(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、インクの吐出量を削減する対象の画素に対する削減前の吐出量に応じて、インクの吐出量の削減量を制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
前記制御部は、前記複数のノズル列のなかで同一吐出対象画素に対応するノズルが前記一方側および前記他方側にそれぞれ最も突出しているノズル列の、その次に突出しているノズル列に対するずれ量の大きさに応じて、インクの吐出量の削減量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0019】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図、
図2は、
図1に示すインクジェット印刷装置の搬送部およびインクジェットヘッドの概略構成図、
図3は、搬送部およびインクジェットヘッドの平面図である。
【0021】
以下の説明において、
図2の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図2に示すように、前方から見て、上下左右を上下左右方向とする。また、
図2において破線で示す経路が、印刷媒体である用紙PAが搬送される搬送経路Rであり、左から右へ向かう方向が搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、搬送方向における上流、下流を意味する。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係るインクジェット印刷装置1は、搬送部2と、搬送制御部3と、インクジェットヘッド4と、制御部5とを備える。
【0023】
搬送部2は、用紙PAを搬送する。
図2に示すように、搬送部2は、搬送ベルト11と、駆動ローラ12と、従動ローラ13〜15とを備える。
【0024】
搬送ベルト11は、駆動ローラ12および従動ローラ13〜15に掛け渡される環状のベルトである。搬送ベルト11には、用紙PAを吸着保持するためのベルト穴が多数形成されている。搬送ベルト11は、ファン(図示せず)の駆動によりベルト穴に発生する吸着力により、用紙PAを吸着保持する。搬送ベルト11は、駆動ローラ12の駆動により
図2における時計回り方向に回転することで、吸着保持した用紙PAを右方向に搬送する。
【0025】
駆動ローラ12および従動ローラ13〜15は、搬送ベルト11が掛け渡されるものである。駆動ローラ12は、搬送ベルト11を回転させる。駆動ローラ12は、図示しないモータにより駆動される。従動ローラ13〜15は、搬送ベルト11を介して駆動ローラ12に従動する。従動ローラ13は、駆動ローラ12と略同じ高さで、駆動ローラ12から左右方向に所定間隔だけ離間して配置されている。従動ローラ14,15は、駆動ローラ12および従動ローラ13の下方において、互いに左右方向に所定間隔だけ離間して、略同じ高さに配置されている。
【0026】
搬送制御部3は、搬送部2を制御する。具体的には、搬送制御部3は、駆動ローラ12を駆動させるモータ、およびファンの駆動を制御する。
【0027】
インクジェットヘッド4は、搬送部2により搬送される用紙PAにインクを吐出して画像を印刷する。インクジェットヘッド4は、搬送部2の上方に配置されている。インクジェットヘッド4は、ライン型のインクジェットヘッドであり、複数のヘッドブロック21A,21B,…を有する。本実施の形態では、インクジェットヘッド4は、
図3に示すように、6個のヘッドブロック21A〜21Fを有する。
【0028】
6個のヘッドブロック21A〜21Fは、用紙PAの搬送方向である副走査方向と略直交する主走査方向に配列され、かつ、1つおきに副走査方向における位置をずらして配置されている。なお、本実施の形態において、ヘッドブロック21A〜21Fの区別が必要ない場合等に、符号におけるアルファベットの添え字(A〜F)を省略することがある。
【0029】
ヘッドブロック21は、4つのヘッドモジュール22C,22K,22M,22Yを貼り合わせてユニット化したものである。ヘッドモジュール22C,22K,22M,22Yは、この順で上流側(左側)から配置されている。ヘッドモジュール22C,22K,22M,22Yは、それぞれ、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する。なお、本実施の形態において、色の区別が必要ない場合等に、符号における色を示すアルファベットの添え字(C,K,M,Y)を省略することがある。
【0030】
ヘッドモジュール22C,22K,22M,22Yは、
図4に示すように、それぞれ下面にノズル列23C,23K,23M,23Yを有する。なお、
図4は、ヘッドブロック21Aを下側から見た図である。ノズル列23C,23K,23M,23Yは、それぞれ、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する複数のノズル24からなる。各ノズル列23において、ノズル24は、主走査方向(前後方向)に所定のピッチPで等間隔に配置されている。
【0031】
各ヘッドブロック21では、ヘッドモジュール22C,22K,22M,22Yのうちの少なくとも1つが、主走査方向にずれて配置されている。このため、ノズル列23C,23K,23M,23Yのうちの少なくとも1つのノズル列23のノズル24の位置が、主走査方向において、他のノズル列23のノズル24の位置に対してずれている。
【0032】
具体的には、例えば、
図4のように、ヘッドモジュール22K,22Yが、ヘッドモジュール22C,22Mに対して、後側に半ピッチ(P/2)分だけずれて配置される。この場合、ノズル列23C,23Mと、ノズル列23K,23Yとで、吐出対象画素が同じノズル24が半ピッチ分だけずれる。例えば、ノズル列23Cのノズル24a1およびノズル列23Mのノズル24a3、これらに対して半ピッチ分だけ後側にずれているノズル列23Kのノズル24a2およびノズル列23Yのノズル24a4、の4つのノズルが、画像データにおける同じ画素に対応する吐出に用いられる。
【0033】
ヘッドモジュール22のずれ量は、
図4のような半ピッチ分に限らない。例えば、
図5に示すように、ヘッドモジュール22K,22Yが、ヘッドモジュール22C,22Mに対して、半ピッチ(P/2)より小さいずれ量D1だけ、後側にずれて配置される場合もある。この場合、例えば、ノズル列23Cのノズル24b1およびノズル列23Mのノズル24b3、これらに対してずれ量D1だけ後側にずれているノズル列23Kのノズル24b2およびノズル列23Yのノズル24b4、の4つのノズルが、画像データにおける同じ画素に対応する吐出に用いられる。
【0034】
また、例えば、
図6に示すように、ヘッドモジュール22K,22Yが、ヘッドモジュール22C,22Mに対して、半ピッチ(P/2)より大きいずれ量D2だけ、後側にずれて配置される場合もある。ここでは、ずれ量D2は、1ピッチPよりは小さいものとする。この場合、例えば、ノズル列23Cのノズル24c1およびノズル列23Mのノズル24c3、これらに対して(P−D2)だけ前側にずれているノズル列23Kのノズル24c2およびノズル列23Yのノズル24c4、の4つのノズルが、画像データにおける同じ画素に対応する吐出に用いられる。主走査方向において互いに近い位置にある各ノズル列23のノズル24を、同じ画素に対応する吐出に用いるためである。したがって、この場合、吐出対象画素が同じノズル24のずれの方向と、ヘッドモジュール22のずれの方向とが逆方向になる。
【0035】
また、例えば、
図7に示すように、各ヘッドモジュール22が、他のすべてのヘッドモジュール22に対して主走査方向にずれている場合もある。この場合、例えば、ノズル列23Cのノズル24d1、ノズル列23Kのノズル24d2、ノズル列23Mのノズル24d3、ノズル列23Yのノズル24d4の4つのノズルが、画像データにおける同じ画素に対応する吐出に用いられる。主走査方向において互いに近い位置にある各ノズル列23のノズル24を、同じ画素に対応する吐出に用いるためである。
【0036】
上述のように、各ヘッドモジュール22(各ノズル列23)の主走査方向における位置関係に応じて、各ノズル列23で吐出対象画素が同じノズル24が決定される。なお、各ヘッドモジュール22の主走査方向における位置関係は、ヘッドブロック21ごとに異なることがある。
【0037】
制御部5は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御する。制御部5は、CPU31と、メモリ32と、外部I/F(インタフェース)33と、ヘッド駆動制御部34とを備える。
【0038】
CPU31は、インクジェット印刷装置1を統括的に制御するものである。CPU31は、各ヘッドモジュール22(各ノズル列23)の主走査方向における位置関係に応じて、ヘッドブロック21ごとに、各ノズル列23で吐出対象画素が同じノズル24を決定する。各ヘッドモジュール22の主走査方向における位置関係(各ヘッドモジュール22間のずれ量)は、予め測定されるものである。
【0039】
メモリ32は、画像データ等のデータの一時的な保存や、演算時におけるCPU31のワークエリアとして使用される。
【0040】
外部I/F33は、図示しないネットワークを介して外部のPC(パーソナルコンピュータ)等との通信を行うインタフェースである。
【0041】
ヘッド駆動制御部34は、インクジェットヘッド4の各ヘッドブロック21の各ヘッドモジュール22を駆動させ、ノズル24からインクを吐出させる。ヘッド駆動制御部34は、印刷時において、画像の主走査方向(前後方向)における端部の画素に対するインクの吐出量を補正する処理を行う。
【0042】
具体的には、ヘッド駆動制御部34は、各ノズル列23のなかで同一吐出対象画素に対応するノズル24が前側に最も突出している(ずれている)ノズル列23による、画像の前側の端部の画素に対するインクの吐出量を補正する。また、ヘッド駆動制御部34は、各ノズル列23のなかで同じ吐出対象画素に対応するノズル24が後側に最も突出しているノズル列23による、画像の後側の端部の画素に対するインクの吐出量を補正する。
【0043】
例えば、
図4の例において、ノズル24a1〜24a4の吐出対象画素が、画像の前側の端部の画素であるとする。この場合、ノズル24a1〜24a4のうち前側に最も突出しているのは、ノズル24a1,24a3であるので、ヘッド駆動制御部34は、ノズル24a1,24a3による画像の前側の端部の画素に対するインクの吐出量を補正する。
【0044】
一方、
図4の例において、ノズル24a1〜24a4の吐出対象画素が、画像の後側の端部の画素であるとする。この場合、ノズル24a1〜24a4のうち後側に最も突出しているのは、ノズル24a2,24a4であるので、ヘッド駆動制御部34は、ノズル24a2,24a4による画像の後側の端部の画素に対するインクの吐出量を補正する。
【0045】
また、例えば、
図6の例において、ノズル24c1〜24c4の吐出対象画素が、画像の前側の端部の画素であるとする。この場合、ノズル24c1〜24c4のうち前側に最も突出しているのは、ノズル24c2,24c4であるので、ヘッド駆動制御部34は、ノズル24c2,24c4による画像の前側の端部の画素に対するインクの吐出量を補正する。
【0046】
一方、
図6の例において、ノズル24c1〜24c4の吐出対象画素が、画像の後側の端部の画素であるとする。この場合、ノズル24c1〜24c4のうち後側に最も突出しているのは、ノズル24c1,24c3であるので、ヘッド駆動制御部34は、ノズル24c1,24c3による画像の後側の端部の画素に対するインクの吐出量を補正する。
【0047】
また、例えば、
図7の例において、ノズル24d1〜24d4の吐出対象画素が、画像の前側の端部の画素であるとする。この場合、ノズル24d1〜24d4のうち前側に最も突出しているのは、ノズル24d1であるので、ヘッド駆動制御部34は、ノズル24d1による画像の前側の端部の画素に対するインクの吐出量を補正する。
【0048】
一方、
図7の例において、ノズル24d1〜24d4の吐出対象画素が、画像の後側の端部の画素であるとする。この場合、ノズル24d1〜24d4のうち後側に最も突出しているのは、ノズル24d4であるので、ヘッド駆動制御部34は、ノズル24d4による画像の後側の端部の画素に対するインクの吐出量を補正する。
【0049】
ヘッド駆動制御部34は、
図8に示すように、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色をそれぞれ処理対象色とする画像処理部41C,41K,41M,41Yを備える。
【0050】
画像処理部41は、画像の主走査方向(前後方向)における端部の画素に対する、当該画像処理部41の処理対象色のインクの吐出量を補正する処理を行う。
【0051】
図9に示すように、画像処理部41は、データバッファ42と、シフトレジスタ43と、パターン保持部44と、比較部45と、乗算部46と、補正済みデータバッファ47と、ヘッド用画像加工処理部48とを備える。
【0052】
データバッファ42は、メモリ32から読み出された処理対象色の、主走査方向に連続する所定画素数分の画像データを格納する。画像データは、画素ごとのインクの液滴数を示すデータである。本実施の形態では、1画素に対する1色あたりの液滴数は、0〜7ドロップとする。また、本実施の形態では、データバッファ42が格納する画素数は、4画素であるとする。データバッファ42は、1画素ずつシフトさせつつ4画素分の画像データを格納する。
【0053】
シフトレジスタ43は、データバッファ42と同じ画像データを格納する。シフトレジスタ43の画像データは、比較部45がパターン保持部44の端部判定パターンと比較するために用いられる。
【0054】
パターン保持部44は、端部判定パターンを保持する。端部判定パターンは、比較部45がシフトレジスタ43の画像データとの比較により、処理対象色の画像における主走査方向(前後方向)の端部を判定するために用いられるパターンである。端部判定パターンには、前側用の端部判定パターンと、後側用の端部判定パターンとがある。
【0055】
前側用の端部判定パターン、後側用の端部判定パターンを、
図10(a),(b)に示す。
図10(a)に示すように、前側用の端部判定パターン51は、4画素のうち前側の2画素の液滴数が0である。後側端の画素のX、後側端から2番目の画素のYは、いずれも0ではない値であることを示す。すなわち、前側用の端部判定パターン51は、前側の2画素の液滴数が0であり、後側の2画素の液滴数が0ではないパターンである。
【0056】
図10(b)に示すように、後側用の端部判定パターン52は、4画素のうち後側の2画素の液滴数が0である。前側端の画素のX、前側端から2番目の画素のYは、いずれも0ではない値であることを示す。すなわち、後側用の端部判定パターン52は、後側の2画素の液滴数が0であり、前側の2画素の液滴数が0ではないパターンである。
【0057】
データバッファ42内の画素のうち、前側用の端部判定パターン51および後側用の端部判定パターン52におけるYの画素の位置に対応する削減対象位置にある画素が、インクの吐出量(液滴数)の削減対象となり得る画素である。
【0058】
なお、前側用の端部判定パターン51および後側用の端部判定パターン52において、Xの値が0であるとすると、端部判定パターン51,52に合致する画像データは、例えば、Yの画素に対応する1画素分の線の部分のデータである。このような部分を画像の端部とするのは妥当でないため、YとともにXも0でない値とする。
【0059】
比較部45は、シフトレジスタ43内の画像データと、パターン保持部44が保持する端部判定パターンとを比較する。比較部45は、シフトレジスタ43内の画像データが端部判定パターンと合致するか否かを示す比較結果を、CPU31へ出力する。また、比較部45は、CPU31からインク吐出量削減指示を受け取ると、インク吐出量削減対象の画素の液滴数の値に対して乗算部46により吐出量削減係数Kdおよびノズル位置関係係数Kpを乗算させる。吐出量削減係数Kd、ノズル位置関係係数Kpについては後述する。
【0060】
乗算部46は、比較部45の指示に応じて、インク吐出量削減対象の画素の液滴数の値に対して吐出量削減係数Kdおよびノズル位置関係係数Kpを乗算する。インク吐出量削減対象ではない画素については、乗算部46は、液滴数の値を変化させない(1を乗算する)。
【0061】
補正済みデータバッファ47は、乗算部46による演算後の画像データを一時的に格納する。後述するように、画像処理部41は、画像の前側端を対象とする補正処理の後、後側端を対象とする補正処理を行う。画像の前側端を対象とする補正処理においては、補正済みデータバッファ47に一時的に格納された画像データは、メモリ32へと送られる。画像の後側端を対象とする補正処理においては、補正済みデータバッファ47に一時的に格納された画像データは、ヘッド用画像加工処理部48へと送られる。
【0062】
ヘッド用画像加工処理部48は、補正済みデータバッファ47から入力された画像データを各ヘッドブロック21のヘッドモジュール22に対して切り分けて出力する。
【0063】
次に、インクジェット印刷装置1の動作について説明する。
【0064】
外部I/F33により印刷対象の画像データが受信されると、画像データは、メモリ32に保存される。画像データは、画素ごとの各色のインクの液滴数を示すドロップデータ形式のデータである。メモリ32に保存された画像データは、メモリ32から読み出され、ヘッド駆動制御部34の画像処理部41に送られる。そして、画像処理部41において、各色のインクの吐出量の補正処理が行われる。
【0065】
インクの吐出量の補正処理について、
図11、
図12のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
図11のステップS10において、CPU31は、各画像処理部41による補正処理の処理対象端部を前側端部に設定する。これにより、各画像処理部41のパターン保持部44に前側用の端部判定パターン51が設定される。
【0067】
次いで、ステップS20において、CPU31は、メモリ32に保存された画像データから最初の4画素分の画像データをデータバッファ42およびシフトレジスタ43に格納させる。
【0068】
次いで、ステップS30において、各画像処理部41の比較部45が、シフトレジスタ43内の画像データとパターン保持部44の端部判定パターンとを比較する。各画像処理部41の比較部45は、「合致」または「合致しない」の比較結果をCPU31へ出力する。
【0069】
次いで、ステップS40において、CPU31は、各画像処理部41のなかに比較結果が「合致」である画像処理部41があるか否かを判断する。
【0070】
比較結果が「合致」である画像処理部41があると判断した場合(ステップS40:YES)、ステップS50において、CPU31は、他の画像処理部41のすべてにおいて、シフトレジスタ43内の画像データの処理対象端部側から2つの画素の液滴数が0であるか否かを判断する。ここで、他の画像処理部41は、比較結果が「合致しない」である画像処理部41である。
【0071】
具体的には、CPU31は、それぞれの他の画像処理部41の比較部45にシフトレジスタ43内の画像データの処理対象端部側から2つの画素の液滴数が0であるか否かを判断させ、その判断結果を取得する。そして、CPU31は、すべての他の画像処理部41において、シフトレジスタ43内の画像データの処理対象端部側から2つの画素の液滴数が0であるか否かを判断する。
【0072】
すべての他の画像処理部41において上記2つの画素の液滴数が0であると判断した場合(ステップS50:YES)、ステップS60において、CPU31は、データバッファ42およびシフトレジスタ43内の画像データにおける、端部判定パターンのYの位置に対応する削減対象位置の画素が、4色からなる画像の処理対象端部側における端部の画素であると判定する。
【0073】
例えば、処理対象端部が前側端部である場合において、各画像処理部41C,41K,41M,41Yのシフトレジスタ43C,43K,43M,43Yおよびデータバッファ42C,42K,42M,42Y内の画像データが
図13に示すものであるとする。この場合、シフトレジスタ43C,43Mに対しては、端部判定パターン51との比較結果が「合致」となる。端部判定パターン51との比較結果が「合致しない」となるシフトレジスタ43K,43Yにおける前側から2つの画素の液滴数は0である。したがって、端部判定パターン51のYの位置に対応する削減対象位置の画素61が、4色からなる画像の前側における端部の画素と判定される。
【0074】
次いで、ステップS70において、CPU31は、画像端部の画素の色が、インク吐出量の削減対象色であるか否かを判断する。ここで、CPU31は、画像端部の画素に対するC,K,M,Yの各色の液滴数に基づき、当該画素の色が削減対象色であるか否かを判断する。例えば、CPU31は、画像端部の画素に対するC,M,Yの液滴数が、
図14(a)に示す色空間における
図14(b)に実線で示す各色4〜7ドロップの範囲内であって、かつ、Kの液滴数が4〜7ドロップの範囲内である場合、画像端部の画素の色が削減対象色であると判断する。これにより、画像端部の画素が比較的濃い色である場合に、インク吐出量の削減を行う。
図13の例では、画像端部の画素61に対するC,K,M,Yの各色の液滴数は、それぞれ5,5,6,6であるので、画素61の色は削減対象色である。
【0075】
画像端部の画素の色が削減対象色ではないと判断した場合(ステップS70:NO)、CPU31は、
図12のステップS100へと進む。
【0076】
画像端部の画素の色が削減対象色であると判断した場合(ステップS70:YES)、ステップS80において、CPU31は、最大突出色における削減対象位置の画素に対するインクの吐出量を削減する。最大突出色は、各ノズル列23のなかで同じ吐出対象画素に対応するノズル24が処理対象端部側に最も突出している(ずれている)ノズル列23に対応する色である。例えば、
図4の例では、処理対象端部が前側端部である場合、ノズル列23Cのノズル24a1およびノズル列23Mのノズル24a3が前側に最も突出しているので、シアン(C)およびマゼンタ(M)が最大突出色となる。また、
図7の例では、シアン(C)が最大突出色となる。
【0077】
具体的には、CPU31は、最大突出色に対応する画像処理部41の比較部45にインク吐出量削減指示を出力する。CPU31からインク吐出量削減指示を受け取った比較部45は、乗算部46により、データバッファ42内の削減対象位置の画素の液滴数の値に対して吐出量削減係数Kdおよびノズル位置関係係数Kpを乗算させる。
【0078】
吐出量削減係数Kdは、削減対象位置の画素の液滴数(削減前の液滴数)に応じて予め設定された係数である。例えば、液滴数1〜3に対してはKd=1、液滴数4〜5に対してはKd=0.8、液滴数6〜7に対してはKd=0.7のように設定される。液滴数が大きいほど、吐出量削減係数Kdは小さな値とする。液滴数が大きいほど、ノズル24の位置ずれが画像端部の印刷画質に与える影響が大きいので、吐出量の削減量を大きくするためである。
【0079】
ノズル位置関係係数Kpは、最大突出色のノズル24の、その次に処理対象端部側に突出しているノズル24に対するずれ量Dmの大きさに応じて予め設定された係数である。例えば、
図4の例では、処理対象端部が前側端部である場合、ずれ量Dmは、ノズル列23Cのノズル24a1およびノズル列23Mのノズル24a3の、ノズル列23Kのノズル24a2およびノズル列23Yのノズル24a4に対するずれ量P/2となる。また、
図7の例では、ずれ量Dmは、ノズル24d1のノズル24d3に対する主走査方向のずれ量となる。ずれ量Dmは、予め測定される。
【0080】
前述のように、主走査方向において互いに近い位置にある各ノズル列23のノズル24が、同じ画素に対応する吐出に用いられるように決定されるため、ずれ量Dmの最大値はP/2(半ピッチ)となる。
【0081】
ノズル位置関係係数Kpは、ずれ量Dm=0に対してKp=1/Kd、ずれ量Dm=P/2に対してKp=1となり、0<Dm<P/2の範囲でKpが徐々に大きくなるように設定される。ずれ量Dm=0の場合、Kd×Kp=1となるので、乗算部46による演算後も削減対象位置の画素の液滴数は変化しない。ずれ量Dm=P/2の場合、Kd×Kp=Kdとなる。
【0082】
乗算部46は、削減対象位置の画素の液滴数に吐出量削減係数Kdおよびノズル位置関係係数Kpを乗算した結果の整数部分を、補正後の液適数とする。インク吐出量削減対象ではない画素については、乗算部46は、液滴数の値を変化させない(1を乗算する)。乗算部46による演算後の画像データは、補正済みデータバッファ47に格納される。ステップS80の後、CPU31は、
図12のステップS100へと進む。
【0083】
一方、ステップS50において、他の画像処理部41におけるシフトレジスタ43内の画像データの処理対象端部側から2つの画素のなかに液滴数が0でない画素があると判断した場合(ステップS50:NO)、ステップS90において、CPU31は、画像端部の画素はないと判定する。この場合、CPU31は、インク吐出量削減指示は出力せず、各画像処理部41の乗算部46は、データバッファ42内の各画素の液滴数の値を変化させない(1を乗算する)。ステップS90の後、CPU31は、
図12のステップS100へと進む。
【0084】
図12のステップS100では、CPU31は、現在の処理対象端部が前側端部であるか否かを判断する。現在の処理対象端部が前側端部であると判断した場合(ステップS100:YES)、ステップS110において、CPU31は、補正済みデータバッファ47からメモリ32へ1画素分の画像データを出力する。これにより、メモリ32に前側端部の補正処理後の画像データが保存される。
【0085】
次いで、ステップS120において、CPU31は、前側端部の補正処理において、印刷対象の画像データの全画素に対する処理が終了したか否かを判断する。
【0086】
全画素に対する処理が終了したと判断した場合(ステップS120:YES)、ステップS130において、CPU31は、各画像処理部41による補正処理の処理対象端部を後側端部に設定する。これにより、各画像処理部41のパターン保持部44に後側用の端部判定パターン52が設定される。この後、CPU31は、
図11のステップS20へと戻り、後側端部の補正処理を実行する。後側端部の補正処理においては、メモリ32から読み出される画像データは、前側端部の補正処理後の画像データである。
【0087】
全画素に対する処理が終了していないと判断した場合(ステップS120:NO)、ステップS140において、CPU31は、データバッファ42およびシフトレジスタ43内の画像データを1画素分シフトさせる。この後、CPU31は、
図11のステップS30へと戻る。
【0088】
ステップS100において、現在の処理対象端部が後側端部であると判断した場合(ステップS100:NO)、ステップS150において、CPU31は、補正済みデータバッファ47からヘッド用画像加工処理部48へ1画素分の画像データを出力する。
【0089】
次いで、ステップS160において、CPU31は、後側端部の補正処理において、印刷対象の画像データの全画素に対する処理が終了したか否かを判断する。全画素に対する処理が終了していないと判断した場合(ステップS160:NO)、CPU31は、ステップS140へと進む。
【0090】
全画素に対する処理が終了したと判断した場合(ステップS160:YES)、CPU31は、一連のインクの吐出量の補正処理を終了する。
【0091】
ヘッド用画像加工処理部48は、補正済みデータバッファ47から入力されたインクの吐出量の補正処理後の画像データを各ヘッドブロック21のヘッドモジュール22に対して切り分けて出力する。これにより、各ヘッドモジュール22のノズル24から搬送部2により搬送される用紙PAにインクが吐出されることで印刷が行われる。
【0092】
以上説明したように、ヘッド駆動制御部34は、各ノズル列23のなかで同じ吐出対象画素に対応するノズル24が前側に最も突出しているノズル列23による、画像の前側の端部の画素に対するインクの吐出量(液適量)を削減する。また、ヘッド駆動制御部34は、各ノズル列23のなかで同じ吐出対象画素に対応するノズル24が後側に最も突出しているノズル列23による、画像の後側の端部の画素に対するインクの吐出量を削減する。これにより、画像の主走査方向における端部の色味の変化を抑えることができる。この結果、印刷画質の低下を軽減できる。
【0093】
ここで、例えば、
図4の例において、ノズル24a1〜24a4の吐出対象画素が、画像の後側の画像端部の画素であるとする。そして、各画素に対して各色で同じ吐出量(液滴数)だけインクを吐出する画像を印刷するため、各ノズル24から同じ吐出量だけ吐出を行ったとする。この場合、
図15に示すように、印刷画像71の後側の端部において、他の部分と色味が異なる輪郭部72が生じる。この輪郭部72は、ノズル24a1〜24a4のうち後側にもっとも突出しているノズル24a2,24a4からそれぞれ吐出されたインクによるドット73,74が、ノズル24a1,24a3からそれぞれ吐出されたインクによるドット75,76に対して、後側にずれていることにより生じたものである。ここで、
図15において、ドット内のC,K,M,Yは、各ドットの色を示す。
図15では、説明のため、各色のドット列を上下方向にずらして描いているが、実際は同じライン上に打たれるものである。
【0094】
これに対し、本実施の形態では、ノズル24a2,24a4によるインク吐出量を削減する。これにより、
図16に示すように、24a2,24a4からそれぞれ吐出されたインクによるドット77,78が、ドット75,76等より小さくなる。このため、印刷画像81の後側の端部に生じる、他の部分と色味が異なる輪郭部82が、
図15の輪郭部72よりも小さくなる。この結果、本実施の形態のインクジェット印刷装置1によれば、印刷画質の低下を軽減できる。
【0095】
また、インクジェット印刷装置1では、吐出量削減係数Kdにより、インクの吐出量を削減する対象の画素に対する削減前の吐出量に応じて、インクの吐出量の削減量を制御している。これにより、吐出量に応じた削減量とすることで、印刷画質に過度の変化が生じることを抑制できる。
【0096】
また、インクジェット印刷装置1では、ノズル位置関係係数Kpにより、最大突出色のノズル24(ノズル列23)の、その次に処理対象端部側に突出しているノズル24(ノズル列23)に対するずれ量Dmの大きさに応じて、インクの吐出量の削減量を制御している。これにより、各ノズル列23の位置関係に応じて、インクの吐出量の削減量を適切に調整できる。
【0097】
また、インクジェット印刷装置1では、画像端部の画素の色に応じてインクの吐出量を制御している。例えば、画像端部の画素の色が比較的濃い色である削減対象色である場合に、インクの吐出量の削減対象とする。画像端部の画素の色が薄い色である場合は、
図15に示した輪郭部72は目立たない。そこで、画像端部の画素が薄い色である場合にはインクの吐出量の削減を行わないようにする。これにより、処理を簡略化できる。
【0098】
なお、上記実施の形態では、4列のノズル列23を有するインクジェットヘッド4を用いたが、複数のノズル列23を有するものであれば本発明を適用できる。
【0099】
また、上記実施の形態では、画像端部の画素の色が削減対象色である場合に、インクの吐出量の削減対象としたが、画像端部の画素の色に応じてインクの吐出量の削減量を制御するようにしてもよい。
【0100】
また、各ノズル列23のなかで同じ吐出対象画素に対応するノズル24が前側に最も突出しているノズル列(前側の最大突出色のノズル列)23による、画像の前側の端部の画素に対するインクの吐出量は変更せず、他のノズル列23による同画素に対するインクの吐出量を増加させるようにしてもよい。ただし、画像データにおける他のノズル列23による画像の前側の端部の画素に対するインクの吐出量が最大ドロップ数である場合は、上記実施の形態と同様に、前側の最大突出色のノズル列23による画像の前側の端部の画素に対するインクの吐出量を削減し、他のノズル列23による同画素に対するインクの吐出量は変更しないようにする。同様に、各ノズル列23のなかで同じ吐出対象画素に対応するノズル24が後側に最も突出しているノズル列(後側の最大突出色のノズル列)23による、画像の後側の端部の画素に対するインクの吐出量は変更せず、他のノズル列23による同画素に対するインクの吐出量を増加させるようにしてもよい。ただし、画像データにおける他のノズル列23による画像の後側の端部の画素に対するインクの吐出量が最大ドロップ数である場合は、上記実施の形態と同様に、後側の最大突出色のノズル列23による画像の後側の端部の画素に対するインクの吐出量を削減し、他のノズル列23による同画素に対するインクの吐出量は変更しないようにする。このようにしても、画像の主走査方向における端部の色味の変化を抑えることができる。
【0101】
また、上記実施の形態では、インクの液滴数を削減することにより吐出量を削減したが、液滴の大きさを変更することにより吐出量を削減してもよい。
【0102】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。