特許第5944745号(P5944745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944745
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】燃焼装置及びそれを使用した熱風発生機
(51)【国際特許分類】
   F23J 1/02 20060101AFI20160621BHJP
   F23B 40/04 20060101ALI20160621BHJP
   F23L 1/00 20060101ALI20160621BHJP
   F24B 1/02 20060101ALI20160621BHJP
   F24B 13/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   F23J1/02 Z
   F23B40/04
   F23L1/00 E
   F23L1/00 D
   F24B1/02 D
   F24B13/00 K
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-125036(P2012-125036)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-250008(P2013-250008A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】393000984
【氏名又は名称】株式会社オーレック
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100085327
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 克彦
(72)【発明者】
【氏名】今村 健二
(72)【発明者】
【氏名】古賀 敏弘
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭61−043067(JP,Y2)
【文献】 特開2007−051832(JP,A)
【文献】 特開2005−201575(JP,A)
【文献】 特開2009−162414(JP,A)
【文献】 実公昭46−023831(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0126491(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0137537(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3144570(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3168444(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 1/00− 1/08
F23L 1/00
F24B 1/02
F24B13/00
F23B40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置において、
燃焼室と、
該燃焼室内に配置され、上部が開口し上部側が拡がるように形成された燃焼炉と、
該燃焼炉に燃焼炉の斜壁を貫通し全周にわたり形成された灰落としスリットと、
該灰落としスリットを貫通し灰落としスリットに沿って移動し周回するクリンカー付着防止部材と、
該クリンカー付着防止部材を駆動する駆動手段と、
前記燃焼炉内にブロワから送給される空気を供給する空気供給手段と、
前記燃焼炉に燃焼炉の下から固体燃料を供給する燃料供給手段と、
前記燃焼炉内の固体燃料に点火する点火手段と、
前記灰落としスリットを通り抜けて落ちた燃焼灰を前記燃焼室の外部へ排出するための灰排出手段と、
を備えている、
燃焼装置。
【請求項2】
空気供給手段が、燃焼炉の斜壁の表面に沿う内周壁を有し該内周壁に複数の空気供給孔を有する空気供給体であり、
クリンカー付着防止部材の一部が、前記空気供給孔から噴射される空気が当たって空気供給孔が形成されている内周壁近傍で空気の乱れが起こるように、前記内周壁と所要の間隔をおいて移動するようにしてある、
請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
空気供給体の空気供給孔が、該空気供給孔から噴射される空気で燃焼炉の上方に螺旋流が生じるように噴射方向を斜め上方へ向けて形成されている、
請求項2記載の燃焼装置。
【請求項4】
灰排出手段が、
クリンカー付着防止部材が燃焼炉を中心として回転する回転体に形成されており、回転体は灰落としスリットから落ちた燃焼灰が上に溜まるよう駆動手段により灰落としスリットの下方で回転するようにしてあり、回転体の燃焼灰が溜まる部分に複数の孔が形成され、孔が灰出し口と重なることにより孔に被さっている燃焼灰が落ちて排出される構成を含む、
請求項1、2又は3記載の燃焼装置。
【請求項5】
クリンカー付着防止部材が駆動手段により間欠的に移動し周回する、
請求項1、2、3又は4記載の燃焼装置。
【請求項6】
空気供給手段が、燃焼炉の中心又はその近傍に配され放射方向に空気を噴射し供給する空気供給管を備えている、
請求項1、2、3、4又は5記載の燃焼装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項の燃焼装置と、
該燃焼装置で生じる燃焼ガスを熱源として使用する熱交換装置と、
熱交換後の燃焼ガスを外部へ排出する排気管と、
を備えており、
前記熱交換装置は、
前記燃焼装置の燃焼室とつながっており燃焼ガスで加熱される加熱管と、
該加熱管が通されている熱交換室と、
該熱交換室に空気を送給する送風ファンと、
前記熱交換室で前記加熱管との熱交換で加熱された空気を外部へ排出する温風排出口と、
を備えている、
熱風発生機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置及びそれを使用した熱風発生機に関するものである。更に詳しくは、木質及び竹などのバイオマス等の固体燃料を燃料とする燃焼装置において、木質及び竹などのバイオマス等の燃焼時の生成物であるクリンカーが燃焼装置内の燃焼炉内面へ付着することを抑制又は防止することができ、メンテナンスが容易な燃焼装置及びそれを使用した熱風発生機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、地球環境に対する関心の高まりにより、木質及び竹などのバイオマス等を燃料とした燃焼装置が普及してきている。例えば木質バイオマスは、材料である木の成長段階で二酸化炭素を吸収することから、燃焼させて二酸化炭素が発生しても、結果的に環境内に二酸化炭素を増やさないとされている。このようなバイオマス、例えば木チップや竹チップあるいは木ペレット等の流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置の一例としては、特許文献1に記載された燃焼装置がある。
【0003】
特許文献1に記載された固定燃料の燃焼装置は、円筒状燃焼室<15>を形成する外円筒部<10>と、外円筒部<10>の下側に連続して設けられた灰回収用ホッパー部<20>と、外円筒部<10>の内周面と全周にわたり空隙が生じるように配され底部を含むポット下部<33>が固体燃料の被供給部として設けられると共に空気供給孔部<35>が設けられた燃焼用ポット<30>と、固体燃料<50>を貯留させる燃料用ホッパー<51>と、固体燃料<50>を送るための筒体<41>と筒体<41>に挿通されたスクリュー<42>とを備えるスクリューコンベア<40>と、スクリュー<42>を正逆回転させる回転駆動装置<44>と、筒体<41>に設けられた排出口部<43>とを有し、燃焼用ポット<30>で固体燃料を燃焼させる方式において、燃焼用ポット<30>内に蓄積される灰を前記空隙を通して適切に排出できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−127844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示された燃焼装置には、次のような課題があった。
すなわち、木質及び竹などのバイオマス等の固体燃料は燃焼ポットへ下方側から供給されて燃焼ポット内部で燃焼するが、特に対策を講じることなく燃焼させれば、クリンカー(clinker)が形成される。
【0006】
このクリンカーは、固体燃料に含まれる不燃成分が固まったものである。例えば、樹皮が含まれる木ペレットあるいは竹チップ等には、シリカ(silica)等の珪素分を多く含んでいる。この珪素分は燃焼せず、微細な粒子が固まってクリンカーとなり、燃焼装置の各部に例えば溶岩石のような硬い付着物をつくる。
【0007】
粉末の灰であれば、燃焼ポットから速やかに排出することが可能であるが、クリンカーが形成されて燃焼炉内壁等に固く付着してしまうと、容易には取り除くことができなくなる。また、この付着したクリンカーが原因となって、例えばクリンカーが厚く付着した分だけ燃焼炉の容量が小さくなる等して固体燃料の流動性や供給に支障を来したり、燃焼灰が排出される穴や口を塞いでしまい燃焼灰の排出機構等に障害が起こり、結果的に燃焼装置が機能しなくなるおそれもあった。
【0008】
(本発明の目的)
本発明は、木質及び竹などのバイオマス等の流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置において、固体燃料の燃焼時にクリンカーが燃焼装置内の燃焼炉内面へ付着することを抑制又は防止することができ、これにより、例えばクリンカーが厚く付着した分だけ燃焼炉の容量が小さくなる等して固体燃料の流動性や供給に支障を来したり、燃焼灰が排出される穴や口を塞いでしまい燃焼灰の排出機構等に障害が起こる等の燃焼装置が機能しなくなるおそれがなく、メンテナンスも容易にできる燃焼装置及びそれを備えた熱風発生機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0010】
(1)本発明は、
流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置において、
内部に燃焼炉を有する燃焼室を備えており、
燃焼室内部の燃焼炉で固体燃料が燃焼しているときに、燃焼炉の内面に接触した状態で移動し、又は内面にクリンカーを形成させない間隔をもって内面と離れて移動するクリンカー付着防止部材を備えている、
燃焼装置である。
【0011】
(2)本発明は、
流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置において、
燃焼室と、
燃焼室内に配置され、上部が開口し上部側が拡がるように形成された燃焼炉と、
燃焼炉に燃焼炉の斜壁を貫通し全周にわたり形成された灰落としスリットと、
灰落としスリットを貫通し灰落としスリットに沿って移動し周回するクリンカー付着防止部材と、
クリンカー付着防止部材を駆動する駆動手段と、
燃焼炉内にブロワから送給される空気を供給する空気供給手段と、
燃焼炉に燃焼炉の下から固体燃料を供給する燃料供給手段と、
燃焼炉内の固体燃料に点火する点火手段と、
灰落としスリットを通り抜けて落ちた燃焼灰を燃焼室の外部へ排出するための灰排出手段と、
を備えている、燃焼装置である。
【0012】
(3)本発明は、
空気供給手段が、
燃焼炉の斜壁の表面に沿う内周壁を有し内周壁に複数の空気供給孔を有する空気供給体であり、
クリンカー付着防止部材の一部が、空気供給孔から噴射される空気が当たって空気供給孔が形成されている内周壁近傍で空気の乱れが起こるように、内周壁と所要の間隔をおいて移動するようにしてある、
前記(2)の燃焼装置である。
【0013】
(4)本発明は、
空気供給体の空気供給孔が、空気供給孔から噴射される空気で燃焼炉の上方に螺旋流が生じるように噴射方向を斜め上方へ向けて形成されている、
前記(3)の燃焼装置である。
【0014】
(5)本発明は、
灰排出手段が、
クリンカー付着防止部材が燃焼炉を中心として回転する回転体に形成されており、回転体は灰落としスリットから落ちた燃焼灰が上に溜まるよう駆動手段により灰落としスリットの下方で回転するようにしてあり、回転体の燃焼灰が溜まる部分に複数の孔が形成され、孔が灰出し口と重なることにより孔に被さっている燃焼灰が落ちて排出される構成を含む、
前記(2)、(3)又は(4)の燃焼装置である。
【0015】
(6)本発明は、
クリンカー付着防止部材が駆動手段により間欠的に移動し周回する、
前記(2)、(3)、(4)又は(5)の燃焼装置である。
【0016】
(7)本発明は、
空気供給手段が、燃焼炉の中心又はその近傍に配され放射方向に空気を噴射し供給する空気供給管を備えている、
前記(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)の燃焼装置である。
【0017】
(8)本発明は、
前記(1)乃至(7)の何れか一つの燃焼装置と、
燃焼装置で生じる燃焼ガスを熱源として使用する熱交換装置と、
熱交換後の燃焼ガスを外部へ排出する排気管と、
を備えており、
熱交換装置は、
燃焼装置の燃焼室とつながっており燃焼ガスで加熱される加熱管と、
加熱管が通されている熱交換室と、
熱交換室に空気を送給する送風ファンと、
熱交換室で加熱管との熱交換で加熱された空気を外部へ排出する温風排出口と、
を備えている、熱風発生機である。
【0018】
(9)本発明は、
流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置において、
燃焼室内部の燃焼炉で固体燃料が燃焼しているときに、燃焼炉の内面にクリンカー付着防止部材を接触させた状態で移動させ、又は内面にクリンカーを形成させない間隔をもって内面と離して移動させる、
燃焼装置の燃焼炉の内面にクリンカーが付着するのを防止する方法である。
【0019】
特許請求の範囲及び明細書にいう「流動性を有する固体燃料」の用語は、例えば、木チップやオガ粉などの木質材あるいは竹材、草質材等の粉砕物又はそのような粉砕物を材料として団粒化(ペレット化)してつくられたものや、きのこの菌床栽培で発生するきのこ廃培地や生ゴミ等の有機廃棄物を原料として粉粒状に乾燥させたもの等も含む意味で使用している。
【0020】
灰落としスリットに沿うクリンカー付着防止部材の移動は、間欠的に行う他、連続的に行う構成とすることもできる。また、移動速度や移動範囲も特に限定するものではなく、適宜設定することができるものである。
【0021】
更に、クリンカー付着防止部材を駆動し移動させる駆動手段についても特に限定するものではなく、後記実施の形態で示すように、(a)クリンカー付着防止部材が燃焼炉に備えられ、モーター等でクリンカー付着防止部材を有する可動体を間欠的又は常時動かす構造の他、例えば(b)クリンカー付着防止部材が燃焼炉の外部から間欠的に燃焼炉内に移動し、クリンカー付着防止部材を有する可動体を間欠的又は常時動かす構造、(c)前記(a)、(b)でクリンカー付着防止部材が往復動をする構造、(d)或いは前記(a)、(b)、(c)でモータではなく手動で動かす構造等、各種公知手段を採用することができる。
【0022】
クリンカー付着防止部材は、灰落としスリットを形成している部材の縁又は近傍表面に接触してもよいし、間隙を介在させて接触しない構成とすることもできる。クリンカー付着防止部材は、一部が内周壁と所要の間隔をおいて移動する他、内周壁と接触して移動するように構成することもできる。
【0023】
空気供給体は、ブロワから送給される空気が通るように全体が中空体で形成された構造であるのが好ましいが、これに限定するものではなく、例えば環状体に空気供給孔を有する給気管を取り付けた構造等でもよい。
【0024】
(作用)
本発明に係る燃焼装置及びそれを備えた熱風発生機の作用を説明する。
ホッパー装置等に貯留されている木チップ、竹チップ、木ペレット等の流動性を有する固体燃料を必要な量だけ熱風発生機の燃焼装置が備えている燃料供給手段に補給する。
【0025】
燃料供給手段により燃焼炉の下から燃料容器内に固体燃料を供給する。固体燃料は、燃焼炉内で下から上へ順次盛り上がるように供給される。
次に点火手段によって燃焼炉内の固体燃料に点火する。点火された固体燃料に対して、空気供給手段により空気が供給され、固体燃料が自立燃焼を始め、自立燃焼状態が維持される。
【0026】
固体燃料の自立燃焼によって燃焼室内に高温の燃焼ガスが生じ、燃焼ガスが熱交換装置の加熱管の内部を通り、加熱管が加熱される。
送風ファンによって熱交換室に空気が送給され、送給された空気は熱交換室で加熱管との熱交換で加熱され、温風排出口から栽培ハウス内等、熱風発生機の外部に温風が排出される。これにより、栽培ハウス内等を温めることができる。
【0027】
また、燃焼装置のクリンカー付着防止部材は、燃焼炉の内面に接触して移動し、又は内面にクリンカーを形成させない間隔をもって内面と離れて移動する。これにより、燃焼炉の内壁にクリンカーが形成されるのを防止できる。
【0028】
クリンカー付着防止部材が燃焼炉の灰落としスリットを貫通した状態で駆動手段によって灰落としスリットに沿って移動し繰り返し周回しているものは、灰落としスリットの隙間に燃焼灰やクリンカーが形成されたり詰まることを防止できるので、燃焼灰は灰落としスリットを安定的に通り抜けて燃焼炉の外へ落ちる。
【0029】
灰落としスリットから燃焼炉の外へ落ちた燃焼灰は、灰排出手段を介して燃焼室の外部へ排出することができる。なお、灰排出手段が、クリンカー付着防止部材が燃焼炉を中心として回転する回転体に形成されており、回転体は灰落としスリットから落ちた燃焼灰が上に溜まるよう駆動手段により灰落としスリットの下方で回転するようにしてあり、回転体の燃焼灰が溜まる部分に複数の孔が形成され、孔が灰出し口と重なることにより孔に被さっている燃焼灰が落ちて排出される構成を含むものは、燃焼灰を灰溜め容器等、燃焼装置の外に自動的に排出できるので、効率的である。
【0030】
また、加熱管を通った燃焼ガスは、熱交換室内を通る空気との熱交換によって温度が下がり、排気管を通って大気中等、熱風発生機の外部へ排出される。
【0031】
空気供給手段が、燃焼炉の斜壁の表面に沿う内周壁を有し内周壁に複数の空気供給孔を有する空気供給体であり、クリンカー付着防止部材の一部が、空気供給孔から噴射される空気が当たって空気供給孔が形成されている内周壁近傍で空気の乱れが起こるように、内周壁と所要の間隔をおいて移動するようにしてあるものは、前記空気の乱れが起こることにより、燃焼炉の灰落としスリットを形成している部材の縁部又は前記内周壁表面に燃焼灰あるいはクリンカーの元となる粒子等が付着するのを防止できる。
併せて、空気供給体の空気供給孔が形成されている内周壁に燃焼灰あるいはクリンカーの元となる珪素分の微細粒子等が付着するのをより確実に防止することができ、クリンカーの形成を防止することができる。
【0032】
空気供給体の空気供給孔が、空気供給孔から噴射される空気で燃焼炉の上方に螺旋流が生じるように噴射方向を斜め上方へ向けて形成されているものは、固体燃料のうち燃焼している細かい粒子を燃焼室内において上方へ螺旋状に吹き上げることができるので、空気との接触が十分に行われ、燃焼効率が向上する。
【発明の効果】
【0033】
(a)本発明は、木質及び竹などのバイオマス等の流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置及びそれを備えた熱風発生機において、燃焼装置のクリンカー付着防止部材によって、燃焼炉の内壁にクリンカーが形成されるのを防止できる。
したがって、従来の装置のように、例えばクリンカーが厚く付着した分だけ燃焼炉の容量が小さくなる等して固体燃料の流動性や供給に支障を来したり、燃焼灰が排出される穴や口を塞いでしまう等、燃焼灰の排出機構等に障害が起こり燃焼装置が機能しなくなるおそれがなく、メンテナンスも容易にできる。
【0034】
(b)本発明は、クリンカー付着防止部材が、燃焼炉の灰落としスリットを貫通した状態で駆動手段によって灰落としスリットに沿って移動し繰り返し周回するようになっているので、灰落としスリットの隙間に燃焼灰やクリンカーが形成されたり詰まることを防止できる。したがって、燃焼灰やクリンカーの付着による燃焼灰の排出機構等に障害が起こり燃焼装置が機能しなくなるおそれがなく、メンテナンスも容易にできる。
【0035】
(c)クリンカー付着防止部材の一部が、空気供給孔から噴射される空気が当たって空気供給孔が形成されている内周壁近傍で空気の乱れが起こるように、内周壁と所要の間隔をおいて移動するようにしてあるものは、前記空気の乱れが起こることにより、燃焼炉の灰落としスリットを形成している部材の縁部又は前記内周壁表面に燃焼灰あるいはクリンカーの元となる粒子等が付着するのを防止できる。併せて、空気供給体の空気供給孔が形成されている内周壁に燃焼灰あるいはクリンカーの元となる珪素分の微細粒子等が付着するのをより確実に防止することができ、クリンカーの形成を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係る熱風発生機に燃料補給機を組み合わせて設置した状態を示し熱風発生機の一部を断面した説明図。
図2】熱風発生機の一実施の形態を示す斜視図。
図3】熱風発生機の構造を示す図4におけるA−A部断面説明図。
図4】熱風発生機の構造を示す図3におけるB−B部断面説明図。
図5】本発明に係る燃焼装置の一実施の形態を示す断面斜視説明図。
図6】燃焼装置を構成する掻取り回転体の構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔実施の形態〕
【0038】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1乃至図5を参照する。
なお、以下の熱風発生機Hの説明において、方向や位置をあらわす場合は、図1及び図3において右側を前、左側を後、奥側を右、手前側を左として説明する。
【0039】
熱風発生機Hは、例えば栽培ハウス9(図1参照)の内部に設置して暖房用として使用される農業用の熱風発生機である。熱風発生機Hは、通常、ホッパー装置を備えた燃料補給機Sと組み合わせて使用される(図1参照)。
【0040】
熱風発生機Hは、アングル鋼材等で外枠形状が直方体状となるように枠組みされたフレーム1を有している。フレーム1の前部側には、燃焼室4が設けられ、燃焼室4は内部に流動性を有する固体燃料を燃料とする燃焼装置2の燃焼炉20等を備えている。また、フレーム1の後部側には、燃焼装置2で生じる燃焼ガスを熱源として使用し空気を加熱する熱交換装置3が設けられている。
【0041】
燃焼室4は、フレーム1に水平に固定されている台板10(図3図5参照)の上に、燃焼装置2の前側、上側及び左右側を囲むように形成されている。なお、燃焼室4の後側は、後記熱交換装置3の各加熱管30につながっている。また、燃焼室4の構造については、後記燃料供給コンベヤ28及び燃料シュート5を説明する際に、これらの説明と関連して説明する。
【0042】
燃焼装置2は、燃焼炉20、掻取り回転体24、空気供給手段を構成する空気供給管25及び給気ブロワ27、点火具26、燃料供給コンベヤ28を備えている。これらのうち、点火具26を含む燃焼炉20、掻取り回転体24及び空気供給管25は、燃焼室4内部の燃焼空間40に設置される。
【0043】
燃焼炉20は、下から順に、それぞれ後記する下部炉部材21、前記空気供給管25及び給気ブロワ27と共に空気供給手段を構成する空気供給ジャケット22及び上部炉部材23で構成されている。燃焼炉20の全体の形状は、いわゆる擂鉢形であるが、この形状に限定するものではなく、例えば円筒形状等、他の形状を採用することもできる。
【0044】
下部炉部材21は、前記台板10に固定されている。下部炉部材21は、円管状の導入部211を有し、導入部211の下端部の外周側には円環板状の固定用フランジ212が接合されている。また、導入部211の上端部には、円筒体の下側が窄まった形状(いわゆる漏斗状)であり下端縁の外径が前記導入部211の外径と同径の誘導部213が接合されている。
【0045】
また、前記台板10において、下部炉部材21の導入部211につながる箇所には、導入部211よりやや径小で円形の連通口11(図5参照)が貫通して形成されている。連通口11の形状は、円形に限定するものではなく、角形、楕円形、異形等、各種形状が採用できる。連通口11の下側には、後記燃料供給コンベヤ28の連通部282がつながっている。
【0046】
下部炉部材21より上側には、全体がほぼ円環状に形成され中空体である空気供給ジャケット22が配されている。空気供給ジャケット22は、固定部材(図示省略)を介しフレーム1の台板10に固定されている。空気供給ジャケット22は、前記誘導部213の傾斜した内面と同じ傾斜角であり誘導部213との間で後記灰落としスリット200を挟んで連続する内周壁である誘導部222を有している。
【0047】
誘導部222には、空気供給ジャケット22の内部空間224へ貫通した多数の空気供給孔223(図5参照)が全周にわたり所要の間隔をおいて形成されている。各空気供給孔223は、噴射方向を内方向の斜め上方へ向けて形成されており、各空気供給孔223から噴射される空気で燃焼炉20の上方に螺旋流が生じるようにしてある。
【0048】
また、前記下部炉部材21の誘導部213の上端縁と空気供給ジャケット22の誘導部222の下端縁の間には、所要の幅(間隔)の灰落としスリット200が全周にわたり形成されている。灰落としスリット200は、後記掻取り回転体24のクリンカー付着防止部材242が貫通した状態で、周回移動(回転移動)することができるように、クリンカー付着防止部材242の厚さよりやや広い幅に形成されている。
【0049】
更に、空気供給ジャケット22の上には、上部炉部材23が固定されている。上部炉部材23は、円筒体の下側が窄まった形状であり、上端縁の外径が下端縁の外径より径大であり、下端縁の内径が前記空気供給ジャケット22の誘導部222の上端縁の内径と同じになるように形成されている。また、上部炉部材23の内面は、前記空気供給ジャケット22の誘導部222と同じ傾斜角で誘導部222の傾斜した表面と連続するように形成されている。
【0050】
また、上部炉部材23には、直径線上に相対向して二箇所に係止溝231、232(図4参照)が形成されている。係止溝231、232は、上部炉部材23の下部側の一部を残すようにして上端縁から縦方向に形成されている。係止溝231、232には、後記点火具26の軸部262、263が係止される。
【0051】
点火手段を構成する点火具26は、半円弧状の発熱部261を有している。発熱部261の両端には、軸部262、263が形成されている。軸部262、263は、発熱部261の両端を通る直径線と重なる同一直線上にある。点火具26は、軸部262、263を前記係止溝231、232に落とし込むようにして係止され、軸部262、263の両端は燃焼炉20の外で金属製バンド等で固定されている。なお、軸部262、263を係止溝231、232に落とし込んだ状態では、発熱部261は燃焼炉20の内面に接している。
【0052】
また、発熱部261は、ニクロム線等の電熱線(電気抵抗発熱体)で形成されており、点火具26には、電源(図示省略)から軸部262、263を通して通電できる構造となっている。点火具26には、運転開始時において、例えば200Vの交流電流を印加することにより、発熱部261を発熱させて固体燃料に点火することができる。
【0053】
フレーム1の台板10上には、前記固定用フランジ212の円形の外周部に沿って摺動するように間欠的に回転運動をする掻取り回転体24が配されている。掻取り回転体24は、台板10上面と摺れ合いながら回転する円環状の摺動回転板240(図5図6参照)を有し、摺動回転板240の上面には摺動回転板240の内径部に沿うようクリンカー付着防止部材242が一箇所に固定されている。摺動回転板240の内径は、内径部(内周部)が前記固定用フランジ212の外径部に対し摺動しながらガタつくことなく回転できるように外径よりやや径大に形成されている。
【0054】
摺動回転板240には、周方向に一定の間隔で所要数(本実施の形態では、合計9個)の係合孔241が板を貫通して形成されている。各係合孔241は、ほぼ長方形状に形成されており、後記駆動レバー286の先部が一回転する毎に上方位置で順次係合する(又は引っ掛ける)ようになっている。なお、各係合孔241は、後記するように係合孔241に被さるように溜まった燃焼灰を落とし、灰出し口12を通して自動的に排出する機能も有している。
【0055】
摺動回転板240は、灰落としスリット200から落ちた燃焼灰が上に溜まるよう灰落としスリット200の下方で回転するようになっている。そして、摺動回転板240は、後記駆動レバー286が一回転する毎に1/9周(回転中心角40°)ずつ一定幅の移動ストロークで間欠的に回転する。なお、摺動回転板240の各係合孔241は、後記灰出し口12、灰溜め容器14等と共に灰排出手段を構成する。
【0056】
摺動回転板240には、前記したように摺動回転板240の内径部に沿うようクリンカー付着防止部材242が一箇所に固定されている。クリンカー付着防止部材242は、摺動回転板240上面に固定するための固定部242aと、固定部242aから直角に立ち上げて形成された立ち上げ部242bと、立ち上げ部242bの上端に連設され外方向へ斜め上方に傾斜し先部側がやや狭まった台形状で前記誘導部222の表面形状に沿う曲板状の空気受け部242cより形成されている。なお、空気受け部242cは、台形状以外の例えば長方形状、半円形状、三角形状等、他の形状を採用することもできる。
【0057】
前記立ち上げ部242bは、摺動回転板240の内径部と同じ曲率を有する円筒殻形状であり、前記したように灰落としスリット200を貫通し、空気受け部242cを灰落としスリット200から上方へ突出させた状態で、灰落としスリット200に沿って回転移動することができる。なお、空気受け部242cは、前記空気供給ジャケット22の誘導部222表面から若干の隙間をおいて離れた位置を移動し、各空気供給孔223から噴射される空気を受けて空気流を乱すように作用する。
【0058】
燃焼炉20の近傍には、燃焼炉20の中心部から水平且つ放射方向へ空気を噴射して供給する空気供給管25が設けられている。空気供給管25は、燃焼炉20の中心に鉛直方向に配された給気部250を有し、給気部250には複数の空気供給孔251が形成されている。そして、空気供給管25と前記空気供給ジャケット22に対しては、給気ブロワ27から空気が供給される。給気ブロワ27は、フレーム1の台板10の前部下側且つ後記燃料供給コンベヤ28の右側に隣接して取り付けられている(図2図3参照)。
【0059】
また、台板10の下側には、給気ブロワ27に隣接して燃料供給コンベヤ28が取り付けられている。燃料供給コンベヤ28は、ほぼ円管状のコンベヤケース280内にスクリュー281を備えたスクリューコンベヤであり、固体燃料の供給方向は、前端の固体燃料の補給側から後端の連通口11方向である。燃料供給コンベヤ28は、フレーム1の台板10の前部下側且つ燃料供給コンベヤ28の左側に隣接して取り付けられている駆動モータ29(図2参照)によってチェーン290を介し減速駆動される。
【0060】
コンベヤケース280の後端側の上部には、固体燃料を後記燃焼炉20へ供給する円管状の連通部282(図4参照)が上方へ向け形成されている。連通部282は、前記連通口11を介し、前記下部炉部材21の導入部211とつながっている。燃料供給コンベヤ28でスクリュー281の回転によって後方へ送られる木質及び竹などのバイオマス等の固体燃料は、コンベヤケース280の塞がっている後端部で圧力が増し、この圧力で連通部282及び連通口11を通り上方へ盛り上がるようにして導入部211から燃焼炉20へ供給される。
【0061】
また、スクリュー281の回転軸284の後端側は、コンベヤケース280の後端壁に取り付けられている軸受285で軸支され、後端壁及び軸受285、更に後記灰溜め容器14の側板141を貫通して灰溜め容器14内へ延出されている。回転軸284の延出部の先端(後端)には、前記したように燃焼装置2の掻取り回転体24を間欠的に回転させる駆動手段を構成する駆動レバー286が基端側を固定して取り付けられている。
【0062】
水平方向の回転軸284に取り付けられた駆動レバー286は、鉛直面と平行な面に沿って回転する(図5参照)。駆動レバー286の長さは、駆動レバー286の先端側が上位置にきたときに、後記灰溜め容器14の灰落ち口143(図5参照)と、台板10に形成されている灰出し口12(図5参照)を先端側が貫通し、先端が前記掻取り回転体24の摺動回転板240に形成されている各係合孔241に係合できる長さに設定されている。
【0063】
また、各係合孔241は、摺動回転板240の回転方向において前側の係合孔241が駆動レバー286で引っ掛けられて牽引されると、次の係合孔241が灰出し口12の上に重なる位置に移動するようになっている。なお、前記灰落としスリット200から落ちた燃焼灰は、掻取り回転体24の摺動回転板240上に落ちて溜まるようになっている。
【0064】
台板10の下面側には、灰出し口12の下方に灰溜め容器14が固定されている。灰溜め容器14の左側端部は開口されて、溜まった燃焼灰を掻き出すための掻き出し口140が形成されている。また、灰溜め容器14の上板142には、灰出し口12の下方に位置して灰落ち口143が形成されている。
【0065】
そして、灰落としスリット200から落ちて摺動回転板240上に溜まる燃焼灰は、一部が各係合孔241を塞ぐように又は被さるように溜まり、係合孔241が灰出し口12の上に重なったときに灰出し口12及び灰落ち口143を通って下の灰溜め容器14に落ちる。
【0066】
また、前記燃料供給コンベヤ28のコンベヤケース280の前端側の上部には、固体燃料を燃料供給コンベヤ28内へ導入する連通部287(図5参照)が形成されている。台板10において連通部287上方には、連通口13が形成されている。連通口13の上方には、連通口13につながる燃料シュート5が設置されている。
【0067】
一方、前記燃焼室4は、前側に鉛直方向に形成された前壁41、上側に水平方向に形成された上壁43、前壁41上端と上壁43前端をつなぐ斜壁42及び左壁44、右壁45で構成されている。前壁41と燃焼空間40の間には、内板46を設けることにより遮熱空間460が形成されている。斜壁42の左右両側には、固体燃料が左右から落ちないようにして後記燃料補給口50へ誘導する誘導板420が鉛直方向に形成されている。
【0068】
前記燃料シュート5は、燃焼室4の前壁41に固定され、前壁41と合わせて角筒状となるように形成されている。燃料シュート5の上部には、開口した燃料補給口50が形成されている。前記斜壁42の下端は、燃料補給口50内に位置し、斜壁42によって後記燃料補給機Sのシュート管81から補給される固体燃料を燃料シュート5内へ誘導できるようにしてある。
【0069】
燃焼室4の後方には、熱交換装置3が備えてある。熱交換装置3は、燃焼室4の燃焼空間40と排気管39をつなぐ複数の加熱管30と、各加熱管30が通されている熱交換室31と、熱交換室31に空気を送給する送風ファン装置32と、熱交換室31で各加熱管30との熱交換で加熱された空気を熱風発生機Hの外部へ排出する温風排出管33を備えている。
【0070】
前記熱交換室31は、左右両側の側板311(図2参照)、312(図3参照)、前後の加熱管取付箱313、314、底板315及び天板316で形成されている。天板316の中央部には、上端が拡がったほぼ円筒形状の導風筒320が天板316を貫通して固定されている。そして、前記送風ファン装置32は、ファン321を導風筒320内に収めた状態でモータ322を支持部材323により支持し天板316に固定してある。
【0071】
前記燃焼室4の後端下側は隔壁47で塞がれており、前部の加熱管取付箱313は、隔壁47の上部の通気口48に接続されている。また、後部の加熱管取付箱314には、排気管39が接続されている。排気管39は、図1に示すように曲げて延長され、排気口390が設けられている先端側は栽培ハウス9の外に出してある。
【0072】
前後の加熱管取付箱313、314は、円管形状で複数の加熱管30によって連通している。各加熱管30は、後部の排気管39につながる加熱管取付箱314側がやや低くなるように傾斜して加熱管取付箱313、314に両端側が接続されている。これにより、上昇しようとする燃焼ガスの性質に逆らうように各加熱管30で斜め下方へ誘導することで、加熱管30を通り排気管39へ向かう燃焼ガスの流れに抵抗を与えて流れをより遅くし、燃焼ガスの熱を効率よく熱交換に利用できるようにしている。
【0073】
また、熱交換室31の左右両側の側板311、312において底板315より上側及び後部の加熱管取付箱314より下側且つ底板315より上側には、それぞれ扁平な六角筒状で熱交換室31の内部空間310に連通する前記温風排出管33が合計三箇所に形成されている。
【0074】
燃料補給機Sは、栽培ハウス9の外に設置されている。アングル鋼材等で枠組みされた脚フレーム6を有している。脚フレーム6には、固体燃料を入れるホッパー7が固定されている。ホッパー7は、下側にスクリューコンベヤである燃料補給コンベヤ8を備えている。
【0075】
燃料補給コンベヤ8は、駆動モータ80で駆動され、ホッパー7の下部排出口(図示省略)から排出される固体燃料を斜め上方へ向け搬送する。燃料補給コンベヤ8の上部先端には、シュート管81が接続されている。シュート管81は、斜め下方へ向けられ、栽培ハウス9の合成樹脂シートを貫通し、先端の排出口810は前記燃料シュート5の燃料補給口50内に位置させてある。
【0076】
(作用)
図1乃至図6を参照して燃焼装置2を備えた熱風発生機Hの作用を説明する。
まず、燃料補給機Sのホッパー7に木チップ、竹チップ、木ペレット等の流動性を有する固体燃料を貯留しておく。燃料補給コンベヤ8を駆動し、シュート管81から熱風発生機Hの燃料シュート5に固体燃料を供給する。固体燃料は、燃料シュート5から燃料供給コンベヤ28に供給され、燃焼装置2方向へ送られる。
【0077】
固体燃料は、台板10の連通口11を通り、燃焼装置2の燃焼炉20内で下から上へ順次盛り上がるように燃焼炉20に供給される。固体燃料が適量溜まったところで、点火具26によって燃焼炉20内の固体燃料に点火される。また、点火された固体燃料に対して、空気供給ジャケット22の各空気供給孔223及び空気供給管25の各空気供給孔251から、燃焼している固体燃料へ向けて空気が供給される。
【0078】
これにより、固体燃料が燃焼炉20内で自立燃焼を始め、自立燃焼状態が維持される。なお、空気供給ジャケット22の空気供給孔223から噴射される空気は、燃焼炉20の上方に螺旋流が生じるように供給され、固体燃料のうち燃焼している細かい燃焼物を燃焼室4内において上方へ螺旋状に吹き上げることができるので、燃焼物と空気との接触が十分に行われ、燃焼効率が向上する。
【0079】
このように、固体燃料が自立燃焼することにより燃焼室4内の燃焼空間40に高温の燃焼ガスが生じる。燃焼ガスは、燃焼室4後部の通気口48から熱交換装置3の加熱管取付箱313を通り、更に各加熱管30の内部を通ることにより、各加熱管30が高温に加熱される。そして、送風ファン装置32によって熱交換室31内の内部空間310に空気が送給され、送給された空気は熱交換室31内で各加熱管30との熱交換によって加熱される。
【0080】
加熱されて温度が上昇した温風は、三方へ向け設けられている各温風排出管33から栽培ハウス9内に排出され、この温風により栽培ハウス9内を温めることができる。また、各加熱管30を通った燃焼ガスは、熱交換室31内を通る空気との熱交換によって温度が下がり、加熱管取付箱314から排気管39を通って栽培ハウス9の外の大気中へ排出される。
【0081】
一方、燃焼装置2の掻取り回転体24は、燃料供給コンベヤ28のスクリュー281の回転に伴い駆動レバー286が回転することにより、前記したように一定幅の移動ストロークで間欠的に回されて回転する。これにより、燃焼炉20の灰落としスリット200を貫通しているクリンカー付着防止部材242が灰落としスリット200に沿って移動し繰り返し周回している。
【0082】
このようにクリンカー付着防止部材242が灰落としスリット200内を継続的に移動していることにより、灰落としスリット200の隙間に燃焼灰やクリンカーが形成されたり詰まることを防止できるので、燃焼灰は灰落としスリット200に詰まることなく、灰落としスリット200を安定的に通り抜けて燃焼炉20の外へ落ちる。
【0083】
また、クリンカー付着防止部材242は、前記のように空気受け部242cを空気供給ジャケット22の誘導部222表面から若干の隙間をおいて離れた位置で灰落としスリット200に沿って回転移動させるので、各空気供給孔223から噴射される空気は空気受け部242cに当たることによって、空気流が乱れる。なお、空気受け部242cが誘導部222表面と接触しながら移動する構造とすることもできる。
【0084】
このように空気の乱れが起こることで、灰落としスリット200を形成している縁部及び空気供給ジャケット22の誘導部222表面に燃焼灰あるいはクリンカーの元となる粒子等が付着するのを防止できる。これにより、クリンカーの形成そのものを抑制することが可能になる。
【0085】
なお、前記のように灰落としスリット200から燃焼炉20の外へ落ちた燃焼灰は、クリンカー付着防止部材242の摺動回転板240の上に溜まる。そして、摺動回転板240が間欠的に回転することにより、摺動回転板240の係合孔241の一つが台板10の灰出し口12の上に重なると、いわゆる底が抜けた状態になり、係合孔241に被さるように溜まっていた燃焼灰は、自動的に下方の灰溜め容器14の底に落ちて溜まる。また、灰溜め容器14に溜まった燃焼灰は、掻出し口140から適宜取り出すことができる。
【0086】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
H 熱風発生機
1 フレーム
10 台板
11 連通口
12 灰出し口
13 連通口
14 灰溜め容器
140 掻き出し口
141 側板
142 上板
143 灰落ち口
2 燃焼装置
20 燃焼炉
200 灰落としスリット
21 下部炉部材
211 導入部
212 固定用フランジ
213 誘導部
22 空気供給ジャケット
222 誘導部
223 空気供給孔
224 内部空間
23 上部炉部材
231、232 係止溝
24 掻取り回転体
240 摺動回転板
241 係合孔
242 クリンカー付着防止部材
242a 固定部
242b 立ち上げ部
242c 空気受け部
25 空気供給管
250 給気部
251 空気供給孔
26 点火具
261 発熱部
262、263 軸部
27 給気ブロワ
28 燃料供給コンベヤ
280 コンベヤケース
281 スクリュー
282 連通部
284 回転軸
285 軸受
286 駆動レバー
287 連通部
29 駆動モータ
290 チェーン
3 熱交換装置
30 加熱管
31 熱交換室
310 内部空間
311、312 側板
313 加熱管取付箱
314 加熱管取付箱
315 底板
316 天板
32 送風ファン装置
320 導風筒
321 ファン
322 モータ
323 支持部材
33 温風排出管
39 排気管
390 排気口
4 燃焼室
40 燃焼空間
41 前壁
42 斜壁
420 誘導板
43 上壁
44 左壁
45 右壁
46 内板
460 遮熱空間
47 隔壁
48 通気口
5 燃料シュート
50 燃料補給口
S 燃料補給機
6 脚フレーム
7 ホッパー
8 燃料補給コンベヤ
80 駆動モータ
81 シュート管
810 排出口
9 栽培ハウス
図1
図2
図3
図4
図5
図6