(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの色素増感太陽電池が、前記第2電極と前記バックシートとの間に設けられる乾燥材をさらに有する、請求項4又は5に記載の色素増感太陽電池素子。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0052】
<第1実施形態>
まず本発明の色素増感太陽電池素子の第1実施形態について
図1〜
図7を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の色素増感太陽電池素子の第1実施形態を示す断面図、
図2は、本発明の色素増感太陽電池素子の第1実施形態の一部を示す平面図、
図3は、
図1の色素増感太陽電池モジュールにおける透明導電膜のパターンを示す平面図、
図4は、
図1の第1一体化封止部を示す平面図、
図5は、
図1の第2一体化封止部を示す平面図、
図6は、
図2のVI−VI線に沿った断面図、
図7は、封止部および連結部が貼りつけられた作用極を示す平面図である。
【0053】
図1に示すように、色素増感太陽電池素子としての色素増感太陽電池モジュール(以下、「DSCモジュール」と呼ぶことがある)100は、複数(
図1では4つ)の色素増感太陽電池(以下、「DSC」と呼ぶことがある)50と、DSC50に対向するように配置されるバックシート80とを有している。
図2に示すように、複数のDSC50は導電材60Pによって直列に接続されている。以下、説明の便宜上、DSCモジュール100における4つのDSC50をDSC50A〜50Dと呼ぶことがある。
【0054】
図1に示すように、複数のDSC50の各々は、作用極10と、作用極10に対向する対極20と、作用極10及び対極20を接合させる環状の封止部30Aとを備えている。作用極10、対極20及び環状の封止部30Aによって形成されるセル空間には電解質40が充填されている。
【0055】
対極20は、金属基板21と、金属基板21の作用極10側に設けられて触媒反応を促進する触媒層22とを備えている。また隣り合う2つのDSC50において、対極20同士は互いに離間している。本実施形態では、対極20によって対向基板及び第2電極が構成されている。
【0056】
図1および
図2に示すように、作用極10は、透明基板11及び透明基板11の上に設けられる透明導電膜12を有する透明導電性基板15と、透明導電性基板15の透明導電膜12の上に設けられる複数の酸化物半導体層13と、透明導電膜12上に設けられる集電体19とを有している。酸化物半導体層13は、環状の封止部30Aの内側に配置されている。透明基板11は、DSC50A〜50Dの共通の透明基板として使用されている。なお、本実施形態では、透明導電性基板15によって導電性基板及び第1電極が構成されており、酸化物半導体層13によって発電層が構成されており、透明基板11によって絶縁性基板が構成されており、透明導電膜12によって導電膜が構成されている。
【0057】
図2および
図3に示すように、透明導電膜12は、互いに絶縁された状態で設けられる透明導電膜12A〜12Fで構成されている。すなわち、透明導電膜12A〜12Fは互いに溝90を介在させて配置されている。ここで、透明導電膜12A〜12Dはそれぞれ複数のDSC50A〜50Dの透明導電膜12を構成している。また透明導電膜12Eは、封止部30Aに沿って折れ曲がるようにして配置されている。透明導電膜12Fは、バックシート80の周縁部80aを固定するための環状の透明電極膜12である(
図1参照)。
【0058】
図3に示すように、透明導電膜12A〜12Dはいずれも、側縁部12bを有する四角形状の本体部12aと、本体部12aの側縁部12bから側方に延出する延出部12cとを有している。
【0059】
図2に示すように、透明導電膜12A〜12Dのうち透明導電膜12Cの延出部12cは、DSC50A〜50Dの配列方向Xに対して側方に張り出す張出し部12dと、張出し部12dから延びて、隣りのDSC50Dの本体部12aに溝90を介して対向する対向部12eとを有している。
【0060】
DSC50Bにおいても、透明導電膜12Bの延出部12cは、張出し部12dと対向部12eとを有している。またDSC50Aにおいても、透明導電膜12Aの延出部12cは、張出し部12dと対向部12eとを有している。
【0061】
なお、DSC50Dは、既にDSC50Cと接続されており、他に接続されるべきDSC50が存在しない。このため、DSC50Dにおいて、透明導電膜12Dの延出部12cは対向部12eを有していない。すなわち透明導電膜12Dの延出部12cは張出し部12dのみで構成される。
【0062】
但し、透明導電膜12Dは、DSCモジュール100で発生した電流を外部に取り出すための第1電流取出し部12fと、第1電流取出し部12fと本体部12aとを接続し、透明導電膜12A〜12Cの側縁部12bに沿って延びる接続部12gとをさらに有している。第1電流取出し部12fは、DSC50Aの周囲であって透明導電膜12Aに対して透明導電膜12Bと反対側に配置されている。
【0063】
一方、透明導電膜12Eも、DSCモジュール100で発生した電流を外部に取り出すための第2電流取出し部12hを有しており、第2電流取出し部12hは、DSC50Aの周囲であって透明導電膜12Aに対して透明導電膜12Bと反対側に配置されている。そして、第1電流取出し部12fおよび第2電流取出し部12hは、DSC50Aの周囲において溝90を介して隣り合うように配置されている。ここで、溝90は、透明導電膜12の本体部12aの縁部に沿って形成される第1の溝90Aと、透明導電膜12のうち本体部12aを除く部分の縁部に沿って形成され、バックシート80の周縁部80aと交差する第2の溝90Bとで構成されている。
【0064】
また、透明導電膜12の上には、集電体19が設けられている。集電体19は、透明導電膜12A〜12Cの各延出部12cおよび透明導電膜12Eの上に設けられている接続端子16と、透明導電膜12Dに設けられている集電配線17とを有する。
【0065】
本実施形態では、透明導電膜12A〜12Cにおいては、接続端子16のうち少なくとも導電材接続部16Aは、延出部12cの対向部12e上に設けられており、接続される隣りのDSC50の本体部12aに対向している。透明導電膜12Eにおいては、接続端子16のうちの導電材接続部16Aは、接続される隣りのDSC50Aの本体部12aに対向している。各接続端子16は、導電材60Pと接続され、封止部30Aの外側で封止部30Aに沿って延びる導電材接続部16Aと、導電材接続部16Aから封止部30Aの外側で封止部30Aに沿って延びる導電材非接続部16Bとを有する。そして、導電材非接続部16Bの幅は、導電材接続部16Aの幅より狭くなっている。ここで、導電材接続部16Aおよび導電材非接続部16Bの幅はそれぞれ一定となっている。なお、導電材接続部16Aの幅とは、導電材接続部16Aの延び方向に直交する方向の長さであって導電材接続部16Aの幅のうち最も狭い幅を意味し、導電材非接続部16Bの幅とは、導電材非接続部16Bの延び方向に直交する方向の長さであって導電材非接続部16Bの幅のうち最も狭い幅を意味するものとする。
【0066】
そして、DSC50Cにおける透明導電膜12Cの延出部12c上に設けられる接続端子16の導電材接続部16Aと隣りのDSC50Dにおける対極20の金属基板21とが導電材60Pを介して接続されている。導電材60Pは、封止部30Aの上を通るように配置されている。同様に、DSC50Bにおける接続端子16の導電材接続部16Aと隣りのDSC50Cにおける対極20の金属基板21とは導電材60Pを介して接続され、DSC50Aにおける接続端子16の導電材接続部16Aと隣りのDSC50Bにおける対極20の金属基板21とは導電材60Pを介して接続され、透明導電膜12E上の接続端子16の導電材接続部16Aと隣りのDSC50Aにおける対極20の金属基板21とは導電材60Pを介して接続されている。
【0067】
また、透明導電膜12Dにおいては、本体部12a、接続部12gおよび電流取出し部12fを通るように、透明導電膜12Dよりも低い抵抗を有する集電配線17が延びている。この集電配線17は、バックシート80と透明導電性基板15との連結部14と交差しないように配置されている。
【0068】
図7に示すように、集電体19である接続端子16及び集電配線17は、封止部30Aの内側には設けられておらず、封止部30Aの外側のみに設けられている。また、集電体19は、隣接する2つのDSC50の間には設けられていない。また、集電体19は、後述する接着部91の外周面91aで囲まれる接着領域内に形成されている。別言すると、集電体19は、封止部30Aよりも外側であって、接着部91の外周面91aよりも内側のみに形成されている。具体的には集電体19は、封止部30Aよりも外側であって、接着部91の内周面91bよりも内側のみに形成されている。
【0069】
また第1電流取出し部12f、第2電流取出し部12h上にはそれぞれ、外部に電流を取りだすための外部接続部18a,18bが設けられている。
図1、
図7に示すように、外部接続部18a,18bは、接着部91よりも外側に形成されている。
【0070】
図1に示すように、封止部30Aは、透明導電性基板15と対極20との間に設けられる環状の第1封止部31Aと、第1封止部31Aと連結され、対極20の側面、及び、対極20の電解質側とは反対の表面であるバックシート80側の表面20bの一部を覆う第2封止部32Aを有している。第2封止部32Aは、第1封止部31Aと共に対極20の縁部20aを挟持している。そして、
図4に示すように、隣り合う第1封止部31A同士は一体化されて第1一体化封止部31を構成している。別言すると、第1一体化封止部31は、隣り合う2つの対極20の間に設けられていない環状の部分(以下、「環状部」と呼ぶ)31aと、隣り合う2つの対極20の間に設けられており、環状部31aの内側開口31cを仕切る部分(以下、「仕切部」と呼ぶ)31bとで構成されている。また
図5に示すように、第2封止部32A同士は、隣り合う対極20の間で一体化され、第2一体化封止部32を構成している。第2一体化封止部32は、隣り合う2つの対極20の間に設けられていない環状の部分(以下、「環状部」と呼ぶ)32aと、隣り合う2つの対極20の間に設けられており、環状の部分32aの内側開口32cを仕切る部分(以下、「仕切部」と呼ぶ)32bと、環状の部分32aと仕切部32bの内側開口32c側に連続して設けられる突出部32dとで構成されている。
【0071】
また
図1に示すように、第1封止部31Aと透明導電性基板15の溝90との間には、隣り合う透明導電膜12A〜12F同士間の溝90に入り込み且つ隣り合う透明導電膜12にまたがるように無機絶縁材33が設けられている。詳しく述べると、無機絶縁材33は、溝90のうち透明導電膜12の本体部12aの縁部に沿って形成される第1の溝90Aに入り込むとともに、第1の溝90Aを形成している本体部12aの縁部をも覆っている。
【0072】
図6に示すように、対極20のうち透明導電性基板15側の面と第1一体化封止部31の仕切部31bとの接着部の幅Pは、対極20のうち透明導電性基板15側の面と第1一体化封止部31の環状部31aとの接着部の幅Qよりも狭くなっている。さらに、第1一体化封止部31の仕切部31bの幅Rは、第1一体化封止部31の環状部31aの幅Tの100%以上200%未満となっている。
【0073】
また、第2封止部32Aは、対極20のうち作用極10と反対側に設けられる本体部32eと、本体部32eよりも内側に設けられ、本体部32eよりも電解質40とは反対側に突出している前述した突出部32dとを有している。また、第2封止部32A同士は、隣り合う対極20同士の間に設けられる接着部32fをさらに有することによって、第2一体化封止部32を形成している。第2一体化封止部32は、接着部32fによって第1一体化封止部31に接着されている。また、第2封止部32Aのうち、本体部32eは、第1封止部31Aの上方の領域を超えて電解質40の上方の領域まで延出して設けられており、突出部32dは、電解質40の上方の領域に設けられている。
【0074】
図1に示すように、透明導電性基板15の上にはバックシート80が設けられている。バックシート80は、耐候性層と、金属層とを含む積層体で構成される本体部と、本体部のうち共通の透明基板11側に設けられ、透明導電性基板15に接着される接着層とを含む。バックシート80は、透明導電性基板15との間に対極20を有しており、対極20と離間するように配置されている。また接着層は、本体部のうち共通の透明基板11側の面に接着させるものであり、本体部の周縁部に形成されていてもよいし、本体部のうちDSC50側の面全体に設けられていてもよい。バックシート80の周縁部80aは、接着部91によって、連結部14を介して透明導電膜12のうち透明導電膜12D,12E,12Fと接続されている。ここで、接着部91はDSC50の封止部30Aと離間している。また連結部14も封止部30Aと離間している。なお、バックシート80より内側で且つ封止部30Aの外側の空間、すなわち、バックシート80と透明基板11と接着部91とによって形成される空間に電解質40は充填されていない。
【0075】
さらに、DSCモジュール100では、透明導電性基板15と、接着部91及びバックシート80の界面との間の距離(以下、「第1の距離」と呼ぶ)H1が、透明導電性基板15と対極20のうちのバックシート80側の面との間の距離(以下、「第2の距離」と呼ぶ)H2よりも大きくなっている。
【0076】
なお、
図2に示すように、各DSC50A〜50Dにはそれぞれ、バイパスダイオード70A〜70Dが並列に接続されている。具体的には、バイパスダイオード70Aは、DSC50AとDSC50Bとの間の第2一体化封止部32の仕切部32b上に固定され、バイパスダイオード70Bは、DSC50BとDSC50Cとの間の第2一体化封止部32の仕切部32b上に固定され、バイパスダイオード70Cは、DSC50CとDSC50Dとの間の第2一体化封止部32の仕切部32b上に固定されている。バイパスダイオード70Dは、DSC50Dの封止部30A上に固定されている。そして、バイパスダイオード70A〜70Dを通るように対極20の金属基板21に導電材60Qが固定されている。またバイパスダイオード70A,70B間、バイパスダイオード70B,70C間、バイパスダイオード70C,70D間の導電材60Qからはそれぞれ導電材60Pが分岐し、透明導電膜12A上の導電材接続部16A、透明導電膜12B上の導電材接続部16A、透明導電膜12C上の導電材接続部16Aにそれぞれ接続されている。またDSC50Aの対極20の金属基板21にも導電材60Pが固定され、この導電材60Pは、バイパスダイオード70Aと、透明導電膜12E上の接続端子16の導電材接続部16Aとを接続している。さらにバイパスダイオード70Dは、導電材60Pを介して透明導電膜12Dに接続されている。
【0077】
上記DSCモジュール100によれば、封止部30Aの外側のみであってバックシート80と導電性基板15とを接着させる接着部91の外周面91aの内側のみに集電体19が設けられている。すなわち、封止部30A内に集電体19を有さないので、封止部30Aの封止性能が低下することを防止することができる。また、封止部30A内に集電体19を有さないので、電解質40による集電体19の腐食も防止できる。さらに、DSCモジュール100によれば、バックシート80によって封止部30Aの外側であって接着部91の外周面91aの内側への水分の浸入を十分に抑制できる。集電体19が外気の水分等により腐食されることも十分に防止することができる。従って、DSCモジュール100は優れた耐久性を有する。さらに、封止部30Aの外側のみに集電体19を有するので、耐久性を向上させるために封止部30Aの幅を広げる必要がなくなり、結果として、酸化物半導体層13の面積を広げることができ、変換効率を向上させることができる。よって、DSCモジュール100は優れた耐久性及び変換効率を有することが可能となる。
【0078】
また上記DSCモジュール100においては、透明基板11が、複数のDSC50の共通の透明基板11とされており、透明導電膜12は、共通の透明基板11上にそれぞれ設けられており、集電体19は、封止部30Aの外側のみに設けられているため、DSCモジュール100は、優れた耐久性及び変換効率を有することが可能となる。
【0079】
さらに上記DSCモジュール100において、集電体19は封止部30Aの外側であって、隣接する2つのDSC50の間以外のみに設けられており、隣接する2つのDSC50の間にも集電体19を有さないので、隣接する2つのDSC50の間の発電に寄与しない面積を少なくすることができる。その結果、酸化物半導体層13の面積を広げることができるため、より変換効率を向上させることができる。
【0080】
また上記DSCモジュール100において、集電体19は封止部30Aの外側であって、接着部91の内側のみに設けられているので、電解質40による集電体19の腐食を防止しつつ、集電体19が外気の水分等により腐食することも十分に防止することができる。
【0081】
さらに上記DSCモジュール100において、外部接続部18は、接着部91の外側のみに設けられるので、外部接続部18の内部を通じて接着部91の内側に水分等が侵入することを防止することができる。
【0082】
またDSCモジュール100では、第2封止部32Aは、対極20の電解質40側とは反対の表面20bを覆う部分の一部に電解質40とは反対側に突出する突出部32dを有している。このため、内圧の変化や、外力によって、封止部30Aに加わる応力を、突出部32dによって抑制することができる。具体的には、内圧の変化や、外力によって生じる応力は、透明導電性基板15及び対極20を接合している部分である封止部30Aに最も加わる。しかし、第2封止部32Aの対極20の電解質40側とは反対の表面20bを覆う部分は突出部32dを有しており、突出部32dが封止部30Aの中で特異点となるため、突出部32dで封止部30Aに加わる応力を十分に吸収することができる。その結果、第2封止部32Aの対極20の電解質40側とは反対の表面20bを覆う部分の厚さを一定にして面積を広げた場合に比べ、応力によって封止部30Aの破壊や第1封止部31Aと対極20との間で剥離等が起こることを抑制することができる。このため、DSCモジュール100は優れた耐久性を有することが可能となる。
【0083】
さらにDSCモジュール100では、突出部32dは、電解質40の上方の領域に設けられているので、封止部30Aの内部方向から封止部30Aに向かって生じる応力を、対極20と第1封止部31Aの界面や第1封止部31Aの電解質40側の面に加わる前に、突出部32dで吸収することができる。これにより、第1封止部31Aに応力が加わりにくくなる。このため、より封止部30Aの破壊や第1封止部31Aと対極20との間で剥離等が起こることを抑制することができる。このため、DSCモジュール100は、より優れた耐久性を有することが可能となる。
【0084】
またDSCモジュール100では、第1封止部31Aと透明導電性基板15との間に無機絶縁材33が設けられており、無機絶縁材33は、樹脂に比べ、高い封止性能を有するため、第1封止部31Aと透明導電性基板15との間に、無機絶縁材33を有さない場合に比べて、封止部30Aの外側からの水分の侵入や、電解質40の漏えいを効果的に抑制することができる。
【0085】
さらにDSCモジュール100によれば、接着部91は、DSC50の封止部30Aと離間している。このため、接着部91が、低温時において収縮することにより封止部30Aを引っ張って、封止部30Aと透明導電性基板15又は対極20との界面に過大な応力が加わることが十分に抑制される。また、高温時においても、接着部91が、膨張することにより封止部30Aを押して、封止部30Aと透明導電性基板15又は対極20との界面に過大な応力を加えることが十分に抑制される。すなわち、高温時でも低温時でも、封止部30Aと透明導電性基板15又は対極20との界面に過大な応力が加わることが十分に抑制される。このため、DSCモジュール100は、優れた耐久性を有することが可能となる。
【0086】
またDSCモジュール100では、第1の距離H1が、第2の距離H2よりも大きくなっている。このため、第1の距離H1が、第2の距離H2以下である場合に比べて、バックシート80が対極20に接触しにくい。このため、DSCモジュール100が高温環境下に置かれても、バックシート80の金属層が、複数のDSC50の対極20同士を接続することが十分に防止される。以上より、DSCモジュール100によれば、短絡の発生を十分に防止することが可能となる。
【0087】
さらにDSCモジュール100では、透明導電膜12の縁部に沿って溝90が形成され、この溝90が、環状の封止部30Aの内側に配置される透明導電膜12の本体部12aの縁部に沿って形成される第1の溝90Aを有する。そして、その第1の溝90Aに、無機絶縁材33が入り込むとともに、この無機絶縁材33が、第1の溝90Aを形成している本体部12aの縁部をも覆っている。このため、透明基板11の内部であって溝90の下方の位置に溝90に沿ってクラックが形成され、そのクラックが本体部12aの縁部にまでつながっていたとしても、そのクラックを経た封止部30Aの外部からの水分の侵入が無機絶縁材33によって十分に抑制される。特に、DSCモジュール100では、第1の溝90Aを形成する本体部12aの縁部を覆い、第1の溝90Aに入り込む無機絶縁材33が無機物からなるため、無機絶縁材33が樹脂である場合に比べて高い封止性能を有する。このため、DSCモジュール100によれば、優れた耐久性を有することが可能となる。
【0088】
またDSCモジュール100では、封止部30Aと無機絶縁材33とが重なるように配置されている。このため、無機絶縁材33が封止部30Aと重ならないように配置されている場合に比べて、DSCモジュール100の受光面側から見た、発電に寄与する部分の面積をより増加させることができる。このため、開口率をより向上させることができる。
【0089】
またDSCモジュール100では、第1電流取出し部12fおよび第2電流取出し部12hは、DSC50Aの周囲であって透明導電膜12Aに対し透明導電膜12Bと反対側に配置され、透明導電膜12Aの第1電流取出し部12fおよび透明導電膜12Fの第2電流取出し部12hは互いに溝90を介して隣り合うように配置されている。このため、DSCモジュール100においては、第1電流取出し部12fおよび第2電流取出し部12hのそれぞれに外部接続部18a,18bを隣り合うように配置することが可能となる。従って、外部接続部18a,18bから電流を外部に取り出すためのコネクタの数を1つとすることが可能となる。すなわち、仮に、第1電流取出し部12fが透明導電膜12Dに対し透明導電膜12Cと反対側に配置されている場合、第1電流取出し部12fおよび第2電流取出し部12hが互いに大きく離れて配置されるため、外部接続部18a,18bも大きく離れて配置されることになる。この場合、DSCモジュール100から電流を取り出すには、外部接続部18aに接続するコネクタと、外部接続部18bに接続するコネクタの2つのコネクタが必要になる。しかし、DSCモジュール100によれば、外部接続部18a,18bを隣り合うように配置することが可能となるため、コネクタは1つで済む。このため、DSCモジュール100によれば、省スペース化を図ることができる。また、DSCモジュール100は、低照度下で使用されると、発電電流が小さい。具体的には、発電電流は2mA以下である。このため、DSC50A〜50Dの両端のDSC50A,50Dのうち一端側のDSC50Dの透明導電膜12Dの一部を、他端側のDSC50Aの対極20の金属基板21に電気的に接続された第2電流取出し部12hの隣りに溝90を介して第1電流取出し部12fとして配置しても、DSCモジュール100の光電変換性能の低下を十分に抑制することができる。
【0090】
また、DSCモジュール100では、DSC50A〜50DがX方向に沿って一列に配列されており、DSC50A〜50Dの両端のDSC50A,50Dのうち一端側のDSC50Dの透明導電膜12Dが、封止部30Aの内側に設けられる本体部12aと、第1電流取出し部12fと、本体部12aと第1電流取出し部12fとを接続する接続部12gとを有する。このため、DSC50A〜50Dの一部であるDSC50C、50Dを途中で折り返し、DSC50AとDSC50Dとをそれらが互いに隣り合うように配置する場合に比べて、隣り合う2つのDSC50同士を接続するためにDSC50A〜50Dの配列方向(
図2のX方向)に沿って設けられる接続端子16の設置領域をより短くすることが可能となり、より省スペース化を図ることが可能となる。また、DSCモジュール100によれば、当該DSCモジュール100が低照度環境下で使用される場合、通常、発電電流が小さいため、DSCモジュール100が、本体部12aと第1電流取出し部12fとを接続する第1接続部12gをさらに有していても、光電変換特性の低下を十分に抑制することができる。
【0091】
さらに、DSCモジュール100では、集電配線17が、接着部91と透明導電性基板15との連結部14と交差しないように配置されている。集電配線17は一般に、多孔質であるため通気性を有しており、水蒸気等のガスが透過可能となっているところ、集電配線17が、接着部91と透明導電性基板15との連結部14と交差しないように配置されていると、集電配線17を通してバックシート80と透明導電性基板15と接着部91とによって形成される空間に外部から水蒸気等が侵入することを防止することができる。その結果、DSCモジュール100は優れた耐久性を有することが可能となる。また集電配線17は、透明導電膜12Dよりも低い抵抗を有するため、発電電流が大きくなっても、光電変換特性の低下を十分に抑制することができる。
【0092】
さらに、DSCモジュール100が温度変化の大きい環境下に置かれた場合、接続端子16の幅が狭いほど、接続端子16は、透明導電膜12の延出部12cから剥離しにくくなる。その点、DSCモジュール100では、接続端子16のうち導電材非接続部16Bが、導電材60Pと接続される導電材接続部16Aより狭い幅を有する。このため、接続端子16のうち導電材非接続部16Bは、透明導電膜12の延出部12cから剥離しにくくなる。従って、仮に導電材接続部16Aが透明導電膜12の延出部12cから剥離しても、導電材非接続部16Bは透明導電膜12から剥離せず透明導電膜12に対する接続を維持することが可能となる。また導電材接続部16Aが透明導電膜12の延出部12cから剥離しても、DSCモジュール100は正常に動作することが可能である。従って、DSCモジュール100によれば、接続信頼性を向上させることが可能となる。また、隣り合う2つのDSC50のうち一方のDSC50における対極20の金属基板21に接続された導電材60Pは、他方のDSC50における延出部12c上の導電材接続部16Aと接続され、導電材接続部16Aは、延出部12c上で封止部30Aの外側に設けられている。すなわち、隣り合う2つのDSC50同士の接続が封止部30Aの外側で行われる。このため、DSCモジュール100によれば、開口率を向上させることが可能となる。
【0093】
またDSCモジュール100では、DSC50A〜50Dのうち隣りのDSC50と接続されるDSC50において、延出部12cが、本体部12aから側方に張り出す張出し部12dと、張出し部12dから延びて、隣りのDSC50の本体部12aに対向する対向部12eとを有し、接続端子16のうち少なくとも導電材接続部16Aが対向部12e上に設けられている。
【0094】
この場合、接続端子16のうち少なくとも導電材接続部16Aが、隣りのDSC50の本体部12aに対向する対向部12e上に設けられているため、接続端子16のうち少なくとも導電材接続部16Aが、隣りのDSC50の本体部12aに対向する対向部12e上に設けられていない場合と異なり、導電材接続部16Aに接続される導電材60Pが、隣りのDSC50の対極20の金属基板21を横切ることを十分に防止することが可能となる。その結果、隣り合うDSC50同士間の短絡を十分に防止することが可能となる。
【0095】
またDSCモジュール100では、導電材接続部16Aおよび導電材非接続部16Bはいずれも封止部30Aに沿って配置されている。このため、導電材接続部16Aおよび導電材非接続部16Bを封止部30Aから遠ざかる方向に沿って配置する場合に比べて、接続端子16のために要するスペースを省くことができる。
【0096】
さらに、DSCモジュール100では、対極20のうち透明導電性基板15側の面と第1一体化封止部31の仕切部31bとの接着部の幅Pは、対極20のうち透明導電性基板15側の面と第1一体化封止部31の環状部31aとの接着部の幅Qよりも狭くなっている。このため、DSCモジュール100における開口率をより十分に向上させることができる。またDSCモジュール100では、隣り合う第1封止部31A同士、及び、隣り合う第2封止部32A同士が、隣り合う対極20の間で一体化されている。ここで、隣り合う第1封止部31A同士が一体化されなければ、隣り合うDSC50の間においては、大気に対して露出される封止部が2箇所となる。これに対し、DSCモジュール100においては、隣り合う第1封止部31A同士が一体化されているため、隣り合うDSC50の間において、大気に対して露出される封止部が1箇所となる。すなわち、第1一体化封止部31は、環状部31aと、仕切部31bとで構成されているため、隣り合うDSC50の間において、大気に対して露出される封止部が仕切部31bの1箇所のみとなる。また第1封止部31A同士が一体化されることで、大気から電解質40までの水分等の侵入距離が延びる。このため、隣り合うDSC50間において、DSC50の外部から侵入する水分や空気の量を十分に低減することができる。すなわち、DSCモジュール100の封止能を十分に向上させることができる。またDSCモジュール100によれば、隣り合う第1封止部31A同士が一体化されている。このため、対極20のうち透明導電性基板15側の面と第1一体化封止部31の仕切部31bとの接着部の幅Pが、対極20のうち透明導電性基板15側の面と第1一体化封止部31の環状部31aとの接着部の幅Qよりも狭くても、その仕切部31bにおいて十分な封止幅を確保することが可能となる。すなわち、DSCモジュール100によれば、開口率を向上させながら、第1封止部31Aと透明導電性基板15との接着強度、及び、第1封止部31Aと対極20との接着強度を十分に大きくすることが可能となる。その結果、開口率を向上させることができると共に、DSCモジュール100が高温下で使用される場合に電解質40が膨張して第1封止部31Aの内側から外側に向かう過大な応力が加えられても、透明導電性基板15及び対極20からの第1封止部31Aの剥離を十分に抑制することができ、優れた耐久性を有することが可能となる。
【0097】
さらに、DSCモジュール100では、対極20と第1一体化封止部31の仕切部31bの幅Rは、第1一体化封止部31の環状部31aの幅Tの100%以上200%未満となっている。この場合、第1一体化封止部31の仕切部31bにおいて、仕切部31bの幅が環状部31aの幅Tの100%以上であるため、第1一体化封止部31の仕切部31bにおいて、仕切部31bの幅Rが環状部31aの幅Tの100%未満である場合と比べて、大気から電解質40までの水分等の侵入距離がより延びることになる。このため、隣り合うDSC50間にある仕切部31bを通して外部から水分が侵入することをより十分に抑制することができる。一方、仕切部31bの幅Rが環状部31aの幅Tの200%を超える場合と比べて、開口率をより向上させることができる。
【0098】
またDSCモジュール100においては、第2封止部32Aが、第1封止部31Aと接着されており、対極20の縁部20aが第1封止部31Aと第2封止部32Aとによって挟持されている。このため、対極20に対して作用極10から離れる方向の応力が作用しても、その剥離が第2封止部32Aによって十分に抑制される。また、第2一体化封止部32の仕切部32bは、隣り合う対極20同士間の隙間Sを通って第1封止部31Aに接着されているため、隣り合うDSC50の対極20同士が接触することが確実に防止される。
【0099】
さらに上記DSCモジュール100は低照度環境下で用いられる低照度用色素増感太陽電池モジュールであることが好ましい。低照度環境下の場合、発生電流が少さいため、封止部30Aの外側のみに集電体があっても、抵抗の増加を十分に防ぐことが可能となり、より優れた変換効率を有することができる。
【0100】
ここで、低照度環境下とは、照度が20000ルクス以下であることをいい、上記DSCモジュール100は、10000ルクス以下の環境で用いられることが、より好ましい。また、低照度用色素増感太陽電池とは、電解質40に含まれる酸化還元対の少なくとも一方の濃度が、0.006mol/リットル以下であるものをいう。
【0101】
次に、作用極10、集電体19、外部接続部18、連結部14、光増感色素、対極20、封止部30A、無機絶縁材33、電解質40、導電材60P,60Qおよびバックシート80について詳細に説明する。
【0102】
(作用極)
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、および、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板11の厚さは、DSCモジュール100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜10000μmの範囲にすればよい。
【0103】
透明導電膜12に含まれる材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(Indium−Tin−Oxide:ITO)、酸化スズ(SnO
2)、フッ素添加酸化スズ(Fluorine−doped−Tin−Oxide:FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電膜12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物を含む複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電膜12が単層で構成される場合、透明導電膜12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOを含むことが好ましい。透明導電膜12は、ガラスフリットをさらに含んでもよい。透明導電膜12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
【0104】
また透明導電膜12のうち透明導電膜12Dの接続部12gの抵抗値は、特に制限されるものではないが、下記式(1)で表される抵抗値以下であることが好ましい。
抵抗値=直列接続されるDSC50の数×120Ω (1)
【0105】
この場合、接続部12gの抵抗値が、上記式(1)で表される抵抗値を超える場合と比べて、DSCモジュール100の性能低下を十分に抑制することができる。本実施形態では、DSC50の数は4であるから、上記式(1)で表わされる抵抗値は480Ωとなるので、接続部12gの抵抗値は480Ω以下であることが好ましい。
【0106】
酸化物半導体層13は、酸化物半導体粒子で構成される。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO
2)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO
3)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)、酸化スズ(SnO
2)、酸化インジウム(In
3O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化タリウム(Ta
2O
5)、酸化ランタン(La
2O
3)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化ホルミウム(Ho
2O
3)、酸化ビスマス(Bi
2O
3)、酸化セリウム(CeO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)又はこれらの2種以上で構成される。
【0107】
酸化物半導体層13は通常、光を吸収するための吸収層で構成されるが、吸収層と吸収層を透過した光を反射して吸収層に戻す反射層とで構成されてもよい。
【0108】
酸化物半導体層13の厚さは、例えば0.5〜50μmとすればよい。
【0109】
(集電体)
集電体19である接続端子16及び集電配線17は、金属材料を含む。金属材料としては、例えば銀、銅およびインジウムなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0110】
また接続端子16は、導電材60Pと同一の材料で構成されていても異なる材料で構成されていてもよいが、同一の材料で構成されていることが好ましい。
【0111】
この場合、接続端子16および導電材60Pが同一の材料で構成されているため、接続端子16と導電材60Pとの密着性をより十分に向上させることができる。このため、DSCモジュール100における接続信頼性をより向上させることが可能となる。
【0112】
接続端子16においては、導電材非接続部16Bの幅は、導電材接続部16Aの幅より狭ければ特に制限されないが、導電材接続部16Aの幅の1/2以下であることが好ましい。
【0113】
この場合、導電材非接続部16Bの幅が導電材接続部16Aの幅の1/2を超える場合に比べて、DSCモジュール100における接続信頼性をより向上させることが可能となる。
【0114】
導電材接続部16Aの幅は特に制限されないが、好ましくは0.5〜5mmであり、より好ましくは0.8〜2mmである。
【0115】
(外部接続部)
外部接続部18は、金属材料を含む。金属材料としては、例えば銀、銅およびインジウムなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0116】
(連結部)
連結部14を構成する材料は、接着部91と透明導電膜12とを接着させることができるものであれば特に制限されず、連結部14を構成する材料としては、例えばガラスフリット、封止部31Aに用いられる樹脂材料と同様の樹脂材料などを用いることができる。中でも、連結部14は、ガラスフリットであることが好ましい。ガラスフリットは樹脂材料に比べて高い封止能を有するため、バックシート80や接着部91の外側からの水分等の侵入を効果的に抑制することができる。
【0117】
(光増感色素)
光増感色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体や、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素が挙げられる。屋内光などの低照度環境下で用いる場合、屋内光などは太陽光と異なり、光の波長が短波長側に偏るため、短波長を効率的に吸収できるビピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体を用いることが好ましい。
【0118】
(対極)
対極20は、上述したように、金属基板21と、金属基板21のうち作用極10側に設けられて対極20の表面における還元反応を促進する導電性の触媒層22とを備える。対極20は、可撓性を有することが好ましい。この場合、封止部30A内部から封止部30Aに向かって生じる応力が生じても、対極20が可撓性を有するため変形することができ、応力の一部を対極20でも吸収できるため、より封止部30Aの破壊や第1封止部31Aと対極20との間で剥離等が起こることを抑制することができる。
【0119】
金属基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミ、ステンレス等の耐食性の金属材料で構成される。金属基板21の厚さは、DSCモジュール100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜0.1mmとすればよい。
【0120】
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンナノチューブが好適に用いられる。
【0121】
(封止部)
封止部30Aは、第1封止部31Aと、第2封止部32Aとで構成される。
【0122】
第1封止部31Aを構成する材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。第1封止部31Aはガラスや金属等の無機材料を含有していてもよい。
【0123】
第1封止部31Aの厚さは通常、40〜90μmであり、好ましくは60〜80μmである。
【0124】
対極20と仕切部31bとの接着部の幅Pは、対極20と第1一体化封止部31の環状部31aとの接着部の幅Qの25%以上100%未満であることが好ましい。この場合、接着部の幅Pが、接着部の幅Qの25%未満である場合と比べて、より優れた耐久性を有することが可能となる。接着部の幅Pは、接着部の幅Qの30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。
【0125】
DSCモジュール100においては、第1一体化封止部31の仕切部31bの幅Rは、第1一体化封止部31の環状部31aの幅Tの100%以上200%未満であることが好ましく、120〜180%であることがより好ましい。
【0126】
この場合、大きな開口率と優れた耐久性とをバランスさせることができる。
【0127】
第2封止部32Aを構成する材料としては、第1封止部31Aと同様、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。第2封止部32Aはガラスや金属等の無機材料を含有していてもよい。
【0128】
第2封止部32Aは、第1封止部31Aと同一の材料からなることが好ましい。この場合、第1封止部31Aと第2封止部32Aは、強固に接着し第1封止部31Aと第2封止部32Aの界面をなくことができるため、界面から電解質の漏えいや外部からの水分の侵入を防止することができる。
【0129】
第2封止部32Aのうち本体部32eの厚さは通常、20〜40μmであり、好ましくは30〜40μmである。一方、突出部32dの厚さは、本体部32eよりも厚ければよいが、通常、40〜150μmであり、好ましくは、50〜120μmである。また、突出部32dの厚さと本体部32eの厚さの差は20〜100μmであることが好ましい。
【0130】
(絶縁材)
無機絶縁材33を構成する材料としては、ガラスフリット等が挙げられる。無機絶縁材33の厚さは通常、10〜100μmであり、好ましくは15〜50μmである。
【0131】
(電解質)
電解質40は、例えばI
−/I
3−などの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリル、グルタロニトリル、メタクリロニトリル、イソブチロニトリル、フェニルアセトニトリル、アクリロニトリル、スクシノニトリル、オキサロニトリル、ペンタニトリル、アジポニトリルなどを用いることができる。酸化還元対としては、例えばI
−/I
3−のほか、臭素/臭化物イオン、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。また電解質40は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、エチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ブチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、メチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
【0132】
また、電解質40は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
【0133】
また電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、I
2、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1−ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
【0134】
さらに電解質40としては、上記電解質にSiO
2、TiO
2、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
【0135】
なお、電解質40は、I
−/I
3−からなる酸化還元対を含み、I
3−の濃度が0.006mol/リットル以下であることが好ましく、0〜6×10
−6mol/リットルであることがより好ましく、0〜6×10
−8mol/リットルであることがさらに好ましい。この場合、電子を運ぶI
3−の濃度を低いため、漏れ電流をより減少させることができる。特に、低照度用色素増感太陽電池においては、発生電流が少ないため、電子を運ぶI
3−の濃度を低くしても、対極20と電解質40との間及び電解質40と色素との間の内部抵抗は上昇せず、I
3−の濃度を低くすることによって、より漏れ電流をより減少させることができる。このため、開放電圧をより増加させることができるため、光電変換特性をより向上させることができる。
【0136】
(導電材)
導電材60P,60Qとしては、例えば金属膜が用いられる。金属膜を構成する金属材料としては、例えば銀又は銅などを用いることができる。
【0137】
(バックシート)
バックシート80は、上述したように、耐候性層と、金属層とを含む本体部と、本体部のDSC50側の面に設けられ、透明導電性基板15に接着される接着層とを含む。
【0138】
耐候性層は、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートで構成されていればよい。
【0139】
耐候性層の厚さは、例えば50〜300μmであればよい。
【0140】
金属層は、例えばアルミニウムを含む金属材料で構成されていればよい。金属材料は通常、アルミニウム単体で構成されるが、アルミニウムと他の金属との合金であってもよい。他の金属としては、例えば銅、マンガン、亜鉛、マグネシウム、鉛、及び、ビスマスが挙げられる。具体的には、98%以上の純アルミニウムにその他の金属が微量添加された1000系アルミニウムが望ましい。これは、この1000系アルミニウムが、他のアルミニウム合金と比較して、安価で、加工性に優れているためである。
【0141】
金属層の厚さは特に制限されるものではないが、例えば12〜30μmであればよい。
【0142】
本体部は、さらに樹脂層を含んでいてもよい。樹脂層を構成する材料としては、例えばブチルゴム、ニトリルゴム、熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。樹脂層は、金属層のうち耐候性層と反対側の表面全体に形成されていてもよいし、周縁部にのみ形成されていてもよい。
【0143】
接着層を構成する材料としては、例えばブチルゴム、ニトリルゴム、熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0144】
接着層の厚さは例えば300〜1000μmとすればよい。
【0145】
接着部91の厚さは、第1の距離H1を第2の距離H2よりも大きくすることができる限り特に制限されるものではないが、例えば100〜1000μmの範囲である。
【0146】
第2の距離H2に対する第1の距離H1の比(H1/H2)は、1.1〜15であることが好ましい。この場合、この比が上記範囲を外れる場合に比べて、DSC50が外部から力を受けにくいため、DSC50が破壊しにくくなる。
【0147】
次に、DSCモジュール100の製造方法について
図3、
図7および
図8を参照しながら説明する。
図8は、
図4の第1一体化封止部を形成するための第1一体化封止部形成体を示す平面図である。
【0148】
まず1つの透明基板11の上に透明導電膜を形成してなる積層体を用意する。
【0149】
透明導電膜の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法(SPD:Spray Pyrolysis Deposition)又はCVD法などが用いられる。
【0150】
次に、
図3に示すように、透明導電膜に対して溝90を形成し、互いに溝90を介在させて絶縁状態で配置される透明導電膜12A〜12Fを形成する。具体的には、DSC50A〜50Dに対応する4つの透明導電膜12A〜12Dは、四角形状の本体部12a及び延出部12cを有するように形成する。このとき、DSC50A〜50Cに対応する透明導電膜12A〜12Cについては、延出部12cが張出し部12dのみならず、張出し部12dから延びて、隣りのDSC50の本体部12aに対向する対向部12eをも有するように形成する。また透明導電膜12Dについては、四角形状の本体部12a及び張出し部12dのみならず、第1電流取出し部12fと、第1電流取出し部12fと本体部12aとを接続する接続部12gとを有するように形成する。このとき、第1電流取出し部12fは、透明導電膜12Aに対し、透明導電膜12Bと反対側に配置されるように形成する。さらに、透明導電膜12Eは、第2電流取出し部12hが形成されるように形成する。このとき、第2電流取出し部12hは、透明導電膜12Aに対し、透明導電膜12Bと反対側に配置され、且つ、第1電流取出し部12fの隣りに溝90を介して配置されるように形成する。
【0151】
溝90は、例えばYAGレーザ又はCO
2レーザ等を光源として用いたレーザスクライブ法によって形成することができる。
【0152】
こうして、透明基板11の上に透明導電膜12を形成してなる透明導電性基板15が得られる。
【0153】
次に、透明導電膜12A〜12Cのうちの延出部12c上に、導電材接続部16Aと導電材非接続部16Bとで構成される接続端子16の前駆体を形成する。具体的には、接続端子16の前駆体は、導電材接続部16Aが対向部12e上に設けられるように形成する。また透明導電膜12Eにも接続端子16の前駆体を形成する。また導電材非接続部16Bの前駆体は、導電材接続部16Aの幅よりも狭くなるように形成する。接続端子16の前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
【0154】
さらに、透明導電膜12Dの接続部12gの上には集電配線17の前駆体を形成する。集電配線17の前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
【0155】
また、透明導電膜12Aの第1電流取出し部12f,第2電流取出し部12h上にはそれぞれ外部に電流を取り出すための外部接続部18a,18bの前駆体を形成する。外部接続端子の前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
【0156】
さらに透明導電膜12A〜12Dの各々の本体部12aの上に、酸化物半導体層13の前駆体を形成する。酸化物半導体層13の前駆体は、酸化物半導体粒子を含む多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、乾燥させることで形成することができる。
【0157】
酸化物半導体層形成用ペーストは、酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
【0158】
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又はバーコート法などを用いることができる。
【0159】
さらに、第1一体化封止部31が形成される領域であって、本体部12aの縁部に沿って形成される第1の溝90Aに入り込み且つ本体部12aの縁部をも覆うように、無機絶縁材33の前駆体を形成する。無機絶縁材33は、例えばガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成することができる。
【0160】
またバックシート80を固定するために、無機絶縁材33と同様にして、接着部91が形成される領域であって、無機絶縁材33を囲むように且つ透明導電膜12D、透明導電膜12E、透明導電膜12Fを通るように環状の連結部14の前駆体を形成する。
【0161】
最後に、接続端子16の前駆体、集電配線17の前駆体、外部接続部18の前駆体、無機絶縁材33の前駆体、連結部14の前駆体、酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成し、接続端子16、集電配線17、外部接続部18、無機絶縁材33、連結部14、および酸化物半導体層13を形成する。
【0162】
このとき、焼成温度は酸化物半導体粒子やガラスフリットの種類により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子やガラスフリットの種類により異なるが、通常は1〜5時間である。
【0163】
こうして、無機絶縁材33とバックシート80を固定するための連結部14が形成された作用極10が得られる。
【0164】
次に、作用極10の酸化物半導体層13に光増感色素を担持させる。このためには、作用極10を、光増感色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な光増感色素を洗い流し、乾燥させることで、光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させればよい。但し、光増感色素を含有する溶液を酸化物半導体層13に塗布した後、乾燥させることによって光増感色素を酸化物半導体層13に吸着させても、光増感色素を酸化物半導体層13に担持させることが可能である。
【0165】
次に、酸化物半導体層13の上に電解質40を配置する。
【0166】
次に、
図8に示すように、第1一体化封止部31を形成するための第1一体化封止部形成体131を準備する。第1一体化封止部形成体131は、第1一体化封止部31を構成する材料からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムにDSC50の数に応じた四角形状の開口131aを形成することによって得ることができる。第1一体化封止部形成体131は、複数の第1封止部形成体131Aを一体化させてなる構造を有する。
【0167】
そして、この第1一体化封止部形成体131を、作用極10の上に接着させる。このとき、第1一体化封止部形成体131は、無機絶縁材33と重なるように作用極10に接着する。第1一体化封止部形成体131の作用極10への接着は、第1一体化封止部形成体131を加熱溶融させることによって行うことができる。また第1一体化封止部形成体131は、透明導電膜12の本体部12aが第1一体化封止部形成体131の内側に配置されるように作用極10に接着する。
【0168】
一方、DSC50の数と同数の対極20を用意する。
【0169】
対極20は、金属基板21上に、対極20の表面における還元反応を促進する導電性の触媒層22を形成することにより得ることができる。
【0170】
次に、上述した第1一体化封止部形成体131をもう1つ用意する。そして、複数の対極20の各々を、第1一体化封止部形成体131の各開口131aを塞ぐように貼り合わせる。
【0171】
次に、対極20に接着した第1一体化封止部形成体131と、作用極10に接着した第1一体化封止部形成体131とを重ね合わせ、第1一体化封止部形成体131を加圧しながら加熱溶融させる。こうして作用極10と対極20との間に第1一体化封止部31が形成される。このとき、対極20のうち透明導電性基板15側の面と第1一体化封止部31の仕切部31bとの接着部の幅Pが、対極20のうち透明導電性基板15側の面と第1一体化封止部31の環状部31aとの接着部の幅Qよりも狭くなるように第1一体化封止部31を形成する。また第1一体化封止部31の仕切部31bの幅Rは、第1一体化封止部31の環状部31aの幅Tの100%以上200%未満となるように第1一体化封止部31を形成する。第1一体化封止部31の形成は、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
【0172】
次に、第2一体化封止部32を準備する(
図5参照)。第2一体化封止部32は、複数の第2封止部32Aを一体化させてなる構造を有する。第2一体化封止部32は、1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムにDSC50の数に応じた四角形状の内側開口32cを形成することによって得ることができる。第2一体化封止部32は、第1一体化封止部31と共に対極20の縁部20aを挟むように対極20に貼り合わせる。第2一体化封止部32の対極20への接着は、第2一体化封止部32を加熱溶融させることによって行うことができる。
【0173】
突出部32dは、第2一体化封止部32を加熱溶融する際に、熱を伝えるために第2一体化封止部32に押し当てる熱治具にあらかじめ凹凸を設け、突出部32dを形成したい部分には、凹部を押し当てることで突出部を形成することができる。
【0174】
封止用樹脂フィルムとしては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。第2一体化封止部32の形成のための封止用樹脂フィルムの構成材料は、第1一体化封止部31の形成のための封止用樹脂フィルムの構成材料と同一のものであることが好ましい。この場合、第1封止部31Aと第2封止部32Aは、強固に接着し、第1封止部31Aと第2封止部32Aの界面をなくことができるため、界面から電解質の漏えいや外部からの水分の侵入を防止することができる。
【0175】
次に、第2封止部32Aの仕切部32bにバイパスダイオード70A,70B,70Cを固定する。またDSC50Dの封止部30A上にもバイパスダイオード70Dを固定する。
【0176】
そして、バイパスダイオード70A〜70Dを通るように導電材60QをDSC50B〜50Cの対極20の金属基板21に固定する。さらにバイパスダイオード70A,70B間、バイパスダイオード70B,70C間、バイパスダイオード70C,70D間の各導電材60Qと、透明導電膜12A上の導電材接続部16A、透明導電膜12B上の導電材接続部16A、透明導電膜12C上の導電材接続部16Aとをそれぞれ接続するように導電材60Pを形成する。また、透明導電膜12E上の導電材接続部16Aとバイパスダイオード70Aとを接続するようにDSC50Aの対極20の金属基板21に導電材60Pを固定する。さらに、透明導電膜12Dとバイパスダイオード70Aとを導電材60Pによって接続する。
【0177】
このとき、導電材60Pは、導電材60Pを構成する金属材料を含むペーストを用意し、このペーストを、対極20から、隣りのDSC50の接続端子16の導電材接続部16Aにわたって塗布し、硬化させる。導電材60Qは、導電材60Qを構成する金属材料を含むペーストを用意し、このペーストを、各対極20上に隣り合うバイパスダイオードを結ぶように塗布し、硬化させる。このとき、上記ペーストとしては、光増感色素への悪影響を避ける観点から、90℃以下の温度で硬化させることが可能な低温硬化型のペーストを用いることが好ましい。
【0178】
最後に、バックシート80を用意する。そして、このバックシート80の周縁部80aを、接着部91を介して、連結部14の環状領域14aに接着させる。このとき、接着部91とDSC50の封止部30Aとが離間するように且つバックシート80と対極20とが離間するようにバックシート80の周縁部80aを、接着部91を介して連結部14の環状領域14aに接着させる。またこのとき、接着部91の厚さは、第1の距離H1を第2の距離H2よりも大きくすることができるように調整する。
【0179】
以上のようにしてDSCモジュール100が得られる。
【0180】
なお、上述した説明では、接続端子16、集電配線17、外部接続部18、無機絶縁材33、連結部14、および酸化物半導体層13を形成するために、接続端子16の前駆体、集電配線17の前駆体、外部接続部18の前駆体、無機絶縁材33の前駆体、連結部14の前駆体、酸化物半導体層13の前駆体を一括して焼成する方法を用いているが、接続端子16、集電配線17、外部接続部18、無機絶縁材33、連結部14、および酸化物半導体層13はそれぞれ別々に前駆体を焼成して形成してもよい。
【0181】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、第1封止部31Aは、隣り合う第1封止部31A同士が一体化されて第1一体化封止部31を構成しているが、隣り合う第1封止部31A同士は、一体化されていなくてもよい。同様に、第2封止部32A同士は、隣り合う対極20の間で一体化され、第2一体化封止部32を構成しているが、第2封止部32A同士は一体化されていなくてもよい。
【0182】
また上記実施形態では、突出部32dは、電解質40の上方の領域に設けられているが、第1封止部31Aの上方の領域に設けられてもよい。この場合でも、内圧の変化や、外力によって、封止部30Aに加わる応力を、突出部32dによって抑制することができる。
【0183】
また上記実施形態では、突出部32dは、
図5に示すように、環状部32aの全周に渡って設けられているが、全周に渡って設けられていなくてもよい。この場合、DSC50が上記実施形態のように長方形の場合、突出部32dは、少なくとも長辺に対応する位置に設けられていることが好ましい。DSC50が長方形の場合、短辺よりも長辺により応力が加わるため、長辺に対応する位置に設けられる第2封止部32Aが突出部32dを有することで、応力を十分に緩和することができる。
【0184】
さらに上記実施形態では、DSCモジュール100の第2一体化封止部32が突出部32dを有しているが、
図9に示すDSCモジュール200のように、第2一体化封止部32は突出部32dを有していなくてもよい。すなわち第2一体化封止部32は本体部32eのみで構成されていてもよい(
図10〜
図12参照)。
【0185】
またDSCモジュール200では、対極20とバックシート80とが接着材によって接続されていないが、
図13に示すDSCモジュール300のように、対極20とバックシート80とが接着材98によって接続されていてもよい。
【0186】
DSCモジュール300によれば、対極20とバックシート80とが接着材98によって接続されているため、バックシート80が対極20に近づくことが接着材98によって十分に抑制される。このため、DSC50同士間の短絡の発生をより十分に防止することが可能となる。また、バックシート80と対極20とが接着材98で接続されているため、バックシート80とDSC50と接着部91とによって形成される空間が熱膨張又は熱収縮を起こした場合、バックシート80にかかる応力がバックシート80と接着部91との間の界面のみならず、バックシート80と接着材98との界面にもかかる。すなわち、バックシート80と接着部91との間の界面に応力が集中することが十分に抑制される。その結果、バックシート80と接着部91との界面にかかる応力が十分に低減され、バックシート80が接着部91から剥離することが十分に抑制される。よって、DSCモジュール300は、より優れた耐久性を有することが可能となる。
【0187】
接着材98は、対極20とバックシート80とを接着させることができるものであれば特に制限されない。このような接着材98としては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ニトリルゴム、ニトロセルロース、フェノール樹脂、天然ゴム、膠及び漆などが挙げられる。
【0188】
またDSCモジュール200は、対極20のうちバックシート80側の面20bに接着される乾燥材をさらに有してはいないが、
図14に示すDSCモジュール400のように、対極20のうちバックシート80側の面20bに、接着材398を介して接着される乾燥材95が設けられていてもよい。すなわち、乾燥材95が、対極20とバックシート80との間に設けられていてもよい。
【0189】
DSCモジュール400によれば、バックシート80とDSC50と接着部91とによって形成される空間に侵入した水分が乾燥材95で吸収されるため、封止部30Aを通じて電解質40に侵入する水分を十分に低減することが可能となる。このため、DSCモジュール400は、より優れた耐久性を有することが可能となる。また乾燥材95は、対極20とバックシート80との間に設けられるため、入射光を遮ることもない。
【0190】
乾燥材95は、シート状であっても、粒状であってもよい。乾燥材95は、例えば水分を吸収するものであればよく、乾燥材95としては、例えばシリカゲル、アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。
【0191】
乾燥材95がシート状である場合、乾燥材95の厚さは特に制限されるものではないが、0.1〜5mmであることが好ましい。この場合、乾燥材95の厚さが上記範囲を外れる場合に比べて、より十分に水分を吸収でき、バックシート80が各DSC50の裏面形状に沿って貼り付いた場合でも、バックシート80が破れることをより十分に抑制することができる。
【0192】
接着材398は、対極20と乾燥材95とを接着させることができるものであれば特に制限されない。このような接着材398としては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ニトリルゴム、ニトロセルロース、フェノール樹脂、天然ゴム、膠及び漆などが挙げられる。
【0193】
またDSCモジュール200では、乾燥材95とバックシート80とが接続されていないが、
図15に示すDSCモジュール500のように、乾燥材95とバックシート80とが接着材399によってさらに接続されていてもよい。
【0194】
DSCモジュール500によれば、乾燥材95と対極20とが接着材398で接続され、且つ乾燥材95とバックシート80とが接着材399によって接続されていない場合に比べて、各DSC50に対する乾燥材95の位置ずれや各DSC50からの乾燥材95の剥離をより十分に抑制することができる。このため、バックシート80とDSC50と接着部91とによって形成される空間に侵入した水分を吸収する効果が変動しにくくなる。その結果、DSCモジュール500は、より優れた耐久性を安定的に有することが可能となる。
【0195】
接着材399は、乾燥材95とバックシート80とを接着させることができるものであれば特に制限されない。このような接着材399としては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ニトリルゴム、ニトロセルロース、フェノール樹脂、天然ゴム、膠及び漆などを用いることができる。 なお、上記実施形態では、酸素吸収材がバックシート80と透明導電性基板15との間に設けられることが好ましい。この場合、酸素吸収材によって酸素が十分に吸収される。このため、接着部91に曝される酸素の量が十分に低減される。その結果、接着部91の劣化が十分に抑制され、接着部91の寿命を延ばすことができる。別言すると、DSCモジュール300〜500に対してより優れた耐久性を付与することができる。
【0196】
酸素吸収材は、バックシート80と透明導電性基板15との間であればいかなる位置に配置されてもよいが、バックシート80内面上に設けられることが好ましい。また酸素吸収剤が用いられる場合には、乾燥材95も用いられることが好ましい。
【0197】
上記酸素吸収材は、酸素を吸収し得る材料であれば特に限定されるものではない。例えば酸素吸収材としては、例えば炭酸鉄、塩化ナトリウム及び活性炭が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
【0198】
また上記実施形態では、第2封止部32Aは、第1封止部31A上に設けられているが、第1封止部31Aと接着さえしていれば、第1封止部31Aの側面を覆い、無機絶縁材33に接着していてもよいし、さらに無機絶縁材33の側面を覆い、透明導電性基板15と接着していてもよい。
【0199】
また上記実施形態では、第1の距離H1が、第2の距離H2よりも大きくなっている。このことは、上記第2の課題を解決する観点からは必要であるが、上記第1の課題を解決するという観点からは、必ずしも必要ではない。すなわち第1の距離H1は、第2の距離H2以下であってもよい。
【0200】
またDSCモジュール100においては、DSC50の対極20とバックシート80との間に乾燥材95が設けられていないが、
図16に示すDSCモジュール600のように、DSC50の対極20とバックシート80との間に対極20に接するように乾燥材95を設けてもよい。この場合、乾燥材95は、全DSC50のうち少なくとも1つのDSC50の対極20とバックシート80との間に設けられていればよいが、全DSC50の対極20とバックシート80との間に乾燥材95を設けた方が好ましい。
【0201】
具体的には、乾燥材95は、対極20のうち作用極10と反対側の面上、すなわちバックシート80側の面上に、バックシート80側に突出するように設けられている。また対極20のうち乾燥材95と対極20との界面20bの外側領域20cとバックシート80との間には、外側領域20c及び乾燥材95に接するように第1の空間96が形成されている。ここで、界面20bは、対極20のうちバックシート80側、すなわち透明導電性基板15と反対側の面の面積よりも小さくなっている。しかも、本実施形態では、第1の空間96は、乾燥材95と第2封止部32Aとの間に形成されている。このため、バックシート80の外側からバックシート80を通ってDSC50側に侵入する水分は、この第1の空間96に集まりやすくなる。ここで、第1の空間96は乾燥材95と接するように形成されているため、第1の空間96に集まった水分は乾燥材95に吸収される。その結果、第1の空間96における水分濃度は常時低くなるため、第1の空間96に水分が集まりやすくなる。また第1の空間96は対極20の外側領域20cに接するように形成されており、対極20は通常、封止部30Aに比べて水分が透過しにくい。このため、DSC50の電解質40に水分が侵入することが十分に抑制される。その結果、DSCモジュール100は、優れた耐久性を有することが可能となる。
【0202】
また封止部30Aとバックシート80との間には第2の空間97が形成されており、この第2の空間97は第1の空間96と連通している。この場合、バックシート80の外側からバックシート80を通って第2の空間97に水分が侵入する場合がある。第2の空間97は、バックシート80と封止部30Aとの間に形成されているため、第2の空間97に水分が侵入すると、通常であれば、封止部30Aを通して電解質40に侵入しやすくなる。その点、DSCモジュール100では、第2の空間97は第1の空間96に連通している。しかも、第1の空間96に集まった水分は乾燥材95によって吸収されるため、第1の空間96においては水分濃度が常時低い状態となる。このため、第2の空間97に集まった水分は第1の空間96へと拡散しやすくなる。そのため、第2の空間97に集まった水分が封止部30Aを通して電解質40中に侵入することが十分に抑制される。
【0203】
さらに各DSC50において、乾燥材95は対極20に固定されている。この場合、乾燥材95が対極20に固定されているため、対極20に対する乾燥材95の位置ずれが起こりにくくなる。このため、優れた耐久性を安定的に有することが可能となる。
【0204】
またDSCモジュール600では、対極20の上にのみ乾燥材95が設けられているが、
図17に示すDSCモジュール700のように、隣り合う2つのDSC50の対極20に跨るように別の乾燥材701が設けられていてもよい。
【0205】
隣り合う2つのDSC50の対極20同士が互いに離間していると、隣り合う2つのDSC50の封止部30Aが水分に曝されやすくなる。その点、隣り合う2つのDSC50の対極20同士が互いに離間している場合に、隣り合う2つのDSC50の対極20に跨るように別の乾燥材701がさらに設けられていると、別の乾燥材701によって水分が十分に吸収されるため、封止部30Aが水分に曝されにくくなる。その結果、水分が封止部30Aを通って電解質40中に侵入することが十分に抑制される。従って、このDSCモジュール700は、優れた耐久性を有することが可能となる。
【0206】
乾燥材701の材質及び厚さは、乾燥材95と同様である。
【0207】
さらにDSCモジュール600,700では、各DSC50において、乾燥材95が対極20に固定されているが、乾燥材95は対極20上に配置されていればよく、必ずしも固定されている必要はない。
【0208】
さらにまた、DSCモジュール600において、各DSC50の乾燥材95は互いに離間して配置されているが、これらの乾燥材95を互いに結合させて1つの乾燥材としてもよい。
【0209】
さらに、DSCモジュール600,700では、バックシート80が乾燥材95と離間しているが、バックシート80は、乾燥材95及び乾燥材201と接触していてもよい。この場合でも、乾燥材95が対極20に対してバックシート80側に突出するように設けられているので、対極20の外側領域20cとバックシート80との間に第1の空間96を形成することが可能である。
【0210】
また上記実施形態では、集電体19として、接続端子16及び集電配線17の両方が設けられているが、どちらか一方を設けていればよい。また、他に集電体19を構成するものが設けられているのであれば、接続端子16及び集電配線17の両方とも設けられていなくてもよい。例えば、
図18に示すDSCモジュール800のように、DSC50A〜50Dの一部であるDSC50C、50Dを途中で折り返し、DSC50AとDSC50Dとをそれらが互いに隣り合うように配置した場合、透明導電膜12Dは、DSCモジュール100と異なり、本体部12aと第1電流取出し部12fとの間に接続部12gを設ける必要がなく、集電配線17も設ける必要がない。
【0211】
また上記実施形態では、集電体19は、隣接する2つのDSC50の間には設けられていないが、隣接する2つのDSC50の間に集電体19が設けられていてもよい。
【0212】
また上記実施形態では、集電体19は、接着部91の内周面91bの内側に設けられているが、接着部91の内周面91bの内側に設けられていなくてもよい。すなわち集電体19は、接着部91の外周面91aの内側に設けられていればよいので、集電体19は、接着部91と透明導電膜12との間に設けられていてもよい。
【0213】
また上記実施形態では、接着部91と透明導電性基板15との連結部14と交差する第2の溝90Bが、無機絶縁材33で覆われていないが、
図19に示すDSCモジュール900のように、第2の溝90Bは、無機絶縁材33で覆われていることが好ましい。なお、
図19において、バックシート80は省略してある。
図19に示すように、第2の溝90Bが連結部14と交差していると、その第2の溝90Bを通じて水分がバックシート80とDSC50と接着部91とによって形成される空間に侵入することが可能となる。この場合、第2の溝90Bに無機絶縁材33が入り込み、無機絶縁材33が、透明導電膜12のうち本体部12aを除く部分の縁部をも覆っていることで、バックシート80や接着部91の外側から内側への水分の侵入が十分に抑制される。このため、バックシート80とDSC50と接着部91とによって形成される空間に侵入した水分が封止部30Aを通じて封止部30Aの内側に入り込むことが十分に抑制される。このため、DSCモジュール900の耐久性の低下を十分に抑制することが可能となる。
【0214】
さらに上記実施形態では、第1電流取出し部12fおよび第2電流取出し部12hが、DSC50A側の周囲に配置されているが、
図20に示すDSCモジュール1000に示すように、第1電流取出し部12fおよび第2電流取出し部12hは、DSC50D側の周囲に配置されていてもよい。この場合、第1電流取出し部12fは、透明導電膜12Dの本体部12aに対しDSC50Cと反対側に封止部30Aの外側まで突出するように設けられる。一方、第2電流取出し部12hは、透明導電膜12Dの本体部12aに対しDSC50Cと反対側に設けられる。また透明導電膜12A〜12Dに沿って第2接続部としての接続部12iが延びており、この接続部12iが、第2電流取出し部12fとDSC50Aの対極20の金属基板21とを接続している。具体的には、接続部12iの上に、接続部12iに沿って集電配線1017が設けられ、この集電配線1017とバイパスダイオード70Aから延びる導電材60Pとが接続されている。このDSCモジュール1000によっても、優れた光電変換特性を有しながら省スペース化を図ることができる。なお、この場合に、接続部12iの抵抗値が、下記式(1)で表される抵抗値以下であることが好ましいのは、上記実施形態と同様である。
抵抗値=直列接続されるDSC50の数×120Ω (1)
【0215】
また上記実施形態では、外部接続部18が設けられているが、外部接続部18は設けられていなくてもよい。
【0216】
さらに上記実施形態では、
図21に示すように、第1封止部31Aと無機絶縁材33との間の一部、及び、無機絶縁材33と透明導電性基板15との間の一部には、多孔質無機部34が設けられていることが好ましい。ここで、多孔質無機部34は、第1封止部31Aと無機絶縁材33との間に設けられる第1多孔質無機部34Aと、無機絶縁材33と透明導電性基板15との間の一部に設けられる第2多孔質無機部34Bとを有する。第1多孔質無機部34Aは、第1封止部31Aと無機絶縁材33とに内包されている。一方、第2多孔質無機部34Bは、無機絶縁材33と透明導電性基板15とに内包されている。具体的には
図22に示すように、第1多孔質無機部34A、及び、第2多孔質無機部34Bは、それぞれ多数の無機粒子34aを有し、多数の無機粒子34aの粒子が重なり合って3次元的に積層され、無機粒子34aの粒子間に空隙ができることにより多孔質となっている。無機粒子34a同士は、互いに接続されていても接続されていなくてもよい。また、多孔質無機部34の多孔質の内部までは、周囲の材料が入り込んでいない。また、多孔質無機部34は、DSCモジュール100を平面視した場合、ドット状に点在しており、第1封止部31Aや無機絶縁材33のように酸化物半導体層13の全周を囲むようには設けられていない(図示せず)。
【0217】
この場合、DSCモジュール100では、第1封止部30Aと無機絶縁材33との間の一部、及び、無機絶縁材33と透明導電性基板15との間の一部に、多孔質無機部34が設けられている。第1封止部30Aと無機絶縁材33との間、及び、無機絶縁材33と透明導電性基板15との間には、熱膨張率の違いによって、潜在的に内部応力が加わっているが、多孔質無機部34が設けられていることにより、多孔質無機部34の周囲の材料は流動しやすくなり、潜在的に加わっている内部応力を緩和することができる。このため、DSCモジュール100は、より優れた耐久性を有することが可能となる。
【0218】
多孔質無機部34の無機粒子34aを構成する材料としては、酸化物半導体、ガラスフリット、及び、金属などが挙げられる。このような、酸化物半導体の粒子としては、例えば酸化チタン(TiO
2)、酸化シリコン(SiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO
3)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)、酸化スズ(SnO
2)、酸化インジウム(In
3O
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化タリウム(Ta
2O
5)、酸化ランタン(La
2O
3)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化ホルミウム(Ho
2O
3)、酸化ビスマス(Bi
2O
3)、酸化セリウム(CeO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)又はこれらの2種以上が好適に用いられる。
【0219】
多孔質無機部34の厚さは通常、0.5〜20μmであり、好ましくは2〜10μmである。多孔質無機部34の幅は、通常1〜50μmである。また、多孔質無機部34を構成する粒子の粒子径としては、通常、10〜600nmであり、好ましくは20〜400nmである。この場合、10nm未満である場合に比べて、十分に内部応力を緩和することができる。一方、600nmよりも大きい場合に比べて、粒子の隙間を通じて電解質40の漏えいや水分の侵入が起きることを十分に抑制することができる。
【0220】
ここで、第2多孔質無機部34Bは以下のようにして形成することができる。すなわち、透明導電性基板15上であって、本体部12aの縁部にドット状に、第2多孔質無機部34Bの前駆体を形成し、この前駆体を焼成することにより形成することができる。第2多孔質無機部34Bの前駆体は、例えば無機粒子を含む多孔質無機部層形成用ペーストを印刷した後、乾燥させることで形成することができる。
【0221】
多孔質無機部形成用ペーストは、無機粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テルピネオールなどの溶媒を含む。
【0222】
多孔質無機部形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又はバーコート法などを用いることができる。
【0223】
さらに、第2多孔質無機部34Bの前駆体を覆い、本体部12aの縁部に沿って形成される第1の溝90Aに入り込み且つ本体部12aの縁部をも覆うように、無機絶縁材33の前駆体を形成する。無機絶縁材33は、例えばガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成することができる。
【0224】
第1多孔質無機部34Aも第2多孔質無機部34Bと同様にして形成することができる。
【0225】
なお、多孔質無機部34は、第1多孔質無機部34Aと第2多孔質無機部34Bのどちらか一方のみで構成されてもよい。
【0226】
また上記実施形態では、対極20は金属基板21を有しているが、金属基板21に変えて、絶縁性基板とこの絶縁性基板の電解質側に設けられる導電層を用いてもよい。絶縁性基板の材料としては、透明基板11と同様の材料を用いることができる。また、導電層の材料としては、透明導電膜12と同様の材料を用いることができる。この場合、対極20を接続端子16の上部まで延出させ、対極20の導電層と接続端子16を導電材60Pを介して接続させることで、複数のDSC50を直列接続することができる。
【0227】
また上記実施形態では、溝90が第2の溝90Bを有しているが、第2の溝90Bは必ずしも形成されていなくてもよい。
【0228】
また上記実施形態では酸化物半導体層13は、透明導電性基板15上に形成されているが、金属基板21上に形成されてもよい。この場合、金属基板21は触媒層22を有さず、透明導電性基板15上に触媒層22を形成すればよい。
【0229】
また上記実施形態では、接続端子16の導電材接続部16Aおよび導電材非接続部16Bの幅が一定とされているが、導電材接続部16Aおよび導電材非接続部16Bの幅はそれぞれ、接続端子16の延び方向に沿って変化してもよい。例えば導電材非接続部16Bのうち導電材接続部16Aから最も遠い側の端部から最も近い側の端部に向かって幅が単調に増加し、導電材接続部16Aのうち導電材非接続部16B側の端部から導電材非接続部16Bより最も遠い側の端部に向かって幅が単調に増加してもよい。
【0230】
また上記実施形態では、導電材接続部16Aおよび導電材非接続部16Bはそれぞれ封止部30Aに沿って設けられているが、これらは、封止部30Aから遠ざかる方向に延びるように形成されていてもよい。但し、この場合、導電材接続部16Aが導電材非接続部16Bよりも封止部30Aに近い位置に配置されていることが好ましい。この場合、導電材60Pをより短くすることができる。
【0231】
あるいは、透明導電膜12A〜12C上に形成される接続端子16においては、導電材非接続部16Bは、導電材接続部16Aに直交するように配置されてもよい。
【0232】
また導電材接続部16A、導電材非接続部16Bの幅以下であってもよい。
【0233】
また上記実施形態では、第2封止部32Aが第1封止部31Aに接着されているが、第2封止部32Aは第1封止部31Aに接着されていなくてもよい。
【0234】
さらに上記実施形態では、封止部30Aが第1封止部31Aと第2封止部32Aとで構成されているが、第2封止部32Aは省略されてもよい。
【0235】
また上記実施形態では、対極20と第1一体化封止部31の仕切部31bとの接着部の幅Pは、対極20と第1一体化封止部31の環状部31aとの接着部の幅Qよりも狭くなっているが、接着部の幅Pは、接着部の幅Q以上であってもよい。
【0236】
さらに、上記実施形態では、第1一体化封止部31の仕切部31bの幅Rは、第1一体化封止部31の環状部31aの幅Tの100%以上200%未満となっているが、仕切部31bの幅Rは、第1一体化封止部31の環状部31aの幅Tの100%未満であってもよく、200%以上であってもよい。
【0237】
また上記実施形態では、接着部91と透明導電膜12とが、ガラスフリットからなる連結部14を介して接着されているが、接着部91と透明導電膜12とは、必ずしも連結部14を介して接着されている必要はない。
【0238】
さらに上記実施形態では、連結部14と無機絶縁材33とが離間しているが、これらはいずれもガラスフリットで構成され、一体化されていることが好ましい。この場合、バックシート80とDSC50と接着部91とによって形成される空間において水分が侵入したとしても、連結部14と透明導電性基板15との間の界面、封止部30Aと透明導電性基板15との間の界面が存在しなくなる。また無機絶縁材33も連結部14も無機物からなり、樹脂に比べ高い封止能を有する。このため、連結部14と透明導電性基板15との間の界面や無機絶縁材33と透明導電性基板15との間の界面を通じた水分の侵入を十分に抑制することができる。
【0239】
また上記実施形態では、無機絶縁材33は無機物からなっているが、無機絶縁材33を構成する材料は、第1封止部30Aを構成する材料よりも高い融点を有するものであればよい。このため、このような材料としては、ガラスフリットが挙げられる。また無機絶縁材33に代えて有機絶縁材を用いることもできる。このような有機絶縁材としては、例えばポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。この場合、封止部30Aが高温時に流動性を有するようになっても、有機絶縁材は、無機絶縁材と同様、熱可塑性樹脂からなる場合に比べて高温時でも流動化しにくい。このため、透明導電性基板15と対極20との接触が十分に抑制され、透明導電性基板15と対極20との間の短絡を十分に抑制できる。
【0240】
さらに上記実施形態では、複数のDSC50が直列接続されているが、並列接続されていてもよい。
【0241】
また、上記実施形態では、DSCモジュール100は、DSC50を複数有するが、
図23に示す色素増感太陽電池素子1100のように、DSC50は1つでもよい。この場合、バックシート80は、1つのDSC50を囲むように設けられていればよく、この場合であっても、集電体19は、封止部30Aの外側であって、接着部91の外周面91aの内側に設けられることが好ましい。
なお、
図23に示す色素増感太陽電池素子1100は、DSC50A〜DSC50Cを省略し、第2電流取出部12h上に設けられた接続端子16と、DSC50Dの対極20の金属基板21とが導電材60Pを介して電気的に接続されている。また色素増感太陽電池素子1100においては、接続端子16が導電材接続部16Aのみで構成され、この導電材接続部16Aは、封止部30Aと連結部14との間に配置されている。すなわち、導電材接続部16Aは、DSC50Dの透明導電膜12Dのうちの本体部12aの側縁部12bに対向する位置に配置されていない。このため、第1実施形態のDSCモジュール100において導電材接続部16Aが配置されていた部分のスペースまで酸化物半導体層13を拡大することが可能となる。この場合、無駄なスペースが有効利用されるとともに発電面積を拡大することができる。 また上記実施形態では、DSC50の数が4つであるが、複数の場合、4つに限定されるものではない。このようにDSC50を複数有する場合は、
図18に示すように、DSC50A〜50Dの一部を途中で折り返す場合よりも、
図2に示すように、DSC50を一定方向に配列することが好ましい。このようにDSC50を一定方向に配列する場合、DSC50の数として、偶数、奇数のいずれをも選択することが可能となり、DSC50の数を自由に決定することができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0242】
また上記実施形態では、対極20が対向基板を構成しているが、対向基板として、対極20に代えて、絶縁性基板を用いてもよい。この場合、絶縁性基板と封止部30Aと透明導電性基板15との間の空間に酸化物半導体層、多孔質絶縁層及び対極で構成される構造体が配置される。構造体は、透明導電性基板15のうち対向基板側の面上に設けることができる。構造体は、透明導電性基板15側から順に、酸化物半導体層、多孔質絶縁層及び対極で構成される。また上記空間には電解質が配置されている。電解質は、酸化物半導体層及び多孔質絶縁層の内部にまで含浸される。ここで、絶縁性基板としては、例えばガラス基板又は樹脂フィルムなどを用いることができる。また対極としては、上記実施形態の対極20と同様のものを用いることができる。あるいは、対極は、例えばカーボン等を含む多孔質の単一の層で構成されてもよい。多孔質絶縁層は、主として、多孔質酸化物半導体層と対極との物理的接触を防ぎ、電解質を内部に含浸させるためのものである。このような多孔質絶縁層としては、例えば酸化物の焼成体を用いることができる。
【実施例】
【0243】
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0244】
(実施例1)
まずガラスからなる厚さ1mmの透明基板の上に、厚さ1μmのFTOからなる透明導電膜を形成してなる積層体を準備した。次に、
図3に示すように、CO
2レーザ(ユニバーサルシステム社製V−460)によって透明導電膜12に溝90を形成し、透明導電膜12A〜12Fを形成した。このとき、溝90の幅は1mmとした。また透明導電膜12A〜12Cはそれぞれ、4.6cm×2.0cmの四角形状の本体部と、本体部の片側側縁部から突出する延出部とを有するように形成した。また透明導電膜12Dは、4.6cm×2.1cmの四角形状の本体部と、本体部の片側側縁部から突出する延出部とを有するように形成した。また透明導電膜12A〜12Dのうち3つの透明導電膜12A〜12Cの延出部12cについては、本体部12aの片側縁部12bから張り出す張出し部12dと、張出し部12dから延びて、隣りの透明導電膜12の本体部12aに対向する対向部12eとで構成されるようにした。また透明導電膜12Dの延出部12cについては、本体部12aの片側縁部12bから張り出す張出し部12dのみで構成されるようにした。このとき、張出し部12dの張出し方向(
図2のX方向に直交する方向)の長さは2.1mmとし、張出し部12dの幅は9.8mmとした。また対向部12eの幅は2.1mmとし、対向部12eの延び方向の長さは9.8mmとなるようにした。
【0245】
また透明導電膜12Dについては、本体部12aおよび延出部12cのみならず、第1電流取出し部12fと、第1電流取出し部12fと本体部12aとを接続する接続部12gとを有するように形成した。透明導電膜12Eについては、第2電流取出し部12hを有するように形成した。このとき、接続部12gの幅は、1.3mmとし、長さは59mmとした。また接続部12gの抵抗値を四端子法にて測定したところ、100Ωであった。
【0246】
次に、透明導電膜12A〜12Cのうちの延出部12c上に、導電材接続部16Aと導電材非接続部16Bとで構成される接続端子16の前駆体を形成した。具体的には、接続端子16の前駆体は、導電材接続部16Aの前駆体が対向部12e上に設けられるように、導電材非接続部16Bの前駆体が張出し部12d上に設けられるように形成した。このとき、導電材非接続部16Bの前駆体は、導電材接続部16Aの幅よりも狭くなるように形成した。接続端子16の前駆体は、スクリーン印刷により銀ペースト(福田金属箔粉工業社製「GL−6000X16」)を塗布し乾燥させることで形成した。
【0247】
さらに、透明導電膜12Dの接続部12gの上に集電配線17の前駆体を形成した。集電配線17の前駆体は、スクリーン印刷により銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成した。
【0248】
また、透明導電膜12Aの第1電流取出し部12f,第2電流取出し部12h上にそれぞれ外部に電流を取り出すための外部接続部18a,18bの前駆体を形成した。外部接続端子の前駆体は、スクリーン印刷により銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成した。
【0249】
さらに透明導電膜12A〜12Dの各々の本体部12aの上に、酸化物半導体層13の前駆体を形成した。酸化物半導体層13の前駆体は、チタニアを含む多孔質酸化物半導体層形成用ペースト(日揮触媒化成社製「PST−21NR」)をスクリーン印刷により3回塗布し、乾燥させた後、さらにチタニアを含む多孔質酸化物半導体層形成用ペースト(日揮触媒化成社製「PST−400C」)をスクリーン印刷により塗布した後、乾燥させることで形成した。
【0250】
また、無機絶縁材33の前駆体を、第1の溝90Aに入り込み且つ第1の溝90Aを形成している本体部12aの縁部を覆うように形成した。無機絶縁材33は、スクリーン印刷によりガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成した。このとき、無機絶縁材33で覆った透明導電膜の縁部は、溝90から0.2mmの部分とした。
【0251】
さらにバックシート80を固定するために、無機絶縁材33と同様にして、無機絶縁材33を囲むように且つ透明導電膜12D、透明導電膜12E、透明導電膜12Fを通るようにガラスフリットからなる環状の連結部14の前駆体を形成した。またこのとき、連結部14の前駆体は、その内側に集電配線17の前駆体が配置されるように形成した。また連結部14は、その外側に、第1電流取出し部および第2電流取出し部が配置されるように形成した。連結部14は、スクリーン印刷によりガラスフリットを含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成した。
【0252】
次に、接続端子16の前駆体、集電配線17の前駆体、外部接続部18a,18bの前駆体、無機絶縁材33の前駆体、連結部14の前駆体、無機絶縁材33の前駆体、酸化物半導体層13の前駆体を500℃で15分間焼成し、接続端子16、集電配線17、外部接続部18a,18b、連結部14、無機絶縁材33および酸化物半導体層13を形成した。このとき、接続端子16のうち導電材接続部の幅は1.0mmであり、導電材非接続部の幅は0.3mmであった。また導電材接続部の延び方向に沿った長さは7.0mmであり、導電材非接続部の延び方向に沿った長さは7.0mmであった。また集電配線17、外部接続部18a,18b、連結部14、および酸化物半導体層13の寸法はそれぞれ以下の通りであった。
集電配線17:厚さ4μm、幅200μm、
図2のX方向に沿った長さ79mm、
図2のX方向に直交する方向に沿った長さ21mm
外部接続部18a,18b:厚さ20μm、幅2mm、長さ7mm
連結部14:厚さ(H1):50μm、幅3mm
酸化物半導体層13:厚さ13μm、
図2のX方向の長さ17mm、
図2のX方向に直交する方向の長さ42.1mm
【0253】
次に、作用極を、N719からなる光増感色素を0.2mM含み、溶媒を、アセトニトリルとtertブタノールとを1:1の体積比で混合してなる混合溶媒とした色素溶液中に一昼夜浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層に光増感色素を担持させた。
【0254】
次に、酸化物半導体層の上に、3−メトキシプロピオニトリルからなる溶媒中に、へキシルメチルイミダゾリウムヨージド2M、n−メチルベンゾイミダゾール0.3M、グアニジウムチオシアネート0.1Mからなる電解質を塗布し乾燥させて電解質を配置した。
【0255】
次に、第1封止部を形成するための第1一体化封止部形成体を準備した。第1一体化封止部形成体は、8.0cm×4.6cm×50μmの無水マレイン酸変性ポリエチレン(商品名:バイネル、デュポン社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、4つの四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、各開口が1.7cm×4.4cm×50μmの大きさとなるように、且つ、環状部の幅が2mm、環状部の内側開口を仕切る仕切部の幅が2.6mmとなるように第1一体化封止部形成体を作製した。
【0256】
そして、この第1一体化封止部形成体を、作用極上の無機絶縁材33に重ね合わせた後、第1一体化封止部形成体を加熱溶融させることによって作用極上の無機絶縁材33に接着させた。
【0257】
次に、4枚の対極を用意した。4枚の対極のうち2枚の対極は、4.6cm×1.9cm×40μmのチタン箔の上にスパッタリング法によって厚さ5nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。4枚の対極のうち残りの2枚の対極は、4.6cm×2.0cm×40μmのチタン箔の上にスパッタリング法によって厚さ5nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。また、上記第1一体化封止部形成体をもう1つ準備し、この第1一体化封止部形成体を、対極のうち作用極と対向する面に、上記と同様にして接着させた。
【0258】
そして、作用極に接着させた第1一体化封止部形成体と、対極に接着させた第1一体化封止部形成体とを対向させ、第1一体化封止部形成体同士を重ね合わせた。そして、この状態で第1一体化封止部形成体を加圧しながら第1一体化封止部形成体を加熱溶融させた。こうして作用極と対極との間に第1封止部を形成した。このとき、第1一体化封止部の仕切部と対極のうち透明導電性基板側の面との接着部の幅P、第1一体化封止部のうちの環状部と対極のうち透明導電性基板側の面との接着部の幅Q、第1一体化封止部の仕切部の幅R、環状部の幅T及び透明導電性基板15と対極20の表面20bとの間の距離H2はそれぞれ以下の通りであった。
P=1.0mm
Q=2.0mm
R=2.6mm
T=2.2mm
H2=0.08mm
【0259】
次に、第2一体化封止部を準備した。第2一体化封止部は、8.0cm×4.6cm×50μmの無水マレイン酸変性ポリエチレン(商品名:バイネル、デュポン社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、4つの四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、各開口が、1.7cm×4.4cm×50μmの大きさとなるように且つ、環状部の幅が2mmで、環状部の内側開口を仕切る仕切部の幅が2.6mmで、環状部及び仕切部の内側開口側に連続して設ける突出部の幅が0.3mmとなるように第2一体化封止部を作製した。第2一体化封止部は、第1一体化封止部と共に対極の縁部を挟むように対極に貼り合わせた。このとき、第2一体化封止部と同形状の真鍮製の枠状部材からなる熱治具を加熱し、第2一体化封止部に押し当て、第1一体化封止部及び第2一体化封止部を加熱溶融させることによって対極及び第1一体化封止部に貼り合せた。
【0260】
次に、各対極の金属基板上に、乾燥材シートを、両面テープからなる接着材で貼り付けた。乾燥材シートの寸法は、厚さ1mm×縦3cm×横1cmであり、乾燥材シートとしては、ゼオシート(商品名、品川化成社製)を用いた。このとき、乾燥材は、第2一体化封止部と離間するように配置した。
【0261】
次に、
図2に示すように、第2一体化封止部の3つの仕切部にそれぞれバイパスダイオード70A〜70Cを、低温硬化型の銀ペースト(藤倉化成社製、ドータイトD500)を、バイパスダイオードの両端の端子から対極20の金属基板21につながるように塗布することによって固定した。また4つのDSC50A〜50DのうちDSC50Dの第2一体化封止部の環状部上にバイパスダイオード70Dを、上記低温硬化型の銀ペーストを、ダイオードの両端の端子のうち一方の端子から対極につながるように塗布することによって固定した。こうして、4つのバイパスダイオード70A〜70Dに対して、隣り合う2つのバイパスダイオード同士を結ぶように導電材60Qを形成した。このとき、導電材60Qは、上記低温硬化型の銀ペーストを30℃で12時間硬化させることによって形成した。バイパスダイオードとしては、ローム社製RB751V−40を用いた。
【0262】
またバイパスダイオード間の各導電材60Qと、3つの透明導電膜12A〜12C上の導電材接続部とをそれぞれ接続するように低温硬化型の銀ペースト(藤倉化成社製、ドータイトD−500)を塗布し、硬化させることによって導電材60Pを形成した。さらにバイパスダイオード70Aについては、透明導電膜12E上の導電材接続部と接続するように上記低温硬化型の銀ペーストを塗布し硬化させることによって導電材60Pを形成した。このとき、導電材60Pは、上記低温硬化型の銀ペーストを、30℃で12時間硬化させることによって形成した。
【0263】
次に、ブチルゴム(アイカ工業社製「アイカメルト」)を200℃で加熱しながらディスペンサで連結部14上に塗布し、接着部の前駆体を形成した。一方、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂フィルム(厚さ50μm)、アルミ箔(厚さ25μm)、バイネル(商品名、デュポン社製)からなるフィルム(厚さ50μm)をこの順に積層した積層体を用意した。そして、この積層体の周縁部と接着部91の前駆体の上に重ね合わせ、10秒間加圧した。こうして、連結部14に、厚さ0.2mmの接着部91を介してバックシート80の周縁部80aを接着させた。すなわち、連結部14に、接着部80Bと積層体80Aとで構成されるバックシート80を固定した。このとき、対極のうち乾燥材と対極との界面の外側領域とバックシートとの間に外側領域及び乾燥材に接するように第1の空間を形成した。また封止部とバックシート80との間に第2の空間が形成されるようにするとともに、バックシート80とDSC50とが接触しないようにすることで、第1の空間と第2の空間とを連通させるようにした。以上のようにしてDSCモジュールを得た。このDSCモジュールにおいて、透明導電性基板15と、接着部91及びバックシート80の界面との間の距離(第1の距離)H1は0.25mmであった。また得られたDSCモジュールにおいては、接続端子16及び集電配線17は、封止部30Aの外側であって接着部91の外周面の内側に設けられていた。
【0264】
(実施例2)
環状部及び仕切部の内側開口側に連続して設ける突出部の幅が0mmとなるように第2一体化封止部を作製したこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
【0265】
(実施例3)
バックシート80の周縁部を連結部14に接着させる前に、乾燥材シートの上に両面テープを貼り付け、バックシート80の周縁部を、接着部91を介して連結部14に接着させた後に、バックシート80を対極側に押し付けることにより、乾燥材シートとバックシートとが両面テープにて接続されるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
【0266】
(実施例4)
バックシート80の周縁部を、接着部91を介して連結部14に接着させる前に、乾燥材シートを対極に貼り付けなかったこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
【0267】
(実施例5)
バックシート80の周縁部を、接着部91を介して連結部14に接着させる前に、乾燥材シートを対極に貼り付けず、その代わりに厚さ50μmのアクリル樹脂からなる接着材を接着させ、バックシート80の周縁部を、接着部91を介して連結部14に接着させた後に、バックシート80を対極側に押し付けることにより、対極とバックシートとが接着材にて接続されるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
【0268】
(実施例6)
連結部14及び接着部80Bが封止部と密着するようにすることでバックシートと封止部との間に第2の空間が形成されないようにしたこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
【0269】
(実施例7)
バックシートを第2一体化封止部に接触するように設けることで、第1の空間と第2の空間とが連通しないようにしたこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
【0270】
(実施例8)
第2一体化封止部上であって、隣り合う2つのDSCの対極に跨るようにさらにシート状の乾燥材を貼り合せたこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
【0271】
なお、シート状の乾燥材の寸法は、厚さ1mm×縦3cm×横1cmであり、シート状の乾燥材としては、ゼオシート(商品名、品川化成社製)を用いた。
【0272】
(実施例9)
酸化物半導体層13の前駆体を形成するのと同時に、多孔質酸化物半導体層形成用ペーストと同一の材料を、透明導電性基板15上であって、本体部12aの縁部の一部にスクリーン印刷により塗布し、第2多孔質無機部34Bの前駆体を形成し、その後、酸化物半導体層13の前駆体等を500℃で15分間焼成する際に、第2多孔質無機部34Bの前駆体も同時に焼成し、第2多孔質無機部34Bを形成したこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。
【0273】
(比較例1)
それぞれのDSC50の第1封止部と無機絶縁材との間に、配列方向Xと直交する方向の封止部の端から端まで延び、かつ、封止部の外側の接続端子16又は集電配線17に接続する集電体を、幅200μmで形成したこと以外は実施例1と同様にしてDSCモジュールを作製した。集電配線はそれぞれのDSC50に対して、1本ずつ設けた。
【0274】
(比較例2)
集電配線が含まれる封止部の幅を、2倍にし、その分発電層である酸化物半導体層の面積を少なくしたこと以外は、比較例1と同様にしてDSCモジュールを作成した。
【0275】
(特性評価)
(耐久性及び初期光電変換効率)
実施例1〜9および比較例1〜2で得られたDSCモジュールについて、作成直後の初期光電変換効率を200ルクスの照度の下で測定した。また、DSCモジュールについて、85℃の高温環境下で放置した際の光電変換効率が初期光電変換効率に対して10%低下するまでの時間を測定した。具体的には、250時間ごとにモジュールを取り出して光電変換効率を測定した。結果を表1に示す。表1において初期光電変換効率は、比較例1の初期光電変換効率を100としたときの実施例1〜9および比較例1〜2の初期光電変換効率を示す。
【表1】
【0276】
(耐久性及び短絡発生)
また実施例2〜5で得られたDSCモジュールについては、光電変換効率(η
0)を測定した。続いて、実施例2〜5で得られたDSCモジュールについて、JIS C 8938に準じたヒートサイクル試験を行った後の光電変換効率(η)も測定した。そして、下記式:
光電変換効率の保持率(%)=η/η
0×100
に基づき、光電変換効率の保持率(光電変換保持率)を算出した。結果を表1に示す。またヒートサイクル試験後に、実施例2〜5で得られたDSCモジュールについて、バックシートと対極にテスターを当て、これらの間の抵抗値を測定することにより短絡の発生の有無を調べた。ここで、抵抗値が1MΩ未満であれば、短絡ありと判断し、抵抗値が1MΩ以上であれば、短絡無と判断した。結果を表2に示す。
【表2】
【0277】
表1に示す結果より、実施例1〜9のDSCモジュールは、高い耐久性及び初期光電変換効率を示すことが分かった。一方、比較例1のDSCモジュールは、初期光電変換効率は高いが、耐久性は不十分であり、比較例2のDSCモジュールは、耐久性は十分であるが、初期光電変換効率が低いことが分かった。
【0278】
以上より、本発明のDSCモジュールによれば、優れた耐久性及び変換効率を有することが確認された。
なお、表2に示す結果より、実施例2〜5のDSCモジュールは高い光電変換保持率を示すことが分かった。また、表2に示す結果より、実施例2〜5のDSCモジュールでは、短絡が発生しないことが分かった。