特許第5944738号(P5944738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944738
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】連続移送式袋詰め包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/10 20060101AFI20160621BHJP
   B65B 43/46 20060101ALI20160621BHJP
   B65B 1/32 20060101ALI20160621BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B65B57/10 B
   B65B43/46 A
   B65B1/32
   B65B57/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-107604(P2012-107604)
(22)【出願日】2012年5月9日
(65)【公開番号】特開2013-233975(P2013-233975A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2014年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100974
【弁理士】
【氏名又は名称】香本 薫
(72)【発明者】
【氏名】山縣 暁裕
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−161230(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0164088(US,A1)
【文献】 特開2002−302227(JP,A)
【文献】 特開2010−208662(JP,A)
【文献】 特開平05−016928(JP,A)
【文献】 特開2003−237744(JP,A)
【文献】 特開2011−213405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B57/00−57/20
B65B 1/00− 3/36
B65B43/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーストラック形の環状軌道に沿って等間隔に設置されかつ等速で移動する多数組のグリッパーと、前記環状軌道に沿って設置された袋供給装置、袋口開口装置、充填装置及びシール装置を備え、前記充填装置は、前記環状軌道の一方の円弧部の上方に前記円弧部と同心の第1円軌道に沿って等間隔で配置され、かつ前記グリッパーと同調して連続回転する複数個の昇降式ホッパーを有し、前記グリッパーの移動の過程で、前記袋供給装置による前記グリッパーへの袋の供給とグリッパーによる袋両縁の把持、前記袋口開口装置による袋口の開口、前記充填装置による前記昇降式ホッパーを介しての袋への被包装物の充填、及び前記シール装置による袋口のシールが行われる連続移送式袋詰め包装機において、前記充填装置の一部として、各昇降式ホッパーの上部に配置され、該昇降式ホッパーと共にグリッパーと同調して前記第1円軌道と同心の第2円軌道に沿って連続回転し、下部にシャッターを有する計量ホッパーと、各計量ホッパーに対応して設置され、共に連続回転し、被包装物供給直後の計量ホッパー内の被包装物の重量を検出する重量検出器と、同じく各計量ホッパーに対応して設置され、共に連続回転し、各計量ホッパーの前記シャッターを開閉するシャッター作動機構を備え、さらに、前記重量検出器の検出信号に基づき計量ホッパーに供給された被包装物の重量が許容範囲の上限値以下か上限値を超えるかを判定し、その判定結果に基づき判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構の作動を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、計量ホッパーに供給された被包装物の重量が前記上限値以下と判定したとき、判定対象の計量ホッパーが前記第2円軌道の同調領域を移動する間、所定のタイミングで判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させてシャッターを開き、計量ホッパーに供給された被包装物の重量が前記上限値を超えると判定したとき、判定対象の計量ホッパーが前記第2円軌道の同調領域を移動する間も、判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させずシャッターを閉じた状態に維持し、さらに、判定対象の計量ホッパーが次回前記第2円軌道の同調領域を回転移動するとき同調して回転する予定のグリッパーへの袋の供給を止め、判定対象の計量ホッパーに対する次回の被包装物の供給を止め、判定対象の計量ホッパーが次回前記第2円軌道の同調領域に達したとき所定のタイミングで前記計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させてシャッターを開くことを特徴とする連続移送式袋詰め包装機。
【請求項2】
前記制御装置が、前記重量検出器の検出信号に基づき計量ホッパーに供給された被包装物の重量が許容範囲内か、許容範囲の上限値を超えるか、又は許容範囲の下限値未満かを判定し、その判定結果に基づき判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構の作動を制御することを特徴とする請求項1に記載された連続移送式袋詰め包装機。
【請求項3】
前記第1円軌道の同調領域における前記昇降式ホッパーの直下位置に、前記昇降式ホッパーから放出される被包装物を受ける被包装物回収部材が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された連続移送式袋詰め包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーストラック形の環状軌道に沿って多数のグリッパーを等速で移動させ、その移動の過程で、前記グリッパーへの袋の供給とグリッパーによる袋両縁の把持、袋口の開口、袋への被包装物の充填、及び袋口のシール等の包装操作を行う連続移送式袋詰め包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーストラック形の環状軌道に沿って等間隔に設置されかつ等速で移動する多数組のグリッパーと、前記環状軌道に沿って設置された袋供給装置、袋口開口装置、充填装置及びシール装置等を備えた連続移送式袋詰め包装機が記載されている。この連続移送式袋詰め包装機において、前記充填装置は、前記環状軌道の一方の円弧(半円)部の上方に前記円弧部と同心の円軌道に沿って等間隔(等角度間隔)で配置され、かつ前記グリッパーと同調して連続回転する複数個の昇降式ホッパーを備えている。前記グリッパーが前記環状軌道の一方の円弧部を移動する間に、前記昇降式ホッパーを介して、グリッパーが把持した袋への被包装物の充填が行われる。
【0003】
前記昇降式ホッパーは、グリッパーが前記環状軌道の一方の円弧部に沿って連続移動(回転)する間、グリッパーと同調して共に連続回転する。この連続回転の間に、昇降式ホッパーはグリッパーに把持された袋の直上位置(待機位置)から充填位置に下降して下端開口が袋口内に挿入され、被包装物が昇降式ホッパーに投入されて下端開口から袋内に落下し、続いてホッパーが上昇して下端開口が袋口から抜き出され、昇降式ホッパーは前記待機位置に復帰する。
【0004】
特許文献2にも同様の連続移送式袋詰め包装機が記載されている。ただし、この連続移送式袋詰め包装機では、各昇降式ホッパーの下方位置に、昇降式ホッパーと共に昇降しかつ連続回転するガイド部材が配置されている。このガイド部材は、エアシリンダ等の駆動手段により開閉する一対の枠体が対向配置されたもので、前記枠体が閉じたとき前記ガイド部材は下方が狭まり下端が袋口に挿入可能とされ、前記枠体が開いたとき前記ガイド部材は下端が開放され、被包装物が下方に落下し袋に充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,509,313号明細書
【特許文献2】特開2009−161230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記連続移送式袋詰め包装機では、昇降式ホッパー内に所定量の被包装物が1回転毎に供給され、同調領域(グリッパーと昇降式ホッパーが同調回転する領域)において、当該昇降式ホッパー(又は昇降式ホッパーとガイド部材)を介し、グリッパーに把持された袋に被包装物が充填されるが、ときとして昇降式ホッパー内に供給される被包装物の重量に過不足が生じている場合がある。
昇降式ホッパー内に供給される被包装物の重量が不足する場合、結果として発生する不良袋(充填量不足)を、後工程において生産ラインから排除すれば済む。しかし、被包装物の重量が過剰な場合、袋内に充填された被包装物が袋口のシール部に噛み込んだり、袋口から溢れ出るという現象が生じる。その結果、それ以降、シール装置の動作不良を誘発したり、袋詰め包装機及び後工程の生産ラインを汚すなど、以後の生産に悪影響を与える可能性がある。
【0007】
本発明は、連続移送式袋詰め包装機における上記問題点に鑑みてなされたもので、充填装置から過剰な重量の被包装物が供給された場合であっても、それが袋に充填されないようにして、シール装置の動作不良の発生、あるいは袋詰め包装機及び後工程の生産ラインを汚すという問題を未然に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る連続移送式袋詰め包装機は、レーストラック形の環状軌道に沿って等間隔に設置されかつ等速で移動する多数組のグリッパーと、前記環状軌道に沿って設置された袋供給装置、袋口開口装置、充填装置及びシール装置等を備え、前記充填装置は、前記環状軌道の一方の円弧部の上方に前記円弧部と同心の第1円軌道に沿って等間隔で配置され、かつ前記グリッパーと同調して連続回転する複数個の昇降式ホッパーを有し、前記グリッパーの移動の過程で、前記袋供給装置による前記グリッパーへの袋の供給とグリッパーによる袋両縁の把持、前記袋口開口装置による袋口の開口、前記充填装置による前記昇降式ホッパーを介しての袋への被包装物の充填、及び前記シール装置による袋口のシール等の包装操作が行われる連続移送式袋詰め包装機の改良に係り、前記充填装置の一部として、各昇降式ホッパーの上部に配置され、該昇降式ホッパーと共にグリッパーと同調して前記第1円軌道と同心の第2円軌道に沿って連続回転し、下部にシャッターを有する計量ホッパーと、各計量ホッパーに対応して設置され、共に連続回転し、被包装物供給直後の計量ホッパー内の被包装物の重量を検出する重量検出器と、同じく各計量ホッパーに対応して設置され、共に連続回転し、各計量ホッパーの前記シャッターを開閉するシャッター作動機構を備え、さらに、前記重量検出器の検出信号に基づき計量ホッパーに供給された被包装物の重量が許容範囲の上限値以下か上限値を超えるかを判定し、その判定結果に基づき判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構の作動を制御する制御装置を備える。
【0009】
上記連続移送式袋詰め包装機において、前記制御装置は、望ましくは、計量ホッパーに供給された被包装物の重量が前記上限値以下と判定したとき、判定対象の計量ホッパーが前記第2円軌道の同調領域を移動する間、所定のタイミングで判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させてシャッターを開き、計量ホッパーに供給された被包装物の重量が前記上限値を超えると判定したとき、判定対象の計量ホッパーが前記第2円軌道の同調領域を移動する間も、判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させずシャッターを閉じた状態に維持する。
なお、本発明において同調領域とは、前記第1,第2円軌道のうちグリッパーと昇降式ホッパー(及び計量ホッパー)が同調回転する領域を意味する。
【0010】
上記連続移送式袋詰め包装機は、前記第1円軌道の同調領域における前記昇降式ホッパーの直下位置に、前記昇降式ホッパーから放出される被包装物を受ける被包装物回収部材が配置されていることが望ましい。
その場合、前記制御装置は、望ましくは次のような制御を行う。すなわち、計量ホッパーに供給された被包装物の重量が前記上限値以下と判定したとき、判定対象の計量ホッパーが前記第2円軌道の同調領域を移動する間、所定のタイミングで判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させてシャッターを開き、計量ホッパーに供給された被包装物の重量が前記上限値を超えると判定したとき、判定対象の計量ホッパーが前記第2円軌道の同調領域を移動する間も、判定対象の計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させずシャッターを閉じた状態に維持し、さらに、判定対象の計量ホッパーが次回第2円軌道の同調領域を回転移動するとき同調して回転する予定のグリッパーへの袋の供給を止め、判定対象の計量ホッパーに対する次回の被包装物の供給を止め、判定対象の計量ホッパーが次回第2円軌道の同調領域に達したとき所定のタイミングで前記計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させてシャッターを開く。
【0011】
上記連続移送式袋詰め包装機において、前記制御装置が、重量検出器の検出信号に基づき計量ホッパーに供給された被包装物の重量が許容範囲の上限値以下か上限値を超えるかを判定するだけでなく、あわせて前記許容範囲の下限値未満かどうかを判定するようにしてもよい。この場合、結局、計量ホッパーに供給された被包装物の重量が許容範囲内か、許容範囲の上限値を超えるか、許容範囲の下限値未満かを判定することになる。この場合、許容範囲の下限値未満と判定したとき、前記制御装置は、先に記載した、計量ホッパーに供給された被包装物の重量が許容範囲の上限値以下と判定したときと同様の制御、又は上限値を超えると判定したときと同様の制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る連続移送式袋詰め包装機は、昇降式ホッパーの上部にシャッターを備えた計量ホッパーを配置し、計量ホッパーに供給された被包装物の計量値(重量)が設定された基準値を超えたとき、前記シャッターを閉じた状態に維持し、昇降式ホッパーを介しての袋への被包装物の充填を止める構成としたので、過剰な量の被包装物が計量ホッパーに供給されたとしても、それがそのまま袋に充填されることがなく、シール装置の動作不良の発生、あるいは袋詰め包装機及び後工程の生産ラインを汚すという問題を未然に防止することができる。
【0013】
また、計量ホッパーに供給された被包装物の計量値(重量)が設定された基準値を超えたとき、判定対象の計量ホッパーが前記第2円軌道の充填領域を次回移動するとき該計量ホッパーに対応するシャッター作動機構を作動させてシャッターを開き、被包装物を昇降式ホッパーを介して被包装物回収部材内に落下回収するようにした場合、判定対象の計量ホッパー及び昇降式ホッパーは、以後直ちに通常の包装操作に復帰し得るので、効率のよい包装処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る連続移送式袋詰め包装機の平面斜視図である。
図2】その左側面断面図である。
図3】その計量ホッパー(シャッター閉)及び昇降式ホッパーの拡大側面図である。
図4】同じく計量ホッパー(シャッター開)及び昇降式ホッパーの拡大側面図である。
図5】重量検出器の検出信号に基づく制御手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜5を参照して、本発明に係る連続移送式袋詰め包装機について具体的に説明する。
この連続移送式袋詰め包装機は、図1,2に示すように、レーストラック形の環状軌道に沿って移動する無端チェーン1と、無端チェーン1の長さ方向に沿って等間隔に設置され無端チェーン1と共に、同じくレーストラック形の環状軌道に沿って移動する多数組のグリッパー2を備える。グリッパー2の環状軌道に沿って、袋供給装置3、印字装置4、印字検査装置5、袋口開口装置(吸盤6のみ示す)、充填装置7、シール装置8、空袋放出装置(図示せず)、及び製品袋排出装置(図示せず)等が配置されている。グリッパー2が環状軌道に沿って回転移動する過程で、袋供給装置3によるグリッパー2への袋9の供給とグリッパー2による袋両縁の把持、印字装置4による袋面への製造日時の印字、印字検査装置5による印字検査、袋口開口装置による袋口の開口、充填装置7による袋9への被包装物の充填、シール装置8による袋口のシール(冷却を含む)、及び製品袋排出装置による製品袋9Aの排出等の諸操作が行われる。
【0016】
無端チェーン1とグリッパー2、及び無端チェーン1を移動させる機構は、特許文献2と同じく、特開2002−302227号公報に記載されたものと同じである。
無端チェーン1は、多数のリンク11が図示しない連結軸を介して無端状に連結したもので、各リンク11の外側にグリッパー2が1組ずつ設けられ、各リンク11の内側に内側ガイドローラ12が垂直面内で回転自在に設置され、前記各連結軸の上下に上側ガイドローラ13及び下側ガイドローラ14が水平面内で回転自在に設置されている。
グリッパー2は、一対のアームの先端に把持部2a,2aを有し、把持部2a,2aにより袋9の両縁を把持して吊り下げ、レーストラック形の環状軌道に沿って連続移送する。把持部2a,2aは図示しないばねに付勢されて通常は閉じており、開閉レバー15を内向きに移動(先端の開閉ローラ16を内向きに押圧)させたとき開く。また、グリッパー2が前記環状軌道に沿って移動する間、カムローラ17が間隔調整カム(図2に示された間隔調整カム27はその一部)に沿って従動し、前記アームが所定のタイミングで水平面内で開閉(把持部2a,2a間の間隔が変化)するようになっている。
【0017】
図2に示されるように、機台18の上面にスタンド19が立設し、スタンド19に中空軸21が回転自在に支持されている。中空軸21は下部が図示しない駆動源に連結され、定速で回転する。中空軸21にテーブル22が固定され、その周囲にスプロケット23が固定されている。スプロケット23は上下ギア部24,25と中間の支持溝26を有し、チェーン1の上下ガイドローラ13,14がギア部24,25の周囲に等間隔で形成された溝にそれぞれ嵌入し、内側ガイドローラ12が支持溝26内に嵌入している。また、テーブル22の下方に間隔調整カム27が固定配置され、間隔調整カム27の外周にカムローラ17が当接している。
【0018】
無端チェーン1は、前記スプロケット23と平面視半円形のガイド部を有する固定ガイド部材28の前記ガイド部の間に掛け渡され、中空軸21が回転してスプロケット23が回転すると、両端の円弧部と両側の直線部からなるレーストラック形の環状軌道に沿って水平面内で連続的に回転する(図1において平面視右回り)。なお、固定ガイド部材28の前記ガイド部と前記両側の直線部には、無端チェーン1の上下ガイドローラ13,14及び内側ガイドローラ12が走行するガイドレールが形成され、また、両側の直線部にカムローラ17が当接する複数個の間隔調整カム(間隔調整カム27と同様にグリッパー2のアームを水平面内で開閉する作用を有する)が設置されている。
【0019】
袋供給装置3は、特許文献2と同じく、特開2002−308223号公報に記載された空袋供給装置と同じである。コンベアマガジン式給袋装置3aと組み合わされ、同時に4個の袋を4組のグリッパー2に1個ずつ供給する。
印字装置4及び印字検査装置5は周知のものであり、袋口開口装置は、特許文献2と同じく、特開2002−255119号公報に記載された袋口開口装置と同じである。
シール装置8は、充填後の袋9の袋口をシールバーで挟んで熱シールする第1シール装置8a,8a(一方のシールバーのみ示す)、第2シール装置8b,8b(両方のシールバーのみ示す)、及びシール部を冷却バーで挟んで冷却する冷却シール装置8c,8c(両方の冷却バーのみ示す)からなり、これらはいずれも特開2001−72004号公報に記載されたシール装置と同様に、所定距離をグリッパー2と等速で追従移動し、その間にシールバー又は冷却バーが袋9の袋口を挟んだ後離れ、次いで元の位置に復帰するという動作を行う。この例では、第1シール装置6a,6aにより同時に2つの袋が熱シールされ、それらは続いて第2シール装置6b,6bにより同時に熱シール(2度目)され、さらに冷却シール装置6c,6cにより同時に冷却される。
【0020】
前記製品袋排出装置は、特許文献2と同じく、特開2002−302227号公報に記載された開閉装置(開閉部材及びその駆動機構等からなる)と同じで、所定位置にきたグリッパー2の開閉ローラ16を前記開閉部材の押圧部で内向きに押圧して把持部2a,2bを開き、製品袋をシュート(図示せず)上に落下させ、搬出コンベア(図示せず)により搬出する。なお、このような開閉装置は、袋供給装置3の箇所にも配置され、袋9をグリッパー2に供給するとき把持部2a,2bを開く(ただし、4組のグリッパー2に対して同時に作動するタイプ)。
前記空袋放出装置(図示せず)は、特許文献2に記載された不良袋排出装置と同じで、前記製品袋排出装置のやや上流側に配置される。機能的には前記製品袋排出装置と同等であり、グリッパー2の開閉ローラ16を内向きに押圧することで、把持部2a,2bを開き、空の袋9を落下させる。
【0021】
図2に示すように、テーブル22の上方位置において、中空軸21にテーブル29が固定され、テーブル22,29に複数個(この例では16個)の昇降軸31がそれぞれ支持部材32,33を介して昇降自在に支持されている。各昇降軸31の下端にカムローラ34が設置され、中空軸21及びテーブル22,29の回転に伴い昇降軸31が回転すると、このカムローラ34がスタンド19の外周部に固定された環状カム35上を転動し、昇降軸31が所定のタイミングで昇降する。複数個の昇降軸31は、テーブル22上にテーブル22の回転中心を中心として平面視円形に、かつ等角度間隔で配置されている。
各昇降軸31には昇降部材36が固定され、昇降部材36の外端に昇降式ホッパー37が固定されている。テーブル29の下面に、各昇降軸31に対応してガイド軸38が鉛直に固定され、このガイド軸38に各昇降部材36の内端に固定されたスライド部材39が摺動自在に嵌り、これにより昇降軸31及び昇降部材36の回転が防止されている。複数個のガイド軸38は、テーブル29の回転中心を中心として平面視円形に、かつ等角度間隔で配置され、その下端は円形のリング部材41により互いに連結されている。
【0022】
各昇降式ホッパー37の直上位置に、各昇降式ホッパー37に対応する計量ホッパー42が配置され、各計量ホッパー42に対応してテーブル29の周縁部に計量ボックス43が設置されている。計量ホッパー42の下端には、計量ホッパー42の下端開口を開閉するシャッター44が、支点軸45を中心として回動可能に設置されている。
計量ボックス43内に、計量ホッパー42に供給された被包装物の重量を測定する重量検出器(例えばロードセル式)46が設置され、重量検出器46に各計量ホッパー42が連結支持されている。また、計量ボックス43にシャッター44を開閉するシャッター作動機構47が設置されている。シャッター作動機構47は、計量ボックス43内に設置された図示しないエアシリンダ、前記エアシリンダの作動により回動する駆動軸48、駆動軸48に固定された揺動レバー49、及び両端が揺動レバー49とシャッター44にピン連結された連結ロッド51からなる。前記エアシリンダが作動すると、駆動軸48が所定角度範囲内で回動し、連結ロッド51が進退して、シャッター44が開閉する。なお、52は計量ホッパー42に固定されたブラケットであり、計量ホッパー42はこのブラケット52等を介して重量検出器46に連結支持されている。
【0023】
図2の右半図及び図3に示すように、図示しない供給手段(充填装置の一部)から計量ホッパー42内に被包装物53が供給されるタイミングでは、昇降式ホッパー37が上昇し、計量ホッパー42はシャッター44が閉じた状態となっている。このとき、計量ホッパー42は昇降式ホッパー37の上部に入り、昇降式ホッパー37の下端は袋9より上方に位置している。また、図2の左半図及び図4に示すように、シャッター44が開いて計量ホッパー42内の被包装物53が昇降式ホッパー37内に投入されるタイミングでは、昇降式ホッパー37が下降している。このとき、計量ホッパー42は昇降式ホッパー37から抜け出し、昇降式ホッパー37の下端部が袋9の中に挿入されている。
なお、計量ホッパー42が昇降式ホッパー37の上部に入ったとき、計量ホッパー42側のブラケット52及び連結ロッド51は昇降式ホッパー37の側壁上部に形成された切り欠き37aに入り、各部材間の干渉が防止される。
【0024】
中空軸21が回転すると、テーブル22,29が回転し、無端チェーン1とグリッパー2はそれぞれレーストラック形の環状軌道に沿って回転移動し、昇降式ホッパー37と計量ホッパー42はそれぞれ円軌道(両者の円軌道は平面視で事実上重なる。昇降式ホッパー37の円軌道を第1円軌道、計量ホッパー42の円軌道を第2円軌道という。)に沿って回転移動する。前記第1,第2円軌道は、昇降式ホッパー37と計量ホッパー42がグリッパー2の環状軌道の円弧(半円)部に沿って回転移動する円弧状領域と、グリッパー2の環状軌道の円弧部から離れて回転移動する円弧状領域に分けられ、前者の円弧状領域では、昇降式ホッパー37と計量ホッパー42はグリッパー2の上方で、グリッパー2と同調して回転移動し、かつ昇降式ホッパー37は昇降する。前記第1,第2円軌道のうち、昇降式ホッパー37と計量ホッパー42がグリッパー2の環状軌道の円弧部に沿って回転移動する円弧状領域を、本発明では同調領域(図1にAで示す領域)と称し、グリッパー2の環状軌道の円弧部から離れて回転移動する円弧状領域を被同調領域(図1にBで示す領域)と称する。この同調領域Aのほぼ全長にわたり、昇降式ホッパー37から落下する被包装物(被包装物の落下については後述)を受ける円弧状の被包装物回収部材54が設置されている。
【0025】
回転移動する昇降式ホッパー37及び計量ホッパー42の基本動作を各工程毎に説明すると、例えば次のようなものとなる。これらの動作は全て制御装置55により制御されている。
(a)被包装物の計量工程
前記第1,第2円軌道上を回転移動する昇降式ホッパー37及び計量ホッパー42が同調領域Aに達する前に、被同調領域Bにおいて被包装物53(例えば粉粒体)の供給工程が完了し、次いで、重量検出器46により、計量ホッパー42内の被包装物53の計量(重量の測定)が行われる。なお、この供給工程及び計量工程の間、計量ホッパー42のシャッター44は閉じている。
【0026】
(b)被包装物の充填工程
昇降式ホッパー37及び計量ホッパー42が同調領域Aに達すると、該昇降式ホッパー37及び計量ホッパー42は、対応するグリッパー2(及びグリッパー2に把持された袋9)の上方位置で、該グリッパー2(及びグリッパー2に把持された袋9)と同調して回転し、昇降式ホッパー37は直ちに下降してその下端部が袋9内に挿入される。次いで、シャッター作動機構47が所定のタイミングで作動して計量ホッパー42のシャッター44が開き、充填工程が開始される。計量ホッパー42内の被包装物53が昇降式ホッパー37内に落下し、さらに袋9内に充填される(図2の左半図参照)。この充填工程は昇降式ホッパー37及び計量ホッパー42が非同調領域Bに達する前に完了する。
(c)被包装物の供給工程
充填工程が完了する前に、シャッター作動機構47が逆に作動してシャッター44が閉じ、次いで充填装置7の供給手段から計量ホッパー42への被包装物53の供給が開始される。シャッター44が閉じた後も、充填工程の一部(昇降式ホッパー37内から袋9への被包装物53の充填)は継続している。この供給工程は、計量工程開始前に完了する。
【0027】
制御装置55は、上記(a)〜(c)の基本動作を制御するほか、重量検出器46からの検出信号に基づき、例えば次の制御内容を実施するように設定される。
(1)前記検出信号から、計量ホッパー42に供給された被包装物53の重量が許容範囲内と判定したとき、判定対象の計量ホッパー及び関連部材に関して、上記(a)〜(c)に記載した基本的な制御を行う。
(2)前記検出信号から、計量ホッパー42に供給された被包装物53の重量が許容範囲の下限値未満と判定したとき、上記(1)と同じく、判定対象の計量ホッパー及び関連部材に関して、上記(a)〜(c)に記載した基本的な制御を行う。この場合、製品袋9A(充填済みの袋)は内容量不足の不良袋であるため、これは後工程で適宜排除する。
(3)上記(1),(2)を合わせて、計量ホッパー42に供給された被包装物53の重量が許容範囲の上限値以下と判定したとき、判定対象の計量ホッパー及び関連部材に関して、上記(a)〜(c)に記載した基本的な制御を行うようにすることもできる。
【0028】
(4)前記検出信号から、計量ホッパー42に供給された被包装物53の重量が許容範囲の上限値を超えると判定したとき、前記(b)の充填行程において判定対象の計量ホッパー42のシャッター44を閉じたままとして、被包装物53の放出を止める。しかし、いつまでも被包装物53を当該計量ホッパー42内に保持したままでは、袋詰め包装機の包装処理の効率が低下するから、当該計量ホッパー42が一回転して同調領域Aを次回移動するときシャッター44を開いて被包装物53を放出し、昇降式ホッパー37を通して被包装物回収部材54に回収し、以後は上記(a)〜(c)に記載した基本的な制御に復帰する。この場合、判定対象の計量ホッパー42に対する次回の被包装物の供給を止め、かつ判定対象の計量ホッパー42が次回第2円軌道の充填領域Aを回転移動するとき同調して回転する予定のグリッパー2への袋9の供給を止めるように、前記充填装置7の供給手段及び袋供給装置3を制御することが望ましい。
【0029】
次に、制御装置55による具体的な制御手順のうち、特に上記(3),(4)の制御内容に関して、図5に示すフローチャートにより説明する。
(ステップS1)前記第2円軌道上を回転移動する計量ホッパー42が同調領域Aの供給工程開始位置(図1に矢印Iで示す位置)に到達したとき、充填装置7の図示しない供給手段により計量ホッパー42への被包装物53の供給を開始する。
(ステップS2)前記第2円軌道上を回転移動する計量ホッパー42が非同調領域Bの計量工程開始位置(図1に矢印IIで示す位置)に到達したとき、重量検出器46に被包装物53の計量指令が出され、計量工程が開始され、直ちに重量検出器46から検出信号が制御装置55に送信される。計量工程開始位置IIは供給工程完了位置でもある。
【0030】
(ステップS3)重量検出器46からの検出信号に基づいて、計量ホッパー42に供給された被包装物53の重量(計量値)を、制御装置55に設定された許容範囲の上限値(しきい値)と比較し、前記計量値が前記上限値以下か、上限値を超えるかを判定する。
(ステップS4)計量値が前記上限値以下と判定された場合、判定対象の計量ホッパー42が前記第2円軌道上を回転移動して同調領域Aの充填工程開始位置IIIに到達したとき、計量ホッパー42のシャッター44を開く。
(ステップS5)前記判定対象の計量ホッパー42が前記第2円軌道上を回転移動して供給工程開始位置Iに到達したとき、シャッター44を閉じる。なお、シャッター44が閉じた後も、昇降式ホッパー37内に存在する被包装物53は引き続き袋9へ充填される。
【0031】
(ステップS6)計量値が前記上限値を超えると判定された場合、判定対象の計量ホッパー42が前記第2円軌道上を回転移動して充填工程開始位置IIIに到達したとき、充填中止指令がシャッター作動機構47に出され、この判定対象の計量ホッパー42のシャッター44の閉状態が維持される。同時に、袋供給中止指令が袋供給装置3に出され、前記判定対象の計量ホッパー42が次回第2円軌道の同調領域Aを回転移動するとき同調して回転する予定のグリッパー2(図1に矢印2Aで示す)への袋9の供給を止めさせる。さらに、印字装置4、印字検査装置5及び袋口開口装置(吸盤6のみ示す)に対し、グリッパー2Aが把持する袋(実際には把持していない)への印字中止指令、印字検査中止指令及び袋口開口中止指令が出される。
(ステップS7)前記判定対象の計量ホッパー42が前記第2円軌道上を回転移動して供給工程開始位置Iに到達したとき、被包装物53の供給中止指令が充填装置7の供給手段に出され、この計量ホッパー42に対する被包装物53の次回の供給が中止される。
【0032】
(ステップS8)前記判定対象の計量ホッパー42に対応するグリッパー2(前記判定対象の計量ホッパー42と同調して回転移動していたグリッパー2)が袋口のシール工程位置(シール装置8が配置された位置)に達したとき、袋口シール中止指令がシール装置8に出され、前記グリッパー2に把持された袋9(被包装物53が充填されなかった空袋)に対する袋口のシール操作が止められる。
(ステップ9)前記判定対象の計量ホッパー42に対応するグリッパー2(前記判定対象の計量ホッパー42と同調して回転移動していたグリッパー2)が空袋放出工程位置(前記空袋放出装置が配置された位置)に達したとき、空袋放出指令が前記空袋放出装置に出され、前記グリッパー2の把持部2a,2bが開かれ、把持された袋9(被包装物53が充填されなかった空袋)が放出される。
【0033】
(ステップ10)前記判定対象の計量ホッパー42が前記第2円軌道を一回転して、再び充填工程開始位置IIIに達したとき、被包装物放出指令がシャッター作動機構47に出され、前記計量ホッパー42のシャッター44が開かれ、先に供給された計量ホッパー42内の被包装物53が、昇降式ホッパー37を介して被包装物回収部材54に放出される。なお、この計量ホッパー42に同調して移動するグリッパー2は袋9を把持していない。
(ステップ11)前記判定対象の計量ホッパー42が前記第2円軌道上を回転移動して供給工程開始位置Iに到達したとき、シャッター44を閉じる。なお、シャッター44が閉じた後も、昇降式ホッパー37内の被包装物9は引き続き被包装物回収部材5に放出される。
【0034】
1 チェーン
2 グリッパー
3 袋供給装置
7 充填装置
8 シール装置
36 昇降部材
37 昇降式ホッパー
42 計量ホッパー
44 シャッター
46 重量検出器
47 シャッター作動機構
53 被包装物
54 被包装物回収部材
A 第1,第2円軌道の同調領域
B 第1,第2円軌道の非同調領域
図1
図2
図3
図4
図5