(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の設定つまみのいずれかの設定つまみは、定格電流の基準値に基づいて0.5秒〜500秒の範囲内でトリップ動作時間を調整するように設定可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の配線用遮断器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.; UL)の規格によると、MCCBの場合、長限時トリップ動作オフ機能を有することは適用規格に反するので、ACBと同じプログラムを使用することができず、ACBとは異なるプログラム及びPCBを使用及び管理しなければならないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、気中遮断器と同じプログラム及びPCBを使用してトリップ動作条件を設定しながらもUL規格を満たす過電流継電器及びそれを備えた配線用遮断器を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記技術的課題を達成するために、本発明の一態様によれば、ケース本体と、ケースカバーと、電子回路基板と、複数の設定つまみと、を含む過電流継電器が提供される。
【0013】
前記ケースカバーは、内面に複数のストップ突起を備え、前記ケース本体に結合されてもよい。
【0014】
前記電子回路基板は、前記ケース本体の内部に設置されてもよい。
【0015】
前記複数の設定つまみは、前記電子回路基板に回転可能に設置され、回転盤に係止突起を備えて前記ストップ突起に係止されることにより一定の回転範囲内で動作し、異常電流発生時のトリップ動作時間を設定できるようになっていてもよい。
【0016】
前記複数の設定つまみのいずれかの設定つまみは、前記係止突起が他の設定つまみの係止突起より円周方向にさらに長く延び、回転角度範囲が相対的にさらに制限される専用つまみであってもよい。
【0017】
前記専用つまみは、長限時、短限時及び瞬時トリップ動作時間の設定のうち、長限時トリップ動作時間の設定に使用されてもよい。
【0018】
前記複数のストップ突起のいずれかのストップ突起は、他のストップ突起より円周方向にさらに長く延び、前記延びたストップ突起に対応する設定つまみの回転角度範囲を相対的にさらに制限する専用ストップ突起であってもよい。
【0019】
本発明の他の態様によれば、開閉機構部と、過電流継電器と、トリップ機構モジュールとを含む配線用遮断器が提供される。
【0020】
前記開閉機構部は、接点部を開閉する。
前記過電流継電器は、主回路に事故電流が発生すると事故電流を検出してトリップ命令を出力するようにしてもよい。
【0021】
前記トリップ機構モジュールは、前記開閉機構部と機構的に連結され、前記過電流継電器がトリップ命令を出力すると前記開閉機構部のトリップ動作のための操作力を発生するようにしてもよい。
【0022】
前記過電流継電器は、ケース本体と、ケースカバーと、制御ユニットと、複数の設定つまみと、を含んでもよい。
【0023】
前記ケースカバーは、前記ケース本体に結合されてもよい。
前記制御ユニットは、電子回路基板を備え、前記ケース本体の内部に設置されてもよい。
【0024】
前記複数の設定つまみは、前記ケースカバーに表示された電流基準値及びトリップ動作時間を指し示すように外部に露出する指示部を備え、前記電子回路基板に互いに離隔して配置され、それぞれの位置で回転可能な構造で結合されてもよい。
【0025】
ここで、前記設定つまみは、回転盤と、前記回転盤の一面から軸方向に突出形成された中心軸とを含んでもよい。
【0026】
前記指示部は、前記回転盤の他面から軸方向に突出形成されてもよい。
前記指示部は、一端部面に十字状に凹設された十字溝と、前記十字溝の一端部に矢印状又は三角形状に形成された溝との組み合わせからなる指示溝を備えてもよい。
【0027】
前記設定つまみは、前記指示部から半径方向に離隔して配置され、前記回転盤の他面の縁部一側に突出形成されて回転する係止突起を備えてもよい。
【0028】
前記ケースカバーは、複数のストップ突起を備えてもよい。
前記複数のストップ突起は、前記ケースカバーの内面に互いに離隔して配置されてもよい。
【0029】
前記ストップ突起は、前記係止突起の回転範囲内で前記係止突起と干渉するように突出形成され、前記係止突起の回転範囲を所定の角度範囲に制限するようにしてもよい。
【0030】
前記中心軸が十字状突起構造からなり、前記指示部が円周方向に所定の間隔で調整可能に回転するようにしてもよい。
【0031】
前記複数の設定つまみのいずれかの設定つまみは、定格電流の基準値に基づいて0.5秒〜500秒の範囲内でトリップ動作時間を調整するように設定してもよい。
【0032】
前記複数の設定つまみのいずれかの設定つまみは、前記係止突起が他の設定つまみの係止突起より円周方向にさらに長く延び、回転角度範囲が相対的にさらに制限される専用つまみであってもよい。
【0033】
前記複数のストップ突起のいずれかのストップ突起は、他のストップ突起より円周方向にさらに長く延び、前記延びたストップ突起に対応する設定つまみの回転角度範囲が相対的に制限されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明による過電流継電器においては、専用の設定つまみ又はストップ突起を適用して長限時トリップ動作オフ機能を制限することにより、同じOCRプログラム及びPCBを使用してACBとMCCBのトリップ動作条件を設定することができる。また、OCRプログラム及びPCBの共用化が可能なだけでなく、ACB製品とMCCB製品におけるプログラムの規格認証内容をまとめて管理できるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0037】
本発明は、長限時トリップ動作オフ機能の使用を防止する過電流継電器を備えた配線用遮断器に関する。
【0038】
図1は本発明による過電流継電器が配線用遮断器に装着された状態を示す斜視図である。
【0039】
図1に示すように、本発明による配線用遮断器100は、遮断器本体101と、開閉機構部103と、過電流継電器110と、トリップ機構モジュール119とを含む。
遮断器本体101は、両側にそれぞれ端子部102を備える。
【0040】
遮断器本体101の一側に備えられた端子部102には電源側外部端子が挿入結合され、遮断器本体101の他側に備えられた端子部102には負荷側外部端子が挿入結合される。
【0041】
遮断器本体101の一側に備えられた端子部102は固定接点部121a(
図2参照)に接続され、遮断器本体101の他側に備えられた端子部102は可動接点部121b(
図2参照)に接続される。
【0042】
端子部102は、三相(R、S、T相)の交流電源端10に接続される。
開閉機構部103は、接点部121を開閉する機能を有する。
開閉機構部103は、可動接点部121bと機構的に連結され、可動接点部121bを固定接点部121aに接離することができる。
また、開閉機構部103は、事故電流発生時にトリップ動作を行う機能を有する。
【0043】
図2は本発明による過電流継電器と配線用遮断器の接続関係を概略的に示す回路図である。
【0044】
過電流継電器110は、電流センサ120と、制御ユニット118とを含む。
【0045】
電流センサ120は、三相の交流電源端10と接続される三相の端子部102にそれぞれ接続される。
電流センサ120は、電源側の端子部102に入力される電流信号を検出する。
【0046】
例えば、電流センサ120は、配線用遮断器100の定格電流の電流基準値と比較される電流情報を検出するようにしてもよい。
【0047】
制御ユニット118は、マイクロプロセッサが搭載された電子制御ユニット(ECU)であってもよい。
制御ユニット118は、電流センサ120に接続され、電流センサ120から感知信号が入力される。
【0048】
制御ユニット118は、メモリ部を備え、定格電流の電流基準値やトリップ動作時間などの情報を前記メモリ部に保存する。
【0049】
また、過電流継電器110の設定部117によりトリップ動作時間を設定することができ(
図9参照)、設定されたトリップ動作時間は制御ユニット118に入力される。
【0050】
制御ユニット118は、電流センサ120から感知信号が入力されると、検出された入力電流値と前記定格電流の電流基準値とを比較して制御信号を出力する。
【0051】
過電流継電器110は、過負荷、短絡や地絡事故などによる事故電流が発生すると、それを検出してトリップ命令を出力する。
【0052】
過電流継電器110の制御ユニット118は、電流センサ120を用いて事故電流を検出し、トリップ命令を出力する。
【0053】
トリップ機構モジュール119は、制御ユニット118からの制御信号を受け取り、開閉機構部103のトリップ動作のための駆動力を与える。
トリップ機構モジュール119は、アクチュエータを備えてもよい。
【0054】
前記アクチュエータは、ソレノイドであってもよい。
前記アクチュエータは、過電流継電器110のトリップ命令出力時に電源が供給されて電磁石となり、電磁石の吸入力によりトリップ動作のための操作力を生成する。
【0055】
トリップ機構モジュール119は、トリップスライダを含んでもよい。
前記トリップスライダは、前記アクチュエータと機構的に連結されてもよい。
【0056】
前記トリップスライダは、前記アクチュエータと連結されて連続して動作するようにしてもよい。
前記トリップスライダは、投入位置とトリップ位置とに移動するようにしてもよい。
【0057】
前記投入位置は、開閉機構部103がトリップ動作を行う前の前記トリップスライダの位置、すなわち前記トリップスライダの初期位置である。
【0058】
前記トリップ位置は、開閉機構部103がトリップ動作を行うように前記トリップスライダが移動する位置である。
【0059】
開閉機構部103は、トリップ機構モジュール119又は前記トリップスライダと機構的に連結され、前記トリップスライダが前記トリップ位置に移動するとトリップ動作を行う。
【0060】
開閉機構部103のトリップ動作により、可動接点部121bが固定接点部121aから分離し、事故電流が遮断される。
【0061】
図3は本発明による過電流継電器の斜視図であり、
図4は
図3の過電流継電器の分解図であり、
図5は
図3の過電流継電器の正面図である。
【0062】
過電流継電器110は、設定部117により長限時トリップ動作時間を設定することができる。
【0063】
例えば、接点部121に流れる電流が定格電流の80〜100%の範囲の場合、トリップ動作時間を0.5秒〜500秒の範囲に設定することができる。
【0064】
一例として、前記長限時トリップ動作時間は、0.5秒〜20秒の範囲に設定される(
図9参照)。
【0065】
過電流継電器110は、外部に露出可能に配線用遮断器100の前面に装着されてもよい。
【0066】
配線用遮断器100は、過電流継電器110の設定部117において長限時トリップ動作オフ機能を削除することにより、UL規格を満たすように対応している。
【0067】
本発明による過電流継電器110は、外部構成として、ケース本体111と、ケースカバー112とを含む。
ケース本体111は、電子回路基板113を収容するための内部空間を備える。
【0068】
ケースカバー112は、ケース本体111の上部に着脱可能に結合される。
ケースカバー112は、その縁部がケース本体111の上端部の縁部に接するように組み立てられ、ケース本体111の上端部(開口部)を覆う構造で結合される。
【0069】
ケースカバー112は、ケース本体111の上部を覆うことにより、外部の衝撃から内部に装着された電子部品などを保護する。
【0070】
ケースカバー112の外部の前面一側(カバー全長の約半分に相当する上部)に開放部が備えられ、前記開放部からディスプレイ114が外部に露出する。
【0071】
また、ケースカバー112の外部の前面他側(カバー全長の約半分に相当する下部)に長限時の基準電流値及びトリップ動作時間、短限時の基準電流値及びトリップ動作時間、瞬時電流値などが印刷されたステッカーなどが貼り付けられる(
図9参照)。
【0072】
例えば、前記長限時の設定値とは、定格電流の80〜100%の範囲に設定可能な基準電流値と、当該電流が回路に流れるときの0.5秒〜500秒の範囲に設定可能なトリップ動作時間値を意味する。
【0073】
前記短限時の設定値とは、定格電流の約2倍に設定可能な基準電流値と、当該電流が回路に流れるときの通常1秒以内に設定可能なトリップ動作時間値を意味する。
【0074】
過電流継電器110は、ケース本体111の内部に装着された制御ユニット118を含む。
制御ユニット118は、電子回路基板113を備える。
電子回路基板113には、LCDなどのディスプレイ114、メモリ部、マイクロプロセッサなどが実装される。
【0075】
電子回路基板113は、ケース本体111の内壁面に備えられた組立ガイド溝に嵌合されて組み立てられてもよい。
【0076】
電子回路基板113は、デジタル型過電流継電器110の中核部品であって、複数の電子部品が装着され、電流や電圧などの計測機能、複雑なインターロック機能、遮断器/開閉器の投入/開閉機能、事故波形記録、事故内容時間別記録などの様々な機能を備える。電子回路基板113は、通信機能をさらに備えることにより、一対の通信ケーブルを接続するだけで、遠距離でも前述した機能を容易に行うことができる。
【0077】
電子回路基板113の一側にはディスプレイ114が実装され、ディスプレイ114は、過電流継電器110のトリップ動作の設定、遮断器の開閉動作、事故電流の波形記録などを表示する。
また、電子回路基板113の他側には設定部117が備えられる。
【0078】
図6は本発明の第1実施形態による設定つまみがケースカバーの内側に装着された状態を示す内部斜視図であり、
図7は本発明の第1実施形態による設定つまみの平面図であり、
図8は本発明の第1実施形態による設定つまみの底面斜視図である。
【0079】
また、
図9は本発明による過電流継電器の設定部を示す部分拡大図である。
【0080】
設定部117は、複数の設定つまみ116を含む。
設定つまみ116は、設定部117に横方向及び縦方向に所定の間隔をおいて離隔して配置される。
【0081】
設定つまみ116は、ケースカバー112の他側(設定部117と対向する側)に横方向及び縦方向に離隔して形成された貫通孔112’から外部に露出する。
設定つまみ116は、ケースカバー112の他側に横方向及び縦方向に離隔して配置された8つのつまみで構成される。
【0082】
8つの設定つまみ116のうち、上方に位置する3つの設定つまみ116は、長限時の基準電流値及びトリップ動作時間を設定するためのものであり、中間に位置する3つの設定つまみ116は、短限時の基準電流値及びトリップ動作時間を設定するためのものであり、下方に位置する2つの設定つまみ116は、瞬時トリップ動作を設定するためのものである。
【0083】
ここで、瞬時トリップ動作時間は、遮断器規格に規定されていて使用者の任意設定が許容されないので、瞬時トリップ動作時間を設定するための設定つまみは削除される。
【0084】
使用者はケースカバー112に一部露出した設定つまみ116、115を回転操作することにより、定格電流の基準電流値(例えば、定格電流の80〜100%に相当する電流値)と、基準電流値に応じたトリップ動作時間を設定することができる。
【0085】
設定つまみ116は、回転盤116aと、回転盤116aの一面(底面)の中心に突出形成された中心軸116bと、回転盤116aの他面(上面)の中心に突出形成された指示部116cとから構成される。
【0086】
中心軸116bは、つまみ装着部113aにヒンジ構造で挿入結合され、設定つまみ116を回転可能に支持する。
回転盤116aは、所定の直径を有する円板状に形成され、回転盤116a下部の中心軸116bを中心に回転する。
【0087】
指示部116cは、回転盤116aの中心部から一定の直径を有するように直上方に突出形成される円筒形状からなり、指示部116cの上端に十字状の指示溝116c’を備える。
【0088】
指示溝116c’は、十字状に凹設された十字溝と、前記十字溝の一端部に矢印状又は三角形状に形成された溝とが組み合わせられた構造からなる。
【0089】
このように一端部が三角形状に形成された十字溝構造を設定つまみ116に適用することにより、使用者がプラスドライバーなどを用いて設定つまみ116を回転させることができるだけでなく、矢印状又は三角形状の頂点が指し示す回転角度に応じてトリップ動作時間などを設定することができる。
【0090】
設定つまみ116の指示部116cは、ケースカバー112に形成された貫通孔112’からケースカバー112の外部に露出し、使用者が指示部116cの十字溝を回転させて所定の回転角度範囲で調整できるようになっている。
【0091】
また、設定つまみ116は、中心軸116bの外側面に備えられた十字状突起構造により、円周方向に所定の間隔で調整可能に回転する。
【0092】
前記十字状突起構造は、中心軸116bの外側面に半径方向外側へ行くほど断面積が小さくなるとがった部分を含んでもよい。
【0093】
電子回路基板113は、設定部117に互いに離隔して配置され、設定つまみ116を回転可能に支持する複数のつまみ装着部113aを含む。
【0094】
つまみ装着部113aは、中心軸116bを囲むように内面に円周方向に離隔して配置された係止溝を備え、前記係止溝に設定つまみ116の十字状の突起(とがった部分)が係止されることにより、設定つまみ116を円周方向に所定の間隔で調整できるようになる。
【0095】
設定つまみ116を円周方向に所定の間隔で調整できるようにした理由は、設定つまみ116の指示部116cに形成された指示溝116c’(矢印状又は三角形状の頂点)がケースカバー112の外側に円周方向に間隔をおいて表示された設定値(トリップ動作時間など)を正確に指し示すようにするためである。
【0096】
設定つまみ116は、支持部によりその場で回転可能に支持される。
また、設定つまみ116は、係止突起116dにより、動作可能な回転角度範囲が所定の範囲に制限される。
【0097】
係止突起116dは、設定つまみ116の回転盤116aの縁部に円周方向に所定の区間だけ連続して突出形成される。
【0098】
係止突起116dは、回転盤116aの指示部116cから半径方向外側に離隔して所定の曲率で突出形成され、回転盤116aと一体に動作する。
【0099】
ケースカバー112は、内面に互いに離隔して配置された複数のストップ突起112aを備える。
【0100】
ストップ突起112aは、ケースカバー112の内面から電子回路基板113に向かって突出形成されるが、係止突起116d、115dの回転半径内に突出する。よって、係止突起116d、115dがストップ突起112aにより干渉されて停止するようにすることができる。
【0101】
このような構造により、設定つまみ116の回転開始地点で係止突起116dの一側面部がストップ突起112aの一側面部に接触し、設定つまみ116の回転完了地点で係止突起116dの他側面部がストップ突起112aの他側面部に接触する。
【0102】
つまり、設定つまみ116は、回転開始地点から時計方向に回転させると、ストップ突起112aにより停止して最大回転範囲が制限される。
【0103】
設定つまみ116の回転動作及び回転角度範囲について説明すると、設定つまみ116は、アナログ時計の時針に例えて、約7時の位置を回転開始地点、約5時の位置を回転完了地点として回転するようにしてもよい。
【0104】
以下、本発明による設定つまみ116と従来の設定つまみの相違点をより詳細に説明する。
【0105】
従来は、長限時トリップ動作時間の設定のための設定つまみの回転角度範囲と他の設定つまみの回転角度範囲とが同じであった。
【0106】
例えば、従来、トリップ動作が行われないようにトリップ動作オフ機能を実行するためには、トリップ動作時間の設定のための設定つまみを長限時トリップ動作時間の設定のための表示目盛り(0.5〜20秒)の最後に表示されたoff位置に回転させなければならない(
図11参照)。
【0107】
しかし、本発明においては、長限時トリップ動作オフ機能の使用を防止するための専用つまみ115を提供する。
【0108】
専用つまみ115は、前述した設定つまみ116のいずれかである。
専用つまみ115は、他の設定つまみ116より回転角度範囲が狭いので、トリップ動作オフ機能の使用を防止することができる。
【0109】
例えば、他の設定つまみ116は、任意の回転開始地点を基準に最大300〜340度の回転範囲を有するが、専用つまみ115は、当該回転開始地点を基準に最大270〜300度の回転範囲を有する。
【0110】
アナログ時計の時針に例えると、7時の位置を開始地点とし、他の設定つまみ116は5時の位置まで回転可能であるのに対して、専用つまみ115は3〜4時の位置まで回転可能である。
【0111】
専用つまみ115のトリップ動作時間は、開始地点から完了地点まで0.5秒から20秒までの時間を所定の時間間隔で設定してもよい(
図9参照)。
【0112】
第1実施形態による専用つまみ115の最大回転範囲を狭くするために、専用つまみ115は、係止突起115dの円周方向長さが円周方向にさらに延びるようにしてもよい。
【0113】
第1実施形態によれば、専用つまみ115に対応するストップ突起112aは、形状、構造及び大きさが他のストップ突起112aと同じである。
【0114】
しかし、専用つまみ115の回転盤115aに備えられた係止突起115dの円周方向長さのほうが他の設定つまみ116の回転盤116aに備えられた係止突起116dの円周方向長さより長いため、専用つまみ115のほうが他の設定つまみ116より回転角度範囲が狭い。
【0115】
下記数式1によれば、回転盤116a、115aに備えられた係止突起116d、115dの円周方向長さが長くなるほど、設定つまみ116及び専用つまみ115の回転角度(α)範囲が狭くなる。
【数1】
【0116】
ここで、αはつまみの回転角度であり、aは係止突起116d、115dの円周方向長さであり、rは係止突起116d、115dの回転半径である。
【0117】
係止突起116d、115dの回転半径rは一定であり、設定つまみ116、115の回転角度αは係止突起116d、115dの円周方向長さによって異なる。
【0118】
係止突起116d、115dの回転半径rは、回転盤116a、115aの円形中心から係止突起116d、115dの半径方向厚さの中心線までの距離であってもよい。
【0119】
このような回転盤116a、115aの係止構造によれば、設定つまみ116は、例えば回転開始地点(0゜)から回転完了地点(320゜)まで320゜以内の角度範囲で回転し、この回転範囲内でケースカバー112の外面に表示された設定値(表示目盛り)に応じてトリップ動作時間などを設定することができる。
【0120】
前記トリップ動作オフとは、回路に流れる電流の値が所定の基準電流値以上になっても配線用遮断器100のトリップ動作(自動遮断)が行われないようにすることをいう。
【0121】
しかし、UL規格では配線用遮断器100に限ってトリップ動作オフ機能を禁止しているので、本発明においては、専用つまみ115を配線用遮断器100の過電流継電器110に適用することにより、UL規格を満たすように対応している。
【0122】
図10は本発明の第2実施形態による設定つまみがケースカバーの内側に装着された状態を示す内部斜視図である。
【0123】
本発明の第2実施形態による過電流継電器110は、トリップ動作オフ機能の使用を防止するための専用ストップ突起112bを提供する。
【0124】
専用ストップ突起112bは、ケースカバー112の内部に備えられた複数のストップ突起のいずれかである。
【0125】
専用ストップ突起112bは、電子回路基板を前方から見たとき、8つの設定つまみ116のうち右上段に位置する専用つまみ115に対応するように適用される。
【0126】
専用ストップ突起112bのほうが他のストップ突起112aより円周方向長さが相対的に長い。
【0127】
設定つまみ116のうち長限時トリップ動作時間を設定するための専用つまみ115は、回転盤115aに係止突起115dを備え、この係止突起115dが専用ストップ突起112bに係止される。
【0128】
よって、長限時トリップ動作時間の設定のための設定つまみ116の回転角度範囲が他の設定つまみ116の回転角度範囲より狭くなるように制限することにより、長限時トリップ動作オフ機能を削除することができる。
【0129】
第1及び第2実施形態によれば、長限時トリップ動作時間を設定するための専用つまみ115がトリップ動作オフ位置に回転することを防止することができる。
【0130】
また、
図9に示すケースカバー112に貼り付けるステッカーにおいて、トリップ動作オフ位置offは削除される。
【0131】
つまり、本発明によれば、長限時トリップ動作時間を設定するための専用つまみ115の円周方向回転角度を制限し、専用つまみ115がトリップ動作オフ位置に回転しないようにすることにより、UL規格を満たす。
【0132】
また、同じプログラム及びPCBの修正によりACB及びMCCBのトリップ動作条件の設定及び機能の変更を行うことができ、プログラムの規格認証内容の管理を一元化することができる。
【0133】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義される本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形及び改良形態を含むものである。