(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
以下に記載の本発明の実施態様は、包括的であること又は以下の詳細な説明に開示されている明確な形に本発明を限定することを意図していない。むしろこの実施態様は、他の当業者が本発明の原理及び実施を評価及び理解できるように選択及び記述されている。
【0011】
本発明は、1又は複数のアミン副生成物を1又は複数の所望のアミンから分離するための方法を提供する。
【0012】
本明細書中で用いられる際、「アミン」という用語は、少なくとも1つのアミン部位を含む有機化合物を意味する。いくつかの実施態様において、アミンは、少なくとも2つのアミン部位、少なくとも3つのアミン部位、又は実に少なくとも4つのアミン部位を含む有機化合物を意味する。2つ以上のアミン部位を含むアミンは、本明細書中でポリアミンと呼ばれる。本明細書中で用いられる際、有機化合物は、少なくとも1つの炭素原子、及び炭素原子に共有結合している又は炭素原子に共有結合した酸素原子に共有結合している少なくとも1つの水素原子を含む化合物を意味する。アミン化合物は、直鎖、分岐、環式、又は非環式の、飽和、不飽和、脂肪族、及び/又は芳香族であってよい。
【0013】
本発明に従って分離することのできる組成物は、1又は複数の所望のアミンを含む。本明細書中で用いられる際、「所望の」アミンは、1又は複数のアミン副生成物(以下に論じられる)から分離されることが望まれる、任意の1又は複数のアミンを意味する。所望のアミンの例となる部類は、アルキレンアミンを含む。例となるアルキレンアミンは、以下の式(I)で表すことができる。
【化1】
式中、x
1は2〜6の数字であり、y
1は1〜6の数字であり、R
1は水素原子又は1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、そしてR'
1は以下の式(1)で表される基を表す。
【化2】
式中、x'
1は2〜6の数字、x''
1は0又は1、そしてy'
1は0〜4の数字である。
【0014】
例となるアルキレンアミンはまた、以下の式(II)でも表してもよい。
【化3】
式中、x
2及びx'
2は2〜6の数字であり、そしてR
2及びR'
2は以下の式(2)で表される基を表す。
【化4】
式中、x''
2は2〜6の数字であり、y
2は0〜5の数字である。式(I)及び式(II)で表される1又は複数の化合物を用いることができる。所望のアルキレンアミンの例となる部類は、エチレンアミンを含む。所望のアミンの別の例となる部類は、エタノールアミンを含む。
【0015】
所望のアミンの例としては、モノエタノールアミン(ETA、MEA、又はMEOAとも称される)、ジエタノールアミン(DEA又はDEOAとも称される)、トリエタノールアミン(TEA又はTEOAとも称される)、1,3-ジアミノプロパン(1,3-DAP)、ジプロピレントリアミン、1,3-ペンタンジアミン、1,3-ブタンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、ピペラジン(PIP)、アミノエチルピペラジン(AEP)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、重ポリアミン(HPA)、及びそれらの組み合わせなどがある。HPAは直鎖、分岐、及び/又は環式エチレンアミンの混合物であり、その構造は、製造に関する化学と、TETA及びTEPA中に存在する構造の知識から推測することができる。HPAの主成分の構造は、分子あたり6以上の窒素原子を含むことができる。
【0016】
1又は複数の所望のアミンは、任意の望ましい源から得ることができる。例えば、1又は複数の所望のアミンは、合成されて、1又は複数の所望のアミンを含有する排出液を形成することができる。いくつかの実施態様において、所望のアミンの1又は複数の排出液を共に混ぜ合わせて、所望のアミンを含む組成物を形成することができる。別の例としては、個々の所望のアミンを共に混合して、所望のアミンを含む組成物を形成することができる。さらに別の例としては、1又は複数の個々の所望のアミンを、1又は複数の排出液に添加して所望のアミンを含む組成物を形成することができる。
【0017】
所望のアミンの生成方法はよく知られている。例となるアミン生成プロセスとしては、還元的アミノ化、アミノ基転移、及びそれらの組み合わせなどがある。
【0018】
アミノ基転移はよく知られており、1つの化合物から別の化合物へのアミノ基の転移、又は化合物内でのアミノ基の転位を伴う。一例として、国際公開第2010/042160号明細書(Cookら)は、アミノ基転移触媒の存在下でエチレンジアミンを1又は複数の追加のエチレンアミンと反応させることによる、1又は複数のエチレンアミンの生成を開示している。
【0019】
還元的アミノ化は、それによりアミンが生成する別のプロセスである。還元的アミノ化は一般に、中間体イミンを経由したカルボニル基(例えば、アルデヒド及びケトン)のアミンへの転化として説明される。カルボニル基に加えて、還元的アミノ化を受けることができる他の化合物としては、ヒドロキシル、アミノ、イミノまたはそれらの組み合わせなどの1又は複数の官能基を含む誘導体が含まれる。一例として、国際公開第2010/042168号明細書(Doら)は、エタノールアミンとアンモニアの還元的アミノ化を経由して、エチレンアミンを形成する、アルキルアミンの生成を開示している。
【0020】
所望のアミンを製造するさらに別の例として、1又は複数のエタノールアミンは、エチレンオキシドをアンモニアと反応させることにより製造することができる。このようなプロセスの実例となるのは、米国特許第4,400,539号明細書(Gibsonら)及び国際公開第2006/114417号明細書に記載されているプロセスである。
【0021】
本発明に関連した所望のアミンを生成する方法は、任意の適切な反応器において実施することができる。これらとしては、バッチ式反応器、連続式固定床反応器、スラリー床反応器、流動床反応器、触媒蒸留反応器、及びそれらの組み合わせなどがある。
【0022】
いくつかの実施態様において、本発明に従ってアミン副生成物を所望のアミンから分離する前に、所望のアミンは、組成物全体の90〜99.999質量パーセント、組成物全体の95〜99.999質量パーセント、組成物全体の99〜99.99質量パーセント、又は組成物全体の99.1〜99.9質量パーセントの量で存在することができる。
【0023】
本発明に従って分離することのできる組成物は、1又は複数のアミン副生成物を含む。本明細書中で用いられる際、「アミン副生成物」は、所望のアミンの製造における副生成物である任意のアミンを意味する。アミン副生成物は必ずしも、分離されるべき所望のアミンと共に生成される必要はないことに留意されたい。例えば、アミン副生成物は、所望のアミンとは別々に生成し、続いて、本発明に従いそれらを分離する前に、共に混合される場合がある。アミン副生成物の例となる部類としては、アルキルアルキレンアミンが含まれ、アルキルアルキレンアミンの例となる部類としては、アルキルエチレンアミンが含まれる。
【0024】
アミン副生成物は、任意の望ましい源から得ることができる。例えば、アミン副生成物は合成され、1又は複数のアミン副生成物を含む排出液中に(典型的には所望のアミン、不純物、及び/又は他の副生成物と共に)存在することができる。いくつかの実施態様において、アミン副生成物の1又は複数の排出液は共に混ぜ合わされて、アミン副生成物を含む組成物を形成することができる。別の例としては、個々のアミン副生成物は共に混ぜ合わされて、アミン副生成物を含む組成物を形成することができる。さらに別の例としては、1又は複数の個々のアミン副生成物は1又は複数の排出液に添加されて、アミン副生成物を含む組成物を形成することができる。
【0025】
例となるアミン副生成物生成プロセスには、還元的アミノ化、アミノ基転移、及びそれらの組み合わせなどがあり、それらは所望のアミンの生成に関して上に記述されている。典型的には、アミン副生成物の生成は、所望のアミンを形成するのと同じプロセスで起こる。
【0026】
アミン副生成物は、アルキル化の副生成物として、所望のアミンを生成する1又は複数のプロセスから得ることができる。
【0027】
アミン副生成物の例としては、メチルエチレンジアミン、エチルエチレンジアミン、メチルジエチレントリアミン、エチルジエチレントリアミンなど、及びそれらの組み合わせがある。
【0028】
いくつかの実施態様において、本発明に従ってアミン副生成物を所望のアミンから分離する前に、アミン副生成物は、組成物全体の10〜0.001質量パーセント、組成物全体の5〜0.001質量パーセント、組成物全体の1〜0.01質量パーセント、又は組成物全体の0.9〜0.1質量パーセントの量で存在することができる。
【0029】
本発明に従って分離することのできる組成物は、第一のアジュバント成分を含む。本明細書中で用いられる際、「第一のアジュバント成分」は、1又は複数のアジュバントを含む第一の成分を意味する。「アジュバント」は、第一のアジュバント成分(及び以下に論じられる第二のアジュバント成分)に関して本明細書中で用いられる際、1又は複数の化合物の分離に役立つように、生成物混合物に含まれるまたは添加される任意の化学物質を意味する。本発明に係る第一のアジュバント成分は、1又は複数のアミン副生成物から1又は複数の所望のアミンを分離することに関して、分離特性が強化された「副生成物成分」(以下に論じられる)の形成を助けることができる。理論に縛られるものではないが、適切な条件下において、第一のアジュバント成分は、所望のアミンからの副生成物の分離が、第一のアジュバント成分を含んでいないときと比較して強化されているような、1又は複数の所望のアミンと比べて1又は複数のアミン副生成物で富化された副生成物成分を形成するのを助けると考えられている。したがって、第一のアジュバント成分のアジュバントは、お互いに分離されるべき、少なくとも1若しくは複数の所望のアミン及び/又は1若しくは複数のアミン副生成物を考慮することにより選択することができる。
【0030】
いくつかの実施態様において、第一のアジュバント成分の沸点も、個々のアジュバントを選択する際に考慮することができる。第一のアジュバント成分の沸点は、1又は複数のアミン副生成物、1又は複数の所望のアミン、及びそれらの組み合わせの沸点よりも低くなるように選択することができる。例えば、蒸留による分離との関係においては、第一のアジュバント成分の沸点を、所望のアミン及びアミン副生成物よりも低くすることで、アミン副生成物を所望のアミンから分離するために必要な温度を下げるのを容易にすることができる。このような場合、アミン副生成物で富化された第一のアジュバント成分部分をオーバーヘッド蒸留生成物ストリーム中に運び込むことができる。あるいは、第一のアジュバント成分の沸点は、副生成物成分の少なくとも一部分又は実質的にすべてがリボイラ中に残存する及び/又は塔底蒸留生成物ストリーム中に運び込まれる一方で、オーバーヘッド蒸留生成物ストリームが所望のアミンで富化されるように、選択することができる。
【0031】
もし所望のアミンがアミン副生成物から満足のいく程度に分離された後で、所望のアミンと共に残存する第一のアジュバント成分があるならば、第一のアジュバント成分の沸点は、第一のアジュバント成分と所望のアミンとの間の分離を容易にするために、所望のアミンの沸点よりも実質的に低い沸点を有することが好ましい。
【0032】
第一のアジュバント成分中に含まれることのできるアジュバントの例としては、水、1又は複数の炭化水素、低級アルキレングリコール、アルキレングリコールのモノアルキルエーテル、アルキレングリコールのジアルキルエーテル、低級脂肪族アルコール、及びそれらの組み合わせがある。
【0033】
いくつかの実施態様において、好ましいアジュバントは、水を含む。例えば、水が所望のアミンの生成において(例えば、モノエタノールアミンのアンモニアによる還元的アミノ化において)、副生成物として生成することができることから、水はすでに排出液中に存在し、そのため、アジュバントとしての水の使用は効率的である場合がある。
【0034】
他の実施態様において、アジュバントとしての水を除外することができる。このような実施態様において、所望のアミン及びアミン副生成物を含む組成物は、水を組成物全体の1質量パーセントよりも多い量では含まない。アミンは親水性であることができ、それ故に、水を引き付ける傾向があるため、このようにわずかな量の水が存在することがある。しかしながら、組成物中にこのようなわずかな量の水を許容しても、本明細書中に記載されているようなアジュバントとして機能しない。
【0035】
いくつかの実施態様において、第一のアジュバント成分はアルコールを含まない。例えば、いくつかの実施態様において、第一のアジュバント成分はエタノールを含まない。
【0036】
いくつかの実施態様において、第一のアジュバント成分は炭化水素溶媒を含まない。第一のアジュバント成分から除外することのできる炭化水素溶媒の例としては、n-ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、及びそれらの組み合わせがある。
【0037】
第一のアジュバント成分中で用いるためのアジュバントは、任意の望ましい源から得ることができる。例えば、このアジュバントは、所望のアミンの生成からの排出液中に(典型的には所望のアミン、不純物、及び/又はアミン副生成物と共に)存在することができる。いくつかの実施態様において、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分を含む、1又は複数の排出液は、共に混ぜ合わせて第一のアジュバント成分を含む組成物を形成することができる。別の例としては、個々のアジュバントは共に混合して第一のアジュバント成分を含む組成物を形成することができる。さらに別の例としては、1又は複数の個々のアジュバントは、1又は複数の排出液に添加して、第一のアジュバント成分を含む組成物を形成することができる。
【0038】
いくつかの実施態様において、本発明に従ってアミン副生成物を所望のアミンから分離する前に、第一のアジュバント成分は、組成物全体の0.1%〜50質量%、組成物全体の1.5%〜35質量%、又は組成物全体の2.5%〜20質量%の量で存在することができる。
【0039】
任意に、本発明に従って分離することのできる組成物は、第二のアジュバント成分を含むことができる。本明細書中で用いられる際、「第二のアジュバント成分」は、1又は複数の所望のアミンを1又は複数のアミン副生成物から分離することに関して分離特性が強化された、「副生成物成分」(以下に論じられる)を形成するのを助けることのできる、1又は複数のアジュバントを含む第二の成分を意味する。理論に縛られるものではないが、適切な条件下において、第二のアジュバント成分はまた、所望のアミンの副生成物からの分離が、第二のアジュバント成分が含まれていないときと比較して強化されているような、1又は複数の所望のアミンと比べて1又は複数のアミン副生成物で富化された副生成物成分を形成するのを助けると考えられている。第二のアジュバント成分は、所望のアミン、アミン副生成物、及び/又は第一のアジュバント成分のうち1又は複数を考慮することにより選択することができる。
【0040】
第二のアジュバント成分の沸点は、個々のアジュバントを選択する際にも考慮することができる。いくつかの実施態様において、第二のアジュバント成分の沸点は、1又は複数のアミン副生成物、1又は複数の所望のアミン、第一のアジュバント成分、及びそれらの組み合わせの沸点よりも低くなるように選択することができる。例えば、第二のアジュバント成分の沸点を第一のアジュバント成分よりも低くすることで、アミン副生成物の少なくとも一部分を、所望のアミンの少なくとも一部分から分離するために必要な温度を下げるのを容易にすることができる。蒸留との関係においては、オーバーヘッド蒸留生成物ストリームは、好ましくはアミン副生成物で富化される。あるいは、第二のアジュバント成分の沸点は、副生成物成分の少なくとも一部分又は実質的に全てがリボイラ中に残存する及び/又は塔底蒸留生成物ストリーム中に運び込まれる一方で、オーバーヘッド蒸留生成物ストリームが所望のアミンで富化されるように、選択することができる。
【0041】
好ましくは、必要に応じて、第一のアジュバント成分と第二のアジュバント成分との間の分離を容易にするために、第二のアジュバント成分の沸点は、第一のアジュバント成分の沸点よりも実質的に低い沸点を有する。
【0042】
好ましくは、第二のアジュバント成分は、任意の望ましくない反応を適切でない程度に起こさないように、分離プロセスにおいて事実上不活性である。
【0043】
第二のアジュバント成分に含まれることのできるアジュバントの例としては、アンモニア、二原子水素、二原子窒素、メタン、メチルアミン、エチルアミン、二酸化炭素、及びそれらの組み合わせがある。いくつかの実施態様において、アンモニアが1又は複数の所望のアミン及び1又は複数のアミン副生成物を作る1又は複数のプロセスからの排出液中にすでに存在することができるため、アンモニアは好ましくは第二のアジュバント成分中に含まれる。
【0044】
いくつかの実施態様において、アジュバントとしての水を除外することができる。このような実施態様において、所望のアミン及びアミン副生成物を含む組成物は、水を組成物全体の1質量パーセントよりも多い量では含まない。アミンは親水性であることができ、それ故に水を引き付ける傾向があるため、このようにわずかな量の水が存在することがある。しかしながら、組成物中にこのようなわずかな量の水を許容しても、本明細書中に記載されているようなアジュバントとして機能しない。
【0045】
第二のアジュバント成分中で用いるためのアジュバントは、任意の望ましい源から得ることができる。例えば、このアジュバントは、所望のアミンの生成からの排出液中に(典型的には所望のアミン、不純物、アミン副生成物、及び/又は第一のアジュバント成分と共に)存在することができる。いくつかの実施態様において、第二のアジュバント成分の少なくとも一部分を含む、1又は複数の排出液は、共に混ぜ合わせて第二のアジュバント成分を含む組成物を形成することができる。別の例としては、個々のアジュバントは共に混合して第二のアジュバント成分を含む組成物を形成することができる。さらに別の例としては、1又は複数の個々のアジュバントは、1又は複数の排出液に添加して、第二のアジュバント成分を含む組成物を形成することができる。
【0046】
いくつかの実施態様において、本発明に従ってアミン副生成物を所望のアミンから分離する前に、第二のアジュバント成分は、組成物全体の0.1%〜65質量%、組成物全体の1%〜55質量%、又は組成物全体の2%〜10質量%の量で存在することができる。
【0047】
任意に、本発明に従って分離することのできる組成物は、1又は複数の追加の化合物を含むことができる。
【0048】
本発明に従って分離することのできる組成物は、任意の所望の方法で提供されることができる。組成物の化合物は、個々に、(例えば、1又は複数のプロセス排出液から)すでに混ぜ合わせられて、及びそれらの組み合わせで、得ることができる。単一の排出液ストリームは、本発明に係る分離プロセスに供することができる。又は1若しくは複数の異なる源を混ぜ合わせて、本発明に係る分離プロセスに供されるべき組成物を形成することができる。多数の源が共に混ぜ合わせられて分離されるべき組成物を形成する場合、源を混ぜ合わせるタイミングには、副生成物成分が分離プロセスのために形成されることができる限りは、任意の所望のタイミングの順番が可能である。例えば、1又は複数の排出液ストリームは、1又は複数の追加のストリームと混ぜ合わせて、分離されるべき組成物を形成することができる。排出液ストリームのうち1又は複数は、所望のアミン、アミン副生成物、並びに、任意に、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分(又は実質的に全て)及び/又は第二のアジュバント成分の少なくとも一部分(又は実質的に全て)を含んでよい。1又は複数の追加のストリームは、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分(又は実質的に全て)、第二のアジュバント成分の少なくとも一部分(又は実質的に全て)、追加の化合物、及びそれらの組み合わせを含む可能性がある。多数のストリーム/源が混ぜ合わされて、分離すべき組成物を形成する際、1又は複数が分離プロセスよりも前(例えば、蒸留塔へ入る前)に混ぜ合わせられてもよく、そして1又は複数が分離プロセスの間に混ぜ合わせられ(例えば、蒸留塔内で混ぜ合わせられ)てもよい。
【0049】
所望のアミンをアミン副生成物から分離するのを助けるために、「強化された分離特性」を有する「副生成物成分」を形成する条件下で、1又は複数のアミン副生成物の少なくとも一部分を、第一のアジュバントの少なくとも一部分と接触させる。
【0050】
本明細書中で用いられる際、「副生成物成分」は、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分(及び任意に第二のアジュバント成分の少なくとも一部分)及び1又は複数のアミン副生成物の少なくとも一部分が、適切な条件下で接触している結果として形成される、組成物の成分を意味する。適切な条件に供された場合、副生成物成分は、1又は複数の所望のアミンの副生成物からの分離を強化するために、1又は複数の所望のアミンと比較して1又は複数のアミン副生成物で富化されている。この副生成物成分は、アミン副生成物が適切な条件下で第一のアジュバント成分(及び任意に第二のアジュバント成分)と接していなかったとした場合に比べて、アミン副生成物の所望のアミンからの分離を向上させることができる。
【0051】
本明細書中で用いられる際、「強化された分離特性」は、アミン副生成物が第一のアジュバント(及び任意に、第二のアジュバント成分の少なくとも一部分)と副生成物成分を形成しなかったとした場合よりも、アミン副生成物がより簡単に所望のアミンから分離されることを意味する。アミン副生成物がより簡単に分離されることができるということは、以下のうち1又は複数を意味することができる。すなわち、所与の一連の条件に対して、より多くのアミン副生成物を所望のアミンから分離することができる、又はより低い温度及び/若しくは圧力下でアミン副生成物を所望のアミンから分離することができる。理論に縛られるものではないが、共沸混合物などの混和物を形成すること及び/又は第一のアジュバント成分中に引き込まれる(entrained)ことにより、アミン副生成物が第一のアジュバント成分(及び任意に第二のアジュバント成分)中により多く富化されるようになると考えられている。
【0052】
本明細書中で用いられる際、「共沸混合物」は、気体と液体の組成が同じ組成である定沸点混合物を意味する。共沸混合物などの混和物を形成すること及び/又はアミン副生成物を第一のアジュバント成分中に引きこむ(entraining)ことにより、アミン副生成物を所望のアミンから分離することができるように、所望のアミンとアミン副生成物との間に濃度勾配を形成することができる。
【0053】
副生成物成分の少なくとも一部分は、アミン副生成物を所望のアミンから分離するのを助けるように、好ましくは第二のアジュバント成分の存在下で、組成物から分離することができる。本明細書中に記述されているように副生成物成分をうまく利用し、様々な物理的性質を有する化学成分を分離することのできる任意の従来の分離技術を、本発明に従って、アミン副生成物を所望のアミンから分離するのに用いることができる。例となる分離システムとしては、蒸留、垂直分割型蒸留塔、多段単段分離装置(multiple single stage separators)、コンプレッサー、冷却装置、アブソーバー、及びそれらの組み合わせ、などがある。
【0054】
本発明によれば、条件は、分離特性の強化された副生成物成分を形成し、副生成物の少なくとも一部分を所望のアミンから分離するように選択される。選択された条件は、温度、圧力、及び組成比のうち1又は複数を含んでよい。例えば、蒸留との関係においては、蒸留塔は第一のアジュバント成分(及び任意に第二のアジュバント成分)とアミン副生成物との間の最大相互作用が得られるような方法で運転することができる。これは、所与のフィードストリームに対して蒸留塔温度及び圧力を選択し、副生成物成分の所望のアミンからの最大分離を実現することにより達成することができる。蒸留塔内の温度及び圧力は、分離に影響を与えるのに適切なアジュバント成分、アミン副生成物、及び所望のアミンの濃度を提供するように確立することができる。
【0055】
一例として、蒸留塔について選択された条件が以下に論じられる。
【0056】
例となる蒸留塔は、1〜199の理論精留段及び1〜199の理論ストリッピング区域段を有する2〜200の理論分離段を含むことができる。好ましくは、蒸留塔は、1〜99の理論精留段及び1〜99の理論ストリッピング区域段を有する2〜100の理論分離段を含むことができる。さらにより好ましくは、蒸留塔は、1〜25の理論精留段及び1〜25の理論ストリッピング区域段を有する2〜50の理論分離段を含むことができる。この分離段は、任意の棚段又は充填物を用いて形成することができる。
【0057】
例となる蒸留塔はまた、リボイラ及び凝縮器、並びに多数のフィードを蒸留塔の至る所に供給する任意の能力(例えば、凝縮器、精留区域の塔頂段、精留区域の中央、精留とストリッピング区域との間の移行部及びストリッピング区域のおおよそ中央に原料を供給する能力)を有することができる。
【0058】
リボイラについての例となる温度は、100℃〜250℃、好ましくは150℃〜220℃の範囲の温度を含む。好ましくは、リボイラは200℃よりも低い温度で動作する。
【0059】
凝縮器についての例となる温度は、-33℃〜120℃、好ましくは15℃〜120℃の範囲の温度を含む。好ましくは、凝縮器は40℃かそれよりも高い温度で動作する。
【0060】
例となる蒸留塔は、26kPa(200 mmHg)〜621kPa(75 PSIG)、好ましくは101kPa(0 PSIG)〜621kPa(75 PSIG)、及びさらにより好ましくは172kPa(10 PSIG)〜379kPa(40 PSIG)の範囲の圧力で動作することができる。
【0061】
任意に、1又は複数の分離ステップを、本発明に係る分離のステップの後に生じる任意の生成物組成物をさらに精製するのに用いることができる。
【0062】
いくつかの実施態様において、分離の単一のステップは、所望のレベルの(例えば、実質的に全ての)所望のアミンをアミン副生成物から分離してよい。有利に、このような分離プロセスは、満足のいく分離結果を達成するために単一の分離単位操作を用いうる。蒸留塔などの単位操作を除外することは、コスト削減の観点から非常に重要である。このような実施態様の例は、
図3に関連して以下に論じられる。
【0063】
他の実施態様において、本発明に係る多数の分離ステップは、所望のレベルの(例えば、実質的に全ての)所望のアミンをアミン副生成物から分離するのに用いてよい。有利に、このような分離プロセスは、満足のいく分離結果を達成するために、単位操作の既存のシステムを改造するのに用いうる。このような実施態様の例は、
図2に関連して以下に論じられる。
【0064】
副生成物成分の少なくとも一部分を所望のアミンから分離した後、所望のアミンと比較したときに、アミン副生成物について比較的富化されている「アミン副生成物富化組成物」が生成する。アミン副生成物富化組成物は、アミン副生成物の少なくとも一部分、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分、並びに、任意に、第二のアジュバント成分の少なくとも一部分及び/又は比較的少量の所望のアミンを含む。
【0065】
いくつかの実施態様において、分離後、アミン副生成物富化組成物は、組成物中に分離されるべきものとして存在していた5〜100質量パーセントのアミン副生成物、組成物中に分離されるべきものとして存在していた50〜100質量パーセントのアミン副生成物、又は組成物中に分離されるべきものとして存在していた実に90〜100質量パーセントのアミン副生成物、を含むことができる。
【0066】
いくつかの実施態様において、分離後、アミン副生成物富化組成物は、組成物中に分離されるべきものとして存在していた51〜100質量パーセントの第一のアジュバント成分、組成物中に分離されるべきものとして存在していた75〜100質量パーセントの第一のアジュバント成分、又は組成物中に分離されるべきものとして存在していた実に90〜100質量パーセントの第一のアジュバント成分、を含むことができる。
【0067】
いくつかの実施態様において、分離後、アミン副生成物富化組成物は、組成物中に分離されるべきものとして存在していた51〜100質量パーセントの第二のアジュバント成分、組成物中に分離されるべきものとして存在していた75〜100質量パーセントの第二のアジュバント成分、又は組成物中に分離されるべきものとして存在していた実に98〜100質量パーセントの第二のアジュバント成分、を含むことができる。
【0068】
いくつかの実施態様において、分離後、アミン副生成物富化組成物は、組成物中に分離されるべきものとして存在していた0〜25質量パーセントの所望のアミン、組成物中に分離されるべきものとして存在していた0〜10質量パーセントの所望のアミン、又は組成物中に分離されるべきものとして存在していた実に0〜2質量パーセントの所望のアミン、を含むことができる。
【0069】
また、副生成物成分の少なくとも一部分を所望のアミンから分離した後、アミン副生成物と比較したときに、所望のアミンについて比較的富化されている「所望のアミン富化組成物」が生成する。所望のアミン富化組成物は、所望のアミンの少なくとも一部分、並びに、任意に、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分、第二のアジュバント成分の少なくとも一部分、及び/又は比較的少量のアミン副生成物を含む。
【0070】
いくつかの実施態様において、分離後、所望のアミン富化組成物は、組成物中に分離されるべきものとして存在していた75〜100質量パーセントの所望のアミン、組成物中に分離されるべきものとして存在していた90〜100質量パーセントの所望のアミン、又は組成物中に分離されるべきものとして存在していた実に98〜100質量パーセントの所望のアミン、を含むことができる。
【0071】
いくつかの実施態様において、分離後、所望のアミン富化組成物は、組成物中に分離されるべきものとして存在していた0〜49質量パーセントの第一のアジュバント成分、組成物中に分離されるべきものとして存在していた0〜25質量パーセントの第一のアジュバント成分、又は組成物中に分離されるべきものとして存在していた実に0〜10質量パーセントの第一のアジュバント成分、を含むことができる。一例として、第一のアジュバント成分が水を含むとき、所望のアミン富化組成物は分離後に、所望のアミン富化組成物の質量あたり、2、1、若しくは実に0.5パーセント又はそれより少ない量の水を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施態様において、分離後、所望のアミン富化組成物は、組成物中に分離されるべきものとして存在していた0〜49質量パーセントの第二のアジュバント成分、組成物中に分離されるべきものとして存在していた0〜25質量パーセントの第二のアジュバント成分、又は組成物中に分離されるべきものとして存在していた実に0〜2質量パーセントの第二のアジュバント成分、を含むことができる。一例として、第二のアジュバント成分がアンモニアを含むとき、所望のアミン富化組成物は分離後に、所望のアミン富化組成物の質量あたり、0.1、0.05、若しくは実に0.01パーセント又はそれより少ない量のアンモニアを含むことができる。
【0073】
いくつかの実施態様において、分離後、所望のアミン富化組成物は、組成物中に分離されるべきものとして存在していた0〜95質量パーセントのアミン副生成物、組成物中に分離されるべきものとして存在していた0〜50質量パーセントのアミン副生成物、又は組成物中に分離されるべきものとして存在していた実に0〜2質量パーセントのアミン副生成物、を含むことができる。一例として、アミン副生成物がアルキルエチレンアミンを含むとき、所望のアミン富化組成物は分離後に、所望のアミン富化組成物の質量あたり、0.5、0.2、若しくは実に0.1パーセント又はそれより少ない量のアルキルエチレンアミンを含むことができる。
【0074】
任意に、1又は複数の追加のプロセスを用いて、本発明に係る分離ステップの後に得られる組成物をさらに改質/精製し、所望のアミンをアミン副生成物から分離することができる。例えば、水は所望のアミンのうち1又は複数と共沸混合物を形成する場合があり、そのため、共沸水を所望のアミンから分離することが望ましい場合がある。このような方法は既知であり、米国特許第4,032,411号明細書(Tornquistら)及び国際公開第2010/042168号明細書(Doら)に開示されている。
【0075】
別の例としては、所望のアミンをアミン副生成物から分離した後に、所望のアミンは、本技術分野において既知の任意の方法によってお互いに分離することができる。所望のアミンをお互いに分離する方法の例としては、他のよく知られた分離技術の中の従来の蒸留技術が含まれる。
【0076】
また、任意に、本発明に係る分離ステップの後に得られる1又は複数の組成物の少なくとも一部分は、必要に応じて回収するまたは再循環させることができる。例えば、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分及び/又は第二のアジュバント成分の少なくとも一部分は、必要に応じて回収する又は再循環させることができる。
【0077】
本発明に従って、アミン副生成物を所望のアミンから分離する例となる実施態様は、
図1〜3に関連して、所望のアミンとしてのエチレンアミンをアミン副生成物としてのアルキルエチレンアミンから分離する関係において、以下に論じられる。
【0078】
図1は、本発明の一実施態様に従う、アミン副生成物を所望のアミンから分離するためのシステム100を概略的に示すブロック図を示す。源110は、所望のアミン(例えば、アルキレンアミンなど)及びアミン副生成物(例えば、アルキルアルキレンアミンなど)及び任意にアンモニア、アルキルアミン、水素、水、アルカノールアミンを含む粗アミンを含み、これらはストリーム115を経由して供給される。典型的には、源110は還元的アミノ化反応器の排出液から来ることができる。いくつかの実施態様において、10〜99.9%のアンモニアを最初に取り除くことができる。他の実施態様において、ストリーム115は、主として所望のアミン及びアミン副生成物から成る精製ストリームであることができる。
【0079】
源120は、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分を含むことができる。点線125は、源120が任意であることを示している。例えば、もしストリーム115に十分な第一のアジュバント成分が存在していなければ、本明細書中に記述したような副生成物成分を形成するのを助けるために、源120は実質的に全ての又は追加の量の第一のアジュバント成分を提供することができる。ストリーム125は、単位操作145に入る前に又は単位操作145内で、ストリーム115と混ぜ合わせることができる。任意に、ストリーム125の組成物は実質的にストリーム115と同じであることができる。
【0080】
源130は、任意の第二のアジュバント成分の少なくとも一部分を含むことができる。点線135は、源130が任意であることを示している。例えば、もしストリーム115に十分な第二のアジュバント成分が存在していなければ、本明細書中に記述したような副生成物成分を形成するのを助けるために、源130は実質的に全ての又は追加の量の第二のアジュバント成分を提供することができる。ストリーム135は、単位操作145に入る前に又は単位操作145内で、ストリーム115と混ぜ合わせることができる。任意に、ストリーム135の組成物は実質的にストリーム115と同じであることができる。
【0081】
ストリーム140は、単位操作145への全体のフィードを表している。上記の通り、ストリーム115、125、及び135は、単位操作145に入る前に混ぜ合わせることができ、及び/又は単位操作145内で混ぜ合わせることができる。単位操作145の例としては、蒸留塔が含まれる。
【0082】
ストリーム150は、所望のアミンから分離される副生成物成分の少なくとも一部分を含む、1又は複数のストリームを表す。副生成物成分は、アミン副生成物の少なくとも一部分、第一のアジュバント成分の少なくとも一部分、並びに、任意に第二のアジュバント成分の少なくとも一部分及び/又は比較的少量の所望のアミンを含む。ストリーム150は、任意の所望の行先155に送ることができる。
【0083】
ストリーム160は、アミン副生成物を少なくとも部分的に取り除いた、所望のアミンの少なくとも一部分を含む、1又は複数のストリームを表す。ストリーム160は、貯蔵、追加の処理、及びそれらの組み合わせなどの任意の所望の行先165に送ることができる。
【0084】
図2は、本発明の別の実施態様に従う、アルキルエチレンアミンをエチレンアミンから分離するためのシステム200を概略的に示すブロック図を示す。システム200は、粗エチレンアミンストリームを精製するための従来の単位操作の配置を示しているが、アルキルエチレンアミンの除去を強化するために、本発明に係る蒸留塔230を運転する。粗アミンストリームを精製するための従来のシステムはよく知られており、国際公開第2010/042168号明細書(Doら)に記載されている。
【0085】
粗エチレンアミンストリーム210は、反応器205から供給される。ストリーム210は、エチレンアミン、アルキルエチレンアミン、水を含む第一のアジュバント成分、及びアンモニアを含む第二のアジュバント成分を含む。220はフラッシュタンク又はアンモニア前蒸留塔を表し、これはアンモニアの少なくとも一部を取り除くように動作する。
【0086】
ストリーム225は、本発明に従い、アルキルエチレンアミンをエチレンアミンから分離するのを助けるよう強化された分離特性を有する副生成物成分を作り出すように運転される蒸留塔230に送られる。ストリーム225は、エチレンアミン、アルキルエチレンアミン、水を含む第一のアジュバント成分、及びアンモニアを含む第二のアジュバント成分を含む。アルキルエチレンアミン、水、及びアンモニアの少なくとも一部は、蒸留塔230においてエチレンアミンから分離され、ストリーム292を経由して蒸留塔230から出ていく。
【0087】
オーバーヘッドストリーム292は、水、アンモニア、及びアルキルエチレンアミンを含む。ストリーム292を任意に、水源293からのストリーム294と混ぜ合わせ、ストリーム289を形成することができる。ストリーム289はアンモニア精製蒸留塔291に送ることができる。オーバーヘッドストリーム295はアンモニアを含み(そしてエチレンアミンを含まず)、フラッシュタンク又は前蒸留塔220からのオーバーヘッドストリーム296と混ぜ合わせられて、ストリーム297を経由してリサイクルストリーム又は反応器298へ送られることができる。塔底ストリーム290は、水及びアルキルエチレンアミンを含む。
【0088】
ストリーム235はそれゆえに、エチレンアミンにおいて富化されており、追加の水、及び任意にアルキルエチレンアミン、をエチレンアミンから分離することができるように、水蒸留塔240に送られる。ストリーム235中の水は、典型的には共沸混合物をエチレンアミンと形成し、そのため、水蒸留塔240は好ましくは、共沸混合物をいわゆる壊し、実質的に全ての水を取り除くのを可能にする条件で運転される。
【0089】
オーバーヘッドストリーム275は、水、及び任意にアルキルエチレンアミンを含み、ストリーム290と混ぜ合わせられ、廃棄物処理プロセス285に送られることのできるストリーム280を形成する。
【0090】
ストリーム245は、エチレンアミンにおいて富化されており、エチレンアミンを分離するために、蒸留塔250に送られる。任意に、蒸留塔250は、任意の残存している水(と、典型的には少量の1又は複数のエチレンアミン(それらは水と共沸混合物を形成することができるため))を取り除き、ストリーム251、252、及び253を経由してそれをリサイクルすることができる。一例として、オーバーヘッドストリーム265はエチレンジアミン(EDA)又はEDA及びピペラジン(PIP)を含むことができ、貯蔵又は最終処理270に送られることができる。ストリーム255は、追加の精製プロセス260に送られる、より重いエチレンアミンを含むことができる。任意に、より重いエチレンアミンの少なくとも一部分は、ストリーム256、257、及び/又は258を経由してリサイクルすることができる。
【0091】
図3は、本発明の別の実施態様に従う、アルキルエチレンアミンをエチレンアミンから分離するためのシステム300を概略的に示すブロック図を示す。システム300はシステム200と類似しているが、有利に水蒸留塔240を除外する。水蒸留塔240などの単位操作全体を除外することにより、設備投資及び/又は運転費用に関して大きなコスト削減を提供することができる。
【0092】
粗エチレンアミンストリーム310は、反応器305から供給される。ストリーム310は、エチレンアミン、アルキルエチレンアミン、水を含む第一のアジュバント成分、及びアンモニアを含む第二のアジュバント成分を含む。320は、フラッシュタンク又はアンモニア前蒸留塔を表し、これは、アンモニアの少なくとも一部を取り除くように動作する。
【0093】
ストリーム325は、本発明に従い、アルキルエチレンアミンをエチレンアミンから分離するのを助けるよう強化された分離特性を有する副生成物成分を作り出すように運転される、蒸留塔330に送られる。ストリーム325は、エチレンアミン、アルキルエチレンアミン、水を含む第一のアジュバント成分、及びアンモニアを含む第二のアジュバント成分を含む。アルキルエチレンアミン、水、及びアンモニアの少なくとも一部は、蒸留塔330でエチレンアミンから分離され、ストリーム392を経由して蒸留塔330から出ていく。
【0094】
オーバーヘッドストリーム392は、水、アンモニア、及びアルキルエチレンアミンを含む。ストリーム392は、任意に水源393からのストリーム394と混ぜ合わせられてストリーム389を形成することができる。ストリーム389はアンモニア精製蒸留塔391に送られる。オーバーヘッドストリーム395はアンモニアを含み(そしてエチレンアミンを含まず)、そしてフラッシュタンク又は前蒸留塔320からのオーバーヘッドストリーム396と混ぜ合わせられて、ストリーム397を経由してリサイクルストリーム又は反応器398へ送られることができる。塔底ストリーム390は、廃棄物処理プロセス385へ送られることのできる、水及びアルキルエチレンアミンを含む。
【0095】
したがってストリーム335はエチレンアミンにおいて富化されており、エチレンアミンを分離するための蒸留塔350に送られる。蒸留塔230とは対照的に、蒸留塔330は、実質的により多くの(時として実質的に全ての)水をエチレンアミンから取り除くように運転される。このような実施態様において、水蒸留塔240は必要とされない。任意に、蒸留塔350は、任意の残存している水(と、典型的には少量の1又は複数のエチレンアミン(それらが水と共沸混合物を形成することができるため))を取り除き、ストリーム351を経由してそれをリサイクルすることができる。一例として、オーバーヘッドストリーム365は、エチレンジアミン(EDA)又はEDA及びピペラジン(PIP)を含むことができ、貯蔵又は最終処理370に送られることができる。ストリーム355は、追加の精製プロセス360に送られる、より重いエチレンアミンを含むことができる。任意に、より重いエチレンアミンの少なくとも一部分は、ストリーム356を経由してリサイクルされることができる。
【実施例】
【0096】
例1
例1は、本発明に従い、水を含む第一のアジュバント成分及びアンモニアを含む第二のアジュバント成分を用いて、アルキルエチレンジアミンをエチレンジアミン(EDA)からどのように分離することができるかを示している。例1は、
図3を用いて説明されている。0.101質量%のN-エチルエチレンジアミン(EtEDA)、0.217質量%のN-メチルエチレンジアミン(MeEDA)、20.706質量%のエチレンジアミン(EDA)、13.840質量%の水、7.335質量%のアンモニア並びに57.802%の他のエタノールアミン及びエチレンアミンを含むストリーム(ストリーム325)を蒸留塔(330)に供給する。該蒸留塔は71の棚段を含み(塔頂から塔底に番号が付けられており、塔底又は最も低い棚段に71の番号がつけられている)、蒸留塔フィードを棚段15で導入する。179kPa(26 psia)のヘッド圧力、102℃のヘッド温度及び180℃の底部温度で運転する蒸留塔330で、全体の凝縮器から作られるオーバーヘッドの組成は、34.091%のアンモニア、64.294%の水、0.442%のEtEDA、0.974%のMeEDA及び0.198%のEDA(ストリーム392)である。この条件で、水蒸留塔の底部において、蒸留塔330からの塔底ストリーム335は1.2%の水を含むこととなる。ストリーム106を次に、46の棚段(塔頂から塔底に番号が付けられており、塔底又は最も低い棚段に46の番号が付けられている)を含むEDA蒸留塔350に供給し、このフィードは棚段34に向かう。このEDA蒸留塔は、21kPa(160mmHg)のヘッド圧力で、75℃のヘッド温度及び144℃の底部温度で運転する。EDA生成物ストリーム365を、蒸留塔350のオーバーヘッドで取り除き、またこれは0.026質量%のEtEDA、0.036質量%のMeEDA、99.900質量%のEDA、0.035質量%の水並びに0.002%の他のエタノールアミン及びエチレンアミンの組成を有する。蒸留塔350に入るストリーム335中に含まれる水を、棚段27にあるサイドドロー(side draw)351から取り除き、蒸留塔330の棚段38に戻す。
【0097】
行先370において結果として得られるEDA生成物は、626質量百万分率(parts per million by weight)のアルキルエチレンジアミンを含む。比較として、もしこの水及びアンモニアが、アルキルエチレンジアミンをエチレンジアミンから分離するのを助けるために、本発明に係る方法において用いられなければ、このEDA生成物中のアルキルエチレンジアミン含有量は、15,000質量百万分率のアルキルエチレンジアミンであり、これによってこのEDA原料は、多くの用途に受け入れられなくなる。
【0098】
例2
例2は、本発明に従い、水を含む第一のアジュバント成分及びアンモニアを含む第二のアジュバント成分を用いて、アルキルエチレンジアミンをエチレンジアミン(EDA)からどのように分離することができるかを示している。例2は、
図2を用いて説明されている。0.0264質量%のN-エチルエチレンジアミン(EtEDA)、0.0570質量%のN-メチルエチレンジアミン(MeEDA)、20.7543質量%のエチレンジアミン(EDA)、13.8725質量%の水、7.3524質量%のアンモニア並びに57.9375%の他のエタノールアミン及びエチレンアミンを含むストリーム(ストリーム225)を蒸留塔(230)に供給する。水のみを含むストリーム(ストリーム294)をまた、アンモニアの全体の凝縮を確実にするために、必要に応じ、蒸留塔230の凝縮器に添加する。この蒸留塔は23の棚段を含み(塔頂から塔底に番号が付けられており、塔底又は最も低い棚段に23の番号がつけられている)、蒸留塔フィードを棚段16で導入する。179kPa(26 psia)のヘッド圧力、105℃のヘッド温度及び129℃の底部温度で運転する蒸留塔230で、全体の凝縮器から作られるオーバーヘッドの組成は、34.2837%のアンモニア、65.2325%の水、0.0894%のEtEDA、0.1918%のMeEDA及び0.2026%のEDA(ストリーム292)である。ストリーム235を次に、78の棚段(塔頂から塔底に番号が付けられており、塔底又は最も低い棚段に78の番号が付けられている)を含む水蒸留塔(240)に供給し、このフィードは棚段11に向かう。この水蒸留塔は、400kPa(58 psia)のヘッド圧力、143℃のヘッド温度及び210℃のリボイラ温度で運転する。無水のストリーム(245)を蒸留塔240の蒸留塔底部から取り除き、またこれは0.0046質量%のN-エチルエチレンジアミン(EtEDA)、0.0124質量%のN-メチルエチレンジアミン(MeEDA)、26.3040質量%のエチレンジアミン(EDA)、0.0092質量%の水、73.5870%の他のエタノールアミン及びエチレンアミンの組成を有している。ストリーム245を次に、46の棚段(塔頂から塔底に番号が付けられており、塔底又は最も低い棚段に46の番号が付けられている)を含むEDA蒸留塔250に供給し、このフィードは棚段34に向かう。このEDA蒸留塔は、21kPa(160mmHg)のヘッド圧力で、75℃のヘッド温度及び143℃の底部温度で運転する。EDA生成物ストリーム265を蒸留塔250のオーバーヘッドで取り除き、これは0.0172質量%のEtEDA、0.0469質量%のMeEDA、99.2000質量%のEDA、0.348質量%の水並びに0.3878%の他のエタノールアミン及びエチレンアミンの組成を有している。
【0099】
結果として得られるEDA生成物265は、641質量百万分率のアルキルエチレンジアミンを含む。比較として、もしこの水及びアンモニアが、アルキルエチレンジアミンをエチレンジアミンから分離するのを助けるために、本発明に係る方法において用いられなければ、EDA生成物中のアルキルエチレンジアミン含有量はおおよそ4,000質量百万分率のアルキルエチレンジアミンであり、これによってこのEDA原料は、いくつかの用途に受け入れられなくなる。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1−15に列記する。
[1]
1又は複数のアミン副生成物を1又は複数の所望のアミンから分離する方法であって、
a) i)1又は複数の所望のアミン及び1又は複数のアミン副生成物並びにii)沸点を有する第一のアジュバント成分を含む組成物を提供するステップ;
b) 該組成物を、該1又は複数のアミン副生成物の少なくとも一部分及び該第一のアジュバント成分の少なくとも一部分が、副生成物成分を形成するような条件に供するステップであって、該副生物成分が、前記条件に供されていない該1又は複数のアミン副生成物と比べて強化された分離特性を有する、ステップ;及び
c) 第二のアジュバント成分の存在下で、該副生成物成分の少なくとも一部分を該組成物から分離するステップ
を含む、方法。
[2]
該第二のアジュバント成分が、該第一のアジュバント成分の沸点よりも低い沸点を有する、項目1に記載の方法。
[3]
該1又は複数の所望のアミンが1又は複数のアルキレンアミンを含み、該1又は複数のアミン副生成物が1又は複数のアルキルアルキレンアミンを含む、項目1又は2に記載の方法。
[4]
該1又は複数のアルキレンアミンが1又は複数のエチレンアミンを含み、該1又は複数のアルキルアルキレンアミンが1又は複数のアルキルエチレンアミンを含む、項目3に記載の方法。
[5]
該第一のアジュバント成分が、水、1又は複数の炭化水素、低級アルキレングリコール、アルキレングリコールのモノアルキルエーテル、アルキレングリコールのジアルキルエーテル、低級脂肪族アルコール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるアジュバントを含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[6]
該第二のアジュバント成分が、アンモニア、二原子水素、二原子窒素、メタン、メチルアミン、エチルアミン、二酸化炭素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるアジュバントを含む、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
1又は複数のアルキルエチレンアミンを1又は複数のエチレンアミンから分離する方法であって、
a) i)1又は複数のエチレンアミン及び1又は複数のアルキルエチレンアミン並びにii)水を含む第一のアジュバント成分であって、該第一のアジュバント成分が沸点を有する、第一のアジュバント成分、を含む組成物を提供するステップ;
b) 該組成物を、該1又は複数のアルキルエチレンアミンの少なくとも一部分及び該第一のアジュバント成分の少なくとも一部分が、アルキルエチレンアミン成分を形成するような条件に供するステップであって、該アルキルエチレンアミン成分が、前記条件に供されていない該1又は複数のアルキルエチレンアミンと比べて強化された分離特性を有する、ステップ;及び
c) 第二のアジュバント成分の存在下で、該アルキルエチレンアミン成分の少なくとも一部分を該組成物から分離するステップ
を含む、方法。
[8]
該第二のアジュバント成分がアンモニアを含み、該第一のアジュバント成分の沸点よりも低い沸点を有する、項目7に記載の方法。
[9]
該組成物が、該1又は複数のエチレンアミン及び該1又は複数のアルキルエチレンアミンを形成する1又は複数のプロセスからの排出液を含む、項目7又は8に記載の方法。
[10]
該分離ステップの後に、該組成物が、
a) 該組成物全体の質量あたり、0.5、0.2、若しくは実に0.1パーセント又はそれより少ない量の1又は複数のアルキルエチレンアミン、
b) 該組成物全体の質量あたり、2、1、若しくは実に0.5パーセント又はそれより少ない量の水、及び
c) 該組成物全体の質量あたり、0.1、0.05、若しくは実に0.01パーセント又はそれより少ない量のアンモニア
を含む、項目7、8、又は9に記載の方法。
[11]
該分離ステップが第一の分離ステップである、項目7、8、9、又は10に記載の方法であって、該組成物が該組成物全体の質量あたり0.5パーセント又はそれより少ない量の水を含むように、該水を該組成物から分離することを含む第二の分離ステップをさらに含む、方法。
[12]
1又は複数のアミン副生成物を1又は複数の所望のアミンから分離するための方法であって、
a) i)1又は複数の所望のアミン及び1又は複数のアミン副生成物並びにii)第一のアジュバント成分を含む組成物を提供するステップであって、ここで該組成物が、該組成物全体の1質量パーセントよりも多い量の水を含まない、ステップ;
b) 該組成物を、該1又は複数のアミン副生成物の少なくとも一部分及び該第一のアジュバント成分の少なくとも一部分が、副生成物成分を形成するような条件に供するステップであって、該副生物成分が、前記条件に供されていない該1又は複数のアミン副生成物と比べて強化された分離特性を有する、ステップ;及び
c) 該副生成物成分の少なくとも一部分を該組成物から分離するステップ
を含む、方法。
[13]
該第一のアジュバント成分が沸点を有し、ここで該分離ステップが、第二のアジュバント成分の存在下で該副生成物成分の少なくとも一部分を該組成物から分離することを含み、またここで該第二のアジュバント成分が、該第一のアジュバント成分の沸点よりも低い沸点を有する、項目12に記載の方法。
[14]
該1又は複数の所望のアミンが1又は複数のアルキレンアミンを含み、該1又は複数の副生成物が1又は複数のアルキルアルキレンアミンを含む、項目12又は13に記載の方法。
[15]
該1又は複数のアルキレンアミンが1又は複数のエチレンアミンを含み、該1又は複数のアルキルアルキレンアミンが1又は複数のアルキルエチレンアミンを含む、項目14に記載の方法。