【実施例】
【0026】
図1、
図3及び
図5は圧縮樹脂封止装置の全体構成を示しており、また、
図2、
図4及び
図6はその要部を拡大して示している。
【0027】
また、この圧縮樹脂封止装置はその各構成部材をプレスフレーム(ホールドフレーム)にて保持させる構成のものを示している。
即ち、枠形のプレスフレーム20における上端部の下面側に圧縮成形用の上型31を配置すると共に、該上型31の下方位置には、後述する型開閉機構50によって上下動可能に設けた圧縮成形用の下型32を配置しており、この上型31及び下型32は圧縮成形用型30を構成している。
【0028】
また、上型31は、プレスフレーム20における上端部の下面側に固着した上型ベース31aと、該上型ベースの下面側に所要の断熱部材(図示なし)を介して固着した上型ホールドブロック31bと、該上型ホールドブロック31bに支持させた基板セットブロック31cと、該基板セットブロック31cに内装した上型加熱用ヒータ31dとを備えている。
また、上型31の型面(下面)には、基板セットブロック31cの外方周囲に配置すると共に、後述する下型32の型面(図例では、キャビティ側面部材32dの上面)に接合させて上下両型(31・32)の型面間と該上下両型の外部との内外通気を遮断させるためのシール部材31eを備えている。
更に、基板セットブロック31cは上型ホールドブロック31bに設けた保持部31fに対して遊嵌(フローティング嵌合)されており、従って、該基板セットブロック31cは、上下水平方向への移動が可能となる状態、即ち、上型31の保持部31fに遊嵌された範囲内において上下水平方向へ揺動することが可能な状態に保持されている。
なお、上型31には、その型面(下面)に大形基板70を供給し且つその電子部品71の装着面側を下向きとして係着させるための適宜な係着手段(図示なし)を設けている。
また、上型31には、後述する上下両型(31・32)の型締時(
図3参照)に、シール部材31eにてシール(通気遮断)した該上下両型の型面間と真空ポンプとの間を適宜な吸気経路を介して連通接続させた真空引機構(図示なし)を配設している。
【0029】
また、下型32は、プレスフレーム20の下端部に配置した後述する型開閉機構50における可動プラテン52上に配設している。
即ち、下型32は、型開閉機構50の可動プラテン52上に所要の断熱部材(図示なし)を介して固着した下型ベース32aと、該下型ベース32aに内装した下型加熱用ヒータ32bと、下型ベース32aの上面側に固着した後述する均等加圧手段40と、該均等加圧手段40の上部に配置したキャビティブロック32cと、該キャビティブロック32cの外方周囲に嵌合させたキャビティ側面部材32dと、上記下型ベース32aとキャビティ側面部材32dとの間に介在させて該キャビティ側面部材32dを上方へ弾性押動させる弾性部材32eと、キャビティブロック32cに内装したキャビティブロック加熱用ヒータ32fとを備えている。
更に、キャビティブロック32cはキャビティ側面部材32dに対して遊嵌(フローティング嵌合)されており、従って、該キャビティブロック32cは、上下水平方向への移動が可能となる状態、即ち、下型32のキャビティ側面部材32dに遊嵌された範囲内において上下水平方向へ揺動することが可能な状態に保持されている。
【0030】
ところで、大形基板用のキャビティ部を備えた圧縮成形型においては、上下両型(31・32)の型締圧力が該上下両型の周辺部で大きく且つその中央部で小さくなり、その結果、上下両型(31・32)が弯曲変形すると云う成形上の問題がある。
そこで、上記した圧縮成形用型30には、後述する上下両型(31・32)の型締時において該上下両型の弯曲変形を防止するための弯曲変形防止部材を兼ねる均等加圧手段40を備えている。
該均等加圧手段40として、図では、上型31(より詳細には、基板セットブロック31c)に対する上型均等加圧手段41と、下型32(より詳細には、キャビティブロック32c)に対する下型均等加圧手段42とを備えた場合を例示している。
【0031】
また、上型均等加圧手段41は、マニホールド41aと、該マニホールド41aの下部位置において水平方向へ並設した多数のシリンダ41bと、該各シリンダ41bの夫々に嵌装させたピストン41cと、該各シリンダ41b間を連通させた作動流体室41dと、該作動流体室41d内に圧力媒体44を導入するための作動流体経路41eと、圧力媒体44による加圧力を調節するための加圧力調節機構43とを備えている。
更に、上記各ピストン41cの下部に固着したピストンロッド41fの夫々は、作動流体室41d内に導入した圧力媒体44の圧力を受けて下方へ押動されるように設けられている。
そして、該各ピストンロッド41fの下端部は、基板セットブロック31cの背面(上面)に接合するように配設されている。
【0032】
また、下型均等加圧手段42は、マニホールド42aと、該マニホールド42aの上部位置において水平方向へ並設した多数のシリンダ42bと、該各シリンダ42bの夫々に嵌装させたピストン42cと、該各シリンダ42b間を連通させた作動流体室42dと、該作動流体室42d内に圧力媒体44を導入するための作動流体経路42eと、圧力媒体44による加圧力を調節するための加圧力調節機構43とを備えている。
更に、上記各ピストン42cの上部に固着したピストンロッド42fの夫々は、作動流体室42d内に導入した圧力媒体44の圧力を受けて上方へ押動されるように設けられている。
そして、該各ピストンロッド42fの上端部は、キャビティブロック32cの背面(下面)に接合するように配設されている。
【0033】
なお、上記した均等加圧手段40(上型均等加圧手段41及び下型均等加圧手段42)におけるシリンダ(41b・42b)やピストン(41c・42c)等は、同じ配設数及び配設位置として設定されており、両者は同じ構成を備えている。
そして、上型均等加圧手段41の各ピストンロッド41fは、圧力媒体44の加圧力を受けることにより、その下方に配置される基板セットブロック31cの背面を均等圧にて押圧するように設けられている。
また、下型均等加圧手段42の各ピストンロッド42fは、圧力媒体44の加圧力を受けることにより、その上方に配置されるキャビティブロック32cの背面を均等圧にて押圧するように設けられている。
【0034】
また、上記した圧力媒体としては、流体(例えば、エアや不活性ガス等の気体、或は、水等の不活性水溶液や油類等の液体)を用いることが可能である。
例えば、圧力媒体としてシリコーンオイルや水等の液体を用いる場合は、温度伝達機能が優れているため、型の加熱効率を高めることができると云った利点が有る。
【0035】
なお、図例においては、上型均等加圧手段41及び下型均等加圧手段42の加圧力調節機構43を兼用させている場合を例示しているが、上型均等加圧手段41及び下型均等加圧手段42の夫々に対応する専用の加圧力調節機構を配設するようにしてもよい。
【0036】
また、下型32を上下動させて上型31と下型32とを開閉(型締め或は型開き)するための型開閉機構50は、次のように構成されている。
即ち、圧縮成形用型30の下方位置となるプレスフレーム20の下部にベース51を固着すると共に、ベース51と該ベースの上方位置に設けた可動プラテン52とをリンク機構(トグル機構)によって連結し、更に、該リンクをサーボモータ53によって駆動することにより、上下両型(31・32)の型開閉を行うように構成している。
詳述すると、サーボモータ53とベース51の中心位置に回転可能に立設させたスクリュウ軸54とは、サーボモータ53の出力軸53aとスクリュウ軸54の下端プーリー53bとの間に架設したベルト53cを介して連結させている。
また、スクリュウ軸54にはナット部材55を螺装しており、スクリュウ軸54を回転させることによってナット部材55が上下方向へ移動するように設けている。そして、このナット部材55にベース51と可動プラテン52とを連結するリンクを係合させることにより、ナット部材55の上下動に伴って可動プラテン52を上下動させるように設けている。
なお、ベース51と可動プラテン52との間を連結するリンクは、第1リンク板56aと、第2リンク板56b及び第3リンク板56cとから構成している。
そして、軸51aを介してベース51と第2リンク板56bの下端とを軸支し、また、軸52aを介して可動プラテン52と第3リンク板56cの上端とを軸支し、また、軸52bを介して第2リンク板56bの上端と第3リンク板56cの下端とを軸支している。
また、第1リンク板56aの一端をナット部材55に軸支すると共に、第1リンク板56aの他端を第2リンク板56bにおける中間位置(軸51aと軸52bとの中間位置)に軸支させている。このため、第1リンク板56aは、ナット部材55の上下動による駆動力を第2リンク板56bと第3リンク板56cに伝達するための駆動リンクとして作用することになる。
従って、サーボモータ53にてスクリュウ軸54を回転させることにより、ナット部材55、及び、第1リンク板56a・第2リンク板56b・第3リンク板56cを介して可動プラテン52を上下動させて上下両型(31・32)の型開閉を行うことができる。
【0037】
なお、上記した型開閉機構50は、図例においては、トグル機構を用いた場合を例示したが、これに替えて、電動モータとスクリュージャッキ手段を採用した型開閉機構や油圧手段を採用した型開閉機構等を用い得ることは明らかである。
【0038】
また、上下両型(31・32)の型面間には、
図2に拡大図示するように、樹脂成形部33が構成される。
即ち、キャビティブロック32cの上面と、キャビティ側面部材32dの上面開口部とによって構成される凹所は樹脂成形用の下型キャビティ33aとして設けられている。
【0039】
また、上記圧縮樹脂封止装置には、下型32に設けた下型キャビティ33a部を含む下型面に、ロール巻き状の離型フイルム60を張設するための離型フイルム供給セット機構(図示なし)を併設している。
更に、離型フイルム供給セット機構にて離型フイルム60を張設した下型キャビティ33a部に、顆粒状の樹脂材料、粉末状の樹脂材料、液状の樹脂材料、ペースト状の樹脂材料、シート状の樹脂材料、或は、透明樹脂材料、半透明樹脂材料、不透明樹脂材料等から必要に応じて適宜に選択することができる樹脂材料80を供給するための樹脂供給機構(図示なし)を併設している。
なお、この樹脂材料80の供給量は、下型キャビティ33a内において大形基板70上の電子部品71を所定厚みに一括して圧縮樹脂封止成形するために必要とされる量である。
より具体的には、例えば、大形基板上の電子部品71を断面 0.3mmの厚さのパッケージ内に一括して圧縮樹脂封止成形する場合は、下型キャビティ33a内に断面 0.5mmの厚さ(深さ)に相当する量の樹脂材料を供給することが好ましい。
【0040】
以下、この圧縮樹脂封止装置を用いて大形基板70上に装着した電子部品71を樹脂により一括して圧縮樹脂封止成形する場合について説明する。
【0041】
まず、型開閉機構50を介して、上下両型(31・32)の型開きを行う(
図1参照)。
次に、この型開時において、適宜な係着手段(図示なし)を介して、上型31の型面(即ち、基板セットブロック31cの下面)に大形基板70を供給すると共に、その電子部品71の装着面側を下向きとして係着させる。
また、離型フイルム供給セット機構(図示なし)を介して、下型キャビティ33a部を含む下型32の型面(即ち、キャビティブロック32c及びキャビティ側面部材32dの上面)に離型フイルム60を張設する。
更に、離型フイルム60を張設した下型キャビティ33a部に、樹脂供給機構(図示なし)を介して、樹脂材料80を供給する。
なお、この樹脂材料80はキャビティブロック32cに内装したキャビティブロック加熱用ヒータ32fによって加熱されることにより、該下型キャビティ33a内において溶融樹脂材料80aとなる(
図4参照)。
【0042】
次に、
図3及び
図4に示すように、型開閉機構50により、下型32を上動させて上下両型(31・32)の第一型締工程を行う。
この上下両型(31・32)の第一型締時においては、離型フイルム60及び大形基板70を介して上型31の型面(基板セットブロック31cの下面)と下型32の型面(キャビティ側面部材32dの上面)とが圧接される。
また、離型フイルム60を介して樹脂成形部33(下型キャビティ33a部)に供給した樹脂材料80は、キャビティブロック32cに内装したキャビティブロック加熱用ヒータ32fによって加熱されて溶融化される(例えば、溶融樹脂材料80a、或いは流動性を有する樹脂材料となる)。
【0043】
なお、上下両型(31・32)の第一型締工程時において、シール部材31eにより、該上下両型の型面間(図例では、上型ホールドブロック31bの下面とキャビティ側面部材32dの上面との間)をシールすることができる。
また、
図1に示す型開状態から
図3に示す第一型締状態に至る間において、真空引機構(図示なし)の真空ポンプを作動させて該型面間(樹脂成形部33)を真空引き(減圧)することができる。
従って、後述する樹脂成形時において、真空引機構により、上下両型面間(樹脂成形部33)を減圧してエアやガス類を外部へ排出した状態で樹脂成形する、所謂、真空成形(減圧成形)を行うことができる。
【0044】
次に、
図5及び
図6に示すように、均等加圧手段40にて、上型31の基板セットブロック31cを下動させ且つ下型32のキャビティブロック32cを上動させることにより、樹脂成形部33において大形基板70上の電子部品71を樹脂封止成形する第二型締工程を行う。
【0045】
即ち、均等加圧手段40における上型均等加圧手段41を介して、加圧力調節機構43により所要の加圧力に調節された圧力媒体44を作動流体経路41eを通してマニホールド41aの作動流体室41d内に導入すると共に、該マニホールド41aの各シリンダ41bの夫々に嵌装させたピストン41cを押動して、その各ピストンロッド41fの下端部を下方位置に配置した基板セットブロック31cの背面(上面)に接合させて押圧する。
このとき、該基板セットブロック31cは上型ホールドブロック31bの保持部31fに対して遊嵌されており、また、該基板セットブロック31cの背面は圧力媒体44による均等な加圧力を受ける多数のピストンロッド41fによって押圧されている。
従って、上記した上下両型(31・32)の第一型締工程時において、上型31を上方へ弯曲変形させるような型締圧力が加えられても、基板セットブロック31cは各ピストンロッド41fによって均等な下方への加圧力を受ける状態で押圧されることにより、該基板セットブロック31cが上方へ弯曲変形されるのを効率良く且つ確実に防止することができる。
【0046】
また、均等加圧手段40における下型均等加圧手段42を介して、加圧力調節機構43により所要の加圧力に調節された圧力媒体44を作動流体経路42eを通してマニホールド42aの作動流体室42d内に導入すると共に、該マニホールド42aの各シリンダ42bの夫々に嵌装させたピストン42cを押動して、その各ピストンロッド42fの上端部を上方位置に配置したキャビティブロック32cの背面(下面)に接合させて押圧する。
このとき、該キャビティブロック32cはキャビティ側面部材32dに対して遊嵌されており、また、該キャビティブロック32cの背面は圧力媒体44による均等な加圧力を受ける多数のピストンロッド41fによって押圧されている。
従って、上記した上下両型(31・32)の第一型締工程時において、下型32を下方へ弯曲変形させるような型締圧力が加えられても、キャビティブロック32cは各ピストンロッド42fによって均等な上方への加圧力を受ける状態で押圧されることにより、該キャビティブロック32cが下方へ弯曲変形されるのを効率良く且つ確実に防止することができる。
【0047】
第二型締工程においては、上記第一型締工程時に上型31(基板セットブロック31c)及び下型32(キャビティブロック32c)に加えられる上方及び下方への弯曲変形作用を効率良く且つ確実に吸収させることができる。
即ち、上型31(基板セットブロック31c)及び下型32(キャビティブロック32c)の弯曲変形を防止することができると共に、該上下両型(31・32)の型面間の平行性(図例では、水平性)を保持することができる。
従って、このとき、大形基板70は上型31の基板セットブロック31c面と平行に係着された状態となり、また、下型32のキャビティブロック32cの上面も基板セットブロック31c面と平行な面となる状態で上動することになる。
その結果、該下型32のキャビティブロック32cの上面に構成される下型キャビティ33aの底面が大形基板70の表面と平行性を保った状態で上動する。
また、このとき、大形基板70表面の電子部品71は相対的に下動して下型キャビティ33a内の溶融樹脂材料80a中に浸漬される。そして、下型32のキャビティブロック32cを所定の高さ位置にまで上動させることにより、溶融樹脂材料80aを所定の成形圧にて圧縮することができると共に、大形基板70上に装着した電子部品71を樹脂材料80により一括して封止し且つ均一な厚みのパッケージ厚さ33b(
図5参照)として成形することができる。
【0048】
また、上記したように、上型31及び下型32の弯曲変形を防止した状態で、樹脂成形部33(下型キャビティ33a)の溶融樹脂材料80aを圧縮する第二型締工程を、より低速度で且つ低圧にて行うことにより、電子部品71を樹脂封止するパッケージの厚さ33bを均一な厚みに成形することができるのみならず、上下両型(31・32)の型締作用時及び該溶融樹脂材料80aの圧縮作用時において下型キャビティ33a内における溶融樹脂材料80aの流動作用を防止若しくは抑制し得ることから、該溶融樹脂材料80aの流動作用に基因するワイヤスイープ等の発生を効率良く防止することができる。
【0049】
なお、上記した上下両型(31・32)の第一型締工程時における型締め最終位置、及び、第二型締工程時における下型キャビティ33a底面の最終位置の設定は、必要に応じて任意に且つ適宜に選定することができる。
例えば、第一型締工程時における型締め最終位置を、型開閉機構50によって下型32を上動させる限度(上死点)の位置と合致させるようにしてもよい(
図5等参照)。
また、第二型締工程時における型締め最終位置を、大形基板70上の電子部品71を樹脂封止するパッケージの厚さ33bを基準として設定するようにしてもよい。
【0050】
また、上記した上下両型(31・32)の型締め最終位置、或は、下型キャビティ33a底面の最終位置を、適宜な検知機構(図示なし)によって検出すると共に、型開閉機構50、或は、キャビティブロック32cを所定の高さ位置にて停止させる適宜な位置制御機構(図示なし)を併設するようにしてもよい。
【0051】
上述した説明は、大形基板70の厚みが均一に成形されている場合に基づいている。
ところで、大形基板70の厚みが均一でない(平行に成形されていない)場合、例えば、その一面側がテーパー面として成形されているようなときは、該大形基板70上の電子部品71を樹脂封止するパッケージの厚さ33bがそのテーパー面に対応して成形されるので、均一なパッケージ厚みを得ることができない。
しかしながら、本実施例では、大形基板70の厚みに若干のバラツキが発生しているような場合においても、パッケージの厚さ33bを効率良く且つ確実に均一な厚みとして成形することができる。
【0052】
即ち、本実施例における基板セットブロック31c及びキャビティブロック32cは、上述したように、上型31及び下型32の夫々に対して遊嵌されていること、また、上型均等加圧手段41及び下型均等加圧手段42によって弯曲変形防止機能が備えられていることから、基板セットブロック31c及びキャビティブロック32cは、上型31及び下型32に遊嵌された範囲内において上下左右方向へ揺動することが可能となるように構成されている。
従って、大形基板70の厚みが平行でないために、基板セットブロック31cに係着された大形基板70の表面(電子部品71の装着面)とキャビティブロック32cの上面とが平行に配置されないような場合であっても、第二型締工程時において、基板セットブロック31c或はキャビティブロック32cのいずれか一方側が、若しくは、その両方が上下左右方向へ揺動することにより、該大形基板70の表面とキャビティブロック32cの上面とが平行するように、両者の位置若しくは傾きの修正が行われる。
このため、大形基板70上の電子部品71に対する樹脂封止成形は、該大形基板70の表面とキャビティブロック32cの上面とが平行性を保つように修正された状態で行われることになるから、成形されたパッケージの厚さ33bを均一な厚みに成形することができる。
【0053】
この実施例によれば、電子部品71を樹脂封止するパッケージの厚さ33bを均一な厚みに成形することができる。
また、大形基板70上に装着した多数個の電子部品71を樹脂により一括して封止成形する場合において、下型キャビティ33a内における溶融樹脂材料80aに対する圧縮作用を、より低速度で且つ低圧にて行うことにより、溶融樹脂材料80aの流動作用に基因するワイヤスイープ等の発生を効率良く防止することができる。
【0054】
また、上型31についての均等加圧手段41と下型32についての均等加圧手段42とを備えたことにより、上下両型(31・32)の弯曲変形を防止することができるため、大形基板70上の電子部品71を樹脂により一括して封止成形する場合に有益である。
【0055】
また、前記した実施例において、前記第二型締工程時に、前記基板セットブロック31c或は前記キャビティブロック32cのいずれか一方側若しくはその両方において、次のことを実施することができる。
即ち、前記上型均等加圧手段41における加圧力調節機構43にて、前記作動流体経路42eを通して所要の加圧力に調節された圧力媒体44をマニホールド41aの作動流体室41d内に導入し、この圧力媒体44にて前記マニホールド41aの各シリンダ41bの夫々に嵌装させたピストン41cを押動してその各ピストンロッド41fの下端部を前記基板セットブロック31cの背面に接合させることにより、前記上型面に供給された基板70を所定の均等な圧力にて押圧することができ、この所定の均等な圧力による押圧にて基板70を保持(保圧)することができる。
また、前記下型均等加圧手段42における加圧力調節機構43にて、前記作動流体経路42cを通して所要の加圧力に調節された圧力媒体44をマニホールド42aの作動流体室42d内に導入し、この圧力媒体44にて前記マニホールド42aの各シリンダ42bの夫々に嵌装させたピストン42cを押動してその各ピストンロッド42fの上端部を前記キャビティブロック32cの背面に接合させることにより、前記下型キャビティ33a内の樹脂を所定の均等な圧力にて押圧することができ、この所定の均等な圧力による押圧を保持(保圧)することができる。
従って、前記第二型締工程時に、前記上型均等加圧手段41(加圧力調節機構43)を作動させることにより、前記基板セットブロック31cにて基板70を所定の均等な圧力で(成形圧力で)保圧することができる。
また、前記第二型締工程時に、前記下型均等加圧手段42(加圧力調節機構43)を作動させることにより、前記キャビティブロック32cにて前記下型キャビティ33a内の樹脂を所定の均等な圧力で(成形圧力で)保圧することができる。
【0056】
また、前記実施例において、前記上下両型(31・32)を閉じる第一型締工程の前と、記第二型締工程時とに関し、前記基板セットブロック31c或は前記キャビティブロック32cのいずれか一方側若しくはその両方において、次のことを実施することができる。
即ち、前記実施例において、まず、前記上下両型(31・32)を閉じる第一型締工程の前に、前記加圧力調節機構43を作動させることにより、前記上型均等加圧手段41にて前記基板セットブロック31cを押圧することができ、前記下型均等加圧手段42にて前記キャビティブロック32cを押圧することができる。
このとき、前記基板セットブロック31cを或いは前記キャビティブロック32cを、所定の均等な圧力による押圧にて或いはこの所定の均等な圧力より低い圧力による押圧にて保持することができる。
例えば、前記基板セットブロック31cを(或いは前記キャビティブロック32cを)、前記第二型締工程時に前記基板セットブロック31c(或いは前記キャビティブロック32c)に加えられる均等な圧力による押圧にて、或いは、前記第二型締工程時に前記基板セットブロック31c(或いは前記キャビティブロック32cを)に加えられる均等な圧力より低い均等な圧力による押圧にて保持することができる。
次に、前記第二型締工程時に、前記加圧力調節機構43を作動させることにより、前記上型均等加圧手段41にて前記基板セットブロック31c(基板70)を所定の均等な圧力の押圧にて保持することができ、前記下型均等加圧手段42にて前記キャビティブロック32c(前記下型キャビティ33a内の樹脂)を所定の均等な圧力による押圧にて保持することができる。
従って、前記加圧力調節機構43を作動させることにより、常時、前記上型均等加圧手段41にて前記基板セットブロック31cを所定の均等な圧力による押圧にて保持することができ、前記下型均等加圧手段42にて前記キャビティブロック32cを所定の均等な圧力による押圧にて保持することができる。