特許第5944753号(P5944753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944753
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】レンズ取外装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 13/00 20060101AFI20160621BHJP
   B24B 13/005 20060101ALI20160621BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B24B13/00 C
   B24B13/005 A
   G02C7/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-132606(P2012-132606)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-255956(P2013-255956A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 覚也
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−015659(JP,A)
【文献】 特表2004−538169(JP,A)
【文献】 特開2001−150317(JP,A)
【文献】 特開2004−216867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B13/00
B24B13/005
B23Q3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低融点合金からなる固定用媒体を介してブロック治具に固着された眼鏡レンズを浸漬できるように温水が溜められた分離部と、
前記固定用媒体の融点より高い温度の温水を前記分離部内に噴出させる温水噴出部と、
溶融した前記固定用媒体が通過可能な隙間を有する仕切部材が上端部を形成するように前記分離部の底に設けられた媒体貯留部とを備え、
前記眼鏡レンズは、前記ブロック治具が下に位置する状態で前記分離部内に浸漬され、
前記温水噴出部は、前記眼鏡レンズと前記ブロック治具との間で露出する前記固定用媒体の露出部分を指向し、前記露出部分に沿って眼鏡レンズの周方向に流れる水流を発生させるものであり、
前記仕切部材は、眼鏡レンズから外された前記ブロック治具を載せることが可能なものであることを特徴とするレンズ取外装置。
【請求項2】
請求項1記載のレンズ取外装置において、前記分離部は、前記眼鏡レンズが浸漬される浸漬槽と、
この浸漬槽を収容する外槽と、
前記浸漬槽から溢れて前記外槽に流出した温水を加熱して前記温水噴出部に供給する温水循環装置とを備えていることを特徴とするレンズ取外装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のレンズ取外装置において、前記眼鏡レンズを保持するクランプを有しかつ前記眼鏡レンズを前記分離部に対して出し入れする搬送装置と、
前記ブロック治具が前記仕切部材に落下したことを検出する検出装置とを備え、
前記搬送装置は、前記検出装置が前記ブロック治具の落下を検出したときに前記眼鏡レンズを前記分離部から搬出するものであることを特徴とするレンズ取外装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載のレンズ取外装置において、前記温水噴出部は、3本のノズルによって構成され、
これらのノズルは、上方から見て眼鏡レンズの周方向に等間隔で並ぶように位置付けられていることを特徴とするレンズ取外装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低融点合金からなる固定用媒体によってブロック治具に固着された眼鏡レンズをブロック治具から取り外すためのレンズ取外装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズは、製造する過程で研磨加工や切削、研削加工などの機械加工が施される。これらの加工は、眼鏡レンズを加工装置に装着して行われている。眼鏡レンズを前記加工装置に装着するにあたっては、ブロック治具が用いられている。
【0003】
このブロック治具は、眼鏡レンズが固着されるレンズ支持部と、加工装置に取付けられる取付部とを備えている。すなわち、眼鏡レンズは、ブロック治具に固着された状態でブロック治具を介して加工装置に取付けられる。
眼鏡レンズを前記ブロック治具に固着するためには、眼鏡レンズとブロック治具との間に液状の固定用媒体を充填し、この固定用媒体を固化させて行っている。固定用媒体は、低融点合金によって形成されており、溶融した状態で眼鏡レンズとブロック治具との間に充填され、その後、冷却されて固化する。固定用媒体が固化することによって、眼鏡レンズがブロック治具に固着される。
【0004】
眼鏡レンズの機械加工が終了した後は、ブロック治具から眼鏡レンズが外される。このブロック治具を取り外す作業は、一般的にデブロック処理と呼ばれている。デブロック処理は、特許文献1に開示されているようにブロック治具に荷重を加えて眼鏡レンズからブロック治具を取り外す方法や、衝撃ブロッキング、熱水ブロッキングなどの方法で行われている。
【0005】
特許文献1に開示されているレンズ取外装置は、眼鏡レンズとブロック治具とにこれらが離れる方向へ荷重を加えるものである。
前記衝撃デブロッキングは、衝撃を加えて眼鏡レンズからブロック治具を取り外す方法である。熱水デブロッキングは、ブロック治具に固着された状態の眼鏡レンズを熱水に浸し、固定用媒体を溶かしてブロック治具を眼鏡レンズから取り外す方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−233792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたレンズ取外装置は、眼鏡レンズが変形したり、眼鏡レンズを支える部分との接触により眼鏡レンズが傷つくおそれがあった。
衝撃デブロッキングでは、衝撃によって眼鏡レンズが破損することがある。熱水デブロッキングでは、熱水の温度が高すぎると、研磨した眼鏡レンズ表面が荒れたり変形してしまう。一方、熱水デブロッキングを行うにあたって熱水の温度が低いと、デブロック処理の時間が長くなり、生産性が低くなってしまう。
【0008】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、眼鏡レンズの変形や破損およびレンズ表面の荒れや変形などが生じることなく、短時間でデブロックが行われて生産性が高いレンズ取外装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係るレンズ取外装置は、低融点合金からなる固定用媒体を介してブロック治具に固着された眼鏡レンズを浸漬できるように温水が溜められた分離部と、前記固定用媒体の融点より高い温度の温水を前記分離部内に噴出させる温水噴出部と、溶融した前記固定用媒体が通過可能な隙間を有する仕切部材が上端部を形成するように前記分離部の底に設けられた媒体貯留部とを備え、前記眼鏡レンズは、前記ブロック治具が下に位置する状態で前記分離部内に浸漬され、前記温水噴出部は、前記眼鏡レンズと前記ブロック治具との間で露出する前記固定用媒体の露出部分を指向し、前記露出部分に沿って眼鏡レンズの周方向に流れる水流を発生させるものであり、前記仕切部材は、眼鏡レンズから外された前記ブロック治具を載せることが可能なものであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、前記発明において、前記分離部は、前記眼鏡レンズが浸漬される浸漬槽と、この浸漬槽を収容する外槽と、前記浸漬槽から溢れて前記外槽に流出した温水を加熱して前記温水噴出部に供給する温水循環装置とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記発明において、前記眼鏡レンズを保持するクランプを有しかつ前記眼鏡レンズを前記分離部に対して出し入れする搬送装置と、前記ブロック治具が前記仕切部材に落下したことを検出する検出装置とを備え、前記搬送装置は、前記検出装置が前記ブロック治具の落下を検出したときに前記眼鏡レンズを前記分離部から搬出するものであることを特徴とする。
【0012】
本発明は、前記発明において、前記温水噴出部は、3本のノズルによって構成され、これらのノズルは、上方から見て眼鏡レンズの周方向に等間隔で並ぶように位置付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、温水噴出部から噴出した温水が固定用媒体の露出部分に沿って眼鏡レンズの周方向に旋回するようになる。このため、固定用媒体の露出部分の略全域が常に新しい温水で加温されるから、固定用媒体が効率よく加温されて昇温が促進され、固定用媒体を速く溶融させることができる。ブロック治具は、固定用媒体が溶融することによって眼鏡レンズから外れ、仕切部材の上に落下する。溶融した固定用媒体は、仕切部材の隙間を通過して媒体貯留部に溜められる。すなわち、ブロック治具は、荷重や衝撃が加えられることがない熱水デブロッキングによって眼鏡レンズから外れる。
したがって、本発明によれば、眼鏡レンズの変形や破損およびレンズ表面の荒れや変形などが生じることなく、短時間でデブロックが行われて生産性が高いレンズ取外装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態によるレンズ取外装置の平面図である。
図2】第1の実施の形態によるレンズ取外装置の断面図で、同図は図1におけるII−II線断面図である。
図3】ブロッキング状態にある眼鏡レンズとブロック治具の側面図である。
図4】第2の実施の形態によるレンズ取外装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るレンズ取外装置の一実施の形態を図1および図2によって詳細に説明する。
図1および図2に示すレンズ取外装置1は、二つの槽2,3を有する分離部4と、この分離部4の中に設けられた温水噴出部5と、前記分離部4の底に設けられた媒体貯留部6とを備えている。
【0016】
二つの槽2,3とは、上方から見て円形に形成された浸漬槽2と、この浸漬槽2を収容する外槽3である。
前記浸漬槽2は、図3に示すブロッキング状態の眼鏡レンズ11を上方から出し入れ可能な開口部を有する有底円筒状に形成されており、温水12が溜められている。すなわち、前記分離部4は、眼鏡レンズ11を浸漬できるように温水12が溜められている。
前記ブロッキング状態とは、眼鏡レンズ11が低融点合金からなる固定用媒体13(以下、単にアロイ13という)を介してブロック治具14に固着された状態をいう。
【0017】
アロイ13は、図3に示すように、溶融状態で眼鏡レンズ11とブロック治具14との間に充填され、その後、冷却により固化されたものである。このアロイ13の形状は、相対的に薄い円板状である。また、このアロイ13の外周部は、眼鏡レンズ11とブロック治具14との間に露出している。
【0018】
前記ブロック治具14は、眼鏡レンズ11が固着されるレンズ支持部14aと、図示していない加工装置に着脱可能に取付けられる取付部14bとを備えている。
眼鏡レンズ11は、前記ブロック治具14を介して加工装置に装着され、加工装置によってレンズ面11aの研磨加工や、切削加工、研削加工などが施される。
機械加工が終了した眼鏡レンズ11は、図示してはいないが、作業者によって把持された状態、あるいは、保持装置に保持された状態で、ブロック治具14とともに浸漬槽2内に挿入される。眼鏡レンズ11を浸漬槽2内に挿入するときは、ブロック治具14が眼鏡レンズ11の下に位置する状態で行う。
【0019】
前記外槽3は、前記浸漬槽2から溢れて出た温水12を受けるためのものである。この実施の形態による外槽3は、上方に向けて開口する箱状に形成されている。前記浸漬槽2は、この外槽3の内部に設けられている。外槽3の外形は、上方から見て四角形の箱状に限定されることはなく、上方から見て円形でもよい。この外槽3には、外槽3内に溜まった温水を吸い込む温水循環装置15が接続されている。外槽3内の温水は、浸漬槽2から溢れて流出した温水12である。
【0020】
温水循環装置15は、図2に示すように、外槽3に吸込用管体16とフィルター17とを介して連通された温水タンク18と、この温水タンク18内から温水を吸い込んで供給用管体19によって後述する温水噴出部5に供給するポンプ20とを備えている。すなわち、温水循環装置15は、浸漬槽2から溢れて外槽3に流出した温水12を再度加熱して後述する温水噴出部5に供給する。前記温水タンク18には、温水を所定の温度に加熱するためのヒータ21が設けられている。このヒータ21は、温水タンク18内の温水を前記アロイ13の融点である61°より高い温度であって、眼鏡レンズ11に悪影響を及ぼさない所定の温度に昇温させる。温水の温度は、61℃以上であって85℃未満の温度範囲に設定することができる。好ましい温水の温度は、70℃以上であって80℃未満であり、より好ましい温度は、75℃以上であって80℃未満である。
【0021】
温水噴出部5は、前記温水循環装置15から供給された温水、すなわちアロイ13の融点より高い温度の温水12を前記浸漬槽2内に噴出させるものである。この実施の形態による温水噴出部5は、図1に示すように、3本のノズル22によって構成されている。これらのノズル22は、それぞれ前記温水循環装置15の供給用管体19に接続されており、供給用管体19から温水12が供給される。温水噴出部5から噴出した温水12は、浸漬槽2内を満たし、浸漬槽2の上端から溢れて外槽3内に流入する。この外槽3内の温水12は、上述したように前記温水循環装置15によって再加熱されて温水噴出部5に供給される。
【0022】
前記3本のノズル22は、図1に示すように、上方から見て円形の浸漬槽2の周方向に等間隔で並ぶように位置付けられており、それぞれ浸漬槽2の中央部に向けて水平に延びている。各ノズル22の先端部は、これら3本のノズル22によって囲まれる領域にブロック治具14を上方から挿入できるように配置されている。この先端部は、ブロック治具14が浸漬槽2の中央部内に挿入された状態において、アロイ13の露出部分13a(図2参照)を指向し、前記露出部分13aに沿って眼鏡レンズ11の周方向に流れる水流が発生するように形成されている。
【0023】
すなわち、アロイ13の露出部分13aは、3本のノズル22から噴出した温水12に晒される。この温水12は、図1中に矢印で示すように、前記露出部分13aに沿う旋回流となってアロイ13の周囲を流れる。このようにアロイ13に温水12が当たることによってアロイ13の温度が融点を上回り、アロイ13が溶融する。アロイ13の比重は、水の比重より大きい。このため、溶融したアロイ13は、浸漬槽2内の底部に位置する媒体貯留部6に落ちる。また、アロイ13が溶融すると、ブロック治具14が眼鏡レンズ11から外れ、浸漬槽2内で落下する。
【0024】
前記媒体貯留部6は、溶融したアロイ13を貯留するためのものである。この実施の形態による媒体貯留部6は、浸漬槽2の底部に設けられた第1の仕切部材23と、外槽3の底部に設けられた第2の仕切部材24とが上端部を形成するように前記両槽2,3の底に設けられている。この実施の形態による媒体貯留部6は、浸漬槽2の底部を利用して形成された内側貯留部分6aと、外槽3の底部を利用して形成された外側貯留部分6bとによって構成されている。なお、媒体貯留部6としては、浸漬槽2や外槽3とは別体に形成し、これらの槽2,3から取り外すことができるように形成することができる。
【0025】
前記第1、第2の仕切部材23,24は、溶融した前記アロイ13が通過可能な大きさの多数の穴23a,24aを有する板であって、かつ眼鏡レンズ11から外された前記ブロック治具14を載せることが可能な剛性を有する板によって形成されている。この実施の形態においては、前記穴23a,24aによって、本発明でいう「固定用媒体が通過可能な隙間」が構成されている。なお、第1、第2の仕切部材23,24の構成は、この実施の形態に示すような「穴が形成された板」に限定されることはなく、適宜変更することができる。例えば、第1、第2の仕切部材23,24は、図示してはいないが、金網やパンチングメタルなどによって形成することができる。
【0026】
媒体貯留部6の下端部には、アロイ13を排出するためのドレン弁25,26が設けられている。
浸漬槽2内で溶融したアロイ13は、第1の仕切部材23の穴23aを通過して内側貯留部分6aに流入し、溜められる。浸漬槽2内で溶融したアロイ13は、浸漬槽2内から温水12とともに外槽3側に流れ出るおそれがある。外槽3に出たアロイ13は、外槽3内を落下し、第2の仕切部材24の穴24aを通過して外側貯留部分6bに流入し、溜められる。
【0027】
この実施の形態によるレンズ取外装置1によって眼鏡レンズ11からブロック治具14を取り外すためには、先ず、温水噴出部5から所定の温度の温水12を噴出させて浸漬槽2内を温水12で満たす。次に、ブロッキング状態にある眼鏡レンズ11をブロック治具14が眼鏡レンズ11の下に位置する状態で浸漬槽2内に浸漬させる。このとき、ブロック治具14が上方から見て3本のノズル22によって囲まれるように、眼鏡レンズ11を浸漬槽2の中央部に浸漬させる。また、眼鏡レンズ11の上下方向の位置は、アロイ13の露出部分13aがノズル22と同じ高さに位置するように調整する。
【0028】
このように眼鏡レンズ11を浸漬槽2内に浸漬させることによって、温水噴出部5から噴出した温水12がアロイ13の露出部分13aに沿って眼鏡レンズ11の周方向に旋回するようになる。このため、アロイ13の露出部分13aの略全域が常に新しい温水12で加温されるから、アロイ13が効率よく加温されてアロイ13の昇温が促進され、アロイ13を速く溶融させることができる。溶融したアロイ13は、浸漬槽2内を落下し、第1の仕切部材23の穴23aを通過して媒体貯留部6の内側貯留部分6aに溜められる。
【0029】
ブロック治具14は、アロイ13が溶融することによって眼鏡レンズ11から外れ、第1の仕切部材23の上に落下する。すなわち、ブロック治具14は、荷重や衝撃が加えられることがない熱水デブロッキングによって眼鏡レンズ11から外れる。
したがって、この実施の形態によれば、眼鏡レンズ11の変形や破損およびレンズ表面の荒れや変形などが生じることなく、短時間でデブロックが行われて生産性が高いレンズ取外装置を提供することができる。
【0030】
眼鏡レンズ11は、ブロック治具14が外れた後に浸漬槽2から引き上げられ、次の工程の装置に送られる。ブロック治具14は、眼鏡レンズ11が浸漬槽2から出された後に例えば作業者や図示していないブロック治具用搬送装置によって浸漬槽2内から取り出される。
【0031】
この実施の形態による前記分離部4は、浸漬槽2と、外槽3と、温水循環装置15とを備えている。前記浸漬槽2は、眼鏡レンズ11が浸漬されるものである。前記外槽3は、前記浸漬槽2を収容するものである。前記温水循環装置15は、前記浸漬槽2から溢れて前記外槽3に流出した温水12を加熱して前記温水噴出部5に供給するものである。
この実施の形態によれば、温水12を浸漬槽2でアロイ13と分離させて再利用することができる。
【0032】
すなわち、この実施の形態によれば、温水12を再利用しているために、アロイ13が溶融する温度の温水12を速く得ることができる。また、浸漬槽2は、温水12が溢れて出る構造であるから、温水噴出部5から噴出した温水12で満たされる。すなわち、浸漬槽2内の温度は、温水12の温度、供給量などに基づく温度になる。
したがって、この実施の形態によれば、所定の温度の温水12を速く得ることができるとともに、浸漬槽2内の水温が自動的に所望の温度になるから、より一層生産性が高いレンズ取外装置を提供することができる。
【0033】
この実施の形態による前記温水噴出部5は、3本のノズル22によって構成されている。これらのノズル22は、上方から見て眼鏡レンズ11(浸漬槽1)の周方向に等間隔で並ぶように位置付けられている。
このため、簡単な構造でアロイ13の周囲に温水12によって旋回流を発生させることができるから、生産性が高いにもかかわらず製造コストが低いレンズ取外装置を提供することができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
本発明に係るレンズ取外装置は、図4に示すように構成することができる。図4において、前記図1図3によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0035】
この実施の形態によるレンズ取外装置1は、眼鏡レンズ11を搬送するための搬送装置31と、ブロック治具14の落下を検出するための検出装置32とを備えている。前記搬送装置31は、眼鏡レンズ11をレンズ面11aが上下方向を指向する状態で保持するクランプ33を備えている。このクランプ33は、眼鏡レンズ11の外周部を径方向の3方向から挟むものを用いることができる。搬送装置31は、前記クランプ33に保持された眼鏡レンズ11を浸漬槽2(分離部4)に浸漬させる搬入動作と、前記眼鏡レンズ11を浸漬槽2から引き上げる搬出動作とを行う。
【0036】
前記検出装置32は、前記ブロック治具14が前記第1の仕切部材23の上に落下したことを検出するものである。ブロック治具14の落下を検出するためには、ブロック治具14の重量を検出するセンサや、ブロック治具14を光学的に検出するセンサや、ブロック治具14の落下により生じる磁界の変化を検出するセンサなどを用いて実現できる。
【0037】
前記搬送装置31は、前記検出装置32がブロック治具14の落下を検出したときに眼鏡レンズ11を浸漬槽2から搬出する構成が採られている。
このため、この実施の形態によるレンズ取出装置においては、アロイ13が溶融してブロック治具14が眼鏡レンズ11から外れた直後に検出装置32がブロック治具14の落下を検出し、搬送装置31が眼鏡レンズ11を浸漬槽2から搬出する。
したがって、この実施の形態によれば、ブロック治具14が外れた直後に眼鏡レンズ11が浸漬槽2から速やかに搬出されるから、更なる生産性の向上が図られたレンズ取外装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…レンズ取外装置、13…アロイ(固定用媒体)、14…ブロック治具、11…眼鏡レンズ、4…分離部、12…温水、5…温水噴出部、23…第1の仕切部材、24…第2の仕切部材、6…媒体貯留部、6a…内側貯留部分、6b…外側貯留部分、13a…露出部分、2…浸漬槽、3…外槽、15…温水循環装置、31…搬送装置、32…検出装置。
図1
図2
図3
図4