特許第5944868号(P5944868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944868
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】容器の搬送向き変換装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/244 20060101AFI20160621BHJP
   B65G 47/82 20060101ALI20160621BHJP
   B65B 51/06 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B65G47/244
   B65G47/82 D
   B65B51/06 C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-148874(P2013-148874)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-20846(P2015-20846A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】村澤 悠太
(72)【発明者】
【氏名】安竹 儀幸
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−110015(JP,A)
【文献】 特開平02−229499(JP,A)
【文献】 特開2009−107690(JP,A)
【文献】 特開昭56−117913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B35/00−35/58,51/00−51/32
B65G47/00−47/32,47/52,47/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(P)にテープ貼りするテープ貼付装置からテープ(T)が貼り付けられた容器(P)を搬送する第1コンベヤ(10)と、
該第1コンベヤ(10)で搬送される容器(P)を検知する検知手段(66)と、
前記第1コンベヤ(10)の下流側に配設され、容器(P)を載置して0°から270°の範囲で90°毎の回転角度で選択的に水平に正逆回転するターンテーブル(12)と、
該ターンテーブル(12)の下流側に配設され、容器(P)を処理装置に向けて搬送する第2コンベヤ(14)と、
昇降移動可能に配設されると共に待機位置から搬送路内に進入して容器(P)の搬送方向前後に移動可能に配設され、前記検知手段(66)により容器(P)の到来を検知して前記第1コンベヤ(10)から前記ターンテーブル(12)に向けて容器(P)を押送する左右一対の押送片(40)を有する第1押送手段(18)と、
昇降移動可能に配設されると共に待機位置から搬送路内に進入して前記押送片(40)で押送される容器(P)の前方に近接した位置に位置付けられて該押送片(40)と共に前進移動する左右一対の支持片(50)を有する支持手段(22)と、
待機位置から搬送路内に進入して容器(P)の搬送方向前後に移動可能に配設され、前記ターンテーブル(12)から前記第2コンベヤ(14)に向けて容器(P)を押送する押送体(60)を有する第2押送手段(20)と
前記一対の押送片(40)と一対の支持片(50)との夫々の左右の相互間隔を調節可能な間隔調節手段と、を備え、
前記押送片(40)と前記押送体(60)とにより容器(P)を押送する際の押送開始位置と押送終了位置とを変更可能に構成した
ことを特徴とする容器の搬送向き変換装置。
【請求項2】
前記第1コンベヤ(10)において容器(P)の搬送方向前後に位置付けた前記押送片(40)と前記支持片(50)とを、前記第1押送手段(18)で容器(P)を押送する前に相互間隔を狭めるよう動作させる作動手段(25)を備えたことを特徴とする請求項記載の容器の搬送向き変換装置。
【請求項3】
前記押送片(40)と前記支持片(50)との近接移動後における相互間隔を調節可能な調節手段(24)を備えたことを特徴とする請求項記載の容器の搬送向き変換装置。
【請求項4】
前記第1押送手段(18)と前記第2押送手段(20)と前記支持手段(22)とは、一体的に前進・後退可能に移動体(28)に配設したことを特徴とする請求項の何れか一項に記載の容器の搬送向き変換装置。
【請求項5】
前記第2押送手段(20)は、左右方向の中央部に搬送方向後側に凹む窪み部(60a)を有する押送体(60)から構成したことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の容器の搬送向き変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器にテープを貼り付けるテープ貼付装置と該テープ貼付装置の下流側に配設された処理装置との間において容器の向きを変換可能に構成された容器の搬送向き変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送中の物品の向きを変換する装置として、例えば特許文献1〜4に開示のものがある。特許文献1に開示の装置は、ローラコンベヤの一側部に架設されたガイド板の当り部に箱の角隅部を当接させることでガイド板の当り部を支点にして箱の向きを変換すると共に、方向変換途中の箱をローラコンベヤの他側部に架設されたガイド板の斜面部で案内して、ガイド板の直線部で90度方向変換した箱の側面を規制しつつ下流に案内するよう構成されている。また、特許文献2に開示の装置は、コンベヤの側方に自由回転可能に支持され、90度毎に放射状に延びる4つのアームを備え、コンベヤ上に位置するアームがコンベヤによる物品の搬送方向に略直交している状態でコンベヤでの物品搬送力を受けて90度毎に回動動作することで、物品の向きを90度転換するようになっている。
【0003】
特許文献3には、上流側と下流側とのガイドレール装置の間に回転テーブルを配置し、上流側から送り爪で1個ずつ物品を順送りする装置が開示されている。この装置は、上流側から送られてくる物品を、その配置方向が違っている場合に、回転テーブルで180度回転して正しい向きにするようになっている。特許文献4に開示の装置は、コンベヤ間に間欠的に回転するターンテーブルを設けて、送られてきた物品を押し出し機構で押し出してターンテーブル上に載置して方向変換し、上流側コンベヤで送られてきた物品をターンテーブルに押し出すときに、その物品によってターンテーブル上に載置された方向転換済みの物品を下流側コンベヤへ押し出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−606号公報
【特許文献2】特開2006−341946号公報
【特許文献3】特開昭56−117913号公報
【特許文献4】実開昭49−89875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓋付き容器にテープ貼りするテープ貼付装置の下流に処理装置を設置して自動化ラインを構成しようとすると、下流側の処理装置では、例えばテープ貼付装置で貼り付けたテープと交差するようにテープを貼り付けて容器の四方をテープ止めしたり、テープ貼付装置でのテープの貼り付け位置に対して、容器の内容物に関する品質表示などのラベルを所要の貼り付け位置や向きで貼り付けたりする等、様々な処理条件で容器に所定の処理が行われる。このような容器の搬送向きを変換する装置としては、容器の底面や側面等の外形の違い、容器の材質の違い、または容器のサイズの違いなど、多種多様な品種の容器に対応して、安定的に方向転換できる装置が求められている。しかし、弁当などの容器では、様々な内容物が詰め合わせられて重量バランスが一定にならないばかりか、容器の外形に依存することなく重心の位置が定まっておらず、そのような容器に対応して特許文献1〜4の装置を適用して、容器の搬送向きを変えない場合も含めて、90°、180°および270°などの所望の方向に向きを変換する場合に対応できない。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、内容物が詰め合わされた弁当などの多種多様な性状の容器であっても、テープ貼付装置の下流側に接続する処理装置に対応して該処理装置で求められる搬送向きに、その向きの変換を良好に行い得る容器の搬送向き変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の容器の搬送向き変換装置は、
容器にテープ貼りするテープ貼付装置からテープが貼り付けられた容器を搬送する第1コンベヤと、
該第1コンベヤで搬送される容器を検知する検知手段と、
前記第1コンベヤの下流側に配設され、容器を載置して0°から270°の範囲で90°毎の回転角度で選択的に水平に正逆回転するターンテーブルと、
該ターンテーブルの下流側に配設され、容器を処理装置に向けて搬送する第2コンベヤと、
昇降移動可能に配設されると共に待機位置から搬送路内に進入して容器の搬送方向前後に移動可能に配設され、前記検知手段により容器の到来を検知して前記第1コンベヤから前記ターンテーブルに向けて容器を押送する左右一対の押送片を有する第1押送手段と、
昇降移動可能に配設されると共に待機位置から搬送路内に進入して前記押送片で押送される容器の前方に近接した位置に位置付けられて該押送片と共に前進移動する左右一対の支持片を有する支持手段と、
待機位置から搬送路内に進入して容器の搬送方向前後に移動可能に配設され、前記ターンテーブルから前記第2コンベヤに向けて容器を押送する押送体を有する第2押送手段と
前記一対の押送片と一対の支持片との夫々の左右の相互間隔を調節可能な間隔調節手段と、を備え、
前記押送片と前記押送体とにより容器を押送する際の押送開始位置と押送終了位置とを変更可能に構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、押送片および押送体は、容器の押送開始位置と押送終了位置とを変更可能であるから、内容物が詰め合わされた弁当などの多種多様な性状や重心が中央にない容器であっても、第1コンベヤからターンテーブルに向けて安定して押送し得ると共に、ターンテーブルの適正な位置に容器を載置して水平回転できるので、安定した方向変換をなし得る。そして、下流側の処理装置が求める向きに方向変換した容器をターンテーブルから第2コンベヤに向けて安定的に押送することができる。
また、押送片で第1コンベヤからターンテーブルに向けて容器を押送する際に、容器の前方を支持片で支持可能であるから、容器が搬送される際に容器に生じる慣性を規制して容器が前方に先走りするのを防止することができる。
更に、左右に離間する一対の押送片および支持片の夫々を、容器の外形やサイズに合わせて位置調節可能であるから、外形やサイズが異なる品種の容器に対応した状態で押送してターンテーブルの所望の位置に載置することができる。
【0009】
請求項に係る発明では、前記第1コンベヤにおいて容器の搬送方向前後に位置付けた前記押送片と前記支持片とを、前記第1押送手段で容器を押送する前に相互間隔を狭めるよう動作させる作動手段を備えたことを特徴とする。
請求項に係る発明によれば、第1コンベヤの搬送下流端での容器の停止位置にバラツキが生じても待機位置から搬送路内に進入する押送片を容器に干渉させることなく、押送片および支持片を容器の搬送方向前後に近付けた状態でターンテーブルに向けて押送することができる。
【0010】
請求項に係る発明では、前記押送片と前記支持片との近接移動後における相互間隔を調節可能な調節手段を備えたことを特徴とする。
請求項に係る発明によれば、押送片および支持片を容器の搬送方向前後に近接した位置に位置付けた状態で容器をターンテーブルに向けて押送することができ、ターンテーブルへの移送時に容器の姿勢変位が生じ難く、またコンベヤとのスリップを回避することができる。
【0012】
請求項に係る発明では、前記第1押送手段と前記第2押送手段と前記支持手段とは、一体的に前進・後退可能に移動体に配設したことを特徴とする。
請求項に係る発明によれば、第1押送手段、第2押送手段および支持手段を搬送方向に往復移動させる機構をシンプルでコンパクトな構成とすることができる。
【0013】
請求項に係る発明では、前記第2押送手段は、左右方向の中央部に搬送方向後側に凹む窪み部を有する押送体から構成したことを特徴とする。
請求項に係る発明によれば、押送体でターンテーブルから第2コンベヤに向けて押送する容器の外縁が円弧状その他の不定形状になっていても、容器の外縁が窪み部に嵌り込んで押送されるので、容器の回転や位置ズレなどを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る容器の搬送向き変換装置によれば、内容物が詰め合わされた弁当などの多種多様な性状の容器であっても、その搬送向きの変換を安定して行い得るので、下流側の処理装置に対して適正な搬送向きとして移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る搬送向き変換装置を手前側から示す概略斜視図である。
図2】実施例の搬送向き変換装置を奥側から示す概略斜視図である。
図3】実施例の搬送向き変換装置を示す概略平面図である。
図4】実施例の搬送向き変換装置を示す概略側面図である。
図5】実施例の搬送向き変換装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る容器の搬送向き変換装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0017】
実施例に係る容器の搬送向き変換装置は、弁当などの蓋付きの容器Pにおける容器本体Paと蓋Pbとの嵌め合わせ部にテープTを貼り付ける第1テープ貼付装置(テープ貼付装置)と、蓋Pbの嵌め合わせ部における第1テープ貼付装置と異なる箇所にテープTを貼り付ける第2テープ貼付装置(処理装置)との間に配設され、第1テープ貼付装置でテープ貼りされた容器Pを、第2テープ貼付装置でのテープ貼り処理で求められる向きに応じて方向変換するよう構成されている。第1および第2テープ貼付装置は、内容物が詰め込まれた容器本体Paに蓋Pbが被せられた蓋付きの容器Pをコンベヤで下流側に搬送する途上で、該コンベヤの両側でテープロールから引き出した粘着テープTの始端部を吸着保持して、テープTを蓋Pbに貼り付けて引き出し、その引き出したテープTを容器本体Paの側面に貼り付けた後にカッターにより切断し、切断したテープTの終端部を容器本体Paに押し撫でて止着するように構成されている。このようなテープ貼付装置としては、特許第4820353号公報や特開2012−91854号公報に記載された構成が好適に採用される。なお、コンビニエンスストアやスーパーなどで販売される弁当や惣菜などの蓋付き容器Pとしては、箱型やどんぶり型などの様々な立体形状の容器Pが使用されており、このような種々の容器Pに対応して、テープ貼付装置では、対向する2箇所、90度毎に角度を変えた4箇所あるいは1箇所と2箇所を対向させた3箇所など、テープTを貼る位置が適宜変更されるようになっている。
【0018】
図1に示すように、第1テープ貼付装置でテープ貼り処理された容器Pを搬送する、ベルトコンベヤからなる第1コンベヤ10と、この第1コンベヤ10の下流側に配設され、容器Pの向きを変換可能なターンテーブル12と、このターンテーブル12の下流側に配設され、ターンテーブル12から移載された容器Pを第2テープ貼付装置に向けて搬送する、ベルトコンベヤからなる第2コンベヤ14とを備えている。ターンテーブル12は、水平回転可能に支持された回転円盤であって、制御モータ16により水平回転され、第1コンベヤ10から移載された容器Pを、時計回りまたは反時計回りに転回して、90°、180°、270°などの回転角度で選択的に向きを変更するよう、図示しない品種設定手段で設定された容器Pの品種に応じて回転量が制御される。また、ターンテーブル12は、容器Pの品種によっては、第1コンベヤ10から移載された容器Pの向きを変換させずに回転しないように制御される。
【0019】
前記第1コンベヤ10の搬送下流側には、第1コンベヤ10からターンテーブル12に向けて容器Pを押送する押送片40を備えた第1押送手段18と、この第1押送手段18の搬送方向前側に、第1押送手段18により後続する容器Pを押送する動作に合わせて、ターンテーブル12から第2コンベヤ14に向けて先行の容器Pを押送する押送体60を備えた第2押送手段20とが配設されている。また、第1押送手段18と第2押送手段20との間には、第1押送手段18で容器Pを押送する際に容器Pの搬送方向前側を支持する支持片50を備えた支持手段22が配設されている。第1押送手段18は、押送片40を容器Pの搬送路内に進入して容器Pに当接可能な進入位置と押送片40を搬送路外となる搬送路の上方に退避して容器Pの通過を許容する退避位置との間で上下方向に進退移動可能で、かつ容器Pの搬送方向前後に往復移動可能に構成される。第2押送手段20は、押送体60を容器Pの搬送路内に進入して容器Pに当接可能な進入位置と押送体60を搬送路外となる搬送路の上方に退避して容器Pの通過を許容する退避位置との間で上下方向に進退移動可能で、かつ容器Pの搬送方向前後に往復移動可能に構成される。支持手段22は、支持片50を容器Pの搬送路内に進入して容器Pを支持可能な進入位置と支持片50を搬送路外となる搬送路の上方に退避して容器Pの通過を許容する退避位置との間で上下方向に進退移動可能で、かつ容器Pの搬送方向前後に往復移動可能に構成される。また、第1押送手段18の押送片40と支持手段22の支持片50との相互間隔を調節する調節手段24が設けられている。更に、第1押送手段18の押送片40と支持手段22の支持片50とは、作動手段25によって前記搬送方向に互いに近接・離間移動されるようになっている。
【0020】
図1および図2に示すように、前記第1押送手段18、第2押送手段20および支持手段22は、ガイドレール30に搬送方向前後に往復移動可能に支持された板状の移動体28に配設され、該移動体28は、サーボモータからなる駆動モータ32により回転されるリンクバー33と、一端部がリンクバー33に接続されると共に他端部が移動体28に接続され、リンクバー33の回転に伴って揺動するリンクアーム34とを有するクランク機構からなる駆動機構26によりガイドレール30に沿って往復移動される。また、移動体28は、搬送方向の移動量を変更可能に構成され、実施例では駆動モータ32の正逆回転量を制御したり、駆動機構26におけるリンクアーム34の長さを調節するなどにより、移動体28における下流側への移動端位置および上流側への移動端位置を調節可能になっている。
【0021】
図4に示すように、前記第1押送手段18は、搬送方向に往復移動可能にガイドレール30に支持された昇降作動手段としてのエアシリンダ36と、搬送路の上方に左右方向に延在し、エアシリンダ36で昇降移動される取着部材38と、この取着部材38から下方に延出して、左右方向に離間配置された一対の押送片40,40とを備えている。支持手段22は、搬送方向に往復移動可能にガイドレール30に支持された昇降作動手段としてのエアシリンダ46と、搬送路の上方に左右方向に延在し、エアシリンダ46で昇降移動される取着部材48と、この取着部材48から下方に延出して、左右方向に離間配置された一対の支持片50,50とを備えている。支持手段22の支持片50,50は、第1押送手段18の押送片40,40の下流側に、容器Pの前後長に対応した距離離間して配置される。棒状の押送片40および支持片50は、搬送路における上方に移動して容器Pの通過を許容する退避位置から、容器Pを支持してターンテーブル12に向けて移送する下方の進入位置へ、エアシリンダ36,46により夫々下降される。第1押送手段18は、取着部材38に回転可能に支持されたネジ軸42と、このネジ軸42の一端部に配設した操作ハンドル44とを備え、操作ハンドル44を回転操作してネジ軸42に螺合した一対の押送片40,40を相互に近接・離間移動する間隔調節手段を有している。支持手段22は、取着部材48に回転可能に支持されたネジ軸52と、このネジ軸52の一端部に配設した操作ハンドル54とを備え、操作ハンドル54を回転操作してネジ軸52に螺合した一対の支持片50,50を相互に近接・離間移動する間隔調節手段を有している。
【0022】
図1および図4に示すように、前記第2押送手段20は、移動体28に配設された昇降作動手段としてのエアシリンダ56と、このエアシリンダ56で昇降移動可能に支持され、搬送路における上方に左右方向に架設される取着部材58と、この取着部材58から垂下する押送体60とを備えている。そして、押送体60は、第1押送手段18の押送片40より容器Pの前後長以上離間した下流側に配置されている。押送体60は、搬送路における上方に移動して容器Pの通過を許容する退避位置から、容器Pを支持して第2コンベヤ14に向けて移送する下方の進入位置へ、エアシリンダ56により下降される。実施例の押送体60は、押送面が板状に形成されて、その左右方向中央部に、押送面側に上下に所定幅で開放すると共に押送面側から後方へ向けて凹む窪み部60aが設けられる。
【0023】
図2に示すように、前記移動体28には、搬送方向に離間して支持された一対の歯付きプーリ62,62に歯付きベルト63が巻き掛けられ、第1押送手段18のエアシリンダ36と支持手段22のエアシリンダ46とが、歯付きベルト63の上下に対向する直線走行部の対面側にブラケット65を介して夫々支持されている。移動体28に配設したエアシリンダからなる間隔変更手段64を作動することで、支持手段22のエアシリンダ46に連係する支持片50と、歯付きベルト63に支持された第1押送手段18のエアシリンダ36に連係する押送片40とが、互いに近接・離間移動するよう構成される。このように実施例では、歯付きプーリ62,62、歯付きベルト63および間隔変更手段64とが作動手段25として構成されている。実施例の調節手段24は、移動体28に搬送方向前後に往復移動可能に配設されたネジ軸から構成され、間隔変更手段24のロッドとブラケット65とを連係する連係部65aに対する該調節手段24が当接する位置の変更により押送片40と支持片50とが互いに近接させる方向への間隔変更手段64のロッド作動範囲を変更して、押送片40と支持片50との近接移動後における相互間隔を調節するようになっている。
【0024】
前記移動体28が搬送方向前方と後方とに向けて往復移動するのに伴い、第1押送手段18の押送片40が第1コンベヤ10の搬送終端部とターンテーブル12との間で移動すると共に、第2押送手段20の押送体60がターンテーブル12の上流側から第2コンベヤ14の搬送始端部との間で移動するようになっている。その際に、支持手段22の支持片50が第1コンベヤ10の搬送終端部とターンテーブル12との間で移動するようになっている。第1押送手段18は、第1コンベヤ10からターンテーブル12に向けて押送片40で容器Pの押送を開始する押送開始位置と容器Pの押送を終了する押送終了位置とを、移動体28における駆動モータ32の回転量の変更による往復移動区間や範囲の変更や、調節手段24による位置変更などの調節により、異なる品種の容器Pに対応して設定変更し得る。また、第2押送手段20は、ターンテーブル12から第2コンベヤ14に向けて容器Pの押送を開始する押送開始位置と容器Pの押送を終了する押送終了位置とを、移動体28の往復移動区間や範囲を変えるなどにより、異なる品種の容器Pに対応して設定変更し得る。同様に、移動体28に配設された支持手段22についても、容器Pの搬送方向前側の支持を開始する支持開始位置と下流側において容器Pの支持を終了する支持終了位置とを、移動体28の往復移動区間や範囲の変更や調節手段24による位置変更などの調節により、容器Pの品種に対応して設定変更し得る。
【0025】
前記第1コンベヤ10には、搬送されてきた容器Pの到来を検知する光電センサなどからなるセンサ(検知手段)66を備えている。センサ66は、押送開始位置において搬送路の上方で退避位置にある第1押送手段18の押送片40,40と搬送路内に進入した進入位置まで下降して待機している支持手段22の支持片50,50との間に到来した容器Pを検知し、このセンサ66による検知信号に基づいて、押送片40,40が退避位置から進入位置に下降した後に押送片40,40および支持片50,50が相互に接近するように移動し、支持片50,50で容器Pの前方への位置ズレを規制したもとで押送片40,40による容器Pの押送を開始する。また、センサ66の上流側には、第1コンベヤ10で搬送されてきた容器Pの到来を検知し得る光電センサなどからなる補助センサ68が第1押送手段18の押送開始位置近傍に配設される。
【0026】
次に、前記搬送向き変換装置の作用について、図5を参照して説明する。なお、図5に示す動作説明図では、説明の便宜上、先行の容器Pはターンテーブル12まで至り、後続の容器Pが第1コンベヤ10の下流へ送り込まれたときを示し、以降の工程について順次説明する。
【0027】
装置の待機状態において移動体28が上流位置の押送開始端まで移動され、第1押送手段18、第2押送手段20および支持手段22が押送開始位置にあり、押送片40,40が搬送路の上方の退避位置に保持され、支持片50,50が下降して搬送路内に進入した進入位置にあり、また押送体60が下降して搬送路内に進入した進入位置に位置付けられている(図5(a)参照)。ここで、支持片50,50が第1コンベヤ10の搬送終端に位置し、押送片40,40が、搬送向きにおける容器Pの前後長さより広く上流側に離間した位置で支持片50,50の上流側に位置している。また、押送体60は、押送開始位置において、搬送路内に進入するように下降して支持片50,50の下流側で、ターンテーブル12に載置される容器Pの上流側に近接する位置に位置付けられる。第1テープ貼付装置で左右両側にテープ貼りされて第1コンベヤ10まで搬送されてきた容器Pは、退避位置の押送片40,40の下方を通過して、その下流側で搬送路内へ進入している支持片50,50の上流位置まで至る。そして、センサ66が容器Pを検知すると、押送片40,40が下降して搬送路内に進入し、容器Pの後方に位置付けられる(図5(b)参照)。前記センサ66が容器Pを検知中に補助センサ68が後続の容器Pの到来を検知した際には、後続する容器Pが規定の間隔以下で搬送されてきていると判断して、押送片40,40が退避位置から進入位置まで下降することはない。そして、移動体28が上流位置から下流側へ向けて移動を開始するのと同時期に、作動手段25によって押送片40,40と支持片50,50とが互いに近接移動して相互間隔を狭める(図5(c)参照)。
【0028】
前記移動体28が下流側に向けて移動することにより押送片40,40で押送される容器Pは、第1コンベヤ10の搬送終端からターンテーブル12に向けて移動し、押送終了位置においてターンテーブル12の中央に容器Pの前後長さの中央(必要に応じて重心を考慮した所定位置)が位置するよう載置する。また、支持片50,50が容器Pの前方に近接して位置し、押送片40,40と一体的に前進移動する。ターンテーブル12に載置された先行の容器Pは、その品種に応じてターンテーブル12が水平回転(90°、180°、270°)し、または水平回転することなく、押送体60でターンテーブル12から第2コンベヤ14に向けて押送される。また後続の容器Pは、前記押送片40,40と支持片50,50とによって前後が支持されて、前述したようにターンテーブル12まで押送される。ここで、押送片40,40および押送体60は、容器Pの品種に応じて押送開始位置と押送終了位置とが夫々異なる動作位置に設定されている。そして、押送体60は、ターンテーブル12から第2コンベヤ14の搬送始端部に先行の容器Pを受け渡した後に上昇して退避位置に至り、容器Pが第2コンベヤ14で第2テープ貼付装置に向けて搬送される(図5(d))。
【0029】
前記押送片40,40で容器Pを押送してターンテーブル12に載置するタイミングに合わせて第2コンベヤ14まで容器Pを押送した押送体60を、搬送路の上方の退避位置まで移動した後に、作動手段25を作動させて、押送片40,40と支持片50,50とを互いに離間移動して相互間隔を広げる(図5(e))。その後に、押送片40,40および支持片50,50を搬送路の上方の退避位置まで上昇する。そして、ターンテーブル12を前述の如く回転動作させて、容器Pを第2テープ貼付装置で求められる搬送向きとする。なお、実施例では、第1テープ貼付装置によりテープTを貼り付けた容器Pの向きと直交する搬送向きとして第2テープ貼付装置で容器Pの左右両側にテープTを貼り付けるので、ターンテーブル12を平面視左回りまたは右回りに90度水平回転して、第1テープ貼付装置によるテープTの貼り付け箇所が搬送方向前後に位置するように容器Pの向きが変えられる(図5(f))。そして、移動体28を下流位置から上流側に移動することで、押送片40,40、支持片50,50および押送体60が押送終了位置から押送開始位置に戻され(図5(g))、押送開始位置において支持片50,50および押送体60が退避位置から下降して搬送路内に進入し、押送片40,40は退避位置を維持する(図5(h))。ここで、第2押送手段20における押送体60は、押送開始位置で搬送路内に進入した際に、ターンテーブル12で向きを変換した後の容器Pの後方に近接した位置で位置付けられる。
【0030】
なお、ターンテーブル12に容器Pを移載した後に、後続する容器Pが送られずにセンサ66が容器Pを検知しない所定時間経過後に、移動体28を上流側から下流側に移動して、押送体60でターンテーブル12に載置されている容器Pを押送して第2コンベヤ14に排出するようになっている。
【0031】
以上のように、第1押送手段18は、押送片40,40による容器Pの押送開始位置と押送終了位置とを変更可能であるから、容器Pの品種に合わせて第1コンベヤ10からターンテーブル12に向けて安定して容器Pを押送し得ると共に、容器Pの重量バランスやコンベヤ10との摩擦抵抗あるいは変換する向きなどの当該容器Pの品種毎の性状その他の諸条件に対応して適切な位置となるように容器Pをターンテーブル12に受け渡すことができる。そして、ターンテーブル12の適正な位置に容器Pを載置して水平回転できるので、安定した方向変換をなし得る。第2押送手段20は、押送体60による容器Pの押送開始位置と押送終了位置とを変更可能であるから、容器Pの品種に合わせて下流側の第2テープ貼付装置などの適宜処理装置が求める向きに方向変換された容器Pをターンテーブル12から第2コンベヤ14に向けて安定的に押送することができる。このように、実施例の搬送向き変換装置によれば、内容物が詰め合わされた弁当などの多種多様な性状の容器Pであっても、その搬送向きを良好に変換することができる。
【0032】
前記第1押送手段18の押送片40,40で容器Pを押送する際に、容器Pの前方を支持片50,50で支持することで、容器Pが前進する際に生じる慣性によって容器Pが前方に先走りするのを規制することができる。また、押送片40および支持片50を容器Pの搬送方向前後に近接した位置に位置付けた状態で容器Pをターンテーブル12に向けて押送することができ、ターンテーブル12への移送時に容器Pの姿勢変位が生じ難くまたコンベヤ10とのスリップを回避することができる。容器Pの外縁形状が円弧状その他の不定形状に形成されたものにおいても、左右に離間する一対の押送片40,40で外縁に局所的に当接するから、押送する際に容器Pが回転したり位置ズレしたりすることなどを防止することができる。また、第2押送手段20においても、容器Pの外縁形状が円弧状その他の不定形状であっても、押送体60の中央部に窪み部60aを設けるようにしたので、容器Pの外縁が窪み部60aに嵌り込んで押送され、容器Pの回転や位置ズレなどを防止することができる。しかも、第1押送手段18および支持手段22において、左右方向に離間配置された一対の押送片40,40および一対の支持片50,50を、容器Pの外形やサイズに合わせて位置調節できるようにしたので、容器Pの品種毎に安定した押送をなし得る。
【0033】
退避位置にある第1押送手段18の押送片40,40の下方を容器Pが通過してから押送片40,40を下降して、押送片40,40および支持片50,50で容器Pの前後から挟込むようにして近接移動させる構成であるから、第1コンベヤ10の下流端での容器Pの停止位置にバラツキが生じても、押送片40,40を搬送路内に進入させる際に容器Pと干渉して位置ズレさせてしまうことはない。また、押送片40,40および支持片50,50を、容器Pの形状や重量バランスなどとの関係で容器Pに近付けた適切な位置から当該容器Pの押送を開始することができると共に、押送片40,40および支持片50,50が容器Pに当接する際の衝撃を軽減でき、第1コンベヤ10からターンテーブル12に向けてより安定した状態で容器Pを搬送し得る。更に、第2押送手段20は、押送体60の押送開始位置が容器Pに近接した位置になるよう動作するので、容器Pの形状や重量バランスなどとの関係で容器Pに対する適切な位置から当該容器Pの押送を開始することができると共に、押送体60が容器Pに当接する際の衝撃を軽減でき、またターンテーブル12から第2コンベヤ14に向けた慣性力を抑えた状態としてより安定した状態で容器Pを搬送し得る。
【0034】
前記第1押送手段18、第2押送手段20および支持手段22は、搬送方向に往復移動される移動体28に配設されているから、移動体28の移動に伴い搬送方向に一体的に移動させることができる。すなわち、第1押送手段18、第2押送手段20および支持手段22を搬送方向に往復移動させる機構をシンプルでコンパクトな構成とすることができる。
【0035】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1)第1コンベヤおよび第2コンベヤは、平ベルト以外のコンベヤであってもよい。
(2)実施例では処理装置としての第1テープ貼付装置と第2テープ貼付装置との間に搬送向き変換装置を配設したが、第2テープ貼付装置に代えて、小袋や割りばしなどの添付品を容器表面に貼り付ける装置、内容物の配置との関係で貼り付け位置が規定されるラベルなどを容器に貼り付ける装置など、下流側については適宜の処理装置を配設することができる。
(3)第1押送手段と支持手段とを一体移動可能な構成を採用することや、あるいは第1押送手段、第2押送手段および支持手段を、モータやシリンダ等の駆動手段により互いに独立して容器の搬送方向に前進・後退し得る適宜動作機構からなる構成を採用し得る。また、移動体を移動する駆動機構は、クランク機構に限定されず、ラックアンドピニオン機構やその他の機構であってもよい。更に、エアシリンダに代えて、モータ等のその他の駆動手段を用いてもよい。
(4)第1押送手段の押送片および支持手段の支持片は、棒状に限らず、板状その他ブロック状の部材として同様の局所的な支持状態になし得る各種構成を採用することができる。また、第2押送手段の押送体においても第1押送手段の押送片と同様の構成を採用し得る。
(5)押送片と支持片との両方が移動して相互間隔を狭めたり広げたりしたが、何れか一方が他方に対して接離するように移動する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 第1コンベヤ,12 ターンテーブル,14 第2コンベヤ,
18 第1押送手段,20 第2押送手段,22 支持手段,24 調節手段,
25 作動手段,28 移動体,40 押送片,50 支持片,60 押送体,
60a 窪み部,66 センサ(検知手段),P 容器
図1
図2
図3
図4
図5