(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハウジングに設けた電動モータの回転軸の回転運動を減速し、かつ直進運動に変換して押圧部材に伝達し、前記押圧部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するブレーキディスクを押圧することにより、前記車輪に制動力を発生させるようにし、かつ前記電動モータを制御装置により制御するようにした電動パーキングブレーキ装置において、
前記モータの回転軸、またはそれと同期して回転する軸に固着した回転板と、
前記回転板と対向するようにして、前記ハウジングに設けられているベースと、
前記回転板における前記ベースに対向する対向面に設けられ、かつ検出巻線が付設されている第1シートコイルと、
前記回転板における前記ベースに対向する対向面に設けられ、かつ前記検出巻線に接続された出力トランスの一次巻線が付設されている第2シートコイルと、
前記回転板に対向するベースの対向面に設けられ、かつ前記検出巻線に対向する励磁巻線が付設されている第3シートコイルと、
前記回転板に対向するベースの対向面に設けられ、かつ前記出力トランスの一次巻線に対向する前記出力トランスの二次巻線が付設されている第4シートコイル
とによってレゾルバを構成し、かつ
前記制御装置に、
前記レゾルバにおける励磁巻線に励磁信号を入力させる入力回路と、前記出力トランスの二次巻線から発生する出力信号を処理する出力回路とを有するレゾルバ制御回路と、
前記レゾルバ制御回路における出力回路の出力に基づいて、前記電動モータを制御するモータ制御回路とを設けたことを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。
第1シートコイルと第2シートコイル、およびそれらに対向する第3シートコイルと第4シートコイルを、モータの回転軸、またはそれと同期して回転する軸を中心とする同心円状に配設したことを特徴とする請求項1または2記載の電動パーキングブレーキ装置。
励磁巻線を、第1励磁巻線と第2励磁巻線とからなるものとし、前記第1励磁巻線を、第3シートコイルの表面に、前記第2励磁巻線を、前記第3シートコイルの裏面に、互いに電気角での位相を異ならせてそれぞれ付設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電動パーキングブレーキ装置。
電動モータの回転軸の回転運動を減速する減速手段が、前記回転軸に設けたウォームと、前記ウォームに噛合し、かつ前記回転軸の回転運動を直進運動に変換する動力変換手段に連係されたウォームホイールとを備えるものとし、かつハウジングに、前記回転軸の軸線方向に作用するスラスト荷重を検出する荷重センサを設け、さらに、制御装置に、前記荷重センサから付与されたトルク検出信号に基づいて、ブレーキパッドによるブレーキディスクの締め付け力を求めるようにしたトルク制御回路を設け、このトルク制御回路からの出力と、レゾルバ制御回路における出力回路からの出力に基づいて、モータ制御回路により、電動モータを制御するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電動パーキングブレーキ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑みてなされたもので、コイル部分を薄型化することにより、レゾルバを電動パーキングブレーキに組み込むことを可能とし、もって、ブレーキパッドとブレーキディスクとの締め付け位置や、締め付け速度を管理することができるようにした電動パーキングブレーキ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)ハウジングに設けた電動モータの回転軸の回転運動を減速し、かつ直進運動に変換して押圧部材に伝達し、前記押圧部材によって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するブレーキディスクを押圧することにより、前記車輪に制動力を発生させるようにし、かつ前記電動モータを制御装置により制御するようにした電動パーキングブレーキ装置において、前記モータの回転軸、またはそれと同期して回転する軸に固着した回転板と、前記回転板と対向するようにして、前記ハウジングに設けられているベースと、前記回転板における前記ベースに対向する対向面に設けられ、かつ検出巻線が付設されている第1シートコイルと、前記回転板における前記ベースに対向する対向面に設けられ、かつ前記検出巻線に接続された出力トランスの一次巻線が付設されている第2シートコイルと、前記回転板に対向するベースの対向面に設けられ、かつ前記検出巻線に対向する励磁巻線が付設されている第3シートコイルと、前記回転板に対向するベースの対向面に設けられ、かつ前記出力トランスの一次巻線に対向する前記出力トランスの二次巻線が付設されている第4シートコイルとによってレゾルバを構成し、かつ前記制御装置に、前記レゾルバにおける励磁巻線に励磁信号を入力させる入力回路と、前記出力トランスの二次巻線から発生する出力信号を処理する出力回路とを有するレゾルバ制御回路と、前記レゾルバ制御回路における出力回路の出力に基づいて、前記電動モータを制御するモータ制御回路とを設ける。
【0007】
このような構成によると、コイル部分をすべてシートコイルとして、レゾルバ全体を薄型化することができ、それによって、レゾルバを電動パーキングブレーキに組み込むことを実質的に可能とし、もって、ブレーキパッドとブレーキディスクとの締め付け位置や、締め付け速度を管理することができる。
【0008】
(2)上記(1)項において、第1〜第4シートコイルにおける各巻線を、一平面内に1本とする。
【0009】
このような構成によると、すべてのシートコイルを薄型化し、もって、レゾルバ全体を著しく薄型化することができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)項において、第1シートコイルと第2シートコイル、およびそれらに対向する第3シートコイルと第4シートコイルを、モータの回転軸、またはそれと同期して回転する軸を中心とする同心円状に配設する。
【0011】
このような構成によると、レゾルバ全体をさらに薄型化することができる。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、励磁巻線を、第1励磁巻線と第2励磁巻線とからなるものとし、前記第1励磁巻線を、第3シートコイルの表面に、前記第2励磁巻線を、前記第3シートコイルの裏面に、互いに電気角での位相を異ならせてそれぞれ付設する。
【0013】
このような構成によると、励磁巻線を、互いに電気角での位相を異ならせた第1励磁巻線と第2励磁巻線とからなるものとし、それらを第3シートコイルの表面と裏面とにそれぞれ付設してあるので、レゾルバの薄型化にさらに寄与することができる。
【0014】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、電動モータの回転軸の回転運動を減速する減速手段が、前記回転軸に設けたウォームと、前記ウォームに噛合し、かつ前記回転軸の回転運動を直進運動に変換する動力変換手段に連係されたウォームホイールとを備えるものとし、かつハウジングに、前記回転軸の軸線方向に作用するスラスト荷重を検出する荷重センサを設け、さらに、制御装置に、前記荷重センサから付与されたトルク検出信号に基づいて、ブレーキパッドによるブレーキディスクの締め付け力を求めるようにしたトルク制御回路を設け、このトルク制御回路からの出力と、レゾルバ制御回路における出力回路からの出力に基づいて、モータ制御回路により、電動モータを制御するようにする。
【0015】
このような構成によると、レゾルバにより、ブレーキパッドの位置や移動速度が制御できるだけでなく、荷重センサにより、ブレーキパッドによるブレーキディスクの締め付け力をも制御することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、コイル部分を薄型化することにより、レゾルバを電動パーキングブレーキに組み込むことを可能とし、もって、ブレーキパッドとブレーキディスクとの締め付け位置や、締め付け速度を管理することができるようにした電動パーキングブレーキ装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の電動パーキングブレーキ装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1〜
図5は、本発明の電動パーキングブレーキ装置の第1の実施形態を示す。
この電動パーキングブレーキ装置1は、車両の運転席に設けたパーキングブレーキレバー、パーキングブレーキペダル、またはパーキングブレーキスイッチ(いずれも図示略)を操作することにより作動させられるようになっており(
図4における操作手段62参照)、かつ車両の車輪(図示略)とともに回転するブレーキディスク2と、このブレーキディスク2の周辺を跨ぐようにして、車体(図示略)に取付けられたパーキングブレーキ本体3と、このパーキングブレーキ本体3の側面に取付けられた電動アクチュエータ4と、制御装置5(
図4参照)とからなっている。
【0019】
図1および
図2は、電動パーキングブレーキ装置1を、細かな部品を省略して、作動原理が理解できる程度に模式化して示すものであり、これらの図に示すように、パーキングブレーキ本体3は、ブレーキディスク2の周辺を跨ぐようにして、かつブレーキディスク2の回転軸(図示略)の軸線方向にわずかに移動可能として車体(図示略)に取付けられた門型のハウジング6と、このハウジング6における凹入部6aの内側面におけるブレーキディスク2の
図1における左側面と対向する部分に固着された第1のブレーキパッド7と、ハウジング6の内面におけるブレーキディスク2の
図1における右側面と対向する部分に設けられた、ブレーキディスク2の上記右側面と直交する方向を向くシリンダ8と、このシリンダ8内に、内外方向に摺動可能、かつ回転不能として嵌合され、中央に軸線方向の雌ねじ孔9が設けられたピストン10と、内端がシリンダ8よりハウジング6の内方に突出し、かつブレーキディスク2の
図1における右側面と対向するピストン10の内端部に設けられた第2のブレーキパッド11とを備えている。
【0020】
ピストン10の雌ねじ孔9には、電動アクチュエータ4の出力軸12の先端部に設けた雄ねじ部13が螺合されており、出力軸12が一方向に回転することにより、ピストン10の雌ねじ孔9と出力軸12の雄ねじ部13との螺合により、ピストン10が
図1における左方に向かって進出させられ、第2のブレーキパッド11がブレーキディスク2の
図1における右側面に押圧させられ、そのときのピストン10とハウジング6との反作用により、ハウジング6が
図1の右方に移動させられ、第1のブレーキパッド7がブレーキディスク2の
図1の左側面に押圧させられ、ブレーキディスク2が第1のブレーキパッド7と第2のブレーキパッド11とにより挾圧把持されることにより、車輪に制動力が付与されるようになっている。
【0021】
また、出力軸12が他方向に回転すると、ピストン10の雌ねじ孔9と出力軸12の雄ねじ部13との螺合により、ピストン10が
図1における右方に向かって後退させられ、第2のブレーキパッド11がブレーキディスク2の他側面から離れるとともに、そのときのピストン10とハウジング6との反作用により、ハウジング6が
図1の左方に移動させられ、第1のブレーキパッド7がブレーキディスク2の一側面から離され、ブレーキディスク2は、第1のブレーキパッド7と第2のブレーキパッド11とから離間して、車輪に対する制動力が解除される。
【0022】
以上の作用から明らかなように、ピストン10は、第2のブレーキパッド11をブレーキディスク2の他側面に押圧する押圧部材をなし、またピストン10の雌ねじ孔9と出力軸12の雄ねじ部13とにより、電動アクチュエータ4の出力軸12の回転運動を直進運動に変換して押圧部材に伝達する動力変換手段14をなしている。
【0023】
電動アクチュエータ4は、パーキングブレーキ本体3のハウジング6に固着されたハウジング15と、ハウジング15の一部をなし、このハウジング15の開口部15aを着脱自在に閉塞しうる蓋板16と、ハウジング15と蓋板16とに回転自在に枢支され、一部がハウジング6を貫通して、パーキングブレーキ本体3におけるハウジング6のシリンダ8内に突出する上述した出力軸12と、回転軸17が出力軸12と直交し、かつ出力軸12から離間するようにしてハウジング15に取付けられた、DCサーボモータとした電動モータ18と、電動モータ18の回転軸17における、電動モータ18のモータハウジング19より
図2の左方に突出する部分に一体的に設けられたウォーム20と、ハウジング15内において、出力軸12に固嵌され、かつウォーム20と噛合するウォームホイール21とを備えている。
【0024】
回転軸17の
図2における左方である先端面の中央には、凹溝22が設けられ、この凹溝22に嵌合した球体23を介して、回転軸17の先端は、荷重センサ24に圧接している。
【0025】
荷重センサ24は、回転軸17の左端部を枢支するラジアル軸受25の押えをなすようにして、ハウジング15に螺着されたエンドキャップ26内に配設されている。
エンドキャップ26の中心に設けた雌ねじ孔27に螺合されている調節ねじ28の右端は、荷重センサ24の先端である左端に圧接しており、荷重センサ24は、調節ねじ28の右端に作用するスラスト荷重を検出しうるようになっている。
【0026】
回転軸17の右端には、電動モータ18におけるモータハウジング19の端部壁19aを貫通して、
図2の右方に突出する小径軸17aが連設されており、端部壁19aの中央における小径軸17aの貫通部であるボス部19bの内側には、ラジアル−スラスト軸受29が設けられている。
なお、電動モータ18の内部構造については、本発明に直接関係しないため、図示および詳細な説明は省略する。
【0027】
ラジアル−スラスト軸受29と回転軸17の右端との間において小径軸17aには、弾性体の緩衝材29aが外嵌されている。
この緩衝材29aの弾性変形の許容範囲内において、回転軸17は軸線方向に移動可能であり、この回転軸17が
図2の左方に移動することによって、回転軸17のスラスト荷重、ひいては、回転軸17、ウォーム20、およびウォームホイール21のトルクの変動、並びに、ブレーキディスク2に対する第1のブレーキパッド7および第2のブレーキパッド11の押圧力の変動、すなわち、車輪に対する制動力の変動を、荷重センサ24によって検出することができる。
【0028】
緩衝材29aは、ゴムのような弾性体、もしくは弱い力で変形可能な皿ばね等とすることができる。
また、緩衝材29aを省略し、回転軸17の右端とモータハウジング19の端部壁19a、またはラジアル−スラスト軸受29との間に、目視し得ない程度の微小な間隙を設けるだけでもよい。
【0029】
電動モータ18におけるモータハウジング19の
図2における右端には、レゾルバ30が設けられている。
【0030】
レゾルバ30は、モータハウジング19の端部壁19aに固着されたベース31と、周縁部がベース31に固着され、かつ内部に浅い円形の中空部32aが形成されたカバー32とからなるレゾルバハウジング33を備えている。
【0031】
図2および
図3に示すように、鉄製としたベース板(ベース)31の中央には、モータハウジング19のボス部19bが嵌合しうる嵌合孔34が設けられている。
ベース板31の右側面には、互いに径の異なる浅い円環状のシートコイル収容溝35、36が、嵌合孔34を中心とする同心円状に設けられている。
外方のシートコイル収容溝35の溝底面は、内方のシートコイル収容溝36の溝底面より電動モータ18寄りに配置されている。
【0032】
レゾルバハウジング33の中空部32a内には、ベース板31と対向するようにした回転板37が、その中央に設けたボス部38を、中空部32a内に突出する小径軸17aに外嵌して、止めねじ39をもって固着することにより配設されている。
【0033】
回転板37の左側面には、互いに径の異なる浅い円環状のシートコイル収容溝40、41が、ボス部38を中心とする同心円状に設けられている。
外方のシートコイル収容溝40の溝底面は、内方のシートコイル収容溝41の溝底面よりベース板31寄りに配置されている。
【0034】
図2および
図3に示すように、ベース板31と対向する回転板37の対向面におけるシートコイル収容溝40には、検出巻線42が付設された第1シートコイル43が、同じくシートコイル収容溝41には、検出巻線42に接続された、出力トランス44の一次巻線45が付設された第2シートコイル46が、それぞれ収容されている。
すなわち、ベース板31と対向する回転板37の対向面には、第1シートコイル43と第2シートコイル46とが、第2シートコイル46を内側として、小径軸17aと同心円状に設けられている。
【0035】
回転板37と対向するベース板31の対向面におけるシートコイル収容溝35には、検出巻線42に対向する励磁巻線47が付設された第3シートコイル48が、同じくシートコイル収容溝36には、出力トランス44の一次巻線45に対向する出力トランス44における二次巻線49が付設された第4シートコイル50がそれぞれ収容されている。
すなわち、回転板37と対向するベース板31の対向面には、第3シートコイル48と第4シートコイル50とが、第4シートコイル50を内側として、小径軸17aと同心円状に設けられている。
【0036】
図3に示すように、第1シートコイル43は、プリプレグ等の絶縁性の基板またはシートよりなる基材43aの片面に、平歯車の外形をトレースしたような、内外方向に蛇行する凹凸パターンとした検出巻線42を、プリント配線と同様にして付設することにより形成されている。
【0037】
第2シートコイル46は、基材43aと同様の材質とした基材46aの片面に、小径軸17aを中心とする渦巻き状のパターンとした一次巻線45を、プリント配線と同様にして付設することにより形成されている。
【0038】
第3シートコイル48における励磁巻線47は、互いに電気角での位相を、例えば90°異ならせた第1励磁巻線47aと第2励磁巻線47bとからなるものとしてある。
すなわち、第3シートコイル48においては、基材43aと同様の材質とした基材48aの一方の面に、検出巻線42と同様の平歯車の外形をトレースしたようなパターンとした第1励磁巻線47aを、プリント配線と同様にして付設し、かつ基材48aの他方の面に、第1励磁巻線47aと同様の形状とした第2励磁巻線47bを、第1励磁巻線47aに対して電気角が異なるように、小径軸17aを中心とする角度を、互いにずらして、プリント配線と同様にして付設することにより形成されている。
【0039】
第4シートコイル50は、基材43aと同様の材質とした基材50aの片面に、一次巻線45と同様の、小径軸17aを中心とする渦巻き状のパターンとした二次巻線49を、プリント配線と同じ要領で付設することにより形成されている。
【0040】
図2および
図3においては、理解を容易にするため、第1〜第4シートコイル43、46、48、50における各巻線42、45、47(47a、47b)、49は、それぞれの基材43a、46a、48a、50aから分離して、模式的に示してあるが、実際には、基材43a、46a、48a、50aにプリント配線されているので、その厚さは著しく薄いものである。
しかも、第1〜第4シートコイル43、46、48、50における各巻線42、45、47(47a、47b)、49は、一平面内に1本としてあるので、レゾルバ30を、著しく薄型化することができる。
【0041】
ベース板31および回転板37は、それぞれ鉄製としてあるので、それらのシートコイル収容溝35、36、40、41の周囲部が鉄心として作用する。
【0042】
次に、
図4に示すブロック図を参照して、制御装置5の構成と作用について説明する。
図4に示すように、レゾルバ30におけるロータである回転板37側の検出巻線42と一次巻線45とは互いに直列接続されて、閉ループ状をなしている。
【0043】
レゾルバ30におけるステータであるベース板31側の第1励磁巻線47aと第2励磁巻線47bとは、レゾルバ制御回路51における入力回路52の第1入力回路53と第2入力回路54とに接続され、第1励磁巻線47aには、第1入力回路53から、高周波信号を振幅変調して得られた変調信号S1が付与され、第2励磁巻線47bには、第2入力回路54から、変調信号S1に対して電気角が、例えば90°異なるようにして高周波信号を振幅変調して得られた変調信号S2が付与されるようになっている。
【0044】
第1励磁巻線47aに変調信号S1が付与され、かつ第2励磁巻線47bに変調信号S2が付与された状態で、回転板37が、電動モータ18における回転軸17とともに回転すると、検出巻線42には、変調信号S1と変調信号S2とによって誘起された合成電圧が出力信号SOとして発生し、この出力信号SOは、一次巻線45と二次巻線49とからなる出力トランス44を介して、出力回路55に付与される。
【0045】
出力処理回路55においては、出力信号SOは、高周波信号分離回路(図示略)において復調され、かつ補正回路(図示略)において温度補正等がなされた後、角度検出信号SAとして出力され、その角度検出信号SAは、A/D変換器56を介して、モータ制御回路57における角度制御回路58に付与される。
【0046】
入力回路52の第1入力回路53および第2入力回路54において、変調信号S1および変調信号S2を生成したり、出力処理回路55において、出力信号SOを復調したり、補正したりする具体的な装置や方法は、例えば特開2000−292205号公報等において公知であり、しかも、本発明には直接関係しないため、図示および詳細な説明は省略する。
【0047】
モータ制御回路57における角度制御回路58においては、レゾルバ制御回路51における出力処理回路55から付与された角度検出信号SAに基づいて、ピストン10、ひいては第2のブレーキパッド11の正確な位置が割り出されるとともに、その位置情報とタイマ(図示略)が示す時間とに基づいて、第2のブレーキパッド11の移動速度が割り出され、それらの情報がメモリ(図示略)に保存されるとともに、モータ制御回路57におけるモータ作動回路61に、角度制御信号SAcとして付与される。
【0048】
図4に示すように、荷重センサ24の出力信号は、トルク検出信号STとして、A/D変換器59を介して、モータ制御回路57におけるトルク制御回路60に付与される。
【0049】
トルク制御回路60においては、荷重センサ24から付与されたトルク検出信号STに基づいて、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力が求められ、その結果は、トルク制御信号STcとして、モータ作動回路61に付与される。
すなわち、荷重センサ24から付与されたトルク検出信号STは、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力にほぼ比例しているので、トルク検出信号STから、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力を割り出すことができる。
【0050】
従来は、トルク制御回路60に代わるものとして、電動モータ18の電流値が上昇することを検出して、電動モータ18を停止させる制御が行われていたが、電動モータ18の電流値の上昇とブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力とは必ずしも比例しておらず、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力が十分でない状態で、電動モータ18の作動を停止させたりするおそれがあったが、荷重センサ24からトルク制御回路60までの作用により、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力をなす実負荷を、リアルタイムで検出して、それに基づいて電動モータ18を迅速にフィードバック制御することができるので、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力が十分でない状態で、電動モータ18の作動を停止させたりするおそれを防止することができ、電動モータ18の作動をより正確に制御することができる。
なお、従来の電動モータ18の電流値の上昇により、電動モータ18を停止させる制御と、この実施形態におけるトルク制御回路60により、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力を検出し、それに基づいて電動モータ18を制御する方式とを併用してもよい。
【0051】
モータ作動回路61は、パーキングブレーキレバー、パーキングブレーキペダル、またはパーキングブレーキスイッチ等の操作手段62と、角度制御回路58と、トルク制御回路60とに接続され、操作手段62の操作により、電動モータ18のON、OFF制御がなされるとともに、角度制御回路58により、ピストン10、ひいては第2のブレーキパッド11の位置と移動速度とが制御され、さらに、トルク制御回路60により、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け力が制御される。
【0052】
次に、
図5および
図6に示すフローチャートに従って、電動モータ18の基本的な作動態様の一例について説明する。
図5に示すように、操作手段62により、ブレーキ作動信号がモータ作動回路61に付与されたとき(S1)、角度制御回路58において、角度検出信号SAに基づいて割り出されたピストン10の位置が、予め設定しておいた移動可能範囲T内にあるときは(S2)、電動モータ18は、ピストン10を進出させる方向に回転させられ(以下、この方向の回転を正転という)(S3)、ピストン10の位置を示す角度検出信号SAが移動可能範囲Tの上限T1に達すると(S4)、電動モータ18の正転は停止させられる(S5)。
この間に、ピストン10の進出により、第2のブレーキパッド11がブレーキディスク2に当接し、その後さらに第1のブレーキパッド7がブレーキディスク2に当接し、両ブレーキパッド7、11により、ブレーキディスク2が最適な締め付け力で締め付けられることは、後の説明から明らかになると思う。
【0053】
ステップ(S2)において、ピストン10の位置が、予め設定しておいた移動可能範囲T内になく、かつトルク検出信号STが、ブレーキディスク2の最適な締め付け力に対応する予め定めた設定値ST0に達しているときは(S6)、電動モータ18は停止したままに維持されるが(S7)、ステップ(S6)において、トルク検出信号STが、設定値ST0に達していないときは、電動モータ18は正転させられ(S8)、その後、トルク検出信号STが、設定値ST0に達すると(S9)、電動モータ18は停止させられるとともに(S10)、ピストン10の位置を示す角度検出信号SAの移動可能範囲Tの上限T1が、このときのピストン10の位置を示す角度検出信号SAに基づいて補正される(S11)。
したがって、ピストン10の位置を示す角度検出信号SAが移動可能範囲Tの上限T1に達したときは、常にブレーキディスク2は最適な締め付け力で締め付けられることになる。
【0054】
図6に示すように、操作手段62により、ブレーキ解除信号がモータ作動回路61に付与されたとき(S12)、角度検出信号SAに基づいて割り出されたピストン10の位置が、移動可能範囲Tの下限T0、すなわち復帰位置に位置しているときは(S13)、電動モータ18は停止したまま維持されるが(S14)、移動可能範囲Tの下限T0にないときは、電動モータ18は逆転させられ(S15)、移動可能範囲Tの下限T0に達したき(S13)、電動モータ18は停止させられる(S14)。
【0055】
以上の作動態様はほんの一例であり、設定の仕方によって、電動モータ18を如何ようにも制御することができる。
【0056】
第1の実施形態においては、コイル部分をすべてシートコイルとして、レゾルバ30全体を薄型化することができ、それによって、レゾルバ30を電動パーキングブレーキに組み込むことを実質的に可能とし、もって、ブレーキパッド7、11とブレーキディスク2との締め付け位置や、締め付け速度を管理することができる。
【0057】
なお、締め付け速度の制御に関しては説明を省略したが、レゾルバ30により、ピストン10の位置を正確に検出し、このレゾルバ30とタイマ(図示略)とを組み合わせることにより、ピストン10の移動速度を検出することができ、さらに、電動モータ18を、数値制御可能なDCモータとすることにより、ブレーキパッド7、11によるブレーキディスク2の締め付け速度を管理することができる。
【0058】
また、万一バッテリーが上がり、その後復旧した場合にも、レゾルバ30により検出したピストン10の位置情報等をメモリに保存しておくことにより、その保存しておいた情報に基づいて、迅速に、誤りなく電動モータ18を制御することができる。
【0059】
図7は、本発明の電動パーキングブレーキ装置の第2の実施形態におけるレゾルバ取付部分を示す、
図1と同様の模式的な縦断正面図である。
この第2の実施形態においては、ハウジング15内におけるウォームホイール21をロータとし、かつ蓋板16をステータとして、それらの間にレゾルバ70を設けてある。
【0060】
すなわち、レゾルバ70は、レゾルバ30におけるのと同様に、ロータであるウォームホイール21の外側面に形成された出力軸12を中心とする環状の凹部21aの底面における外周部寄りに、基材43aの片面に検出巻線42を付設してなる第1シートコイル43を設け、同じく凹部21aの底面における中心部寄りに、基材46aの片面に、出力トランス44における一次巻線45を付設してなる第2シートコイル46を設け、凹部21の底面に対向する蓋板16の対向面における外周部寄りに、基材48aの一方の面に第1励磁巻線47aを、かつ他方の側面に第2励磁巻線47bを付設してなる第3シートコイル48を設け、さらに、凹部21の底面に対向する蓋板16の対向面における中心部寄りに、基材50aの片面に、出力トランス44における二次巻線49を付設してなる第4シートコイル50を設けたものよりなっている。
【0061】
第2の実施形態においては、レゾルバ70は、レゾルバ30と同様に作用し、同様の効果を奏することができる他に、レゾルバ70を、電動アクチュエータ4におけるハウジング15の一部をなす蓋板16と、電動モータ18の回転軸17より減速されて回転するウォームホイール21との間に設けてあるので、電動モータ18の発熱等の熱的な影響を受けるおそれが小さく、しかも従来の電動アクチュエータにも、構成を変更することなく、簡単に組み込むことがでるという効果をも奏することができる。
【0062】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような幾多の変形した態様での実施が可能である。
(1) レゾルバを、電動モータ18の回転軸17とモータハウジング19との間(第1の実施形態)や、ウォームホイール21と蓋板16(ハウジング15)との間(第2の実施形態)だけでなく、電動モータ18の回転軸17と同期して回転する軸、例えば、減速手段を歯車列からなるものとしたときの中間歯車の軸等と、減速手段のハウジングとの間に設ける。
(2) 減速手段を、ウォーム20とウォームホイール21とからなるものではなく、歯車列からなるものとする。
(3) 電動モータ18の回転軸17の回転運動を直進運動に変換する動力変換手段14を、ピストン10の雌ねじ孔9と出力軸12の雄ねじ部13とからなる構成以外の構成、例えば、回転カムとカムフォロワとからなるもの、またはピストン−クランク機構からなるもの等とする。
コイル部分を薄型化することにより、レゾルバを電動パーキングブレーキに組み込むことを可能とし、ブレーキパッドとブレーキディスクとの締め付け位置等を管理することができるようにした電動パーキングブレーキ装置を提供する。
電動モータ(18)の回転軸(17)に固着した回転板(37)に対向するようにして、ハウジング(33)にベース(31)を設け、回転板(37)の対向面に、検出巻線(42)を付設した第1シートコイル(43)と、検出巻線(42)に接続された出力トランス(44)の一次巻線(45)を付設した第2シートコイル(46)とを設け、ベース(31)の対向面に、検出巻線(42)に対向する励磁巻線(47)を付設した第3シートコイル(48)と、出力トランス(44)の一次巻線(45)に対向する出力トランス(44)の二次巻線(49)を付設した第4シートコイル(50)とを設けることによりレゾルバを構成する。