(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945003
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】ネットワークゲートウェイ、および、データストリームのパケットを送信する方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20160621BHJP
H04L 12/835 20130101ALI20160621BHJP
【FI】
H04L12/28 200D
H04L12/835
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-549452(P2014-549452)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-509310(P2015-509310A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2012076713
(87)【国際公開番号】WO2013098255
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年10月15日
(31)【優先権主張番号】11306808.4
(32)【優先日】2011年12月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリアンナ カレーラ
(72)【発明者】
【氏名】ニティ ヘクデ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン メイ
【審査官】
宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−074104(JP,A)
【文献】
特開2011−061699(JP,A)
【文献】
特開2006−166309(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0056382(US,A1)
【文献】
特開2007−135207(JP,A)
【文献】
特開2008−98736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークゲートウェイであって、
バッファと、
ネットワーク媒体を介してソースデバイスからユーザデバイスにデータストリームのパケットを送信するように構成された送信モジュールであって、前記データストリームの前記パケットは、前記ソースデバイスと前記ネットワークゲートウェイとの間のアップリンク接続によって前記ソースデバイスから受信され、前記パケットは、前記バッファに一時的に記憶され、前記パケットは、前記ユーザデバイスと前記ネットワークゲートウェイとの間のダウンリンク接続によって前記バッファから前記ユーザデバイスに送信され、前記ダウンリンク接続が前記アップリンク接続に依存する、送信モジュールと、
前記アップリンク接続の保護を提供するように構成された保護モジュールであって、前記ネットワーク媒体へのアクセスが前記アップリンク接続の前記データストリームの前記パケットに対して確保される、保護モジュールと、
前記バッファを監視し、バッファオーバーフローが検出された場合、前記保護モジュールに、前記アップリンク接続の前記保護を低下させる命令を送るように構成された、制御モジュールと、
を備える、前記ネットワークゲートウェイ。
【請求項2】
前記送信モジュールは、無線ネットワーク媒体を介して前記データストリームの前記パケットを送信するように構成された、請求項1に記載のネットワークゲートウェイ。
【請求項3】
前記保護モジュールは、前記ソースデバイスに目標速度で受信準備完了信号を送るように構成され、前記目標速度は、前記データストリームが割り込まれないように前記データストリームの前記パケットが適時に受信されることを確実にするように選択される、請求項2に記載のネットワークゲートウェイ。
【請求項4】
前記制御モジュールは、バッファオーバーフローが検出された場合、前記保護モジュールに、前記受信準備完了信号を前記ソースデバイスに送る速度を、前記目標速度を下回るように低下させる命令を送るように構成された、請求項3に記載のネットワークゲートウェイ。
【請求項5】
前記制御モジュールは、バッファアンダーフローが検出された場合、前記保護モジュールに、前記受信準備完了信号を前記ソースデバイスに送る速度を前記目標速度まで上げる命令を送るように構成された、請求項4に記載のネットワークゲートウェイ。
【請求項6】
前記送信モジュールは、媒体アクセス制御層で、前記データストリームの前記パケットを送信するように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載のネットワークゲートウェイ。
【請求項7】
前記バッファ内のパケットの数がバッファ数の上限を超えた場合、および/または、前記バッファ内の前記パケットのサイズがバッファサイズの上限を超えた場合、バッファオーバーフローが検出される、請求項1から6のいずれか一項に記載のネットワークゲートウェイ。
【請求項8】
ネットワークゲートウェイがネットワーク媒体を介して、ソースデバイスからのデータストリームのパケットをユーザデバイスに送信する方法であって、
前記ネットワークゲートウェイが前記ソースデバイスから前記データストリームの前記パケットを受信するステップであって、前記ソースデバイスと前記ネットワークゲートウェイとの間のアップリンク接続が提供される、前記受信するステップと、
前記ネットワークゲートウェイのバッファに前記データストリームの前記パケットを一時的に記憶するステップと、
前記ネットワークゲートウェイの前記バッファから前記ユーザデバイスに前記データストリームの前記パケットを送信するステップであって、前記ネットワークゲートウェイと前記ユーザデバイスとの間のダウンリンク接続が前記アップリンク接続に依存するように提供される、前記送信するステップと、
前記ネットワークゲートウェイが前記データストリームの前記パケットに対して前記ネットワーク媒体へのアクセスを確保することによって、前記アップリンク接続を保護するステップと、
前記バッファを監視するステップと、
前記ネットワークゲートウェイがバッファオーバーフローを検出した場合、前記アップリンク接続の前記保護を低下させるステップと、
を含む、前記方法。
【請求項9】
前記データストリームの前記パケットは、無線ネットワーク媒体を介して送信される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ネットワークゲートウェイが前記ソースデバイスに目標速度で受信準備完了信号を送り、前記目標速度は、前記データストリームが割り込まれないように前記データストリームの前記パケットが適時に受信されることを確実にするように選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
バッファオーバーフローが検出された場合、前記受信準備完了信号を送る速度を、前記目標速度を下回るように低下させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ネットワークゲートウェイがバッファアンダーフローを検出した場合、前記受信準備完了信号を送る速度を前記目標速度まで上げる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ネットワークゲートウェイが、媒体アクセス制御層で、前記データストリームの前記パケットを受信および/または送信する、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記バッファ内のパケットの数がバッファ数の上限を超えた場合、および/または、前記バッファ内の前記パケットのサイズが、バッファサイズの上限を超えた場合、バッファオーバーフローが検出される、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークゲートウェイ、および、データタストリームのパケットを送信する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、以下に記載および/または特許を請求する本発明の様々な態様に関連する様々な技術態様を、読者に紹介しようとするものである。この項の記載は、読者に背景情報を提供し、本発明の様々な態様をより良く理解する助けになろう。従って、本項の記載は、その観点で読むべきものであり、先行技術の承認でないことは理解されたい。
【0003】
ホームゲートウェイのアクセスポイントが、メディアストリームを含む全ての通信の、家庭へ、および、家庭内での中心点へと急速に発展するにつれて、このようなストリーミング接続の速度を保証することに関心が集まるようになった。
【0004】
例えば、特にビデオストリームに関する、メディアストリーム保護の問題は、無線アクセスポイントを含め全てのシナリオで取り組まれてきた。WLAN(wireless local area network)におけるビデオ保護に関する先行技術は、信号のフェーディングや干渉から保護することによるビデオ品質の向上などのエラー制御技術、パケット損失回復のための再送信の優先順位付けなどの再送信戦略、アプリケーション層の順方向誤り訂正、帯域幅適応(bandwidth−adaptive)スケーラブル符号化など、様々なカテゴリに該当する。ビデオ品質をネットワークの状態に適応させる既存の方法は、例えば、WLAN内の複雑な容量推定を含む、利用可能な帯域幅の検出を必要とする。
【0005】
輻輳、または、トラフィックが大量のときは、メディアストリームへのアクセスの優先権、または、優先的割当が、ネットワーク内で不可欠となる。
【0006】
例えば、「特許文献1」では、どちらもメディアサーバに接続された、コンテンツソースおよび再生装置を備えるメディアサーバシステムが開示されている。該メディアサーバは、コンテンツをパケット化されたデータに変換し、そのデータを再生装置に送信する。輻輳制御装置が、再生装置のバッファステータス、および、ネットワーク性能を監視する。輻輳が検出された場合は、トランスレータは、ビットレートまたはコンテンツのデータ密度を変更する。
【0007】
さらに、無線基地局装置が、「特許文献2」に開示されている。該無線基地局装置は、ベースバンドプロセッサを備え、無線基地局制御装置に接続される。無線基地局制御装置は、無線基地局装置のベースバンドプロセッサを介して、データフローを複数のユーザに送る。各ベースバンドプロセッサは、受信側の帯域幅の使用を監視する輻輳モニターを備える。輻輳が検出されると、フロー制御装置が各ユーザのデータフローを制御する。
【0008】
また、「特許文献3」は、「on−demand multiple access fair queuing(オンデマンド多重アクセス公平キューイング)」として知られる媒体アクセス制御プロトコルに関する。ネットワークのダウンリンク/アップリンクのバッファ占有率が閾値を超えると、基地局は、特定のリモートホストが原因なのか、または、リモートホスト群が原因なのかを決定する。ネットワーク性能が低い場合、基地局は、リモートホストとネットワークとの接続を切ってよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国第2007/0133405Al号明細書
【特許文献2】米国第2006/0126507Al号明細書
【特許文献3】米国6,469,991Bl号明細書
【発明の概要】
【0010】
少なくとも、本発明の目的は、ネットワークでデータストリームを送信し、かつ、ネットワークの輻輳に対処するための、改良された技術を提供することである。
【0011】
この目的は、独立請求項1に記載のネットワークゲートウェイ、および、独立請求項8に記載のデータストリームのパケットを送信する方法によって、達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載される。本発明の一態様によると、ネットワークゲートウェイであって、
バッファと、
送信モジュールと、
保護モジュール(優先順位付けモジュールとも言う)と、
制御モジュールと、を備え、
該送信モジュールは、ネットワーク媒体を介してソースデバイスからユーザデバイスにデータストリームのパケットを送信するように構成され、データストリームのパケットは、ソースデバイスとゲートウェイとの間のアップリンク接続によって、ソースデバイスから受信され、バッファに一時的に記憶され、ユーザデバイスとゲートウェイとの間のダウンリンク接続によって、バッファからユーザデバイスに送信され、ダウンリンク接続はアップリンク接続に依存し、
該保護モジュールは、アップリンク接続の保護であって、アップリンク接続のデータストリームのパケットのためにネットワーク媒体へのアクセスを確保する保護を提供するよう構成され、
該制御モジュールは、バッファを監視し、バッファオーバーフローが検出された場合、保護モジュールに命令を送って、アップリンク接続の保護を低下させるように構成される、
ネットワークゲートウェイを提供する。
【0012】
本発明の別の態様によると、ネットワークゲートウェイがネットワーク媒体を介して、ソースデバイスからユーザデバイスにデータストリームのパケットを送信する方法であって、
ゲートウェイが、データストリームのパケットをソースデバイスから受信するステップであって、ソースデバイスとゲートウェイとの間のアップリンク接続が提供されるステップと、
ゲートウェイのバッファにデータストリームのパケットを一時的に記憶するステップと、
ゲートウェイのバッファからユーザデバイスにデータストリームのパケットを送信するステップであって、ゲートウェイとユーザデバイスとの間のダウンリンク接続が、アップリンク接続に依存するように提供されるステップと、
ゲートウェイがデータストリームのパケットのためにネットワーク媒体へのアクセスを確保することによって、アップリンク接続を保護するステップと、
バッファを監視するステップと、
ゲートウェイがバッファオーバーフローを検出した場合、アップリンク接続の保護を低下させるステップと、
を含む方法を提供する。
【0013】
ネットワークゲートウェイは、ネットワークシステムの一部、例えば、ホームネットワークの一部であってよく、ここで、ソースデバイスとユーザデバイスとの間の接続は、ゲートウェイのアクセスポイントを通る。好ましくは、データストリームは、メディアストリーム、例えば、ビデオストリームまたはオーディオストリームである。ソースデバイスは、セットトップボックスまたはメディアセンターであってよく、ユーザデバイスは、例えば、テレビまたはステレオ装置などの、任意の種類の再生装置であってよい。
【0014】
データストリームのパケットがソースデバイスからユーザデバイスに送信されるとき、アップリンク接続およびダウンリンク接続は、同じチャネルを共有する。該チャネルは、ネットワーク媒体へのアクセスを競合する。ゲートウェイで輻輳が起こると、ユーザデバイスへのダウンリンク接続に向けられたパケットは、バッファで待ち行列に入れられる、また、ドロップされてよい。その間中、同じデータストリームに属するアップリンク接続のパケットは、ソースデバイスからアップリンク接続を介して送られ続ける。これらの送信は、ゲートウェイでドロップされる場合、無駄になる可能性がある。
【0015】
しかしながら、データストリームは、ソースデバイスからユーザデバイスにダウンロードされているので、ソースデバイスからゲートウェイへの接続、および、ゲートウェイからユーザデバイスへの接続は、独立したものではない。むしろ、本発明は、ソースデバイスのアップリンク接続とユーザデバイスのダウンリンク接続の依存関係を利用して、ネットワーク媒体へのアクセスの割り当てを実現することができる。アップリンク接続とダウンリンク接続との間の依存性は、ゲートウェイによって識別することができる。このように、ゲートウェイですぐに入手可能なパケットの待ち行列情報を用いて輻輳制御が必要であることを判断するので、ネットワーク容量の複雑な推定は必要なくなる。
【0016】
制御モジュールは、輻輳を検出すると、保護モジュールに命令を送って、バッファの待ち行列が長くならないように、ソースデバイスのネットワーク媒体へのアクセスを低下させることができる。そうすると、不必要なパケット損失を回避することができる。
【0017】
送信モジュールは、複数のソースデバイスから複数のユーザデバイスに、複数のデータストリームをそれぞれ送信するように構成することができる。各データストリームは、パケットに分割される。各ソースデバイスは、そのパケットをゲートウェイに送り、複数のアップリンク接続が作成され、ゲートウェイにおいて、該パケットは、それぞれ、バッファの仮想待ち行列に一時的に記憶される。パケットは、各仮想待ち行列から複数のダウンリンク接続によって、各ユーザデバイスに送信される。各データストリームに関して、ダウンリンク接続は、対応するアップリンク接続に依存する。保護モジュールは、アップリンク接続の一部または全てを保護するように構成することができる。制御モジュールは、バッファの対応する仮想待ち行列がオーバーフローした場合、複数のアップリンク接続のうちの1つの保護を低下させるように構成することができる。
【0018】
好ましい実施形態においては、送信モジュールは、無線ネットワーク媒体を介してデータストリームのパケットを送信するように構成される。無線ネットワーク、例えば、WLANは、ケーブルを必要とせずに、ソースデバイスおよび/またはユーザデバイスを、ゲートウェイを用いて接続する便利な方法を提供する。
【0019】
さらなる実施形態によると、保護モジュールは、ソースデバイスに目標速度で受信準備完了(clear−to−end)信号を送るように構成される。ここで、目標速度は、データストリームが割り込まれないように適時にデータストリームのパケットが確実に受信されるように選択される。ソースデバイスに受信準備完了信号を送ることによって、ソースデバイスのために無線ネットワーク媒体の帯域幅を確保しておくことができる。確保は黙示的に行われる。受信準備完了信号は、非請求の受信準備完了信号として提供することができる。あるいは、保護は、WLAN規格802.11nにおいてなどの、送信許可として提供することができる。ソースデバイスによるネットワークアクセスを抑制する行為は、パケット遅延の増加という代償を払って、パケット損失を回避する働きをすることができる。
【0020】
受信準備完了信号は、ゲートウェイの範囲内の、ソースデバイスを除くすべての装置を、所定の期間、中断させるのに用いられる信号である。受信準備完了信号を用いて、アップリンク接続のための時間を確保することができる。
【0021】
さらに別の好ましい実施形態においては、制御モジュールは、バッファオーバーフローが検出された場合、保護モジュールに命令を送って、受信準備完了信号をソースデバイスに送る速度を、目標速度を下回るように低下させるように構成される。受信準備完了信号を送る速度を低下させることによって、アップリンク接続のために確保する帯域幅を減らすことができる。従って、ダウンリンク接続のために利用可能な帯域幅を増やすことができ、バッファに記憶されたパケットをユーザデバイスに送信することができる。
【0022】
さらなる実施形態においては、制御モジュールは、バッファのアンダーフローが検出された場合、保護モジュールに命令を送って、受信準備完了信号をソースデバイスに送る速度を目標速度にまで上げるように構成される。バッファの充填が少ない、または、バッファが空の場合、アップリンク接続の保護は、受信準備完了信号の速度を上げることによって、向上させることができる。輻輳が軽減される、または、データストリームの対応するダウンリンク接続がアクセスの優先権を得ると、ソースデバイスに対する通常の保護アクセスを回復することができる。
【0023】
本発明のさらなる実施形態では、送信モジュールは、MAC(media access control)層でデータストリームのパケットを送信するように構成される。MAC層は、ネットワーク媒体へのアクセスを制御する。エンドポイントとのみ通信できるアプリケーション層に対して、MAC層は、エンドポイントおよび/またはリレーなど、ネットワーク内の全ての装置に対応することができる。従って、ゲートウェイは、エンドポイントに依存して輻輳に適応するのではなく、直接、ネットワーク媒体へのアクセスの優先権を制御することができる。この結果、ゲートウェイとソースデバイスとの間、および、ゲートウェイとユーザデバイスとの間に、コリジョンのない送信を提供することができる。
【0024】
好ましい実施形態においては、バッファ内のパケットの数がバッファ数の上限を超えた場合、および/または、バッファ内のパケットのサイズが、バッファサイズの上限を超えた場合、バッファオーバーフローが検出される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明を、添付の図面を参照しながら以下の実施形態および実施例によって説明する。この説明によって、本発明をより良く理解されよう。また、該実施形態および実施例は、発明を制限するものではない。
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態に従った、無線ホームネットワークシステムの図である。
【
図2】
図2は、前記好ましい実施形態に従った、パケットを送信する方法のステップを示すフローチャートである。
【0026】
図中、類似の参照番号は、別段の記載のない限り、類似の部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すような無線ホームネットワークシステムNは、下記のシナリオにより考慮される。ユーザデバイス1が、セットトップボックス2からメディアストリームをダウンロードしている。このメディアストリームのパケットは、ホームゲートウェイ3のアクセスポイントを通る(
図2のステップEl、E3)。セットトップボックス2からゲートウェイ3へのアップリンク接続4が提供され、ゲートウェイ3からユーザデバイス1へのダウンリンク接続5が提供される。さらなるユーザデバイス6、7は、他のあるトラフィックを伝達するゲートウェイ3とのアップリンク接続8およびダウンリンク接続9を有する。
【0028】
メディアストリームへのサービスの品質を保証するために、保護機構が、共有無線媒体へのアクセスを制御するゲートウェイ3に存在する。ゲートウェイ3は、ダウンリンク接続5、9の各宛先に対する仮想待ち行列(queue)を有するバッファ10を備える。
【0029】
アップリンク接続4およびダウンリンク接続5は、同じメディアストリームを伝達するが、実際には、MAC(media access control)層で分離される。輻輳の際には、ゲートウェイ3のバッファ10の、ダウンリンク接続5向けのパケットを保持している仮想待ち行列が蓄積し(
図2のステップE2)、ゲートウェイ3でのパケット損失と、おそらくは、宛先であるユーザデバイス1での遅延との両方を引き起こす。
【0030】
ゲートウェイ3の制御モジュール11は、バッファ10を監視し(
図2のステップE4)、パケットの待ち行列を追跡する。
【0031】
メディアストリームの開始時、ゲートウェイ3の送信モジュール12は、アップリンク接続4およびダウンリンク接続5が依存するように、より詳細には、ダウンリンク接続5がアップリンク接続4に依存するように設定する。送信モジュール12は、バッファ10内にある、ダウンリンク接続5のパケットに対応する仮想待ち行列を追跡するように制御モジュール11に知らせる。
【0032】
制御モジュール11は、媒体保護適応をトリガする(
図2のステップE5)待ち行列占有率であるパラメータβ、およびあるヒステリシス値εでパラメータ化される。
【0033】
ダウンリンク接続5に対応するバッファ10の仮想待ち行列が、占有率(β+ε)%に達するとき、制御モジュール11は、輻輳が感知されたことを、ゲートウェイ3の保護モジュール13に知らせる。保護モジュール13は、協調保護モードに入る。
【0034】
このモードでは、保護モジュール13は、アップリンク接続4の保護を低下させる(
図2のステップE6)ように、セットトップボックス2に与えられたアクセス優先権を調整する。例えば、保護機構は、大体、IEEE802.11eに基づいているので、バックオフウィンドウのサイズ(バックオフウィンドウのサイズは、スループットに影響を与えるので、IEEE802.11WLANプロトコルの不可欠な部分である)などのアクセスパラメータを調整してよい。あるいは、保護モジュール13が受信準備完了信号をセットトップボックスに送る速度を低下させてもよい。
【0035】
この結果、セットトップボックス2の送信速度が低下するので、ゲートウェイ3におけるアップリンク接続4からのパケットの到着率が低下する。セットトップボックス2のアクセス優先権を低下させると、ゲートウェイ3がダウンリンク接続5にパケットを送信する機会が増える。
【0036】
バッファ10のダウンリンク接続5に対応する仮想待ち行列が、(β−ε)%を下回る占有率に低下すると、制御モジュール11は、輻輳期間が終わったことを、保護モジュール13に知らせる。そうすると、保護モジュール13は、通常保護モードに切り替わる。
【0037】
バッファ10のダウンリンク接続5に対応する仮想待ち行列の占有率が変化すると、上記のステップが繰り返される。
【0038】
これによって、パケット損失と遅延との間のトレードオフのカーブに沿ったオペレーションポイントの微調整を可能にする、アクセスを抑制する行為を制御するパラメータが提供される。本発明を好ましい実施形態で記載したが、当業者の能力の範囲内で、数多くの変更および実施形態の余地があることは明らかである。
【0039】
請求項において、特定の機能を行う手段(またはユニット)として表された任意の要素は、該機能を行う任意の方法を包含する。例えば、a)該機能を行う回路要素の組み合わせ、または、b)ファームウェア、マイクロコードなどを含む、任意の形態のソフトウェア、および該ソフトウェアを実行して該機能を行わせる適切な回路との組み合わせ、を含む。このような請求項によって規定された本原理は、記載された様々な手段が提供する機能が、請求項が要求する方法で、組み合わされ、まとめられるという事実に存在する。従って、記載の機能を提供することができる手段はいずれも、本明細書に記載のものと等価であるとみなされる。
【0040】
本原理は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用プロセッサ、または、それらの組み合わせの様々な形態で実施してよいことは理解されたい。本原理は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして実施することが好ましい。さらに、ソフトウェアは、プログラム記憶装置上で有形に実現されるアプリケーションプログラムとして実施されるのが好ましい。アプリケーションプログラムは、任意の適切なアーキテクチャを含む機械にアップロードされ、該機械で実行されてよい。好ましくは、該機械は、1つまたは複数のCPU(central processing unit)、RAM(random access memory)、および、1つまたは複数のI/O(input/output)インタフェースなどのハードウェアを有するコンピュータプラットフォームで実施される。コンピュータプラットフォームは、オペレーティングシステムおよびマイクロ命令コードを含んでもよい。本明細書に記載の様々なプロセスおよび機能は、オペレーティングシステムを介して実行される、マイクロ命令コードの一部、またはアプリケーションプログラムの一部、(または、それらの組み合わせ)のいずれかであってよい。
(付記1)
バッファ(10)と、
送信モジュール(12)であって、ネットワーク媒体を介してソースデバイス(2)からユーザデバイス(1)にデータストリームのパケットを送信するように構成され、前記データストリームの前記パケットが、前記ソースデバイス(2)と前記ゲートウェイ(3)との間のアップリンク接続(4)によって前記ソースデバイス(2)から受信され、前記バッファ(10)に一時的に記憶され、前記ユーザデバイス(1)と前記ゲートウェイ(3)との間のダウンリンク接続(5)によって、前記バッファ(10)から前記ユーザデバイス(1)に送信され、前記ダウンリンク接続(5)が前記アップリンク接続(4)に依存する、前記送信モジュール(12)と、
保護モジュール(13)であって、前記アップリンク接続(4)の保護を提供するように構成され、前記ネットワーク媒体へのアクセスが前記アップリンク接続(4)の前記データストリームの前記パケットに対して確保される、前記保護モジュール(13)と、
制御モジュール(11)であって、前記バッファ(10)を監視し、バッファオーバーフローが検出された場合、前記保護モジュール(13)に、前記アップリンク接続(4)の前記保護を低下する命令を送るように構成された、前記制御モジュール(11)と、
を備える、前記ネットワークゲートウェイ(3)。
(付記2)
前記送信モジュール(12)は、無線ネットワーク媒体を介して前記データストリームの前記パケットを送信するように構成された、付記1に記載のゲートウェイ。
(付記3)
前記保護モジュール(13)は、前記ソースデバイス(2)に目標速度で受信準備完了信号を送るように構成され、前記目標速度は、前記データストリームが割り込まれないように適時に前記データストリームの前記パケットが確実に受信されるように選択される、付記2に記載のゲートウェイ。
(付記4)
前記制御モジュール(11)は、バッファオーバーフローが検出された場合、前記保護モジュール(13)に命令を送って、前記受信準備完了信号を前記ソースデバイス(2)に送る速度を、前記目標速度を下回るように低下させるように構成された、付記3に記載のゲートウェイ。
(付記5)
前記制御モジュール(11)は、バッファアンダーフローが検出された場合、前記保護モジュール(13)に命令を送って、前記受信準備完了信号を前記ソースデバイス(2)に送る速度を前記目標速度まで上げるように構成された、付記4に記載のゲートウェイ。
(付記6)
前記送信モジュール(12)は、媒体アクセス制御層で、前記データストリームの前記パケットを送信するように構成された、付記1〜5のいずれか一項に記載のゲートウェイ。
(付記7)
前記バッファ内のパケットの数がバッファ数の上限を超えた場合、および/または、前記バッファ(10)内の前記パケットのサイズがバッファサイズの上限を超えた場合、バッファオーバーフローが検出される、付記1〜6のいずれか一項に記載のゲートウェイ。
(付記8)
ネットワークゲートウェイ(3)がネットワーク媒体を介して、ソースデバイス(2)からユーザデバイス(1)にデータストリームのパケットを送信する方法であって、
前記ゲートウェイ(3)が前記ソースデバイス(2)から前記データストリームの前記パケットを受信するステップ(E1)であって、前記ソースデバイス(2)と前記ゲートウェイ(3)との間のアップリンク接続(4)が提供される、前記受信するステップ(E1)と、
前記ゲートウェイ(3)のバッファ(10)に前記データストリームの前記パケットを一時的に記憶するステップ(E2)と、
前記ゲートウェイ(3)の前記バッファ(10)から前記ユーザデバイス(1)に前記データストリームの前記パケットを送信するステップ(E3)であって、前記ゲートウェイ(3)と前記ユーザデバイス(1)との間のダウンリンク接続(5)が前記アップリンク接続(4)に依存するように提供される、前記送信するステップ(E3)と、
前記ゲートウェイ(3)が前記データストリームの前記パケットに対して前記ネットワーク媒体へのアクセスを確保することによって、前記アップリンク接続(4)を保護するステップ(E5)と、
前記バッファ(10)を監視するステップ(E4)と、
前記ゲートウェイ(3)がバッファオーバーフローを検出した場合、前記アップリンク接続(4)の前記保護を低下するステップ(E6)と、
を含む、前記方法。
(付記9)
前記データストリームの前記パケットは、無線ネットワーク媒体を介して送信される、付記8に記載の方法。
(付記10)
前記ゲートウェイ(3)が前記ソースデバイス(2)に目標速度で受信準備完了信号を送り、前記目標速度は、前記データストリームが割り込まれないように適時に前記データストリームの前記パケットが確実に受信されるように選択される、付記9に記載の方法。
(付記11)
バッファオーバーフローが検出された場合、前記受信準備完了信号を送る速度を、前記目標速度を下回るように低下させる、付記10に記載の方法。
(付記12)
前記ゲートウェイ(3)がバッファアンダーフローを検出した場合、前記受信準備完了信号を送る速度を前記目標速度まで上げる、付記11に記載の方法。
(付記13)
前記ゲートウェイ(3)が、媒体アクセス制御層で前記データストリームの前記パケットを受信および/または送信する、付記8〜12のいずれか一項に記載の方法。
(付記14)
前記バッファ内のパケットの数がバッファ数の上限を超えた場合、および/または、前記バッファ内の前記パケットサイズが、バッファサイズの上限を超えた場合、バッファオーバーフローが検出される、付記8〜13のいずれか一項に記載の方法。