【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願において、「カプセル」または「カートリッジ」または「パッケージ」という用語は同意語と見なされる。「カプセル」という用語は、優先的に使用される。カプセルは、飲料の調製のためのその使用前に密閉される使い捨てカプセルであってもよく、あるいは、使用前に所望の食品材料を内部に導入するために開放可能な再使用できるカプセルであってもよい。「淹出」または「煎じ出し」という用語は同意語として使用される。「淹出流体」という用語は、一般に、飲料材料を煎じる役目を果たす液体、より一般には熱水のことである。「淹出液」という用語は、一般に、飲料材料を煎じて浸漬させた液体、より一般にはティー等のことである。
【0007】
本出願において、「ティー」という用語は、緑茶、紅茶、白茶、チャイティー(chai tea)、フレーバーティー、ハーブティーまたはフルーツティー、および、これらの組み合わせなどの全てのタイプのリーフティーを包含する。「リーフティー」または「リーフ材料」という用語は、淹出可能なティー、または、完全葉、カットされあるいは刻まれた葉、葉の小断片、粉末、または、粉塵などのあらゆる形態の他の材料のことである。
【0008】
本発明は、飲料マシン内で飲料カプセルから飲料を淹出するあるいは煎じるための新規な方法、ならびに、そのために適合された、以下の利点、すなわち、
特に、カップに注がれる飲料の濃度、良好な風味、および、低い濁度に関して飲料の品質を維持できる、
あまり複雑ではなく、安価に製造できるカプセル、および、前記カプセルを伴う方法、
飲料供給が、より清浄であるとともに、風味のクロス汚染問題および衛生問題を減少させるあるいは排除する、
という利点を与えるカプセルを提供する。
【0009】
これらの目的のため、ならびに、他の多くの想定し得る目的のため、第1の態様に係る発明は、飲料マシン内に挿入されるカプセルを通じて飲料を調製するための方法であって、カプセルが1つ以上の飲料材料を収容する収容容器を備え、前記1つ以上の飲料材料を淹出するために収容容器内に淹出流体が導入され、収容容器と関連して導出壁が配置され、導出壁が垂直に向けられるように飲料調製中にカプセルがマシン内に配置される、方法に関する。また、本発明によれば、導出壁は、収容容器内の圧力が所定値を下回る場合に淹出液がカプセルから導出されるのを抑制しあるいは液体流を制限する導出手段を備え、導出手段は、圧力が前記所定値を上回る場合に淹出液の供給を可能にする。
【0010】
したがって、本発明の方法の第1の態様によれば、理論的なモデルに何ら拘束されることなく、飲料材料を流体中に浸すことができ、したがって、迂回領域を回避して、材料塊が淹出流体と十分に相互作用することを確保でき、それにより、圧力が所定値を上回ると、良好に混合されて淹出された液体がカプセルから出ることができるとともに供給(dispense)されるようになるという効果を得ることができる。
【0011】
第1の実施形態によれば、導出手段は、収容容器内の圧力が上昇しているときにその断面を増大させる穴を成してもよい導出開口となり得る。この場合、導出壁は、断面の増大を可能にすると同時に、圧力が前記所定値を下回る限りはその導出開口部で水を透過させない水密壁を形成することができるように、シリコーン膜などの可撓性の、好ましくは伸縮性または弾力性の材料から形成されるのが好ましい。導出壁は弾性繊維織材料などであってもよい。したがって、導出壁、あるいは、より良好には、前記壁の導出手段は、低い流体圧がそれに加えられると、出口へ向かう流体の流れを制限し、また、出口へ向かう流体の流れは、カプセル内の圧力が増大するときに増大され得る。すなわち、カプセル収容容器が水で一杯になっても送水ポンプが収容容器内に水を導入し続けると、圧力が増大して、導出手段がその断面を増大させ、したがって、液体流量もゆっくりと増大し、そのため、所定の圧力値に達するまで、材料は完全に浸漬されてしまっている。
【0012】
第2の実施形態によれば、導出手段は、二尖頭状のバルブ、三尖頭状のバルブ、または、四尖頭状のバルブなどのフレキシブルバルブを備えてもよい。第2の実施形態の導出壁は、第1の実施形態に係る導出壁と同じ材料から形成され得る。これに加えてあるいはこれに代えて、導出開口およびフレキシブルバルブの両方、すなわち、前述した導出手段は、圧力が所定値を下回るときに導出手段を閉じるように、すなわち、したがって導出壁を閉じるように収縮され得る。また、導出手段は、圧力が所定値を上回るときに導出手段を開放するように、すなわち、したがって導出壁を開放するように拡張され得る。これらの2つの第1の形態の利点は、飲料の調製の終わりに送信ポンプがカプセルの収容容器内への水の導入を停止し、その結果、カプセル内の圧力が減少して、穴断面が減少しあるいはバルブが閉じるという点である。そのとき、導出壁は、閉じられて、飲料マシンからのカプセルの取り出し中にカプセル内に依然としてある液体がカプセルから漏れるのを防止し、それにより、飲料調製方法が更に清浄となる。
【0013】
第3の実施形態によれば、導出手段は、淹出流体が圧力を伴うことなく導入されるときに水密壁を形成するとともに圧力が所定値を上回るときに淹出液を流通させるべく十分に小さい所定の直径を有する穴を成す導出開口である。この場合、導出壁は、前記少なくとも1つの穴を備えるプラスチック材料から形成できる。また、導出壁は、プラスチック、紙、または、繊維のフィルタであってもよい。前記特徴により、所定の圧力値に達する前に材料を完全に浸漬させることができ、また、所定値を上回ると、導出手段、すなわち、穴を介して、水、すなわち、淹出飲料が収容容器から導出される。
【0014】
導出壁は、好ましくは実質的に収容容器の横断面全体にわたって、より好ましくは実質的に収容容器の下端から収容容器の上端まで延びる。したがって、導出壁は、流量が許容範囲内にとどまることができる間、収容容器内のより低い淹出圧およびゆっくりとした流速に有利に働く淹出液のための十分に大きい表面を形成する。そのため、所定の圧力をより正確に調整して設定できるとともに、材料を完全に浸漬させることができる。導出壁は、フィルタとして作用して茶葉のような固形食材料が導出壁を通り抜けるのを防止するべく十分小さいバルブ開口断面または穴断面(すなわち、導出手段)を与えることが好ましい。
【0015】
本発明の方法により、淹出流体は、0.2バール未満、好ましくは0.1バール未満、最も好ましくは大気圧〜0.1バール未満の値の相対圧力で収容容器内に入る。
【0016】
この文脈において、「相対圧力」とは、カプセルの流体入口の直ぐ外側(および最終的な背圧バルブの下流側)で測定されて大気圧を上回る圧力の値を示す圧力を意味する。
【0017】
本発明の方法によれば、淹出液を導出手段から飲料管路を介して飲料出口へ下方に導くことができる。したがって、簡単なカプセルの構成を維持しつつ、また、マシンでのカプセルの容易な取り扱いを促進させつつ、淹出液を適切に且つ衛生的に受容器(カップ、マグカップ等)内へ供給することができる。
【0018】
このため、本発明の方法は、カプセルを略垂直に位置させて、飲料を導出手段から飲料出口へ下方に運ぶことをもくろむ。結果として、流体を収容容器内で収集して混合させることができ、また、飲料は、収容容器内の所定の圧力値を上回るときに導出手段を通じて導出された後、カプセルをマシン内で垂直に位置させることができる間、下方へ分配される。この手法は、マシン内にカプセルを水平に配置する傾向がある既存のシステムよりも大きな利点を与える。本発明では、より良好な煎じ出し品質のために流体をカプセルに通して更にゆっくりと制御できるだけでなく、カプセルシステム全体が非常に簡略化され、カプセルの取り扱いが更に容易になる。確かに、カプセルを垂直に配置できるため、カプセル挿入およびカプセル除去が容易になる。これは、カプセルをマシンの上端から垂直に挿入できるとともに、複雑な取り出し装置および/またはユーザの介入を必要とすることなく重力だけでカプセルをマシンの開放中に同じ軸線に沿ってあるいは同じ方向に沿って除去できるからである。
【0019】
好ましい実施形態では、飲料管路および飲料供給出口がカプセルの部品であり、また、飲料がマシン部品と直接に接触することなくカプセルから流出する。これは、マシン部品の洗浄および濯ぎがもはや必要とされず、そのため、風味クロス汚染を排除できるという更なる利点を与える。
【0020】
必要に応じて、更なるフィルタ媒体を使用して、食品材料の微粉が導出手段の導出開口を通り抜けるのを防止できる。
【0021】
一実施形態では、導出壁とは反対側の収容容器の入口壁を通じて流体をカプセル内へ導入できる。この場合も先と同様、従来技術の教示に反して、カプセルの任意の想定し得る側で流体を導入できる。流体は、本発明の利点、すなわち、高品質な煎じ出しのためのゆっくりとした流れ、カップへ向けた飲料の制御された案内、低いクロス汚染、および、マシン内でのカプセルの容易な取り扱いを維持しつつ、反対側から導入されるのが好ましい。この「反対側」手法は実に好ましい。これは、この手法が、第1に、水が材料を通じて完全に横切ることができるようにするとともに、注入流体システムを配置するためのより多くの空間を一方の側に残し、したがって、カプセルシステム(カプセルおよびマシンの両方)のコンパクト化に寄与するからである。
【0022】
第2の態様に係る発明は、淹出されるべき1つ以上の飲料材料を収容する収容容器と、淹出液の経路中に(収容容器と関連して)配置される導出壁とを備える、飲料マシン内で飲料を調製するためのカプセルに関し、導出壁は、収容容器内の圧力が所定値を下回る場合に淹出液がカプセルから導出されるのを抑制し、あるいは液体流を制限するように構成されるとともに、圧力が前記所定値を上回る場合に淹出液の供給を可能にするように構成される導出手段を備える。
【0023】
第1の実施形態によれば、導出手段は、収容容器内の圧力が上昇しているときにその断面を増大させるように構成される穴を成すことが好ましい導出開口であってもよい。
【0024】
第2の実施形態によれば、導出手段は、二尖頭状のバルブ、三尖頭状のバルブ、または、四尖頭状のバルブなどのフレキシブルバルブを備えることができる。
【0025】
これに加えてあるいはこれに代えて、導出手段は、圧力が所定値を下回るときに導出手段を閉じるべく、すなわち、したがって導出壁を閉じるべく収縮されるとともに、圧力が所定値を上回るときに導出手段を開放するべく、すなわち、したがって導出壁を開放するべく拡張されるように形成されるのが好ましい。
【0026】
前述した実施形態によれば、導出壁は、シリコーン膜などの可撓性のあるいは伸縮性または弾力性の材料から形成され得る。
【0027】
第3の実施形態によれば、導出壁は、少なくとも1つの導出手段を有する繊維材料、紙、または、プラスチックのフィルタを備えることができ、導出手段は、淹出流体が圧力を伴うことなく導入されるときに水密壁を形成するべく十分に小さくなるように形成される所定の直径を有する穴を成す導出開口であり、また、淹出液は、圧力が所定値を上回るときに少なくとも1つの穴を通じて流通できる。
【0028】
導出壁は実質的に収容容器の下端から収容容器の上端まで延びることが好ましい。
【0029】
好ましくは、カプセルがシェルを備え、導出壁が前記シェルを閉じる。より好ましくは、カプセルは、シェルに取り付けられて導出壁と対向するカバーを備える。
【0030】
カバーは、飲料流をカプセルの飲料出口へ案内するように構成される飲料流案内手段を備えることが好ましい。
【0031】
したがって、簡単なカプセルの構成を維持しつつ、また、マシンでのカプセルの容易な取り扱いを促進させつつ、淹出液を適切に且つ衛生的に受容器(カップ、マグカップ等)へ供給できる。
【0032】
少なくとも1つの材料がティーであることが好ましい。
【0033】
また、収容容器は気体および光を透過できないようにすることができる。
【0034】
したがって、導出壁は少なくとも1つの導出手段を備える。導出壁は、カプセルの内部にあって、外側閉塞膜によって保護されてもよい。閉塞膜は、収容容器内に収容される材料の新鮮さの保守性を高めるためにカプセルを気密態様で閉じることができる。
【0035】
本発明はまた、
1つ以上の飲料材料を収容する収容容器、および収容容器と関連して配置される導出壁を備える飲料カプセルと、
カプセル導出壁が垂直に方向付けられる決定された淹出位置にカプセルを維持するカプセルハンドリング部材を備える淹出装置と、
を備える、飲料を調製するための飲料カプセルシステムにも関連する。
【0036】
また、導出壁は、収容容器内の圧力が所定値を下回る場合に淹出液がカプセルから導出されるのを抑制しあるいは液体流を制限する導出手段を備え、また、導出手段は、圧力が前記所定値を上回る場合に淹出液の供給を可能にする。
【0037】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる一例として説明する。