(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シール部材は、前記ワークの吸着の際に、前記係合部を介して前記吸着口形成部内に外部の空気が吸引されることを低減することを特徴とする請求項1に記載の吸着ノズル。
前記シール部材は、前記係合部を介して前記吸着口形成部内に外部の空気が吸引されることを低減しつつ、前記吸着口形成部の前記支持部に対する前記吸着方向への変位を許容すること、
を特徴とする請求項1に記載の吸着ノズル。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は本発明の一実施形態に係る吸着装置Aの斜視図である。図中、矢印X及びYは水平方向であって互いに直交する2方向を示し、矢印Zは鉛直方向を示す。吸着装置Aは、吸着ヘッド1と、吸着ヘッド1を移動する移動機構2とを備える。まず、移動機構2について説明する。
【0011】
<移動機構>
移動機構2は、本実施形態の場合、吸着ヘッド1を水平2方向(X方向及びY方向)、及び、鉛直方向(Z方向)に移動するが、例えば、水平1方向と鉛直方向のみに移動する構成や、水平2方向のみ又は水平1方向のみに移動する構成や、鉛直方向のみに移動する構成も採用可能である。
【0012】
移動機構2は、昇降・回動機構20と、可動案内ユニット21と、案内ユニット22と、を備える。以下、
図1に加えて
図2を参照して移動機構2の構成について説明する。
図2は昇降・回動機構20近傍の斜視図である。
【0013】
昇降・回動機構20は、可動案内ユニット201と、スライダ202と、回動機構203と、吸着ヘッド1を支持する支持部材204と、を備える。可動案内ユニット201は、可動案内ユニット21に案内されてY方向に移動可能なスライダであると共に、スライダ202のZ方向の移動を案内する案内部材でもある。
【0014】
スライダ202はL字型をなし、その側板部の外側に可動案内ユニット201と係合する係合部を有し、可動案内ユニット201に案内されてZ方向に移動可能となっている。また、スライダ202の底板部の底面には回動機構203が固定されている。回動機構203は、例えば、モータと減速機とから構成され、支持部材204を回転可能に支持する。そして、Z方向と平行な回動中心線Lz周りに支持部材204を回動させる。支持部材204の回動により、吸着ヘッド1も回動するので、吸着ヘッド1に吸着されるワークの水平方向の向きを変えることができる。
【0015】
支持部材204は吸着ヘッド1を支持する部材である。本実施形態の場合、4つの吸着ヘッド1が支持部材204に支持されており、同時に4個のワークを吸着可能となっている。
【0016】
可動案内ユニット21は、案内ユニット22に案内されてX方向に移動可能なスライダであると共に、可動案内ユニット201のY方向の移動を案内する案内部材でもある。案内ユニット22はワークに対する作業領域を跨ぐように配置され、一対の支柱23、23に支持されている。
【0017】
スライダ202が可動案内ユニット201上を移動する機構、可動案内ユニット201が可動案内ユニット21上を移動する機構、及び、可動案内ユニット21が案内ユニット22上を移動する機構は、公知の機構を採用でき、例えば、モータ等の駆動源と、駆動源の駆動力を伝達する伝動機構(例えば、ベルト伝動機構、ボールネジ機構、ラック−ピニオン機構等)と、から構成することができる。また、スライダ202、可動案内ユニット201、及び、可動案内ユニット21の各位置を検出するエンコーダ等のセンサを設け、各センサの検出結果に基づいて吸着ヘッド1の移動制御を行うことができる。
【0018】
このような移動機構2を設けたことで、本実施形態では、吸着ユニット1を3次元空間で移動することができ、吸着するワークを3次元空間で移動することができる。更に、回動機構203によって、吸着するワークの水平方向の向きも変えることができる。
【0019】
<吸着ヘッド>
次に、吸着ヘッド1について
図1乃至
図3を参照して説明する。
図3は吸着ヘッド1の斜視図である。吸着ヘッド1は、昇降機構1aと、取付部材1bと、吸着ノズル10と、を備える。昇降機構1aは例えばエアシリンダであり、取付部材1bをZ方向に昇降する。取付部材1bには吸着ノズル10が装着されている。
【0020】
取付部材1bには、吸着ノズル10と連通した空気通路(不図示)を備える。吸着ノズル10は取付部材1bを介して不図示の吸引装置(例えばバキュームポンプ及び配管等)に接続され、ワークを吸着する。
【0021】
吸着装置Aは、ワークを搬送する際には、例えば、以下のように動作する。まず、ワークの吸着に際しては、移動機構2により吸着ヘッド1をワークに近接した取出位置まで移動する。続いて、昇降機構1aで取付部材1b及び吸着ノズル10を降下させることで、吸着ノズル10をワークに当接させ、吸着する。その後、昇降機構1aで取付部材1b及び吸着ノズル10を上昇させてワークを、搬送元のワーク載置箇所から取り出し、移動機構2によりワークを目的位置上方に移動する。そして、昇降機構1aで取付部材1b及び吸着ノズル10を降下させ、搬送先のワーク載置箇所にワークを着座させ、ワークの吸着を解除する。
【0022】
<吸着ノズル>
次に、吸着ノズル10の構成について
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は吸着ノズル10の斜視図及び分解斜視図、
図5は吸着ノズル10の断面形状を示す斜視図及び分解斜視図である。吸着ノズル10は、吸着口形成部11と、吸着口形成部11を支持する支持部12と、支持部12と吸着口形成部11との間に設けられた筒状のシール部材13と、を備える。
【0023】
吸着口形成部11は、本体部材110と先端部材111とから構成され、ワークに接して吸着する吸着口11aを形成する。本体部材110は、方形の筒状をなしており、その上部には内方に鍔状に突出した被係合部110aを全周に亘って有している。また、その下部外周部には、本体部材110の上部よりも外方に鍔状に突出して段差を形成する段差部110bが全周に亘って形成されている。
【0024】
先端部材111は本体部材110の先端部に配置されており、吸着口11aを画定する方形の環状をなしている。先端部材111は、ワークに接触した際に吸着口形成部11内の気密性が確保されるよう、例えばゴム等の可撓性を有する材料から構成される。
【0025】
本実施形態の場合、吸着口形成部11は、本体部材110と、先端部材111と、からなる2部材で構成されるがこれらを一体的に有していてもよい。しかし、2部材で構成することで、本体部材110については、吸着時に変形しない、比較的剛性の高い硬質プラスチック等の材料で構成する一方、先端部材111については気密性を考慮した可撓性材料(シール材料)を用いることができる。
【0026】
支持部12は、ベース部材120と支持部材121とから構成されている。ベース部材120は、円筒状の筒部1201と、平板状の平板部1202と、を備え、筒部1201の中央には、鉛直方向に延びる筒部1201の中心線Lcと同心の空気通路1203が貫通孔として形成されている。平板部1202の周縁部分は、外側方に突出した第1のフランジ部1202aを形成している。
【0027】
ベース部材120は、吸着装置A(吸着ヘッド1の取付部材1b)に接続可能な部分である。接続方法としては、接着剤等による固定でもよいが、吸着ノズル10は取付部材1bに対して交換自在に取り付けられることが好ましい。交換自在な接続方法としては、例えば、ねじによる接続が挙げられる。例えば、筒部1201の上縁にフランジ(図示せず)を設け、そのフランジの周方向に沿ってねじ孔を形成し、筒部1201と取付部材1bとをねじ(図示せず)で締結する。
【0028】
支持部材121は、胴部1211と第2のフランジ部1212とを備える。胴部1211は、吸着口形成部11における本体部材110の開口部上部に挿通される。第2のフランジ部1212には、本体部材110の被係合部110aが着座される。胴部1211は、全体として、直方体形状をなしており、空気通路1203と同心、同径の空気通路1211cを有する。本実施形態の場合、中心線Lcがワークの吸着方向となっている。胴部1211は、また、ベース部材120に固定される第1の端部(
図5中では上端部)1211aと、反対側の第2の端部(
図5中では下端部)1211bと、を含む。
【0029】
第1の端部1211aは、ベース部材120の平板部1202に固定される。支持部材121をベース部材120に固定することで、空気通路1211cを介して、ベース部材120の空気通路1203と、吸着口形成部11の吸着口11aとが連通される。固定方法は、接着剤による固定でもよいが、ねじ等により取り外し可能に固定されてもよい。
【0030】
第2の端部1211bには第2のフランジ部1212が一体的に形成されている。第2のフランジ部1212は、胴部1211から側方外方(吸着口形成部11側)に突出して設けられている。
【0031】
第1のフランジ部1202aと第2のフランジ部1212とは、ワークの吸着方向(中心線Lc方向)に互いに離間しており、これらが吸着口形成部11の被係合部110aと係合する係合部EGを形成している。被係合部110aは、第1のフランジ部1202aと第2のフランジ部1212との間に配置され、被係合部110aが、それぞれのフランジ部に当接することで被係合部110aの姿勢及び鉛直方向の移動が規定される。また、胴部1211によって被係合部110aの水平方向の移動が規制されると共に鉛直方向の移動が案内される。
【0032】
なお、本実施形態の場合、被係合部110aの水平方向の移動を胴部1211によって規定しているが、本体部材110の内周面を第2のフランジ部1212の外周面で規定するようにしてもよい。
【0033】
第1のフランジ部1202aと第2のフランジ部1212との離間距離は、被係合部110aの吸着方向の厚さよりも大きく設定されており、被係合部110aは第1のフランジ部1202aと第2のフランジ部1212との間で移動可能となっている。また、被係合部110aの内側の開口部は、胴部1211の外周よりも大きく設定されている。このため、吸着口形成部11はワークの吸着方向(中心線Lc方向)に変位可能に支持部12により支持されている。換言すれば、吸着口形成部11はフローティング支持されている。また、胴部1211、フランジ部1202a及び1212と、被係合部110aとの組み合わせにより、比較的簡易に吸着口形成部11を変位可能に支持できる。
【0034】
なお、本実施形態では支持部12をベース部材120と支持部材121とからなる2部材構成としたが、両者を一体に構成してもよい。但しこの場合は、被係合部110aを、第1のフランジ部1202aと第2のフランジ部1212との間に係合させるために、例えば、本体部材110を半割りの2部材構成とする必要がある。
【0035】
次に、本実施形態のように被係合部110aの水平方向の移動を所定の範囲以内で規定しつつ吸着方向の移動が可能となるように被係合部110aの内側の開口部を胴部1211の外周よりも大きく設定すると、ワークの吸着の際、吸着口形成部11内に係合部EGを介して外部の空気が吸引され得る。すると、ワークの吸着力が低下する。そこで、本実施形態では係合部EGを囲繞するようにシール部材13を設けている。
【0036】
シール部材13は、方形の筒状をなしており、係合部EGを囲むように支持部12と吸着口形成部11との間に設けられている。より詳細には、シール部材13は、支持部12の第1のフランジ部1202aと、本体部材110の段差部110bとの間に配設されている。また、本実施形態の場合、シール部材13の筒体内周部が本体部材110の筒体外周部に嵌合され、シール部材13の下端部が段差部110bに着座される。シール部材13と本体部材110の嵌合面(外周面)は接着剤等で固定してもよい。
【0037】
シール部材13を設けたことで、ワークの吸着の際、吸着口形成部11内に係合部EGを介して外部の空気が吸引されることを低減することができる。シール部材13は、先端部材111よりも吸着口11aの中心側(中心線Lc側)に位置しており、その結果、第1のフランジ部1202a、胴部1211、及び被係合部110aにより囲まれる狭小空間NSが形成される。これによって、吸着ノズル10は、吸着口11aの内部空間と前述の狭小空間NSとの空気量を吸引するだけでよい。このように、シール部材13を、先端部材111よりも吸着口11aの中心側に位置させた構成とすることで、吸着ノズル10が吸引しなければならない内部容積の削減に寄与し、吸着力の向上や吸着時間の短縮化を図ることができる。
【0038】
シール部材13は、例えば、独立気泡構造の弾性部材(例えば、ゴム、スポンジ等)により構成される。これにより、シール部材13は、シール機能だけでなく、吸着口形成部11をワーク側(支持部12から離間する方向)に付勢する付勢機能を有することになる。これにより、吸着ノズル10がワークに接触する際のワークへの衝撃を緩和することができると共に、先端部材111とワークとの気密性が向上する。また、ワークを載置位置に確実に着座させることが可能となる。加えて、非吸着時においては、シール部材13の付勢力によって、吸着口形成部11の被係合部110aが第2のフランジ部1212に押付けられ、吸着口形成部11は第2のフランジ部1212によって吸着方向の位置が規定され維持される。これにより、吸着口形成部11の位置が安定し、吸着時には、ワークの所定の位置に先端部材111を確実に当接させることができる。
【0039】
以下、シール部材13の付勢機能について
図6を参照して説明する。
図6は吸着ノズル10の動作を説明する断面図である。
【0040】
図6において、状態ST1はワークWを吸着する直前の状態を示す。すなわち、吸着ノズル10は移動機構2によってワークWの上方の位置に移動された状態を示す。なお、ワークWは、ここでは基板上に電子部品が実装された回路基板を想定している。
【0041】
シール部材13の付勢力によって、吸着口形成部11は、最もワークW側の位置(支持部12から最も離れた位置)に位置している。このとき、被係合部110aと平板部1202(第1のフランジ部1202a)との間には隙間GP1が形成され、被係合部110aとシール部材13との間には隙間GP2が形成されている。隙間GP1は、被係合部110aが平板部1202側へ移動可能な最大距離であり、つまり、吸着口形成部11が変位可能な最大距離である。隙間GP2は隙間GP1と連通しており、被係合部110aの移動の際にシール部材13と被係合部110aとが干渉することを抑制すると共に、シール部材13が弾性変形するときの逃げ空間を形成している。
【0042】
状態ST1から昇降機構1aにより吸着ノズル10を降下させると、状態ST2となる。先端部材111がワークWに当接した後以降も、非常に短い移動量ではあるが吸着ノズル10は更に変位(下降)される。このとき、被係合部110aの第2のフランジ部1212への係合、着座は、支持部材121が下に逃げることで解除される。
【0043】
その結果、吸着口形成部11は、第1のフランジ部1202aと第2のフランジ部1212との間でフローティングした状態となる。その後、第1のフランジ部1202a及びシール部材13により、吸着口形成部11はワークW側に押圧されることになる。
【0044】
しかしながら、このとき、シール部材13がシール機能を維持しながら収縮、変形するため、吸着ノズル10(第1のフランジ部1202a)の変位に伴う押圧力が吸収される。これにより、吸着口形成部11の気密性(先端部材111とワークWとの気密性、及び係合部EG近傍における狭小空間NSの気密性)は維持したまま、吸着ノズル10がワークWに接触する際のワークWへの衝撃を緩和することができる。
【0045】
続いて、不図示の吸引装置を作動すると、空気通路1203及び1211cを介して吸着口11a内の空気が吸引され、ワークWが吸着されることになる。また、吸着口11a内の空気が吸引されることで吸着口形成部11が吸着方向に更に変位し、被係合部110aの上面と第1フランジ部1202aの下面とが当接し、ワークWの吸着時の吸着方向の位置が規定される。その後、保持したワークWを、搬送先のワーク載置箇所に移載し、所定の位置に着座させ、ワークWの吸着を解除する。
【0046】
このように本実施形態では、吸着ノズル10がワークWに接触し、衝突する際のワークWへの衝撃を緩和することができる。また、シール部材13によりシール機能と付勢機能とを兼用させたことで、比較的簡易な構成で、ワークWへの衝撃緩和を実現可能であると共に、ワークWをより確実に保持することができる。また、吸着時のワークWの位置が規定されるので、ワーク載置箇所に移動させて確実にワークWを着座させて移載することができる。
【0047】
なお、被係合部110aの内側の開口部を、胴部1211の外周よりも、より大きくすることで、これらの間の遊びを大きくすれば、吸着口形成部11が傾くことが可能な範囲も大きくなる。これは、上面が傾いたワークWに対して吸着口形成部11を接触させる場合であっても、ワークWの傾きに倣って吸着形成部11が傾くことができるため、吸着性能を向上させることができる。被係合部110aと胴部1211との間の遊びを大きくしても、シール部材13のシール機能によって、吸着口11aの気密性が大きく低下することもない。
【0048】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、吸着ノズル10の外形を方形としたが、これに限られず、円形や楕円形としてもよい。また、5角形以上の多角形や3角形としてもよい。
図7は外形を円形とした吸着ノズル10Aの斜視図及び分解斜視図である。本実施形態の吸着ノズル10Aと、上記第1実施形態の吸着ノズル10との違いは、外形が円形か方形かのみである。したがって、上記第1実施形態の吸着ノズル10の各構成と対応する構成については、
図7において同じ符号を付してその説明を割愛する。
【0049】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、シール部材13を、係合部EGを囲むようにその外側に設けたが、内側に設けてもよい。
図8はその一例を示し、
図6と同様の説明図で本実施形態の吸着ノズル10Bを示したものである。
【0050】
吸着ノズル10Bは、基本的には上記第1実施形態の吸着ノズル10と同様の構成を有しており、上記第1実施形態の吸着ノズル10の各構成と対応する構成については、
図7において同じ符号を付してその説明を割愛する。異なる構成は、本体部材110に対応する本体部材110’と、支持部材121に対応する支持部材121’と、である。
【0051】
本実施形態の場合、本体部材110’の被係合部110a’は側方外方に突出している一方、段差部110b’は内方に突出している。そして、被係合部110a’が、フランジ部1202aと突出部1212’とにそれぞれ当接することで平板部1202に対する被係合部110a’の姿勢が規定され、胴部1211’によって水平方向の移動が規定される。つまり、上記第1実施形態の被係合部110aと、段差部110bとは突出方向が逆となっている。また、支持部材121’は、支持部材121の第2のフランジ部1212に代わる突出部1212’を有している。突出部1212’は内方に突出しており、全周に渡って形成されている。突出部1212’の内周面は、本体部材110’の下部外周面よりも大きい開口部を形成している。
【0052】
係合部EGは、平板部1202の第1のフランジ部1202aと、突出部1212’とにより構成される。シール部材13は平板部1202の第1のフランジ部1202aと、段差部110b’との間に配置されており、係合部EGの内側に配置されている。
【0053】
吸着ノズル10Bの、吸着時の動作は吸着ノズル10と同様である。状態ST11はワークWを吸着する直前の状態を示す。シール部材13の付勢力によって、吸着口形成部11は、最もワークW側の位置(支持部12から最も離れた位置)に位置している。つまり、上記第1実施形態と同様に、シール部材13の付勢力によって、吸着口形成部11の被係合部110a’が第2のフランジ部1212に押付けられ、吸着口形成部11はフランジ部1212‘によって吸着方向の位置が規定され維持される。これにより、吸着口形成部11の位置が安定し、ワークの所定の位置に先端部材111を確実に当接させることができる。
【0054】
状態ST1から吸着ノズル10Bを降下させると、状態ST12となる。先端部材111がワークWに当接した後以降も、非常に短い移動量ではあるが吸着ノズル10は更に変位(下降)される。このとき、被係合部110a’の第2のフランジ部1212’への係合、着座は、支持部材121’が下に逃げることで解除される。
【0055】
その結果、吸着口形成部11は、第1のフランジ部1202aと第2のフランジ部1212’との間でフローティングした状態となる。その後、第1のフランジ部1202a及びシール部材13により、吸着口形成部11はワークW側に押圧されることになる。
【0056】
しかしながら、このとき、シール部材13がシール機能を維持しながら収縮、変形するため、吸着ノズル10(第1のフランジ部1202a)の変位に伴う押圧力が吸収される。これにより、吸着口形成部11の気密性(先端部材111とワークWとの気密性、及び係合部EG近傍における気密性)は維持したまま、吸着ノズル10がワークWに接触する際のワークWへの衝撃を緩和することができる。
【0057】
続いて、不図示の吸引装置を作動すると、吸着口11a内の空気が吸引され、ワークWが吸着されることになる。また、吸着口11a内の空気が吸引されることで吸着口形成部11が吸着方向に更に変位し、被係合部110a’の上面と第1フランジ部1202aの下面とが当接し、ワークWの吸着時の吸着方向の位置が規定される。その後、保持したワークWを、搬送先のワーク載置箇所に移載し、所定の位置に着座させ、ワークWの吸着を解除する。
【0058】
このように本実施形態においても、吸着ノズル10BがワークWに接触し、衝突する際のワークWへの衝撃を緩和することができる。また、シール部材13によりシール機能と付勢機能とを兼用させたことで、比較的簡易な構成で、ワークWの衝撃緩和を実現可能であると共に、ワークWをより確実に保持することができる。また、吸着時のワークWの位置が規定されるので、ワーク載置箇所に移動させて確実にワークWを着座させて移載することができる。
【0059】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を複数種類説明したが、本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。