(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図7には、車両用の信号灯器1a〜1dと、歩行者用の信号灯器2a〜2hが配設された交差点が示されている。信号灯器1a〜1d、2a〜2hは、交差点に立設された複数の信号柱4を用いて見通しの良い高所にそれぞれ配設されている。このような交差点において、交差点に配置されている全ての信号灯器1a〜1d、2a〜2hは、交差点に立設されたいずれかの信号柱4の側面の操作可能な低所に配設された1台の交通信号制御機3によって制御されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8に交通信号制御機3の構成を示す。交通信号制御機3は、商用電源を用いて各構成要素に必要な電力を供給する電源部31と、入力された点灯信号に対応する開閉素子を制御して、電源部31から入力された点灯用電力を外線端子部32に出力する灯器開閉部33と、記憶している点灯順序や点灯時間等に基づいて灯器開閉部33に点灯信号を出力する制御部37とを備えている。
【0004】
図9は、交通信号制御機3の外線端子部32と信号灯器1a〜1d、2a〜2hとを結ぶ信号線の配置を示している。外線端子部32は、信号灯器1a〜1d、2a〜2h毎及び灯色毎に専用の外部端子を備えており、これらの外部端子から各信号灯器1a〜1d、2a〜2hにそれぞれ灯色分の点灯用信号線5が配線されている。従って、点灯用信号線5は、
図10に示すように、交通信号制御機3の底板から信号柱4の側面に沿って上方に引きまわされて、その信号柱4に取り付けられている信号灯1a、2a、2hに配線されると共に、その他の信号柱に取り付けられている信号灯1b〜1d、2b〜2gには、架線によって配線される。
【0005】
また、交通信号制御機3には、電力線に接続された変圧器6からの電力引き込み線7や、公衆回線網に接続された分配器8からの通信ケーブル9も、信号柱4の側面に沿って下方に引きまわされて配線されている。この他にも車両感知器や押しボタン箱等が設置される場合には、その数だけ交通信号制御機3との間で通信線が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術においては、各信号灯器1a〜1d、2a〜2hと点灯用信号線5によって配線されている交通信号制御機3を操作可能な低所に配設する必要がある。従って、洪水や津波等の水害によって、交通信号制御機3の一部が水没してしまうと、底板から浸水して交通信号制御機3が破損してしまうという問題点があった。なお、交通信号制御機3のケースは、防水仕様になっていることが多いが、点灯用信号線5を通す多数の穴が形成されている底板に防水加工を施すことは困難である。
【0008】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洪水や津波等の水害に強い交通信号制御システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る交通信号制御システムは、信号灯器と、前記信号灯器が配設された信号柱と、前記信号灯器を制御する信号制御機とを備えた交通信号制御システムであって、前記信号制御機は、前記信号柱に形成された中空部に内蔵され、前記信号制御機と前記信号灯器との間で配線された点灯用信号線は、前記信号制御機から前記信号柱の中空部を通って上方に引きまわされ、
前記信号柱は、前記信号制御機を中空に内蔵する機器内蔵用信号柱と、前記信号灯器が配設された灯器配設用信号柱とで構成され、前記灯器配設用信号柱には、前記機器内蔵用信号柱の中空部内に位置する下端部側から前記信号灯器が配設された高さまで繋がる中空部が形成されており、前記点灯用信号線は、前記灯器配設用信号柱の中空部を通って配線され、前記機器内蔵用信号柱には、前記点灯用信号線の導出口が形成されていないことを特徴とする。
さらに、本発明に係る交通信号制御システムにおいては、前記機器内蔵用信号柱の断面は、扁平形状に形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る交通信号制御システムにおいては、前記信号制御機は、それぞれ異なる前記信号柱に形成された中空部に内蔵された信号制御親機と信号制御子機とからなり、前記信号制御親機は、自身が内蔵されている前記信号柱に配設された前記信号灯器を制御すると共に、前記信号制御子機が内蔵されている前記信号柱に配設された前記信号灯器の点灯信号を無線通信で前記信号制御子機に送信し、前記信号制御子機は、前記信号制御親機から無線通信で受信した前記点灯信号に基づいて、自身が内蔵されている前記信号柱に配設された前記信号灯器を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の交通信号制御システムは、洪水や津波等の水害による信号制御機の水没を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る交通信号制御システムの実施の形態の配置例を示した図である。
【
図2】本発明に係る交通信号制御システムの実施の形態の信号灯器との配線状態を示した図である。
【
図3】本発明に係る交通信号制御システムの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3に示す蓄電部の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図3に示す親機外線端子部及び子機外線端子部と信号灯器との配線状態を示した図である。
【
図6】本発明に係る交通信号制御システムの実施の形態を内蔵する信号柱の変形例を示す図である。
【
図7】従来の交差点における信号灯器及び交通信号制御機の配置例を示した図である。
【
図8】従来の交通信号制御機の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図8に示す外線端子部と信号灯器との配線状態を示した図である。
【
図10】従来の交通信号制御機と信号灯器との配線状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施の形態の交通信号制御システムは、
図1及び
図2を参照すると、信号灯器1b〜1d、2b〜2gと、信号制御親機3aと、信号制御子機3bと、信号柱4aと、発電部20とで構成されている。信号柱4aには、中空部が形成されており、交差点の角部にそれぞれ立設されている。1本の信号柱4aの中空部に信号制御親機3aが、他の3本の信号柱4aの中空部にそれぞれ信号制御子機3bが内蔵されている。なお、従来技術と同一構成部分には同一の符号を付して一部説明を略している。
【0014】
また、信号柱4aの上部には、自然エネルギーを利用して発電を行う太陽電池や風力発電機等の発電部20が配設されている。そして、信号制御親機3a及び信号制御子機3bには、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された発電部20から、信号柱4aの中空部に配線された電力引き込み線7を介して電力がそれぞれ供給される構成になっている。
【0015】
信号制御親機3aは、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1a、2a、2hの制御を行うと共に、他の信号柱4aに取り付けられている信号灯器1b〜1d、2b〜2gの点灯動作指令を信号制御子機3bに送信する。信号制御親機3aは、
図3を参照すると、蓄電部10と、親機外線端子部32aと、灯器開閉部33と、伝送部35と、I/F部36と、親機制御部37aと、無線部38とを備えている。
【0016】
信号制御親機3aの蓄電部10は、発電部20から供給される電力を用いて信号制御親機3aの各構成要素に必要な電力を供給する。なお、本実施の形態では、蓄電部10を信号制御親機3a内に設けるように構成したが、蓄電部10を信号制御親機3aとは独立して設け、蓄電部10から供給される電力を、親機外線端子部32aを介して信号制御親機3aの各構成要素に供給するようにしても良い。
【0017】
信号制御親機3aの蓄電部10は、
図4を参照すると、例えばリチウムイオン電池等のバッテリ11と、発電部20から供給される電力によってバッテリ11を充電する充電器12と、充電器12を介してバッテリ11のバッテリ残量を検出し、検出したバッテリ残量をI/F部36を介して親機制御部37aに通知する蓄電制御部13と、バッテリ11に蓄積された電力を所望の電圧に変換して灯器開閉部33や親機制御部37aに出力するコンバータ14とを備えている。バッテリ11の蓄電容量は、信号灯器1a、2a、2hの点灯状態の中で最も大きい消費電力(車両用の信号灯器1aの青等点灯時等)と、発電部20における最も条件の悪い時期(太陽電池の場合には、最も日照時間が短い時期)の発電量とに基づいて決定される。なお、本実施の形態では、充電器12は、自然エネルギーを利用して発電を行う発電部20からの電力のみを用いてバッテリ11を充電するように構成したが、発電部20の発電容量の低いときに、商用電力、燃料電池又は電動発電機等の環境に左右されない電力を用いてバッテリ11を充電するように構成しても良い。
【0018】
親機外線端子部32aは、外部の装置(発電部20、信号灯器1a、2a、2h、感知器、押しボタン等)との接続端子である。親機外線端子部32aは、
図5に示すように、信号灯器1a、2a、2h毎及び灯色毎に専用の外部端子を備えており、これらの外部端子から信号灯器1a、2a、2hにそれぞれ灯色分の点灯用信号線5が配線されている。この点灯用信号線5は、
図2に示すように、信号柱4aに内蔵されている信号制御親機3aから信号灯器1a、2a、2hのそれぞれの高さまで信号柱4aの中空部に配線され、信号灯器1a、2a、2hのそれぞれの高さで信号柱4aの周面から導出されて信号灯器1a、2a、2hとそれぞれ接続されている。また、親機外線端子部32aには、発電部20からの電力引き込み線7が接続される外部端子と、図示しない車両感知器や押しボタンからの通信線が接続される外部端子とを備えている。
【0019】
親機制御部37aは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには制御プログラムが記憶されている。親機制御部37aのCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、信号制御親機3aの動作制御を行う。また、親機制御部37aのROMには、信号灯器1a〜1d、2a〜2hの点灯順序や点灯時間等が記憶されており、信号制御親機3aは、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1a、2a、2hの点灯信号を灯器開閉部33に出力すると共に、その他の信号柱4aに配設された信号灯器1b〜1d、2b〜2gの点灯信号を無線部38経由で信号制御子機3bに送信する。
【0020】
信号制御親機3aの無線部38は、後述する信号制御子機3bの無線部38との間で情報を無線で通信する機能を有し、親機制御部37aからの点灯信号を信号制御子機3bに送信すると共に、信号制御子機3bから受信した確認信号を親機制御部37aに出力する。親機制御部37aは、所定の間隔(1秒以内の短い間隔)で点灯信号を無線部38経由で信号制御子機3bに送信する。信号制御子機3bから確認信号は、点灯信号に対する応答信号であり、点灯している灯色情報が含まれている。従って、親機制御部37aは、所定の間隔(1秒以内の短い間隔)で全ての信号制御子機3bの灯色を監視することができ、信号制御親機3aと信号制御子機3bとの灯色の不整合を監視する。そして、信号制御親機3aと信号制御子機3bとの灯色が不整合の場合には、信号制御親機3aは、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1a、2a、2hを直ちに閃光又は滅灯動作に移行させる。さらに、信号制御子機3bに対しても閃光又は滅灯動作への移行を指令する点灯信号を無線部38経由で送信する。なお、閃光又は滅灯動作に移行された後の復旧は、信号制御親機3aと全て信号制御子機3bとの無線部38を用いた無線通信が一定時間以上継続して正常の場合に、信号制御親機3aから信号制御子機3b通常の点灯信号を送信して復旧させると良い。
【0021】
信号制御子機3bは、親機外線端子部32aから受信した点灯信号に基づいて、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1b〜1d、2b〜2gの制御をそれぞれ行うと共、信号灯器1b〜1d、2b〜2gの点灯動作の確認信号を親機制御部37aに送信する。信号制御子機3bは、
図3を参照すると、蓄電部10と、子機外線端子部32bと、灯器開閉部33と、I/F部36と、子機制御部37bと、無線部38とを備えている。
【0022】
信号制御子機3bの蓄電部10は、発電部20から供給される電力を用いて信号制御子機3bの各構成要素に必要な電力を供給する。なお、本実施の形態では、蓄電部10を信号制御子機3b内に設けるように構成したが、蓄電部10を信号制御子機3bとは独立して設け、蓄電部10から供給される電力を、子機外線端子部32bを介して信号制御子機3bの各構成要素に供給するようにしても良い。
【0023】
子機外線端子部32bは、外部の装置(発電部20、信号灯器1b〜1d、2b〜2g、感知器、押しボタン等)との接続端子である。各信号柱4aにそれぞれ内蔵された信号制御子機3bのそれぞれ子機外線端子部32bは、
図5に示すように、信号灯器1b、2b、2c毎及び灯色毎に専用の外部端子と、信号灯器1c、2d、2e毎及び灯色毎に専用の外部端子と、信号灯器1d、2f、2g毎及び灯色毎に専用の外部端子とをそれぞれ備えている。そして、これらの外部端子から各信号灯器1b〜1d、2b〜2gにそれぞれ灯色分の点灯用信号線5が配線されている。この点灯用信号線5は、
図2に示すように、信号柱4aに内蔵されている信号制御子機3bから信号灯器1b〜1d、2b〜2gのそれぞれの高さまで信号柱4aの中空部に配線され、信号灯器1b〜1d、2b〜2gのそれぞれの高さで信号柱4aの周面から導出されて信号灯器1a、2a、2hとそれぞれ接続されている。また、子機外線端子部32bには、発電部20からの電力引き込み線7が接続される外部端子と、図示しない車両感知器や押しボタンからの通信線が接続される外部端子とを備えている。
【0024】
子機制御部37bは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには制御プログラムが記憶されている。子機制御部37bのCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、子機制御部37bの動作制御を行う。子機制御部37bは、親機外線端子部32aから無線部38経由で受信した点灯信号に基づいて、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1b〜1d、2b〜2gの制御をそれぞれ行うと共に、信号灯器1b〜1d、2b〜2gの点灯動作の確認信号を無線部38経由で親機制御部37aに送信する。
【0025】
信号制御子機3bの無線部38は、信号制御親機3aの無線部38との間で情報を無線で通信する機能を有し、信号制御親機3aから受信した点灯信号を子機制御部37bに出力すると共に、子機制御部37bからの確認信号を信号制御親機3aに送信する。子機制御部37bは、信号制御親機3aから受信した点灯信号に基づいて、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1b〜1d、2b〜2gの灯色を制御する。また、子機制御部37bは、所定の間隔(1秒以内の短い間隔)で信号制御親機3aから送信されてくる点灯信号を監視し、一定時間通信が途絶えた場合は、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1b〜1d、2b〜2gを閃光又は滅灯状態に移行させる。
【0026】
信号制御親機3aと信号制御子機3bとにそれぞれ設けられた無線部38によって、信号制御親機3aから信号制御子機3bに点灯信号が無線通信で送信され、信号制御子機3bは、受信した点灯信号に基づいて、信号柱4aの中空部に配線されている点灯用信号線5を介して信号灯器1b〜1d、2b〜2gを制御するように構成されている。従って、信号柱4a間の上空に点灯用信号線5を架け渡す必要がないため、設置時の工事やメンテナンス作業を簡略化することができると共に、都市美観を向上させることができる。なお、信号灯器1b〜1d、2b〜2gのそれぞれに信号制御子機3bを内蔵させても良く、この場合には、信号灯器1b〜1d、2b〜2gに、発電部20からの電力引き込み線7のみが接続されることなる。
【0027】
また、信号灯器1b〜1d、2b〜2gが配設された高さに至るまでは、点灯用信号線5が信号柱4aの外に出ることがない。換言すると、信号灯器1b〜1d、2b〜2gが配設された高さまで点灯用信号線5の導出口を形成する必要がない。従って、信号柱4aにおいて、点灯用信号線5の導出口が形成されていない高さまでは、中空部への浸水を防止する防水加工を容易に施すことができ、本実施の形態では、少なくとも信号制御親機3aや信号制御子機3bが内蔵されている高さまでは、点灯用信号線5の導出口が形成されておらず、中空部への浸水を防止する防水加工が施されている。これにより、信号柱4aが信号制御親機3aや信号制御子機3bの防水筐体として機能することになり、洪水や津波等の水害による信号制御親機3aや信号制御子機3bの水没を防止することができる。さらに、信号制御親機3aや信号制御子機3bには、筐体が必要ないため、周りの景観に配慮した筐体色や各種ケーブルの貫通穴の管理が不要になる。
【0028】
また、信号制御親機3aの無線部38は、
図3を参照すると、無線通信機能を備えているコンソール装置21との間で情報を無線で通信する機能を有している。コンソール装置21は、プログラム制御で動作する例えばタブレット型のパーソナルコンピュータ等の情報端末装置であり、信号制御親機3aの各種設定や各種動作を指示する操作部としての機能と、信号制御親機3aによる信号灯器1a〜1d、2a〜2hの制御状態をモニタするモニタ機能を備えている。コンソール装置21を操作することで、各種設定コマンドや各種動作コマンドが信号制御親機3aに無線で送信され、信号制御親機3aは、受信された各種設定コマンドや各種操作コマンドに応じた設定や動作を行う。また、信号制御親機3aは、コンソール装置21の要求に応じて、信号灯器1a〜1d、2a〜2hの制御状態や、ログ情報をコンソール装置21に無線で送信する。これにより、本実施の形態では、信号柱4aに設けられたメンテナンス用の開口を開閉することなく、信号制御親機3aの各種設定や各種動作をコンソール装置21による無線通信で行うことができる。従って、メンテナンスの度にメンテナンス用の開口を明ける必要がなく、悪天候でも保守対応ができることから保守の効率が上がる。また、信号制御親機3aや信号制御子機3bが内蔵されている信号柱4aの中空部への雨水や粉塵の浸入程度が激減するため、高寿命化が実現できる。
【0029】
また、何らかの事情で必要な電力が確保できないことを想定し、交通信号制御装置に省電力モードを設け、バッテリ残量が一定以下になった場合には、信号制御親機3a及び信号制御子機3bは、信号灯器1a〜1d、2a〜2hの発光量を低下させる等の省電力モードに自動的に移行させるようにしても良い。また、バッテリ残量は、信号制御子機3bから信号制御親機3aに送信することで信号制御親機3aに集約される。そして集約されたバッテリ残量は、信号制御親機3aから伝送部35を介して交通管制センターの中央装置に送信され、交通管制センターによるバッテリ容量の監視が可能になっている。これにより、例えば、バッテリ残量が一定以下になった場合、交通管制センターでアラームを鳴動させることで注意喚起を行い、バッテリ不足で信号灯器が滅灯することを防止することができる。
【0030】
なお、本実施の形態において、車両感知器や押しボタンが設けられていない交差点の例について説明したが、信号制御親機3aや信号制御子機3bが内蔵されている信号柱4aに車両感知器や押しボタンを設けても良く、この場合には、信号制御親機3a及び信号制御子機3bと、車両感知器や押しボタンとの通信は有線でも無線でも良いが、いずれの場合においても、信号制御親機3a及び信号制御子機3bの高さで、通信線が信号柱4aから外に出ることがないように構成すると良い。また、信号柱4aに設置されていない感知器(交差点間の感知器)についても、感知器柱内に信号制御子機3bを設け、駆動電源は感知器柱内蔵の蓄電部から提供され、信号制御親機3aとは無線通信を行って情報のやり取りを行う。
【0031】
信号柱4aの中空部に信号制御親機3aや信号制御子機3bを内蔵させるためには、信号柱4aの径を大きくして中空部の体積を大きくする必要があるが、限界がある。そこで、
図6に示すように、信号制御親機3aや信号制御子機3bを内蔵する、中空部への浸水を防止する防水加工が施された機器内蔵用信号柱41と、信号灯器1a〜1d、2a〜2hを配設する灯器配設用信号柱42とで構成すると良い。例えば、機器内蔵用信号柱41の断面を扁平形状に形成することで、信号制御親機3aや信号制御子機3bを内蔵するための体積の大きい中空部を確保することができる。
【0032】
灯器配設用信号柱42は、機器内蔵用信号柱41の上部プレートを貫通し、灯器配設用信号柱42の下端部側は、機器内蔵用信号柱41の中空部内に位置する。灯器配設用信号柱42には、下端部側から信号灯器1a〜1d、2a〜2hを配設された高さまで繋がる中空部が形成されており、点灯用信号線5及び電力引き込み線7は、灯器配設用信号柱42の中空部を通って配線されている。従って、機器内蔵用信号柱41には、点灯用信号線5及び電力引き込み線7の導出口が形成されておらず、防水性能を向上させることができる。
【0033】
なお、機器内蔵用信号柱41に、内蔵された信号制御親機3aや信号制御子機3bをメンテナンスするためのメンテナンス用開口を形成しても良い。このメンテナンス用開口を形成する場合には、メンテナンス用開口を開閉する扉は、防水仕様に構成される。
【0034】
以上、説明したように本実施の形態は、信号灯器1a〜1d、2a〜2hと、信号灯器1a〜1d、2a〜2hが配設された信号柱4aと、信号灯器1a〜1d、2a〜2hを制御する信号制御機(信号制御親機3a、信号制御子機3b)とを備えた交通信号制御システムであって、信号制御機(信号制御親機3a、信号制御子機3b)は、信号柱4aに形成された中空部に内蔵され、信号制御機(信号制御親機3a、信号制御子機3b)と信号灯器1a〜1d、2a〜2hとの間で配線された点灯用信号線5は、信号制御機(信号制御親機3a、信号制御子機3b)から信号柱4aの中空部を通って上方に引きまわされている。この構成により、洪水や津波等の水害によって、水位が信号制御機(信号制御親機3a、信号制御子機3b)の高さまで到達しても、信号柱4aを防水加工して中空部への浸水を防ぐことで、信号制御機(信号制御親機3a、信号制御子機3b)の水没を防止することができ、洪水や津波等の水害に強い交通信号制御システムを提供することができる。また、点灯用信号線5を信号柱4aの周面に配線しなくても良いため、都市美観を向上させることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、信号柱4aにおいて、少なくとも信号制御機(信号制御親機3a、信号制御子機3b)が内蔵されている高さまでは、点灯用信号線5の導出口が形成されておらず、中空部への浸水を防止する防水加工が施されている。この構成により、信号柱4aの防水性能を向上させることができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、それぞれ異なる前記信号柱に形成された中空部に内蔵された信号制御親機3aと信号制御子機3bとを備え、信号制御親機3aは、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1a、2a、2hを制御すると共に、信号制御子機3bが内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1b〜1d、2b〜2gの点灯信号を無線通信で信号制御子機3bに送信し、信号制御子機3bは、信号制御親機3aから無線通信で受信した点灯信号に基づいて、自身が内蔵されている信号柱4aに配設された信号灯器1b〜1d、2b〜2gを制御するように構成されている。この構成により、信号柱4a間の上空に点灯用信号線5を架け渡す必要がないため、都市美観をさらに向上させることができる。
【0037】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。