(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る薬剤管理システム10の概要構成を示すブロック図である。
図1に示すように、薬剤管理システム10は、電子カルテサーバ11と、医師用の情報処理端末装置12と、看護師用の情報処理端末装置13と、薬剤監査装置14と、無線基地局15及び公衆通信ネットワーク16を介して通信ネットワーク17に接続された医師用の携帯情報処理端末装置18と、薬剤部サーバ19と、薬剤登録装置20と、を備えている。
【0008】
電子カルテサーバ11は、電子カルテを管理し、記憶するための装置である。医師用の情報処理端末装置12は、電子カルテの記入などを行うための装置である。看護師用の情報処理端末装置13は、電子カルテサーバ11が管理する電子カルテの参照及び確認を行うための装置である。薬剤監査装置14は、電子カルテに含まれる指示書情報(例えば、処方箋情報)に基づいて薬剤の取揃え等(計量、混注、混合、製剤、調剤など)の支援および監査を行うための装置である。薬剤部サーバ19は、薬剤部に配置され薬剤払出等を管理するための装置である。また、薬剤部サーバ19は、薬剤のコード情報または薬剤の外面情報(薬剤のラベルを表す特徴量、薬剤の色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を表す特徴量など)に対応付けて薬剤に係る薬剤情報(名称、量など)を登録している。また、薬剤部サーバ19は、薬剤監査装置14において、計量、混注、混合、製剤、調剤などの作業を撮影した画像データを記憶している。薬剤登録装置20は、手術室に配置され、看護師によって手術中に使用された薬剤、あるいは救急の場などにおいて看護師や薬剤師等によって緊急的に使用された薬剤の登録支援を行うための装置である。
【0009】
上記構成において、電子カルテサーバ11、情報処理端末装置12、情報処理端末装置13、薬剤監査装置14、薬剤部サーバ19及び薬剤登録装置20は、通信ネットワーク17に接続されている。
【0010】
図2は、第1の実施形態に係る薬剤監査装置14の外観を示す斜視図である。薬剤監査装置14は、大別すると、タッチパネルディスプレイ21と、装置本体22と、プリンタ23と、カメラ24と、計量器(秤)25と、を備えている。タッチパネルディスプレイ21は、ユーザが各種操作を入力するとともに、薬剤リストや取り揃えられた薬剤の監査状態等の各種情報を表示する。そして、タッチパネルディスプレイ21は、ディスプレイ35及びタッチパネル36とで構成されている。装置本体22は、スキャナ37を有する。
【0011】
スキャナ37は、カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやカラーCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等のイメージセンサとLED(Light Emitting Diode)などの光源とを有している。スキャナ37は、看護師ID(IDentification)のコードシンボル、患者IDのコードシンボル、薬剤のコードシンボル、薬剤の画像などの撮像を行う。スキャナ37が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像(撮像画像)は、後述するRAM(Random Access Memory)33(
図3参照)に保存される。プリンタ23は、各種情報をプリントアウトする。カメラ24は、オペレータの作業を撮影する。計量器(秤)25は、薬剤の計量、混注、混合などを行う際に重量を量る。
【0012】
なお、スキャナ37は、
図2に示すようなテーブル上に載置する形状に限るものではなく、床上に立設させるスタンド形状であってもよい。
【0013】
また、薬剤監査装置14は、薬剤に付されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグとの間でデータの読取り/書込みを行うRFIDリーダライタ等を備えていてもよい。
【0014】
図3は、薬剤監査装置14のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、薬剤監査装置14は、MPU(Micro Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM33と、外部記憶装置34と、入出力I/O45と、を有する。MPU31は、薬剤監査装置14全体を制御する。ROM32は、制御プログラムを含む各種データを不揮発的に記憶する。RAM33は、ワークエリアとして機能するとともに、各種データを一時的に記憶する。外部記憶装置34は、データベース等の大容量データを記憶可能なハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)として構成される。
【0015】
ここで、入出力I/O45は、ディスプレイ35とタッチパネル36とを有するタッチパネルディスプレイ21と、スキャナ37と、プリンタ23と、通信インタフェース40と、カメラ24と、音声認識部43と、計量器(秤)25と、バス46と、が接続される。このバス46には、MPU31、ROM32、RAM33及び外部記憶装置34が接続されている。
【0016】
通信インタフェース40は、通信インタフェース動作を行う。音声認識部43は、音声を入力するためのマイク42を備えており、マイク42から入力された音声の音声認識を行う。
【0017】
次に、薬剤部サーバ19について説明を行う。
図4は、薬剤部サーバ19のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4に示すように、薬剤部サーバ19は、MPU51と、ROM52と、RAM53と、外部記憶装置54と、入出力I/O60と、を有する。MPU51は、薬剤監査装置14全体を制御する。ROM52は、制御プログラムを含む各種データを不揮発的に記憶する。RAM53は、ワークエリアとして機能するとともに、各種データを一時的に記憶する。外部記憶装置54は、データベース等の大容量データを記憶可能なハードディスクドライブ、SSDとして構成される。
【0018】
入出力I/O60は、ディスプレイ55と、タッチパネル56と、プリンタ58と、通信インタフェース59と、バス61と、が接続される。ディスプレイ55と、タッチパネル56とは、タッチパネルディスプレイ57を構成している。このバス61には、MPU51、ROM52、RAM53及び外部記憶装置54が接続されている。
【0019】
また、薬剤部サーバ19は、外部記憶装置54に画像データベースDBを有する。画像データベースDBは、薬剤監査装置14が、薬剤の計量、混注、混合などの作業を撮影した画像と、画像に関する各種情報とを記憶する。ここで、
図5は、画像データベースのデータフォーマットの一例の説明図である。画像データベースは、映像ファイル名と、監査番号と、薬剤データと、操作者IDと、撮影開始時間と、撮影終了時間とを記憶する。検索条件として画像データベースの各種情報を入力することにより監査者は、監査対象の画像を検索することが可能となる。
【0020】
映像ファイル名は、薬剤監査装置14が撮影した映像ファイルのファイル名と、映像ファイルの保存場所とを記憶する。監査番号は、対象となる薬剤の取り揃えごとに設けられた識別番号である。薬剤データは、取り揃えた薬剤に関する情報である。薬剤データは、例えば、薬剤のコード情報などである。操作者IDは、薬剤監査装置14を操作した操作者のIDに関する情報である。操作者IDは、例えば、看護師IDなどである。撮影開始時間は、薬剤監査装置14で撮影を開始した時刻を有する情報である。撮影開始時間は、撮影を開始した年月日と、時分とを記憶する。なお、撮影開始時間は、撮影を開始した秒を記憶対象としてもよい。撮影終了時間は、薬剤監査装置14で撮影を終了した時刻を有する情報である。撮影終了時間は、撮影を終了した年月日と、時分とを記憶する。なお、撮影終了時間は、撮影を終了した秒を記憶対象としてもよい。
【0021】
このような構成により、薬剤監査装置14のMPU31は、ROM32や外部記憶装置34に記憶された制御プログラムに従って動作することで、使用する薬剤の監査支援を行う。
【0022】
次に、実施形態にかかる薬剤監査装置14と薬剤部サーバ19とが有する特徴的な機能について説明する。
図6は、薬剤監査装置14と薬剤部サーバ19との機能構成を示すブロック図である。
【0023】
まず、薬剤監査装置14が有する機能構成について説明を行う。薬剤監査装置14のMPU31は、ROM32や外部記憶装置34に記憶された制御プログラムに従って動作することで、
図6に示すように、読取手段311と、撮像手段312と、計量手段313と、記憶手段314と、表示制御手段315と、検出手段316と、通信手段317と、として機能する。
【0024】
読取手段311は、スキャナ37を介して情報を読み取る。具体的には、読取手段311は、使用される薬剤に付されたコードシンボルのコード情報または使用される薬剤の全部または一部の外面情報を読み取る。バーコードや二次元コードなどのコードシンボルからコード情報を検出する処理については、従来からある技術なのでここでの説明は省略する。また、読取手段311は、看護師IDや、指示書に付されたコードシンボルの監査番号を読み取る。
【0025】
撮像手段312は、撮像部であるカメラ24を用いてオペレータの混注作業や、薬剤の計量作業の各種工程を撮影する。
【0026】
計量手段313は、計量部である計量器(秤)25を用いて薬剤の重量を計量する。計量器(秤)25および計量手段313は、様々な計量に用いられる。例えば、計量器(秤)25および計量手段313は、指示書情報で指示された薬剤の混合や混注などの際に、液剤や散剤や注射薬などの様々な剤形の薬剤の計量に使用される。または、計量器(秤)25および計量手段313は、成人ベースの薬剤を小児向けに軽減する際の計量に用いられる。または、計量器(秤)25および計量手段313は、薬剤ボトルを計量して適量の薬剤が払い出されたことの確認に用いられる。具体的には、計量器(秤)25および計量手段313は、計量前と計量後の薬剤ボトルを計量する。両方の計量時の重量の差が、払い出された薬剤の量となる。これにより、計量器(秤)25および計量手段313は、薬剤の量を確認する。
【0027】
通信手段317は、撮像手段312による撮像が完了後に、画像データを薬剤部サーバ19に送信する。また、通信手段317は、読取手段311が読み取った監査番号に該当する指示書情報を電子カルテサーバ11または薬剤部サーバ19から受信する。
【0028】
記憶手段314は、撮像手段312が撮像した映像と、計量手段313が計量した薬剤の重量とを関連付けて外部記憶装置34に記憶させる。具体的には、記憶手段314は、撮像手段312が撮像した薬剤の計量、混注、混合などの作業画像と、作業中の計量手段313が示している計量値とを記憶させる。更に具体的には、記憶手段314は、作業画像と、計量値とを同一画面に記憶させるなどの方法により関連付けて記憶させる。また、記憶手段314は、通信手段317が受信した指示書情報を外部記憶装置34に記憶させる。
【0029】
次に、薬剤部サーバ19が有する機能構成について説明を行う。薬剤部サーバ19のMPU51は、ROM52や外部記憶装置34に記憶された制御プログラムに従って動作することで、
図6に示すように、通信手段511と、記憶手段512と、検索手段513と、表示制御手段514と、として機能する。
【0030】
通信手段511は、薬剤監査装置14から送信された画像データを受信する。記憶手段512は、受信した画像データを画像データベースDBに記憶させる。検索手段513は、画像データベースDBを検索する。表示制御手段514は、画像データベースDBの画像データを表示させる。
【0031】
表示制御手段315は、ディスプレイ35への表示を制御する。また、表示制御手段315は、計量手段313が計量した計量値と、撮像手段312が撮像した映像とを同一画面に表示させる。
【0032】
ここで、
図7は、監査処理用の動画撮影/表示画面の一例を示す説明図である。監査処理用の動画撮影/表示画面70は、担当者名表示領域71と、担当者ID表示領域72と、勤務日時表示領域73と、第1表示内容切替ボタン74と、第2表示内容切替ボタン75と、患者氏名表示領域76と、患者ID表示領域77と、処方日付表示領域78と、動画表示領域79と、処方薬名称表示領域80と、混注対象薬剤リスト表示操作領域81と、チェックマーク表示領域82と、調合日時表示領域83と、タイムライン表示領域84と、移行タイミング表示操作子85、86と、再生操作領域87と、音量調製表示操作領域88と、計量器表示領域90と、計量器単位表示領域91と、を有する。
【0033】
担当者名表示領域71は、混注作業の担当者の氏名が表示される領域である。担当者ID表示領域72は、混注作業の担当者を特定する担当者IDが表示される領域である。勤務日時表示領域73は、混注作業の担当者の勤務日時が表示される領域である。第1表示内容切替ボタン74は、監査処理に対応する混注作業が複数存在する場合に、より指示番号の古い混注作業用の画面を表示するためのボタンである。第2表示内容切替ボタン75は、監査処理に対応する混注作業が複数存在する場合に、より指示番号の新しい混注作業用の画面を表示するためのボタンである。患者氏名表示領域76は、混注作業対象の薬剤を処方する患者の氏名を表示する領域である。患者ID表示領域77は、混注作業対象の薬剤を処方する患者を特定するための患者IDを表示する領域である。処方日付表示領域78は、混注作業対象の薬剤を処方する日付を表示する領域である。
【0034】
動画表示領域79は、撮影中の動画(ビデオ)画像または、再生中の動画(ビデオ)画像を表示する領域である。処方薬名称表示領域80は、混注作業対象の処方薬の名称を表示する領域である。
【0035】
混注対象薬剤リスト表示操作領域81は、混注対象の薬剤名及び処方量を薬剤毎に表示する複数の混注対象薬剤リスト表示操作領域81−1〜81−3を有する領域である。チェックマーク表示領域82は、薬剤の混合が既になされた薬剤に対応してチェックマークが表示される複数のチェックマーク表示領域82−1〜82−3を有する領域である。
【0036】
調合日時表示領域83は、混注作業を行った調合日時を表示する領域である。タイムライン表示領域84は、撮影中の動画の録画経過時間あるいは再生中の動画の再生経過時間及び場面内容の表示を関連付けて表示する領域である。移行タイミング表示操作子85、86は、タイムライン表示領域84と連動して、混注作業の作業工程が、ある工程から他の工程に移行したとされる移行タイミングに表示される操作子である。再生操作領域87は、動画再生時の制御を行うための複数の操作子が設けられた領域である。音量調製表示操作領域88は、再生音量の調製を行う領域である。
【0037】
計量器表示領域90は、撮影中の計量器(秤)25が示した値の動画(ビデオ)画像または、再生中の動画(ビデオ)画像を撮影時に計量器(秤)25が示していた値を表示する領域である。
図7は、0.015を示している状態である。計量器単位表示領域91は、撮影中の計量器(秤)25に設定した単位の動画(ビデオ)画像または、再生中の計量器(秤)25に設定した単位の動画(ビデオ)画像を表示する領域である。
図7は、単位としてg(グラム)を示している状態である。また、計量器表示領域90および計量器単位表示領域91は、動画表示領域79に重畳的に表示してもよい。
【0038】
図6に戻り、検出手段316は、各薬剤の混合調製容器への投入を検出してタイムライン制御データを作成する。ここで、混注作業は、薬剤の計量作業と、一種類あるいは複数種類の薬剤の混合調製容器への投入作業と、混合作業との繰り返しである。そこで、本実施形態においては、各薬剤の混合調製容器への投入タイミングを検出するようにしている。
【0039】
各薬剤の混合調製容器への投入タイミングの検出については、以下のようなものが挙げられる。
(1)オペレータが薬剤を投入し、投入した薬剤に対応する混注対象薬剤リスト表示操作領域81−1〜81−3の何れかがタッチされたことを薬剤監査装置14のMPU31が検出したタイミング。
(2)スキャナ37を介して、薬剤監査装置14のMPU31が、投入対象の薬剤のバーコードを読み込んだタイミング。
(3)カメラ24が撮影した画像に対して画像認識処理を行うことにより、薬剤監査装置14のMPU31が、投入対象の薬剤のバーコードあるいは薬剤名の読み取りが完了したタイミング。
(4)マイク42から入力されたオペレータの音声を音声認識部43が音声認識したことにより、薬剤監査装置14のMPU31が、薬剤の投入を検出したタイミング。
(5)薬剤監査装置14のMPU31が、投入されるべき薬剤に相当する重量を検出したタイミング。
(6)薬剤監査装置14のMPU31が、計量器(秤)25を用いて、指示書情報で指示された量の薬剤が計量されたことを検出したタイミング。
【0040】
タイムライン制御データは、タイムライン表示領域84において、移行タイミング表示操作子85、86を表示するために用いる。この移行タイミング表示操作子85、86は、動画の撮影または再生時には、選択することにより、対応する時刻、投入薬剤名等の表示がなされる。
【0041】
タイムライン制御データは、投入時刻と、薬剤名と、投入量とを含むデータである。投入時刻は、薬剤を投入した時刻である。そして、投入時刻は、絶対時刻あるいは撮影開始時刻からの経過時間である相対時刻にて記憶される。薬剤名は、投入した薬剤の薬剤名称である。そして、薬剤名は、テキストデータにて記憶される。投入量は、投入した薬剤の量である。タイムライン制御データは、画像データに直接組み込まれるようにしても良いし、画像データのメタデータとして別途付加するようにしても良い。
【0042】
図7に示すように、タイムライン制御データは、移行タイミング表示操作子86に薬剤名を表すテキストを付加して表示する。薬剤名を表すテキスト表示は、常時表示してもよい。または、薬剤名を表すテキスト表示は、表示の見やすさの観点から、移行タイミング表示操作子85のように、オペレータが移行タイミング表示操作子を選択あるいは操作した場合にのみ表示を行うように構成しても良い。
【0043】
次に実施形態の動作について説明する。
【0044】
混注を行うに先立って、医師は、情報処理端末装置12を用いて薬剤の指示書情報(例えば、処方箋情報)を含む電子カルテを作成して、電子カルテサーバ11に登録する。
【0045】
指示書情報は、混注対象の薬剤と、薬剤を特定するための情報及び各薬剤の必要数(量)に関する情報と、指示書情報を特定するために割り振られた監査番号とを有する。監査番号は、指示書にバーコード等のシンボルコードとして印刷されていてもよい。
【0046】
混注対象の薬剤の取り揃え及び混注作業を実際に行う看護師等のオペレータは、指示書とともに監査番号を受け取ると、混注対象の薬剤の取り揃え作業を行う。
【0047】
図8は、薬剤監査装置14のMPU31が制御プログラムに従って実行する薬剤監査処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
薬剤監査装置14のMPU31は、初期状態として、ディスプレイ35にログイン画面を表示する(ステップS11)。薬剤監査装置14の操作が許可されている各オペレータ(看護師)は、IDカードを有し、IDカードの認証により薬剤監査装置14の操作が可能になるものとする。ログイン画面は、IDカードに付されている看護師IDのコードシンボルをスキャナ37に読み込ませることを促すガイド画像などである。
【0049】
したがって、オペレータ(看護師)は、ログイン処理を行うために、自己のIDカードに付された看護師IDのコードシンボルをスキャナ37の前にかざして、看護師IDを読み込ませる。次いで、薬剤監査装置14のMPU31は、看護師IDが認証可能であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0050】
薬剤監査装置14のMPU31は、ログイン処理により看護師IDを認証すると(ステップS12;Yes)、ディスプレイ35の表示画面に監査番号入力画面を表示する(ステップS13)。なお、薬剤監査装置14のMPU31は、看護師IDが認証できない場合(ステップS12;No)、ステップS11に戻り、ログイン画面を再度表示する。
【0051】
監査番号入力画面は、指示書に付されている監査番号のコードシンボルをスキャナ37に読み込ませることを促すガイド画像などである。したがって、オペレータ(看護師)は、監査番号の登録処理を行うために、指示書に付されている監査番号のコードシンボルをスキャナ37の前にかざして、監査番号を読み込ませる。または、オペレータ(看護師)は、手入力にて監査番号を読み込ませる。
【0052】
次いで、薬剤監査装置14のMPU31は、監査番号が認証可能であるか否かを判定する(ステップS14)。薬剤監査装置14のMPU31は、監査番号を登録すると(ステップS14;Yes)、ステップS15に移行する。一方、監査番号が登録できない場合に(ステップS14;No)、薬剤監査装置14のMPU31は、ステップS13に戻り、監査番号入力画面を再度表示する。
【0053】
薬剤監査装置14のMPU31は、通信インタフェース40及び通信ネットワーク17を介して、電子カルテサーバ11あるいは薬剤部サーバ19から指示書情報を取得する(ステップS15)。取得した指示書情報に基づいて、薬剤監査装置14のMPU31は、ディスプレイ35の表示画面に、取り揃えるべき薬剤のリストを含む指示内容表示画面を表示する(ステップS16)。
【0054】
次いで、薬剤監査装置14のMPU31は、オペレータがタッチパネル36を操作して撮影指示を入力したか否かを判別する(ステップS17)。この場合に、本実施形態にかかる撮影指示は、直接的な操作であってもよいし、混注作業の開始が指示されたことをもって撮影指示がなされたとみなす間接的な操作であってもよい。
【0055】
撮影指示が入力された場合に(ステップS17;Yes)、薬剤監査装置14のMPU31は、入出力I/O45を介してカメラ24を制御し、予め設定された混注作業位置の動画を撮影させ、画像データを生成させる(ステップS18)。一方、撮影指示が入力されていない場合に(ステップS17;No)、薬剤監査装置14のMPU31は、待機状態となる。
【0056】
その際、薬剤監査装置14のMPU31は、タッチパネルディスプレイ21のディスプレイ35に撮影中の動画を表示させる。
【0057】
混注作業位置の動画の撮影及び画像データの生成と並行して、薬剤監査装置14のMPU31は、薬剤の計量を検出したか否かを判別する(ステップS19)。薬剤の計量を検出しなかった場合に(ステップS19;No)、薬剤監査装置14のMPU31は、再び処理をステップS18に移行する。薬剤の計量を検出した場合に(ステップS19;Yes)、薬剤監査装置14のMPU31は、タイムライン制御データを生成し、画像データに付加する(ステップS20)。
【0058】
次いで、薬剤監査装置14のMPU31は、オペレータにより撮影終了の指示がなされたか否かを判別する(ステップS21)。オペレータにより撮影終了の指示がされていない場合に(ステップS21;No)、薬剤監査装置14のMPU31は、処理をステップS18に移行させる。
【0059】
一方、オペレータにより撮影終了の指示がなされた場合に(ステップS21;Yes)、薬剤監査装置14のMPU31は、カメラ41による撮影を終了して、画像ファイルを外部記憶装置34に記憶させる(ステップS22)。次いで、薬剤監査装置14のMPU31は、通信ネットワーク17を介して画像ファイルを薬剤部サーバ19に送信する(ステップS23)。
【0060】
次に、混注作業の監査時の処理について説明する。
図9は、薬剤部サーバ19のMPU51が制御プログラムに従って実行する薬剤監査処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
薬剤部サーバ19のMPU51は、画像ファイルを特定するための検索画面をディスプレイ55に表示する(ステップS41)。
【0062】
次いで、薬剤部サーバ19のMPU51は、画像ファイルの検索条件として操作者IDが指定され、画像ファイルの取得指示がなされたか否かを判別する(ステップS42)。操作者IDが指定された場合に(ステップS42;Yes)、薬剤部サーバ19のMPU51は、ステップS46に移行する。
【0063】
操作者IDが指定されない場合に(ステップS42;No)、薬剤部サーバ19のMPU51は、画像ファイルの検索条件として監査番号が指定され、画像ファイルの取得指示がなされたか否かを判別する(ステップS43)。監査番号が指定された場合に(ステップS43;Yes)、薬剤部サーバ19のMPU51は、ステップS46に移行する。
【0064】
監査番号が指定されない場合に(ステップS43;No)、薬剤部サーバ19のMPU51は、画像ファイルの検索条件として薬剤のコード情報が指定され、画像ファイルの取得指示がなされたか否かを判別する(ステップS44)。薬剤のコード情報が指定された場合に(ステップS44;Yes)、薬剤部サーバ19のMPU51は、ステップS46に移行する。
【0065】
薬剤のコード情報が指定されない場合に(ステップS44;No)、薬剤部サーバ19のMPU51は、日時情報が指定され、画像ファイルの取得指示がなされたか否かを判別する(ステップS45)。日時情報が指定された場合に(ステップS45;Yes)、薬剤部サーバ19のMPU51は、ステップS46に移行する。ここで、薬剤部サーバ19のMPU51は、画像ファイルの撮影開始時間と、撮影終了時間とを用いて検索条件を満たしているか否かを判定する。日時情報が指定されない場合に(ステップS45;No)、薬剤部サーバ19のMPU51は、ステップS42に戻る。
【0066】
次いで、薬剤部サーバ19のMPU51は、指定された検索条件で画像データベースDBを検索する(ステップS46)。次いで、薬剤部サーバ19のMPU51は、検索条件と一致した画像ファイルのリストを表示する(ステップS47)。
【0067】
薬剤部サーバ19のMPU51は、画像ファイルのリストから画像ファイルが選択されたか否かを判定する(ステップS48)。薬剤部サーバ19のMPU51は、画像ファイルのリストから画像ファイルが選択されない場合に(ステップS48;No)、待機する。一方、薬剤部サーバ19のMPU51は、画像ファイルのリストから画像ファイルが選択された場合に(ステップS48;Yes)、再生画面を表示して、対象の画像ファイルを再生する(ステップS49)。ここで、ディスプレイ55に表示される再生画面は、監査処理用の動画撮像/表示画面70と同様の構成である。
【0068】
画像の再生と並行して、薬剤部サーバ19のMPU51は、移行タイミング表示操作子85、86をオペレータが操作することによる、タイムライン画面遷移が指示されたか否かを判別する(ステップS50)。
【0069】
タイムライン画面遷移が指示されていない場合に(ステップS50;No)、薬剤部サーバ19のMPU51は、オペレータの再生操作領域87の操作子の操作により再生終了指示がなされたか否かを判別する(ステップS51)。
【0070】
未だ再生終了指示がなされていない場合に(ステップS51;No)、薬剤部サーバ19のMPU51は、処理を再びステップS49に移行して、画像再生を継続する。再生終了指示がなされた場合には(ステップS51;Yes)、薬剤部サーバ19のMPU51は、画像再生処理を終了する(ステップS52)。
【0071】
一方、タイムライン画面遷移が指示された場合に(ステップS50;Yes)、薬剤部サーバ19のMPU51は、操作された移行タイミング表示操作子85、86に対応する時刻だけ前のタイミング(たとえば、薬剤の投入を基準とした時刻)に対応する再生画面に遷移させる(ステップS53)。
【0072】
具体的には、
図7の例の場合、タイムライン表示領域84の一目盛りは約10秒に相当する。よって、薬剤「BBBB注射液」の投入時刻は、10時5分のおよそ35秒前(3.5目盛り)である10時4分25秒前後の時刻(基準時刻)であり、見逃しを防止するために基準時刻から所定の時間(たとえば、5秒前)の10時4分20秒から再生を行うように動作する。なお、見逃しを防止するための所定の時間は、任意に設定することも可能である。
【0073】
以上のように、第1の実施形態によれば、混注対象の薬剤の監査作業を動画にて撮像する。その際に、計量器(秤)25の表示も併せて記録する。また、移行タイミング表示操作子85、86により、混注作業のどの工程であるかも明確になる。よって、混注作業と、混注作業における薬剤の計量値とを容易に記録することが可能になる。
【0074】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る薬剤監査装置14aについて説明を行う。
【0075】
第2の実施形態は、薬剤監査装置14aとクリーンベンチ100とが一体となっている点が第1の実施形態に係る薬剤監査装置14と異なっている。ここで、
図10は、第2の実施形態に係る薬剤監査装置14aの外観を示す斜視図である。
【0076】
薬剤監査装置14aは、クリーンベンチ100内に、大別すると、第1のタッチパネルディスプレイ21aと、プリンタ23aと、カメラ24aと、計量器(秤)25aと、スキャナ37aと、マイク42aと、第2のタッチパネルディスプレイ65と、スピーカ66とを備えている。
【0077】
クリーンベンチ100は、埃や環境微生物の混入を避けながら薬剤の計量、混注、混合、製剤、調剤などの作業を行うための装置である。第2の実施形態は、クリーンベンチ100に後述する各部を備えることで無埃、無菌状態で作業を行うことが可能である。第1のタッチパネルディスプレイ21aは、第1の実施形態に係る薬剤監査装置14のタッチパネルディスプレイ21と同様の機能を有する。プリンタ23aは、クリーンベンチ100の内部に本体が設置される。カメラ24aは、第1の実施形態に係る薬剤監査装置14のタッチパネルディスプレイ21と同様の機能を有する。そして、カメラ24aは、オペレータが行う作業が撮像可能な位置に設置される。計量器(秤)25aは、第1の実施形態に係る薬剤監査装置14の計量器(秤)25と同様の機能を有する。スキャナ37aは、第1の実施形態に係る薬剤監査装置14のスキャナ37と同様の機能を有する。マイク42aは、第1の実施形態に係る薬剤監査装置14のマイク42と同様の機能を有する。第2のタッチパネルディスプレイ65は、監査者用のディスプレイである。これにより、監査を受けながら計量、混注、混合、製剤、調剤などの作業を行うことが可能である。スピーカ66は、薬剤監査装置14aからの各種音声を発する。
【0078】
以上のように、第2の実施形態によれば、薬剤監査装置14aは、クリーンベンチ100と一体になっている。よって、第2の実施形態は、埃や環境微生物の混入を避けながら薬剤の計量、混注、混合、製剤、調剤などの作業を行うことが可能となる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0080】
なお、上記実施形態では、混注作業を例に説明しているが記録対象の作業は、混注作業に限らない。例えば、計量、混合、製剤、調剤などの作業であってもよい。
【0081】
なお、上記実施形態では、通信インタフェース40及び通信ネットワーク17を介して、電子カルテサーバ11あるいは薬剤部サーバ19から指示書情報を取得すると説明している。しかし、指示書情報は、通信ネットワーク17を経由しないで薬剤監査装置14に入力されてもよい。この場合には、入出力I/O45に、指示書情報を有した記憶装置を接続することで取得してもよい。または、タッチパネル36から指示書情報を直接入力してもよい。これにより、通信ネットワークが整備されていない環境においても使用することが可能となる。
【0082】
なお、上記実施形態では、画像ファイルを薬剤部サーバ19に送信すると説明している。しかし、画像ファイルは、薬剤部サーバ19に送信しなくともよい。画像ファイルは、薬剤監査装置14の外部記憶装置34に保存してもよい。または、画像ファイルは、電子カルテサーバ11、情報処理端末装置(医師用)12、情報処理端末装置(看護師用)13などの他の装置に送信して保存してもよい。
【0083】
なお、上記実施形態では、操作者ID、監査番号、薬剤コード、日時の何れか一つを、画像ファイルを検索する検索条件として選択し、検索すると説明している。しかし、検索条件は一つに限らない。検索条件は、操作者ID、監査番号、薬剤コード、日時から複数選択してもよい。また、作業者氏名、患者氏名、薬品名、薬品名通称などを検索条件として加えてもよい。
【0084】
なお、上記実施形態では、タッチパネルディスプレイ21に撮像した映像を表示していると説明している。ディスプレイ等の表示部は、新たに接続し増設してもよい。これにより、2人体制でダブルチェックをしながらの作業が可能となる。
【0085】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0086】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。