(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主体金具の材料、前記外筒の材料、及び前記パッキンの材料は、それぞれ、Cの含有量が、前記主体金具の材料>前記パッキンの材料>前記外筒の材料の関係となる請求項1に記載のガスセンサ。
前記外筒および前記パッキンは、Feを主成分とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料によってのみ形成される請求項4又は請求項5に記載のガスセンサ。
前記主体金具の材料、前記外筒の材料、及び前記パッキンの材料は、それぞれ、Cの含有量が、前記主体金具の材料>前記パッキンの材料>前記外筒の材料の関係となる請求項6に記載のガスセンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
主体金具の材料に、特許文献1のセンサのようにステンレス鋼を採用すると、コストが高価になりがちになるという課題があった。そこで、ステンレス鋼に代えて安価な材料、例えば、Feを主成分とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料(例えば、炭素鋼)を主体金具の材料に採用することが考えられる。ところが、この材料を主体金具の材料に採用すると、ステンレス鋼を材料とする外筒およびパッキンよりも腐食電位が低いので、腐食が進行しやすくなるという課題があった。さらに、腐食が進行すると主体金具の肉厚が薄くなり、主体金具と外筒との加締め固定が緩んでしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、以下の形態または適用例として実現できる。
【0007】
適用例1:軸線方向に延び、先端側が被測定ガスに晒されるセンサ素子と、
前記センサ素子の後端部を後端側に突出させつつ、前記センサ素子の周囲を被う筒状の主体金具と、
前記主体金具の後端側に配置され、前記センサ素子の後端部を取り囲む外筒と、
を備え、
前記外筒の先端部には、径方向外側に突出する突出部を有し、
前記主体金具の後端部には、前記突出部よりも後端側にて径方向内側に加締められることにより屈曲形成された屈曲部を有し、
前記屈曲部と前記突出部とをパッキンを介して前記軸線方向に沿うように配置したガスセンサであって、
前記主体金具、前記外筒および前記パッキンは、Feを主成分とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料によってのみ形成されることを要旨とする。
【0008】
なお、本発明において、「主成分」とは、その材料に含まれる成分のうち、最も多く含有されている成分のことを指す。例えば、「Feを主成分とする材料」とは、材料中にFeが最も多く含有されていることを指す。
【0009】
適用例2:適用例1に記載のガスセンサであって、
前記主体金具の材料、前記外筒の材料、及び前記パッキンの材料は、それぞれ、Cの含有量が、前記主体金具の材料>前記パッキンの材料>前記外筒の材料の関係となることを要旨とする。
【0010】
適用例3:適用例1又は2記載のガスセンサであって、
前記主体金具、前記外筒及び前記パッキンの外表面には、亜鉛メッキ層、又はニッケルメッキ層である表面層が設けられていることを要旨とする。
【0011】
なお、主体金具、外筒及びパッキンは、亜鉛メッキ層又はニッケルメッキ層の何れかにて形成されていてもよいが、より好ましくは、主体金具、外筒及びパッキンが、すべて亜鉛メッキ層、又はすべてニッケルメッキ層にて覆われていることが好ましい。
【0012】
適用例4:軸線方向に延び、先端側が被測定ガスに晒されるセンサ素子と、
前記センサ素子の後端部を後端側に突出させつつ、前記センサ素子の周囲を被う筒状の主体金具と、
前記主体金具の後端側に配置され、前記センサ素子の後端部を取り囲む外筒と、
を備え、
前記外筒の先端部には、径方向外側に突出する突出部を有し、
前記主体金具の後端部には、前記突出部よりも後端側にて径方向内側に加締められることにより屈曲形成された屈曲部を有し、
前記屈曲部と前記突出部とをパッキンを介して前記軸線方向に沿うように配置したガスセンサであって、
前記主体金具は、Feを主成分とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料によって形成され、
前記主体金具、前記外筒および前記パッキンの外表面には、同じ腐食電位を有する表面層が設けられていることを要旨とする。
【0013】
適用例5:適用例4に記載のガスセンサであって、
前記主体金具、前記外筒および前記パッキンの前記表面層は、亜鉛メッキ層、又はニッケル層であることを要旨とする。
【0014】
適用例6:適用例4又は適用例5に記載のガスセンサであって、
前記外筒及び前記パッキンは、Feを主成分とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料によってのみ形成されることを要旨とする。
【0015】
適用例7:適用例6に記載のガスセンサであって、
前記主体金具の材料、前記外筒の材料、及び前記パッキンの材料は、それぞれ、Cの含有量が、前記主体金具の材料>前記パッキンの材料>前記外筒の材料の関係となることを要旨とする。
【0016】
適用例8:適用例1から適用例7の何れか一つに記載のガスセンサであって、
前記主体金具は、車両用の内燃機関のエンジンヘッドに設けられた取り付け部に取り付けられることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
適用例1のガスセンサによれば、主体金具の材料として安価なFeを主成分とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料を採用することによって、コストを抑制できる。さらに、外筒およびパッキンにも同様の材料を採用することによって、前記主体金具、並びに前記外筒および前記パッキンの腐食電位の差が小さくなる。この結果、主体金具の腐食が進行することを抑制でき、ひいては、加締め固定が緩むことを抑制できる。
【0018】
適用例2のガスセンサによれば、外筒の材料がCの含有量を最も少なくしているため、外筒の加工性が向上し、外筒を容易に形成することができる。特に、この材料であれば、絞り加工を必要とする外筒を容易に形成することが可能となる。
【0019】
適用例3のガスセンサによれば、主体金具、外筒及びパッキンの表面に亜鉛メッキ層、又はニッケルメッキ層を設けることで、さらに、主体金具、外筒及びパッキンの腐食を抑制することができる。
【0020】
適用例4のガスセンサによれば、主体金具の材料として安価なFeを主成分とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料を採用することによって、コストを抑制できる。さらに、前記主体金具、並びに前記外筒および前記パッキンの表面が同じ腐食電位を有する表面層が設けられている結果、主体金具の腐食が進行することを抑制でき、ひいては、加締め固定が緩むことを抑制できる。
【0021】
適用例5のガスセンサによれば、表面層を容易に形成することができ、腐食を抑制できる。
【0022】
適用例6のガスセンサによれば、パッキン及び外筒の材料についても、安価なFeを主成分とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料を採用することによって、コストを抑制できる。
【0023】
適用例7のガスセンサによれば、外筒の材料がCの含有量を最も少なくしているため、外筒の加工性が向上し、外筒を容易に形成することができる。特に、この材料であれば、絞り加工を必要とする外筒を容易に形成することが可能となる。
【0024】
適用例8の使用環境は、炭素鋼の耐熱性で十分であるので、このガスセンサに適したものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.ガスセンサ1の構造(
図1):
図1は、ガスセンサ1の断面図である。ガスセンサ1は、二輪車の排気ガスの酸素濃度を測定するためのセンサであり、内燃機関のエンジンヘッドに設けられた取り付け部に取り付けられる。
図1に示すように、ガスセンサ1は、センサ素子3、閉塞部材7、リード線11、主体金具13、プロテクタ15、外筒17、保護外筒19、パッキン53及びフィルタ57を備える。主体金具13及び外筒17は、ケーシング20を構成する。
【0027】
センサ素子3は、軸線O方向(
図1の上下方向)に延びる有底筒状を有しており、先端側(
図1の下側)が被測定ガスである排気ガスに晒される。センサ素子3は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、具体的にはY
2O
3を固溶させたZrO
2を主成分として採用している。ただし、CaO、それ以外のアルカリ土類金属または希土類金属の酸化物とZrO
2との固溶体を使用しても良い。さらには、これにHfO
2が含有されていても良い。
【0028】
このセンサ素子3の先端側には、外周面に外側電極(図示せず)が形成されており、また、内周面には、内側電極(図示せず)が設けられている。この外側電極及び内側電極はいずれもPtあるいはPt合金にて形成されている。
また、センサ素子3のほぼ中央部には、径方向外向きに突出する鍔部23が設けられている。
【0029】
閉塞部材7は、例えばフッ素ゴムからなる。閉塞部材7は、円筒形状のシール部材である。閉塞部材7の後端側の外周は、金属製の外筒17の内周面と保護外筒19の内周面とに密着し、ガスセンサ1の内部と外部とを隔てる。つまり、閉塞部材7は、ケーシング20の後端側を閉塞する。
【0030】
閉塞部材7には、軸線O方向に貫通する貫通孔37が設けられており、この貫通孔37には、リード線11が挿通している。このリード線11は先端側にて端子金具9と接続しており、後端側は外部回路(図示せず)に接続している。また、端子金具9は、センサ素子3の内部に挿入された略筒状の部材であり、内側電極と接触している。これにより、センサ出力を外部回路に取り出すことができる。
【0031】
センサ素子3と閉塞部材7との間には、セパレータ5が配置されている。このセパレータ5は、アルミナ等のセラミックからなり、リード線11を挿通する貫通孔35が設けられている。
【0032】
プロテクタ15は、センサ素子3の先端側を被って保護する。プロテクタ15は、後端縁が、センサ素子3の鍔部23と後述する主体金具13の段部39との間に挟まれて固定されている。
【0033】
主体金具13は、金属製で円筒状の部材であり、段部39を備える。この段部39は、センサ素子3の鍔部23を支持するためのものであり、主体金具13の内周面から径方向内側に向かって突き出ている。
【0034】
また、主体金具13の先端側の外周面には、ガスセンサ1をエンジンヘッドの取り付け部に取り付けるためのねじ部41が設けられており、このねじ部41の後端側には、ねじ部41を取り付け部にねじ込むための取付工具を係合させる六角部43が設けられている。さらに、この主体金具13の六角部43の後端側には、筒状部45が設けられている。そして、筒状部45の後端側には、主体金具13の後端部を径方向内側に加締めることによって屈曲形成された屈曲部51が設けられている。この加締めによって、後述する外筒17が固定される。
【0035】
外筒17は、主体金具13の後端側に固定され、センサ素子3の後端部を取り囲む。外筒17の突出部55は、径方向外側に屈曲している。突出部55は、この屈曲によって、内側に屈曲した屈曲部51に対して向かい合う。パッキン53は、金属製であり、突出部55と屈曲部51とが向かい合うことによって形成された隙間に配置されている。
【0036】
なお、主体金具13とセンサ素子3との間には、先端側より、滑石から形成されたセラミック粉末47と、アルミナからなるセラミックスリーブ49とが配置されており、屈曲部51を形成するために、主体金具13の後端部を径方向内側に加締めることによって、セラミック粉末47が圧縮され、主体金具13とセンサ素子3とのシールを図っている。
【0037】
保護外筒19は、外筒17に対してフィルタ57を介して加締められて固定される。外
筒17及び保護外筒19には、それぞれ通気孔59、61が設けられている。通気孔59、61及びフィルタ57を介して、ガスセンサ1の内部と外部との通気が行われる。
【0038】
ここで、主体金具13、外筒17及びパッキン53は、金属製であり、互いに接触しており、外気に晒される。よって、腐食が進行しやすい環境にある。腐食が進行すると、錆の発生によって肉厚が薄くなり、加締め固定が緩むおそれがある。そこで、これらの材料として好ましいものを調査するために、次から述べる実験によってデータを収集した。
【0039】
2.主材料および表面処理(
図2):
図2は各材料の主成分となる主材料と表面処理とを示すテーブルである。ここでは、主材料に表面処理を施したものを材料と呼ぶ。表面処理を施さないものについては、主材料および材料は同じである。これらの材料は、後述する実験に用いられる。
図2に示すように、テストピースとして下記の材料A〜Eの5種類を用意した。材料A〜Eは「主材料、表面処理」の順に示している。
A:SUS304、表面処理無し
B:SPCE又はS17C、亜鉛メッキ+3価クロメート
C:SPCE又はS17C、ニッケルメッキ+電解3価クロメート
D:SPCE又はS17C、表面処理無し
E:SUS430、表面処理無し
SPCEは、低炭素鋼であり、炭素含有量が0.1%以下である。よって、SPCEは、安価で加工性に優れる。
【0040】
3.起電力の測定(
図3):
材料A〜Eを用いて、2つのテストピース間に生じる起電力を測定する実験を行った。
この実験の条件は、次の通りである。
(i)5wt%塩化ナトリウム水溶液中に2つのテストピースを浸した。
(ii)塩化ナトリウム水溶液中に浸された状態で、2つのテストピース間に安定的に発生する起電力を測定した。
(iii)安定的な起電力を測定するために、2つのテストピースを水溶液に浸してから20分後に測定した。
(iv)起電力の値の正負は、テストピースIがテストピースIIよりも高電位な状態を正として定めた。
【0041】
図3は、上記起電力測定の実験結果を示すテーブルである。
図3に示すように、テストピースIとして材料A〜E、テストピースIIとして材料A〜Dを組み合わせた。
【0042】
実施例は、試験No2,4,6の3つである。これら実施例は、2つのテストピースが、同じ表面処理、もしくはテストピースの主材料が同じ低炭素鋼のみであることを満たす。つまり、表面の腐食電位が同等であり、且つ、ステンレス鋼よりも安価な材料である。これら実施例を対象とした試験においては、何れも小さい起電力が測定された。ここで言う「小さい」とは、絶対値が小さいことである。具体的には、絶対値で0.01〜0.05Vが測定された。この結果から、実施例の材料を主体金具13と外筒17とパッキン53とに用いる場合、腐食が進行しにくいことが確認された。
【0043】
これに対して、試験No1,3,5は、比較例である。これら比較例は何れも、両テストピースの表面の材質が異なるので、表面の腐食電位も異なる。よって、これら比較例を対象とした試験においては、何れも大きい起電力が測定された。具体的には、絶対値で0.23〜0.89Vが測定された。比較例の結果から、実施例の優位性が確認された。
【0044】
試験No7は、従来技術を対象にした試験である。試験No7の起電力は0.01Vであり、実施例と同等である。ただし、テストピースIが材料A(SUS304)、テストピースIIが材料E(SUS430)であり、何れも炭素鋼ではなく、高価なステンレス鋼である。
【0045】
4.塩水噴霧試験(
図4):
ガスセンサ1から保護外筒19とフィルタ57とを取り外し、外筒17の通気孔59を埋めたものを試験対象物にして塩水噴霧試験を行った。この試験は、塩水噴霧試験浴槽に50時間入れ、JIS H 8502(2010年度版)に掲載されているものに準拠して行った。
【0046】
図4は、上記塩水噴霧試験の試験結果を示す。試験対象物は、
図4に示すように、材料E,B,Cを主体金具13に、材料A,B,Cを外筒17に組み合わせた5種類である。塩水噴霧試験については、材料B,CにSPCEのみを用いて評価した。判定の対象部位は、主体金具13の加締め部と、外筒17の露出部とである。判定は、目視で行い、錆が対象部位の半分以上にわたって発生した場合は不良(×)、半分未満であれば良好(○)という基準を採用した。
【0047】
実施例は、試験No10,12の2つである。これら2つは、主体金具13と外筒17とが両方とも主材料が低炭素鋼であること、及び表面が同じ腐食電位を有することを満たす。2つの実施例は、主体金具13、外筒17の両方について良好な結果が得られた。つまり、安価な低炭素鋼を用いつつ、腐食を抑制できることが確認された。
【0048】
試験No8は、従来技術を対象にしたものであり、主体金具13及び外筒17の材料がステンレス鋼である。この従来技術によれば、錆は抑制できるものの、主体金具13及び外筒17の何れかを低炭素鋼にて形成するよりも高価になってしまう。
【0049】
試験No9,11は比較例である。何れの比較例も、主体金具13の結果が不良である。この結果は、主体金具13の表面と外筒17の表面との腐食電位が同等でないことによって、腐食が促進されたことに起因すると考えられる。
【0050】
以上の実験データから、主体金具13、外筒17及びパッキン53に用いる材料を、材料B(SPCE、亜鉛メッキ+3価クロメート)に統一するか、材料C(SPCE、ニッケルメッキ+電解3価クロメート)に統一するかの何れかによれば、材料を安価なものにしつつ、腐食を抑制できることが確認された。腐食が抑制されれば、主体金具13と外筒17との加締め固定が長持ちし、ひいてはガスセンサ1の長寿命化に貢献する。なお、主体金具13、外筒17及びパッキン53に用いる材料を、材料B(S17C、亜鉛メッキ+3価クロメート)、材料C(S17C、ニッケルメッキ+電解三価クロメート)材料E(SPCE又はS17C、表面処理無し)に統一しても、材料を安価なものにしつつ、腐食を抑制できる。
【0051】
ガスセンサ1は、二輪車のエンジンのエンジンヘッドに設けられた取り付け部に取り付けられるものである。この使用環境は、比較的低温(200℃程度)であり、SPCE等の炭素鋼の耐熱性でも使用できる環境である。よって、二輪車の排気ガスを被測定ガスとする用途は、材料B,C,Dを用いたガスセンサ1に適している。
【0052】
5.他の実施形態:
主体金具13、外筒17及びパッキン53に用いる材料は、Feを主材料とし、少なくともCを0.05〜0.65wt%含有し、Cr又はNiが1wt%以下である材料とすれば、表面の腐食電位が同じであるため好ましい。例えば、主成分は、JIS G 4051(2010年度版)の表1に掲載されているものの何れか(例えばS10C)を採用しても良く、特にS17C〜25Cが加工性の観点で好ましい。また、JIS G 3141に掲載されている冷間圧延鋼板及び鋼帯の何れか(例えばSPCC)を採用しても良い。
【0053】
主体金具13と外筒17とパッキン53とに異なる主材料を用いたとしても、腐食電位が同等になるように、表面処理を同じにすれば良い。一方、同じ主材料を用いる場合、腐食電位が同等なので、表面処理をしなくても良い。
【0054】
主体金具13は、外筒17及びパッキン53に比べて材料の使用量が多いので、材料の選定による製造コストへの影響が大きい。よって、主体金具13の主材料が炭素鋼であれば、外筒17及びパッキン53の主材料を炭素鋼にしなくても、製造コストを低減する効果は十分に得られる。そこで、例えば、外筒17及びパッキン53の主材料にステンレス鋼を採用し、主体金具13と外筒17とパッキン53とに異なる主材料を用いたとしても、腐食電位が同等になるように、表面処理を同じにすれば良い。
【0055】
また、主体金具13の材料、外筒17の材料、及びパッキン53の材料を、それぞれ、Cの含有量が、主体金具13の材料>パッキン53の材料>外筒17の材料の関係となるようにすることが好ましい。具体的には、主体金具13をS17C〜25Cの炭素鋼とし、外筒17をSPCEとし、パッキン53をSPCCとすることで達成できる。このようにすることで、外筒17の材料がCの含有量を最も少なくしているため、外筒17の加工性が向上し、外筒17を容易に形成することができる。特に、この材料であれば、絞り加工を必要とする外筒17を容易に形成することが可能となる。
【0056】
用途は、二輪車の排気ガス測定用でなくても良い。炭素鋼の耐熱性を考慮して、高温にならない環境(例えば200℃以下)で使用するのが好ましい。例えば、四輪自動車用のエンジンのエンジンヘッドに取り付けても良いし、燃料電池用に用いても良い。燃料電池に採用する場合、運転温度が低い固体高分子形やリン酸形が特に適している。
表面処理は、防食に効果的であれば、他のものでも良い。例えば、6価クロメートを用いても良い。