【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の説明を考慮すると、上述の課題または短所を解決または克服する必要性があることは、本開示に基づいて当業者にとって明らかである。本発明は、従来技術に関するこの必要性および他の必要性に関連し、それは本開示に基づいて当業者に明らかにされる。
【0014】
上記記載から生じる目的は、原則として、独立項の特徴によって実現され得る。しかしながら、本発明は、先に引用された従来技術の課題または短所の全てを改善する態様に限定されるものではない。本発明はまた、以下に記載する例示的態様に対する包括的な保護をも主張する。
【0015】
本発明によれば、コーティング剤を用いて構成部品をコーティングするための、より具体的には、塗料を用いて、車両部品および/または車両の付属部品(例:バンパー、ミラー筐体、バンパーステッカーなど)を塗装するだけでなく、他の車両または車両部品をも塗装するコーティング機器が提供される。コーティング機器は、少なくとも1つのノズルまたはコーティング剤開口部(例:塗布するため、排出するため、等)からコーティング剤を排出するように構成され、かつ、配置された少なくとも1つの塗布装置を備える。
【0016】
塗布装置は、たとえば、具体的には、コーティング剤の滴を生成するために、または、コーティング剤および/または少なくとも1つのコーティング剤ジェットが細かく砕けて滴になることを可能にするために、振動および/または不安定性(Instability)を、コーティング剤および/または少なくとも1つのコーティング剤ジェットに印加するように構成され、かつ、配置され得る。本発明の一部として、少なくとも1つのコーティング剤ジェットが異なる特徴をもって生成され得る。
【0017】
一つの具体的な好ましい例示的態様に関して、細かく砕けて滴になるように、コーティング剤の滴を生成するために、または、コーティング剤を排出するために(具体的には、コーティング剤ノズルおよび/または塗布装置から)および/または好ましくはコヒーレントまたは連続的なコーティング剤ジェットを排出するために(具体的にはコーティング剤ノズルおよび/または塗布装置から)、振動または不安定性を、コーティング剤および/または少なくとも1つの好ましいコヒーレントまたは連続的なコーティング剤ジェットに印加するために、塗布装置が構成され、配置され得る。このように、コーティング剤ノズルまたは塗布装置から排出中および/または排出前のコーティング剤ジェットは連続的であり、構成部品までの途中で(具体的には、コーティング剤ノズルまたは塗布装置の下流で)細かく砕けて滴になることがあり得る。
【0018】
それゆえに、塗布装置は、好ましくは、細かく砕けて滴になる少なくとも1つのコヒーレントまたは連続的なコーティング剤ジェットを排出するように構成され、配置され得る。ここで、具体的には、コヒーレントなコーティング剤ジェットは、塗布装置、具体的には少なくとも1つのコーティング剤ノズル、と構成部品との間において、細かく砕け得る、または、滴を形成し得る。
【0019】
塗布装置は、好ましくは、振動発生器(Schwingungserzeuger)および/または不安定性発生器および/または振動発生器(Vibrationserzeuger)(以下、振動発生器(Schwingserzeuger))を備える。さらに、塗布装置は、複数のコーティング剤ノズル(好ましくは1つのレベルに)を備えるスリットおよび/または中空状円筒ノズルまたは円錐ノズルまたは保持要素(例:コーティング剤ノズルプレート)を備え得る。少なくとも1つのコーティング剤ノズルの後方または下流側に1つ以上のコーティング剤の列を有するために、塗布装置は構成され、配置されることが好ましい。
【0020】
具体的には、コーティング剤の滴を生成するために、および/または、コーティング剤または好ましくは連続的なコーティング剤ジェットが細かく砕けて滴になることを可能にするために、振動および/または不安定性を生成するように、または、振動および/または不安定性をコーティング剤および/またはコーティング剤ジェットに与えるように振動発生器が設けられる。振動および/または不安定性が、直接的および/または間接的に、コーティング剤またはコーティング剤ジェットに印加され得る。好ましい例示的態様に関して、振動および/または不安定性を少なくとも部分的に塗布装置(たとえば、塗布装置の筐体、少なくとも1つのコーティング剤ノズルを有する保持要素または塗布装置の他の部分)に印加するように、または、その内部でそれらを合わせるように振動発生器が設けられる。具体的には、コーティング剤の排出前および/またはコーティング剤ノズルにおいて、振動および/または不安定性のコーティング剤への印加が起こり得る一方、コーティング剤ノズルからのコーティング剤の排出後に滴への細砕が好ましくは起こり得る。
【0021】
既述のように、具体的には、好ましくは、いわゆる「レイリー不安定性」またはいわゆる「レイリー崩壊」に基づいて、コーティング剤および/または好ましくはコヒーレントなコーティング剤ジェットが細かく砕けて滴になる、または、滴を形成するために、塗布装置が構成され、配置される。そのような滴の生成の構造、原理および/または機能は、具体的には、たとえば、気液混合物を生成するために燃料に振動を印加し、単分散崩壊を実行するように燃料を刺激し得る内燃エンジンの分野によってよく知られている。車両部品の塗装中に、向上した塗布効率がこの方法で実現され得ることもまた驚きであり、予測し得ない発見だった。
【0022】
塗布装置は、略同一サイズの(たとえば、略同じ直径)、および/または、略離散または略均一な滴分布の滴を有利に生成し得る。具体的には所定の方法で、ある(離散した)滴のサイズを有する滴サイズ分布を生成することもまた有利であり得る。ここで、混合物内の個々の滴サイズの割合は、所定の方法で異なり得る(例:30μmが50%、20μmと40μmがそれぞれ25%ずつ)。塗布装置は、所定の滴サイズおよび/または所定の滴分布または滴サイズ分布を有利に生成し得る。
【0023】
従来の回転アトマイザーにおいては、ベルカップの端における剪断力によって塗料が霧化される。空気アトマイザーに関しては、それは空気の運動エネルギーによるものである。エアレス原理は、材料の圧力による塗料の霧化に基づく。ここで、塗料は、ノズルにおいて圧力をかけられ、霧化される。このように、車両部品をコーティングする従来のアトマイザーは、通常、異なる滴サイズの広範囲にわたる分布を生み出す。これらは通常、数μmから150μmの範囲である。平均値(d50)は、通常、10μmから40μmの範囲である。分離システムへのキャビン空気によって、より小さな滴がより容易に実現される。より大きな滴は外観を損ない(たとえば、もちろん、金属効果、故障など)、表面の欠陥(窪み、凹みなど)にさえ至り得る。20〜40μmの直径を有する滴はまた、より小さい滴またはより大きな滴よりも、静電チャージを印加するのに、より容易である。
【0024】
本発明に係るコーティング機器を用いることによって、たとえば、好ましくは自動車および/または車両部品の連続塗装用の塗装装置を作り出すことが可能であり、それは、好ましくは、排出部がなく、より小さなフィード空気プラントを伴って運転される。オーバースプレーが全く生まれないか、または、ほんのわずかなオーバースプレーしか生まれ得ないことを意味する、目標とされるある滴直径の生成を通して塗布効率は向上し得て、目標とされる方法で、塗料のトーン、光沢、効果に影響を与え得る。本発明に係るコーティング機器を用いることによって、フィード空気プラントがより一層小さくなることが有利にあり得る。塗布される塗料の量がより少なくなることによって、塗装キャビンにおいて置換されるのに必要とされる空気量がより少なくなる、または、再循環される空気のより多くの量が用いられ得て(用いられる新しい空気のより低い割合)、そのことによって、吸引された空気の加熱または調節が消費するエネルギーがより少なくなる。さらに、理想的な場合、排出部が完全に取り除かれることが可能であるが、本発明は、排出部を全く有しない装置に限定されるものではなく、むしろ、より小さな寸法の排出システムを伴う装置をも含むものである。
【0025】
単純な、比較的安価なフィルターが、少ないオーバースプレーを分離するために用いられ得る。必要とされるプラントエンジニアリングは非常に単純であり、これによって維持コストが低減される。この方法で大量の塗料を節約することも可能である。
【0026】
用いられる塗料/コーティング剤(水性、溶媒含有など)に係るATEXガイドラインの適用が除かれ得る。これによって、用いられる構成部品の選択の顕著な単純化が可能になり、およびそれゆえに、従来のプロセスと比較して顕著なコスト面の効果が得られる。
【0027】
さらに、本発明に係るコーティング機器によって、塗装キャビン、コンベア、スキッド、ディスクなどの清掃(手動)が少なくなる状況が有利に可能となる。さらに、既述のプロセスにおいて、塗装キャビンのオーバースプレーを実行するために、および/または、噴霧ジェットを形成するために、および、回転アトマイザー(例:回転アトマイザー、空気アトマイザー)の空気タービンを駆動させるために必要とされる空気の量は、少ないか、全くないことさえある。
【0028】
空気モデルにおける回転アトマイザーによる塗料マッチングは、主に、たとえば回転速度を変えることによる滴のスペクトルの目標とされる変更を通して起こる。これらの変化は、たいてい、塗布効率におけるマイナスの効果を有し、それによって、実際に必要とされるよりも多いオーバースプレーが起こる状況に至るが、それもまた、本発明に係るコーティング機器によって防がれ得る。
【0029】
コーティング剤、具体的には、好ましくはコヒーレントなコーティング剤ジェットを排出するために、塗布装置は、構成され、配置される。コーティング剤、好ましくはコーティング剤ジェット、具体的には排出されたコーティング剤ジェットは、たとえば、中実のまたは完全な円筒ジェット、平面ジェット、ファンジェット、層状ジェット、本質的に三角形状のジェット、中空の円錐ジェットまたは中実の円錐ジェット、中空の円筒ジェット、コーティング剤ジェットシートおよび/またはコーティング剤薄膜であり得る。本質的には、部分的に矩形状またはピラミッド形状である噴霧パターンを塗布装置が生成することも可能である。それゆえに、コーティング剤、具体的にはコーティング剤ジェットは、それゆえに、本質的に、一次元として排出され得て、また、本質的に平面ジェットとしても排出され得る。
【0030】
コーティング剤ノズルまたは塗布装置と構成部品との間でまずは細かく砕けて、本質的に一次元、好ましくはコヒーレントなコーティング剤ジェットになる、少なくとも本質的には平坦でコヒーレントなコーティング剤ジェットを排出するように、塗布装置は、構成され、配置され得る。これらの一次元の、好ましくはコヒーレントなコーティング剤ジェットもまた、コーティング剤ノズルまたは塗布装置と構成部品との間で、細かく砕けて滴になり得る。
【0031】
たとえば、塗布装置の筐体を介して、および/または、コーティング剤ノズルを有する保持要素を介して、および/または、コーティング剤ノズルを介して、振動および/または不安定性を、間接的に、コーティング剤および/またはコーティング剤ジェットに印加する、または、与えるように、塗布装置は、好ましくは、構成され、配置され得る。この目的のために、たとえば、塗布装置の筐体、および/または、コーティング剤ノズルを伴う保持要素に、好ましくはその外側に、振動発生器、振動器などが接続され、または、取り付けられ得る。それゆえに、好ましくは、間接的な印加に関して、塗布装置の他の部分を介して、振動発生器から、コーティング剤および/またはコーティング剤ジェットに、振動および/または不安定性が伝播し得る。印加された振動および/または不安定性が、塗布装置に沿って、軸方向および/または放射方向に伝播することもあり得る。
【0032】
しかしながら、たとえば、音、超音波、ピエゾ素子、直接的な機械的または物理的な印加、たとえば、コーティング剤および/またはコーティング剤ジェットへの物理的な接触によって、本質的に直接的な振動および/または不安定性の、コーティング剤および/またはコーティング剤ジェットへの付与のために、塗布装置が構成され、配置されることもあり得る。この目的のために、塗布装置は、たとえば、音/超音波発生器、ピエゾ素子配置、機械的なコーティング剤衝撃機器などを含み得る。
【0033】
コーティング剤および/またはコーティング剤ジェットは、具体的には、好ましくは、コーティング剤ノズルによって本質的には連続的に(たとえば、メインニードルが時折閉まるので、好ましくは「本質的に」)移動し得る、および/または、本質的には連続的にコーティング剤ノズルから排出され得る。コーティング剤および/またはコーティング剤ジェットは、好ましくは、圧力によって、または、投入システム(Dosiersystem)によって移動する。
【0034】
本質的には同一のサイズ、および/または、本質的には同一の直径の滴を形成するために、かつ、本質的には離散または本質的にはコヒーレントな滴分布を形成するために、塗布装置が構成され、配置されることが好ましい。具体的には、約10μm、30μm、50μm、70μm、90μm、110μm、130μmまたは150μmよりも大きい、および/または、約20μm、40μm、60μm、80μm、100μm、120μm、140μmまたは160μmよりも小さい滴直径を有する滴を形成することが可能である。
【0035】
少なくとも1つのコーティング剤ノズルが、本質的には円形(例:円形ノズル)、楕円形、スリット形状である、および/または、本質的には円形スリットの形状であり得る。たとえば、コーティング剤ノズルは、平面ジェット、中空の円錐ジェット、中実の円錐ジェットまたは中実のジェットノズルまたは円錐ノズルを備え得る。
【0036】
塗布装置は、好ましくは、たとえば、ノズルの直径、スリット幅、形状または形成などに関して全て同一または異なり得る複数のコーティング剤ノズルを有する。コーティング剤ノズルは、約5μmと300μmとの間、約10μmと150μmとの間、または、約10μmと80μmとの間の直径および/またはスリット幅を有することが好ましい。
【0037】
異なるサイズのコーティング剤ノズルは、たとえば、ある領域または形状において均一に分配され得る、または、まとめられ得る。
【0038】
塗布装置は、少なくとも、複数のコーティング剤ノズルが配置されるコーティング剤ノズル配置(または、ノズル配列、ノズルの列など)を備え得る。コーティング剤ノズル配置が、同一または異なる形状を伴うコーティング剤ノズルを有することが好ましい。
【0039】
しかしながら、塗布装置は、複数のコーティング剤ノズルをそれぞれ伴う少なくとも2つのコーティング剤ノズル配置を備え得る。お互いに独立に作動し得る、および/または、お互いに独立した異なるコーティング剤または一般的な異なる流体媒体が供給され得る少なくとも2つのコーティング剤ノズル配置が設けられることが好ましい。それゆえ、一つのコーティング剤ノズル配置には、たとえば、好ましくは、特定の塗料(Farbe)、特定の塗料(Lack)または概して特定のコーティング剤が供給され得る一方、もう1つのコーティング剤ノズル配置には、たとえば、好ましくは、異なる塗料(Farbe)、異なる塗料(Lack)または概して異なるコーティング剤が供給され得る。さらに、たとえば、平行に、または、横方向に、少なくとも2つのコーティング剤ノズル配置が、配置され得る異なるレベルに設けられ得る。塗布装置を再配置することなく構成部品をコーティングすることを可能にするために、少なくとも2つのコーティング剤ノズル配置が、本質的には構成部品と相互補完的である形状を有し得る。さらに、少なくとも2つのコーティング剤ノズル配置が、1つ以上の軸においてお互いに対して相対的に回転し得て、それによって、より大きな柔軟性を得ることが有利に可能となる。お互いに独立に作動し得る、および/または、お互いに従属してコーティング剤が供給され得る、少なくとも2つのコーティング剤ノズル配置を塗布装置が備えることも可能であり、お互いに従属して作動し得る、および/または、お互いに独立してコーティング剤が供給され得る、少なくとも2つのコーティング剤ノズル配置が設けられることもあり得る。
【0040】
さらに、塗布装置は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのコーティング剤ノズル配置を備え、それはお互いのコーティング剤ノズルとは独立して作動または調節され得て(たとえば、調節可能または可変)、たとえば、外側のコーティング剤ノズルが内側のコーティング剤ノズルよりも少ないコーティング剤を排出し、それによって通路方向に対して横方向の好適な層厚さ分布に至るので、たとえば、重ね合わせが最適化された層厚さ分布を形成するように外側のコーティング剤ノズル配置が構成かつ配置され、本質的には均質な層厚さ分布を形成するように内側のコーティング剤ノズル配置が構成かつ配置される。所望の層厚さ分布が得られるように(たとえば、ガウス曲線の下の表面にわたって形成または分布された基本的なガウス曲線の形状、台形状、矩形状および/または三角形状)、少なくとも1つのコーティング剤ノズル配置のコーティング剤ノズルが配置されることも可能であり、たとえば、重ね合わせが最適化された層厚さ分布(たとえば、三角形)を形成するように外側のコーティング剤ノズル配置が構成かつ配置され、本質的には均質な層厚さ分布を形成するように内側のコーティング剤ノズル(たとえば、矩形状)が構成かつ配置され、単純な方法で、外側のコーティング剤ノズルが内側のコーティング剤ノズルよりも少ないコーティング剤を排出することが有利に可能となり得る。層厚さ分布がガウス正規分布となり得る。あるいは、層厚さ分布が台形状の分布を有するように、個々のコーティング剤ノズルによって排出されるコーティング剤の総量を選択することが可能である。隣接するコーティング剤通路の台形状の層厚さ分布の重ね合わせが一定の層厚さに至るように、隣接するコーティング剤の通路がお互いに重なり合うことが可能なので、そのような台形状の層厚さ分布が有利である。さらに、たとえば、鋭角なコーティングが可能になるように、たとえば、1つ以上のコーティング剤ノズル配置、具体的には外側のコーティング剤ノズル配置、がスイッチオンおよび/またはスイッチオフされ得ることも可能である。好ましくは外側のコーティング剤ノズル配置が、もう一つのコーティング剤ノズル配置よりも少ないコーティング剤をフィードすることも可能である。
【0041】
それゆえに、塗布装置が、好ましくは外側部分のうちの一つをスイッチオフし得て鋭角なコーティングを実行し得る、および、広い表面に以前および次の通路を重ね合わせ得る、という長所がある。
【0042】
コーティング剤が塗布装置および/または構成部品にフィードされるコーティング剤圧力および/または投入圧力が調節可能である(たとえば、調節可能または可変)ことが可能であり、たとえば、コーティング剤の滴のサイズが影響を受け得るという長所がある。
【0043】
塗装膜のある特性(たとえば、外観、含水率)を得るために、これは目標とされる方法で用いられ得る。好適に割り当てられた構成部品を用いることによって、塗装圧力は変化し、制御され得る。その変化は、印加されるコーティング剤(たとえば、個々の塗料(Farbe)または塗料(Lack)のトーン)によって変わり得る。それはまた、異なる位置における一つおよび同一の構成部品において異なり得る。このように、たとえば、「湿った」塗装をする、または、「乾いた」塗装をすることが可能である。
【0044】
たとえば、滴のサイズおよび/または滴生成または滴分布コントロールまたは制御し得るために、好ましくは、以下のパラメータのうち少なくとも1つが調節され得る(たとえば、調節可能または可変)。コーティング剤の排出または出力速度、コーティング剤ノズルと構成部品との間の塗装隙間、コーティング剤圧力および/または投入圧力、振動および/または不安定性の規模または強さ、具体的には、振動および/または不安定性の振幅、振動および/または不安定性の周波数。好ましくは、コーティング剤および/または構成部品に特有の方法で、滴のサイズは必要に応じて最適となるように変化し得るので、このように、改良された外観、改良された塗料のトーン、改良された効果および/または改良された性能(輝度、波長など)が実現可能である。ここで、たとえ全ての個々のコーティング剤ノズルが一定の直径を有しているとしても、滴のサイズおよび/または滴の分布がコントロール可能または制御可能であり得ることがさらなる長所である。
【0045】
好ましくは、コーティング剤ジェットのコーティング剤の滴が、構成部品への途中、または、コーティング剤ノズルと構成部品との間で凝集しないように、塗布装置は構成され、配置される。構成部品への途中、一つのコーティング剤ノズルからのコーティング剤(またはコーティング剤の滴)がもう一つのコーティング剤ノズルからのコーティング剤(またはコーティング剤の滴)と凝集しない、または、第一のコーティング剤ジェットからのコーティング剤の滴が、第二のコーティング剤ジェットからのコーティング剤の滴と凝集しないことがさらに可能である。たとえば、コーティング剤の滴の排出速度、コーティング剤の滴のサイズ、コーティング剤ノズルの間のお互いの距離、および/または、コーティング剤ノズルと構成部品との間の塗装隙間がお互いに調整されるので、これが実現され得る。具体的には、液体シートまたは液体膜(たとえば、スリットノズルまたは中空の円筒ノズルによって形成される)が、振動の影響の下で、細かく砕けてコーティング剤の滴になることが可能であり、コーティング剤の滴が構成部品への途中で凝集しないことを特徴とする。
【0046】
コーティング剤ノズルおよび/またはコーティング剤ノズル配置は、好ましくは、保持要素(たとえば、コーティング剤ノズルプレート)または塗布器ヘッドに配置される。保持要素は、好ましくは、素早く交換できる機器によって、塗布装置に対して、交換可能に固定され得る。このように、たとえば、コーティング機器がボックスコンセプトに従って設計されるプラント内で用いられる場合にとりわけ有利である「サイクル」内のより大きな塗装表面用の保持要素に加えて、より小さな塗装表面(たとえば、入口ドアの端部)用の保持要素を用いることも可能である。保持要素は、色々な方法で設計され得る。しかしながら、振動および/または不安定性が本質的に均等に保持要素に伝達され得るように保持要素が構成され配置されることが好ましい。たとえば、保持要素はプレート型および/または平面型に設計され得るが、他の形状をも有し得る。
【0047】
振動および/または不安定性が、振動発生器から保持要素まで、定在波の形状で進み得る。
【0048】
ある例示的態様に関しては、調節可能なように(たとえば、調節可能または可変)異なる振動および/または不安定性を生成するように塗布装置が構成され配置される。それゆえに、たとえば、コーティング剤によって決まる、それぞれの構成部品によって決まる、または、コーティングされる構成部品の異なる部位によっても決まる様々な方法で適合されるさまざまな振動および/または不安定性が生成され得る。
【0049】
さらに、好ましくは、たとえば、コーティング剤ノズルのさまざまな数に対して、または、さまざまな製品パラメータ(流速、スループット量、粘性、表面張力)に対して塗布装置が適合され得るように、塗布装置が設計され、配置され得る。
【0050】
好ましくは、構成部品に対して塗布装置を移動させるために、多軸コーティングロボット(たとえば、手首部を含む)、ルーフマシンおよび/または側方マシンが構成され配置され得る。また、構成部品に対して塗布装置を移動させるために、好ましくは、多軸コーティングロボット(たとえば、手首部を含む)および/またはコンベア通路が構成され配置され得る。また、コーティング操作中に、構成部品および塗布装置の両方がお互いに対して移動することも可能であり、たとえば搬送ロボットによって構成部品が移動し、たとえばコーティングロボットによって塗布装置が移動する。また、塗布装置が1つ以上の回転軸に対して回転可能に実装され、コーティング中、または、連続コーティング操作中に、1つ以上の回転軸の周りを回転し得ることも可能である。
【0051】
コーティング機器は以下の構成部品のうち少なくとも1つを備え得る、および/または、塗布装置は以下の構成部品のうち少なくとも1つと動作可能なように接続される、または、接続可能であり得る。少なくとも1つの投入ポンプ、少なくとも1つの投入ピストン、少なくとも1つの塗料変換器(たとえば、ドッキング塗料変換器)、および/または、二成分または多成分塗料(塗料および硬化剤要素または概して異なるコーティング剤)用の少なくとも1つの混合器。少なくとも1つの塗料変換器が塗布装置に収容され得る(たとえば、一体化された塗料変換器)、または、好ましくは別個の部分として塗布装置の上流側に配置され得る。
【0052】
排出されたコーティング剤が被覆され得る空気または別の気体からなる被覆フローを排出するように、少なくとも1本の被覆フローノズルが設けられることが好ましい。排出されたコーティング剤を形成するために空気または別の気体からなるガイドフローを排出するように設けられた少なくとも1本のガイドフローノズルを利用可能にすることも可能である。さらに、たとえば、排出されたコーティング剤に影響を与えるために、好ましくはそれを乾燥させるおよび/または加熱するために、少なくとも1つの機能的開口部または機能的ノズルが、空気または流体フローまたは他の媒体を排出するために利用可能となることもあり得る。しかしながら、被覆フローノズルまたはガイドフローノズルから排出された気体が加熱および/または乾燥のために用いられることもあり得る。
【0053】
排出されたコーティング剤に影響を与えるために、塗布装置は、たとえば、少なくとも1つの、好ましくは1本以上のコーティング剤ノズルまたは1つ以上のコーティング剤ノズル配置の全ての側面に沿って延在し得る複数の被覆フローノズル、機能性ノズルおよび/またはガイド空気フローノズルを有し得る。そうすることで、被覆フローノズル、機能性ノズルおよび/またはガイド空気フローノズルは、本質的には一直線に配列され得る。具体的には、1つ以上のコーティング剤ノズルまたはコーティング剤ノズル配置の周囲にある1つ以上のリングまたは部分リングに配置された複数の被覆フローノズル、機能性ノズルおよび/またはガイド空気フローノズルを、塗布装置は有し得る。リングまたは部分リングは、異なる直径を有してもよいし、本質的に同一の直径を有してもよい。
【0054】
具体的には、本発明に係る塗布装置の被覆フローノズル、機能性ノズル、および/または、ガイド空気フローノズルを、独国特許出願第102007006547号明細書、欧州特許出願公開第1331037号明細書、国際公開第2008/061584号、欧州特許出願公開第1764157号明細書、国際公開第2008/068005号、国際公開第2008/095657号、および/または、国際公開第2009/149950号に開示されたように設計する、および/または、配置する、および/または、操作することが可能であり、それらの開示の全てが本明細書に加えられるべきである。
【0055】
塗布装置は、複数の振動発生器、たとえば、少なくとも1本のコーティング剤ノズルおよび/または少なくとも1つのコーティング剤ノズル配置に対してコーティング剤に振動を印加するために構成され配置された第一の振動発生器と、少なくとも1本の他のコーティング剤ノズルおよび/または少なくとも1つの他のコーティング剤ノズル配置に対してコーティング剤に振動を印加するために構成され配置されたもう1つの第二の振動発生器と、を備え得る。たとえば、塗料ベースおよび金属フレークがコーティング用に用いられる際、これが必要となり得る。こうするために、塗料ベースは、たとえば、ディスクフィルターを用いて、塗布装置内において、金属フレークから分離され得る。そうすることで、フレークなしの塗料ベースはより小さな直径を有するコーティング剤ノズルを介して好ましくは塗布され、金属フレークはより大きな直径を有するコーティング剤ノズルを介して塗布される(金属フレークが通過するようにサイズが決められる)。しかしながら、それは、具体的には、フレークの濃度が被覆層においてより大きいということが保証されるだけなので、必ずしも絶対に必要というわけではない。そうすることで、フレークが、主に、表面に対して平行にそれらを配列し、および/または、良好な型を生み出すように、既知の方法で塗布パラメータが好ましくは選択される。
【0056】
フレークまたは他の固体の塗料粒子が、確実に、または、機能に対して適切な方法で、コーティング剤ノズルを通して導かれ得るように、フレークまたは他の固体の塗料粒子を塗布するように設けられたコーティング剤ノズルの直径を選択することが好ましい。コーティング剤ノズルの直径は、好ましくは、少なくとも金属基礎塗料のフレークの最大直径と同じ大きさ、具体的には、フレークの最大直径のサイズの2倍またはさらには3倍、または、固体の塗料粒子の最大直径である。
【0057】
コーティング剤は、塗料、具体的には、基礎塗料、クリア塗料、効果塗料、雲母塗料、金属塗料、水性塗料、溶剤型塗料、および/または二成分塗料または多成分塗料であり得る。たとえば、コーティング剤は、液体であり、かつ、固体の塗料粒子、具体的には、顔料、金属フレークまたは金属粒子を含有する塗料である。その際、具体的には、塗料に、塗料内の固体の塗料粒子が印加され得るように、具体的にはコーティング剤ノズルがサイズ決めされることが必要である。固体の塗料粒子は、約4μm、5μmまたは6μmよりも大きな粒子サイズを有し得る。
【0058】
塗布装置は、少なくとも1m
2/分、2m
2/分、3m
2/分または4m
2/分または5m
2/分の表面コーティング性能を有し得る、および/または、好ましくは、少なくとも3μm、8μm、15μm、25μm、50μm、75μm、100μmまたはそれ以上のコーティング剤の層厚さを塗布し得る(基礎塗料および下塗剤が、たとえば、約25μmまで塗布される一方、たとえば、クリア塗料はたいてい約50μmまで塗布される)。
【0059】
さらに、塗布装置が、少なくとも50ml/分、100ml/分、150ml/分、200ml/分、300ml/分、400ml/分または500ml/分、1000ml/分まで、1500ml/分まで、またはさらに大きなコーティング剤排出を実現し得ることも可能である。
【0060】
少なくとも1つの塗料変換器(または複数の塗料変換器)が塗布装置に割り振られ得て、塗料変換器は、その外側で塗布装置に接続され、その内側で個々のコーティング剤が供給される。そして、塗料変換器は、コーティング剤のうちの一つを選択し、選択されたコーティング剤を塗布装置に供給し得る。さらに、塗料変換器に、その内側で個々の特殊塗料またはコーティング剤が供給され得る。また、コーティング剤(例:二成分塗料または多成分塗料)を供給するために、その内側で塗料変換器が混合器と接続され得る。戻りラインは、塗料変換器と塗布装置との間で分岐し得る。また、塗料変換器が、その外側で混合器と接続され得る。
【0061】
塗布装置は、1つ以上のノズルの列、具体的には、行と列の行列の形態で配置された複数のコーティング剤ノズルを有し得る。さらに、個々のノズル列におけるコーティング剤ノズルが塗料変換器によって共通にフィードされ得て、たとえば、塗料変換器がその内側で複数のコーティング剤フィードラインに接続され(たとえば、特殊塗料フィードライン)、そこを通って、コーティング剤(たとえば、特殊塗料)が塗料変換器にフィードされ得る。さらに、塗料変換器はその内側で混合器に接続され得て、それに個々のコーティング剤(例:二成分塗料または多成分塗料)がフィードされ得る。そうする際に、塗料変換器は、好ましくは、コーティング剤フィードラインのうちの一つからコーティング剤の一つを選択するか、または、混合器から混合されたコーティング剤を選択し、それをコーティング剤ノズルにフィードし得る。
【0062】
塗布装置は、好ましくは、複数の(同一または異なる)コーティング剤ノズルを有し得て、それは、少なくとも1つ、好ましくは複数のノズルの列、具体的には行と列の行列の形態で配置され得て、それぞれのノズルの列が複数のコーティング剤ノズルを備え得る。コーティング剤ノズルまたはノズルの列は、たとえば、「交互配列(千鳥状)」またはお互いにずらして配置され得て、コーティング剤の滴は、好ましくは、構成部品上に均等に重なり合う。ここで、塗布されるコーティング剤がフィードされ得るコーティング剤供給ラインに、個々のノズル列のコーティング剤ノズルが共通して接続され得る。さらに、塗料変換器、さらに、ドッキング塗料変換器(回転または直線)および/または混合器によって、共通のコーティング剤供給ラインがフィードされ得る。
【0063】
塗料変換器によって直接、かつ、複数のコーティング剤フィードラインによって直接フィードされ得る塗布装置が設けられ得る。また、複数のコーティング剤フィードラインによって共通に、および/または、塗料変換器によって共通に直接フィードされる複数の塗布装置も設けられ得る。また、複数の離隔したコーティング剤フィードラインによってフィードされる複数の塗布装置および/またはコーティング剤ノズル配置が設けられ得て、そのそれぞれが塗料変換器に割り当てられ得る。また、複数の離隔したコーティング剤フィードラインによってフィードされる塗布装置および/またはコーティング剤ノズル配置を設けることも可能であり、そのそれぞれが塗料変換器に割り当てられ得る。さらに、少なくとも1つの塗布装置および/または少なくとも1つのコーティング剤ノズル配置が、少なくとも1つの、好ましくは複数のコーティング剤フィードラインによって直接フィードされ得て、そのそれぞれが好ましくは投入装置(例:投入ポンプ)に割り当てられ得る。さらに、複数のコーティング剤フィードラインのどちらかから、および/または、複数の塗料変換器のどちらかからコーティング剤が送られるかを設定するために、塗布装置は、一体化された切り替え機器を備え得る。
【0064】
コーティング剤と接触する表面の部位、具体的には、塗布装置および/またはコーティング剤ノズルの表面の内側部位が、磨耗減少コーティング、好ましくは耐磨耗コーティング、具体的にはDLC(DLC:ダイヤモンド状カーボン)コーティング、ダイヤモンドコーティング、タングステンカーバイド、または、硬質材料および軟質材料から作られた複合材料、PVDコーティング(PVD:物理気相成長)、清掃容易(Easy−to−Clean)コーティング)、および/または、流線型構造、具体的には、鮫肌構造またはさざ波構造またはゴルフボール構造によって、少なくとも一部がコーティングされ得る。
【0065】
コーティング機器は、たとえば、好ましくは高電圧を用いての、具体的には1つ以上の外部電極(例:複数のフィンガー電極または電極リング、それは複数の電極を備え、電極は好ましくは塗布装置の周囲に均等に配置される)によって外部チャージ用の、および/または、1つ以上のコンタクトまたは内部電極による直接チャージまたは内部チャージ用の、静電コーティング剤チャージ用システムを備え得る。電極は、好ましくは高圧電極である。回転アトマイザー用の外部チャージおよび内部チャージは従来技術によって既知である。向上した離隔および/または向上したコーティング剤歩留まりおよび/または向上した塗布効率を実現するために、コーティング剤チャージシステムが構成され配置される。
【0066】
さらに、調節可能(たとえば、コントロール可能または可変)であり得る塗布装置の塗布効率の向上のため、圧縮空気支持部が設けられ得る。
【0067】
コーティング剤ノズルは、異なるサイズおよび/または異なって形成され得て、たとえば、円筒形状または円形状または矩形状、テーパ形状および/または拡大形状、(例:円錐形状の)本質的には一定の出口(たとえば、円筒出口)を有するテーパ、(たとえば円錐形状の)本質的には一定の入口(たとえば、円筒入口)を有する拡大形状および/またはラバルまたはベンチュリノズルとして形成され得る。コーティング剤ノズルは、さらに、一緒に接続される1つ以上の膨らみ部またはチャンバーを含み得る。円形ノズルまたはスリットノズルが設けられ得る。
【0068】
塗料変換器および/または塗布装置、具体的には、コーティング剤を運ぶまたは含む部分(たとえばライン)に、それを清掃するためのフラッシング剤/溶媒および/またはパルス状空気が印加され得ることもあり得る。このために、コーティング機器は、好適なバルブを有するフラッシング剤/溶媒ラインシステムおよび/またはパルス状空気ラインシステムを備え得る。
【0069】
コーティング剤と接する部位および/またはそれぞれの表面は、たとえば、塗料または媒体の急速な変化がなされ得るように、好ましくは設計されるべきであり、たとえば、少ない量、滑らかな表面、ギザギザがないこと、単純な洗浄能力、などが提供されるべきである。
【0070】
充填およびフラッシングはバイパス(通気口、戻りライン)によって加速され得る。この開口部は、追加して、真空源に接続され得る。それゆえに、フラッシング剤/溶媒および/またはパルス状空気(好ましくは不要な塗料とともに)が、コーティング剤ノズルから排出される、または、もう一つの出口を介して戻りラインを通って、または、両方を介して廃棄され得る。すなわち、好ましくは、最初は戻りラインを介して溶媒とともに塗料の主な部分が廃棄され、次にコーティング剤ノズルをも介してコーティング剤ノズル洗浄溶媒/パルス状空気が廃棄され得る。
【0071】
たとえば、投入ポンプ、投入ピストン、塗料変換器、ドッキング塗料変換器、静的ミキサー(たとえば、二成分システムまたは多成分システム用、または、概してコーティング剤)、ガイド空気システムまたは被覆空気システム、切り替えバルブを伴う単一回路システムまたは二回路システム、および好ましくは離隔したコントローラーを介してコントロール可能なロボットなどの、複数の、好ましくは塗装分野における全ての、既知の使用済の構成部品に、塗布装置は接続され得る。
【0072】
さらに、塗布装置、具体的には振動発生器のための電気的絶縁または隔離を利用可能にし得る。
【0073】
さらに、コーティング機器は、コーティング剤および/またはフラッシング剤/溶媒またはガイド空気フローおよび/または被覆フローもコントロールする温度コントロール機器を備え得る。
【0074】
最後に、本発明はまた、好ましくは本明細書に記載されたコーティング機器によって、コーティング剤を用いて構成部品をコーティングする、具体的には、塗料を用いて、車両部品および/またはその付属部品(例:バンパー、ミラー筐体、バンパーステッカーなど)だけでなく他の車両または車両部品をも塗装するコーティング方法をも含み、少なくとも1つの塗布装置が、少なくとも1つのコーティング剤ノズルからコーティング剤を排出する(例:排出、塗布、など)。
【0075】
具体的には、コーティング剤の滴を生成するために、または、コーティング剤および/または少なくとも1つのコーティング剤ジェットを細かく砕いて滴にすることを可能にするために、塗布装置は、コーティング剤および/または少なくとも1つのコーティング剤ジェットに、振動および/または不安定性を印加し得る。
【0076】
好ましくは、コーティング剤の滴を生成するために、または、排出されたコーティング剤および/または排出された好ましくは連続的またはコヒーレントなコーティング剤ジェットを細かく砕いて滴にすることを可能にするために、塗布装置は、コーティング剤および/または少なくとも1つの好ましくは連続的またはコヒーレントなコーティング剤ジェットに、振動および/または不安定性を印加し得る。
【0077】
さらなる方法のステップが、コーティング機器の本開示から、具体的には、コーティング機器の機能から直接的に生じる。
【0078】
たとえば、独国特許出願第102006012389号明細書に記載されたような機器を用いて、具体的には、それゆえに、少なくとも1つの環状ギャップが作られる場所と駆動装備との間にあり、そこには少なくとも1つの円周状の狭窄部が少なくとも1つの環状ギャップに作成可能である、少なくとも2つの環状ギャップ部品の同心円状の配置によって、振動および/または不安定性が生成され得る。そうすることで、駆動装備は、たとえば、狭窄部が少なくとも1つの環状ギャップの周りを回るように、環状ギャップ部品のうちの少なくとも1つにギャップ振動が生成され得る振動源を含み得る。第一の環状ギャップ部品および第二の環状ギャップ部品によって区画される第一の環状ギャップが設けられ得て、第一の環状ギャップ部品および第二の環状ギャップ部品のうちの少なくとも1つのギャップ振動の励振のための振動源が設けられる。第二の環状ギャップ部品と、第二の環状ギャップ部品を取り囲む第三の環状ギャップ部品とによって区画される第二の環状ギャップが好ましくは設けられ得て、第二の環状ギャップ部品のギャップ振動の励振のための振動源が設けられる。第二の環状ギャップ部品が、第一の環状ギャップ部品が配置される通路を有することも可能である。たとえば、独国特許第4441553号明細書に記載された機器を用いて、振動および/または不安定性が生成されることも可能である。独国特許第4441553号明細書は、筐体(本発明に関しては、好ましくは塗布装置の筐体)による初期圧力の下、音速cで移動する液体(本発明に関しては、好ましくは塗料)から滴を形成する機器が開示されており、そこを通って液体入口から液体出口まで液体が誘導され得て、そこにおいて、最小周波数fMINより大きな周波数による好適な振動励振によって液体が印加され得る。そして、液体の振動は、液体出口における滴のための少なくとも一つの出口開口部における細かく砕けて滴になるプロセスをコントロールし、かつ、振動の震えが好ましくは液体入口と液体出口との間の筐体を介して少なくとも1つの出口開口部から液体までのc/(2fMIN)よりも大きな合算された距離であり得る振動を生成するために、液体の外側に配置された振動発生器が用いられる。また、さらに、層流の誘導が起こり、液体の横方向の振動モードが防止されるように、筐体の内側部分が設計される。しかしながら、本発明に関しては、これらの技術は、コーティングのため、具体的には、車両、好ましくは車両部品の塗装のために用いられる。
【0079】
コーティング機器は複数の塗布装置を備え得る。
【0080】
本発明の他の有利な発展形が従属項において特徴づけられるか、図面に基づいて本発明の好ましい例示的態様の記載とともに以下により詳細に説明される。