるように成る。これにより、穿孔Qから分岐部12内に流れ込む流体が分岐開口12bから漏出することがない。次いで、固定ボルト16を凹部4bに向けて螺挿し、閉塞体4を係止する。すなわち固定ボルト16は、本発明の係止部を構成している。このように、分岐部12の上フランジ12aに前述した係止部である固定ボルト16が設けられていることで閉塞体4の位置決めが成される。すなわち、分岐開口12bが閉塞体4により密封状に閉塞された状態が維持される。その後、分岐部12の上フランジ12aに環状の押え蓋10をボルト・ナットによって取り付けることで、分岐部12内に異物が進入すること若しくは閉塞体4が分岐部12内から外れることを防止する。
【0021】
図4の状態では、本発明の接続部材である空気弁6は、この空気弁6に接続された補修弁の操作部6aの常開状態において分岐部12内に溜まる空気を外部へ常時排出することができる。尚、再度弁蓋3及び弁体5を使用するときは、上述と同様の工程を行うことにより、閉塞体4及び空気弁6を不断流状態で容易に交換することができる。
【0022】
以上説明したように、穿孔Qを有する流体管1に対し密封状に取り付けられ穿孔Qと連通する分岐部12を備えた筐体2において、分岐部12の分岐開口12bが弁蓋3により閉鎖されている分岐開口12bを不断流状態で連通可能にする分岐開口連通方法であって、分岐部12に連通する作業弁ケース35を密封状に取り付け、作業弁ケース35を介し弁蓋3を取り外した後、弁蓋3に替えて、分岐部12の内方及び外方に連通する連通孔4aを備えた閉塞体4を、作業弁ケース35を介し分岐部12に対して当接箇所が密封状になるように取り付けることで、連通孔4aに、この連通孔4aを開閉可能な接続部材を取り付け可能にした。これによれば、閉塞体4が連通孔4aを備え、連通孔4aを開閉可能な接続部材が取り付けられることにより、筐体2の配設位置における用途に合わせて、接続部材として例えば空気弁、補修弁、消火栓、ボールバルブ等を適宜接続することができ、筐体2の分岐部12を有効に利用することができるとともに、接続部材により連通孔4aを開閉することで分岐部12内に流体を滞留させないようにすることができる。
【実施例2】
【0023】
次に、実施例2に係る分岐開口連通方法につき、図5及び図6を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。
【0024】
本実施例の分岐開口連通方法は、閉塞体40の構造が前記実施例1と相違している。すなわち図5、6に示されるように、本実施例の閉塞体40は、穿孔Qに向けて延設される防錆部41を有している。この防錆部41は、穿孔Qに向けて延設される環状の筒状体41aと、筒状体41aの先端の外周面には、流体管1の金属素地が露出した穿孔Qの内周面に亘り当接する防錆部材41bと、から構成されている。この筒状体41aには、筒状体41aの径方向に貫通する貫通孔41cを有している。また、防錆部材41bは、例えばスチレンブタジエンゴム等の弾性を有する部材から成っている。
【0025】
図5図6に示されるように前記実施例1と同様の工程により、分岐部12に閉塞体40を取り付け、分岐開口12bを密封状に閉塞する。このときには、前記したように閉塞体40から防錆部41が穿孔Qに向けて延設されているため、分岐開口12bを密封状に閉塞するとともに、防錆部41の防錆部材41bが穿孔Qの内周面に亘り当接することで穿孔Qを防錆する。
【0026】
このように、閉塞体40が防錆部41を有していることにより、穿孔Qに錆びが生じることを防止できるとともに、別途に穿孔Qを防錆する工程を行うことなく、閉塞体40を分岐開口に取り付けると同時に穿孔Qの防錆が行われるため、作業を簡略化できる。更に、穿孔Qから筒状体41a内に流入する流体は、貫通孔41cを介して分岐部12内と筒状体41a内とに連通可能になっているため、該流体の滞留領域が形成されず、流体管1及び筐体2内の流体を清浄に保つことができる。
【実施例3】
【0027】
次に、実施例3に係る分岐開口連通方法につき、図5から図7を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。
【0028】
図7(a)に示されるように、前記実施例1と同様に、挿入機38の先端に弁蓋3を接続するとともに、該挿入機38を退行移動させ、作業弁ケース35を介して分岐部12から弁蓋3を取り外す。その後、図7(b)に示されるように、作業弁36によって作業弁ケース35を閉塞するとともに、外ケース37に替えて、穿孔装置50を作業弁ケース35の上方に接続する。
【0029】
この穿孔装置50は、図示しない駆動手段に接続され分岐部12内を流体管1に向け軸方向に伸出するとともに軸周りに回転する軸部材51と、軸部材51の先端に固設され流体管1を穿設する穿孔刃52aを備えたカッタ部材52と、から主として構成されており、カッタ部材52を穿孔Qにアプローチして穿孔Qの当初の穿孔面を削り、新たな穿孔面を形成する。これによって、穿孔Qの当初の穿孔面に錆び等の夾雑物が付着した場合であっても、この夾雑物を取り除くことができる。
【0030】
前記実施例2と同様に、閉塞体40によって分岐開口12を密封状に閉塞するとともに、防錆部41の防錆部材41bが穿孔Qの内周面に亘り当接することで穿孔Qを防錆する(図5,6参照)。
【0031】
これによれば、穿孔Qの防錆を行う前に穿孔Qの当初の穿孔面を切削することで、当初の穿孔面に錆び等の夾雑物が生じていた場合であっても、この夾雑物が取り除かれた新しい穿孔面を防錆することができ、流体管1及び筐体2内を清潔に保つことができる。
【実施例4】
【0032】
次に、実施例4に係る分岐開口連通方法につき、図8から図10を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。
【0033】
図8に示されるように、本実施例の挿入機38’の先端には、ボルト・ナット18を介して適宜の部材を取り付け可能であり、外径方向に張り出した鍔部38aが形成されている。また、本実施例の閉塞体40’は、前記実施例2と同様に、穿孔Qに向けて延設される防錆部41を有しているとともに、穿孔Qと対抗方向に向けて延設され、端部が外径方向に張り出すフランジ部42を有している。また、連通孔4a’には、予め栓部材20の雄ネジ部20cが連通孔4a’の内周面の雌ネジ部14aに螺合して取り付けられている。この栓部材20は、図9の囲い部に示されるように、上方に突設された凸部20bを備え、断面視凸形状と成っているとともに、外径方向に開口する係合凹部20aが設けられている。
【0034】
先ず図8に示されるように、フランジ部42と鍔部38aとをボルト・ナット18を介して接続し、前記実施例1、2と同様に挿入機38’を進行移動させる。これにより、図9に示されるように閉塞体40’が分岐部12に取り付けられ、分岐開口12bが密封状に閉塞される。このとき、防錆部41の防錆部材41bは、穿孔Qの内周面に亘り当接することで穿孔Qを防錆する。尚、このように閉塞体40’を分岐部12に取り付る前に、上記実施例3で説明したように、カッタ部材により穿孔Qの当初の穿孔面を削り、新たな穿孔面を形成するようにしてもよい。
【0035】
この状態において、穿孔Qから流出した流体は、筐体2及び閉塞体40’の外部へ流出することがないため、作業弁ケース35、及び挿入機38’が配設された外ケース37を取り外すことができる。作業弁ケース35、及び挿入機38’が配設された外ケース37を取り外した後、図9に示されるように、閉塞体40’のフランジ部42に補修弁21が内設された補修弁ケース23を取り付けるとともに、補修弁ケース23の上方に栓部材20を取り外すための取り外し具25を備えた蓋ケース24を配設する。
【0036】
この取り外し具25は、蓋ケース24内に挿通され、連通孔4a’に向けて進退可能な軸部25aと、軸部25aの先端部に設けられ、栓部材20の凸部20bに嵌合可能な嵌合部25bと、軸部25aの後端部に設けられ、作業者が把持して操作可能な把持部25cと、から構成されている。軸部25aは、作業者が把持部25cを把持し、連通孔4a’に向けて押し下げ、若しくは引き上げを行うことにより補修弁ケース23を介して進退可能となっているとともに、作業者が把持部25cを把持し、適宜回転させることで軸周りに回転可能となっている。また、嵌合部25bは、栓部材20の凸部20bに嵌合した状態で係合凹部20aと係合するための係合ボルト26を有しており、この係合ボルト26は、係合凹部20a側に向けて図示しない弾性部材により内径方向に付勢されている係合端部26aを備えている。
【0037】
補修弁ケース23の上方に取り外し具25を備えた蓋ケース24を配設した後、作業者が把持部25cを把持し、取り外し具25を連通孔4a’に向けて押し下げ、嵌合部25bを栓部材20の凸部20bに嵌合させる。このとき、係合ボルト26の係合端部26aが凸部20bの外周面に付勢されながら摺動し、やがて係合端部26aが係合凹部20aの位置まで移動したときに弾性復元力によって係合凹部20aに収容され(図9囲い部参照)、取り外し具25と栓部材20とが係合した状態となる。そして、作業者が把持部25cを把持し、取り外し具25を軸部25aの軸周りに回転させることで、栓部材20の雄ネジ部20cと雌ネジ部14aとの螺合を解除した後、取り外し具25を退行させることで栓部材20を連通孔4a’から取り外す。
【0038】
これにより、図10に示されるように、連通孔4a’が補修弁ケース23と連通する。その後、補修弁21によって補修弁ケース23を閉塞して蓋ケース24及び取り外し具25を取り外すとともに、本実施例の接続部材である消火栓61を取り付ける。そして、補修弁21によって補修弁ケース23を開放し、作業者が消火栓61の栓部材を操作することで穿孔Qから流入する流体を適宜外部へ排出することができる。
【0039】
尚、本実施例の係合ボルト26の係合端部26aは、図示しない弾性部材により内径方向に付勢されているが、これに限らず、係合端部自体が弾性を有しており、係合ボルトに取り付けられていてもよい。また、取り外し具は、これに限られず、外部からの操作により栓部材を取り外し可能なものであればよい。
【実施例5】
【0040】
次に、実施例5に係る分岐開口連通方法につき、図11及び図12を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する説明を省略する。
【0041】
図11(a)に示されるように、本実施例における穿孔Q’は、図示しないカッタ部材によって穿設されており、流体管1の上部に、管周方向の幅寸法が管軸方向の幅寸法よりも長寸な上面視で略矩形状に形成されている。尚、上記した穿孔は、例えばエンドミルによって穿設されるものでもよい。また筐体2’は、穿孔Q’の外周に沿って配設されるゴムリング22’と、流体管1の管軸方向における略全長に亘って配設されるとともに、図示しない連続して当該管軸方向の両端部の略全周に亘って配設されるシール部材32と、を備えており、第1筐体11a’及び第2筐体11b’をボルト・ナットで緊締することで流体管1に密封状に取り付けられている。更に、分岐部12’には、分岐開口12b’を密封状に閉鎖する弁蓋3’(閉鎖体)が取り付けられており、この弁蓋3’には、穿孔Q’に向けて進退移動し、穿孔Q’を介して流体管1内を開閉する弁体5’が内設されている。
【0042】
また、図12に示されるように、本実施例の閉塞体140は、分岐部12’と同軸方向に略円筒状の延びる円筒状部140aを有しており、この円筒状部140aの穿孔Q’側の端部が穿孔Q’の内周面に当接される環状の防錆部141となっている。この防錆部141の外周面には、防錆部材141aが配設されている。また、円筒状部140aには、閉塞体140が分岐部12’に取り付けられる際に、分岐部12’の上フランジ12a’と接続可能な接続部140bが形成されている。
【0043】
図11(b)に示されるように、前記実施例と同様の工程により、挿入機38によって弁蓋3’及び弁体5’を分岐部12’から取り外す。次いで、図12(a)に示されるように、弁蓋3’に替えて補修弁ケース23と消火栓61とが接続された閉塞体140を挿入機38の先端に取り付け、当該挿入機38を穿孔Q’に向けて進行移動させる。これにより、図12(b)に示されるように、閉塞体140が分岐部12’に取り付けられ、分岐開口12b’が密封状に閉塞される。このとき、防錆部141の防錆部材141aは、穿孔Qの内周面に亘り当接することで穿孔Qを防錆する。そして、接続部140bと上フランジ12a’を、本発明の係止部であるボルトで緊締することで、分岐部12’に閉塞体140を固定し、分岐開口連通方法における作業が完了する。
【0044】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0045】
例えば、前記実施例では、閉塞体の連通孔に接続される接続部材として、空気弁6や消火栓61が適用されているが、接続部材はこれ等に限られず、例えば、ボール弁、スルース弁、バタフライ弁、三方弁、ドレン等でもよく、閉塞体の連通孔を開閉可能であれば構わない。
【0046】
また、本発明の閉塞体に取り替えられる既設の閉鎖体は、前記実施例の弁蓋3,3’に限らず、例えば分岐部内に設置され、分岐開口を閉鎖した中蓋等でもよく、分岐部の分岐開口を密封状に閉鎖しているものであればよい。
【0047】
また、前記実施例では係止部を固定ボルト16として説明したが、例えば係止部は、分岐部の内周面から閉塞体に係止可能に設けられていてもよく、閉塞体の位置決めが成されるものであれば構わない。
【符号の説明】
【0048】
1 流体管
2,2’ 筐体
3,3’ 弁蓋(閉鎖体)
4 閉塞体
4a,4a’ 連通孔
6 空気弁(接続部材)
12,12’ 分岐部
12b,12b’ 分岐開口
16 固定ボルト(係止部)
35 作業弁ケース(ケース体)
40,40’,140 閉塞体
41,141 防錆部
41b,141a 防錆部材
61 消火栓(接続部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12