(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記LEDチップは、前記光軸に対する出射光の出射角が大きくなるにつれて出射光の光度がより低くなり、前記光軸に対する出射光の出射角が大きくなるにつれて出射光の色がより黄みがかり、且つ前記光軸に対する出射光の出射角が小さくなるにつれて出射光の色がより白みがかるような配光特性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、LEDチップ及び放物面系リフレクタを用いた車両用灯具が記載されている。LEDチップから発した光が放物面系リフレクタによって前方に反射され、その反射光は放物面系リフレクタの入射箇所に応じて偏向されるので、上縁に明暗境界線(カットオフライン)を有した配光パターンが前方の仮想スクリーンに形成される。放物面系リフレクタの反射面は放物面を基調とした自由曲面である。
【0003】
一般的に、LEDチップのサイズが小さいので、カットオフラインよりも下の領域を上下方向に幅を持たせて照射するべく、
図9に示すように放物面系リフレクタの反射面120を変形させたものにする。具体的には、放物面系リフレクタの反射面120は、基調とする放物面130の前部及び上部を前斜め下に扁平させた形状となっている。この反射面120は、反射面120への入射箇所が上になるにつれて反射光の向きをより下向きにし、反射面120への入射箇所が下になるにつれて反射光の向きをより水平に近づける。
【0004】
LEDチップとして、半導体発光素子(発光ダイオード)及びそれを覆う蛍光体を有するものが知られている。LEDチップの半導体発光素子が発光すると、半導体発光素子から発した青色の励起光が蛍光体によって黄色の蛍光に変換され、青色励起光と黄色蛍光が混合される。そのため、LEDチップから白色光が出射される。ところが、このようなLEDチップでは、半導体発光素子から放射状に出射された励起光のうち、蛍光体へ真っ直ぐ向かう光軸からの出射角が大きいものほど蛍光体中での光路長が長くなるので、黄みがかった白色光が出射される。よって、このようなLEDチップは、光軸に対する出射光の出射角が大きくなるにつれて出射光の色がより黄みがかり、光軸に対する出射光の出射角が小さくなるにつれて出射光の色がより白みがかるような配光特性を有する。
【0005】
また、LEDチップは全方位に均一な強度の光を発すものではない。具体的には、LEDチップは、光軸に対する出射光の出射角が大きくなるにつれて出射光の光度がより低くなるような配光特性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した配光特性を有するLEDチップを
図9に示す車両用灯具のLEDチップ110に利用すると、遠方の視認性に悪影響を与える。
具体的には、LEDチップ110の光軸に沿って出射する光線131が最も明るく、その光線131はカットオフラインから下に離れた位置に照射され、LEDチップ110の光軸よりも後ろに向かって出射する光線132が光線131よりも強度が低く、その光線132はカットオフライン近傍に照射される。よって、カットオフラインから下に離れた領域に光度のピークが存在し、遠方を視認しにくい。
また、LEDチップ110の光軸よりも前に向かって出射する光線133が光線131よりも強度が低くいうえ、光線132,133が光線131よりも黄みがかっている。そのため、カットオフライン近傍が黄色になり、遠方を視認しにくい。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、LEDチップ及びリフレクタを用いた車両用灯具の遠方視認性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するべく、請求項1に係る発明は、
前後方向に延びる灯具光軸に対して交差する向きの光軸を有したLEDチップと、
前記LEDチップから発した光を前方に反射することによって、前記灯具光軸を通る水平面と灯具に正対する仮想スクリーンとの交線に沿ったカットオフラインを上部に有する配光パターンを前記仮想スクリーンに形成する反射面を有したリフレクタと、を備え、
前記反射面が基準面を基調とする自由曲面であり、
前記基準面が、前記LEDチップ又はその近傍に焦点を有するとともに前記灯具光軸に一致する対称軸を有した放物線をその対称軸を中心として回転することで得られる回転放物面であるか、又は前記LEDチップ又はその近傍に焦点を有するとともに前記灯具光軸に一致する対称軸を有した放物線をその対称軸に直交する水平線に沿って平行移動することで得られる放物柱面であり、
前記反射面が、前記LEDチップの前記光軸と当該反射面との交点を通って前記カットオフライン又はそのカットオフラインの一部の斜めカットオフラインに平行な境界線において前記基準面と交差し、
前記灯具光軸に平行な鉛直断面において、前記境界線における前記反射面の接線は前記境界線における前記基準面の接線と一致し、
前記反射面が、前記境界線よりも上の第一反射領域と、前記境界線よりも下の第二反射領域と、を有し、
前記灯具光軸に平行な鉛直断面において、前記第一反射領域が前記基準面を下に変形させたものであり、前記第一反射領域上の点が前記境界線から上に離れるにつれて、前記第一反射領域上の点の前記基準面からの変位量がより大きくなり、
前記灯具光軸に平行な鉛直断面において、前記第二反射領域が前記基準面を後ろに変形させたものであり、前記第二反射領域上の点が前記境界線から下に離れるにつれて、前記第二反射領域上の点の前記基準面からの変位量がより大きくなることを特徴とする車両用灯具である。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前後方向に延びる灯具光軸に対して交差する向きの光軸を有したLEDチップと、
前記LEDチップから発した光を前方に反射することによって、前記灯具光軸を通る水平面と灯具に正対する仮想スクリーンとの交線に沿ったカットオフラインを上部に有する配光パターンを前記仮想スクリーンに形成する反射面を有したリフレクタと、を備え、
前記反射面が、前記LEDチップの前記光軸と当該反射面との交点を通って前記カットオフライン又はそのカットオフラインの一部の斜めカットオフラインに平行な境界線よりも上の第一反射領域と、前記境界線よりも下の第二反射領域と、を有し、
前記反射面のうち前記境界線の部分が、前記LEDチップから発して前記境界線に入射した光を前記カットオフラインの下且つ前記カットオフラインの近傍に向けて反射し、
前記第一反射領域が、前記LEDチップから発した光を前方であって前記カットオフラインの下へ反射するとともに、その反射光の向きを当該第一反射領域への入射箇所が前記境界線から上に離れるにつれてより下向きにし、
前記第二反射領域が、前記LEDチップから発した光を前方であって前記カットオフラインの下へ反射するとともに、前記LEDチップから発した光を前方であって前記カットオフラインの下へ反射するとともに、その反射光の向きを当該第二反射領域への入射箇所が前記境界線から下に離れるにつれてより下向きにすることを特徴とする車両用灯具である。
【0010】
請求項3に係る発明は、
前記LEDチップは、前記光軸に対する出射光の出射角が大きくなるにつれて出射光の光度がより低くなり、前記光軸に対する出射光の出射角が大きくなるにつれて出射光の色がより黄みがかり、且つ前記光軸に対する出射光の出射角が小さくなるにつれて出射光の色がより白みがかるような配光特性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、白みがかって強度の高い反射光が、灯具光軸を通った水平面と仮想スクリーンとの交線近傍(カットオフライン近傍)に照射される。また、反射光の色が黄みがかるほど、その交線からより下に離れた位置に照射され、反射光の強度が低くなるほど、その交線からより下に離れた位置に照射される。よって、遠方の視認性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているので、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用灯具1の斜視図である。
図2は、車両用灯具1の正面図である。
図3は、
図2に図示のIII−IIIに沿った面を矢印方向へ向かって見て示した断面図(縦断面図)である。なお、
図1に示す「左」及び「右」は車両の進行方向に基づき定めたものであり、以下に説明する「左」及び「右」は特に断りがない限り車両の後ろから前に向かって見て定めたものである。
【0015】
この車両用灯具1はこれ単体で車両の右前又は左前のフォグランプ(補助前照灯)になる。或いは、この車両用灯具1は複数灯の前照灯に用いられ、この車両用灯具1と他の一又は複数の灯具ユニットの組み合わせが車両の右前又は左前の前照灯(特にすれ違い用前照灯)となる。
【0016】
この車両用灯具1の光軸Ax1(以下、灯具光軸Ax1という。)が前後方向に延びている。この車両用灯具1によって車両用の前方が照明され、車両用灯具1に正対する仮想スクリーンに
図4に示すような配光パターンP1が形成される。配光パターンP1は仮想スクリーンに現れる明部であり、車両用灯具1が仮想スクリーンのうち配光パターンP1の領域に光を照射することによって配光パターンP1が現れる。配光パターンP1は、仮想スクリーンのうち、灯具光軸Ax1を通る水平面と仮想スクリーンとの交線(以下、H線という。)よりも下に形成される。配光パターンP1がその上縁にカットオフライン(明暗境界線)L1を有し、そのカットオフラインL1はH線に沿ってほぼ水平となる。なお、灯具光軸Ax1を通る鉛直面と仮想スクリーンとの交線をV線という。
【0017】
図1〜
図3に示すように、この車両用灯具1はLEDチップ10及びリフレクタ20を備える。灯具光軸Ax1は、LEDチップ10から前方に延びる仮想的な線である。
【0018】
LEDチップ10は、その光軸Ax2が灯具光軸Ax1に対して交差するように設けられている。具体的には、LEDチップ10が基板11上に搭載され、その基板11は水平面を基準として後ろ下がり及び前上がりに傾斜し、LEDチップ10の光軸Ax2が鉛直線から後ろに傾斜し、その光軸Ax2がLEDチップ10から上斜め後ろに延びている。LEDチップ10の光軸Ax2とは、出射光の光度が最大となる向きにLEDチップ10から延びる仮想的な線である。光軸Ax2に対する光の出射角が大きくなるにつれて出射光の光度がより低くなる。なお、基板11が水平に設けられ、LEDチップ10の光軸Ax2が水平面に対して直交してもよい。
【0019】
LEDチップ10は半導体発光素子(発光ダイオード)及びその半導体発光素子を覆った蛍光体を備える。半導体発光素子が励起光(例えば、青色の励起光)を発すると、蛍光体がその励起光によって励起されて蛍光(例えば、黄色の蛍光)を発し、蛍光と励起光が混色される。その結果、LEDチップ10は白色光を発する。LEDチップ10から発する白色光は均一な白色ではなく、グラデーションとなっている。具体的には、光軸Ax2に対する光の出射角が大きくなるにつれてより黄みがかり、光軸Ax2に対する出射光の出射角が小さくなるにつれてより白み(青み)がかる。これは、半導体発光素子から発した励起光が蛍光体を通過する距離が長くなるほど、励起光に対する蛍光の混合比率がより増えるためである。
【0020】
リフレクタ20は、LEDチップ10の後方からLEDチップ10の上を経由してLEDチップ10の前上にかけて配置されている。リフレクタ20は、その後部を頂部(頂点・頂線)とした放物面系リフレクタである。リフレクタ20の前側の内面(凹面)に金属反射膜(例えば、アルミ蒸着膜、銀蒸着膜)が成膜され、その内面が反射面21となる。リフレクタ20の反射面21は、回転放物面又は放物柱面を基調とする自由曲面である。反射面21が基調とする基準面31が回転放物面である場合、その回転放物面は、LEDチップ10又はその近傍に焦点を有するとともに灯具光軸Ax1に一致する対称軸を有した放物線をその対称軸を中心として回転することで得られる曲面である。反射面21が基調とする基準面31が放物柱面である場合、その放物柱面は、LEDチップ10又はその近傍に焦点を有するとともに灯具光軸Ax1に一致する対称軸を有した放物線をその対称軸に直交する水平線に沿って平行移動することで得られる曲面である。
【0021】
図2及び
図3に示すように、反射面21は、境界線22よりも上の第一反射領域23と、境界線22よりも下の第二反射領域24とを備える。境界線22は、LEDチップ10の光軸Ax2と反射面21との交点を通るとともに、カットオフラインL1(
図4参照)に対して平行である。従って、境界線22は水平線である。
【0022】
反射面21と基準面31が交差し、その交線が境界線22である。灯具光軸Ax1に平行な鉛直断面(灯具光軸Ax1を通る鉛直断面も含む。)において(
図3参照)、境界線22における反射面21の接線は境界線22における基準面31の接線と一致する。
【0023】
灯具光軸Ax1に平行な鉛直断面において、第一反射領域23が基準面31のうち境界線22よりも上の領域31aを下に変形させたものであり、第一反射領域23上の点が境界線22から上・前に離れるにつれて、第一反射領域23上の点の領域31aからの変位量がより大きくなる。そのため、灯具光軸Ax1に平行な鉛直断面において、第一反射領域23上の点の接線はその点とLEDチップ10を結ぶ線と基準面31との交点における接線よりも前下がりに傾き、それら接線同士の成す角は第一反射領域23上の点が境界線22から上・前に離れるにつれてより大きくなる。
【0024】
灯具光軸Ax1に平行な鉛直断面において、第二反射領域24が基準面31のうち境界線22よりも下の領域31bを後ろに変形させたものであり、第二反射領域24上の点が境界線22から下・後ろに離れるにつれて、第二反射領域24上の点の領域31bからの変位量がより大きくなる。そのため、灯具光軸Ax1に平行な鉛直断面において、第二反射領域24上の点の接線はその点とLEDチップ10を結ぶ線と基準面31との交点における接線よりも前下がりに傾き、それら接線同士の成す角は第二反射領域24上の点が境界線22から下・後ろに離れるにつれてより大きくなる。
【0025】
反射面21は、LEDチップ10から発した光を前方に反射して、仮想スクリーンのうちH線の下の領域にその反射光を照射する。これにより、上縁にカットオフラインL1を有する配光パターンP1が仮想スクリーンに形成される。
【0026】
具体的には、LEDチップ10から発して境界線22に入射した光は反射面21のうち境界線22上の部分によってH線の下且つH線の近傍に向けて反射され、反射面21のうち境界線22上の部分は反射作用によってLEDチップ10の光源像をH線近傍であってH線の下に投影する(
図4に示す光源像50を参照)。LEDチップ10から境界線22に入射する光は白みがかっているから、H線のすぐ下は白色に照射される。また、LEDチップ10の光軸Ax2が境界線22と交差し、境界線22に入射する光が他の部分に入射する光よりも高強度なので、H線のすぐ下はより明るく照射され、カットオフラインL1がより明りょうに現れる。よって、遠方の視認性が向上する。
【0027】
第一反射領域23は、LEDチップ10から発した光を前方に反射して、仮想スクリーンのうちH線の下の領域にその反射光を照射する。第一反射領域23によって反射される光の反射の向きは第一反射領域23への入射箇所が境界線22から上に離れるにつれてより下向きになり、第一反射領域23は境界線22から上に遠い箇所ほどより下へLEDチップ10の光源像を投影する(
図4に示す光源像51を参照)。光軸Ax2に対する光の出射角が大きくなるにつれてより出射光が黄みがかるため、第一反射領域23によって仮想スクリーンに形成される配光パターンの色はH線から下に向かって白から黄色へ変化するグラデーションとなる。光軸Ax2に対する光の出射角が大きくなるにつれてより光度が低くなるため、第一反射領域23によって仮想スクリーンに形成される配光パターンの明るさはH線から下に向かって暗くなる。
【0028】
第二反射領域24は、LEDチップ10から発した光を前方に反射して、仮想スクリーンのうちH線の下の領域にその反射光を照射する。第二反射領域24によって反射される光の反射の向きは第二反射領域24への入射箇所が境界線22から下に離れるにつれてより下向きになり、第二反射領域24は境界線22から下に遠い箇所ほどより下へLEDチップ10の光源像を投影する(
図4に示す光源像52を参照)。光軸Ax2に対する光の出射角が大きくなるにつれてより出射光が黄みがかるため、第二反射領域24によって仮想スクリーンに形成される配光パターンの色はH線から下に向かって白から黄色へ変化するグラデーションとなる。光軸Ax2に対する光の出射角が大きくなるにつれてより光度が低くなるため、第二反射領域24によって仮想スクリーンに形成される配光パターンの明るさはH線から下に向かって暗くなる。
【0029】
第一反射領域23及び第二反射領域24の反射光の配光特性が以上のようになるので、遠方の視認性が向上する。
【0030】
なお、光源像52が光源像50〜52の中で最も大きく、光源像51が光源像50〜52の中で最も小さい。
【0031】
上記車両用灯具1に対して変更箇所を加えた車両用灯具1A(変形例1、
図5参照)、車両用灯具1B(変形例2、
図7参照)及び車両用灯具1C(変形例3、
図8参照)について説明する。これら車両用灯具1A〜1Cと車両用灯具1との間で互いに対応する部分には、同一符号を付す。また、以下の車両用灯具1A〜1Cの説明では車両用灯具1から変更した箇所について主に説明する。
【0032】
〔変形例1〕
図5の正面図に示すように、車両用灯具1Aをその正面から見て、LEDチップ10がリフレクタ20の右側に配置されている。車両用灯具1Aをその正面から見て、LEDチップ10が左向きに設けられ、LEDチップ10の光軸Ax2がLEDチップ10から左方へ延びている。車両用灯具1Aをその正面から見て、リフレクタ20は、LEDチップ10の後方からLEDチップ10の左を経由してLEDチップ10の左前にかけて配置されている。なお、灯具光軸Ax1はLEDチップ10から前方へ延びている。
【0033】
リフレクタ20の前側の内面に形成された反射面21は、基準面(図示略)である回転放物面(以下、基準回転放物面という。)を基調とした自由曲面である。その基準回転放物面は、LEDチップ10又はその近傍に焦点を有するとともに灯具光軸Ax1に一致する対称軸を有した放物線をその対称軸を中心として回転することで得られる回転放物面である。
【0034】
LEDチップ10の光軸Ax2がリフレクタ20の反射面21に交差する。その反射面21は、光軸Ax2との交点を通ってカットオフラインL1(
図4参照)に平行な境界線22よりも上の第一反射領域23と、その境界線22よりも下の第二反射領域24と、を有する。
【0035】
反射面21と基準回転放物面が交差し、その交線が境界線22に一致する。灯具光軸Ax1に平行な鉛直断面において、境界線22における反射面21の接線は境界線22における基準回転放物面の接線と一致する。そのため、LEDチップ10から発して境界線22に入射した光は反射面21のうち境界線22上の部分によってH線の下且つH線の近傍に向けて反射される。
【0036】
また、灯具光軸Ax1に平行な鉛直断面において、第一反射領域23が基準回転放物面のうち境界線22よりも上の領域を下に変形させたものであり、第一反射領域23上の点が境界線22から上・前に離れるにつれて、第一反射領域23上の点の基準回転放物面からの変位量がより大きくなる。そのため、第一反射領域23はLEDチップ10から発した光を仮想スクリーンのうちH線の下の領域へ反射し、第一反射領域23によって反射される光の反射の向きは第一反射領域23への入射箇所が境界線22から上に離れるにつれてより下向きになる。
【0037】
また、灯具光軸Ax1に平行な鉛直断面において、第二反射領域24が基準回転放物面のうち境界線22よりも下の領域を後ろに変形させたものであり、第二反射領域24上の点が境界線22から下・後ろに離れるにつれて、第二反射領域24上の点の基準回転放物面からの変位量がより大きくなる。そのため、第二反射領域24はLEDチップ10から発した光を仮想スクリーンのうちH線の下の領域へ反射し、第二反射領域24によって反射される光の反射の向きは第二反射領域24への入射箇所が境界線22から下に離れるにつれてより下向きになる。
【0038】
なお、車両用灯具1Aをその正面から見て、LEDチップ10がリフレクタ20の左側に配置されて、LEDチップ10が右向きに設けられ、LEDチップ10の光軸Ax2がLEDチップ10から右方へ延びてもよい。その場合、リフレクタ20は、LEDチップ10の後方からLEDチップ10の右を経由してLEDチップ10の右前にかけて配置されている。更に、LEDチップ10がリフレクタ20の左側に配置されている場合のリフレクタ20及び反射面21の形状は、LEDチップ10がリフレクタ20の右側に配置されている場合のリフレクタ20及び反射面21の形状を左右反転させたものである。
【0039】
以上に説明したことを除いて、車両用灯具1と車両用灯具1Aとの間で互いに対応する部分は同様に設けられている。
【0040】
〔変形例2〕
車両用灯具1Bは、
図6に示すような配光パターンP2を仮想スクリーンに形成する。配光パターンP2がその上縁にカットオフラインL2を有し、そのカットオフラインL2が段状になって左右非対称である。カットオフラインL2の中央部(H線とV線の交差部近傍)には、H線に対して斜めになった斜めカットオフラインL3がある。斜めカットオフラインL3は、カットオフラインL2のうち上の段の水平カットオフラインL4と下の段の水平カットオフラインL5とを結ぶ。
【0041】
図7は、カットオフラインL2を有する配光パターンを形成する車両用灯具1Bの正面図である。
反射面21は、基準回転放物面を基調とした自由曲面である。LEDチップ10の光軸Ax2がリフレクタ20の反射面21に交差する。その反射面21は、光軸Ax2との交点を通って斜めカットオフラインL3(
図6参照)に平行な境界線22よりも上の第一反射領域23と、その境界線22よりも下の第二反射領域24と、を有する。
【0042】
LEDチップ10から発して境界線22に入射した光は反射面21のうち境界線22上の部分によってカットオフラインL2の下且つカットオフラインL2の近傍に向けて反射される。
また、第一反射領域23はLEDチップ10から発した光を仮想スクリーンのうちカットオフラインL2の下の領域へ反射し、第一反射領域23によって反射される光の反射の向きは第一反射領域23への入射箇所が境界線22から上に離れるにつれてより下向きになる。
【0043】
また、第二反射領域24はLEDチップ10から発した光を仮想スクリーンのうちカットオフラインL2の下の領域へ反射し、第二反射領域24によって反射される光の反射の向きは第二反射領域24への入射箇所が境界線22から下に離れるにつれてより下向きになる。
【0044】
以上に説明したことを除いて、車両用灯具1と車両用灯具1Bとの間で互いに対応する部分は同様に設けられている。
【0045】
〔変形例3〕
なお、正面から見て、LEDチップ10がリフレクタ20の右側に配置されて、LEDチップ10が左向きに設けられ、LEDチップ10の光軸Ax2がLEDチップ10から左方へ延びてもよい(
図8の車両用灯具1Cを参照)。また、正面から見て、LEDチップ10がリフレクタ20の左側に配置されて、LEDチップ10が右向きに設けられ、LEDチップ10の光軸Ax2がLEDチップ10から右方へ延びてもよい。これらの車両用灯具1Cによって形成される配光パターンは
図6に示す通りであり、LEDチップ10の光軸Ax2が境界線22に交差し、その境界線22と斜めカットオフラインL3が互いに平行である。
【0046】
〔その他〕
本発明は上記実施形態及び変形例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態及び変形例から適宜変更・改良してもよく、そのような変更・改良を加えたものも本発明の範囲に属する。