(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建築構造物またはダンピングロッドに保持される第1エンドプレートと、該第1エンドプレートから下方に延び、外力によって前記建築構造物またはダンピングロッドが挙動する左右方向に沿って延びる第1スロットが形成されている第1摺動板を含む第1保持体と、
前記第1保持体の下部に位置するように建築構造物またはダンピングロッドに保持される第2エンドプレートと、該第2エンドプレートから前記第1保持体に向かって延び、上下に延びた第2スロットが形成されている第2摺動板を含む第2保持体と、
上端と下端にそれぞれ前記第1スロットと第2スロットに対応する第1固定ホールと第2固定ホールが形成されており、前記第1保持体と第2保持体の前後面に結合される連結板と、
前記連結板と前記第1摺動板及び第2摺動板との間に挿設され、前記第1摺動板または第2摺動板が外力によって挙動する際摩擦熱が発生する摩擦板と、
前記第1保持体及び第2保持体と前記摩擦板及び前記連結板を相互連結する締結部と
を備えることを特徴とする可変摩擦ダンパ。
前記連結板は、前記摩擦板との摩擦力を高めるために表面にショットブラスト(shot blast)処理が施されることを特徴とする請求項1に記載の可変摩擦ダンパ。
前記締結部は、前記連結板の第1固定ホールまたは第2固定ホールと前記摩擦板の貫通ホール、前記第1保持体及び第2保持体の第1スロットまたは第2スロットを貫通する締結ボールトと、前記締結ボールトの端部に設けられるナットを備え、
前記第1保持体と第2保持体が前記連結板と連結される締結力を互いに異なって設定して、第1保持体側と第2保持体側の摩擦耐力が互いに異なって形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の可変摩擦ダンパ。
前記連結板は前記第1保持体と前記第2保持体の前後面に結合されるものであって、前記第1保持体と前記第2保持体が相互摺動される左右方向に対して交差する前後方向に沿って相互進退自在に結合される上部プレートと下部プレートを含み、前記上部プレートには前記第1固定ホールが形成されており、前記下部プレートには前記第2固定ホールが形成されることを特徴とする請求項1に記載の可変摩擦ダンパ。
前記上部プレートは、下端に一側面から他の側に向かって引き込まれている第1嵌合溝が形成されており、前記下部プレートには上端に前記第1嵌合溝と重畳できるように他側面から一側に引き込まれた第2嵌合溝が形成されており、
前記第1嵌合溝が形成された上部プレートの下部には前後方向に沿って延びるように突出されたガイド突起が形成されており、前記第2嵌合溝が形成された下部プレートの上部には前記ガイド突起が貫通できるようにガイドホールが形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の可変摩擦ダンパ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた一例を示した正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に適用された二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた第1の他の例を示した正面図である。
【
図3】
図3は、
図1に適用された二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた第2の他の例を示した正面図である。
【
図4】
図5は、
図1に適用された二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた第3の他の例を示した正面図である。
【
図5】
図5は、
図1に適用された二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた第4の他の例を示した正面図である。
【
図6】
図6は、
図1に適用された二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを示した斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6の二軸挙動耐力可変摩擦ダンパの分離斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6の二軸挙動耐力可変摩擦ダンパに外力が印加されない時の状態を示した正面図である。
【
図9】
図9は、
図6の二軸挙動耐力可変摩擦ダンパに外力が印加された時の状態を示した第1の正面図である。
【
図10】
図10は、
図6の二軸挙動耐力可変摩擦ダンパに外力が印加された時の状態を示した第2の正面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを示した正面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第3の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを示した正面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第4の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパを示した正面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第5の実施形態による3軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた一例を示した正面図である。
【
図15】
図15は、
図14に適用された3軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた第1の他の例を示した正面図である。
【
図16】
図16は、
図14に適用された3軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた第2の他の例を示した正面図である。
【
図17】
図17は、
図14に適用された3軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた第3の他の例を示した正面図である。
【
図18】
図18は、
図14に適用された3軸挙動耐力可変摩擦ダンパを設けた第4の他の例を示した正面図である。
【
図22】
図22は、
図19の3軸挙動耐力可変摩擦ダンパに適用された連結板を示した分離斜視図である。
【
図23】
図23は、
図19の3軸挙動耐力可変摩擦ダンパに適用された連結板を示した断面図である。
【
図24】
図24は、
図19の3軸挙動耐力可変摩擦ダンパに外力が印加されない時の状態を示した正面図である。
【
図25】
図25は、
図19の3軸挙動耐力可変摩擦ダンパに外力が印加された時の状態を示した第1の正面図である。
【
図26】
図26は、
図19の3軸挙動耐力可変摩擦ダンパに外力が印加された時の状態を示した第2の正面図である。
【
図27】
図27は、本発明の第5の実施形態による3軸挙動耐力可変摩擦ダンパを示した正面図である。
【
図28】
図28は、本発明の第6の実施形態による3軸挙動耐力可変摩擦ダンパを示した正面図である。
【
図29】
図29は、本発明の第7の実施形態による3軸挙動耐力可変摩擦ダンパを示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面に基づき、本発明の望ましい実施形態による可変摩擦ダンパについて具体的に説明する。
【0018】
本発明に係る可変摩擦ダンパは、挙動方式によって二軸挙動と3軸挙動の可変摩擦ダンパとに区分される。二軸挙動耐力可変摩擦ダンパは
図1ないし
図13の実施形態に示され、3軸挙動耐力可変摩擦ダンパは
図14ないし
図29に示される。
【0019】
まず、
図1に本発明の第1の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6が建築構造物1に設けられた一例を示す。
【0020】
通常、建築構造物1には鉄骨フレーム2が設けられており、鉄骨フレーム2の下部中央に本発明の二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6が装着される。そして、二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6は鉄骨フレーム2の上部両端にそれぞれ結合されるダンピングロッド3と連結される。
【0021】
地震または強風のような外力によって建築構造物1に振動が印加されれば、鉄骨フレーム2及びダンピングロッド3に連結される二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6が水平方向に摺動しつつ振動を減衰させる。これは、建築構造物1に印加される振動にエネルギーが二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6から摩擦熱に発散されることによって振動が減衰されることを意味する。
【0022】
図2には二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6が建築構造物1に設けられた他の例が示されている。示されているように、鉄骨フレーム2の四隅にそれぞれ保持されている4つのダンピングロッド3によって二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6の上部と下部がそれぞれ保持される形態に構成できる。
【0023】
その他、
図3及び
図4に示されているように、鉄骨フレームなしで建築構造物1に二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6とダンピングロッド3が直接に設けられることも可能である。また、
図5に示されているように、建築構造物1の上下の梁をそれぞれ連結する垂直方向の補助柱5を設け、該補助柱5の中間に二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6を設けることもできる。
【0024】
このように本発明の二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6は多様な形態で設けられる。二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6は水平方法(x軸方向)や垂直方向(y軸方向)の二軸方向に対して全て挙動しつつ、外力を摩擦熱に変換させることにより、建築構造物1に加わる地震のような外力の被害を最小化する。
【0025】
図6及び
図7には本発明の第1の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6がさらに詳しく示されている。
【0026】
本発明に係る二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6は、第1保持体10及び第2保持体20と、第1保持体10と第2保持体20とを連結する連結板30と、連結板30と第1保持体10及び第2保持体20の間に設けられる摩擦板40と、これらを相互結合させるための締結部50とを備える。
【0027】
第1保持体10は、
図1に示したように、ダンピングロッド3の端部を連結するロッド締結部材4に固定される第1エンドプレート11と、第1エンドプレート11から下方に延びる第1摺動板12を有する。
【0028】
第1エンドプレート11には上面と下面を貫通する複数の締結ホール7が形成されており、固定ボルトを介してロッド締結部材4に固定される。
【0029】
第1摺動板12は、第1エンドプレート11の下面から下方に所定の長さに延びているが、側面から見たとき「T」字形になる。第1摺動板12には前後面を貫通する第1スロット13が形成されているが、第1スロット13は左右方向に沿って所定の長さに延びており、左右方向に沿って相互に所定の間隔で離隔されるように2つが形成されている。
【0030】
第2保持体20は
図1に示したように鉄骨フレーム2に固定されるもので、鉄骨フレーム2に固定された第2エンドプレート21と、第2エンドプレート21から上方に第1保持体10に向かって延びた第2摺動板22を含む。第2エンドプレート21にも上下面を貫通する多数の締結ホール7が形成されていて、固定ボルトを介して鉄骨フレーム2に固定される。第2保持体20は二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6の設置位置によって鉄骨フレーム2のほか、ダンピングロッド3と連結されるロッド締結部材4、または建築構造物1の梁に直接に設けられることも可能である。
【0031】
第2摺動板22には、上下に延びており、左右方向に沿って相互に離隔されている2つの第2スロット23が形成されている。
【0032】
前記第1保持体10及び第2保持体20は、後述する連結板30と締結部50を通じて相互連結される。前述したように、それぞれ鉄骨フレーム2や建築構造物1の上部と下部、または建築構造物1と鉄骨フレーム2の上部と下部からそれぞれ延びるダンピングロッド3と二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6が連結される。従って、地震のような外力によって横方向または上下方向に変形が発生する時、この変形方向によって二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6の挙動が行われるように設けられる。
【0033】
前記連結板30は、第1保持体10と第2保持体20を相互連結するものであって、上下に延びる板状であり、上部と下部にそれぞれ第1スロット13と第2スロット23に対応する第1固定ホール31と第2固定ホール32が形成される。
【0034】
連結板30は、後述する摩擦板40を挟んで第1摺動板12及び第2摺動板22と連結される。第1保持体10と第2保持体20が相互に離隔される方向に挙動すれば連結板30が回転するようになり、摩擦板40と摩擦して摩擦熱が発生しつつ外力を減衰させる。摩擦減衰効果をアップできるように連結板30にショットブラスト(shot blast)処理を施して、摩擦板40と連結板30の摩擦力を高めることが望ましい。
【0035】
摩擦板40は、外力によって第1保持体10及び第2保持体20が相互に離隔される方向に挙動する際、外力を摩擦熱に転換するためのものである。
【0036】
摩擦板40は、第1摺動板12及び第2摺動板22と連結板30との間に嵌め込まれる。摩擦板40の一側面は第1摺動板12または第2摺動板22に、他側面は連結板30に密着される。そして、摩擦板40には後述する締結部50の締結ボールト51が挿入できるように貫通ホール41が形成されている。
【0037】
前述したように摩擦板40は、外力を減衰させることができるように第1摺動部材、第2摺動部材及び連結板30と摩擦が行われて熱を発散させる。摩擦板40を第1摺動板12、第2摺動板22及び連結板30に比べて相対的に低硬度の材質で作製すれば、摩擦板40と摺動板の持続的な摩擦接触がなされる時、摩擦板40は磨耗が進めて厚さが次第に減少する。従って、第1摺動板12、第2摺動板22と連結板30は長期間原形を維持できるので、摩擦板40のみ消耗品のように取り替えて使用寿命を延ばすことができる。
【0038】
前記締結部50は、第1摺動板12及び第2摺動板22と摩擦板40及び連結板30を相互締結するように締結ボールト51とナット53及びワッシャー部材52を含む。
【0039】
締結ボールト51はテンションボルトが適用されるのが望ましい。締結ボールト51は連結板30の第1固定ホール31及び第2固定ホール32、摩擦板40の貫通ホール41及び第1摺動板12及び第2摺動板22の第1スロット13及び第2スロット23を貫通させた後端部にナット53を結合して、第1保持板10及び第2保持体20と摩擦板40及び連結板30を相互固定させる。
【0040】
前記ワッシャー部材52は一側連結板30と締結ボールト51のヘッド間及び他側連結板30とナット53との間に締結される。ワッシャー部材52は皿スプリングワッシャーを適用できる。摩擦板40が摩擦によって厚さがやや減少するとしても、ワッシャー部材52の弾性力によって摩擦板40が第1摺動板12及び第2摺動板22と連結板30に密着した状態を維持することができる。
【0041】
また、本発明に係る二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ6は、締結部50の締結ボールト51とナット53の締結力を調節して、摩擦耐力の大きさを調節することができる。
【0042】
すなわち、建築物のサイズや形態、位置などによって求められる摩擦耐力が違ってくるが、トルクレンチを通じて締結ボールト51を設定されたトルクで締め付けて、摩擦板40と第1摺動板12、第2摺動板22及び連結板30との結合力を設定大きさの摩擦耐力が存在するように調節することができる。必要に応じて、第1保持体10を貫通するテンションボルトと第2保持体20を貫通するテンションボルトのトルクを異にして、摩擦ダンパの上部と下部側の摩擦耐力を互いに異なって設定することもできる。 第1保持体10側と第2保持体20側にかかる摩擦耐力の大きさを互いに異なってすれば、弱い振動または外力に対しては第1保持体10側に設けられる摩擦板40で先に摩擦が起こって、外力を減衰させてから外力が大きくなって第2保持体20側の摩擦耐力より大きくなると、第2保持体20側の摩擦板40も回転及び上下運動を通じて挙動しつつ摩擦熱が発生するようになる。
【0043】
このように構成された本発明に係る二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ10は、
図8に示されているように、外力が働かない時には上部側の締結ボールト51が第1スロット12の中間に位置し、下部側の締結ボールト51も第2スロット23の中間に位置した状態であるが、ここで外力が働くと、
図9に示したように、先に第1保持体10が摺動し、第1保持体10に設けられた摩擦板40の摩擦耐力が相対的に小さいことから、第1摩擦板40でのみ先に摺動が行われながら摩擦熱が発生するようになる。
【0044】
もし、外力が大きくなって、第2保持体20に結合された摩擦板40に対する摩擦耐力より大きくなると、
図10に示したように、第1保持体10は一側にさらに移動が行われ、第2保持体10に設けられた締結ボールト51は第2スロット23に沿って上方に進みながら下部側の摩擦板40においても摩擦熱が発生しつつ外力を減衰させるようになる。
【0045】
本発明の第1の実施形態の二軸挙動耐力可変摩擦ダンパ10は、第1保持体10及び第2保持体20に2対の連結板30が摩擦板40と共に結合される形態であるが、
図11に示されているように、本発明の第2の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパは1対の連結板30が結合される形態に形成でき、
図12に示されているように、本発明の第3の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパは3対の連結板30が結合される形態に形成されることもできる。また、第1保持体10及び第2保持体20の左右長さを十分に伸ばして4対以上の連結板30が連結される形態に形成されることもできる。このように連結板30及び摩擦板の設置個数を通じて摩擦耐力の大きさを異にすることができる。
【0046】
第1保持体10及び第2保持体20に第1スロット12と第2スロット23をそれぞれ三つずつ形成しておき、設けられる建築構造物1の条件によって連結板30を1対から3対まで選択的に設けることもできる。
図13に示された本発明の第4の実施形態による二軸挙動耐力可変摩擦ダンパは第1スロット12と第2スロット23をそれぞれ3つずつ形成しておいたが、両側に2対の連結板30のみ設けておいてから、追って必要によって1対の連結板30を摩擦板と共にさらに設けて摩擦耐力を増加させることもでき、逆に1対を除去して摩擦耐力を減少させるように調節することもできる。
【0047】
以下、
図14ないし
図29に示された3軸挙動耐力可変摩擦ダンパについて説明する。
【0048】
図14に本発明の第5の実施形態による3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90が建築構造1に設けられた一例を示している。
【0049】
図15には3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90の他の設置例が示されているが、示されているように、フレームの四隅にそれぞれ保持されている4つのダンピングロッド3によって3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90の上部と下部がそれぞれ保持される形態に形成できる。
【0050】
その他、
図16及び
図17に示されているように、鉄骨フレームなしで建築構造物1に3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90とダンピングロッド3が直接に設けることもでき、
図18に示されているように、建築構造物1の上下部梁をそれぞれ連結する垂直方向の補助柱5を設け、該補助柱5の中間に3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90を設けることもできる。
【0051】
このように本発明の3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90は多様な形態に設けられ、左右方向や垂直方向に対して、すなわちx軸とy軸に沿って延びる二軸方向に対して挙動しつつ外力を摩擦熱に変換させて建築構造物1に加わる地震のような外力の被害を最小化する。また、後述する連結板の構造によって前後方向、すなわちz軸に沿って延びる方向に対しても挙動が行われて3軸方向に対する外力を減衰させることができる。
【0052】
図19ないし
図26には本発明の第5の実施形態による3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90がさらに詳しく示されている。
【0053】
本発明に係る3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90は、第1保持体100及び第2保持体200と、第1保持体100と第2保持体200を連結する連結板300と、第1保持体100及び第2保持体200の間に設けられる摩擦板400と、これらを相互結合させるための締結部500を備える。
【0054】
第1保持体100は、第1エンドプレート110と、第1エンドプレート110から下方に延びる第1摺動板120とを有する。
【0055】
前記第1エンドプレート110には上面と下面を貫通する複数の締結ホール111が形成される。
【0056】
第1摺動板120は、第1エンドプレート110の下面から下方に所定の長さに延びているが、側面から眺めた時、'T'字形になる。第1摺動板120には前後面を貫通する第1スロット121が形成されているが、第1スロット121は左右方向に沿って所定の長さに延びており、左右方向に沿って相互に所定の間隔で離隔するように2つが形成されている。
【0057】
前記第2保持体200は鉄骨フレームに固定されるもので、鉄骨フレーム2に固定された第2エンドプレート210と、第2エンドプレート210から上方に第1保持体100に向かって延びた第2摺動板220を含む。第2エンドプレート210にも上下面を貫通する多数の締結ホール111が形成されていて、固定ボルトを介して鉄骨フレーム2に固定される。第2保持体200は、3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90の設置位置によって鉄骨フレームのほか、ダンピングロッドと連結されるロッド締結部材、または建築構造物の梁に直接に設けることもできる。
【0058】
第2摺動板220には、上下に延びており、左右方向に沿って相互に離隔されている2つの第2スロット222が形成されている。
【0059】
前記第1支持体100及び第2保持体200は、後述する連結板300と締結部500を介して相互連結され、前述したようにそれぞれ鉄骨フレームや建築構造物の上部と下部、または建築構造物と鉄骨フレームの上部と下部からそれぞれ延びるダンピングロッドと連結されることによって、地震のような外力によって横方向または上下方向に変形が発生する際、このような変形によって挙動が行われるように設けられる。
【0060】
前記連結板300は、前述したように第1保持体100と第2保持体200を相互連結するものであって、上部と下部にそれぞれ第1スロット121と第2スロット222に対応する第1固定ホール311と第2固定ホール321が形成されている。
【0061】
さらに詳しく説明すれば、連結板300は第1固定ホール311が形成されている上部プレート310と、上部プレート310の下部に結合される下部プレート320を含む。
【0062】
上部プレート310は、前後面を貫通するように前記第1固定ホール311が形成されており、下部に一側面から他の側に引き込まれた第1嵌合溝312が形成されている。そして、第1嵌合溝312には一側に突出された2つのガイド突起313が形成されているが、前記ガイド突起313は前後方向、すなわちz軸方向に沿って突出される。
【0063】
下部プレート320は、前後面を貫通するように前記第2固定ホール321が形成されており、上部の他側面に一側に引き込まれた第2嵌合溝322が形成されている。そして、第2嵌合溝322が形成されている地点に前後面を貫通し、前記ガイド突起313に対応するガイドホール323が形成されている。
【0064】
上部プレート310と下部プレート320は前記第1嵌合溝312と第2嵌合溝322が相互重畳して結合され、この際、前記ガイド突起313がガイドホール323に挿入される。このように連結板が分割された2つのプレートが相互結合されてなされるが、それぞれのプレートに形成されたガイド突起313とガイドホール323によって相互z軸方向に対して所定の長さに個別的に挙動が可能になって、z軸方向に働く外力に対する減衰効果を期することができる。
【0065】
上部プレート310と下部プレート320が結合されて形成される連結板300は後述する摩擦板400を挟んで前記第1摺動板120及び第2摺動板220と連結され、第1保持体100と第2保持体200が相互離隔される方向に挙動すれば、前記連結板300が回転するようになり、前記摩擦板400と摩擦され摩擦熱が発生しつつ外力を減衰させるようになるが、このような摩擦減衰効果をアップできるように連結板300にショットブラスト(shot blast)処理を施して摩擦板400と連結板300との間の摩擦力を高めるのが望ましい。
【0066】
摩擦板400は、外力によって第1保持体100及び第2保持体200が相互離隔される方向に挙動する際、外力を摩擦熱に転換するためのものである。
【0067】
摩擦板400は、第1摺動板120、第2摺動板220と連結板300との間に嵌め込まれ、一側面は第1摺動板120または第2摺動板220に、他側面は連結板300に密着される。そして、摩擦板400には後述する締結部500の締結ボールト510が挿入できるように貫通ホール410が形成されている。
【0068】
前述したように、摩擦板400は外力を減衰できるように第1摺動板120、第2摺動板220及び連結板300と摩擦が行われて熱を発散するものであることから、第1摺動板120、第2摺動板220及び連結板300に比べて相対的に低硬度の材質で作製すれば、摩擦板400と第1摺動板120及び第2摺動板220の持続的な摩擦接触が行われる時、摩擦板400は磨耗が進んで厚さが次第に減少するようになり、相対的に第1摺動板120、第2摺動板220と連結板300は長期間原形を維持できるので、摩擦板400のみ消耗品のように取り替えて使用寿命を延ばすことができる。
【0069】
前記締結部500は第1摺動板120及び第2摺動板220と摩擦板400及び連結板300を相互締結するように締結ボールト510とナット530及びワッシャー部材520を含む。
【0070】
締結部500は、前述した本発明の第1の実施形態と同一なので、具体的な説明を省く。
【0071】
本発明の第5の実施形態による3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90は、
図24に示したように、外力が働かない時には上部側の締結ボールト510が第1スロット121の中間に位置し、下部側の締結ボールト510も第2スロット222の中間に位置した状態であるが、ここで外力が働くと、
図25に示したように、まず第1保持体100が摺動され、第1保持体100に設けられた摩擦板400の摩擦耐力が相対的に小さいことから、第1摩擦板400でのみ先に摺動が行われながら摩擦熱が発生するようになる。
【0072】
もし、外力が大きくて第2保持体200に結合された摩擦板400に対する摩擦耐力より大きければ、
図26に示したように、第1保持体100は一側にさらに移動が行われ、第2摺動板220に設けられた締結ボールト510は第2スロット221に沿って上方に進みながら下部側の摩擦板400においても摩擦熱が発生しつつ外力を減衰させるようになる。
【0073】
本実施形態の3軸挙動耐力可変摩擦ダンパ90は、第1保持体100及び第2保持体200に2対の連結板300が摩擦板400と共に結合される形態であるが、
図27に示したように、1対の連結板300が結合される形態に形成でき、
図28に示したように3対の連結板300が結合される形態に形成でき、第1保持体100及び第2保持体200の左右長さを十分に伸ばして4対以上の連結板300が連結される形態に形成することもできる。このように連結板300及び摩擦板400の設置個数を通じて摩擦耐力の大きさを調節することができる。
【0074】
また、
図29に示されているように、第1保持体100及び第2保持体200に第1スロット121と第2スロット222をそれぞれ3つずつ形成しておき、設けられる建築構造物1の条件によって連結板300を1対から3対まで選択的に設けることもできる。
図15に示された実施例の場合、第1スロット121と第2スロット222はそれぞれ三つずつ形成しておいたが、両側に2対の連結板300のみ設けておいてから、追って必要に応じて1対の連結板300を摩擦板400と共にさらに設けて摩擦耐力を増加させることができ、逆に1対を除去して摩擦耐力を減少させるように調節することもできる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。