【発明が解決しようとする課題】
【0006】
−1−
上記の特許文献1の方式は、寝たきりで介護の必要な人や、トイレに行くことのできない入院患者に対して、介護者または介助者が汚物の処理やおむつ替えを行うときには効果的な手段であると思われるが、日常生活において本人も気づかないような(というより、本人であるからこそ気付かないような)尿漏れ臭や足臭などの下半身の消臭目的には採用しえない。
【0007】
−2−
そして、尿漏れ臭やいわゆる加齢臭のような軽度の臭気は、周囲の人も普段は気付かないことが多いが、ふっと臭気を感じるのは、テーブルを囲んで雑談などをしているときや、テーブル上で囲碁や将棋を楽しんでいるときである。
このようにテーブルを囲んで雑談をしたりお茶などを楽しむ場面における軽度の臭いを、場の雰囲気を壊さずに消去することができれば、日常生活が快適になるであろうし、雑談などの楽しみも増すことになる。
そして、そのように雑談などをする機会が増えれば、臭いに気を使って各人がそれぞれ引きこもっている場合に比べれば、はるかに健康的であるということができる。
【0008】
−3−
本発明は、このような背景下ないし状況下において、対象者やその周囲の人が特別の対策をしなくても消臭が図られると共に、その消臭効果が確実である技術的手段を提供することを目的とするものである。
【発明の効果】
【0011】
(着想の特異性と作用効果について)
−0−
本発明においては、「腰掛」や「ベッド」なども、下方に空間を有する場合には、テーブル体(T)の範疇に含まれるものとする。(テーブル体とは卓状体のことである。)
−1−
本発明の消臭用構造体は、テーブル体(T)の天板(t)の下面側にケース体(1)を取り付ける使い方をするものであるので、取り付けが簡単である上、取り付け後も人目につかず、その場に居合わせた人も特別の消臭手段を講じてあるとは思わない。
人は、高齢になるにつれて、尿漏れにより下半身がにおいやすくなることがあるが、本発明によれば、テーブル体(T)に向かって椅子に座っているだけで、自動的に消臭が達成される。つまり、テーブル体(T)を使用して食事や会話や読書をしている間に、尿臭や下半身のにおいが消去され、さらにはいわゆる「世代臭」も消去される。
というのは、特段の配慮をしなくてもその取り付け位置が人の下半身に接近した位置になるので、下半身から発生した尿臭などの臭気が周辺に拡散する前に、至近距離で消臭が行われ、臭気が効率的に消去されるからである。
−2−
そのため、本人も他の人も、そのテーブル体(T)を使っての会話や食事において、消臭手段を講じていることに気付いたりせずあるいは消臭手段を講じていることを意識したりしないのであるが、このことは非常に大事なことである。高齢者の尊厳が保たれる上、臭気が感じられないことは生活の質を大いに向上させるからである。
−3−
そして、人がテーブル体(T)の前や近くにいない場合においても、室内の雰囲気や室内の衣服などの消臭が図られる。たとえば、夜間に誰もいない場合でも、室内の雰囲気の清浄化が図られる。
【0012】
(消臭ジェル使用の作用効果)
−1−
しかも、消臭剤(d)として、水性液と植物由来の森林浴効果を有する消臭成分とを高吸水性樹脂粒子に混合ないし含浸させたジェル状物を
用いているので、非常にすぐれた消臭効果が
得られ、むしろ高齢者のいない家庭における環境よりも生活の質が向上すると言っても差し支えないほどである。友人などの来客があれば、室内の清浄な雰囲気をうらやましがられることもあるであろう。
−2−
上記のジェル状の消臭剤は、次のような性質を有するので、本発明において用いる消臭剤として特に適している。
・ジェルは、粘りはないが、ジェル入りの容器を傾けても崩れにくいので、テーブル体(T)を移動するときにも、容器(2)から内容物がこぼれるようなことがない。
・ジェルの種類を選べば、ジェルに指を入れても、そのジェルが指に付着することもない。
・ジェルに混合した有効成分が揮発により少なくなってきたときは、ジェルに消臭成分入りの容器から消臭成分を補充するだけで元の状態に戻る。
・徐放性を有するので、有効成分が過度に揮発したり、逆に揮発不足により消臭作用が小さくなることがない。
【0013】
(さらなる作用効果)
−1−
そして、本発明の消臭用構造体は、その設置費用もそれほどではなく、消臭作用の発揮に電気などのエネルギーを使用するわけでもない。テーブル体(T)の天板(t)の下面への取り付けも、ごく簡単にできる。
設置対象個所がテーブル体(T)の天板(t)の下面であるので、人目に付くこともなく、また消臭防止手段を講じてあることも意識されない。
夜間も消臭作用が奏されるわけであり、また容器(2)の開口度を調整するだけで消臭成分の揮発量を調節することができる。
しかもその設置場所は、玄関、居間、トイレ、浴室、台所、会議室、食堂、集会室、更衣室、寝室、廊下などの通路をはじめ、大〜小のテーブル体(T)を置くことのできるスペースがある所であれば問わない。
1,2ケ月に1回程度の頻度で消臭剤(d)を追加するのみでよいので、メンテナンスの手間もほとんど要しないという利点もある。
また、本発明の消臭用構造体におけるケース体(1)と容器(2)とは、状況に応じて他のテーブル体(T)の天板(t)に移動させて両面接着シート(3)により設置することも自在である。
テーブル体(T)を動かしても、内容物がこぼれない。
なお、
図3のように、上記の消臭剤収容用容器(2)内に収容した消臭剤(d)の層の上面側を被覆するための孔あきの内蓋(落とし蓋など)(2a)を備えるようにしたときは、消臭剤(d)の揮散量が過度になることを防止できるので、消臭剤(d)の補充回数を減ずることができる上、利用者が興味から消臭剤(d)を指で触るようなことを防止できるという利点もある。
−2−
上記のように、本発明の消臭用構造体を使用すれば、介護保険施設、老人福祉施設、高齢者施設、病院、集会所、食堂や喫茶店、娯楽施設(碁会所や麻雀店)、スポーツクラブの部室などでの環境が過ごしやすいものとなる上、対象者が生活する自宅の場合であっても好環境が実現するので、家庭内も自然と明るくなるであろう。
【0014】
(他の消臭手段との対比)
−1−
消臭のためには、装置的な換気手段も可能であるが、作動時の騒音の発生、設置個所の制限、換気手段の作動のための電気代などの点で、1日のうちに作動させる時間が制限される。
−2−
スプレー式の消臭剤は簡便ではあるが、効果が一時的であるので、スプレー操作の頻度が大きいという煩わしさがあり、結局は消臭作用が不十分になることを免れない。
また、そのような煩わしさはさておいても、臭気発生源から部屋中に拡散してしまった臭気を消去しようとしても、臭気の消去が不完全にならざるをえない。