(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945079
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】信号送信方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04J 99/00 20090101AFI20160621BHJP
H04J 11/00 20060101ALI20160621BHJP
H04B 7/04 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
H04J15/00
H04J11/00 Z
H04B7/04
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-549966(P2015-549966)
(86)(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公表番号】特表2016-507953(P2016-507953A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】CN2013089820
(87)【国際公開番号】WO2014101697
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年6月29日
(31)【優先権主張番号】201210592000.6
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲暉▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 建波
【審査官】
北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−504735(JP,A)
【文献】
特表2009−505586(JP,A)
【文献】
特表2011−515915(JP,A)
【文献】
特開2012−34355(JP,A)
【文献】
特開2014−233080(JP,A)
【文献】
福元 暁 他,W−CDMAマルチセル環境下におけるダイバーシチ効果を考慮した下りリンク適応アンテナアレイビームフォーミンクに関する容量特性,電子情報通信学会2002年総合大会講演論文集 通信1 PROCEEDINGS OF THE 2002 IEICE GENERAL CONFERENCE,2002年 3月 7日,p.491
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04B 7/04
H04J 11/00
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号送信方法であって、前記方法は2つの論理ポートと8つの物理アンテナとを有する通信システムに適用され、前記2つの論理ポートは論理ポート0および1であり、前記8つの物理アンテナは物理アンテナ0,1,2,3,4,5,6および7であり、前記8つの物理アンテナの重み係数の振幅は全て1であり、前記物理アンテナ0および4の前記重み係数の位相は0であり、前記物理アンテナ1および5の前記重み係数の位相はΔ1*kであり、前記物理アンテナ2および6の前記重み係数の位相はΔ2*kであり、前記物理アンテナ3および7の前記重み係数の位相は(Δ1+Δ2)*kであり、Δ1およびΔ2は、隣接するサブキャリア間の位相差であり、前記kはサブキャリアの数であり、前記方法は、
前記8つの物理アンテナにマッピングされた信号を取得するステップであって、前記物理アンテナ0,1,2および3の前記マッピングされた信号は、前記物理アンテナ0,1,2および3の前記重み係数に基づいて前記論理ポート0の信号を別々に重み付けすることによって取得され、前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ0,1,2および3のうちの1つの前記重み係数の前記位相はπ増加し、前記物理アンテナ4,5,6および7の前記マッピングされた信号は、前記物理アンテナ4,5,6および7の前記重み係数に基づいて前記論理ポート1の信号を別々に重み付けすることによって取得され、前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ4,5,6および7のうちの1つの前記重み係数の前記位相はπ増加する、ステップと、
前記8つの物理アンテナの前記マッピングされた信号を送信するステップと
を有することによって特徴づけられる方法。
【請求項2】
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ1の前記重み係数の前記位相はα1増加し、
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ2の前記重み係数の前記位相はβ1増加し、
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ3の前記重み係数の前記位相はα1とβ1の和増加し、α1およびβ1はランダムな傾斜角度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ5の前記重み係数の前記位相はα2増加し、
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ6の前記重み係数の前記位相はβ2増加し、
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ7の前記重み係数の前記位相はα2とβ2の和増加し、α2およびβ2はランダムな傾斜角度である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
信号送信装置であって、前記装置は2つの論理ポートと8つの物理アンテナとを有する通信システム内に配置され、前記2つの論理ポートは論理ポート0および1であり、前記8つの物理アンテナは物理アンテナ0,1,2,3,4,5,6および7であり、前記8つの物理アンテナの重み係数の振幅は全て1であり、前記物理アンテナ0および4の前記重み係数の位相は0であり、前記物理アンテナ1および5の前記重み係数の位相はΔ1*kであり、前記物理アンテナ2および6の前記重み係数の位相はΔ2*kであり、前記物理アンテナ3および7の前記重み係数の位相は(Δ1+Δ2)*kであり、Δ1およびΔ2は、隣接するサブキャリア間の位相差であり、前記kはサブキャリアの数であり、前記装置は、
前記8つの物理アンテナにマッピングされた信号を取得するように構成される処理モジュールであって、前記物理アンテナ0,1,2および3の前記マッピングされた信号は、前記物理アンテナ0,1,2および3の前記重み係数に基づいて前記論理ポート0の信号を別々に重み付けすることによって取得され、前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ0,1,2および3のうちの1つの前記重み係数の前記位相はπ増加し、前記物理アンテナ4,5,6および7の前記マッピングされた信号は、前記物理アンテナ4,5,6および7の前記重み係数に基づいて前記論理ポート1の信号を別々に重み付けすることによって取得され、前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ4,5,6および7のうちの1つの前記重み係数の前記位相はπ増加する、処理モジュールと、
前記8つの物理アンテナの前記マッピングされた信号を送信するように構成される送信モジュールとを有することによって特徴づけられる装置。
【請求項5】
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ1の前記重み係数の前記位相はα1増加し、
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ2の前記重み係数の前記位相はβ1増加し、
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ3の前記重み係数の前記位相はα1とβ1の和増加し、α1およびβ1はランダムな傾斜角度である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ5の前記重み係数の前記位相はα2増加し、
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ6の前記重み係数の前記位相はβ2増加し、
前記重み付けにおいて、前記物理アンテナ7の前記重み係数の前記位相はα2とβ2の和増加し、α2およびβ2はランダムな傾斜角度である、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
コンピュータに請求項1乃至3のいずれか1項の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、中国特許庁に2012年12月31日に出願された、"SIGNAL TRANSMISSION METHOD AND APPARATUS"と題する、中国特許出願第201210592000.6に優先権を主張し、その全体において参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は無線通信技術の分野に関し、特に、信号送信方法に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムのスループットおよびカバレッジ性能に対する要件がますます高くなったため、多入力多出力(Multi
ple-input Multi
ple-output、略してMIMO)技術と直交周波数分割多重(Orthogonal frequency division multiple
xing、略してOFDM)技術との組み合わせは、ロング・ターム・エボリューション(Long Term Evolution、略してLTE)システムのようなホットスポットとなる。MIMO技術の適用においては、論理データチャネルの数は物理データチャネルの数と等しくない場合があり、論理データチャネルと物理データチャネルとの間の対応付けが確立される必要があり、すなわち、論理データチャネル(または論理ポート)は、物理データチャネル(または物理アンテナポート)にマッピングされる。既存の商用LTEシステムでは、2つの論理ポート(以下略して2Portと呼ぶ)を有する送信モードが一般に使用される。基地局が信号送信のために8つの物理アンテナポートを使用する場合、4つの物理アンテナポート(以下略してアンテナと呼ぶ)間で1つの論理ポートへのマッピングが実施される必要がある。
図1に示されるように、
図1は、既存のLTEシステムにおける8つのアンテナと2Portのための信号送信方法および実施構成を示す。
【0004】
従来技術では、8つのアンテナが信号送信のために使用される場合、ワイドビーム実施方法または巡回遅延ダイバーシティ(Cyclic Delay Diversity、略してCDD)実施方法が一般に使用される。ワイドビーム実施方法は、各物理アンテナの各サブキャリアに同じ位相を有する重み係数を乗じた後に信号送信が実行されることである。この実施方法では、セルカバレッジ要件を満たす重み付けされたビーム形状を達成するために、いくつかの物理アンテナに対応する送信経路を介した送信は、低減された電力によって実行される必要があり、そのことは、基地局の送信電力の損失を引き起こす。CDD実施方法は、各物理アンテナの各サブキャリアに異なる位相を有する重み係数を乗じた後に信号送信が実行されることであり、本実施方法においてもたらされる性能利得は、サブキャリア信号の変動(fluctuation)から生じる性能損失を補償しない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の2つの従来の技術によってもたらされる技術的課題を解決するために、第1の態様に基づくと、本発明は信号送信方法を提供し、前記方法は2つの論理ポートと8つの物理アンテナとを含む通信システムに適用され、2つの論理ポートは論理ポート0および1であり、8つの物理アンテナは物理アンテナ0,1,2および3と物理アンテナ4,5,6および7とであり、前記方法は、
論理ポート0の信号と論理ポート1の信号とを重み付けし、重み付けされた信号を物理アンテナ0,1,2および3と、物理アンテナ4,5,6および7とにマッピングし、信号を送信するステップを含み、
物理アンテナの重み係数の振幅は全て1であり、
物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対しては0であり、物理アンテナ1および5に対してはΔ1*kであり、物理アンテナ2および6に対してはΔ2*kであり、物理アンテナ3および7に対しては(Δ1+Δ2)*kであり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加し、Δ1およびΔ2は、隣接するサブキャリア間の位相差であり、kはサブキャリアの数である。
【0006】
第1の可能実施方法では、第1の態様を参照すると、物理アンテナの重み係数の位相に関して、物理アンテナ1,2および3の重み係数の位相はさらに、それぞれα1,β1およびα1とβ1の和増加し、α1およびβ1はランダムな傾斜角度である。
【0007】
第2の可能実施方法では、第1の態様または第1の態様の第1の可能実施方法を参照すると、物理アンテナの重み係数の位相に関して、物理アンテナ5,6および7の重み係数の位相はさらに、それぞれα2,β2およびα2とβ2の和増加し、α2およびβ2はランダムな傾斜角度である。
【0008】
第3の可能実施方法では、第1の態様、第1の態様の第1の可能実施方法または第1の態様の第2の可能実施方法を参照すると、物理アンテナの重み係数の位相に関して、物理アンテナの重み係数の位相はさらにφ増加し、φはランダムな傾斜角度である。
【0009】
第2の態様に基づくと、本発明は信号送信装置を提供し、前記装置は2つの論理ポートと8つの物理アンテナとを含む通信システム内に配置され、2つの論理ポートは論理ポート0および1であり、8つの物理アンテナは物理アンテナ0,1,2および3と物理アンテナ4,5,6および7とであり、前記装置は、
論理ポート0の信号と論理ポート1の信号とを重み付けし、次いで、重み付けされた信号を物理アンテナ0,1,2および3と、物理アンテナ4,5,6および7とにマッピングするように構成される処理モジュールと、
信号を送信するように構成される送信モジュールとをさらに含み、
物理アンテナの重み係数の振幅は全て1であり、
物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対しては0であり、物理アンテナ1および5に対してはΔ1*kであり、物理アンテナ2および6に対してはΔ2*kであり、物理アンテナ3および7に対しては(Δ1+Δ2)*kであり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加し、Δ1およびΔ2は、隣接するサブキャリア間の位相差であり、kはサブキャリアの数である。
【0010】
第1の可能実施方法では、第2の態様を参照すると、物理アンテナの重み係数の位相に関して、物理アンテナ1,2および3の重み係数の位相はさらに、それぞれα1,β1およびα1とβ1の和増加し、α1およびβ1はランダムな傾斜角度である。
【0011】
第2の可能実施方法では、第2の態様または第2の態様の第1の可能実施方法を参照すると、物理アンテナの重み係数の位相に関して、物理アンテナ5,6および7の重み係数の位相はさらに、それぞれα2,β2およびα2とβ2の和増加し、α2およびβ2はランダムな傾斜角度である。
【0012】
第3の可能実施方法では、第2の態様、第2の態様の第1の可能実施方法または第2の態様の第2の可能実施方法を参照すると、物理アンテナの重み係数の位相に関して、物理アンテナの重み係数の位相はさらにφ増加し、φはランダムな傾斜角度である。
【0013】
本発明では、8つの物理アンテナの各サブキャリアには、特定の位相の重み係数が乗算され、物理アンテナ0,1,2および3の任意の1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7の任意の1つの重み係数の位相はπ増加し、次いで信号送信が実行される。信号送信方法は、基地局の送信電力の損失を引き起こさず、サブキャリアの電力変動振幅もまた比較的小さく、特にアンテナが故障している場合、性能損失はあまり大きくない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施形態における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本発明の実施形態を説明するために必要とされる添付図面を簡潔に説明する。明らかに、以下の説明における添付図面は単に本発明のいくつかの実施形態を示すものであり、当業者は、創造的努力なくしてこれらの添付図面から他の図面をさらに導出できる。
【0015】
【
図1】
図1は、既存のLTEシステムにおける8アンテナ2Portのための信号送信方法および実施構成を示す。
【
図2】
図2は、既存のLTEシステムにおける8アンテナ2Portのための別の信号送信方法および実施構成を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る信号送信装置の概略構成図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る別の信号送信装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態における添付図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決手段を明確に且つ十分に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の実施形態の全てではなく一部である。創造的努力なくして本発明の実施形態に基づいて当業者によって取得される他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲に包含されるべきである。
【0018】
本実施形態は信号送信方法を提供し、前記方法は2つの論理ポートと8つの物理アンテナとを含む通信システムに適用され、2つの論理ポートは論理ポート0および1であり、8つの物理アンテナは物理アンテナ0,1,2および3と物理アンテナ4,5,6および7とである。
【0019】
本発明において言及される全てのアンテナは物理アンテナであるとともに、8つの物理アンテナは、主偏波アンテナ(co-polarization antenna)または交差偏波アンテナ(cross polarization antenna)であってもよい。本実施形態は、実施例として4列の交差偏波物理アンテナを使用することによって説明され、4列の交差偏波物理アンテナは、配列要素に対して較正(calibrate)されるとともに等間隔で配置され、各列は、正の45度の交差偏波物理アンテナおよび負の45度の交差偏波物理アンテナを含む。
【0020】
図2は、信号送信方法によって使用される実施構成を示す。
図2に示されるように、プリコーディング(Precoding)後に取得された2つのPort信号は重み付け処理を受け、次いで、8つの物理アンテナに別々にマッピングされる。マッピング方法は、論理ポート0の信号は物理アンテナ0,1,2および3にマッピングされるとともに論理ポート1の信号は物理アンテナ4,5,6および7にマッピングされてもよく、または、論理ポート0の信号は物理アンテナ4,5,6および7にマッピングされるとともに論理ポート1の信号は物理アンテナ0,1,2および3にマッピングされてもよい。
【0021】
物理アンテナの重み係数の振幅は全て1である。
【0022】
物理アンテナ0,1,2および3の重み係数の位相はそれぞれ、0,Δ1*k,Δ2*kおよび(Δ1+Δ2)*kであり、物理アンテナ4,5,6および7の重み係数の位相はそれぞれ、0,Δ3*k,Δ4*kおよび(Δ3+Δ4)*kである。加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相と、物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相は、π増加する。Δ1,Δ2,Δ3およびΔ4はそれぞれ、物理アンテナ1,2,5および6の隣接するサブキャリア間の位相差であり、kはサブキャリアの数である。
【0023】
Δ1=Δ3であり、且つΔ2=Δ4である場合、物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対しては0であり、物理アンテナ1および5に対してはΔ1*kであり、物理アンテナ2および6に対してはΔ2*kであり、物理アンテナ3および7に対しては(Δ1+Δ2)*kであり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。
【0024】
前述の方法に基づいて2つのPort信号に対して重み付けおよびマッピングが実行された後、信号は、物理アンテナを使用することによって送信される。
【0025】
任意で、物理アンテナ1の重み係数の位相はさらにα1増え、物理アンテナ2の重み係数の位相はさらにβ1増え、物理アンテナ3の重み係数の位相はさらにα1とβ1の和増え、α1およびβ1は、0度から2πのような、ランダムな傾斜角度である。
【0026】
前述の任意の解決手段に基づいて、物理アンテナ5の重み係数の位相はさらにα2増え、物理アンテナ6の重み係数の位相はさらにβ2増え、物理アンテナ7の重み係数の位相はさらにα2とβ2の和増え、α2およびβ2は、0度から2πのような、ランダムな傾斜角度である。すなわち、物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対しては0であり、物理アンテナ1および5に対してはそれぞれΔ1*k+α1およびΔ1*k+α2であり、物理アンテナ2および6に対してはそれぞれΔ2*k+β1およびΔ2*k+β2であり、物理アンテナ3および7に対してはそれぞれ(Δ1+Δ2)*k+α1+β1および(Δ1+Δ2)*k+α2+β2であり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。
【0027】
任意で、α1=α2=αであり、且つβ1=β2=βである場合、それは、物理アンテナ1および5の重み係数の位相がさらにα増え、物理アンテナ2および6の重み係数の位相がさらにβ増え、物理アンテナ3および7の重み係数の位相がさらにαとβの和増え、αおよびβはランダムな傾斜角度であることと等価である。すなわち、物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対しては0であり、物理アンテナ1および5に対してはΔ1*k+αであり、物理アンテナ2および6に対してはΔ2*k+βであり、物理アンテナ3および7に対しては(Δ1+Δ2)*k+α+βであり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。
【0028】
この場合、論理ポート0の信号を重み付けすること、および重み付けされた信号を物理アンテナ0,1,2および3にマッピングすることは、以下の式によって示されてもよい:
【0030】
ここで、W
0は、論理ポート0の信号の各サブキャリアの重み付けを示し、w
00,w
01,w
02,およびw
03はそれぞれ、物理アンテナ0,1,2および3を示す。
【0031】
論理ポート1の信号を重み付けすること、および重み付けされた信号を物理アンテナ4,5,6および7にマッピングすることは、以下の式によって示されてもよい:
【0033】
ここで、W
1は、論理ポート1の信号の各サブキャリアの重み付けを示し、w
10,w
11,w
12,およびw
13はそれぞれ、物理アンテナ4,5,6および7を示す。
【0034】
前述の2つの式では、Δ1=Δ3であり,Δ2=Δ4であり,α1=α2=αであり,β1=β2=βであり,
物理アンテナ3の重み係数の位相および
物理アンテナ6の重み係数の位相は別々にπ増加する。
【0035】
任意で、前述の解決手段に基づいて、物理アンテナの重み係数の位相はさらにφ増えてもよく、φは0度から2πのような、ランダムな傾斜角度である。例えば、α1=α2=αであり、且つβ1=β2=βであり、すなわち、物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対してφであり、物理アンテナ1および5に対してΔ1*k+α+φであり、物理アンテナ2および6に対してΔ2*k+β+φであり、物理アンテナ3および7に対して(Δ1+Δ2)*k+α+β+φであり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。
【0036】
信号送信方法は、各物理アンテナの送信電力をフルに利用して、基地局の送信電力の損失を引き起こさず、サブキャリアの電力変動振幅もまた比較的小さく、特にアンテナが故障している場合、性能損失はあまり大きくない。
【0038】
本実施形態は、信号送信装置を提供し、前記装置は通信システムに接続するか、または通信システム内に配置され、通信システムは、2つの論理ポートと8つの物理アンテナとを含み、2つの論理ポートは論理ポート0および1であり、8つの物理アンテナは物理アンテナ0,1,2および3と物理アンテナ4,5,6および7とである。
【0039】
本発明において言及される全てのアンテナは物理アンテナであるとともに、8つの物理アンテナは、主偏波アンテナまたは交差偏波アンテナであってもよい。本実施形態は、実施例として4列の交差偏波物理アンテナを使用することによって説明され、4列の交差偏波物理アンテナは、配列要素に対して較正されるとともに等間隔で配置され、各列は、正の45度の交差偏波物理アンテナおよび負の45度の交差偏波物理アンテナを含む。
【0040】
図3は、信号送信装置の概略構成図である。論理ポートと物理アンテナは図では省略され、
図3で示されるように、信号送信装置は、
論理ポート0の信号と論理ポート1の信号とを重み付けし、次いで、重み付けされた信号を物理アンテナ0,1,2および3と、物理アンテナ4,5,6および7とにマッピングするように構成される処理モジュール31と、
信号を送信するように構成される送信モジュール32と
を含む。
【0041】
物理アンテナの重み係数の振幅は全て1である。
【0042】
物理アンテナ0,1,2および3の重み係数の位相は、それぞれ0,Δ1*k,Δ2*kおよび(Δ1+Δ2)*kであり、物理アンテナ4,5,6および7の重み係数の位相は、それぞれ0,Δ3*k,Δ4*kおよび(Δ3+Δ4)*kである。加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。Δ1,Δ2,Δ3およびΔ4はそれぞれ、物理アンテナ1,2,5および6の隣接するサブキャリア間の位相差であり、kはサブキャリアの数である。
【0043】
Δ1=Δ3であり、且つΔ2=Δ4である場合、物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対しては0であり、物理アンテナ1および5に対してはΔ1*kであり、物理アンテナ2および6に対してはΔ2*kであり、物理アンテナ3および7に対しては(Δ1+Δ2)*kであり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。
【0044】
任意で、物理アンテナ1の重み係数の位相はさらにα1増え、物理アンテナ2の重み係数の位相はさらにβ1増え、物理アンテナ3の重み係数の位相はさらにα1とβ1の和増え、α1およびβ1は、0度から2πのような、ランダムな傾斜角度である。
【0045】
前述の任意の解決手段に基づいて、物理アンテナ5の重み係数の位相はさらにα2増え、物理アンテナ6の重み係数の位相はさらにβ2増え、物理アンテナ7の重み係数の位相はさらにα2とβ2の和増え、α2およびβ2は、0度から2πのような、ランダムな傾斜角度である。すなわち、物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対しては0であり、物理アンテナ1および5に対してはそれぞれΔ1*k+α1およびΔ1*k+α2であり、物理アンテナ2および6に対してはそれぞれΔ2*k+β1およびΔ2*k+β2であり、物理アンテナ3および7に対してはそれぞれ(Δ1+Δ2)*k+α1+β1および(Δ1+Δ2) *k+α2+β2であり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。
【0046】
任意で、α1=α2=αであり、且つβ1=β2=βである場合、それは、物理アンテナ1および5の重み係数の位相がさらにα増え、物理アンテナ2および6の重み係数の位相がさらにβ増え、物理アンテナ3および7の重み係数の位相がさらにαとβの和増え、αおよびβはランダムな傾斜角度であることと等価である。すなわち、物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対しては0であり、物理アンテナ1および5に対してはΔ1*k+αであり、物理アンテナ2および6に対してはΔ2*k+βであり、物理アンテナ3および7に対しては(Δ1+Δ2)*k+α+βであり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。
【0047】
この場合、論理ポート0の信号を重み付けすること、および重み付けされた信号を物理アンテナ0,1,2および3にマッピングすることは、以下の式によって示されてもよい:
【0049】
ここで、W
0は、論理ポート0の信号の各サブキャリアの重み付けを示し、w
00,w
01,w
02,およびw
03はそれぞれ、物理アンテナ0,1,2および3を示す。
【0050】
論理ポート1の信号を重み付けすること、および重み付けされた信号を物理アンテナ4,5,6および7にマッピングすることは、以下の式によって示されてもよい:
【0052】
ここで、W
1は、論理ポート1の信号の各サブキャリアの重み付けを示し、w
11,w
12,w
13,およびw
10はそれぞれ、物理アンテナ4,5,6および7を示す。
【0053】
前述の2つの式では、Δ1=Δ3であり,Δ2=Δ4であり,α1=α2=αであり,β1=β2=βであり,
物理アンテナ3の重み係数の位相および
物理アンテナ6の重み係数の位相は別々にπ増加する。
【0054】
任意で、前述の解決手段に基づいて、物理アンテナの重み係数の位相はさらにφ増えてもよく、φは0度から2πのような、ランダムな傾斜角度である。例えば、α1=α2=αであり、且つβ1=β2=βであり、すなわち、物理アンテナの重み係数の位相は、物理アンテナ0および4に対してφであり、物理アンテナ1および5に対してΔ1*k+α+φであり、物理アンテナ2および6に対してΔ2*k+β+φであり、物理アンテナ3および7に対して(Δ1+Δ2)*k+α+β+φであり、加えて、物理アンテナ0,1,2および3のいずれか1つの重み係数の位相および物理アンテナ4,5,6および7のいずれか1つの重み係数の位相はπ増加する。
【0055】
信号を送信するとき、信号送信装置は、各物理アンテナの送信電力をフルに利用して、基地局の送信電力の損失を引き起こさず、サブキャリアの電力変動振幅もまた比較的小さく、特にアンテナが故障している場合、性能損失はあまり大きくない。
【0057】
本実施形態は、信号送信装置を提供し、前記装置は、2つの論理ポートと8つの物理アンテナとを含む通信システム内に配置される。
図4は、信号送信装置の概略構成図であり、
図4に示されるように、信号送信装置は、
プロセスコードを格納するように構成されるメモリ41と、
メモリ41に格納されたプロセスコードに基づいて、実施形態1で説明された信号の重み付け方法およびマッピング方法を実行するように構成されるプロセッサ42と、
プロセッサ42を使用することによって重み付けされマッピングされた信号を送信するように構成される送信機43と
を含む。
【0058】
当業者は、本明細書で開示された実施形態において説明された実施例と組み合わせて、ユニットおよびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの組合せによって実施されてもよいことを認識することができる。ハードウェアおよびソフトウェア間の互換性を明確に説明するために、前述では、機能に基づいて各実施例の構成物およびステップを一般的に説明した。機能がハードウェアによって実行されるかソフトウェアによって実行されるかは、技術的解決手段の特定の用途および設計制約条件による。当業者は、各特定の用途に対する説明された機能を実施するために異なる方法を使用してもよいが、そのような実施は本発明の範囲を超えるものと考えられるべきではない。
【0059】
簡便且つ簡潔な説明を目的として、前述のシステム、装置およびユニットの詳細な動作プロセスに対して、前述の方法の実施形態における対応するプロセスが参照されてもよく、詳細は繰り返し説明されない。
【0060】
本願で提供されるいくつかの実施形態において、開示されたシステム、装置および方法は他の方法で実施されてもよいことは理解されるべきである。例えば、説明された装置の実施形態は単に例示的なものである。例えば、ユニットの分割は単に、論理的な機能の分割であり、実際の実施においては他の分割であってもよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントは、別のシステムに結合されるか統合されてもよく、またはいくつかの特徴は無視されるか実行されなくてもよい。加えて、表示されたまたは議論された相互結合または直接結合または通信接続は、いくつかのインタフェースを介して実施されてもよい。装置またはユニット間の間接結合または通信接続は、電子的、機械的または他の形態で実施されてもよい。
【0061】
別個の部品として説明されたユニットは、物理的に別個であってもなくてもよいとともに、ユニットとして表示された部品は、物理的なユニットであってもなくてもよく、1つの位置に配置されてもよく、または複数のネットワークユニットに分散されてもよい。ユニットの一部またはすべては、本発明の実施形態の解決手段の目的を達成するための実際の必要性に基づいて選択されてもよい。
【0062】
加えて、本発明の実施形態における機能ユニットは1つの処理ユニットに統合されてもよく、またはユニットのそれぞれは物理的に単独で存在してもよく、または2つ以上のユニットは1つのユニットに統合される。統合されたユニットは、ハードウェアの形態で実施されてもよく、またはソフトウェア機能ユニットの形態で実施されてもよい。
【0063】
統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実施されるとともに、独立した製品として販売されるか使用される場合、統合されたユニットは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよい。そのような理解に基づくと、本質的に本発明の技術的解決手段は、または従来技術に貢献する部分、または技術的解決手段の全てまたは一部は、ソフトウェア製品の形態で実施されてもよい。ソフトウェア製品は記憶媒体に格納されるとともに、本発明の実施形態で説明された方法のステップの全てまたは一部を実行するようにコンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、ワークステーションまたはネットワークデバイスであってもよい)に命令するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読み出し専用メモリ(ROM,Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM,Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスクのような、プログラムコードを格納することができる任意の媒体を含む。
【0064】
本発明の実施形態に基づく技術的解決手段は、ロング・ターム・エボリューション(Long Term Evolution、略してLTE)システム、LTE周波数分割デュプレックス(Frequency Division Duplex、略してFDD)システム、LTE時分割デュプレックス(Time Division Duplex、略してTDD)システム、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunications System、略してUMTS)、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(Worldwide Interoperability for Microwave Access、略してWiMAX)通信システム、マイクロ波通信システム等に適用されることができることは理解されるべきである。
【0065】
前述の説明は単に本発明の特定の実施形態であるが、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明で開示された技術範囲内で当業者によって容易に成されたいかなる修正または置換も、本発明の保護範囲に包含されるべきである。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うべきである。
【符号の説明】
【0066】
31 処理モジュール
32 送信モジュール
41 メモリ
42 プロセッサ
43 送信機