(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5944987
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】シリコーン含有モノマー
(51)【国際特許分類】
C07F 7/10 20060101AFI20160621BHJP
A61L 27/00 20060101ALI20160621BHJP
C08G 77/388 20060101ALI20160621BHJP
C08F 222/22 20060101ALI20160621BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
C07F7/10 WCSP
C07F7/10 X
A61L27/00 D
C08G77/388
C08F222/22
C08F290/06
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-517761(P2014-517761)
(86)(22)【出願日】2012年7月2日
(65)【公表番号】特表2014-527031(P2014-527031A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】EP2012062849
(87)【国際公開番号】WO2013001096
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月30日
(31)【優先権主張番号】61/503,561
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】パラッカ, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】アイヤー, アナンス
(72)【発明者】
【氏名】シャラサニ, ドゥルガプラサド
(72)【発明者】
【氏名】リー, リー
【審査官】
榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−512398(JP,A)
【文献】
米国特許第06022926(US,A)
【文献】
国際公開第2010/041194(WO,A1)
【文献】
国際公開第00/009516(WO,A1)
【文献】
特開2003−248200(JP,A)
【文献】
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters ,2008年,Vol.18, No.17,p.4868-4871
【文献】
Tetrahedron Letters,2001年,Vol.42, No.22,p.3681-3684
【文献】
Chemistry - An Asian Journal,2006年,Vol.1, No.3,p.417-429
【文献】
Organic Letters,2005年,Vol.7, No.10,p.1983-1985
【文献】
Journal of Organic Chemistry ,2002年,Vol.67, No.20,p.7096-7109
【文献】
Perkin 1,2000年,No.24,p.4488-4498
【文献】
日本化学会誌,1990年,No.5,p.566-74
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/10
A61L 27/00
C08F 222/22
C08F 290/06
C08G 77/388
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
(式中、nは1〜700の範囲の整数である)からなる群から選択される、シリコーン含有モノマー。
【請求項2】
請求項1に記載のシリコーン含有モノマーと、少なくとも1つのその他のモノマーと、を含む組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のシリコーン含有モノマーの組成物の総重量に基づいて1〜90重量%含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つのその他のモノマーの組成物の総重量に基づいて10〜99重量%含む、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
銀塩、臭素、又はヨウ素を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
開始剤を含み、且つ、前記組成物が熱によって硬化、又は紫外線照射によって硬化される、請求項2〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化組成物を含む医療器具。
【請求項8】
前記器具が、眼用器具である、請求項7に記載の医療器具。
【請求項9】
前記器具が、コンタクトレンズである、請求項7に記載の医療器具。
【請求項10】
下記式で表されるオキシラン官能基化シリコー
ンを提供することと、
【化2】
(式中、nは1〜700の範囲の整数である)
このオキシラン官能基化シリコー
ンを下記式で表されるイソシアネー
トと反応させることと、
【化3】
を含む請求項
1に記載のシリコーン含有モノマーの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
シリコーンハイドロゲルは、眼用器具、創傷ドレッシング材料を含む多様な用途に、並びに、薬剤放出媒体として、選択される材料となっている。シリコーンハイドロゲル製剤の中の親水性及び疎水性の成分の相溶性は、光学的に透明な湿潤性コンタクトレンズの製造にとって重要である。
【0002】
患者に対する快適さによって、コンタクトレンズの市場での使用が促進される一方で、こうしたレンズの使用様式は、装着の際、タンパク質と脂質のレンズへの堆積量に加えて、双方の物理的特性(酸素の輸送及びレンズの潤滑性を含む)に依存する。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズにおいて、レンズの快適さに関連している酸素輸送特性は、意図したシリコーン化合物を使用することでうまく得ることができる一方で、湿潤性は、親水性の成分を組み込む様々な方法によって達成することができる。今日、シリコーンハイドロゲルレンズの制御可能な係数及び高い酸素透過性を備えた、光学的透明性、並びに望ましい湿潤性及び潤滑性を有する最終目的のレンズを提供する様々な技術が存在する。
【0003】
装着の際、眼の涙液からレンズ材料へ望ましくない成分が吸着することは、患者が享受する快適さを低減させる一因となっている要因の一つである。更に、レンズの使用については、レンズのケア管理がなされなかった場合、細菌感染が潜在的に生じる可能性がある。レンズへの望ましくない吸着の程度によって、特定のレンズに対するレンズケアの必要性が判断され、且つ、コンタクトレンズが眼内に存在できる期間に影響を与えることとなる。
【0004】
レンズケア溶液の不適切な使用に部分的に起因し、長期間コンタクトレンズを装着した結果である感染は、稀なことではない。コンタクトレンズの装着に起因する感染を最小限にするために、コンタクトレンズの製造業者が、この事象を抑制するため日常の使い捨てレンズに頼ると同時に、コンタクトレンズを装着している間に、薬剤を放出すること及び/又は抗菌成分を放出することは、魅力的な方法である。
【0005】
[技術分野]
本発明は、医療器具の調製のための、シリコーン含有部位と、オキサゾリジノン部位と、を含むシリコーン含有モノマーに関し、より詳細には、コンタクトレンズの製造に使用するシリコーンハイドロゲル(SiHy)の眼用器具組成物に関する。更に、シリコーン含有モノマーは、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ製剤において、抗感染特性を備える相溶化成分として使用することができる。最終的に、本発明のモノマーは、抗菌特性を有する表面を作り出すために使用することができる。本開示では、本モノマーの作成方法、及びその使用についても記載する。
【0006】
[関連技術の説明]
シリコーンハイドロゲルは、眼用器具、創傷ドレッシング材料に、並びに、薬剤放出媒体として、選択される材料となっている。眼用器具の分野においては、シリコーンハイドロゲルを扱うことによって、結果として得られるコンタクトレンズの透明性及び湿潤性を改善させてきた。しかしながら、感染は、コンタクトレンズの装着期間を延ばしたことによる通常の結果である。コンタクトレンズ製造業者によって提供される一つの解決策は、日用コンタクトレンズを作り出すことである。
【0007】
別の方法は、抗菌性コンタクトレンズを備えることである。最近の報告では、コンタクトレンズの効果的な抗菌性機能を提供する銀系組成物を使用することが調査されてきた[米国特許出願公開第2008/0102122A1号明細書を参照されたい]。しかしながら、銀系材料を組み込むことによって、抗菌レンズを作り出す記載された材料は、銀イオンの浸出を引き起こし潜在的な毒性の懸念をもたらす傾向がある。更に、銀は、光に曝されると黒くなることが知られている。これにより、レンズの変色、並びに、レンズの透明性に対する潜在的な影響をもたらす可能性がある。
【0008】
抗菌性薬剤をコンタクトレンズに組み込むことには、欠点もある。4級シラン(Quat)をベースとする、又はイオンをベースとする抗菌性材料[米国特許出願公開第2007/0242215A1号明細書及び米国特許出願公開第2008/0004414A1号明細書]は、望ましくないタンパク質の吸着を引き起こす潜在的な欠点があり、眼の感染に起因する患者の不快感及び合併症をもたらす。
【0009】
ハライド含有オキサゾリジノンを使用することが、文献で報告されている[米国特許出願公開第2007/0155852号明細書を参照されたい]。この公開特許公報においては、開示されるオキサゾリジノン構造は、構造的に異なるものであり、且つ、オキサゾリジノン部位におけるハライドの置換基が、抗菌特性を示すことを特許請求している。
【0010】
本発明は、レンズ製剤の親水性及び疎水性の成分両方に対して、効果的な相溶剤として機能し、且つ、眼の感染を防止及び治療するための潜在的な抗菌特性を有する湿潤性レンズを作り出す、オキサゾリジノン部位を有するシリコーン含有モノマーを開示するものである。
【0011】
[発明の要約]
本発明は、シリコーン含有モノマーに関する。これらのシリコーン含有モノマーは、オキサゾリジノン部位を含むシリコーン含有モノマーであることができる。本発明のモノマーは、眼用器具の製造に使用するシリコーンハイドロゲル組成物の調製に使用することができる。本発明のシリコーン反応性モノマーは、コンタクトレンズ製剤の親水性及び疎水性の成分の両方に対して、効果的な相溶剤として有用であり、且つ、オキサゾリジノン基が存在する結果として、並びに、その他の抗菌性の基又は原子の付加によって、抗感染特性を有することができる。本発明は、本モノマーの製造方法も含む。
【0012】
本発明のモノマーは、反応性を有し表面湿潤性である潤滑機能を得るために使用することができ、抗感染性であってもよい。これらのモノマーは、コンタクトレンズ等の器具に使用することができる。
【0013】
一実施形態においては、本発明は、シリコーン含有部位と、オキサゾリジノン部位と、を含む式(I)
【化1】
(式中、Rは、シリコーン含有部位であり、且つ、R
1は、H、
【化2】
であってよく、式中、Aは、オキサゾリジノン部位のオキサゾリジノン環を表し、且つ、R
2は、2価のC
1〜25アルキレン基又はC
6〜30アリールアルキレン基である)のシリコーン含有モノマーに関する。
【0014】
本発明の一実施形態においては、シリコーン含有部位Rは、式:
R
13YR
11Si(R
14R
15)O[Si(R
16R
17)O]
r[Si(R
27R
28)O]
tSi(R
29R
30)R
12
(式中、R
14、R
15、R
16、R
17、R
27、R
28、R
29、及びR
30は、互いに独立して、C
1〜8アルキル、C
1〜4アルキル置換フェニル、C
1〜4アルコキシ置換フェニル、フルオロ(C
1〜18アルキル)、シアノ(C
1〜12アルキル)、ヒドロキシ−C
1〜6アルキル、アミノ−C
1〜6アルキルであり、
Yは、−COO−、−CONR
18−、−OCOO−、又は−OCONR
18−を表し、式中、R
18はそれぞれ、独立してH又はC
1〜7アルキルであり、
R
11は、2価のC
1〜25アルキレン基又はC
6〜30アリールアルキレン基を表し、これらは、−O−、−COO−、−CONR
18−、−OCOO−、又は−OCONR
18−によって割り込まれてもよく、且つ、水酸基、第1、第2、又は第3アミン基、カルボキシ基、又はカルボン酸を含んでもよく、
R
12は、1価のC
1〜25アルキル基又はC
6〜30アリール基であり、これらは、−O−、−COO−、−CONR
14−、−OCOO−、又は−OCONR
14−によって割り込まれてもよく、且つ、水酸基、第1、第2、又は第3アミン基、カルボキシ基を含んでもよく、
R
13は、1価のC
1〜25アルキル基又はC
6〜30アリール基であり、これらは、少なくとも1つの水酸基、第1又は第2アミン基、カルボキシ基、又はオレフィンの不飽和部を含み、且つ、
r及びtは、互いに独立して、700までの整数であり、且つ、(r+t)は1〜700である)を有する。
【0015】
別の実施形態においては、シリコーン含有部位Rは、式
【化3】
を有し、
R
21は、2価のC
1〜25アルキレン基又はC
6〜30アリールアルキレン基を表し、これらは、−O−、−COO−、−CONR
18−、−OCOO−、又は−OCONR
18−によって割り込まれてもよく、且つ、水酸基、第1、第2、又は第3アミン基、カルボキシ基、又はカルボン酸を含んでもよく、
R
26は、1価のC
1〜25アルキル基又はC
6〜30アリール基であり、これらは、少なくとも1つの水酸基、第1又は第2アミン基、カルボキシ基、又はオレフィンの不飽和部を含み、
R
22からR
25は、それぞれ独立して、水素、直鎖型の又は分岐型のC1〜C30アルキル基、C1〜C30フルオロアルキル基、C1〜C20エステル基、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、シクロアルケニルエーテル、
アリールエーテル、アリールアルキルエーテル、ポリエーテル含有基、ウレイド基、アミド基、アミン基、置換又は非置換C1〜C30アルコキシ基、置換又は非置換C3〜C30シクロアルキル基、置換又は非置換C3〜C30シクロアルキルアルキル基、置換又は非置換C3〜C30シクロアルケニル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、置換又は非置換C5〜C30アリールアルキル基、置換又は非置換C5〜C30ヘテロアリール基、置換又は非置換C3〜C30ヘテロ環式環、置換又は非置換C4〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換C6〜C30ヘテロアリールアルキル基、フッ素、C5〜C30フルオロアリール基、又は水酸基であり、且つ、式中、nは1〜700の範囲である。
【0016】
本組成物の更なる実施形態においては、シリコーン含有モノマーは、
【化4】
(式中、nは1〜700の範囲の整数であり、oは0〜1の範囲の整数であり、且つ、pは0〜50の範囲の整数である)からなる群から選択される。
【0017】
本発明の更なる実施形態においては、前述のシリコーン含有モノマーと、少なくとも1つのその他のモノマーと、を含む組成物に関する。
【0018】
組成物は、シリコーン含有モノマーの組成物の総重量に基づいて、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは1〜50重量%、最も好ましくは10〜50重量%含む。
【0019】
組成物は、少なくとも1つのその他のモノマーの組成物の総重量に基づいて、好ましくは10〜99重量%、より好ましくは50〜99重量%、最も好ましくは50〜90重量%含む。
【0020】
更なる実施形態においては、組成物は、銀塩、臭素、又はヨウ素を含む。
【0021】
別の実施形態においては、組成物は、開始剤を含み、且つ、組成物は、熱によって硬化、又は紫外線(UV)照射によって硬化される。
【0022】
更なる実施形態においては、組成物は、銀塩、臭素、又はヨウ素を含む。
【0023】
本発明の更なる実施形態は、コンタクトレンズを含むがそれに限定されない眼用器具等の、本発明の硬化組成物からなる、医療器具に関連する。
【0024】
更に本発明は、オキシラン官能基化シリコーン含有部位Rを提供することと、このオキシラン官能基化シリコーン含有部位Rをイソシアネート官能基化基R
1と反応させることと、を含む式(I)のシリコーン含有モノマーの調製方法に関する。
【0025】
好ましくは、イソシアネート官能基化化合物R
1は、(メタ)アクリレート基も含む。
【0026】
[発明を実施するための形態]
他に特に定義されない限り、以下の用語は、下記に説明する意味を有する。
【0027】
本明細書で使用する場合、「眼用器具」という用語は、レンズ及び関連器具等の、眼の中に、眼に接して、又は目の正面に存在する器具を包含する。レンズは、光学補正を提供することができ、又は美容のためのものであってよい。レンズという用語は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ(overlaylense)、接眼用挿入物、眼用挿入物、眼鏡レンズ、眼鏡、手術用眼鏡などを含むがそれらに限定されない。好ましい実施形態においては、眼用器具は、コンタクトレンズであり、より好ましくはソフトコンタクトレンズである。ソフトコンタクトレンズは、ハイドロゲル及びシリコーンのエラストマー、又はハイドロゲルから作成され、シリコーンのハイドロゲル及びフルオロハイドロゲルを含むがそれらに限定されない。こうしたハイドロゲルは、硬化レンズにおいて互いに共有結合で結合した疎水性及び/又は親水性モノマーを含む。好ましくは、コンタクトレンズは透明レンズである。
【0028】
相溶性は、眼用器具又はコンタクトレンズとして、湿潤性及び潤滑性を有し、且つ、効果的である組成物をもたらす、疎水性シリコーン含有化合物と親水性化合物との相溶性を意味することを意図している。相溶化剤は、組成物の疎水部及び親水部を連結又は結合させる化合物又は組成物の特徴を有し、シリコーン含有ポリマーの顕著な「湿潤性」及び潤滑性を可能にする。
【0029】
抗菌性、抗生性、及び抗感染性は、微生物、細菌、その他の感染性のタンパク質又はウィルスの増殖を低減、防止、又は抑制させることを意味することを意図している。抗菌性は、毒性の又は炎症性の粒子、タンパク質、又は化合物に対する反応を抑制することも含んでもよい。このような細菌又はその他の微生物としては、眼で見出されるこうした有機体、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アカントアメーバ(Acanthamoeba)種、黄色ブドウ球菌(Staphyloccus aureus)、大腸菌(E.Coli)、表皮ブドウ球菌(Staphyloccus epidermidis)、及びセラチア マルセッセンス(Serratia marcesens)が挙げられるがそれらに限定されない。特に、抗生性又は抗菌性は、グラム陽性菌の増殖の防止、抑制、若しくは低減、又は殺菌活性に言及することができる。本発明の組成物は、菌活性を少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、更により好ましくは25%以上、低減又は抑制することができる。理想的には、本発明の組成物は、少なくとも1ログの減少分、菌活性を低減又は抑制する。
【0030】
生体適合性は、本発明の組成物が、式(I)のモノマーを含む医療器具と接触する人間又は動物に対して悪影響を与えることがないことを意味することを意図している。このような生体適合性は、本発明の組成物が加えられる特定の使用において臨床的に成功することをパラメーターとして評価されるものと考えることができる。所定の用途において臨床的に成功することは、当技術分野において理解される。
【0031】
本発明のモノマーは、シリコーン含有部位と、式(I)のオキサゾリジノン部位と、を含むシリコーン含有モノマーである。オキサゾリジノン部位は、シリコーン含有化合物に組み込まれる、又はグラフトされることができる。
【0032】
本発明は、シリコーン含有部位と、オキサゾリジノン部位と、を含む式(I)
【化5】
(式中、Rは、シリコーン含有部位であり、且つ、R
1は、H、
【化6】
であってもよく、式中、Aは、オキサゾリジノン部位のオキサゾリジノン環を表し、且つ、R
2は2価のC
1〜25アルキレン基又はC
6〜30アリールアルキレン基であり、但し、R
1はハロゲン原子ではない)のシリコーン含有モノマーに関する。
【0033】
オキサゾリジノン含有部位とは、以下の構造的要素:
【化7】
を含む構造を意味する。シリコーン含有モノマーは、加工の際、反応性混合成分に結合可能である、重合性基を含んでもよく、又は重合性基を含まなくてもよい。好ましい重合可能な式(I)のシリコーン含有モノマーは、シリコーン含有モノマーをレンズのマトリックスの中に、又はレンズ表面に、共有結合によって組み込むことを可能とする少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する。好適なエチレン性不飽和基としては、メタクリレート類、アクリレート類、スチレン類、これらの混合物等が挙げられる。エチレン性不飽和基は、シリコーン含有モノマーに直接連結してもよく、又は、間に介在する、分岐型又は非分岐型のアルキル鎖、置換又は非置換アリール基、ポリエーテル類、ポリアミド類、ポリエステル類等を含んでもよい。シリコーン含有モノマーが重合され半相互に貫通するネットワークを形成する場合、重合性基を有さないシリコーン含有モノマーは、レンズ材料内で絡み合うようになる(従って、シリコーンハイドロゲル材料に連結される)。
【0034】
好適なシリコーン含有部位Rとしては、式R
13YR
11Si(R
14R
15)O[Si(R
16R
17)O]
r[Si(R
27R
28)O]
tSi(R
29R
30)R
12
(式中、R
14、R
15、R
16、R
17、R
27、R
28、R
29、及びR
30は、互いに独立して、C
1〜8アルキル、C
1〜4アルキル−置換フェニル、C
1〜4アルコキシ置換フェニル、フルオロ(C
1〜18アルキル)、シアノ(C
1〜12アルキル)、ヒドロキシ−C
1〜6アルキル、アミノ−C
1〜6アルキルであり、
Yは、−COO−、−CONR
18−、−OCOO−、又は−OCONR
18−を表し、R
18はそれぞれ、独立してH又はC
1〜7アルキルであり、
R
11は、2価のC
1〜25アルキレン基又はC
6〜30アリールアルキレン基を表し、これらは、−O−、−COO−、−CONR
18−、−OCOO−、又は−OCONR
18−によって割り込まれてもよく、且つ、水酸基、第1、第2、又は第3アミン基、カルボキシ基、又はカルボン酸を含んでもよく、
R
12は、1価のC
1〜25アルキル基又はC
6〜30アリール基であり、これらは、−O−、−COO−、−CONR
14−、−OCOO−、又は−OCONR
14−によって割り込まれてもよく、且つ、水酸基、第1、第2、又は第3アミン基、又はカルボキシ基を含んでもよく、
R
13は、1価のC
1〜25アルキル基又はC
6〜30アリール基であり、これらは、少なくとも1つの水酸基、第1又は第2アミン基、カルボキシ基、又はオレフィンの不飽和部を含み、且つ、
r及びtは、互いに独立して、700までの整数であり、且つ、(r+t)は5〜700である)のものを挙げることができる。
【0035】
シリコーン含有部位Rは、好ましくはシロキサンであり、且つ、
【化8】
(式中、R
21は、1価のC
1〜25アルキル基又はC
6〜30アリール基であり、これらは、−O−、−COO−、−CONR
14−、−OCOO−、又は−OCONR
14−によって割り込まれてもよく、且つ、水酸基、第1、第2、又は第3アミン基、又はカルボキシ基を含んでもよく、
R
26は、1価のC
1〜25アルキル基又はC
6〜30アリール基であり、これらは、少なくとも1つの水酸基、第1又は第2アミン基、カルボキシ基、又はオレフィンの不飽和部を含み、
且つ、R22からR25は、それぞれ独立して、水素、直鎖型の又は分岐型のC1〜C30アルキル基、C1〜C30フルオロアルキル基、C1〜C20エステル基、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、シクロアルケニルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテル、ポリエーテル含有基、ウレイド基、アミド基、アミン基、置換又は非置換C1〜C30アルコキシ基、置換又は非置換C3〜C30シクロアルキル基、置換又は非置換C3〜C30シクロアルキルアルキル基、置換又は非置換C3〜C30シクロアルケニル基、置換又は非置換C5〜C30アリール基、置換又は非置換C5〜C30アリールアルキル基、置換又は非置換C5〜C30ヘテロアリール基、置換又は非置換C3〜C30ヘテロ環式環、置換又は非置換C4〜C30ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換C6〜C30ヘテロアリールアルキル基、フッ素、C5〜C30フルオロアリール基、又は水酸基である)の一般構造を有してもよい。R
22からR
25は、好ましくは水素又はアルキルエーテルであり、且つ、式中、nは1〜700の範囲であり、又は好ましくは5〜700、又はより好ましくは5〜100、又は最も好ましくは5〜50である。
【0036】
シリコーン含有部位は、重合性基を含んでもよい。前述のように、重合性基は、エチレン性不飽和基を含んでもよい。
【0037】
シリコーン含有部位は、1000〜1,500,000ダルトンの重量平均分子量を有してもよい。
【0038】
本明細書において使用されるアルキル基の代表的な例としては、一例として、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル等の、分子の残りに対して、不飽和の又は不飽和でない1〜約18の炭素原子からなる、炭素原子及び水素原子を含む直鎖型の又は分岐型の炭化水素鎖基が挙げられる。
【0039】
本明細書において使用されるフルオロアルキル基の代表的な例としては、一例として、例えば、−CF
3、−CF
2CF
3、−CH
2CF
3、−CH
2CF
2H、−CF
2H等の、炭素原子に結合した1つ又は複数のフッ素原子を有する上記で定義される直鎖型の又は分岐型のアルキル基が挙げられる。
【0040】
本明細書において使用されるエステル基の代表的な例としては、一例として、1〜20の炭素原子等を有するカルボン酸エステル等が挙げられる。
【0041】
本明細書において使用されるエーテル又はポリエーテル含有基の代表的な例としては、一例として、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、シクロアルケニルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテル(ここで、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、及びアリールアルキル基は、上記で定義される、例えば、アルキレンオキシド類、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のポリ(アルキレンオキシド)類、ポリ(エチレンオキシド)類、ポリ(エチレングリコール)類、ポリ(プロピレンオキシド)類、ポリ(ブチレンオキシド)類、及びこれらの混合物又はコポリマー等である)、一般式−R
7OR
8のエーテル又はポリエーテル基(ここで、R
7は、上記で定義される、結合基、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基であり、且つ、R
8は、例えば、−CH
2CH
2OC
6H
5及び−CH
2CH
2OC
2H
5等の、上記で定義される、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である)が挙げられる。
【0042】
本明細書において使用されるアミド基の代表的な例としては、一例として、一般式−R
9C(O)NR
10R
31(式中、R
9、R
10、及びR
31は、独立して、C
1〜C
30炭化水素であり、例えば、R
9はアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基であることができ、且つ、R
10及びR
31は、本明細書において定義される、アルキル基、アリール基、及びシクロアルキル基等であることができる)のアミドが挙げられる。
【0043】
本明細書において使用されるアミン基の代表的な例としては、一例として、一般式−R
32NR
33R
34のアミン(式中、R
32は、C
2〜C
30アルキレン、アリーレン、又はシクロアルキレンであり、且つ、R
33及びR
34は、独立して、例えば、本明細書において定義される、アルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基等のC
1〜C
30炭化水素である)が挙げられる。
【0044】
本明細書において使用されるウレイド基の代表的な例としては、一例として、1つ又は複数の置換基を有するウレイド基、又は非置換のウレイドが挙げられる。ウレイド基は、好ましくは、1〜12の炭素原子を有するウレイド基である。置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が挙げられる。ウレイド基の例としては、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド、及び3−フェニルウレイドが挙げられる。
【0045】
本明細書において使用されるアルコキシ基の代表的な例としては、一例として、分子の残りに酸素の結合を介して結合した、即ち、一般式−OR
35の、上記で定義されるアルキル基(式中、R
35は、例えば−OCH
3、−OC
2H
5、又は−OC
6H
5等の、上記で定義されるアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、又はアリールアルキルである)が挙げられる。
【0046】
本明細書において使用されるシクロアルキル基の代表的な例としては、一例として、任意選択で、例えば、酸素及び窒素等の1つ又は複数のヘテロ原子を有する、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、パーヒドロナフチル基、アダマンチル基、及びノルボニル基、架橋環状基、又は例えばスピロ−(4、4)−ノン−2−イル等のスピロ二環式基等の、約3〜約18の炭素原子からなる置換又は非置換非芳香族の単環式環系又は多環式環系が、挙げられる。
【0047】
本明細書において使用されるシクロアルケニル基の代表的な例としては、一例として、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル等の少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、約3〜約18の炭素原子を含む置換又は非置換の環式環含有基が挙げられる(ここで、環式環は、任意選択で、例えば、酸素及び窒素等の1つ又は複数のヘテロ原子を含むことができる)。
【0048】
本明細書において使用されるアリール基の代表的な例としては、一例として、任意選択で、例えば、酸素及び窒素等の1つ又は複数のヘテロ原子を有する、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニル等の約5〜約25の炭素原子を含む置換又は非置換の単環芳香族又は多環芳香族の基が挙げられる。
【0049】
本明細書において使用されるアリールアルキル基の代表的な例としては、一例として、例えば、−CH
2C
6H
5、−C
2H
5C
6H
5等の、上記で定義されるアルキル基に直接結合した上記で定義される置換又は非置換アリール基が挙げられる(ここで、アリール基は、任意選択で、例えば、酸素及び窒素等の1つ又は複数のヘテロ原子を含むことができる)。
【0050】
本明細書において使用されるフルオロアリール基の代表的な例としては、一例として、アリール基に結合した1つ又は複数のフッ素原子を有する、上記で定義されるアリール基が挙げられる。
【0051】
本明細書において使用されるヘテロ環式環基の代表的な例としては、一例として、炭素原子と、例えば、窒素、リン、酸素、硫黄、及びこれらの混合物等の1〜5つのヘテロ原子を含む置換又は非置換の安定な3〜約15の員環の基が挙げられる。本明細書で使用する好適なヘテロ環式環基は、単環式、二環式、又は三環式環系であってよく、これは、結合した、架橋した、又はスピロの環系を含んでもよく、且つ、ヘテロ環式環基の窒素、リン、炭素、酸素、又は硫黄原子は、任意選択で、様々な酸化状態に酸化されてもよい。更に、窒素原子は、任意選択で、四級化されてもよく、且つ、この環基は、部分的に又は完全に飽和してもよい(即ち、ヘテロ芳香族又はヘテロアリール芳香族)。
【0052】
本明細書において使用されるヘテロアリール基の代表的な例としては、一例として、上記で定義される置換又は非置換ヘテロ環式環基が挙げられる。ヘテロアリール環基は、安定な構造を生成する任意のヘテロ原子又は炭素原子において主構造に結合することができる。
【0053】
本明細書において使用されるヘテロアリールアルキル基の代表的な例としては、一例として、上記で定義されるアルキル基に直接結合した上記で定義される置換又は非置換ヘテロアリール環基が挙げられる。ヘテロアリールアルキル基は、安定な構造を生成するアルキル基の任意の炭素原子において主構造に結合することができる。
【0054】
本明細書において使用されるヘテロシクロ基の代表的な例としては、一例として、上記で定義される置換又は非置換ヘテロ環式環基が挙げられる。ヘテロシクロ環基は、安定な構造を生成する任意のヘテロ原子又は炭素原子において主構造に結合することができる。
【0055】
本明細書において使用されるヘテロシクロアルキル基の代表的な例としては、一例として、上記で定義されるアルキル基に直接結合した、上記で定義される置換又は非置換ヘテロ環式環基が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、安定な構造を生成するアルキル基の炭素原子において主構造に結合することができる。
【0056】
「置換アルキル」、「置換アルコキシ」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルキルアルキル」、「置換シクロアルケニル」、「置換アリールアルキル」、「置換アリール」、「置換ヘテロ環式環」、「置換ヘテロアリール環」、「置換ヘテロアリールアルキル」、「置換ヘテロシクロアルキル環」、「置換環式環」、及び「置換カルボン酸誘導体」における置換基は、同一又は異なってもよく、且つ、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アミノ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル環、置換又は非置換ヘテロアリールアルキル、置換又は非置換ヘテロ環式環、置換又は非置換グアニジン、−COORx、−C(O)Rx、−C(S)Rx、−C(O)NRxRy、−C(O)ONRxRy、−NRxCONRyRz、−N(Rx)SORy、−N(Rx)SO2Ry、−(.dbd.N−N(Rx)Ry)、−NRxC(O)ORy、−NRxRy、−NRxC(O)Ry−、−NRxC(S)Ry−NRxC(S)NRyRz、−SONRxRy−、−SO2NRxRy−、−ORx、−ORxC(O)NRyRz、−ORxC(O)ORy−、−OC(O)Rx、−OC(O)NRxRy、−RxNRyC(O)Rz、−RxORy、−RxC(O)ORy、−RxC(O)NRyRz、−RxC(O)Rx、−RxOC(O)Ry、−SRx、−SORx、−SO
2Rx、−ONO
2(式中、前記の基それぞれのRx、Ry、及びRzは、同一又は異なってもよく、且つ、水素原子、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アルケニル、置換又は非置換アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換アリールアルキル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アミノ、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、「置換ヘテロシクロアルキル環」、置換又は非置換ヘテロアリールアルキル、又は、置換又は非置換ヘテロ環式環であることができる)等の、1つ又は複数の置換基を含む。
【0057】
好ましいモノマーは、
【化9】
(式中、nは1〜700の範囲の整数であり、oは0〜1の範囲の整数であり、且つ、pは0〜50の範囲の整数である)からなる群から選択される。
【0058】
本発明による組成物は、式(I)のシリコーン含有モノマーと、少なくとも1つのその他のモノマーと、を含む。
【0059】
組成物は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは1〜90重量%の、より好ましくは1〜50重量%の、最も好ましくは10〜50重量%のシリコーン含有モノマーを含む。
【0060】
組成物は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは10〜99重量%の、より好ましくは50〜99重量%の、最も好ましくは50〜90重量%の少なくとも1つのその他のモノマーを含む。
【0061】
本組成物は、抗菌性金属塩を含むことができる。本明細書で使用される、「金属塩」という用語は、1つ又は複数の正電荷の金属及び1つ又は複数の負電荷のイオンからなる一般式を有する任意の分子を意味する。金属は、Al
+3、Cr
+2、Cr
+3、Cd
+1、Cd
+2、Co
+2、Co
+3、Ca
+2、Mg
+2、Ni
+2、Ti
+2、Ti
+3、Ti
+4、V
+2、V
+3、V
+5、Sr
+2、Fe
+2、Fe
+3、Au
+2、Au
+3、Au
+1、Ag
+2、Ag
+1、Pd
+2、Pd
+4、Pt
+2、Pt
+4、Cu
+1、Cu
+2、Mn
+2、Mn
+3、Mn
+4、Zn
+2、Se
+4、Se
+2、及びこれらの混合物から選択される任意の正電荷金属イオンであることができるが、これらに限定されるものではない。Xの例としては、CO
3−2、NO
3−1、PO
4−3、Cl
−1、I
−1、Br
−1、S
−2、O
−2、酢酸、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。負電荷のイオンとしては、C
1〜5アルキルCO
2−1等の、CO
3−2、SO
4−2、PO
4−3、Cl
−1、I
−1、Br
−1、S
−2、O
−2、酢酸等を含むイオンが挙げられる。本明細書で使用される、金属塩という用語は、米国特許出願公開第2003/0043341A1号明細書に記載されるもののように、ゼオライトを含まない。一実施形態においては、1、2、又は3つの金属イオンを使用してもよい。一実施形態においては、1、2、又は3つの負電荷のイオンが存在する。一つの有用な金属イオンは、Ag
+1である。好適な金属塩の例としては、硫化マンガン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫酸カルシウム、硫化セレン、銅ヨウ化物、硫化銅、及び銅リン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。銀塩の例としては、炭酸銀、燐酸銀、硫化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、及び酸化銀が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、金属塩は、ヨウ化銀、塩化銀、及び臭化銀等の少なくとも1つの銀塩を含む。
【0062】
本発明の組成物は、銀塩と錯体形成することができる。本発明の組成物は、製造プロセスにおいて、銀ハライド溶液で後処理され、その結果、所望の銀塩を生成することができる。
【0063】
本発明の組成物は、ヨウ素又は臭素を含むハロゲンと錯体形成することもできる。概して、微量のヨウ素又は臭素の量。錯体化は、組成物又はコンタクトレンズを硬化させる前に、又はコンタクトレンズを硬化した後に、実施することができる。最も好ましくは、組成物は、銀塩、臭素、又はヨウ素を含む。
【0064】
シリコーン含有モノマーは、いくつかの方法で、選択されたポリマーの中に組み込まれることができる。例えば、シリコーン含有モノマーを含む化合物を、モノマー及び/又はプレポリマーの混合物(反応性混合物)に分散又は溶解させることができ、これを使用して眼用器具が形成される。
【0065】
更に、シリコーン含有モノマーは、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ製剤における相溶化成分として使用することができる。最終的に、本発明のモノマーは、抗菌特性を有する表面を形成することに使用できる。このモノマーは、ポリマー、器具、又はポリマーを塗布した器具の表面に存在してもよい。
【0066】
コンタクトレンズに使用される疎水性成分の例は、シリコーン含有モノマー及び飽和炭化水素化合物である。親水性組成物の例としては、非環状又は環状の、アミド化合物、エステル化合物、ウレタン化合物、尿素化合物、及びその他のヘテロ原子を含有する直鎖型の又はオリゴマー状の化合物が挙げられる。
【0067】
本発明のシリコーン含有モノマーを含む硬化組成物から調製されるレンズは、米国特許第3,854,982号明細書、米国特許第3,916,033号明細書、米国特許第4,920,184号明細書、米国特許第5,002,794号明細書、米国特許第5,712,327号明細書、及び米国特許第6,087,415号明細書、並びに国際公開第01/027662号パンフレットの手順、組成物、及び方法によってなどのレンズを塗布するための当技術分野において既知であるいくつかの試薬で塗布されてもよく、これら明細書及びパンフレットの全ての開示内容は、本明細書中で引用されることにより、本明細書に組み込まれている。引用した特許に加えて、一度形成されたレンズを処理するその他の知られている方法が存在する。この発明のレンズは、米国特許第5,453,467号明細書、米国特許第5,422,402号明細書、国際公開第93/00391号パンフレット、米国特許第4,973,493号明細書、及び米国特許第5,350,800号明細書に例示されるこうした方法によって処理することができ、これら明細書及びパンフレットの全ての開示内容は、本明細書中で引用されることにより、本明細書に明確に組み込まれている。
【0068】
本発明の別の態様においては、シリコーン含有モノマーを含む組成物は、シリコーン含有ポリマー表面又はSiHyポリマー表面を塗布するために使用することができる。或いは、この組成物は、ポリマー表面、器具表面、SiHyポリマー表面、オキサゾリジノン含有シリコーンポリマー表面等を塗布するために使用することができる。このような塗布プロセスにおいては、コンタクトレンズは、式(I)のインスタント(instant)シリコーン含有モノマーを含む溶液で処理され、その後、好適なラジカル開始剤の存在下で重合され、前記の被覆物を生成する。式(I)の非重合性シリコーンモノマーは、コンタクトレンズの製造プロセスにおいて、コンタクトレンズのマトリックスの中にシリコーンが封入されることを支援する上で、レンズ包装溶液においても有用である。これは、撹拌、超音波、又は加熱、蒸気、熱、若しくはその他の照射源等のエネルギー源を適用することで、達成することができる。或いは、本発明の式(I)の非重合性シリコーンモノマーをコンタクトレンズの中に組みこむことは、コンタクトレンズの製造プロセスの殺菌工程において、達成することができる。
【0069】
本発明は、表面湿潤性/潤滑性の機能、並びに、任意選択で、酸素透過性シリコーン部位に組み込まれた抗感染性成分を有する反応性シリコーンモノマーを調製する方法を含む。
【0070】
オキサゾリジノンは、多剤耐性であるグラム陽性菌に対して活性を有する、将来有望な新規な部類の合成抗生物質である。このオキサゾリジノン部位は、商業的に重要な部類の抗生物質(例えば、Linezolid、Zyvox(登録商標))の1つの、構造的成分を形成し、且つ、抗凝血剤(例えば、Rivaroxaban(登録商標))としての適用も分かっている[http://en.wikipedia.org/wiki/Linezolid;http://en.wikipedia.org/wiki/Zyvox;http://en.wikipedia.org/wiki/Rivaroxaban;Fungら Clinical therapeutics 23(3)、2001、356〜391:Diekema及びJones The Lancet、358、2001、1975〜1982を参照されたい]。
【0071】
オキサゾリジノン系化合物は、眼の感染を治療するための局所的抗菌性組成物を使用することにおいても報告されている[米国特許出願公開第2002/0107238A1号明細書を参照されたい]。オキサゾリジノン部位をシリコーンに導入することは、最終器具における非感染表面を提供する可能性に加えて、ハイドロゲル製剤の親水性及び疎水性成分両方の相溶性、湿潤性についての有益な特性を提供する。
【0072】
シリコーンモノマーの合成は、親水性である5員環のオキサゾリジノン環を形成することができる、イソシアネートとオキシラン及びその他の環状化合物との環化化学を利用したものである。一例は、シリコーンモノマーに対して組み込まれたシリコーン含有モノマーの生成である。その他の例としては、モノマーの末端にシリコーン含有モノマーを付加することが挙げられる。
【0073】
オキサゾリジノン含有シリコーンは、好適なイソシアネートとの環化反応によって種々の市販のオキシラン官能基化シリコーンから調整可能であり、効率的な製造をもたらすこととなる。式(I)のシリコーン含有モノマーの調製方法は、オキシラン官能基化シリコーン含有部位Rを提供することと、このオキシラン官能基化シリコーン含有部位Rと、イソシアネート官能基化基R
1とを反応させることと、を含む。好ましくは、イソシアネート官能基化化合物R
1は、(メタ)アクリレート基も含む。
【0074】
[スキーム1:二官能性シリコーン含有モノマーの合成]
【化10】
【0075】
二官能性シリコーンモノマーの合成は、スキーム1で例示される。或いは、この開示された生成物及びその誘導体は、ジイソシアネートシリコーンとアリルグリシジルエーテルとの間の反応を介して得ることができる。
【0076】
スキーム1においては、nは1〜700の、又は好ましくは5〜700の、又はより好ましくは5〜100の、又は最も好ましくは5〜50の範囲の整数である。
【0077】
[スキーム2:単官能性シリコーン含有モノマーの合成]
【化11】
【0078】
単官能性シリコーン含有モノマーの合成は、スキーム2に示される。
【0079】
スキーム2においては、nは1〜700の、又は好ましくは5〜700の、又はより好ましくは5〜100の、又は最も好ましくは5〜50の範囲の整数である。
【0080】
フェニルオキサゾリジノンの末端機能を備える反応性単官能性シリコーンメタクリレート化合物の合成は、スキーム3に示される。
【0081】
[スキーム3:フェニルオキサゾリジノンの末端機能を備える反応性単官能性シリコーン化合物の合成]
【化12】
【0082】
スキーム3においては、nは1〜700の、又は好ましくは5〜700の、又はより好ましくは5〜100の、又は最も好ましくは5〜50の範囲の整数である。oは、0〜1の範囲の整数であり、且つ、pは、0〜50の範囲の整数である。
【0083】
オキサゾリジノンの構造特性(周知の抗生物質−Linezolidに存在する)を含むメタクリレート化シリコーンモノマーの合成は、スキーム4に示される。
【0084】
これらの抗生物質は、文献で報告された方法で、オキシラン(エポキシド)誘導体とイソシアネート誘導体との間の反応から得ることができる(Xingxianら、J.of Chemical Research 12、2009、739〜740;Xingxian、Faming Shenqing Gonkai Shuomingshu 2010、2010年2月3日に公開の中国特許出願公開第1010638392号明細書;Heggelund及びUndheim、国際公開第2006/074962A2号パンフレット;Qiangら、Faming Shenqing Gonkai Shuomingshu 2006、2006年5月17日に公開の中国特許出願公開第1772750号明細書;Huaら、Jingxi Huagong 21(1)、2004、70〜71、75;Perrault及びGadwood 国際公開第2002/032857号パンフレットを参照されたい)。
【0085】
[スキーム4:反応性単官能性シリコーン含有モノマーの合成]
【化13】
【0086】
スキーム4においては、変数n、o、及びpは、スキーム3で示されるものと同一の値を有することができる。
【0087】
オキサゾリジノンを含むポリマー組成物の菌耐性は、類似のポリビニルピロリドノン−ヨウ素系で起こる可能性のある意図しない変色を伴うことなく、金属塩及び/又は微量のヨウ素又は臭素によって、更に向上させることができる(米国特許第3,322,712号明細書を参照されたい)。ヨウ素又は臭素との錯体形成は、殺菌特性を付与するために必要な濃度の臭素又はヨウ素を含む溶液で、コンタクトレンズ組成物を硬化する前に、又はより好ましくはコンタクトレンズを後処理することによってのいずれかで、実施することができる。
【0088】
ポリ(N−ビニルオキサゾリジノン)は、銀塩と錯体を形成することで知られている(米国特許第3,060,028号明細書及び米国特許第3,218,169号明細書を参照されたい)。銀塩の存在下のシリコーン含有モノマーを含む組成物は、重合されて、レンズに錯体化した銀を封入した結果である固有の広範囲の抗菌特性を有するレンズを作成することができる。或いは、重合したオキサゾリジノンモノマーを含むコンタクトレンズは、抗菌コンタクトレンズを作成する製造プロセスにおいて、銀ハライド溶液で後処理することができる。
【0089】
本発明のモノマーは、単独で、又はその他のモノマーとの混合物において使用され、ポリマーを形成することができる。本発明のモノマーからなるポリマーは、その他のポリマーとの混合物において、又は複合材料として、又はその他のポリマーに対する被覆物又は処置として、使用することができる。
【0090】
本明細書における、本発明のモノマーを含む物品を作成する方法は、式(I)のシリコーン含有モノマーと、少なくとも1つのその他のモノマーと、を含むモノマー混合物を提供することと、このモノマー混合物を重合(硬化)条件にさらし重合した器具を提供することと、を含む。好ましくは、このその他のモノマーは、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、又はオレフィンのC−C二重結合を含む。このようなモノマーの例としては、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン(PDMS)−メタクリレート、アリルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリジノン、及びビニルスチレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
モノマーは、互いに重合される。反応の際、硬化が生じる。熱によって又は光硬化によって反応する場合、通常、本特許で開示される特定のモノマーを硬化するために、開始剤が必要である。しかしながら、高いエネルギー照射、例えば、ガンマ線源又はE−ビーム技術によって単独で重合させることもできる。0.001〜10重量%の量の熱及び光開始剤が、組成物に含まれてもよい。0%〜80%の濃度の溶媒が、組成物に含まれてもよい。通常、アルコールが、溶媒として使用されるが、又、組成物は、水、DMF、DMSO、ジグライム、THF、及びメチルTHF等の非プロトン性溶媒を含んでもよい。
【0092】
更に、任意選択で、この方法は、相溶化剤、塩類、又は被覆物で器具を処理することと、重合した器具を抽出することと、重合した器具を包装及び殺菌することと、を含むことができる。当然ながら、特許請求した組成物を含む器具を作成する方法は、前述の工程に限定されるものではない。
【0093】
[実施例]
[実施例1:オキサゾリジノン含有シリコーンメタクリレートの合成]
【化14】
図3.オキサゾリジノン含有シリコーンモノマーの構造
【化15】
【0094】
反応は、上記の反応スキームに従い生じる。
【0095】
n−トリブチルヨウ化スズ−トリフェニルホスフィンオキシド(nBu
3SnI−Ph
3PO)触媒系を使用することで、シリコーンエポキシド[3−(グリシドキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン]とイソシアネート[2−イソシアネートエチルメタクリレート、IEM]との反応が促進され、16の中間体を経て目的生成物15を得た。生成物を、FTIR及び
1H NMRにて特性を評価した。
【0096】
[実施例2:LiCl触媒を用いたオキサゾリジノン含有シリコーンモノマーの合成]
(a)高温反応:無水3−(グリシドキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン(17.66g、0.0525mol)、LiCl(1.25g)、及び無水DMF(32.35g)を、マグネチック撹拌バーを備え、スターラーを備えるホットプレート上の高温オイルバスに装着された丸底フラスコ(RBF)の中に加えた。RBFは、チラーに接続された凝縮装置、窒素の注入口/排出口、及び添加漏斗も備えた。溶液を155℃(還流条件)に加熱し、この温度で、IEM7.76g(0.05mmol)を滴下によってシリコーンエポキシド溶液に1時間にわたり添加した。透明な溶液は、添加の時間にかけて珀色のブラウン色になった。試料のFTIRから、1754cm−1のピークに加えて、−NCOのピーク(約2278cm−1)の存在が示された。反応は、更に3時間継続され、反応混合物のFTIRから、−NCOのピークが存在しないことが示された。反応の加熱を停止し、反応混合物を室温まで冷却し、粗製物に対してガスクロマトグラフィー(GC)(社内のGC方法を使用)を実施した。シリコーン出発物質のピークは、もはや観測されず、より高い保持時間のピークは、生成物(オキサゾリジノン誘導体)に帰属された。ヘキサン:エチルアクテターテ(Ethylactetate)(8:1〜1:1)の比を変化させた粗製物のカラムクロマトグラフィー(CC)では、生成物分画として生成物15を得、ガスクロマトグラフィー(GC)から生成物15を確認し、純度は60%であった。
【0097】
(b)低温反応:高温に加えて、塩基性条件を使用する際の問題を克服するために、中性(極わずかに塩基性)の触媒系及びより緩い温度条件を評価した。この目的のために、トリブチルホスフィン酸化物(0.454g、2.0mmol)とLiBr(0.129g、1.5mmol)を、無水トルエン(10g)に室温で30分間溶解させ、わずかに(薄く色づいた)黄色の触媒溶液を得た。この溶液を80℃まで加熱し、無水トルエン(12.40g)に溶解した無水3−(グリシドキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン(20.00g、59.5mmol)と2−イソシアネートエチルメタクリレート(9.23g、59.5mmol)の混合物を、滴下によってこの溶液に1.5時間にわたり添加した。エポキシド/イソシアネートの混合物の添加を終えた10分後の反応混合物のFTIRでは、オキサゾリジノンに対応する2280cm−1の−NCOバンド及び1752cm−1の強いバンドは存在しないことが示された。粗製物のGCでは、イソシアネートの存在は示されず、約12面積%のエポキシド出発物質及び78面積%の生成物が示された。溶媒(トルエン)を、ロトバップ(Rotovap)によって蒸発させ、粗生成物を、2:1のヘキサン:酢酸エチル溶媒混合物を使用してカラムクロマトグラフィー(CC)によって精製した。様々な分画が得られ、TLCプレート法を用いて生成物について試験した。微量のブチレートヒドロキシトルエン(BHT)を関連のあるCC分画に溶解し、溶媒をロトバップにて蒸発させた。最終生成物(透明な無色の液体)の収率は、78%(22.82g)であり、且つ、GCによる純度は、98%であった。最終生成物の構造は、
1H NMRによって、化合物15であると確認された。
【0098】
[実施例3:オキサゾリジノン含有シリコーンメタクリレートの合成]
実施例2bで記載された低温反応を使用し、以下のスキームによるオキサゾリジノン含有シリコーンメタクリレート化合物5−1及び5−2を合成した。
【化16】
【0099】
[実施例4:化合物5−1及び5−2を使用した製剤から調製したシリコーンハイドロゲルフィルム]
シリコーン含有モノマー5−1及び5−2と、異なる反応性のモノマーとを混合することで、製剤を調製した。製剤成分及びその量を、表1に示す。個々の製剤成分を秤量しガラスのバイアルに入れ、この混合物を超音波にかけ、透明で均一な混合物が形成するまで室温で放置した。次いで、モノマーの混合物を、ポリプロピレンの型に入れ、85℃で45分間、硬化させた。イソプロピルアルコール(IPA)/H
2O混合物を使用して、残留未反応モノマーを離型し抽出した。次いで、離型し抽出したシリコーンハイドロゲルフィルムを、室温にて1時間水で水和させ、視覚的に透明で、機械的に弾力性のあるシリコーンハイドロゲルフィルムを得、ハイドロゲル製剤におけるシリコーン含有モノマーの相溶効果を実証した。
【0100】
化合物5−1を、オキサゾリジノン部位を含まないMA−PDMS(分子量800〜1000)で置き換えた場合(製剤3で表にした)、このモノマー混合物は、相分離を示す2つの明白な層を備え非均一性を有することが判明した。これは、ハイドロゲル製剤におけるオキサゾリジノン含有シリコーンメタクリレートの相溶効果を実証している。
【0102】
本発明のオキサゾリジノン含有シリコーン組成物を使用して、コンタクトレンズを含む眼用器具を調製することができる。
【0103】
本発明によるコンタクトレンズの適用においては、使用されるモノマー混合物は、従来の様々なレンズを形成するモノマー及び化合物と混合される本発明の重合性材料を含む。一般的に、レンズを形成するモノマーは全て、フリーラジカル重合、通常、活性化した不飽和ラジカル、並びに、最も好ましくはエチレン性不飽和(ビニル)ラジカルによって重合可能であるモノマーである。従来のレンズを形成するモノマーは、フリーラジカル重合によって重合可能である低分子量の化合物であってもよく、プレポリマー又はマクロモノマーとしても称されるより高い分子量の化合物であってよい。任意選択で、最初のモノマー混合物は、コンタクトレンズの分野において知られている、溶媒、着色剤、強化剤、紫外線吸収剤、及びその他の材料等の更なる材料も含んでよい。代表的な溶剤は、米国特許第5,260,000号明細書(Nanduら)及び米国特許第6,020,445号明細書(Vanderlaanら)に開示されている。
【0104】
インスタント(instant)ポリマーは、従来のフリーラジカル重合方法によって容易に硬化されて型を成型することができ、ここで、モノマーの混合物は、重合を誘発するために、可視光若しくは紫外線照射等の光照射、熱、又はその両方にさらされる。代表的なフリーラジカル熱重合の開始剤は、全モノマー混合物の約0.01〜1重量%の濃度で使用される、アセタール過酸化物、過酸化ラウロイル、デカノイル過酸化物、ステアロイル過酸化物、過酸化ベンゾイル、ターシャリブチルパーオキシビバレート、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物である。代表的な紫外線開始剤は、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインエチルエーテル等のこの分野において知られるものである。
【0105】
当業者は、一般的にシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの作成方法について周知している。例えば、米国特許第4,600,571号明細書(Leeら)、米国特許第7,268,198号明細書(Kunzlerら)、及び米国特許第7,540,609B2号明細書(Chenら)を参照されたい。これら明細書の全ての開示内容は、本明細書中で引用されることにより、本明細書に組み込まれている。本開示に基づいて、当業者は、本明細書で開示された新規のシリコーン含有モノマーを組み込むシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの作成方法を容易に理解するであろう。
【0106】
本発明の特定の例示的な実施形態が、前述の明細書において例示及び記載された。しかしながら、本発明の原理及び精神を逸脱することなしに、例示的な実施形態に対して変更を実施することが可能であるものと、当業者によって理解されるであろう。