(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する対策のため、蓄電池(以下、バッテリー)を搭載してその電力でモータを駆動することによって走行可能な電動車両(例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV))の普及が進められている。普及に向けたインフラ整備として、充電器の拡充が図られている。この充電器側の充電コネクタの一例について、
図11を参照しながら説明する。
【0003】
図11に示すように、充電コネクタ100は、相手側コネクタとしての車両側インレット(不図示)に嵌合するコネクタ嵌合部111を収容するコネクタケース110と、ロックアーム120と、解除レバー140とを備えている。ロックアーム120の先端にはロック爪121が設けられており、車両側インレットにロック爪121が係合するロック位置と、車両側インレットとロック爪121との係合が解除される解除位置との間で、ロックアーム120は揺動軸122を中心に揺動するよう構成されている。解除レバー140にはロックアーム120をロック位置に向けて付勢するコイルバネ130が設けられており、ユーザが解除レバー140を操作すると、解除レバー140は車両側インレットとロック爪121との係止を解除する。
【0004】
このような充電コネクタ100を車両側インレットに差し込むとき、ロックアーム120のロック爪121は、車両側インレットの内周面に接触してコネクタ嵌合部111内に押し込まれる。そして、充電コネクタ100が車両側インレットに最も奧まで差し込まれる(すなわち、完全嵌合状態となる)と、ロックアーム120のロック爪121は、コネクタ嵌合部111の外周面から突出し、車両側インレットの内周面に設けられた凹部(不図示)に係止される。車両側インレットの内周面に設けられた凹部(不図示)とロック爪121との係止により、充電コネクタ100が車両側インレットにロックされる。
【0005】
一方で、バッテリーへの給電後に車両側インレットから充電コネクタ100を取り外すときは、ユーザが解除レバー140を押込操作することによって、解除レバー140がロックアーム120に当接し、ロックアーム120が解除位置に揺動する。これにより、ロックアーム120のロック爪121がコネクタ嵌合部111内に押し込まれた状態となり、車両側インレットから充電コネクタ100を取り外し可能となる。
【0006】
ところで、解除レバー140に不具合(破損や異物の進入)が生じると、解除レバー140が正常動作せず、ロックアーム120のロック爪121をコネクタ嵌合部111内に押し込むことができず、車両側インレットの凹部(不図示)とロック爪121との係止を解除できないという事態が発生するおそれがある。このような事態では、車両側インレットから充電コネクタ100を取り外すことが困難となってしまう。
【0007】
そこで、上述した充電コネクタ100では、コネクタケース110の上側に貫通孔112を設けることにより、ユーザがこの貫通孔112に治具(不図示)を挿入して、ロックアーム120のロック爪121をコネクタ嵌合部111内に押し込むことを可能にしており、解除レバー40に不具合が発生した場合においても車両側インレットの凹部(不図示)とロック爪121との係止を解除できるようにしている。これにより、解除レバー140に不具合が生じた場合であっても、車両側インレットから充電コネクタ100を取り外すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る充電コネクタの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0017】
(充電コネクタの構成)
まず、本実施形態に係る充電コネクタ1の構成について、図面を参照しながら説明する。
図1〜
図4は、本実施形態に係る充電コネクタ1を示す図である。
【0018】
ここで、説明の便宜を図るために、充電コネクタ1における相手側の車両側インレット90側(
図1〜
図3の左側及び
図4の右側))を「先端側」とし、この先端側に向かう方向を「嵌合方向FD」とする。また、充電コネクタ1における車両側インレット90側とは反対側(
図1〜
図3の右側及び
図4の左側))を「後端側」とし、この後端側に向かう方向を「離脱方向SD」とする。
【0019】
図1〜
図4に示すように、充電コネクタ1は、受給側端子(不図示)が設けられた車両側インレット90(
図2参照)に嵌合され、車両のバッテリーを給電するために利用されるものである。充電コネクタ1は、電源供給装置(不図示)から延出される電線W(不図示)の先端に取り付けられている。
【0020】
充電コネクタ1は、互いの端面同士が組み合わされる略鏡像対称の二つの分割体としてのコネクタケース3A,3Bを備えている。コネクタケース3A,3Bは、ケース本体部5と、ケース本体部5の後方から傾斜して作業者が把持するハンドル部7とを有している。
図2は、充電コネクタ1のうちコネクタケース3Bを取り外し、コネクタケース3A,3Bの鏡像対称面に垂直な方向から充電コネクタ1を見た状態の図を示している。
【0021】
ここでコネクタケース3A,3Bは、互いの端面同士が組み合わされる略鏡像対称の二つの分割体としたが、コネクタケース3A,3Bが組み合わされて充電コネクタ1の外装を構成すればよく、必ずしも厳密に鏡像対称である必要はない。
【0022】
このようなケース本体部5の前方には、車両側インレット90に嵌合するコネクタ嵌合部10が設けられている。このコネクタ嵌合部10の外周面には、切り欠き11が形成されている。コネクタ嵌合部10の内部には、車両側インレット90内の受給側端子(不図示)と接続される供給側端子(不図示)が収納されている。なお、供給側端子(不図示)の配列等については、各種規格に準拠したものであり、ここでの説明は省略する。
【0023】
ケース本体部5の先端側には、貫通孔6が形成されている。貫通孔6は、貫通孔6を塞ぐキャップ9が装着されるキャップ挿入部6Aと、後述するロックアーム20のロック解除部24が挿入される軸芯挿入部6Bとによって構成される。この貫通孔6(キャップ挿入部6A及び軸芯挿入部6B)の大きさや輪郭形状は、異物(埃や水など)の進入を防止するために、キャップ9やロック解除部24のそれぞれの大きさや輪郭形状とほぼ同等であることが好ましい。また、キャップ9の形状は、適宜設定でき、例えば、キャップ挿入部6Aを密閉できる程度であればよく、柱状体や錐台形状などであってもよい。
【0024】
軸芯挿入部6Bにロックアーム20のロック解除部24が挿入された状態では、ロック解除部24の先端部が、軸芯挿入部6Bから貫通孔6内に突出、あるいは露出し、軸芯挿入部6Bとロック解除部24の間の隙間は密閉される。そのため貫通孔6の軸芯挿入部6Bを介してコネクタケース3A,3B内に異物(埃や水など)が進入することが防止される。さらに、貫通孔6の軸芯挿入部6Bからコネクタケース3A,3B内に冶具が挿入されることが防止される。さらに、ロック解除部24への冶具の挿入可能な位置にロック解除部24が配置される。
【0025】
図4は、コネクタケース3Bの一部、およびキャップ9を示す断面図である。
図4では、コネクタケース3A,3Bの鏡像対称面に垂直でかつ嵌合方向FDに平行な面での断面が示されている。
図4に示すように、キャップ9の周壁には、係止部9Aが設けられ、キャップ挿入部6Aの側壁には、係止部9Aが係止される被係止部6Cが設けられている。つまり、キャップ9は、キャップ挿入部6Aに嵌め込むことにより貫通孔6及びキャップ挿入部6Aを塞ぐ着脱式である。なお、キャップ9は、必ずしも着脱式である必要はなく、例えば、キャップ挿入部6Aにねじ込むネジ込式や、キャップ挿入部6Aに対して開閉する開閉式であってもよい。
【0026】
キャップ9が、キャップ挿入部6Aに嵌め込まれた状態では、貫通孔6及びキャップ挿入部6Aが塞がれるため、貫通孔6内に異物(埃や水など)が進入することが防止される。さらに、貫通孔6内に突出、あるいは露出するように配置されたロック解除部24に、異物(埃や水など)が堆積することが防止される。
【0027】
このようなケース本体部5内の下側には、コネクタ嵌合部10から延出される電線Wが配置され、この電線Wがハンドル部7内を通過して外部に引き出されている。ケース本体部5内の上側には、ロックアーム20、嵌合検知アーム30、解除レバー40、及びレバー保持アーム50が設けられている。
【0028】
(ロックアーム)
ロックアーム20は、車両側インレット90とコネクタ嵌合部10との嵌合状態で、車両側インレット90からの充電コネクタ1の離脱を阻止している。
図2及び
図3に示すように、ロックアーム20は、ケース本体部5内で軸芯21Jを中心に揺動自在に設けられるメインアーム21と、メインアーム21とともに揺動するロック補助アーム26とによって構成される。
【0029】
メインアーム21は、
図1〜
図3に示すように、メインアーム21の先端側に設けられてコネクタ嵌合部10の切り欠き11から出没自在なロック爪としてのロック爪22と、メインアーム21の後端に設けられて解除レバー40の後述する下側係合溝部46に係止する係合部としてのロック係合片23と、ケース本体部5の外部からメインアーム21を解除位置に操作可能なロック解除部24とを備えている。
【0030】
メインアーム21は、ロック爪22が車両側インレット90の内周面に設けられた係止溝部91(
図2参照)に係止するロック位置と、ロック爪22と係止溝部91との係止が解除される非ロック位置(解除位置)との間で、揺動軸としての軸芯21Jを中心に揺動自在に設けられている。メインアーム21は、付勢部材としてのコイルバネ25によりロック爪22がコネクタ嵌合部10の切り欠き11から突出する方向(上方向TD)に向かって付勢されている。
【0031】
メインアーム21は、解除レバー40寄りで下方向BDへ屈曲されている。この屈曲された下端から離脱方向SDに沿って延び、その先端にロック係合片23が設けられている。
【0032】
ロック係合片23は、メインアーム21の非ロック位置(すなわち、ロック爪22が切り欠き11内に退避した状態)では、解除レバー40の後述する下側係合溝部46に係合する。一方、ロック係合片23は、メインアーム21のロック位置(すなわち、ロック爪22が切り欠き11から突出した状態)では、解除レバー40の後述する上側係止溝部45との係合が解除される。
【0033】
ロック解除部24は、ケース本体部5に形成された貫通孔6内に挿入される。つまり、ロック解除部24は、貫通孔6を形成するキャップ挿入部6A内に設けられている。本実施形態では、ロック解除部24は、コネクタケース3B側のメインアーム21の軸芯21Jにより構成されている。この軸芯21Jには、六角棒スパナなどの冶具(不図示)が挿入される冶具挿入孔24Aが形成されている。
【0034】
ロック補助アーム26は、
図2及び
図3に示すように、ロック補助アーム26の後端に設けられて解除レバー40の後述する上側係止溝部45に係止する補助係止片27を備えている。
【0035】
ロック補助アーム26は、補助係止片27が解除レバー40の後述する上側係止溝部45に係止する係止位置と、補助係止片27と上側係止溝部45との係止が解除される非係止位置(解除位置)との間で、メインアーム21に設けられた軸芯26Aを中心に、メインアーム21に対して揺動自在に設けられている。コイルバネ28により、ロック補助アーム26は、補助係止片27の係止方向(下方向BD)に付勢されている。なおコイルバネ28は、メインアーム21のうち軸芯21Jよりも後端側の位置に一端が固定され、ロック補助アーム26のうち軸芯26Aよりも先端側の位置に他端が固定されている。そのため補助係止片27が上側係止溝部45に係止に当接していない状況では、コイルバネ28の復元力により、メインアーム21とロック補助アーム26とは互いに相対的な位置関係を保ったまま、軸芯21Jの周りを揺動自在に設けられている。
【0036】
補助係止片27は、下方向BDに向かって延びており、解除レバー40の後述する上側係止溝部45に係止可能に設けられている。補助係止片27は、上述したロック係合片23と対向する位置に設けられている。補助係止片27は、嵌合検知アーム30の後述する検知係止片32やレバー保持アーム50の後述する保持係止片51よりも離脱方向SD側に設けられている。
【0037】
メインアーム21の非ロック位置(すなわち、ロック爪22が切り欠き11内に退避した状態)に移動するとき、軸芯26Aが上方向TDに移動する。このときロック補助アーム26は上方向TDに移動し、さらに、補助係止片27はコイルバネ28の復元力により上方向TDに移動するため、補助係止片27は解除レバー40の後述する上側係止溝部45との係止が解除される。
【0038】
一方、メインアーム21のロック位置(すなわち、ロック爪22が切り欠き11から突出した状態)に移動するとき、軸芯26Aが下方向BDに移動する。このときロック補助アーム26は下方向BDに移動し、さらに、補助係止片27はコイルバネ28の復元力により下方向BDに移動するため、解除レバー40の後述する上側係止溝部45と係止可能となっている。
【0039】
(嵌合検知アーム)
嵌合検知アーム30は、車両側インレット90とコネクタ嵌合部10との完全嵌合状態を検知している。嵌合検知アーム30は、
図2及び
図3に示すように、嵌合検知アーム30の先端側に設けられてコネクタ嵌合部10の切り欠き11から出没自在である検知爪31と、嵌合検知アーム30の後端側に設けられて後述する解除レバー40の後述する上側係止溝部45に係止する検知係止片32とを備えている。
【0040】
嵌合検知アーム30は、検知爪31が車両側インレット90の先端面と接触して車両側インレット90へのコネクタ嵌合部10の嵌合を検知する嵌合位置と、検知爪31と車両側インレット90との接触が解除されて車両側インレット90からのコネクタ嵌合部10の離脱を検知する離脱位置との間で、軸芯33を中心に揺動自在に設けられている。嵌合検知アーム30は、コイルバネ34により検知爪31がコネクタ嵌合部10の切り欠き11に突出する方向(すなわち、検知係止片32の係止方向)に向かって付勢されている。
【0041】
検知爪31は、コネクタ嵌合部10の切り欠き11から外部に出没自在(進退自在)に設けられている。検知爪31は、上述したメインアーム21のロック爪22よりも離脱方向SD側に設けられている。
【0042】
検知係止片32は、下方向BDに向かって延びており、解除レバー40の後述する上側係止溝部45に係止可能に設けられている。検知係止片32は、ロック補助アーム26の補助係止片27よりも嵌合方向FD側に設けられ、レバー保持アーム50の後述する保持係止片51よりも離脱方向SD側に設けられている。
【0043】
コネクタ嵌合部10の嵌合位置(すなわち、検知爪31がコネクタ嵌合部10の切り欠き11内に退避した状態)では、軸芯33を中心に嵌合検知アーム30が揺動することにより、検知係止片32は、解除レバー40の後述する上側係止溝部45との係止が解除される。一方、コネクタ嵌合部10の離脱位置(すなわち、検知爪31がコネクタ嵌合部10の切り欠き11から突出した状態)では、軸芯33を中心に嵌合検知アーム30が揺動することにより、検知係止片32は、解除レバー40の後述する上側係止溝部45と係止する。
【0044】
検知係止片32と軸芯33との間には、下方向BDに向かって突出する突起35(
図2及び
図3参照)が設けられている。この突起35は、レバー保持アーム50の先端側(後述する軸芯52よりも先端側)を下方向BDに向かって押圧することによって、解除レバー40の後述する上側係止溝部45とレバー保持アーム50の後述する保持係止片51との係止を解除させる。
【0045】
(解除レバー)
解除レバー40は、車両側インレット90内の係止溝部91とロック爪22との係止を解除する。解除レバー40は、ケース本体部5に対する押込操作の開始位置から完了位置まで(すなわち、嵌合離脱方向FSD)にスライド自在に設けられている。
【0046】
この解除レバー40は、
図2及び
図3に示すように、ケース本体部5から後端が突出されて嵌合離脱方向FSDに移動する解除スイッチ41と、ケース本体部5内に設けられて解除スイッチ41と一体に形成された解除本体部42とを有している。
【0047】
解除スイッチ41は、コイルバネ43により解除スイッチ41の押込操作の開始位置(すなわち、離脱方向SD側)に付勢されている。解除本体部42は、解除スイッチ41の押込操作時において、ロック補助アーム26の補助係止片27、嵌合検知アーム30の検知係止片32及びレバー保持アーム50の後述する保持係止片51に当接して押し上げる先端当接部44を有している。
【0048】
この先端当接部44は、解除スイッチ41の押込操作の完了位置でメインアーム21の傾斜面21Aに当接することによりメインアーム21を非ロック位置に揺動させている。先端当接部44は、湾曲状に形成されている。
【0049】
解除本体部42の先端上側には、ロック補助アーム26の補助係止片27、嵌合検知アーム30の検知係止片32、及びレバー保持アーム50の後述する保持係止片51がそれぞれ係止する上側係止溝部45が設けられている。一方、解除本体部42の先端下側には、メインアーム21のロック係合片23が係合する被係合部としての下側係合溝部46が設けられている。
【0050】
(レバー保持アーム)
レバー保持アーム50は、解除レバー40の完了位置で解除レバー40を保持する。レバー保持アーム50は、
図2及び
図3に示すように、レバー保持アーム50の後端側に、解除レバー40の押圧位置で解除レバー40の上側係止溝部45に係止する保持係止片51を備えている。
【0051】
レバー保持アーム50は、解除レバー40を完了位置で保持するレバー保持位置(すなわち、保持係止片51が上側係止溝部45に係止する状態)と、解除レバー40を保持しないレバー非保持位置(すなわち、保持係止片51と上側係止溝部45との係止が解除された状態)との間で、軸芯52を中心に揺動自在に設けられている。
【0052】
レバー保持アーム50の軸芯52よりも保持係止片51側には、コイルバネ53が設けられており、このコイルバネ53により保持係止片51側が下方向BDに向かうように付勢されている。レバー保持アーム50の軸芯52よりも先端側は、嵌合検知アーム30の突起35と当接可能となっている。
【0053】
保持係止片51は、下方向BDに向かって延びており、解除レバー40の上側係止溝部45に係止可能に設けられている。保持係止片51は、ロック補助アーム26の補助係止片27や嵌合検知アーム30の検知係止片32よりも嵌合方向FD側に設けられている。
【0054】
保持係止片51は、レバー保持位置では、解除レバー40の上側係止溝部45と係止する。一方、保持係止片51は、レバー非保持位置では、レバー保持アーム50の軸芯52よりも先端側が突起35により押圧され、解除レバー40の上側係止溝部45と保持係止片51との係止が解除される。
【0055】
(充電コネクタの動作)
次に、上述した充電コネクタ1の動作について、図面を参照しながら説明する。
図5〜
図10は、本実施形態に係る充電コネクタ1の動作を説明するための図である。
【0056】
(差し込み操作)
図5に示すように、車両側インレット90に対する充電コネクタ1の離脱状態では、メインアーム21のロック爪22と嵌合検知アーム30の検知爪31とは、それぞれコイルバネ25、コイルバネ34の付勢により、コネクタ嵌合部10の切り欠き11から突出している。
【0057】
このとき、嵌合検知アーム30の検知係止片32は、解除レバー40の上側係止溝部45に係止されている。また、補助係止片27は、検知係止片32よりも離脱方向SD側に位置しているため、上側係止溝部45に完全に係止されてない状態となっている。この状態で検知係止片32と上側係止溝部45との係止が外れると、解除スイッチ41の解除本体部42は、コイルバネ43の働きにより解除スイッチ41の押込操作の開始位置(すなわち、離脱方向SD側)に向かって移動し、補助係止片27は、上側係止溝部45に係止される。そのため、
図5に示す、車両側インレット90に対する充電コネクタ1の離脱状態では、補助係止片27は、検知係止片32と上側係止溝部45との係止が外れた場合に、上側係止溝部45と即座に係止可能な状態となっている。
【0058】
次いで、
図6に示すように、車両側インレット90に対して充電コネクタ1を徐々に嵌合させ、第1中間嵌合状態とすると、車両側インレット90の内周面の当接によりロック爪22がコネクタ嵌合部10の切り欠き11内へ退避する(押し込まれる)。すると、メインアーム21が揺動し、補助係止片27が上側係止溝部45から外れる。このとき、メインアーム21のロック係合片23は、下側係合溝部46内に挿入される。
【0059】
次いで、
図7に示すように、車両側インレット90に対して充電コネクタ1をさらに嵌合させ、第2中間嵌合状態とすると、車両側インレット90の先端面の当接により検知爪31がコネクタ嵌合部10の切り欠き11内へ退避する(押し込まれる)。すると、嵌合検知アーム30が揺動し、検知係止片32が上側係止溝部45から外れる。このとき、ロック係合片23は、解除本体部42の下側係合溝部46内に挿入されているため、解除レバー40の離脱方向SD側(押込操作の開始位置側)への移動が未だ阻止されている。
【0060】
次いで、
図8に示すように、車両側インレット90に対して充電コネクタ1を完全に嵌合させ、完全嵌合状態とすると、メインアーム21が揺動してロック爪22がコネクタ嵌合部10の切り欠き11から突出することでメインアーム21がロック位置となる。すると、ロック爪22が車両側インレット90の係止溝部91に係止される。また、ロック係合片23が下側係合溝部46から外れるため、解除レバー40が離脱方向SD側(押込操作の開始位置側)へ移動する。
【0061】
上述したように、差し込み操作では、充電コネクタ1は離脱状態から、第1中間嵌合状態、第2中間嵌合状態の順に各状態を経由して、完全嵌合状態に至る。
【0062】
(引き抜き操作)
図9に示すように、車両に搭載されるバッテリー(不図示)への充電が終了して車両側インレット90から充電コネクタ1を取り外すときは、解除レバー40の解除スイッチ41を押込操作(嵌合方向FD側に押圧)する。
【0063】
そして、解除レバー40の完了位置では、解除本体部42の先端当接部44がメインアーム21の傾斜面21Aに当接してメインアーム21が揺動し、ロック爪22がコネクタ嵌合部10の切り欠き11内に押し込まれることでメインアーム21は非ロック位置になる。
【0064】
すると、ロック補助アーム26の補助係止片27が上側係止溝部45から押し上げられ、ロック係合片23が下側係合溝部46に挿入される。これにより、解除レバー40が押込操作の完了位置で保持され、解除レバー40の押込操作の開始位置側への移動が阻止される第1中間引抜状態となる。
【0065】
次いで、
図10に示すように、車両側インレット90に対して充電コネクタ1を徐々に離脱させると、嵌合検知アーム30が揺動して検知爪31がコネクタ嵌合部10の切り欠き11から突出する。すると、検知係止片32が上側係止溝部45に係止する。このとき、嵌合検知アーム30の裏面側に設けられた突起35がレバー保持アーム50を揺動させ、保持係止片51が上側係止溝部45から外れ、第2中間引抜状態となる。
【0066】
そして、車両側インレット90に対して充電コネクタ1が完全に離脱されると、上述した充電コネクタ1の差し込み操作前の状態となる(
図5参照)。
【0067】
上述したように、引き抜き操作では、充電コネクタ1は完全嵌合状態から、第1中間引抜状態、第2中間引抜状態の順に各状態を経由して、離脱状態に至る。
【0068】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態では、ロックアーム20(メインアーム21)が、コネクタケース3A,3Bに形成された貫通孔6内に挿入されコネクタケース3A,3Bの外部からロックアーム20を解除位置に操作可能なロック解除部24を備えることで、解除レバー40に不具合が生じた場合であっても、コネクタケース3A,3Bの外部からメインアーム21を解除位置となるように揺動させることができる。
【0069】
また、ロック解除部24が貫通孔6内に挿入され、ロック解除部24の先端部が、軸芯挿入部6Bから貫通孔6内に突出、あるいは露出することで、軸芯挿入部6Bとロック解除部24の間の隙間は密閉される。この密閉により、貫通孔6の軸芯挿入部6Bを介してコネクタケース3A,3B内に異物(埃や水など)が進入することが防止される。その上、ロック解除部24に挿入する冶具を、貫通孔6からコネクタケース3A,3B内に挿入する必要がないため、冶具がコネクタケース3A,3B内の各種部品(例えば、電線Wや各種端子)に触れることも防止できる。
【0070】
以上により、車両側インレット90の係止溝部91とメインアーム21のロック爪22との係止状態を解除レバー40の正常動作で解除できない場合であっても、コネクタケース3A,3Bの外部からメインアーム21を解除位置となるように揺動させることができ、しかも、冶具がコネクタケース3A,3B内の各種部品に触れることを防止できる。
【0071】
本実施形態では、ロック解除部24が、ロックアーム20のメインアーム21に設けられた軸芯21J(揺動軸)により構成されることによって、ロック解除部24を軸芯21J以外に別途設ける必要がないため、充電コネクタ1の軽量化やコスト安などを実現できる。
【0072】
本実施形態では、貫通孔6の周囲に形成されたキャップ挿入部6Aにキャップ9が装着され、キャップ9が貫通孔6を塞ぐことにより、充電コネクタ1の正常時での誤操作を防止できるとともに、キャップ挿入部6Aや軸芯21Jの冶具挿入孔24Aへの異物侵入を防止でき、しかも、ロック解除部24が露出することなく外観性にも優れる。
【0073】
キャップ9が、キャップ挿入部6Aに嵌め込まれた状態では、貫通孔6及びキャップ挿入部6Aが塞がれ、貫通孔6内への異物進入が防止される。そして貫通孔6内に突出、あるいは露出するように配置されたロック解除部24の冶具挿入孔24Aに、異物(埃や水など)が堆積することが防止されるため、冶具挿入孔24Aへの異物の堆積によってロックアーム20が解除不能になることがない。
【0074】
本実施形態では、キャップ9の周壁には係止部9Aが設けられ、キャップ挿入部6Aの側壁には被係止部6Cが設けられている。つまり、キャップ9は、キャップ挿入部6Aに嵌め込むことにより貫通孔6及びキャップ挿入部6Aを塞ぐ着脱式である。これにより、キャップ挿入部6Aへのキャップ9の装着が容易となる。なお本実施形態では、キャップ9の周壁に係止部9Aが設けられ、貫通孔6のキャップ挿入部6Aの側壁に被係止部6Cが設けられているものとして記載したが、キャップ9に被係止部が設けられ、貫通孔6に係止部が設けられる構成であっても同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0076】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、充電コネクタ1は、車両のバッテリーに給電するために利用されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、車両以外の船舶や潜水艦、航空機などの移動に搭載された蓄電装置のインレット、家庭やビル・工場などに設置される蓄電装置のインレットなどにも適用できる。
【0077】
また、ロック解除部24がメインアーム21の軸芯21Jにより構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、メインアーム21のロック爪22寄りにロック爪22を押し込むことが可能なものであってもよい。
【0078】
また、貫通孔6は、キャップ挿入部6Aと軸芯挿入部6Bとによって構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、軸芯挿入部6Bのみによって構成されていてもよい。
【0079】
また、キャップ9は、軸芯挿入部6Bに装着されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、設けられていなくてもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【0081】
本出願は、2013年3月28日に出願された日本国特許願第2013−069004号に基づく優先権を主張しており、この出願の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。