特許第5945041号(P5945041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5945041
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】消臭用構造体
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20160621BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   A61L9/01 R
   A47B13/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-124306(P2015-124306)
(22)【出願日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年2月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502273292
【氏名又は名称】日本テストパネル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087882
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 征郎
(72)【発明者】
【氏名】浅倉 重信
【審査官】 山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−149449(JP,A)
【文献】 特開2001−009018(JP,A)
【文献】 特開2000−288076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00
A47B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル体(T)の天板(t)の下面側に着脱自在に取り付ける使い方をするケース体(1)と、そのケース体(1)内への挿抜が可能な消臭剤収容用容器(2)と、その容器(2)内に収容する消臭剤(d)とを備えてなること、および、
前記の消臭剤(d)が、水性液と植物由来の森林浴効果を有する消臭成分とを高吸水性樹脂粒子に混合ないし含浸させたジェル状物であること、
を特徴とする消臭用構造体。
【請求項2】
さらに、前記の天板(t)の下面側への前記ケース体(1)の着脱を行うための両面接着シート(3)を備えていること、
を特徴とする請求項1記載の消臭用構造体。
【請求項3】
前記のケース体(1)の挿抜口(1a)側の部位にはストッパー(1s)を設けてあり、そのストッパー(1s)によって前記の容器(2)の前記のケース体(1)からの飛び出しは防止されるが、そのストッパー作用の解除による前記の容器(2)の抜き出しは可能にしてあること、
を特徴とする請求項1または2記載の消臭用構造体。
【請求項4】
前記のストッパー(1s)が堰状ないし爪状のものである請求項3記載の消臭用構造体。
【請求項5】
前記の消臭剤収容用容器(2)内に収容した消臭剤(d)の層の上面側を被覆するための孔あきの内蓋(2a)を具備していることを特徴とする請求項1記載の消臭用構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、介護施設、老人ホーム、病院、スポーツ関係の部室やロッカー室、あるいは家庭などにおいて使用するテーブル体に取り付けることのできる「尿臭や加齢臭や足臭などの種々の臭いの消臭用」のボックス状の構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
老人ホームには介護付きや住宅型などがあるが、全国の老人ホーム(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウス)や介護施設の数は極めて多い。
一般に高齢になるほど尿漏れを起こしやすくなる傾向があるので、上記の施設などにあっては、室内においてテーブルを囲んで雑談や打ち合わせをしているときにも、尿臭などを感じることがあるものと思われる。
というより、尿臭がするのではないかという先入観が働くので、実際には尿臭はしなくても、本人や周囲の人が気にするわけである。
下半身をはじめとする身体の各部からの臭いについての悩みは、新陳代謝の大きい若い人の足臭や靴下臭や汗臭に関しても同様である。
このようなときに、現場の雰囲気を壊さずに尿臭をはじめとする種々の臭気を消去することができれば、生活の質が向上することになる。
【0003】
室内雰囲気の消臭ないし防臭のためには、換気装置により室内の空気を屋外に逃がす方法や、脱臭装置により臭気を集めて消臭する方法があり、また消臭剤により消臭を図る方法もある。後者の消臭剤により消臭を図る方法としては、臭気成分をマスキングするものと、臭気成分そのものを分解するものとがある。
【0004】
(特許文献1)
実用新案登録第3135134号(特許文献1)には、臭気を拡散させることなく、汚物の処理やおむつ替えを行うことのできる臭気拡散防止器具として、「消臭性布帛とパイプとからなるテント状器具」からなるものが示されている。消臭性布帛としては、消臭剤を付与したものや、消臭性繊維からなる布帛が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3135134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
−1−
上記の特許文献1の方式は、寝たきりで介護の必要な人や、トイレに行くことのできない入院患者に対して、介護者または介助者が汚物の処理やおむつ替えを行うときには効果的な手段であると思われるが、日常生活において本人も気づかないような(というより、本人であるからこそ気付かないような)尿漏れ臭や足臭などの下半身の消臭目的には採用しえない。
【0007】
−2−
そして、尿漏れ臭やいわゆる加齢臭のような軽度の臭気は、周囲の人も普段は気付かないことが多いが、ふっと臭気を感じるのは、テーブルを囲んで雑談などをしているときや、テーブル上で囲碁や将棋を楽しんでいるときである。
このようにテーブルを囲んで雑談をしたりお茶などを楽しむ場面における軽度の臭いを、場の雰囲気を壊さずに消去することができれば、日常生活が快適になるであろうし、雑談などの楽しみも増すことになる。
そして、そのように雑談などをする機会が増えれば、臭いに気を使って各人がそれぞれ引きこもっている場合に比べれば、はるかに健康的であるということができる。
【0008】
−3−
本発明は、このような背景下ないし状況下において、対象者やその周囲の人が特別の対策をしなくても消臭が図られると共に、その消臭効果が確実である技術的手段を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の消臭用構造体は、
テーブル体(T)の天板(t)の下面側に着脱自在に取り付ける使い方をするケース体(1)と、そのケース体(1)内への挿抜が可能な消臭剤収容用容器(2)と、その容器
(2)内に収容する消臭剤(d)とを備えてなること、および、
前記の消臭剤(d)が、水性液と植物由来の森林浴効果を有する消臭成分とを高吸水性樹脂粒子に混合ないし含浸させたジェル状物であること、
を特徴とするものである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【発明の効果】
【0011】
(着想の特異性と作用効果について)
−0−
本発明においては、「腰掛」や「ベッド」なども、下方に空間を有する場合には、テーブル体(T)の範疇に含まれるものとする。(テーブル体とは卓状体のことである。)
−1−
本発明の消臭用構造体は、テーブル体(T)の天板(t)の下面側にケース体(1)を取り付ける使い方をするものであるので、取り付けが簡単である上、取り付け後も人目につかず、その場に居合わせた人も特別の消臭手段を講じてあるとは思わない。
人は、高齢になるにつれて、尿漏れにより下半身がにおいやすくなることがあるが、本発明によれば、テーブル体(T)に向かって椅子に座っているだけで、自動的に消臭が達成される。つまり、テーブル体(T)を使用して食事や会話や読書をしている間に、尿臭や下半身のにおいが消去され、さらにはいわゆる「世代臭」も消去される。
というのは、特段の配慮をしなくてもその取り付け位置が人の下半身に接近した位置になるので、下半身から発生した尿臭などの臭気が周辺に拡散する前に、至近距離で消臭が行われ、臭気が効率的に消去されるからである。
−2−
そのため、本人も他の人も、そのテーブル体(T)を使っての会話や食事において、消臭手段を講じていることに気付いたりせずあるいは消臭手段を講じていることを意識したりしないのであるが、このことは非常に大事なことである。高齢者の尊厳が保たれる上、臭気が感じられないことは生活の質を大いに向上させるからである。
−3−
そして、人がテーブル体(T)の前や近くにいない場合においても、室内の雰囲気や室内の衣服などの消臭が図られる。たとえば、夜間に誰もいない場合でも、室内の雰囲気の清浄化が図られる。
【0012】
(消臭ジェル使用の作用効果)
−1−
しかも、消臭剤(d)として、水性液と植物由来の森林浴効果を有する消臭成分とを高吸水性樹脂粒子に混合ないし含浸させたジェル状物を用いているので、非常にすぐれた消臭効果が得られ、むしろ高齢者のいない家庭における環境よりも生活の質が向上すると言っても差し支えないほどである。友人などの来客があれば、室内の清浄な雰囲気をうらやましがられることもあるであろう。
−2−
上記のジェル状の消臭剤は、次のような性質を有するので、本発明において用いる消臭剤として特に適している。
・ジェルは、粘りはないが、ジェル入りの容器を傾けても崩れにくいので、テーブル体(T)を移動するときにも、容器(2)から内容物がこぼれるようなことがない。
・ジェルの種類を選べば、ジェルに指を入れても、そのジェルが指に付着することもない。
・ジェルに混合した有効成分が揮発により少なくなってきたときは、ジェルに消臭成分入りの容器から消臭成分を補充するだけで元の状態に戻る。
・徐放性を有するので、有効成分が過度に揮発したり、逆に揮発不足により消臭作用が小さくなることがない。
【0013】
(さらなる作用効果)
−1−
そして、本発明の消臭用構造体は、その設置費用もそれほどではなく、消臭作用の発揮に電気などのエネルギーを使用するわけでもない。テーブル体(T)の天板(t)の下面への取り付けも、ごく簡単にできる。
設置対象個所がテーブル体(T)の天板(t)の下面であるので、人目に付くこともなく、また消臭防止手段を講じてあることも意識されない。
夜間も消臭作用が奏されるわけであり、また容器(2)の開口度を調整するだけで消臭成分の揮発量を調節することができる。
しかもその設置場所は、玄関、居間、トイレ、浴室、台所、会議室、食堂、集会室、更衣室、寝室、廊下などの通路をはじめ、大〜小のテーブル体(T)を置くことのできるスペースがある所であれば問わない。
1,2ケ月に1回程度の頻度で消臭剤(d)を追加するのみでよいので、メンテナンスの手間もほとんど要しないという利点もある。
また、本発明の消臭用構造体におけるケース体(1)と容器(2)とは、状況に応じて他のテーブル体(T)の天板(t)に移動させて両面接着シート(3)により設置することも自在である。
テーブル体(T)を動かしても、内容物がこぼれない。
なお、図3のように、上記の消臭剤収容用容器(2)内に収容した消臭剤(d)の層の上面側を被覆するための孔あきの内蓋(落とし蓋など)(2a)を備えるようにしたときは、消臭剤(d)の揮散量が過度になることを防止できるので、消臭剤(d)の補充回数を減ずることができる上、利用者が興味から消臭剤(d)を指で触るようなことを防止できるという利点もある。
−2−
上記のように、本発明の消臭用構造体を使用すれば、介護保険施設、老人福祉施設、高齢者施設、病院、集会所、食堂や喫茶店、娯楽施設(碁会所や麻雀店)、スポーツクラブの部室などでの環境が過ごしやすいものとなる上、対象者が生活する自宅の場合であっても好環境が実現するので、家庭内も自然と明るくなるであろう。
【0014】
(他の消臭手段との対比)
−1−
消臭のためには、装置的な換気手段も可能であるが、作動時の騒音の発生、設置個所の制限、換気手段の作動のための電気代などの点で、1日のうちに作動させる時間が制限される。
−2−
スプレー式の消臭剤は簡便ではあるが、効果が一時的であるので、スプレー操作の頻度が大きいという煩わしさがあり、結局は消臭作用が不十分になることを免れない。
また、そのような煩わしさはさておいても、臭気発生源から部屋中に拡散してしまった臭気を消去しようとしても、臭気の消去が不完全にならざるをえない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の消臭用構造体の説明図である。
図2】本発明の消臭用構造体の部分説明図であり、テーブル体(T)との関係を示してある。
図3】本発明における容器(2)と必要に応じて設ける孔あきの内蓋(2a)とを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(消臭用構造体)
上述のように、本発明の消臭用構造体は、ケース体(1)と、容器(2)と、消臭剤(d)とを主たる構成部材とする。そして、ケース体(1)をテーブル体(T)の天板(t)の下面側に着脱自在に取り付ける使い方をする。
なお、天板(t)が透明であるときは、その天板(t)の上からテーブルクロスを掛けるようにした方が、場の雰囲気を壊さないであろう。
【0017】
(テーブル体(T))
本発明においては、テーブル体(T)の用語を「卓状体」の意味で用いている。
すなわち、通常の狭義のテーブルのほか、座ったときに足元が入り込む床几のような「腰掛」や、「ベッド」なども、テーブル体の範疇に含まれるものとする。腰掛の場合には、その座部が天板(t)に相当する。
テーブル体(T)の大きさは特に問わない。また、一人用から多人数用のものまで任意である。テーブル体(T)が長尺の場合は、1台のテーブル体(T)に対し必要数の消臭用構造体を取り付ければよい。
【0018】
(ケース体(1))
−1−
ケース体(1)は、上記のテーブル体(T)の天板(t)の下面側に着脱自在に取り付ける使い方をする部材である。
−2−
このときの天板(t)の下面側へのケース体(1)の着脱は、両面接着シート(3)を用いて行うことが実際的である。両面接着シート(3)の巾は狭巾から広巾まで任意であるが、広巾のものを1枚とか2枚用いて、天板(t)の下面側に対するケース体(1)の取り付けを行うのが、接着強度の確保の点で有利である。
両面接着シート(3)は、その両面に剥離シート(剥離紙が多い)を貼着してあるので、その片面の剥離紙を剥がしてからケース体(1)に貼り付け、ついで残りの他面側の剥離紙を剥がしてからケース体(1)の下面に押し付ければ、テーブル体(T)の天板(t)下面へのケース体(1)の貼着操作が完了する。
−3−
なお、テーブル体(T)の天板(t)の材質が木板や合板などの木製であるときは、両面接着シート(3)による天板(t)の下面側へのケース体(1)の着脱方式に代えて(またはそのような着脱方式と併用して)、ケース体(1)をビスにより天板(t)の下面側に取り付けることもできる。
そのときには、ケース体(1)の上板部分にビス留め用の貫通孔を設けておけばよい。
−4−
上記のように、天板(t)の下面側に着脱自在に取り付けるケース体(1)の存在は、通常は目立たないことになる。
そして、このケース体(1)には、後述の容器(2)が収容される。ケース体(1)の存在が目立たないのであるから、その中に収容した容器(2)も目立たないことになる。
−5−
ケース体(1)の材質は、特に限定はないものの、プラスチックス製とすることが多い。
ケース体(1)の全体形状は、平面視で四角形を基調とすることが多いが、特に限定はない。
ケース体(1)は、基本的には天面、両側面、底面、背面、正面の各面からなる。
正面側は、容器(2)の挿入および取り出し口となるので、蓋を設けてもよいが、蓋なしとする方が好ましい。
−6−
ケース体(1)の両側面は、底面側に延長してから内側に向けて90°屈曲させた形とし、その屈曲させた遊端側を底面とする態様が、機能的に有利である。この延長面は、底面の全体を覆う必要はなく、ケース体(1)に収容する容器(2)を支持する巾があれば充分である。
別の表現をすると、ケース体(1)は、図1図2のように、横姿勢にした4角筒の下側の面の中央領域を切り欠いた形を基本とすることが多い。
−7−
ケース体(1)の正面側(手前側)は、容器(2)の挿抜口(1a)となるので、蓋を設けてもよいが、蓋を設ける必然性はないので、むしろ蓋なしとする方が好ましいであろう。
−8−
ケース体(1)の背面側(奥側)は、閉鎖面であっても開放面であってもよい。閉鎖面の場合には、後述の消臭剤(d)の揮発成分は、ケース体(1)の正面側から放散される。開放面の場合は、後述の消臭剤(d)の揮発成分は、ケース体(1)の正面側と背面側の双方から放散される。
−9−
ケース体(1)には適当部位に小孔や溝孔を設けることもでき、その場合はそれらの小孔や溝孔からも消臭剤(d)の揮発成分が放散される。
−10−
ケース体(1)は、たとえば左半分と右半分とに分割できるもタイプのものであってもよい。
【0019】
(容器(2))
容器(2)は、上記のケース体(1)の挿抜口(1a)に対して挿抜可能とされる。
容器(2)の形状は、四角形の盆のような形状や四角形の皿状の形状とすることが多い。
容器(2)の材質には特に限定はなく、プラスチックス、木、ガラスなどが使用できるが、軽量さ、耐久性、コストなどを総合考慮すると、通常はプラスチックス製とするが実際的であろう。
【0020】
(ストッパー(1s))
−1−
上記のケース体(1)内に、後述の消臭剤(d)入りの容器(2)をそのまま収容したときには、テーブル体(T)の移動時にそのテーブル体(T)が傾くことがあるので、テーブル体(T)の天板(t)の下面側に取り付けたケース体(1)から、消臭剤(d)入りの容器(2)が飛び出すことがある。
−2−
そこで、上記のケース(1)の正面側(場合により背面側)寄りの適当部位、特に、ケース(1)の両側面を底面側に延長したときの延長面の挿抜口(1a)側の部位(開放面寄りの部位)」には、堰状や爪状などのストッパー(1s)を設けるような工夫を施すことが特に好ましい。このストッパー(1s)によって前記の容器(2)の前記のケース体(1)からの飛び出しは防止される。
−3−
このときには、そのストッパー作用の解除による前記の容器(2)の抜き出しが可能になるように構成する。
ここで、「ストッパー作用の解除」とは、
・容器(2)をやや持ち上げるようにして引き出すことにより、そのストッパー(1s)を乗り超えるようにするか、
・簡単な操作により、そのストッパー(1s)を押しのけるか、押し倒すか、引退させるか、変形させるような機構を採用して(たとえばテコ、バネなどの機構を採用して)、容器(2)の抜き出しを可能にすることである。
−4−
ケース体(1)の後方側も解放面であるときは、その後方側にもストッパー(1s)を設けるようにする。
このときのストッパー(1s)の高さに留意すれば、ケース(1)内に収容した容器(2)を少し持ち上げた状態で引き出し操作をすることにより、その容器(2)をケース(1)内から円滑に取り出すことができる。
【0021】
(消臭剤(d))
−1−
上記の容器(2)には、消臭剤(d)が収容される。
−2−
消臭剤(d)としては、本発明においては、水性液と植物由来の森林浴効果を有する消臭成分とを高吸水性樹脂粒子に混合ないし含浸させたジェル状物を用いる。
この消臭剤は、非常に優れた消臭効果を奏するので、本発明の目的に特に適しているからである。
この消臭剤により消臭作用が奏されるメカニズムは、中和、吸着、包接、マスキングの各作用または2以上の同時作用である。
−3−
このときのジェル状物としては、種々の高吸水性を有する高分子からなるものが用いられるが、たとえば、ポリアクリル酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリオキシエチレン系、ポリビニルアルコール系をはじめとする種々の高分子のジェルが用いられ、特に架橋タイプのものが良好である。これらの高分子は、通常は粒子状ないし粉体状の形態で入手できるので、ママコが生じないように留意しながらジェル状物となす。
これらの中では、ポリアクリル酸ソーダ系の高吸水性ポリマーを用いたジェル状物が特に好適に用いられる。保香性と揮散性のバランスが良いからである。
【0022】
(消臭成分)
−1−
上記の消臭剤(d)における消臭成分としては、純植物性の消臭成分からなるものであることが好ましい。
消臭成分としては、植物由来の森林浴効果を有する消臭成分、殊に、マツ、緑茶、クマザサ、アロエ、アマチャヅル、イチョウ、オオバコ、カキ、トウモロコシ、トチュウなどの多種の植物から抽出した成分が特に有効である。含有成分は、テルペン類、ビタミン類、アミノ酸類などである。含有成分は、テルペン類、ビタミン類、アミノ酸類などである。
【実施例】
【0023】
次に、実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0024】
(実施例1)
−1−
図1および図2に示した消臭用構造体を用いて、消臭試験を行った。
図2には、テーブル体(T)とケース体(1)との関係のみを簡略表示してある。
−2−
図2において、ケース体(1)は、テーブル体(T)の天板(t)の下面に、巾広の両面接着シート(3)を用いて貼着してある。ビスや釘を使わないので、ワンタッチで貼着がなされる上、テーブル体(T)に傷がつくことがない。なお、両面接着シートは建材用としても使われており、特に巾広のものはかなりの重量を支えることができる。
【0025】
−3−
図1および図2に示した消臭用構造体を用いて、消臭試験を行った。
図1のように、この実施例1においては、ケース体(1)は、横姿勢にした4角筒の下側の面の中央領域を切り欠いた形状をしている。
このケース体(1)に、消臭剤(d)を充填したボックス状容器(2)を挿入する。ケース(1)にはストッパー(1s)の一例としての堰が設けられているので、ケース体(1)から容器(2)が滑り落ちることはない。
ケース体(1)から容器(2)を取り出すときは、容器(2)を少し持ち上げるようにして堰(ストッパー(1s))を超すようにしてから、手前側に引き出せばよい。
【0026】
−4−
上記の消臭剤(d)としては、ポリアクリル酸ソーダ系の高吸水性ポリマーに、水性液(水にエタノールを混合したもの)と、マツ、アロエ、クマザサ、緑茶、アマチャヅル、イチョウ、オオバコ、カキ、トウモロコシ、トチュウ等の100種以上の植物から抽出した植物由来の森林浴効果を有する消臭成分を混合ないし含浸させたジェル状物を用いた。
−5−
コの字状に配置したテーブル7脚と、各テーブルにつき2脚の椅子を配置した室内において、各テーブルの天板の下面に上記のジェル状物を収容したボックスを1個宛取り付けた。
そして、14脚の椅子の1つおきの7脚の椅子上に尿の浸み込んだ下着を置き、(約2時間後の)午後1時頃、夕方の6時頃、翌日の朝9時頃、その日の午後4時頃)の4回にわたり、消臭の度合いを判定した。判定は感覚的な判定である。
判定者は21名であり、判定は「秀、優、良、可、やや不足、不足」の6段階とした。
判定の結果は、「秀」評価が7名、「優」評価が11名、「良」評価が2名、「可」評価が1名、「やや不足」評価が0名、「不足」評価が0名であり、消臭効果が確実であることが裏付けられた。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の消臭用構造体は、介護保険施設、老人福祉施設、高齢者施設、病院や医院、職場などはもとより、対象者が生活する家庭においても使用することができ、その使用により好環境が実現する。
【符号の説明】
【0028】
(T)…テーブル体
(t)…天板
(1)…ケース体
(1a)…挿抜口
(1s)…ストッパー
(2)…容器
(2a)…孔あきの内蓋
(3)…両面接着シート
(d)…消臭剤
【要約】
【課題】 介護施設、老人ホーム、病院、家庭などにおいて使用するテーブル体に取り付ける使い方をするものであって、すぐれた消臭作用を奏する消臭用構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】 テーブル体(T)の天板(t)の下面側に着脱自在に取り付ける使い方をするケース体(1)と、そのケース体(1)内への挿抜が可能な容器(2)と、その容器(2)に収容する消臭剤(d)とを備えてなる消臭用構造体である。消臭剤(d)の代表例は、ジェル状物を細断した担体に植物由来の森林浴効果を有する消臭成分が担持されたものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3