【実施例】
【0037】
実施例1−IFNポリペプチドおよび/またはNISポリペプチドを発現する水疱性口内炎ウイルスを用いる1回投与静脈内ウイルス療法は、腫瘍崩壊性の腫瘍減量および残留疾患の免疫療法による根絶を仲介する
マウスIFNβポリペプチドを発現するように設計された水疱性口内炎ウイルス(VSV-mIFN)ならびにマウスIFNβポリペプチドおよびヒトNISポリペプチドの両方を発現するように設計された水疱性口内炎ウイルス(VSV-mIFN-NIS;
図1A)を、他書(Obuchi et al., J. Virol., 77(16):8843-56 (2003)); Goel et al., Blood, 110(7):2342-50 (2007)); Kelly et al., J. Virol, 84(3): 1550-62 (2010); and Lawson et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 92(10):4477-81 (1995) Erratum in: Proc. Natl Acad. Sci. USA, 92(19): 9009 (1995))で記述された方法と類似の方法を用いて作製した。同様に、ヒトIFNβポリペプチドおよびヒトNISポリペプチドを発現するように設計された水疱性口内炎ウイルス(VSV-hIFN-NIS;
図1A)も作製した。簡単に説明すると、所望のトランスジーンの核酸配列を、PCRを用いて特異的制限部位によって生成した。トランスジーンを、5'から3'方向にVSVゲノムのポジティブ鎖をコードするプラスミドの特異的挿入部位に挿入した。改変プラスミドを拡大させて、必要なT7ポリメラーゼをコードするワクシニアウイルスによる感染ならびにVSVウイルスタンパク質N、P、およびLのトランスフェクションによって感染ウイルスを回収した。これによって、感染性ビリオンに構築されるネガティブセンスウイルスゲノムを生成することができる必要なウイルスポリペプチドの産生が可能となった。回収したウイルスを増幅して、感染用量を適切な培養細胞株(たとえば、BHK-21細胞)において測定した。これらの水疱性口内炎ウイルスを作製するために用いたマウスIFNβポリペプチドの核酸配列は、GenBank(登録商標)アクセッション番号NM_010510.1(GI番号6754303)に記載される。これらの水疱性口内炎ウイルスを作製するために用いたヒトIFNβポリペプチドの核酸配列は、GenBank(登録商標)アクセッション番号NM_002176.2(GI番号50593016)に記載される。これらの水疱性口内炎ウイルスを作製するために用いたヒトNISポリペプチドの核酸配列は、GenBank(登録商標)アクセッション番号NM_000453.2(GI番号164663746)に記載される。
【0038】
ヒトNISポリペプチドをコードする核酸を、VSV Gポリペプチドをコードする核酸の上流に挿入した場合には、機能的ビリオンは生成されなかった。この理由は、細胞が生存してウイルス繁殖を可能にするためにはNIS発現レベルが高すぎたように思われるためである。NISポリペプチドをコードする核酸をVSV Gポリペプチドをコードする核酸の下流に挿入すると、より低い量のNISポリペプチドが産生されて、それによって効率的なウイルス繁殖のみならず、感染細胞における機能的ヨウ化物取り込みにとって十分な量のNISポリペプチドが可能となったことにより、機能的NIS発現ビリオンが生成された(
図2B)。
【0039】
VSV Mポリペプチドをコードする核酸と、VSV Gポリペプチドをコードする核酸のあいだにIFNポリペプチドをコードする核酸を挿入すると、細胞に感染して、感染細胞の上清において観察されるIFNポリペプチド発現レベルの有意な増加を生じるウイルスが得られた(
図2A)。VSV-IFN-NISウイルスは、インビトロで感染細胞において効率的に複製することができ、同様に、感染細胞の放射性ヨウ化物取り込み能によって示されるように、高レベルの機能的NISを発現することが可能であった(
図2B)。
【0040】
2つのVSV-IFN-NISウイルスの精製保存株を、BHK(ハムスター)細胞において滴定して(
図1B)、細胞上清を採取して、ウイルスによってコードされたIFNβの分泌を確認した。高濃度のヒトまたはマウスIFNβが、VSV-hIFN-NISおよびVSV-mIFN-NISをそれぞれ感染させたBHK細胞の上清に検出され(
図1D)、放射性ヨウ素の取り込み試験により、ウイルス感染細胞における放射活性ヨウ素の過塩素酸塩感受性(すなわち、NIS仲介性)濃度が確認され(
図1C)、この濃度は高多重度の感染後24時間で最大に達した。
【0041】
5TGM1およびMPC-11マウス骨髄腫細胞株が免疫コンピテント同系マウスにおいて皮下または正常位の腫瘍を信頼可能に形成することから、VSV-IFN-NISウイルスのインビボ活性を評価するために、これらのマウス骨髄腫細胞株を選択した(Lichty et al., Hum. Gene Ther., 15:821-831 (2004) and Turner et al., Human Gene Therapy, 9: 1121-1130 (1998))。いずれの株も、VSV-IFN-NIS感染に対して感受性であることが確認され(
図1E)、機能的なNIS発現、IFNβ放出、およびその後の殺細胞が得られた。静脈内に投与したVSV-IFN-NISウイルスが、腫瘍血管から滲出して、腫瘍の実質内に拡散することができるか否かを判定するために、皮下5TGM1またはMPC-11腫瘍を同系マウスにおいて成長させ(直径約5 mm)、10
8 TCID
50 VSV-IFN-NISウイルスの1回静脈内用量を投与し、かつウイルスがコードするNIS発現の生体分布を、トレーサーとして99mTcO4(半減期6時間)を用いるSPECT/CTイメージングによって非侵襲的に毎日モニタリングした(
図3A)。これらのトレーサー取り込み試験により、ウイルスが、腫瘍血管から効率よく滲出することが示され、ウイルスが皮下腫瘍の中で急速に拡散している可能性があることを示唆した。
【0042】
ウイルスが実際に腫瘍実質内で複製および拡散していることを確認するために、VSV-IFN-NISウイルス投与後24、48、および72時間目でSPECT/CTイメージングの直後に、選択した腫瘍を採取して、(i)生存しているNIS発現腫瘍細胞を検出するためのオートラジオグラフィー、(ii)VSV抗原を検出するための免疫蛍光(IF)、および(iii)死細胞または死につつある細胞を同定するためのTUNEL染色に供した。
図3Bに示されるデータを注意深く分析すると、中心の腫瘍細胞はアポトーシスが進行しつつあるが、周辺部の細胞は生存したままで(同様に
図8を参照されたい)、NISを発現し(
図5)、および99mTc04を濃縮する(
図9)、ほぼ球状の大きなVSV感染域が存在することが示された。IFおよびTUNELデータの定量的分析により、ウイルス投与後24時間から48時間のあいだにウイルス感染細胞およびアポトーシス細胞数の有意な増加が示された(
図3C)。感染後72時間までに、拡大しつつあるVSV感染域は、大部分が癒合して、広範囲の腫瘍の破壊が起こった(
図3Bおよび
図8)。
【0043】
ウイルス投与後最初の24時間のあいだの非常に初期の時点におけるウイルス拡散の動態を特徴決定するために、さらに実験を行った(
図4A)。ウイルスのIV投与6時間後に採取して、VSVおよびCD31陽性血管の両方に関して染色した腫瘍切片の分析により、ほとんどが腫瘍血管付近に存在する個々の散乱したVSV感染細胞が明らかとなった。12時間までに、ウイルス感染細胞の小さい集塊を見ることができ、18時間までにそれらは有意に成長して、24時間までにそれらは、中心部でアポトーシスが進行しつつあり周辺部が生存している、という既に記述された典型的な外観を示した。これらの二重CD31/VSV染色切片の分析(
図4A、パネルi〜vi)により、
図4Bにおいて高倍率で示されるように、腫瘍血管の内側に並ぶ内皮細胞が、VSV感染腫瘍細胞によって完全に取り囲まれた場合でさえ、VSV感染に屈しなかったことが示された。6、12、18、および24時間の時点での感染中心の平均直径(横切る細胞数として測定)をプロットすることにより(
図4C)、ウイルスが一定の速度で遠心状に拡散して、拡大しつつある球体中の細胞の各連続層に感染するにはおよそ2時間を要するように思われた。それゆえ、各感染中心への新しい細胞の累増速度は、感染が進行すると増加して、ウイルス送達後24時間までに各中心は細胞およそ10,000個を含むと推定された。
【0044】
インビボにおける感染腫瘍細胞の感染から死滅までのおよその時間を決定するために、腫瘍内感染の進行しつつある端部の生存しているVSV感染(すなわち、TUNEL陰性、VSV陽性)細胞の環状端の平均直径は、およそ細胞10個であると測定された(
図4D)。このように、ウイルスは遠心状に拡散して、ウイルスが隣接する細胞に移行するにはおよそ2時間を要したが(
図4C)、細胞死は、感染細胞の環状端が細胞10個分の直径に進行するまで起こらなかった(
図4D)。これらの知見を併せると、感染細胞がアポトーシスとなるにはおよそ20時間を要すると結論された。
【0045】
ウイルスの効率的な滲出および急速な腫瘍内拡散が腫瘍の退縮に関連するか否かを判定するために、5TGM1皮下腫瘍を有するさらなる群のC57KaLwRijマウスを、10
8 TCID
50 VSV-IFN-NISの1回静脈内用量によって処置して、毎日の健康状態のチェックおよび腫瘍の測定によって長期間追跡した。腫瘍は、VSV-mIFN-NISおよびVSV-hIFN-NIS処置動物の大多数において急速に退縮した(
図6A)。時に見られる非常に早期の死亡は神経毒性に関連しておらず、公式には証明されていないが、急速な腫瘍溶解症候群によると思われた。興味深いことに、ウイルス療法の投与後2または3週間目に、VSV-hIFN-NIS処置によって処置した動物のほとんどにおいて腫瘍の再発が認められたが、これにより、VSV-mIFN-NISによって処置した動物では認められず(
図6Aおよび6B)、ウイルスによってコードされるマウスIFNβは、この同系の免疫コンピテントマウスモデルにおいて残留疾患の完全な根絶に至る機構を活性化できるが、ヒトIFNβは活性化できないことを示唆した。マウスの全てがその時点までに高い力価の抗VSV抗体を有したことから(
図6C)、再発した腫瘍をVSV-IFN-NISによって再度処置することは試みなかった。
【0046】
ウイルス処置動物における血清IFNβレベルの測定により、ウイルスにコードされるこのサイトカインが、ウイルス投与後初期の時点でウイルス感染腫瘍細胞によって血流に放出されることが示された(
図7A)。インターフェロンβの抗腫瘍作用は、腫瘍細胞増殖の直接阻害、ナチュラルキラー細胞活性化、抗血管新生、および抗腫瘍T細胞応答の増強を含む。しかし、インビトロでの5TGM1およびMPC11骨髄腫細胞の増殖は、高濃度のIFNβであっても有害な影響を受けなかった(
図1F)。その上、ウイルス処置腫瘍のCD31またはCD3染色切片の分析では、抗血管新生活性の阻害のいかなる証拠も、または宿主Tリンパ球による腫瘍浸潤のいかなる証拠も認められなかった(
図4B)。しかし、その腫瘍が再発しなかったウイルス処置動物は、5TGM1腫瘍細胞による再接種に対して抵抗性であることが見いだされ(
図7B)、マウスが5TGM1特異的抗腫瘍免疫を発達させたことを示している。同系のVSV感染骨髄腫細胞が、特異的抗骨髄腫免疫応答を誘発できるか否かを判定するために、同系のマウスを、皮下腫瘍細胞移植の1日後または5日前にVSV感染5TGM1細胞10
7個の1回皮下注射によって免疫した。腫瘍の成長は遅れ、それによって腫瘍接種の5日前に免疫したマウスでは生存の有意な増強が得られ(
図7C)、VSV感染腫瘍細胞が、適度の抗腫瘍免疫応答を誘発したことを示している。しかし、VSV感染腫瘍細胞ワクチンは、小さくとも確立された腫瘍を有するマウスでは検出可能な抗腫瘍活性を示さず、抗腫瘍免疫が、疾患負荷量が最小である状況に限って有効であることを示唆した。
【0047】
VSV-mIFN-NIS処置マウスにおける腫瘍再発率がより低いことが、抗腫瘍T細胞応答を増強するウイルスにコードされるIFNβに起因するか否かを判定するために、抗CD4および抗CD8抗体のカクテルを用いて、T細胞を枯渇させた。腫瘍は、T細胞の枯渇状態によらず、静脈内VSV-mIFN-NIS治療に等しく良好に反応したが、腫瘍の再発率は、T細胞枯渇マウスにおいて有意に高かった(
図7Dおよび7E)。これらの結果は、VSV-mIFN-NISによる腫瘍溶解性の減量後の残留腫瘍細胞の根絶が、ウイルスにコードされるマウスIFNβによってその増幅が刺激される腫瘍特異的T細胞によって仲介されたことを示している。
【0048】
Goelらの参考文献(Blood, 110(7):2342-50 (2007))において記述され、免疫コンピテント5TGM1同系多発性骨髄腫マウスモデル(C57Bl/KalwRijHsd)において弱い腫瘍溶解効能を示したVSV-Δ51-NISウイルスと比較すると、VSV-IFNおよびVSV-IFN-NISウイルスは、非常に優れた複製動態を示した。さらに、VSVΔ51-NISウイルスと比較すると、VSV-IFN-NISウイルスは、インビトロでより高いNISポリペプチド発現を誘導した。インビボ治療試験により、VSV-IFNおよびVSV-IFN-NISウイルスの各々の1回静脈内用量が、皮下または正常位の5TGM1骨髄腫腫瘍を有する免疫コンピテントマウスの腫瘍の退縮を促進して、生存を有意に延長することが証明された。VSV-IFN-NISウイルスによって処置したマウスにおいて行ったTc-99mイメージング試験は、腫瘍特異的ウイルスNISポリペプチド発現および腫瘍内ウイルス拡散と同時に増加する放射性同位元素取り込みを示した。さらに、VSV-IFNおよびVSV-IFN-NISウイルスによる処置後に神経毒性は示されなかった。これらの結果は、VSV-IFN-NISウイルスを、ウイルス生体分布の非侵襲的イメージングおよび放射線ウイルス療法のために放射性同位元素と組み合わせることができる、癌(たとえば、多発性骨髄腫)のための治療物質として用いることができることを示している。
【0049】
本明細書において提供される結果は、ヒトIFNβおよびヒトNISをコードする水疱性口内炎ウイルスが、多発性骨髄腫の免疫コンピテントマウスモデルにおいてインビボで腫瘍溶解効能を示すことを証明している。全身投与されたウイルスは、腫瘍において複製することができ、機能的NISポリペプチドの十分なレベルを発現して、腫瘍溶解活性を発揮して腫瘍の退縮を誘導して生存を改善し、およびVSV-Δ51-NISウイルスと比較して優れたNIS発現および腫瘍溶解活性を示すことができた。
【0050】
細胞培養およびウイルス
細胞株を、10%ウシ胎児血清(FBS)、100 U/mLペニシリンおよび100 mg/mLストレプトマイシンを添加した培地において培養した。American Type cell culture(ATCC)から得たBHK-21およびMPC-11細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において成長させた。5TGM1細胞を、Dr. Babatunde Oyajobi(UT Health Sciences Center, San Antonio, TX)から得て、イスコブ改変ダルベッコ培地(IMDM)において成長させた。B-16マウス黒色腫細胞は、R. Vileから得て、DMEMにおいて成長させた。細胞株は全て、マイコプラズマ混入に関して試験陰性であった。
【0051】
VSVポジティブ鎖アンチゲノムを含むpVSV-XN2プラスミド内、機能的トランスジーン発現にとって必要な推定VSV遺伝子間配列(TATG(A)
7CTAACAG)の後に続くM/GおよびG/L遺伝子接合部に、制限部位を遺伝子工学により作製した(Schnell et al., J. Virol., 70:2318-2323 (1996))。マウスIFNβ、ヒトIFNβ、およびNIS遺伝子をコードするcDNAに隣接する制限部位を、PCRによって生成した。マウスまたはヒトIFNβを1つのNotI部位(M/G接合部)に組み入れて、NISをXhoIおよびNheI部位(G/L接合部)に組み入れて、VSV-IFN-NISプラスミドを生成した。VSV-IFN-NISウイルスを、他書で記述される方法(Whelan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:8388-8392 (1995))を用いてレスキューした。次にウイルスをBHK-21細胞において増幅させて、細胞上清の濾過によって精製し、10%w/vスクロース中での遠心分離によって沈降させた。連続希釈したウイルス保存株を用いて、感染後のウイルス力価をBHK-21細胞において測定して、Spearman and Karberの式を用いて決定した組織培養感染量(TCID
50)を測定した。
【0052】
インビトロでのウイルス特徴決定
BHK-21細胞の感染(MOI 1.0、37℃で1時間)後の上清中のウイルス力価を測定した。インビトロの放射性ヨウ化物の取り込みを測定するために、細胞を、放射標識NaI(1×10
5 cpmのI
125)の存在下で、+/-100 μM過塩素酸カリウム(KClO
4)の存在下または非存在下で、10 mM HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸、pH 7.3)を添加したハンクス緩衝塩類溶液(HBSS)中でインキュベートした。感染細胞の上清中のIFNβ分泌を、マウスまたはヒトIFNβ(PBL Interferonsource)に対する酵素免疫測定法(ELISA)を用いて決定した。IFN反応性を比較するために、細胞を100 U/mLマウスIFNβと共に12時間プレインキュベートした後、VSV-GFPを感染させた。生存細胞の増殖を、MTTアッセイ(ATCC)によって評価した。VSV-IFN-NIS(MOI 1.0)による5TGM1およびMPC-11の殺細胞を、MTTアッセイによって感染後の明記された時点で同様にモニタリングして、無処置細胞の百分率として示した。
【0053】
インビボ試験
5TGM1またはMPC-11マウス骨髄腫細胞5×10
6個を、6〜10週齢の同系雌性C57Bl6/KaLwRij(Harlan, Netherlands)またはBalb/cマウス(Taconic)の右脇腹皮下にそれぞれ移植した。腫瘍の負荷量を、キャリパーによる連続測定によって測定した。マウスに、VSV-IFN-NIS 1×10
8個/0.1 mLまたは同量のPBSの1回静脈内用量を尾静脈注射により投与した。0.5 mCi Tc-99mの腹腔内(IP)投与後にSPECT-CTイメージングを行って、他書で記述されているように定量した(Penheiter et al., AJR Am. J. Roentgenol., 195:341-349 (2010))。
【0054】
高解像度腫瘍分析
24時間間隔で採取した腫瘍を切片作製のためにOCT中で凍結した。腫瘍切片を、オートラジオグラフィーによって、ならびに(i)Mayo Clinicのウイルスベクター製造研究室内で生成されたポリクローナルウサギ抗VSVの後にAlexa標識抗ウサギIgG二次抗体(Invitrogen, Molecular Probes)を用いたVSV抗原に関する免疫蛍光(IF)によって、(ii)TUNEL染色(DeadEnd(商標)Fluorometric TUNEL kit, Promega)による細胞死に関する免疫蛍光によって、および(iii)ヘキスト33342(Invitrogen)を用いた細胞核に関する免疫蛍光によって、分析した。画像の定量を、VSV-mIFN-NIS処置腫瘍n=3個(処置後72時間での腫瘍n=2個を除く)からの4つの無作為な画像について、ImageJソフトウェアを用いて行い、腫瘍面積の百分率としてVSVまたはTUNEL(+)領域を得た。6時間間隔で得た腫瘍のIF分析により、VSV抗原が検出され、およびラット抗マウスCD31抗体(BD Pharmingen)を用いて腫瘍血管が検出された。腫瘍内病巣の大きさを、腫瘍2個から病巣7〜8個を測定すること、および直径を腫瘍細胞の大きさの平均値(個々の細胞50個の直径測定に基づいて)によって除することによって定量して、多数の細胞における病巣直径を得た。ほぼ球状の病巣の体積を、式v=4/3(π*r3)を用いて推定した。生存しているVSV感染細胞の環状端の幅の平均値も同様に、VSV-IFN-NIS投与後48時間で採取した腫瘍n=3個のIF画像から定量した。
【0055】
免疫コンピテントマウスにおける免疫研究
抗ウイルス抗体の生成を測定するために、熱不活化血清の連続2倍希釈液を、500 TCID
50 VSV-GFPと共にプレインキュベートした後、これを用いてBHK-21細胞に感染させた。VSVにCPEを誘導させる最小血清希釈をプロットした。血清中のインビボIFNβ分泌を、ELISAによって測定した。5TGM1ワクチン接種を、VSV-mIFN-NIS感染細胞(MOI 10.0)1×10
7個を、同系マウスの左脇腹に皮下注射することによって投与した。C57Bl6/KaLwRijマウスにおいて、抗CD4および抗CD8抗体を1週間に3回腹腔内投与(各50μg)した後、毎週の維持用量を投与することによりT細胞枯渇試験を行った。
【0056】
統計学的方法
データの視覚的表示を用いて、域外値または正規範囲からの実質的な逸脱に関して評価して、記述されている場合にはt-検定を利用した。全ての場合において、多数の比較に関して補正されない両側のP-値を提供した。生存の差に関する比較を、カプランマイヤー生存曲線からログランク検定を用いて行った。動物試験において腫瘍再発率を比較する場合、試料規模が小さいことからフィッシャー正確確率検定を利用した。
【0057】
他の態様
本発明は、その詳細な説明と共に記述してきたが、前述の説明は、本発明を説明するためであり、添付の特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の範囲を制限すると意図されないと理解されるべきである。他の局面、長所、および変更は添付の特許請求の範囲の範囲内である。