(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
無線電力送信技術(Wireless Power Transmission Technology)は、無線でエネルギーを電力源からデバイスに送信する技術である。送信距離は、数ミリメートル(mm)の近距離だけではなく、数メートル(m)程度の中距離(mid−range)送信が可能である。下記の説明で、充電は無線電力送信を用いてデバイスを充電する場合を意味する。
【0014】
図1は、一般的な無線電力送信システムの一例を説明するための図である。
図1に示す例では、無線電力送信システムによって無線で電力が送信され、このとき送信される電力を共振電力(resonance power)と称する。
【0015】
図1に示すように、無線電力送信システムは、ソースとターゲットで構成されるソース−ターゲット構造である。即ち、無線電力送信システムは、ソース部を含む共振電力送信装置110とターゲット部を含む共振電力受信装置120を備える。
【0016】
共振電力送信装置110は、外部の電圧供給機からエネルギーを受信して共振電力を発生させるソース部111及びソース共振器115を備える。また、共振電力送信装置110は、共振周波数又はインピーダンスマッチングを行う整合制御部(Matching control)113をさらに備えてもよい。
【0017】
ソース部111は、外部の電圧供給機からエネルギーを受信して共振電力を発生する。ソース部111は、外部装置から入力される交流信号の信号レベルを所望するレベルに調整するためのAC−ACコンバーター、AC−ACコンバーターから出力される交流信号を整流することによって、一定レベルのDC電圧を出力するAC−DCコンバーター、AC−DCコンバーターから出力されるDC電圧を高速スイッチングすることによって、数MHz〜数十MHz帯域のAC信号を生成するDC−ACインバーターを含む。
【0018】
整合制御部113は、ソース共振器115の共振帯域幅(Resonance Bandwidth)又はソース共振器115のインピーダンスマッチング周波数を設定する。整合制御部113は、ソース共振帯域幅設定部(図示せず)又はソースマッチング周波数設定部(図示せず)のうち少なくとも1つを備える。ソース共振帯域幅設定部は、ソース共振器115の共振帯域幅を設定する。ソースマッチング周波数設定部は、ソース共振器115のインピーダンスマッチング周波数を設定する。ここで、ソース共振器の共振帯域幅又はソース共振器のインピーダンスマッチング周波数設定に応じて、ソース共振器115のQファクター(Q−Factor)を決定する。
【0019】
ソース共振器115は電磁気エネルギーをターゲット共振器に伝達する。即ち、ソース共振器115は、ターゲット共振器121とのマグネチックカップリング101によって共振電力をターゲット装置120に伝達する。ここで、ソース共振器115は設定された共振帯域幅内で共振する。
【0020】
例えば、共振電力受信装置120は、ターゲット共振器121、共振周波数又はインピーダンスマッチングを行う整合制御部123及び受信した共振電力を負荷に伝達するためのターゲット部125を備える。負荷は例えば、共振電力受信装置120に対応するデバイス又はデバイスの動作であり、共振電力受信装置120はモバイルフォンである場合、ターゲット部125は受信した電力をモバイルフォンの動作を駆動するために伝達する。
【0021】
ターゲット共振器121は、ソース共振器115からマグネチックカップリング101を介して電磁気エネルギーを受信する。ここで、ターゲット共振器121は設定された共振帯域幅内で共振する。
【0022】
整合制御部123は、ターゲット共振器121の共振帯域幅又はターゲット共振器121のインピーダンスマッチング周波数のうち少なくとも1つを設定する。整合制御部123は、ターゲット共振帯域幅設定部(図示せず)又はターゲットマッチング周波数設定部(図示せず)のうち少なくとも1つを備える。ターゲット共振帯域幅設定部は、ターゲット共振器121の共振帯域幅を設定する。ターゲットマッチング周波数設定部は、ターゲット共振器121のインピーダンスマッチング周波数を設定する。ここで、ターゲット共振器121の共振帯域幅又はターゲット共振器121のインピーダンスマッチング周波数設定に応じて、ターゲット共振器121のQファクターが決定される。
【0023】
ターゲット部125は、受信した共振電力を負荷に伝達する。ここで、ターゲット部125は、ソース共振器115からターゲット共振器121に送信されたAC信号を整流してDC信号を生成するAC−DCコンバーターと、DC信号の信号レベルを調整することによって定格電圧をデバイス又は負荷に供給するDC−DCコンバーターを含む。
【0024】
ソース共振器115及びターゲット共振器121は、ヘリックス(helix)コイル構造の共振器、スパイラル(spiral)コイル構造の共振器、又はメタ(meta−)構造の共振器の何れかから構成される。
【0025】
図1に示すように、Qファクターの制御過程は、ソース共振器115の共振帯域幅及びターゲット共振器121の共振帯域幅を設定し、ソース共振器115とターゲット共振器121との間のマグネチックカップリングによって電磁気エネルギーを前記ソース共振器115から前記ターゲット共振器121に伝達することを含む。ここで、ソース共振器115の共振帯域幅は、ターゲット共振器121の共振帯域幅よりも広くか、又は、狭く設定される。即ち、ソース共振器115の共振帯域幅がターゲット共振器121の共振帯域幅より広くか、又は、狭く設定されることによって、ソース共振器のBW−ファクターと前記ターゲット共振器のBW−ファクターは互いに不平衡(unbalanced)の関係を保持する。
【0026】
共振方式の無線電力送信において、共振帯域幅は重要なファクターである。ソース共振器115とターゲット共振器121との間の距離変化、共振インピーダンスの変化、インピーダンスミスマッチング、反射信号などを全て考慮したQファクターをQtとする場合、Qtは数式(1)が示すように、共振帯域幅(Δf)と反比例関係を有する。
【数1】
【0027】
数式(1)において、f
0は中心周波数、Δfは共振帯域幅、(Γ
S,D)は共振器の間の反射損失、BW
Sはソース共振器115の共振帯域幅、BW
Dはターゲット共振器121の共振帯域幅を示す。本明細書において、BWファクターは(1/BW
S)又は(1/BW
D)を意味する。
【0028】
一方、ソース共振器115とターゲット共振器121との間の距離が変わるか、又は、2つのうち1つの位置が変化すれば、ソース共振器115とターゲット共振器121との間のインピーダンスミスマッチングが発生することがある。インピーダンスミスマッチングは、電力伝達の効率を低下する直接的な原因になり得る。整合制御部113は、送信信号の一部が反射して戻ってくる反射波を検出することによって、インピーダンスミスマッチングが発生したと判断し、インピーダンスマッチングを行う。また、整合制御部113は、反射波の波形分析によって共振ポイントを検出することで共振周波数を変更する。ここで、整合制御部113は、反射波の波形で振幅が最小である周波数を共振周波数として決定する。例えば、無線電力の送信効率を向上するために整合制御部113は共振周波数を反射波が最小振幅を有する周波数に変更する。
【0029】
図2は、
本発明の実施形態に係る無線電力充電のための無線充電セットの一例を説明するための図である。
図2に示すように、無線充電セットは、ソース部210及び複数のデバイス220、230、240を備える。
【0030】
ソース部210は、全方向に無線電力を送信する複数のソース共振器211、212を備える。
図2ではソース共振器211、212が2個の場合を示すが、ソース共振器211、212の数は1個であるか、又は、3個以上であってもよい。ソース部210は柱状のバー20上に備えられる。即ち、複数のソース共振器211、212はバー20の互いに異なる面又は1つの面に左右又は上下、又は任意に備えられる。
【0031】
また、ソース部210を構成する複数のソース共振器211、212は柔軟性を有する。従って、バー20が円柱である場合、ソース部210又は複数のソース共振器211、212は円柱バー20の横面に沿ってフレキシブルに、機能の損傷なしに備えられる。
【0032】
複数のソース共振器211、212のうち少なくとも1つは、一例として、複数の薄膜型の共振器を並列形態に配置してなる3−D形態の共振器である。複数の薄膜型の共振器を並列に配置すると、無線電力の送信効率及び送信距離を増加できる。
【0033】
複数のデバイス220、230、240は、バー20の周辺に位置して各々の電源を充電する。例えば、
図2に示すように、複数のデバイス220、230、240はバー20の設けられた受け台30に置かれた状態で、ソース部210から無線電力を受信する。
【0034】
バー20と受け台30は、例えば、コンピュータ又はTVのモニター据え置き台である。また、複数のデバイス220、230、240は、3次元映像を視聴するための3次元メガネ、又は、3次元テレビやノート型パソコンで使用可能なブルートゥースヘッドセット、携帯端末など、充電を必要とする全ての電子機器の何れかである。
【0035】
一方、ソース部210は全方向性の無線電力送信を行う。複数のデバイス220、230、240は無線電力が受信可能な距離に位置すれば、無線電力をソース部210から受信できる。即ち、複数のデバイス220、230、240は、各々に備えられたターゲット共振器の面とソース部210が位置するバー20の面がなす角度、複数のデバイス220、230、240の位置に関わらず充電可能である。
【0036】
そのために、複数のデバイス220、230、240は各々少なくとも1つのターゲット共振器と充電回路を含む。以下ではデバイス220を例に挙げて説明する。
【0037】
デバイス220は、ソース部210から全方向に送信される無線電力と整合(matching)されて無線電力を受信し、受信された無線電力を用いて充電回路でその電源を充電する。即ち、デバイス220は、複数のターゲット共振器のうち少なくとも1つのターゲット共振器によって受信される無線電力を用いて電源を充電できる。
【0038】
例えば、複数のターゲット共振器が無線電力と整合がとれれば、デバイス220は2つのターゲット共振器を用いて同時に無線電力を受信する。そのために、複数のターゲット共振器は、複数のターゲット共振器の位置が互いに直交するように備えられる。即ち、互いに直交するよう備えられることで、複数のターゲット共振器で発生するフィールド(電磁波)は、その直交性によって互いに影響することなく整合がとれる。また、このような特性を用いてソース共振器からのフィールドによるマグネチックカップリングを介して無線電力を受信する。上述したように同時に複数のターゲット共振器が無線電力を受信する場合、受信される無線電力を合わせて充電することで、より効率よく無線電力の送受信と充電を可能にする。
【0039】
また、複数のデバイス220、230、240は、ソース部210から無線電力を受信する時間を共有し得る。即ち、複数のデバイス220、230、240は、ソース部210から送信される無線電力を用いて同時に充電できる。他の例として、複数のデバイスは同時に電力を受信できないこともある。
【0040】
図3は、
本発明の実施形態に係る無線電力充電のための無線充電セットの他の例を説明するための図である。
図3を参照すると、無線充電セットはソース部310及び複数のデバイス320〜360を備える。
【0041】
ソース部310及び複数のデバイス320〜360は、
図2を参照して説明したソース部210及び複数のデバイス220〜240と類似しているので、詳細な説明は省略する。ただし、ソース部310は全方向に無線電力を送信する、フレキシブルな少なくとも1つのソース共振器を備える。ソース部310は充電据え置き台40の一面、例えば、上面に設けられる。従って、ソース共振器が複数である場合、ソース共振器は充電据え置き台40の一面に任意、又は一定の規則に従って固定された位置に備えられる。
【0042】
複数のデバイス320〜360は充電を必要とする場合、充電据え置き台40の一面に置かれて充電できる。そのために、複数のデバイス320〜360は各々少なくとも1つのターゲット共振器を備える。複数のデバイス320〜360が充電据え置き台40上又は近傍に置かれれば、各ターゲット共振器は、ソース部310から全方向に送信される無線電力と整合がとれ、各デバイス320〜360は整合がとれた無線電力を用いて充電する。これによって、複数のデバイス320〜360は、複数のデバイス320〜360に備えられたターゲット共振器の面とソース部310に備えられたソース共振器の面がなす角度、複数のデバイス320〜360の位置に関わらず充電可能である。
【0043】
図2を参照して説明したように、複数のデバイス320〜360は、3次元メガネ、又は、3次元テレビ乃至ノート型パソコンで使用可能なブルートゥースヘッドセット、携帯用端末など、充電を必要とする全ての電子機器の何れかである。
【0044】
図4は、
本発明の実施形態に係る無線電力充電のための無線充電セットの他の例を説明するための図である。
図4を参照すると、無線充電セットは、複数のソース部410、420及び複数のデバイス430〜450を備える。
【0045】
ソース部410は柱状のバー50に備えられ、複数のソース共振器411、412を含む。ソース部410は、
図2に示すソース部210と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0046】
ソース部420は、複数のデバイス430〜450が充電のために据置される充電据え置き台60に挿入される。ソース部420は、
図3に示すソース部310と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0047】
バー50に備えられるソース部410の複数のソース共振器411、412と、充電据え置き台60に備えられるソース部420のソース共振器とは、互いに垂直に位置するため、ソース部410のソース共振器とソース部420のソース共振器の間の相互干渉が最小化される。従って、少なくとも1つのターゲット共振器を含む複数のデバイス430〜450が充電据え置き台60のどこに位置しても、さらに高い効率で無線電力を送受信できる。そして、ここで、ソース部410とソース部420に電力を供給するフィーダ(feeder)は図示しないが、1つに構成され、同時に各々電力を供給する。又は、フィーダは各ソース部410、420別に構成されてソース部410、420各々に電力を供給する。
【0048】
例えば、デバイス430に1つのターゲット共振器のみが挿入された場合、又は、2つのターゲット共振器が互いに直交するように挿入されている場合、デバイス430は無線電力を受信して充電できる。
【0049】
フィーダは、ソース部410及びソース部420に電力を供給する様々な種類の電源の何れかである。例えば、フィーダは、有線でソース部410及びソース部420に電力を供給する。又は、フィーダは、無線でソース部410及びソース部420に電力を供給する。
【0050】
図5は、無線電力送信のためのソース共振器の一例を説明するための図である。
図3に示されたソース部310のソース共振器は一例として、
図5を参照して説明するMNG(mu negative、ミューネガティブ)共振器である。
図5に示したソース共振器は全方向に無線電力を送信し、送信線路部510及びキャパシタ520を含む。
【0051】
送信線路部510は複数の送信線シート(Sheet)が並列に配置された構造をとる。キャパシタ520は、送信線路部510の特定位置に挿入される。ソース共振器に生成される電界(electric field)はキャパシタ520に閉じ込められる。
【0052】
キャパシタ520は、集中素子(lumped element)及び分散素子(distributed element)などの様々な形状をとる。例えば、インターデジタル(interdigital)キャパシタ、及び高い誘電率を有する基板が中間に挿入されたギャップ(gap)キャパシタがある。キャパシタ520が送信線路部510に挿入されることによって、ソース共振器はメタ物質(meta material)の特性を有する。
【0053】
メタ物質とは、自然で発見されることのできない特別な電気的な性質を有する物質であり、人工的に設計された構造を有する。自然界に存在する全ての物質の電磁気特性は固有の誘電率又は透磁率を有し、大部分の物質は正の誘電率及び正の透磁率を有する。大部分の物質において、電界、磁界及びポインティング・ベクトルには右手の法則が適用されるため、このような物質をRHM(Right Handed Material、右手系物質)という。しかし、メタ物質は自然界で存在しない誘電率ε又は透磁率μを有する物質であり、誘電率又は透磁率の符号によりENG(epsilon negative、負ε)物質、MNG(mu negative、負μ)物質、DNG(double negative、負ε・負μ)物質、NRI(negative refractive index、負屈折率)物質、LHM(left−handed_material、左手系物質)などに分類される。
【0054】
ここで、集中素子として挿入されたキャパシタ520のキャパシタンスが適切に決定される場合、ソース共振器はメタ物質の特性を有する。特に、キャパシタ520のキャパシタンスを適切に調整することによって、ソース共振器は負の透磁率を有し得るため、ソース共振器はMNG共振器と呼ばれる。MNG共振器の共振周波数は、MNG共振器の物理的なサイズを変更することなく、キャパシタを適切に設計変更して変更できる。また、MNG共振器は集中素子としてキャパシタ520を用いて高いQファクターを有し得るので、電力送信の効率を向上できる。
【0055】
図6は、デバイスに挿入されるターゲット共振器を説明するための図である。
図6に示したデバイスは、
図2又は
図3を参照して説明したデバイス220〜240、320〜360の具体例である。複数のターゲット共振器610、620の位置は
図6に示す例で示した位置に限定されることなく、ユーザ又は製造者の必要に応じて様々な位置に挿入できる。デバイスが図示したように、3次元映像を視聴するための3次元メガネである場合、複数のターゲット共振器610、620はメガネフレームのテンプル(temple、こめかみ)だけではなく、ブリッジ(bridge)又はフレーム(frame)など、様々な位置に挿入できる。例えば、3次元メガネは、メガネフレームのこめかみ部に備えられる第1ターゲット共振部及びブリッジ又はフレームに備えられる第2ターゲット共振部を含む。また、複数のターゲット共振器610、620は、取り外し可能に構成されて、3次元メガネ又はブルートゥースヘッドセットに必要に応じて装着される場合がある。
【0056】
また、
図6に示された複数のターゲット共振器610、620とデバイスの大きさの比率は固定的ではなく変動可能である。即ち、複数のターゲット共振器610、620の大きさは、
図6に示すものよりも大きいか、又は、小さい場合がある。
【0057】
また、例えば、複数のターゲット共振器610、620がメガネフレームの右側テンプルに備えられ、左側テンプルにはバッテリと充電回路が備えられるように設計される場合がある。
【0058】
複数のターゲット共振器610、620のうち少なくとも1つは、一例として、複数の薄膜型の共振器を並列形態に配置した3−D形態の共振器である。又は、複数のターゲット共振器610、620のうち少なくとも1つは、
図4を参照して説明したMNG共振器形態に設計される場合がある。複数の薄膜型の共振器を並列に配置するか、又は、MNG共振器形態に設計すれば、無線電力の受信効率及び受信距離を増加できる。
【0059】
また、選択的に、
図2及び
図3を参照して説明したターゲット共振器又は充電回路には外部衝撃又は防水からの保護及び遮蔽のためのフィルムがラッピングされる。
【0060】
図7は、一実施形態に係る2次元構造の共振器を示す図である。
図7を参照すれば、一実施形態に係る2次元構造の共振器は、第1信号導体部分711、第2信号導体部分712、及びグラウンド導体部分713を含む送信線路(
図5の510)、キャパシタ720、整合器730、及び導体741、742を備える。
【0061】
図7に示すように、キャパシタ720は、送信線路で第1信号導体部分711と第2信号導体部分712との間の位置に直列に挿入され、それによって電界はキャパシタ720に閉じ込められる。一般的に、送信線路は上部に少なくとも1つの導体、下部に少なくとも1つの導体を含み、上部にある導体を介して電流が流れ、下部にある導体は電気的にグラウンドされる。本明細書では、送信線の上部にある導体を第1信号導体部分711と第2信号導体部分712に分割して呼び、送信線路の下部にある導体をグラウンド導体部分713と呼ぶ。
【0062】
図7に示すように、本発明の一実施形態に係る共振器700は、2次元構造の形態を有する。送信線路路は、上部に第1信号導体部分711及び第2信号導体部分712を含み、下部にグラウンド導体部分713を含む。第1信号導体部分711及び第2信号導体部分712とグラウンド導体部分713は互いに向かい合うように配置される。電流は第1信号導体部分711及び第2信号導体部分712を通じて流れる。
【0063】
また、
図7に示すように、第1信号導体部分711の一端は導体742を介して接地され、他端はキャパシタ720と接続される。そして、第2信号導体部分712の一端は導体741を介して接地され、他端はキャパシタ720と接続される。即ち、第1信号導体部分711、第2信号導体部分712、及びグラウンド導体部分713、導体741、742は互いに接続されることによって、共振器700は電気的に閉鎖されているループ構造を有する。ここで、「ループ構造」は円形構造、四角形のような多角形の構造などを全て含み、「ループ構造を有する」ことは電気的に閉回路をなすことを意味する。
【0064】
キャパシタ720は送信線路の中間部に挿入される。より具体的には、キャパシタ720は第1信号導体部分711と第2信号導体部分712との間に挿入される。ここで、キャパシタ720は、上述のように集中素子(lumped element)及び分散素子(distributed element)などの形態を有する。特に、分散素子の形態を有する分散キャパシタは、ジグザグ形態の導体ラインとその導体ラインとの間に存在する高い誘電率を有する誘電体を含む。
【0065】
キャパシタ720が送信線路に挿入されることによって共振器700はメタ物質の特性を有し得る。ここで、メタ物質とは、自然で発見されることのできない特別な電気的な性質を有する物質であり、人工的に設計された構造を有する。自然界に存在する全ての物質の電磁気特性は固有の誘電率又は透磁率を有し、大部分の物質は正の誘電率及び正の透磁率を有する。大部分の物質において、電界、磁界及びポインティング・ベクトルには右手の法則が適用されるため、このような物質をRHM(Right Handed Material)という。
しかし、メタ物質は自然界で存在しない誘電率又は透磁率を有する物質であり、誘電率又は透磁率の符号によりENG物質、MNG物質、DNG物質、NRI物質、LHM物質などに分類される。
【0066】
ここで、集中素子として挿入されたキャパシタ720のキャパシタンスが適切に決定される場合、前記共振器700はメタ物質の特性を有する。特に、キャパシタ720のキャパシタンスを適切に調整することによって、共振器は負の透磁率を有し得るので、本発明の一実施形態に係る共振器700はMNG共振器と呼ばれる。以下で説明するように、キャパシタ720のキャパシタンスを定める基準(criterion)は様々であり得る。共振器700がメタ物質の特性を有する基準、共振器700が対象周波数で負の透磁率を有する基準、又は共振器700が対象周波数でゼロ番目共振(Zeroth−Order Resonance)の特性を有する基準などがあり、例えば、上述した基準のうち少なくとも1つの基準の下でキャパシタ720のキャパシタンスを決定する。
【0067】
MNG共振器700は、伝搬定数(propagation constant)が0であるときの周波数を共振周波数として有するゼロ番目共振の特性を有し得る。MNG共振器700がゼロ番目共振特性を有する場合、共振周波数はMNG共振器700の物理的なサイズに対して独立的である。即ち、下記で再び説明するが、MNG共振器700で共振周波数を変更するためにはキャパシタ720を適切に設計するだけで充分であり、MNG共振器700の物理的なサイズを変更しなくてもよい。
【0068】
また近接フィールドにおいて、電界が送信線路に挿入されたキャパシタ720に集中しているので、近接フィールドでは磁界が支配的(dominant)になる。そして、MNG共振器700は集中素子のキャパシタ720を用いて高いQファクターを有するので、電力送信の効率を向上できる。参考までに、Qファクターは、無線電力送信において、抵抗損失の程度、又は抵抗に対するリアクタンスの比を表すが、Qファクターが大きいほど無線電力送信の効率は大きいと理解される。
【0069】
また、MNG共振器700はインピーダンスマッチングのための整合器730を備える。ここで、整合器730は、MNG共振器700の磁界の強度を適切に調整でき、整合器730によってMNG共振器700のインピーダンスが決定される。そして、電流はコネクタを介してMNG共振器700に流入するか、又は、MNG共振器700から流出する。ここで、コネクタはグラウンド導体部分713又は整合器730に接続される。ただし、コネクタとグラウンド導体部分713又は整合器730の間に物理的な連結なしで、(電磁)カップリングを介して電力が送信されてもよい。
【0070】
より具体的に、
図7に示すように、整合器730は、共振器700のループ構造によって形成されるループ内に一体化された形態で位置する。整合器730は、物理的な形態を変更することによって共振器700のインピーダンスを調整する。特に、整合器730は、グラウンド導体部分713から距離hだけ離れた位置にインピーダンスマッチングのための導体731を含み、共振器700のインピーダンスは距離hを調整することによって変更され得る。
【0071】
図7には示していないが、整合器730を制御できるコントローラが存在する場合、整合器730はコントローラによって生成される制御信号によって整合器730の物理的な形態を変更する。例えば、制御信号によって整合器730の導体731とグラウンド導体部分713との間の距離hが増加又は減少し、それによって整合器730の物理的な形態が変更されることで、共振器700のインピーダンスが調整される。
【0072】
整合器730は、
図7に示すように導体の部分731のような受動素子で実現されるか、又は、実施形態によってはダイオード、トランジスタなどのような能動素子で実現される。能動素子が整合器730に含まれる場合、能動素子はコントローラによって生成される制御信号により駆動され、その制御信号に応じて共振器700のインピーダンスは調整される。例えば、整合器730には能動素子の一種であるダイオードが含まれ、ダイオードが「on」又は「off」の状態であるかに応じて共振器700のインピーダンスが調整される。
【0073】
また、
図7に示していないが、MNG共振器700を貫通するマグネチックコアをさらに含んでもよい。このようなマグネチックコアは電力送信距離を増加する機能を行う。
【0074】
図8は一実施形態に係る3次元構造の共振器を示す図である。
図8を参照すれば、一実施形態に係る3次元構造の共振器800は、第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、及びグラウンド導体部分813を含む送信線路及びキャパシタ820を含む。ここで、キャパシタ820は、送信線路で第1信号導体部分811と第2信号導体部分812との間に位置に直列に挿入され、電界はキャパシタ820に閉じ込められる。
【0075】
また、
図8に示すように、共振器800は3次元構造の形態を有する。送信線路路は、上部に第1信号導体部分811及び第2信号導体部分812を含み、下部にグラウンド導体部分813を含む。第1信号導体部分811及び第2信号導体部分812とグラウンド導体部分813は互いに向かい合うように配置される。電流は、第1信号導体部分811及び第2信号導体部分812を通じてx方向に流れ、このような電流によって−y方向に磁界H(w)が発生する。もちろん、
図8に示すものとは相異なり、+y方向に磁界H(w)が発生してもよい。
【0076】
また、
図8に示すように、第1信号導体部分811の一端は導体842を介して接地され、他端はキャパシタ820と接続される。そして、第2信号導体部分812の一端は導体841を介して接地され、他端はキャパシタ820と接続される。即ち、第1信号導体部分811、第2信号導体部分812、及びグラウンド導体部分813、導体841、842は互いに接続されることによって、共振器800は電気的に閉鎖されているループ構造を有する。ここで、「ループ構造」は円形構造、四角形のような多角形の構造などを全て含み、「ループ構造を有する」ことは電気的に閉回路をなすことを意味する。
【0077】
また、
図8に示すように、キャパシタ820は、第1信号導体部分811と第2信号導体部分812との間に挿入される。ここで、キャパシタ820は、上述のように集中素子又は分散素子などの形態を有する。特に、分散素子の形態を有する分散キャパシタは、ジグザグ形態の導体ラインとその導体ラインとの間に存在する高い誘電率を有する誘電体を含む。
【0078】
図8に示すように、キャパシタ820が送信線路に挿入されることによって共振器800はメタ物質の特性を有し得る。集中素子として挿入されたキャパシタ820のキャパシタンスが適切に決定される場合、共振器800はメタ物質の特性を有する。特に、キャパシタ820のキャパシタンスを適切に調整することによって、共振器800は特定の周波数帯域において負の透磁率を有し得るので、本発明の一実施形態に係る共振器800はMNG共振器と呼ばれる。下記で説明するが、キャパシタ820のキャパシタンスを定める基準は様々であり得る。共振器800がメタ物質の特性を有する基準、共振器800が対象周波数で負の透磁率を有する基準、又は共振器800が対象周波数でゼロ番目共振の特性を有する基準などがあり、例えば、上述した基準のうち少なくとも1つの基準の下でキャパシタ820のキャパシタンスを決定する。
【0079】
図8に示すように、MNG共振器800は、伝搬定数が0であるときの周波数を共振周波数として有するゼロ番目共振の特性を有し得る。MNG共振器800がゼロ番目共振の特性を有する場合、共振周波数はMNG共振器800の物理的なサイズに対して独立的である。即ち、MNG共振器800で共振周波数を変更するためにはキャパシタ820を適切に設計するだけで充分であり、MNG共振器800の物理的なサイズを変更しなくてもよい。
【0080】
図8に示すように、MNG共振器800を参照すれば、近接フィールドにおいて、電界が送信線路810に挿入されたキャパシタ820に集中しているので、近接フィールドでは磁界が支配的になる。特に、ゼロ番目共振特性を有するMNG共振器800は磁気双極子(magnetic dipole)に類似の特性を有するので、近接フィールドでは磁界が支配的になり、キャパシタ820の挿入により発生する少ない量の電界又はそのキャパシタ820に集中されるので、近接フィールドでは磁界がさらに支配的になる。MNG共振器800は集中素子のキャパシタ820を用いて高いQファクターを有するので、電力送信の効率を向上できる。
【0081】
また、
図8に示すように、MNG共振器800はインピーダンスマッチングのための整合器830を備える。ここで、整合器830は、MNG共振器800の磁界の強度を適切に調整でき、整合器830によってMNG共振器800のインピーダンスが決定される。そして、電流はコネクタ840を介してMNG共振器800に流入するか、又は、MNG共振器800から流出する。ここで、コネクタ840はグラウンド導体部分813又は整合器830と接続される。
【0082】
より具体的に、
図8に示すように、整合器830は共振器800のループ構造によって形成されるループの内部に位置する。整合器830は物理的な形態を変更することによって共振器800のインピーダンスを調整する。特に、整合器830はグラウンド導体部分813から距離hだけ離隔された位置にインピーダンスマッチングのための導体部分831を含み、共振器800のインピーダンスは距離hを調整することによって変更され得る。
【0083】
図8には示していないが、整合器830を制御できるコントローラが存在する場合、整合器830はコントローラによって生成される制御信号に応じて整合器830の物理的な形態を変更する。例えば、制御信号に応じて整合器830の導体831とグラウンド導体部分813との間の距離hが増加又は減少し、これにより整合器830の物理的な形態が変更されることで共振器800のインピーダンスが調整される。
整合器830の導体831とグラウンド導体部分813との間の距離hは様々な方式で調整される。即ち、第1に、整合器830には様々な導体が含まれてもよく、その導体のうち何れか1つを適応的に活性化することによって距離hが調整され得る。第2に、導体831の物理的な位置を上下に調整することによって距離hが調整される。このような距離hはコントローラの制御信号に応じて制御され、コントローラは様々なファクターを考慮して制御信号を生成する。
【0084】
整合器830は、
図8に示すように、導体の部分831のような受動素子で実現されるか、又は、実施形態によってはダイオード、トランジスタなどのような能動素子で実現される。能動素子が整合器830に含まれる場合、能動素子はコントローラによって生成される制御信号により駆動され、その制御信号に応じて共振器800のインピーダンスは調整される。例えば、整合器830には能動素子の一種であるダイオードが含まれ、ダイオードが「on」又は「off」の状態であるかに応じて共振器800のインピーダンスが調整される。
【0085】
また、
図8には明示的には示していないが、MNG共振器800を貫通するマグネチックコアをさらに含んでもよい。このようなマグネチックコアは電力送信距離を増加する機能を行う。
【0086】
図9は一実施形態に係るバルキー型(bulky type)に設計された無線電力送信のための共振器900を示す図である。
図9を参照すれば、第1信号導体部分911と導体942は個別的に製造された後に互いに接続されるのではなく、一体型に製造される。同様に、第2信号導体部分912と導体941も一体型に製造される。
【0087】
仮に、第2信号導体部分912と導体941が個別的に製造された後互いに接続される場合、継ぎ目950による導体損失が発生し得る。ここで、本発明の実施形態によれば、第2信号導体部分912と導体941は別途の継ぎ目なしで(seamless)互いに接続され、導体941とグラウンド導体部分913も別途の継ぎ目なしで互いに接続されることで、継ぎ目による導体損失を低減できる。即ち、第2信号導体部分912とグラウンド導体部分913は別途の継ぎ目なしで一体型に製造される。同様に、第1信号導体部分911とグラウンド導体部分913は別途の継ぎ目なしで1つの一体型に製造される。
【0088】
図9に示すように、別途の継ぎ目なしで一体型に2以上の部分を互いに接続する類型をバルキー型と呼ぶ。
【0089】
図10は、一実施形態に係る中空型(Hollow type)に設計された無線電力送信のための共振器1000を示す図である。
図10を参照すれば、中空形に設計された無線電力送信のための共振器1000の第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、グラウンド導体部分1013、導体1041、1042各々は内部に空いている空間を含む。
【0090】
与えられた共振周波数において、有効電流は第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、グラウンド導体部分1013、導体1041、1042各々の全ての部分を介して流れるのではなく、一部の部分(表面に近接する部分)のみを介して流れるものとモデリングできる。即ち、与えられた共振周波数において、第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、グラウンド導体部分1013、導体1041、1042の厚さが各々の表皮厚さ(skin depth)よりも過度に厚いことは効率的ではない。即ち、それは共振器1000の重さ又は共振器1000の製造費用を増加させる原因になり得る。
【0091】
従って、本発明の実施形態によれば、与えられた共振周波数において、第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、グラウンド導体部分1013、導体1041、1042各々の表皮厚さに基づいて第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、グラウンド導体部分1013、導体1041、1042各々の厚さを適切に決定できる。第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、グラウンド導体部分1013、導体1041、1042各々が該当の表皮厚さよりも大きく且つ適切な厚さを有する場合、共振器1000は軽くなり、共振器1000の製造費用も低減される。
【0092】
例えば、
図10に示すように、第2信号導体部分1012の厚さはd(mm)に決定され、dは
によって決定される。ここで、fは周波数、μは透磁率、σは導電率を表す。特に、第1信号導体部分1011、第2信号導体部分1012、グラウンド導体部分1013、導体1041、1042が銅(copper)からなり、5.8x10^7(siemens/m)の導電率を有する場合、共振周波数が10kHzについては表皮厚さdが約0.6mmとなり、共振周波数が100MHzについては表皮厚さdは0.006mmとなる。
【0093】
図11は、パラレルシート(parallel−sheet)が適用された無線電力送信のための共振器1100を示す図である。
図11を参照すれば、無線電力送信のための共振器1100に含まれた第1信号導体部分1111、第2信号導体部分1112各々にはパラレルシートが適用される。
【0094】
第1信号導体部分1111、第2信号導体部分1112は各々、絶縁層を介して並列に積層された導体薄膜からなり、完ぺきな導体ではないので、個々の導体薄膜は抵抗成分を有し、その抵抗成分によって抵抗損失が発生する。このような抵抗損失はQファクターを減少させ、カップリング効率を減少させ得る。
【0095】
本発明の一実施形態によると、第1信号導体部分1111、第2信号導体部分1112各々にパラレルシートを適用することによって抵抗損失を減らし、Qファクター及びカップリングの効率を増加できる。
図11に示す部分1170を参照すれば、パラレルシートが適用される場合、第1信号導体部分1111、第2信号導体部分1112各々は複数の導体薄膜を含む。この導体薄膜は並列的に配置され、第1信号導体部分1111、第2信号導体部分1112各々の端部で互いに短絡(接地仕上げ)される。
【0096】
第1信号導体部分1111、第2信号導体部分1112各々にパラレルシートを適用する場合、複数の導体薄膜が並列的に接続配置されるので、導体薄膜が有する抵抗成分の合計は導体薄膜の枚数分の1に減少する。従って、抵抗損失を低減し、Qファクター及びカップリング効率を向上できる。
【0097】
図12は、一実施形態に係る分散キャパシタを含む無線電力送信のための共振器1200を示す図である。
図12を参照すれば、無線電力送信のための共振器1200に含まれるキャパシタ1220は分散キャパシタである。集中素子としてのキャパシタは相対的に高い等価直列抵抗(Equivalent Serial Resistance:ESR)を有する。集中素子としてのキャパシタが有するESRを減らすための様々な提案があるが、本発明の実施形態では分散素子としてのキャパシタ1220を用いることによってESRを減らす。参考までに、ESRによる損失はQファクター及びカップリング効率を低下する。
【0098】
分散素子としてのキャパシタ1220は、
図12に示すように、ジグザグの構造を有する。即ち、分散素子としてのキャパシタ1220はジグザグ構造の導体ライン及び誘電体で実現される。
【0099】
それだけではなく、
図12に示すように分散素子としてのキャパシタ1220を用いることによってESRによる損失を低減できると同様に、複数の集中素子としてのキャパシタを並列的に用いることによってESRによる損失を低減できる。なぜなら、集中素子としてのキャパシタ各々が有する抵抗成分は並列接続によって小さくなるので、並列的に接続された集中素子としてのキャパシタの実効抵抗も小さくなり、従って、ESRによる損失を低減できるからである。例えば、10pFのキャパシタ1つを、1pFのキャパシタ10個で代替することによってESRによる損失を低減できる。
【0100】
図13(A)は
図7に示した共振器700で用いられる整合器730を例示し、
図13(B)は
図8に示した共振器800で用いられる整合器830の例示する図である。
図13(A)は整合器730を含む
図9に示された2次元共振器700の一部を示し、
図13(B)は整合器830を含む
図10に示された3次元共振器800の一部を示す。
【0101】
図13(A)を参照すれば、整合器730は、導体731、導体732及び導体733を含み、導体732及び導体733は送信線路のグラウンド導体部分713及び導体731と接続される。導体731とグラウンド導体部分713との間の距離hにより2次元共振器のインピーダンスが決定され、導体731とグラウンド導体部分713との間の距離hはコントローラによって制御される。導体731とグラウンド導体部分713との間の距離hは様々な方式で調整され、導体731になり得る様々な導体の何れか1つを適応的に活性化することによって距離hを調整する方式、導体731の物理的な位置を上下に調整することで距離hを調整する方式などがある。
【0102】
図13(B)を参照すれば、整合器は、導体831、導体832及び導体833を備え、導体832及び導体833は送信線路のグラウンド導体部分813及び導体831と接続される。導体831とグラウンド導体部分813との間の距離hにより3次元共振器のインピーダンスが決定され、導体831とグラウンド導体部分813との間の距離hはコントローラによって制御される。上述の2次元構造の共振器700に含まれる整合器730と同様に、3次元構造の共振器800に含まれる整合器830の場合でも導体831とグラウンド導体部分813との間の距離hは様々な方式で調整される。例えば、導体831になり得る様々な導体の何れか1つを適応的に活性化することによって距離hを調整する方式、導体831の物理的な位置を上下に調整することで距離hを調整する方式などがある。
【0103】
図13(A)及び(B)には示していないが、整合器730、830は能動素子を含んでもよく、能動素子を用いて共振器のインピーダンスを調整する方式は上述した内容に類似する。即ち、能動素子を用いて整合器を通じて流れる電流の経路を変更することによって、共振器のインピーダンスを調整できる。
【0104】
図14は、
図7に示す無線電力送信のための共振器700の等価回路を示す図である。
図7に示す無線電力送信のための共振器700は
図14に示す等価回路にモデリングされる。
図14に示す等価回路において、C
Lは
図7に示す送信線路の中間部に集中素子の形態に挿入されたキャパシタを表す。
【0105】
ここで、
図7に示す無線電力送信のための共振器700はゼロ番目共振特性を有する。即ち、伝搬定数が0である場合、無線電力送信のための共振器700は ω
MZR を共振周波数として有すると仮定する。ここで、共振周波数 ω
MZR は下記の数式(2)のように表される。ここで、MZRは、ミューゼロ共振器(Mu Zero Resonator)を意味する。
【数2】
【0106】
数式(2)を参照すれば、共振器の共振周波数 ω
MZR は L
R/C
L によって決定され、共振周波数 ω
MZR と共振器の物理的なサイズは互いに独立的であることが分かる。従って、共振周波数 と共振器の物理的なサイズが互いに独立的であるので、共振器の物理的なサイズは十分に小さくできる。
【0107】
以上で説明した無線充電セットは、1つ以上のデバイスに電力を無線で供給するソース部を含む。該ソース部は外部表面(exterior surface)及び1つ以上のソース共振器を含み、1つ以上のソース共振器はフレキシブルであって、前記外部表面上に位置できる。1つ以上のソース共振器は少なくとも1つのデバイスに電力を無線で送信する。
【0108】
例えば、ソース部は、円柱状の外部表面、及び円柱状の外部表面の周囲にフレキシブルにラッピングされた1つ以上のソース共振器を含む。他の例として、ソース部は据え置き台及び円柱状のバーを含む。ここで、円柱状のバーは据え置き台から突出して設けられ、また、据え置き台及び円柱状のバー各々は、少なくとも1つのデバイスに電力を無線で送信する1つ以上のソース共振器を含む。
【0109】
上述したように本発明は、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、前記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能であろう。
【0110】
従って、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものによって定められるべきである。