【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0010】
(1)本発明は、
流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置において、
内部に燃焼炉を有する燃焼室を備えており、
燃焼室内部の燃焼炉で固体燃料が燃焼しているときに、燃焼炉の内面に接触した状態で移動し、又は内面にクリンカーを形成させない間隔をもって内面と離れて移動するクリンカー付着防止部材を備えている、
燃焼装置である。
【0011】
(2)本発明は、
流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置において、
燃焼室と、
燃焼室内に配置され、上部が開口し上部側が拡がるように形成された燃焼炉と、
燃焼炉に燃焼炉の斜壁を貫通し全周にわたり形成された灰落としスリットと、
灰落としスリットを貫通し灰落としスリットに沿って移動し周回するクリンカー付着防止部材と、
クリンカー付着防止部材を駆動する駆動手段と、
燃焼炉内にブロワから送給される空気を供給する空気供給手段と、
燃焼炉に燃焼炉の下から固体燃料を供給する燃料供給手段と、
燃焼炉内の固体燃料に点火する点火手段と、
灰落としスリットを通り抜けて落ちた燃焼灰を燃焼室の外部へ排出するための灰排出手段と、
を備えている、燃焼装置である。
【0012】
(3)本発明は、
空気供給手段が、
燃焼炉の斜壁の表面に沿う内周壁を有し内周壁に複数の空気供給孔を有する空気供給体であり、
クリンカー付着防止部材の一部が、空気供給孔から噴射される空気が当たって空気供給孔が形成されている内周壁近傍で空気の乱れが起こるように、内周壁と所要の間隔をおいて移動するようにしてある、
前記(2)の燃焼装置である。
【0013】
(4)本発明は、
空気供給体の空気供給孔が、空気供給孔から噴射される空気で燃焼炉の上方に螺旋流が生じるように噴射方向を斜め上方へ向けて形成されている、
前記(3)の燃焼装置である。
【0014】
(5)本発明は、
灰排出手段が、
クリンカー付着防止部材が燃焼炉を中心として回転する回転体に形成されており、回転体は灰落としスリットから落ちた燃焼灰が上に溜まるよう駆動手段により灰落としスリットの下方で回転するようにしてあり、回転体の燃焼灰が溜まる部分に複数の孔が形成され、孔が灰出し口と重なることにより孔に被さっている燃焼灰が落ちて排出される構成を含む、
前記(2)、(3)又は(4)の燃焼装置である。
【0015】
(6)本発明は、
クリンカー付着防止部材が駆動手段により間欠的に移動し周回する、
前記(2)、(3)、(4)又は(5)の燃焼装置である。
【0016】
(7)本発明は、
空気供給手段が、燃焼炉の中心又はその近傍に配され放射方向に空気を噴射し供給する空気供給管を備えている、
前記(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)の燃焼装置である。
【0017】
(8)本発明は、
前記(1)乃至(7)の何れか一つの燃焼装置と、
燃焼装置で生じる燃焼ガスを熱源として使用する熱交換装置と、
熱交換後の燃焼ガスを外部へ排出する排気管と、
を備えており、
熱交換装置は、
燃焼装置の燃焼室とつながっており燃焼ガスで加熱される加熱管と、
加熱管が通されている熱交換室と、
熱交換室に空気を送給する送風ファンと、
熱交換室で加熱管との熱交換で加熱された空気を外部へ排出する温風排出口と、
を備えている、熱風発生機である。
【0018】
(9)本発明は、
流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置において、
燃焼室内部の燃焼炉で固体燃料が燃焼しているときに、燃焼炉の内面にクリンカー付着防止部材を接触させた状態で移動させ、又は内面にクリンカーを形成させない間隔をもって内面と離して移動させる、
燃焼装置の燃焼炉の内面にクリンカーが付着するのを防止する方法である。
【0019】
特許請求の範囲及び明細書にいう「流動性を有する固体燃料」の用語は、例えば、木チップやオガ粉などの木質材あるいは竹材、草質材等の粉砕物又はそのような粉砕物を材料として団粒化(ペレット化)してつくられたものや、きのこの菌床栽培で発生するきのこ廃培地や生ゴミ等の有機廃棄物を原料として粉粒状に乾燥させたもの等も含む意味で使用している。
【0020】
灰落としスリットに沿うクリンカー付着防止部材の移動は、間欠的に行う他、連続的に行う構成とすることもできる。また、移動速度や移動範囲も特に限定するものではなく、適宜設定することができるものである。
【0021】
更に、クリンカー付着防止部材を駆動し移動させる駆動手段についても特に限定するものではなく、後記実施の形態で示すように、(a)クリンカー付着防止部材が燃焼炉に備えられ、モーター等でクリンカー付着防止部材を有する可動体を間欠的又は常時動かす構造の他、例えば(b)クリンカー付着防止部材が燃焼炉の外部から間欠的に燃焼炉内に移動し、クリンカー付着防止部材を有する可動体を間欠的又は常時動かす構造、(c)前記(a)、(b)でクリンカー付着防止部材が往復動をする構造、(d)或いは前記(a)、(b)、(c)でモータではなく手動で動かす構造等、各種公知手段を採用することができる。
【0022】
クリンカー付着防止部材は、灰落としスリットを形成している部材の縁又は近傍表面に接触してもよいし、間隙を介在させて接触しない構成とすることもできる。クリンカー付着防止部材は、一部が内周壁と所要の間隔をおいて移動する他、内周壁と接触して移動するように構成することもできる。
【0023】
空気供給体は、ブロワから送給される空気が通るように全体が中空体で形成された構造であるのが好ましいが、これに限定するものではなく、例えば環状体に空気供給孔を有する給気管を取り付けた構造等でもよい。
【0024】
(作用)
本発明に係る燃焼装置及びそれを備えた熱風発生機の作用を説明する。
ホッパー装置等に貯留されている木チップ、竹チップ、木ペレット等の流動性を有する固体燃料を必要な量だけ熱風発生機の燃焼装置が備えている燃料供給手段に補給する。
【0025】
燃料供給手段により燃焼炉の下から燃料容器内に固体燃料を供給する。固体燃料は、燃焼炉内で下から上へ順次盛り上がるように供給される。
次に点火手段によって燃焼炉内の固体燃料に点火する。点火された固体燃料に対して、空気供給手段により空気が供給され、固体燃料が自立燃焼を始め、自立燃焼状態が維持される。
【0026】
固体燃料の自立燃焼によって燃焼室内に高温の燃焼ガスが生じ、燃焼ガスが熱交換装置の加熱管の内部を通り、加熱管が加熱される。
送風ファンによって熱交換室に空気が送給され、送給された空気は熱交換室で加熱管との熱交換で加熱され、温風排出口から栽培ハウス内等、熱風発生機の外部に温風が排出される。これにより、栽培ハウス内等を温めることができる。
【0027】
また、燃焼装置のクリンカー付着防止部材は、燃焼炉の内面に接触して移動し、又は内面にクリンカーを形成させない間隔をもって内面と離れて移動する。これにより、燃焼炉の内壁にクリンカーが形成されるのを防止できる。
【0028】
クリンカー付着防止部材が燃焼炉の灰落としスリットを貫通した状態で駆動手段によって灰落としスリットに沿って移動し繰り返し周回しているものは、灰落としスリットの隙間に燃焼灰やクリンカーが形成されたり詰まることを防止できるので、燃焼灰は灰落としスリットを安定的に通り抜けて燃焼炉の外へ落ちる。
【0029】
灰落としスリットから燃焼炉の外へ落ちた燃焼灰は、灰排出手段を介して燃焼室の外部へ排出することができる。なお、灰排出手段が、クリンカー付着防止部材が燃焼炉を中心として回転する回転体に形成されており、回転体は灰落としスリットから落ちた燃焼灰が上に溜まるよう駆動手段により灰落としスリットの下方で回転するようにしてあり、回転体の燃焼灰が溜まる部分に複数の孔が形成され、孔が灰出し口と重なることにより孔に被さっている燃焼灰が落ちて排出される構成を含むものは、燃焼灰を灰溜め容器等、燃焼装置の外に自動的に排出できるので、効率的である。
【0030】
また、加熱管を通った燃焼ガスは、熱交換室内を通る空気との熱交換によって温度が下がり、排気管を通って大気中等、熱風発生機の外部へ排出される。
【0031】
空気供給手段が、燃焼炉の斜壁の表面に沿う内周壁を有し内周壁に複数の空気供給孔を有する空気供給体であり、クリンカー付着防止部材の一部が、空気供給孔から噴射される空気が当たって空気供給孔が形成されている内周壁近傍で空気の乱れが起こるように、内周壁と所要の間隔をおいて移動するようにしてあるものは、前記空気の乱れが起こることにより、燃焼炉の灰落としスリットを形成している部材の縁部又は前記内周壁表面に燃焼灰あるいはクリンカーの元となる粒子等が付着するのを防止できる。
併せて、空気供給体の空気供給孔が形成されている内周壁に燃焼灰あるいはクリンカーの元となる珪素分の微細粒子等が付着するのをより確実に防止することができ、クリンカーの形成を防止することができる。
【0032】
空気供給体の空気供給孔が、空気供給孔から噴射される空気で燃焼炉の上方に螺旋流が生じるように噴射方向を斜め上方へ向けて形成されているものは、固体燃料のうち燃焼している細かい粒子を燃焼室内において上方へ螺旋状に吹き上げることができるので、空気との接触が十分に行われ、燃焼効率が向上する。