(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの励起フィルタ(3)が前記照明光線路(20、22)の少なくとも1つに設けられており、該励起フィルタは、前記励起波長領域(E)内において透過性であるが、前記発光波長領域(F)内においては吸収性であること
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光手術用実体顕微鏡。
前記励起フィルタ(3)はハイパス特性/ローパス特性を、それに対して前記少なくとも1つの第2観察フィルタ(10a〜10c)はローパス特性/ハイパス特性を有すること
を特徴とする、請求項5に記載の蛍光手術用実体顕微鏡。
前記第1観察フィルタ(9)は干渉フィルタとして形成されており、前記少なくとも1つの第2観察フィルタ(10a〜10c)は、材料において着色された色ガラスフィルタ又は色プラスチックフィルタとして形成されていること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蛍光手術用実体顕微鏡。
前記少なくとも1つの第2観察フィルタ(10a〜10c)に関して選択された設定内容が、記憶ユニット(300)内において記憶可能であり、再び呼び出し可能であること
を特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の蛍光手術用実体顕微鏡。
前記第1照明装置(2)及び前記第2照明装置(12)には、択一的に、前記励起フィルタ(3)に対し、全体的に最適化された白色光照明を提供するための各々異なる照明フィルタが後置可能であること
を特徴とする、請求項10に記載の蛍光手術用実体顕微鏡。
励起フィルタ(3)、照明フィルタ、前記観察フィルタ(9、10)の全ては、駆動ユニット(100)を用いて電気機械式で各々の前記光線路(20、21、22)に対して着脱可能であること、及び、前記駆動ユニット(100)の制御のために制御ユニット(200)が設けられており、該制御ユニット(200)は、入力ユニット(300)を介してプログラミング可能であること
を特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の蛍光手術用実体顕微鏡。
前記第1照明装置(2)及び前記第2照明装置(12)は該蛍光手術用実体顕微鏡(1)から離間して配設されており、該蛍光手術用実体顕微鏡(1)とは各々の光導波路を用いて接続されており、該光導波路は、各々の第1ないし第2光学系(4、13)を介し及び各々の第1ないし第2偏向プリズム(5、14)を介して前記観察対象野(7)へ配向されていること
を特徴とする、請求項8に記載の蛍光手術用実体顕微鏡。
【背景技術】
【0003】
(概念の定義)
先ず、本願において重要な幾つかの概念と機能について説明する。本願では照明装置を備えた蛍光手術用実体顕微鏡が請求される。該照明装置は通常は白色光照明装置であり、白色光の全スペクトルを網羅し、その理由は、該照明装置は主として手術域を照明するために使用され、手術中には該手術域を通常はできるだけ自然色に忠実に照明すべきためである。勿論、照明装置との概念に属する物には少なくとも1つの光源も含まれている。また該物は、光案内構成部材、保護フィルタ(例えばIRフィルタ又はUVフィルタ等)のような別の物を有することもできる。最終的に本発明のためには、一箇所から照明光が提供されることが含まれている。照明装置の光は、選択的に取り付け可能な少なくとも1つの蛍光励起用の励起フィルタを介し(「励起フィルタ」との限定的な具体化された概念については後で説明する)そして観察すべき観察対象へないし観察対象野上へ配向可能であることにより、稼動状態において調整可能なスペクトル領域内にある。
【0004】
このような蛍光手術用実体顕微鏡は、手術用顕微鏡であって蛍光を発生させる適切な薬剤の開発により比較的最近に創作され(1962年のクラインザッサー(Kleinsasser)による喉頭腫瘍の喉頭鏡検査法に遡る)且つ腫瘍手術や血管造影手術のような所定の手術において患者をより良く処置する可能性を執刀医に提供する比較的新しい種類の手術用顕微鏡を構成している。蛍光現象により観察対象野内においてこれまでは執刀医が見ることのできなかった又は識別化が困難であった身体組織が可視化される(目で見えるようになる)。
【0005】
従って、既に部類概念が表現しているように、また各当業者にとって極めて明らかであるように、そのような手術顕微鏡は「蛍光」及び「手術」及び「実体(立体)顕微鏡」の目的に適合するために、手術用の装備品や、蛍光顕微鏡用の装備品、並びに実体顕微鏡用の装備品をも装備している必要がある。
【0006】
蛍光手術用実体顕微鏡との部類は、当業者にとって既知の所定の特性とこれらの特性を可能にする所定の構成部材を要求する。従来の蛍光顕微鏡(蛍光手術用実体顕微鏡の創作以前既に長い間存在していた)では、励起光源ないし励起照明装置(昔は例えば多くの場合は水銀ランプ)、励起光の品質を改善するための励起フィルタ(蛍光励起には寄与しない又は特に良好には寄与しない波長領域をスペクトル的にフィルタ除去する)、蛍光手術用実体顕微鏡内の観察光線路内の遮断フィルタ又は観察フィルタなどが知られている。該遮断フィルタ又は観察フィルタは、多少なりとも強い程度で励起光をフィルタ除去するために用いられ、その理由は、励起光は基本的にむしろ見られないか又は見られたとしても少量とすべきであり、蛍光現象の発光(蛍光の放出)ができるだけ良好に見られるべきためである。励起光の種類に応じ、状況によって励起光は長時間の作用により観察者の目にとってむしろ有害なものである(例えばUV光)。また特に観察フィルタは、励起光が多くの場合は微弱な蛍光現象を覆ってしまい、それにより蛍光観察の品質、中でも蛍光観察の強度を損ねることを防止するために用いられる。それ故、観察フィルタは場合により遮断フィルタとも称される。本発明はそのような蛍光手術用顕微鏡の特別な一実施形態に関連するものであり、該実施形態において観察フィルタは励起波長に対して少なくとも部分的に透過性である。従っていずれにせよ蛍光現象の発光光のみならず、観察対象野内の観察対象により反射された励起光も観察光線路内において可視となる。従って対象とする(gegenstaendige)観察フィルタは、励起光に対して完全な遮断フィルタとは言えない。
【0007】
観察フィルタのこの特別な実施形態は、観察者あるいは外科医に対し、励起されず蛍光を発しない組織と、励起されて蛍光を発する組織とを観察対象野内において同時に可視化するために用いられ、この際、それらの組織は異なる色に基づいて互いにコントラストをつけられるが、その理由は、蛍光現象(発光光)が基本的に励起光とは異なる色(光波長)をもつためである。前者(蛍光現象)は蛍光を発生させる薬剤を伴った組織に由来しており、後者(励起光の反射)は自身が蛍光現象をもたない組織に由来し、これは、組織が蛍光を発生させる薬剤を吸収せず又は吸収したとしても測定可能な蛍光光線を出すことができないほど僅かであり、照明光は反射するためである。
【0008】
従って「励起フィルタ」とは、蛍光との関連において、専ら又は主として励起波長を通過させるフィルタであり、蛍光現象が励起ないし最適化されるべき場合に必要に応じて照明光線路(励起光線路又は発光光線路とも称される)内に配設されるフィルタである。
【0009】
また「観察フィルタ」とは、蛍光との関連において、実質的に観察対象野内の蛍光物質/蛍光組織により発光(放射)された光(その都度、励起光とは明らかに異なる波長領域内にある)だけを通過させるフィルタであり、それにより蛍光現象の最適化された観察を可能とするフィルタである。該観察フィルタは必要に応じて観察光線路内に配設される。
【0010】
更に「照明フィルタ」とは、観察対象野の(非励起)照明を目的とした照明光の改善のために用いられるフィルタである。従って全状況において照明フィルタは場合により励起フィルタとは逆のことを行うフィルタであり、例えば、スペクトル領域であってむしろ蛍光励起において用いられ、光源の設計に基づき超過状態(ueberproportional)で提供されるが、照明自体のためには寄与したとしても僅かであるか又は光スペクトルを乱すように作用しうるスペクトル領域を、光スペクトルからフィルタ除去する又は減衰(abschwaechen)するフィルタである。つまり各照明装置内の各照明フィルタは照明光の最適化のために用いられる。従って本発明において手術時には場合により照明フィルタを照明装置の前ないし光源の前にセットし、それに対して励起時には励起フィルタをその箇所に入れることができる。典型的な照明フィルタは例えば白色光照明フィルタである(多くの場合、短縮して白色光フィルタという)。該白色光照明フィルタは、各々の照明装置による使用可能な光の全スペクトルからできるだけ白い光(全てのスペクトル色ないし光波長の最適な混合)を観察対象野上へ通過させるように設計されている。照明フィルタは、蛍光手術用実体顕微鏡の構成に応じ、照明光線路内において着脱可能又は固定式で配設することができる。また照明装置は例えば励起光用の光源と白色光用の光源と2つの光源を含んで構成され、この際、照明フィルタは白色光源の前に常時配設することができる。しかしながら1つの光源だけでもよく、この際には照明フィルタを励起フィルタと交換可能とすることもできる。
【0011】
「蛍光顕微鏡」とは、蛍光現象の観察のために適している顕微鏡であり、そのために特には光線路内において励起フィルタと観察フィルタを備えた励起光源ないし励起照明装置を有する顕微鏡である。
【0012】
「手術用顕微鏡」とは、通常は3次元の実体的(立体的)な光線路と、観察対象野をできるだけ自然に近いかたちで強い光で照明(白色光)するための手術用顕微鏡照明装置とを備えた顕微鏡である。
【0013】
「実体顕微鏡(立体顕微鏡)」とは、主対物レンズから接眼レンズに至るまで両眼光線路を備えた顕微鏡である。該実体顕微鏡は、観察者に対し、観察対象野の3次元観察を可能とし、従って3次元構造物の識別を可能にする。
【0014】
先ず、本発明は1つの顕微鏡光線路に対して上記の全ての顕微鏡の種類を組み合わせることに関し且つ限定され、該顕微鏡光線路は、一方では手術のために、他方では蛍光観察のために用いられ、それ故、そのような手術用顕微鏡においては励起フィルタと観察フィルタが選択的に着脱(取り付け及び取り外し)可能である。しかしながら本願の特許請求項は広い範囲で解釈されるべきものであり、拡大装置が手術のためにも蛍光観察のためにも同様に用いられ、適宜使用可能である限りにおいて、例えば腹腔鏡のような他の拡大装置もその範囲内に含まれる。本願の特許請求項の技術内容は本明細書の導入部の枠内の開示内容に該当する。
【0015】
(先行技術文献)
当業者にとって蛍光顕微鏡検査の作用方式並びに組織における蛍光作用は公知である(例えば下記特許文献1、第1欄:第38行〜第49行、第60行〜第62行を参照)。また当業者は、基本的な構成に関し、基本的に蛍光励起領域内の光を蛍光励起のために提供するために多くの場合は大きな帯域幅(白色光)を有する照明装置が使用されることを知っている(下記特許文献1、第2欄:第32行〜第33行、請求項1(第9欄):第4行〜第5行、請求項4(第9欄):第54行〜第55行を参照)。この際、照明光線路内に励起フィルタを挿入し、観察光線路内に観察フィルタを挿入するフィルタシステムが利用される。フィルタの選択や互いの組み合わせないし関係におけるフィルタの目的も当業者にとって公知であり、下記特許文献1に記載されている。励起フィルタは光源の広帯域光から観察対象野において蛍光を励起する光だけを通過させ、観察対象野上へ到達させる。そして観察フィルタは励起光を遮断(ブロック)し、蛍光現象の光(発光光)だけを通過させる(全て蛍光顕微鏡検査の古い原理である;下記特許文献1、第2欄:第38行〜第49行を参照)。下記特許文献1の図面及び該図面の説明も、これらの記載内容を支持している(下記特許文献1、第6欄:第4行〜第9行を参照)。
【0016】
下記特許文献2も、白色光(少なくとも370〜780nm)と、照明光線路内の励起フィルタと、蛍光スペクトルのための観察光線路内の観察フィルタとを用いた蛍光観察ないし光動的診断(photodynamische Diagnose PDD)について、下記特許文献1と類似の記載内容を含んでいる(下記特許文献2、要約、第3欄:第3行〜第14行)。
【0017】
「照明器具」と「照明源」と「照明装置」との概念に関しては、実際に使われ且つ特許出願においても使われているように当業者はこれらの概念が同義的な意味をもつことを労せず理解する。実質的に通常は、提供された光を強い蛍光励起のために及び/又は最適な手術用照明のために使用することが問題となる。
【0018】
下記特許文献3は、異なる2つの照明装置から構成されている照明装置を開示し、前記2つの照明装置は各々光増幅するよう作用するために共同で使用されなくてはならない。しかし両方の照明装置は蛍光励起照明時に互いの増幅のために使用されるので、両方の照明装置が基本的に且つ強制的に共通してもたなくてはならない光スペクトルのスペクトル領域は蛍光励起領域であると考えるのが論理的である。しかしながら両方のスペクトル領域が蛍光励起領域を共通してもつ限り、両方のスペクトル領域の領域幅は異なっていてよく、下記特許文献3に従うと異なっているとされている。つまり例えば赤色光蛍光のためには第2照明装置は好ましくは赤色光からIR光までの領域内において最適化されて放射を行う。それに対し、青色光蛍光のためには第2照明装置はむしろUV光までの青色領域内においてスペクトル的に重点が置かれることになり、それに対し、両方の場合において第1照明装置は白色光のために最適化されている。
【0019】
本願の本発明に従う構成にとって、光が一光源から生じるか、一照明源から生じるか、一照明器具から生じるか、唯一の照明装置から生じるか、又は複数の照明装置から生じるかは、主請求項の保護範囲においては二次的なことである。
【0020】
「調整可能なスペクトル領域」としては、励起フィルタによりスペクトル特性について限定(従って、励起フィルタの選択に応じ、調整)することのできる領域として理解される。一方では励起フィルタの選択により、他方ではこれらの励起フィルタの着脱(取り付け及び取り外し)によってスペクトル特性の限定ないし調整が行われる。
【0021】
このことは全て、当業者が技術思想的に蛍光手術用顕微鏡検査に従事しているのであれば該当業者にとって周知のことである。当業者におけるこれらの事実の公知性を示すものとして中でも下記特許文献1及び特許文献2を挙げることができる。
【0022】
更に当業者にとって周知であるように、今日慣用の標準的な蛍光顕微鏡は落射光照明原理(Auflichtprinzip)で動作する。このことは、試料(プレパラート)が上方から、同時に集光器(コンデンサ)として機能する対物レンズを通して照明されることを意味する。選択された蛍光色素の励起波長を含むべき光源として今日では多くの場合、50ワット〜400ワットの出力の超高圧水銀ランプ、又は対応出力性能のキセノン照明ランプが使用される。これらのランプは360nm〜700nmの有効波長の幅広スペクトルを提供する。全照明スペクトルから、先ずは入力帯域フィルタ(励起フィルタ)を用い、選択された蛍光色素の励起波長がフィルタアウトされる(選択的に通される)。励起光線は二色性分光器(ダイクロイックビームスプリッタ)上へ到達する。該二色性分光器は、小さい波長の励起光を反射し、同時に発光光線のより長い波長の光に対しては透過性である。励起光線は対物レンズを通して試料上へ達し、蛍光色素を励起し、それにより該蛍光色素がより長い波長の光を発光(放射)する。この光は、上記の二色性分光器を通過し、出力遮断フィルタ(発光フィルタ)に入射する。該出力遮断フィルタは、蛍光色素の所望の発光波長、即ち実際の蛍光画像をフィルタリングする(選択的に通す)。該蛍光画像は接眼レンズを通して観察されるか、又は写真カメラ又はビデオカメラを用いて記録することができる。
【0023】
2002年に優先日をもつ下記特許文献4は、段落8において照明装置について次のように記載している。
「更に照明装置は、可視光の少なくとも1つの第2波長領域内の光を提供するための照明装置を含み、前記第2波長領域は蛍光スペクトルを実質的に含まず、励起波長領域を含まない部分波長領域を含んでいる。」
従ってこの先行技術は、発光光と反射光との間のコントラストから手術のための診断サポート又は指針サポートを獲得することを同様に支援すべき擬似色照明の形式に関するものである。
【0024】
(一般的な技術説明)
蛍光区域(蛍光を発するエリア)を識別するための装置は、例えば蛍光顕微鏡の構造形式において又は蛍光内視鏡の形式において公知である。両顕微鏡においては上記のように蛍光物質(蛍光を発する物質)は観察対象の所定区域内において他の区域よりも強く濃縮(富化 anreichern)されるという事実が利用される。適切な励起光を用いた照射により、より強く濃縮された区域が光り始め、蛍光を発するないし発光波長における光を能動的(アクティブ)に放射する。この光は所定の前提のもと上記のように感知(ないし検知)することができる。
【0025】
次に、医学分野のための蛍光手術用実体顕微鏡に基づく効果の適用について説明する。上記のように勿論この説明は、医学分野における適用や、医学的な手術用顕微鏡検査の医学分野ないし純粋な手術用顕微鏡に限定されるわけではない。
【0026】
蛍光手術用顕微鏡は、既に以前より例えば腫瘍の切除手術において使用されてきた。そのために患者には光増感剤(Photosensibilisator)ないし光動的薬剤(例えばALA(Amino Levulinic Acid アミノレブリン酸)又はmTHPC(meso-Tetra-HydroxyPhenyl-Chlorin))が投与される。この光増感剤は健康組織内よりも腫瘍組織内においてほぼ2倍〜15倍高い濃度で濃縮される。腫瘍組織内のこの選択的な濃縮(富化)は、薬剤の蛍光性質に基づき、腫瘍が可能なかぎり完全に取り除かれ且つ健康組織が取り除かれないという、腫瘍組織の効果的な切除のための重要な基礎的前提を意味する。
【0027】
診断のために又は手術のために検査すべき組織は、光増感剤の投与後の適切な待ち時間の後、青色光ないし紫色光又はUV近傍の光を用いて照射される。腫瘍組織内において比較的強い物質代謝ないし異化作用(Verstoffwechslung)に基づき高められた濃度で存在する光増感剤はこの光により励起され、引き続き典型的な赤色蛍光を有し、励起光のもとで蛍光を発し始める。典型的に腫瘍は上記照明のもと赤色又はピンク色で光り始め(赤色放射)、それにより視覚的に健康組織から浮かび上がって見える(下記特許文献3を参照)。
【0028】
上述の蛍光の他、場合により組織の所謂自己蛍光(Autofluoreszenz)を誘起することもできる。この自己蛍光は生体固有の蛍光色素により生じ、この際、励起は多くの場合はむしろ短波長の青色光ないしUV近傍の光により行われる。
【0029】
腫瘍及び組織の目標を定めたマーキングの他、蛍光手術用顕微鏡検査は、血管を見えるように可視化するためにも用いられる。そのために患者には上記のように同様に蛍光物質が投与され、該蛍光物質はその後、血管壁を通して励起ないし見ることができる。このような方式により極めて繊細な血管も位置確認でき、このことは血管を結さつ(血管を縛って血行を止めること)する又は血管を傷つけてはならない場合に特に有益である。この関連において蛍光手術用顕微鏡検査は特にバイパスの検査のためにも有利である。その際、多くの場合は赤外線血管造影法が使用され、該赤外線血管造影法ではNIR領域(近赤外線領域)からの光が励起ために使用され、その後、観察対象野が他のスペクトル領域内において観察される。
【0030】
他の適用では(非可視の)UV光(紫外線)が使用される。紫外線から青色光へ、青色光から赤色光へ、遠赤外線に至るまでの間の他のスペクトルは、使用される蛍光励起材料に応じて同様に有意義に使用可能である。
【0031】
蛍光手術用顕微鏡は、一般的には照明装置と光案内ユニット(照明光線路)を有し、該光案内ユニットは照明装置の光を顕微鏡の観察対象野内へないし観察対象野内の観察対象の診断すべき又は処置すべき組織領域上へ配向させる。更に蛍光手術用顕微鏡は画像提供ユニットないし画像検知ユニット(観察光線路)を含んでおり、該ユニットは組織領域により反射されたないし組織領域において蛍光を介して発生された光を中間画像面内において結像する。また手術用顕微鏡には複数の中間画像面を設けることもでき、例えば、接眼レンズを用いた観察のため又は記録装置やセンサやチップなどへの結像のための中間画像面である。
【0032】
以下、光案内ユニットは「照明光線路」とも称するものとし、それに対し、観察対象野によりもたらされた光(観察対象野から受信された光)を観察者の片目ないし観察者の両目へ提供し且つ評価する画像提供ユニットないし画像検知ユニットは「観察光線路」とも称するものとする。
【0033】
光案内ユニットは照明光線路内において、検査すべき観察対象野上へ照射(放射)される光を案内するための光導波路をも含むことができる。このことは、特に手術用顕微鏡内に組み込まれていない外部の照明装置において並びに内視鏡等において通例のことである。手術用顕微鏡においては光導波路を備えたそのような照明装置が頻繁に使用され、その理由は、光導波路により、熱く且つ比較的重い光源を顕微鏡本体から離して装着することができるためである。
【0034】
通常、観察光線路は、接眼レンズを備えた両眼鏡胴、及び/又はビデオ出力部において少なくとも1つのビデオカメラを含んでいる。
【0035】
(先行技術文献)
蛍光手術用顕微鏡検査の分野において先行技術から例えば下記特許文献5が公知であり、下記特許文献5は実体ルーペメガネ(本発明の意味において手術用及び蛍光観察用の拡大装置である)を紹介している。該ループメガネは2つの単眼観察光線路を含んでおり、これらの単眼観察光線路はメガネ形状で配設されているので、本発明の意味において共同で1つの両眼実体観察光線路を形成している。これらの両方の単眼観察光線路の間には照明装置が配設されており、該照明装置は観察対象野ないし観察対象を照明光線路ないし励起光線路を介して照明する。励起光線路内には第1光学フィルタが設けられており、該第1光学フィルタは実質的に励起波長領域内においてのみ透過性である。更に観察光線路内には少なくとも1つの別の光学フィルタが設けられており、該光学フィルタは蛍光波長領域内において透過性であり、それに加え、励起波長領域内においては透過性が減少されており、それにより蛍光区域を包囲する領域が原理的に、励起光を用いて照明され、該励起光を反射し、可視状態(見える状態)にある。
【0036】
更に下記特許文献6は、光動的診断のための装置を開示し、該装置では照明光線路内の励起フィルタ及び/又は観察光線路内の観察フィルタについて特殊な構成が記載されている。特に
図2〜4は励起フィルタと観察フィルタの従来の組み合わせを示しており、これらの組み合わせは当該フィルタのフィルタ作用の各々の重なり合う領域において、即ち当該フィルタの透過特性曲線(透過カーブ)が交差する領域において、励起フィルタからの光波が観察フィルタをも通過することができるが、部分的には吸収され、それにより低レベルないし低輝度をもって観察対象野の照明のために使用されているということを理解させる。このような公知のフィルタは典型的には本発明において励起フィルタ及び第1観察フィルタとして使用することができるであろう。それに代わるフィルタの組み合わせは下記特許文献2の
図2aに図示されており、この組み合わせは同様に本発明においても基本構成として使用することができる。
【0037】
先行技術からの他の構成は、計算機と、電気的に位置調節可能なフィルタホイールとを介した、観察対象野から画像情報を取り出す(Auskopplung)方式による照明光の電子フィードバック式調節機構を示している(下記特許文献4の
図1)。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施形態の概要について説明する。
【0052】
反射された背景光の減衰手段は、オン作動可能な少なくとも1つの第2観察フィルタにより形成され、該第2観察フィルタは既述のように励起波長領域内において少なくとも部分的に吸収性である。励起波長に対して減少された透過度を有するオン作動可能(即ち観察フィルタを使用状態にすること、具体的には観察フィルタを観察光線路内へ挿入することが可能)な第2観察フィルタは、観察対象野によりもたらされた励起波長領域内の光を減衰するための特に簡単な手段である。本発明はそのようにして特に簡単に実際に実現することができる。この際、第2観察フィルタの又は複数のそのような補助的な観察フィルタのオン作動は手動式で又は電動式で行うことができ、利用者により誘導されるか又は自動的に行うことができる。特に実際に有効なものは第2観察フィルタを必要に応じてフットスイッチを用いてオン作動することのできる装置である。
【0053】
また(第2観察フィルタのために)複数の補助的な観察フィルタが設けられており、該観察フィルタが励起波長領域内において異なる波長依存性の(スペクトル)透過度を有すると有利である。このような方式により観察対象野によりもたらされた励起波長領域内の背景光の様々な色減衰及び輝度(光強度)減衰を達成することができる。この際、例えば1つの第2観察フィルタが複数の補助的な観察フィルタの一セットから観察光路内へ旋回挿入される。勿論、適切な累積的吸収(kumulative Absorption)を達成するために、従って個々の場合において可視の背景照明ないし可視の背景光のために最適なスペクトル及び/又は輝度調整を達成するために、そのような観察フィルタの複数を同時にオン作動ないし旋回挿入することもできる。
【0054】
更に(第2観察フィルタのために)複数の補助的な観察フィルタが設けられており、該観察フィルタが励起波長領域内において各々同じ透過度を有すると特に有利である。従ってこのように組み合わされたフィルタの吸収は、旋回挿入された補助的な観察フィルタの数に関する線形関数となる。また同一構成のフィルタは特に効率よく低コストで製造することができる。
【0055】
更に、第1観察フィルタが干渉フィルタとして及び/又は第2観察フィルタが単純な色ガラスフィルタとして形成されていると特に有利である。このような方式により本発明に従う蛍光手術用実体顕微鏡は特に低コストで製造することができ、その理由は、色ガラスフィルタは干渉フィルタよりも遥かに容易に製造でき、それ故、干渉フィルタよりも遥かに少ない製造コストで済むためである。色ガラスフィルタとしては、本発明の意味においてプラスチックフィルタ、フィルムフィルタ等としても理解され、該フィルタは各々、材料において存在するそれらの色によりフィルタリング(ろ波:光の特定の周波数範囲のものを通過させたり阻止したりすること)をもたらす。従ってこの形態において本発明により発生する追加コストは極めて少なく、ないし利用者には同じ費用でより多くの変形形態の可能性が提供可能である。
【0056】
主として、第1照明装置の波長領域とは異なり且つ励起波長領域の領域内だけで重なり合う波長領域内において光を放射する第2照明装置が、第1照明装置に対してオン作動可能(即ち第1照明装置に追加して第2照明装置をオンとすることが可能)であると有利である。このような方式により例えば観察対象野の背景照明が色について及び/又はその輝度について変更可能である。
【0057】
多くの場合、観察対象野の励起照射は青色光を用いて行われる。つまり観察対象が場合により橙色(青色の補色)である場合には、該観察対象は通常は青色光を吸収し、観察対象野内の観察対象は(蛍光作用を伴わず)黒く見える。従って非蛍光区域(蛍光を発しない区域)内の構造物は識別できたとしても極めて粗悪な状態での識別となる。この際、他の可視領域内の光が励起光に追加混合されると修正措置をとることができる。例えば白色光又は黄色光が追加混合される場合には、観察対象野において蛍光区域を包囲する部分の構造物が再び良好に可視状態(目に見える状態)となる。それにより場合によっては、少なくとも主観的ではあるが、蛍光組織(蛍光を発する組織)と純粋に反射する組織との間のコントラストも増加される。その理由は、青色光と黄色光の混合が緑色をもたらし、赤色に対する緑色は正常視の人にとって良好なコントラストをもたらすためである。
【0058】
このことを考慮し、特別な変形形態では第1観察フィルタ及び/又は補助的な観察フィルタを、これらが組み合わせとして又は(及び/又は)単独として適切な多帯域スペクトル領域に対して透過性であるように構成することができる。あるいはまた2つの照明装置が同時に観察対象野上へ配向されている場合には、一方の照明装置を励起光のために最適化し、他方の照明装置を背景照明のために最適化することができる。
【0059】
更に特に有利には本発明に従う蛍光手術用実体顕微鏡は、
−(励起波長領域内における)反射された光部分と蛍光波長領域内において発光(放射)された光部分との間のコントラストについて、観察対象野により観察光線路内へ放射された光を評価するための電子ビデオ支援手段(発光光と反射光との間のコントラスト検知)と、
− 減衰手段を自動制御するための電子被制御手段、即ち設定可能なコントラストが自動的に被制御式で得られるように補助的な観察フィルタを自動的に電気機械式で取り付ける(オン作動)、取り外す(オフ作動)、又は交換するための電子被制御手段と
を含んで構成される。
【0060】
本発明のこの変形形態では、観察対象野によりもたらされた光、例えば青色の励起光と赤色の蛍光光が、両方の光種類の間のコントラストについて評価される。例えば、反射された励起光が発光(放射)された蛍光光よりも勝っている場合には、コントラスト比の改善のため、観察光線路からより多くの励起光をフィルタリング(選択的に除去する)する(場合により比較的強い)第2観察フィルタがオン作動される。それに対し、蛍光光(発光光)が背景光よりも勝っている場合には、励起光の吸収をより少なくしそれに対して蛍光光の吸収を僅かに行う(比較的弱い)第2観察フィルタがオン作動される。あるいはまた第1観察フィルタを通過する励起光の最大値(Maximum)を通過させるために第2観察フィルタが取り外される。コントラストはこのように自動的に設定可能値へ調整(フィードバック調整)され、それにより例えば外科医は妨害影響因子に依存せず常に最適なコントラストをもった画像を見ることができる。この際、この目的のために自動装置が複数の様々な観察フィルタの一セットから選択を行う。
【0061】
最後に、減衰手段(フィルタ)について選択された設定内容情報(観察フィルタの組み合わせ)は保存可能であり、再び呼び出し可能である。本発明のこの変形形態では一度選択された減衰設定内容ないし色コントラスト設定内容は外科医により電子的に保存され、後で再び呼び出すことができる。そのために記憶部(メモリ)を備えたマイクロコントローラ又はコンピュータと操作ユニットが設けられている。多くの場合、手術用顕微鏡は一人よりも多くのオペレータ(外科医)により使用される。従って本発明に従う蛍光手術用実体顕微鏡が他の人に使用される場合にも以前のオペレータにより個人的に最適と思われた設定内容が失われないようにするために、入力ユニットを介した命令により、一度選択された設定内容を次回の使用時に至るまで電子的に保存することができる。例えばそのために押しボタンや対話式のタッチスクリーン式操作手段を設けることができ、これらには選択された個人個人の設定内容を割り当てることができる。更に電子装置と該電子装置に付設の記憶部(メモリ)を介し、電気機械式のフィルタ着脱ユニットのための制御パラメータが保存され、その後、操作ユニットを介して例えばコード化され、利用者の名前を介して再び呼び出すことができる。又は電子利用者リストをディスプレイ上に当てはめて表示させ、該電子利用者リストから適切な登録内容を操作手段シンボル(例えばコンピュータマウス)を用いて又は直接的にタッチスクリーンを用いて選択するないし表示(活性化)させることができる(
図4を参照)。
【0062】
本発明の上記の展開形態、発展形態、変形形態は、本発明の枠内で任意の形式で組み合わせることができる。重要なのは、本発明に従い少なくとも1つの補助的な観察フィルタを観察光線路内へ簡単に取り付ける又は取り外すことにより、励起照明を操作(マニプレーション)することなく、観察対象野の発光光と背景光との間の明暗及び/又は色コントラストを調節可能としたということである。それに比べ、従来技術では、例えば本出願人による公知の蛍光手術用実体顕微鏡「Leica FL400」(パンフレット 10 M1 750 Oen/B 2008 printed IX.2009 ページ6と7の間の透明な中間ページ、光源におけるレギュレータを参照)においては照明光線路内の励起フィルタの制御についてのみ変更可能であり、このことは、基準どおり観察対象野内の照明のためのポジティブな効果の他に、望むと望むまいと、観察対象における観察対象野内の照明強度の実際の変化(バリエーション)を必然的に伴っている(上記の透明な中間ページに基づく従来技術を再現する本願図面の
図5を参照)。このことは本発明によればもはや1つの基準とはならない。照明自体にはより良いコントラスト設定のためにもはや変更を施す必要はなく、それにより照明強度ないし励起強度を予め最大値(Maximum)に設定することができ、スペクトル的なコントラスト及び/又は輝度のコントラストに関する観察光線路内の観察対象野の結像の主観的な感知は、専ら観察光線路自体内において調節することができる。
【0063】
上記のごとく、本発明において下記の形態が可能である。尚、下記の各形態は本願の
当初特許請求の範囲の各請求項に記載した各々の構成要件にも対応している。また本願の特許請求の範囲に付記されている図面参照符号は専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、本発明を後続段落で説明する具体的な実施形態に限定するものではないことを付言する。
(形態1)
観察対象野内の観察対象の蛍光区域を識別するための蛍光手術用実体顕微鏡であって、該蛍光手術用実体顕微鏡は、励起稼動状態では前記観察対象野を、少なくとも1つの照明光線路を介して励起波長領域内の光で照射し、手術稼動状態では前記観察対象野を、前記少なくとも1つの照明光線路を介して照明波長領域内の光で照射する第1照明装置と、前記観察対象野によりもたらされた反射光及び発光光を案内するための観察光線路と、前記励起波長領域内及び発光波長領域内において透過性である、前記観察光線路内の第1観察フィルタとを含んで構成されること、前記観察光線路内に選択的に配設可能な少なくとも1つの第2観察フィルタが設けられており、該第2観察フィルタは、観察者に対する前記励起波長領域内の可視光を制御可能に減衰するため及び/又は制御可能にスペクトル変更するように少なくとも部分的に吸収性であり、更に該第2観察フィルタは、前記発光光に対して完全に透過性であること。
(形態2)前記少なくとも1つの第2観察フィルタには、択一的に又は追加的(累積的)にオン作動可能な少なくとも1つの補助的な観察フィルタが付設されており、該補助的な観察フィルタは、前記励起波長領域内
の光に対し、前述の第2観察フィルタと同じ又は異なる吸収特性をもち、少なくとも部分的に吸収性であることが好ましい。
(形態3)選択的に挿入可能な複数の補助的な観察フィルタが設けられており、該補助的な観察フィルタは、前記励起波長領域内において互いに相対的に各々異なる光透過特性を有することが好ましい。
(形態4)選択的に挿入可能な複数の補助的な観察フィルタが設けられており、該補助的な観察フィルタは、前記励起波長領域内において同じ光透過特性を有し、付加的にオン作動可能であることが好ましい。
(形態5)少なくとも1つの励起フィルタが前記照明光線路の少なくとも1つに設けられており、該励起フィルタは、前記励起波長領域内において透過性であるが、前記発光波長領域内においては吸収性であることが好ましい。
(形態6)前記励起フィルタは実質的にハイパス特性/ローパス特性を、それに対して前記少なくとも1つの第2観察フィルタは実質的にローパス特性/ハイパス特性を、
図2a〜2c及び
図3a、3bに対応するかたちで有することが好ましい。
(形態7)前記第1観察フィルタは干渉フィルタとして形成されており、前記少なくとも1つの第2観察フィルタは、材料において着色された色ガラスフィルタ又は色プラスチックフィルタとして形成されていることが好ましい。
(形態8)前記第1照明装置に対し、該第1照明装置
とは異なって外れている及び/又はより幅広である第2波長領域、好ましくは白色光を出射する第2照明装置がオン作動可能であること、又は該第2照明装置は前記第1照明装置に対して択一的にスイッチオン可能であることが好ましい。
(形態9)前記励起波長領域内における反射された光部分と前記発光波長領域内における発光された光部分との間のコントラストについて、観察対象野から画像センサ上で受信された光を自動的に評価するためのビデオ支援式画像処理手段と、電子的に設定可能なコントラストが好ましくは自動的に達成されるように、前記少なくとも1つの第2観察フィルタないし前記補助的な観察フィルタを好ましくは自動的に制御するための制御手段とが設けられていることが好ましい。
(形態10)前記少なくとも1つの第2観察フィルタに関して選択された設定内容が、記憶ユニット内において記憶可能であり、再び呼び出し可能であることが好ましい。
(形態11)前記第1照明装置及び前記第2照明装置には、選択的に、各々の好ましくは同一構成の励起フィルタが後置可能であることが好ましい。
(形態12)前記第1照明装置及び前記第2照明装置には、択一的に、好ましくは同一構成の前記励起フィルタに対し、全体的に最適化された白色光照明を提供するための各々異なる照明フィルタが後置可能であることが好ましい。
(形態13)前記励起フィルタ、前記照明フィルタ、及び前記観察フィルタは、駆動ユニットを用いて電気機械式で各々の前記光線路に対して着脱(取り付け及び取り外し)可能であること、及び、当該電子機械機構の制御のために制御ユニットが設けられており、該制御ユニットは、入力ユニットを介してプログラミング可能であり、好ましくはライトハザードを減少させるための記憶されて予め設定された安全用設定値をもつことが好ましい。
(形態14)前記第1照明装置及び前記第2照明装置は該蛍光手術用実体顕微鏡から離間して配設されており、該蛍光手術用実体顕微鏡とは各々の光導波路を用いて接続されており、該光導波路は、各々の第1ないし第2光学系を介し及び各々の第1ないし第2偏向プリズムを介して前記観察対象野へ配向されていることが好ましい。
(形態15)前記第1及び第2偏向プリズムのうちの1つが主対物レンズと前記観察対象野との間に配設されており、それに対し、他方の偏向プリズムが前記主対物レンズと、前記観察光線路において前記観察対象野とは反対側の端部との間に配設されていることが好ましい。
【0064】
以下、図面に図示された具体的な実施形態について詳細に説明する。以下の具体的な実施形態は本発明の理解の容易化のためのものであって、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者により実施可能な付加や置換、開示された各要素の選択ないし選択的組合せ等を排除することを意図するものではない。
【0065】
図面において、同じ部材並びに類似の部材には同じ図面参照符号がつけられ、機能の類似する要素並びに特徴には、特に説明をしない限り、異なるインデックスをもった同じ図面参照符号がつけられている。以下、図面は全体にわたって包括的に説明されるものとする。
【0066】
図1は、本発明に従う装置の一実施形態を示し、ここでは極めて簡素化されてモノスコーピック描写された、観察光線路21を有する蛍光手術用実体(立体)顕微鏡1の形式であり。蛍光手術用実体顕微鏡1は象徴的に図示された第1照明装置2を含んでおり、第1照明装置2は稼動状態において光を象徴的に図示された照明光線路20を介し、観察対象野7(オブジェクトフィールド)上へ配向する。
図1の状態においてその光は観察対象野7上へ投射される励起光であり、その理由は、照明光線路20内において選択的に挿入可能な励起フィルタ3が挿入されているためである。照明光線路20内には象徴的に図示された従来どおりの別の構成部材が組み込まれている:従来どおりの第1照明光学系4と従来どおりの第1偏向プリズム5である。第1偏向プリズム5は光線方向(光線の進む方向)において蛍光手術用実体顕微鏡1の主対物レンズ6の手前に配設されており、照明光線路20を偏向し、主対物レンズ6を通して観察対象野7上へ指向させている。
【0067】
従って、励起フィルタ3(もしも挿入されているならば)と、照明光学系4と、偏向プリズム5と、主対物レンズ6(主対物レンズ6が勿論観察光線路21の構成部材でもあるという二重機能のもと)とは、第1照明光線路20を形成し、第1照明光線路20は励起フィルタ3の選択的な挿入により選択的に蛍光励起のための励起光線路となる。第1照明装置2ないし該装置内に備わっている光源が蛍光励起のために最適である狭帯域の非白色光源(例えばダイオードレーザ等)である場合には、励起フィルタ3は場合により省略することもできる。しかしそのような場合に上記の第1照明光線路20は専ら第1励起光線路であり、この第1励起光線路は主として蛍光励起のために用いられ、手術用顕微鏡照明としての使用にはその狭帯域光が原因で使用不可能である。その理由は、手術では通常はできるだけ自然に近い色再現を伴う光が望まれるためである。
【0068】
特にこの場合のために、また上記特許文献3におけるように第2照明装置による付加的な光増幅(additive Lichtverstaerkung)の場合のために、
図1に従う構成には第2照明光線路22を有する第2照明装置12が設けられており、第2照明装置12は光を同様に観察対象野7上へ配向している。
図1に図示された実施形態において第2照明光線路22には励起フィルタが設けられてなく、それ故、第2照明光線路22は励起光線路ではないか、又は狭帯域励起光照明装置を備えた励起光線路である。
【0069】
それに対し、
図5(従来技術)において照明光線路22内には励起フィルタ3が設けられている。両方の光源は必要に応じて場合により対応するよう設計され、観察対象野7の照明時には互いに支援(サポート)し合い、又は択一的に択一的な色スペクトルを用いて使用することができる。
【0070】
従って、
図5のものは
図1とほぼ同じ描写であり、本発明に従う一実施形態も
図1に基づいて同様に説明される択一的な二分割式の照明光線路を含んでいる:この照明光線路は、励起フィルタ3を用いて選択的に励起光線路に変換することのできる、白色光照明装置2を備えた第1照明光線路20を有し、更に第2励起光線路22が設けられており、第2励起光線路22は励起時において励起照明装置からの励起光を観察対象野7上へ配向する。
【0071】
二分割式の照明光線路については、上記特許文献3の全記載内容、特に
図1〜
図4、これらの図面に関する段落11〜段落23の記載内容、そして明細書の段落6〜段落10の記載内容が参照される。尚、これらの記載事項は引用をもって本書に組込み記載されているものとする。
【0072】
しかしながら勿論本発明は、唯一の照明光線路又は励起光線路を有する構成も含んでおり、その理由は、本発明によれば励起事象ないし照明光線路自体が重要なのではないためである。本発明によれば、照明光線路20及び/又は22ではなく観察光線路21が本発明に従うコントラスト調節(コントラスト設定)を行うために操作されることが重要である。
【0073】
従って、本発明に従う蛍光手術用実体顕微鏡1は図示の実施形態によればオプションの第2照明装置12を含んでおり、第2照明装置12は同様に光を第2照明光学系13と第2偏向プリズム14を介して観察対象野7上へ投射する。本実施形態において第2偏向プリズム14は(観察光線路21の方向で見て)主対物レンズ6の後又は横に配設することができる。勿論本発明は、第2偏向プリズム14が第1偏向プリズム5と同様に対物レンズ6の前に配設されており従って第2照明光線路22の光が同様に主対物レンズ6を通って投射される構成も含んでいる。
図1において両方の照明光線路20、22は1つの平面内で図示されている。しかしながら勿論これらの照明光線路20、22及びそれらの構成部材は空間的に相並んで、例えば主対物レンズ6に対して接線方向に相並んで配設することもできる。
【0074】
図1から見てとれるように、図示の実施形態において第1照明装置2の第1照明光線路20と観察光線路21とは蛍光手術用実体顕微鏡1の主対物レンズ6のところで(を介して)互いに交わっている。しかしながらこのことは強制的な条件ではない。また第1照明装置2の第1照明光線路20と第2照明装置12の第2照明光線路22とは観察光線路21の光学構成部材から完全に離れて、従って主対物レンズ6の脇を通り過ぎるように延在させることができる。その際、照明光線路ないし励起光線路20、22と観察光線路21とは主対物レンズ6と観察対象野7との間の空間内でのみ交わることになる。
【0075】
主対物レンズ6を介し、観察対象野7により反射された光と、場合により蛍光組織(蛍光を発する組織)により発光(放射)された発光光とが観察光線路21内へ導かれる。観察光線路21はその光学系について同様に象徴的に図示されており、顕微鏡光学系(例えばズーム)8と、従来どおり、選択的に挿入可能な第1観察フィルタ9とを含んでいる。この第1観察フィルタ9(遮断フィルタとも呼ばれる)の役割は主として発光光を通過させ、スペクトル的に他の光波長を吸収することである。しかしながらこの場合、第1観察フィルタ9は本発明の変形形態に応じ、周知のように、明らかに励起光の一部分に対しても、場合により白色光に至るまでの他の光波長の一部分に対しても、部分的に透過性であるように形成されている。従って観察者は一方では蛍光現象の発光を見ることができ、また追加的に背景光、即ち観察対象野7内の観察対象により反射された励起光(照射光)及び/又は白色光(背景照明)に至るまでの他の光波長の一部分を見ることができる。
【0076】
勿論第1観察フィルタ9は、その都度の蛍光時(その都度の発光光線)にとって最適の状態であるために様々な観察フィルタのグループから選択可能とすることもできる。
【0077】
観察光線路21は、光方向(光の進む方向)において第1観察フィルタ9の後(図示した形態)又は前に、一セットの補助的な観察フィルタ10a、10b、10cを含んでおり、それに続き、接眼レンズを備えた実体鏡胴23を含んでいる。勿論図示の接眼レンズを備えた実体鏡胴23の代わりに又は接眼レンズに追加するかたちでビデオ鏡胴(Videotuben)のようなビデオ観察装置を装着することもできる。これらのビデオ観察装置は必要に応じて交換可能に設けることもできる。本発明においては観察光線路21の最終的な構造が重要なのではなく、本発明の本質的なことは、観察光線路21内の観察可能な光が選択的に(スライド)挿入可能な本発明に従う観察フィルタ10a〜10cの補助的なセット(少なくとも1つの第2観察フィルタ10)により観察対象野7の発光光と反射光との間のコントラストを調節することができるということである。
【0078】
主対物レンズ6と、顕微鏡光学系8と、選択的に挿入可能な第1観察フィルタ9と、補助的な観察フィルタ10a〜10cの選択的に挿入可能なセット(少なくとも1つの第2観察フィルタ10)とは、観察光線路21の重要な部分を形成する。
【0079】
図1に図示された蛍光手術用実体顕微鏡1の機能は、例えば以下のとおりである:
【0080】
第1照明装置2は、極めて幅広の波長領域の光(例えば白色光)を放射する。従ってこの波長領域は、適用時には観察対象野7の領域内の観察対象の組織内にあるべきその都度の光増感剤(Photosensibilisator)のための励起波長領域も含んでいる。本実施形態において第1照明装置2の放出スペクトルは比較的広い(白色光スペクトル)ものとする。従って励起フィルタ3を使わない場合には基本的に手術用顕微鏡照明が提供され、この照明のもと外科医ないし利用者が観察対象野7内において手術を行う。蛍光励起時には、実質的に主として狭帯域の励起光を通過させる励起フィルタ3が(第1照明光線路20内へ)挿入される。第1照明装置2がいずれにせよ殆ど専ら励起波長領域内の励起光だけを発するという選択的モードの時には励起フィルタ3を省略することもできる(場合により選択的に取り外し可能に配設することもできる)。その際、そのような択一的な構成においてはいずれにせよ補助的な手術用顕微鏡照明が別個に配慮されているべきであり、例えば第2照明光線路22を介してである。しかしながら第1照明装置2が白色光源を有する場合には本実施形態において第1照明装置2は、一方では励起フィルタ3を使わないときは手術用顕微鏡照明のために用いられ、他方では励起フィルタ3を使うときは蛍光励起のために用いられることになる。
【0081】
第1照明装置2からの光は、照明光学系4により集束され、偏向プリズム5へ導かれ、偏向プリズム5はこの光を偏向し、主対物レンズ6を介して観察対象野7上へ投射する。
【0082】
通常、観察対象野7内には、励起光を用いた照射のもと蛍光を発する区域(蛍光区域:フルオレセンスエリア)が存在する。観察対象野7により反射された励起光は発光光(蛍光)と共に主対物レンズ6と顕微鏡光学系8を介して更に導かれないし中間画像面上へ投射される。この際、このようにして観察対象野7によりもたらされた(観察対象野7から受光された)発光光及び反射光は、第1観察フィルタ9が主として蛍光波長領域内の発光光を通過させ、励起波長領域内の反射光も部分的に通過させ、他の波長の光は大部分をフィルタ除去するように第1観察フィルタ9によりフィルタリングされる。
【0083】
観察光線路21の延在形式に従い、観察対象野7の光は、観察光線路21内に配設された制御可能なスペクトル減衰(spektrale Abschwaechung)のための手段(補助的な観察フィルタ10a〜10c)により、特に励起波長領域内において限定されて必要に応じ(これらの手段(観察フィルタ10a〜10c)の選択又は設定により)更にフィルタリングされ、それにより発光光と反射光との間のコントラストが調節される。本実施形態においてこれらの手段は補助的な観察フィルタ10a〜10cにより形成されている。これらの観察フィルタ10a〜10cは、
図1において矢印で示唆されているように、必要に応じ、励起波長領域内の光を減衰させ且つそのようにして中間画像面内へ投射される観察対象野の光のコントラストを目標を定めて変更するないし要求に適合させるためにオン作動又はオフ作動(即ち着脱)することができる。第2観察フィルタ10a〜10cがない場合には周辺光(反射光)に対する蛍光区域(発光光)の相対的な可視度(視感度)は減少されている。それに対し、第2観察フィルタないし複数の補助的な観察フィルタ10a〜10cがオン作動(即ち挿入)されている場合には観察対象野7により反射された励起光ないし観察対象野7により反射された光が以前よりも強く吸収され、その結果、吸収されない発光光で光っている蛍光区域が相対的により強く際立ち、従って蛍光現象に対する相対的な可視性が改善される。
【0084】
例示の観察光線路21は、接眼レンズを備えた鏡胴23を介し、非図示の観察者の非図示の目へ観察対象野7の画像を結像する。補助的に観察光線路21から、周知のように記録出力部等を設けることもでき、該記録出力部には例えばビデオカメラを配設することができる。あるいはまた観察光線路21は、例えばビデオ顕微鏡におけるように中間画像面内に画像センサ(例えばCCDセンサ、CMOSセンサ等)を備えることもでき、該画像センサは受信された中間画像を電子信号へ変換し、周知の方式により画面(ディスプレイ)上に表示するないし電子的に更に処理する。
【0085】
そのような構成は、
図4に図示した一実施形態から見ることができる。
【0086】
図4において象徴的に図示された顕微鏡1は、主対物レンズ6と、選択的に電気機械式制御機構100により観察光線路21内へ挿入される第1観察フィルタ9とを含んで構成されている。顕微鏡1は
図1に従う構成と同様に少なくとも1つ、本実施形態では2つの補助的な観察フィルタ10を含んでいる。これらの観察フィルタ10は電気機械式で駆動ユニット100を用い又は手動でも、測定に基づき又は利用者の設定要求に基づき、選択的に又は同時に観察光線路21内へ(スライド)挿入されるか、ないし観察光線路21内において作動(活性)状態とされる。
【0087】
図4において照明装置は図示されていないが、
図1による照明装置に対応する照明装置が設けられているものとする。
【0088】
既述のように、所定の励起光は、使用されている波長に応じ、光の強度が高すぎる場合ないし光線量が高すぎる場合、観察者の目を傷つける可能性がある。通常、無害強度をもちUV部分を伴わない青色励起光は、無害強度をもち赤外線部分(IR)の極めて僅かな近赤外線領域(NIR)からの赤色励起光と同様に目にとって問題ない。従って青色励起光(腫瘍学において典型的なALA蛍光)又は赤色励起光(血管造影法において典型的なNIR蛍光)は第1観察フィルタ9ないし補助的な観察フィルタ10a〜10cにより、観察光線路21が
図1に図示され且つ同様に
図4にも図示されているように鏡胴23と接眼レンズを備えた目で見るための観察光線路において終端し、これらを通して蛍光手術用実体顕微鏡1の利用者がのぞき見る場合にも、多少の差はあれともかくフィルタリングされずに透過することができる。このような方式により比較的簡単な技術手段を用いて蛍光区域の周辺の可視性の改善が可能となっている。
【0089】
しかしながらそれに対して
図4では、補助的な分光器(ビームスプリッタ)24が図示されている。分光器24は観察対象野7の画像を画像センサ11上へ偏向する。画像センサ11はビデオ画像処理ユニット400と接続されており、ビデオ画像処理ユニット400は、一方ではディスプレイ500と接続されており、他方では制御ユニット(PC(パーソナルコンピュータ)等)と接続されている。ディスプレイ500は、周知のように第三者用の観察のために用いることができ、また場合により、人間の目ではもはや感知されないが画像センサ11では記録することのできる光波領域内の発光現象の観察のためにも用いることができる。これらの発光現象は外部において、又は周知のように反射入射機構を用いて再度利用者に対して鏡胴23内において可視化することも可能である。しかしながらディスプレイ500は実質的に管理機能を有するであろう。
【0090】
制御ユニット200は、駆動ユニット100及び記憶及び/又は入力ユニット300と接続されている。記憶及び/又は入力ユニット300は、一方では制御ユニット200のデータないし設定内容の入力のために用いられ、他方ではディスプレイ500との通信のために用いられる。記憶部(メモリ)には入力ユニット300によりプログラミングされるかたちで、予め選択されたコントラスト設定内容を記憶させ、記憶部から必要に応じて呼び出すことができる。
【0091】
画像センサ11、ビデオ画像処理ユニット400、制御ユニット200、駆動ユニット100の本発明に従う主機能は、調整回路(フィードバック調整回路)により及び適切な補助的な観察フィルタの(スライド)挿入により観察光線路21内において自動的に最適なコントラストを作ることである。
【0092】
励起光の強度が増加すると、或いは波長が小さくなる又は波長が大きくなると、利用者の目に対する危険性が増加する(ライトハザード)、このことは、光強度が高い場合にも蛍光手術用実体顕微鏡1の利用者の目に対する危険性を生じさせないためにフィルタ選択時に考慮されなくてはならない。
【0093】
従って、励起光の「危険性」は、励起光の強度の他にその波長にも依存する。利用者の目を有害光線から、特にUV光線又はIR光線から完全に守るためには、
図1及び
図4で図示されているように鏡胴23と接眼レンズを備えた目で見るための観察光線路の代わりに専ら中間画像面内の画像センサを使用することができ、該画像センサは利用者の目と異なり、一方では非可視光(例えばIR(赤外線))を可視光へ変換することができ、他方では高い光線強度にも比較的高いエネルギー光線にもさらすことができ、この際、画像センサ自体が害を受けることはない。この構成において利用者はディスプレイ(
図4、500を参照)を介して画像情報を得ることになり、従って有害光線から保護されている。
【0094】
励起光に対して追加し、観察対象野7を、第2照明装置12を用いて他の光スペクトルでも照射することができる。例えば第2照明装置12は観察対象野7の自然色を際立たせるために白色照明装置として構成することができる。好ましくは第1照明装置2の光と第2照明装置12の光との間の比率は、周知のように(蛍光手術用実体顕微鏡 Leica FL400を参照)変更可能であり、それにより観察対象野7内の蛍光区域も背景も所望どおりないし最適な状態で可視とされる(見ることができる)。
【0095】
上記の蛍光手術用実体顕微鏡1は、単に例示としてとらえるべきである。勿論蛍光手術用実体顕微鏡1は更に非図示の別の構成部材を含むことができ、例えばズームのような別のレンズ系、又は光源からの光を減少させる虹彩絞り(アイリス絞り)のような光絞り等である。更に励起フィルタ3は照明光線路ないし励起光線路の他の位置に配設することもでき、例えば(照明光線方向で見て)照明光学系4の後又は偏向プリズム5の後である。同様に第1観察フィルタ9及び補助的な観察フィルタ10a〜10cも観察光線路の他の位置に配設することができる。特に補助的な観察フィルタ10a〜10cは観察光線路内において(観察光線方向で見て)第1観察フィルタ9の前に配設することができる。
【0096】
また、補助的な観察フィルタ10a〜10cのうちの幾つかを(観察光線方向で見て)第1観察フィルタ9の前に配設し、残りの補助的な観察フィルタを第1観察フィルタ9の後に配設することも可能である。更に本発明の基本思想を逸脱することなく光線路は任意に偏向することができ、例えば人間工学的(動作工学的)に旋回可能な鏡胴等を介してである。例えば偏向プリズムを観察光線路21の中間部の中央に形成することにより、ないし
図5に例示されているようにあるいは Leica FL400 におけるように主対物レンズ6に対して中央に形成することにより、照明装置2及び12の照明光線路を観察光線路21と実質的に平行に配向させることができる。偏向プリズム5及び14の代わりに例えばミラーを設けることもできる。このことに関して本発明では光学系において最もよく知られた構成要素が用いられる。また第1観察フィルタ9と補助的な観察フィルタ10a〜10cが上記のような形式によりセンサによる情報読取の場合には中間画像面の前に配設され、直接的に目による情報読取の場合には接眼レンズの前に配設されているのであれば、光線路20、21、22の屈折要素又は偏向要素をいかに構成するかは本発明にとって重要なことではない。
【0097】
それに加え、補助的な観察フィルタ10a〜10cは手動式で又は電動式で操作することができる。また補助的な観察フィルタ10a〜10cはスライド挿入又は旋回挿入することができる。
【0098】
あるいはまた観察フィルタ9、10は、電気的に励起可能なLCDフィルタ(液晶ディスプレイフィルタ)としても構成することができ、これらのLCDフィルタは光線路内に常時置かれており、必要な応じて活性化される。
【0099】
勿論、本発明の教示内容は、図示された蛍光手術用実体顕微鏡1だけに限らず、観察対象野7の蛍光区域を識別するための他の装置にも適用可能であり、例えば内視鏡等に適用可能である。
【0100】
図2a〜2cは、蛍光手術用実体顕微鏡1内で使用されるスペクトル光学ユニット(例えば照明装置及びフィルタ等)の様々なスペクトル延在曲線を示している。この際、横座標には波長λが記入されており、縦座標には規格化された光線強度及びフィルタの透過度θが記入されている。
【0101】
第1照明装置2の放射スペクトルは、
図2a〜2cにおいて一点鎖線Aで示されている。本実施形態において放射された光の強度はほぼ470nm以降の波長λにおいて比較的強く減少する。つまり典型的な青色光照明が用いられている。観察対象野7上へ照射される光のスペクトルを波長領域において更に限定するために第1照明装置2には
図1に図示されているように励起フィルタ3が後置されている。励起フィルタ3の透過度のスペクトル延在曲線(即ち励起フィルタ3の透過曲線又は透過特性曲線)が鎖線Bで示されている。図面から見てとれるように励起フィルタ3は短波長励起波長領域において透過性である。従って励起波長の光のうち短波長部分だけが蛍光励起のために使用される。第1照明装置2からの光においてスペクトル的により長い波長部分は励起フィルタ3により吸収される。従ってこの波長部分は観察対象照明のためには使用されず、それに対し、前記短波長部分が全て励起のために使用される。
【0102】
更に
図2a〜2cには、第1観察フィルタ9の透過曲線C、並びに第2観察フィルタないし補助的な観察フィルタ10a〜10cの各々の透過曲線Da〜Dcが示されている。
【0103】
第2観察フィルタ10a〜10cは異なるスペクトル透過度を有する。つまり透過曲線Da〜Dcは横座標に沿って互いに相対的にスライドされている。従って異なる補助的な観察フィルタ10a〜10cは観察光線路21内の可視光の異なるスペクトル限定をもたらしてくれる。
【0104】
更に
図2a〜2cには可視励起波長領域E(斜線部)が示されており、この可視励起波長領域Eは励起フィルタ(曲線B)と第2観察フィルタ(曲線D)と照明装置(曲線A)との協働の結果、可視である。このことは、光であって観察対象野7により観察光線路21内へ反射されるのであれば観察光線路21内で感知することもできる光を意味している。上記領域E以外の波長領域、即ち例えば470nm〜570nmの間の波長領域は第1観察フィルタ(曲線C)により吸収されるので可視ではない(見ることはできない)。以下に説明するように発光波長の周辺の領域Fだけが例外となる。補助的な観察フィルタ10a〜10cによる励起光のスペクトル的な遮断が少ないほど、観察対象からの反射光が観察者に対してないし画像センサ11に対しても多くなる。
【0105】
また、蛍光波長領域Fはほぼ600nmのところの蛍光波長において示されており、この蛍光波長の周辺において本実施形態では蛍光現象が発生する。
【0106】
本実施形態において、観察者により感知可能な励起光Eのスペクトル分布と輝度強度は使用されている第2観察フィルタ10a〜10cに依存して減少しているが、発光光Fの可視度(視感度)は一定である。このことが本発明に従うコントラストの調整可能性を明らかにしている。本発明の特別な一実施形態によれば補助的な観察フィルタ10a〜10cとして簡単な色ガラスフィルタを使用することもできるので、補助的な観察フィルタ10a〜10cを用いた調整可能性のためのコストが低く抑えられる。
【0107】
複数の補助的な観察フィルタ(補助フィルタ)10a〜10cが同時に使用されると、有効な透過曲線の傾斜に変更が生じ、それにより曲線の上昇勾配(上昇エッジ)が平坦化される(勾配が緩やかにされる)。
【0108】
本実施形態では、その都度、補助的な観察フィルタ10a〜10cのうちの1つがオン作動される(即ち該観察フィルタを使用状態にする、具体的には該観察フィルタを観察光線路21内へ挿入する)とし、それに従い、
図2a〜2cには各々の透過曲線(透過特性曲線)Da〜Dcが示されている。つまり
図2aは透過特性曲線Daを有する補助的な観察フィルタ10aに関するグラフであり、
図2bは透過特性曲線Dbを有する補助的な観察フィルタ10bに関するグラフであり、
図2cは透過特性曲線Dcを有する補助的な観察フィルタ10cに関するグラフである。
【0109】
観察対象野7へ入射する光は、実質的に照明装置のスペクトル特性により、そして励起フィルタ3の吸収特性(曲線B)によりカットオフされ(切り取られ)て定義される。それに対し、観察光線路21内の感知可能な光、即ち観察対象野7から一度主対物レンズ6を通って観察光線路21内へ入射された最終的に感知可能な光は、上記のように第1観察フィルタ9のフィルタ作用により、又は本発明に従って複数の補助的な観察フィルタ10a〜10cのうちの1つと第1観察フィルタ9との組み合わせにより定義される。図示された曲線から、この感知可能な光が本実施形態において短波長領域及び長波長領域から生じており、それに対して中央領域は第1観察フィルタ9(曲線C)により吸収されることが見てとれる。しかしながら長波長領域内では基本的に観察対象野7へ光は入射しないが、その理由は、その光は励起フィルタ3(曲線B)により吸収されるか、ないし図示の実施形態では第1照明装置2により初めから発生しない(曲線A)ためである。
【0110】
当業者にとって上記の記載内容から、フィルタの上記の組み合わせが本発明の限定として扱われていないことは明らかである。各々のフィルタの修正は他の結果をもたらす。本発明の本質の理解により、即ち補助的な観察フィルタ10a〜10cが選択的に第1観察フィルタ9を補助することにより、当業者にとって極めて異なる形態が可能となる。NIR領域のためのフィルタの組み合わせは例えば鏡面的に反転した曲線状況をもたらすであろう。また幾らか白色光が背景照明として可能とされる形態では中央波長領域内の第1観察フィルタ9の透過曲線Cが幾らか持ち上げられ、光源2の放出スペクトルが更に右側へスライドされるであろう、等など。
【0111】
結果として
図2aは次のことを示している。即ち観察光線路21内において、観察対象野7により反射された又は発光された光は第1観察フィルタ9(フィルタ特性曲線C)並びに第2観察フィルタ10a(フィルタ特性曲線Da)によりフィルタリングされる。それにより得られた曲線Eの下の可視スペクトルは斜線で示されており、発光曲線Fの下の可視スペクトル(蛍光波長領域からの光)と比べて比較的強い(intensiv)が、フィルタ曲線Daによるカットオフ(Beschneiden)を伴わない場合よりも強度は小さい。発光曲線Fの下の発光光は第1観察フィルタ9と第2観察フィルタ10aを妨害されずに透過する。従ってこの発光光は観察者にとって完全に可視である(見ることができる)。
【0112】
結果として
図2bは、第2観察フィルタ10aの代わりに他のフィルタ特性曲線Dbを有する第2観察フィルタ10bがオン作動(挿入)されている変更された状況を示している。それによると観察対象野7により反射された光のスペクトルは更に強く吸収される(結果として得られるスペクトルが曲線Eの下において再び斜線で示されている)。従って励起波長領域からの反射光は蛍光波長領域内の光に対して相対的に減衰され、それに対し、蛍光現象の発光光は
図2aのように曲線Fの下にあって依然として妨害されずに透過する。従って蛍光手術用実体顕微鏡1の利用者は蛍光区域を相対的により強く感知できるが、その代償として可視周辺部は相対的により弱い感知となる。本発明に従い、観察対象自体における実際の照明状況ないし励起状況(励起光のスペクトル分布及び励起光の強度)は不変であることが重要である。このことは従来技術から公知のシステムに対する根本的な差異である。その結果、蛍光現象の発生のための励起状況を最適化することができ、それにもかかわらず利用者ないし外科医は自身のその都度の要求に従い、観察対象野からの発光光と反射光との間のコントラストを調節することができる。
【0113】
最後に
図2cは、補助的な観察フィルタ10a又は10bの代わりにフィルタ特性曲線Dcを有する第2観察フィルタ10cがオン作動(挿入)されている三番目の状況を示している。それによると観察対象野7により反射された光のスペクトルは短波長領域において
図2bの状況におけるよりも更に強くフィルタリングされる(結果として得られるスペクトルが曲線Eの下において再び斜線で示されており、一段と幅狭となっている)。従って励起波長領域内の反射光は蛍光波長領域内の光に対して更に強く減衰ないしスペクトル的に限定される。従って蛍光手術用実体顕微鏡1の利用者は蛍光区域を比較的更に強く識別できるが、その代償として可視周辺部ないし背景は比較的更に弱い識別となる。
【0114】
従って、
図2a〜2cから容易に見てとれるように、感知可能な周辺照明ないし背景照明、ないし背景光は、右方向への横座標に沿った補助的な観察フィルタ10a〜10cのフィルタ特性曲線Dのスライドが増えるに従い、主観的に感知可能な輝度も、客観的なスペクトル構成も変更させる。つまり第2観察フィルタ10a(
図2a)において可視の光スペクトルは青紫色から青色を介して青緑色に至るまでの混合により形成され、それに対し、例えば第2観察フィルタ10c(
図2c)において可視の光スペクトルは青緑色の方向へスライドされたスペクトルを含んでいる。
【0115】
図3aは、
図2a〜2cにおいて示された状況に極めて類似する変更状況を示しているが、本発明のこの変形形態では励起波長領域内において同じ透過特性を有し且つ個別に又は同時に観察光線路21内へ挿入することのできる例えば3つの補助的な観察フィルタ10a〜10cが設けられている。
図3aには例えば1つだけの透過曲線Ddが示されており、この透過曲線Ddは
図2a〜2cに従う各々の曲線Da〜Dcと比べると上昇勾配が明らかに小さく、短波長光の領域内の透過度も高くなっている。
【0116】
その都度有効なフィルタリングの程度ないし透過度(トランスミッション)は、補助的な観察フィルタ10a〜10cの1つ又は複数と第1観察フィルタ9とのその都度の加算により決められる。
【0117】
観察光線路21内において、観察対象野7により反射された光は第1観察フィルタ9(フィルタ特性曲線C)並びに第2観察フィルタ10a(
図3による設計の場合にはフィルタ特性曲線Dd)によりフィルタリングされる。それにより得られたスペクトルは
図3aでは曲線E下(可視励起波長領域)において再び斜線で示されている。
図3aでは第2観察フィルタ10aだけによる減衰が示されている。更に別の第2観察フィルタ10b及び10cがオン作動(挿入)されると(同様にフィルタ特性Ddを有する)、その際には反射光のスペクトルは確かにスペクトル的に同じに留まるが、このスペクトルの強度は減少される。しかしながら
図2a〜2cによる実施形態のもとでのようにより長い波長λへのスペクトルのスライドは行われない。
【0118】
従って上記実施形態では、観察者にとって調整時に背景光の異なる色感知が観察されるのではなく、蛍光現象のその都度の不変の可視発光光強度に対する強度減少だけが観察される。それにより同様にコントラストが変更される。
【0119】
図3bから、曲線Ddを適切に下降させるないし曲線Ddの上昇勾配を増加させる同一構成の2つの第2観察フィルタを備えた状況をみることができる。
【0120】
図3a、3bにおける構成において、短波長励起波長領域内の可視領域(曲線E)はUV光方向において抑制されていないことを注目すべきである。従ってそこでは短波長の(観察者の目にとって有害な(ライトハザード)光)も観察光線路内において案内される。その結果、この形態は鏡胴と接眼レンズを用いた目による観察にはむしろ適しているとは言えず、従って
図4に図示された、画像センサ11(この際、実体鏡胴(ステレオチューブ)23は伴わない)を用いた写真光学的ないしビデオ技術的な観察モードが条件とされれいる。
【0121】
本発明の特別な一形態によれば、
図4に例示されているように全てのフィルタ、即ち励起フィルタ3、照明フィルタ、観察フィルタ9、10は、電気機械式(駆動ユニット100)で各々の光線路20、21、22に対して着脱(取り付け及び取り外し)することができ、この際、駆動ユニット100の制御のためには制御ユニット200が設けられており、制御ユニット200は入力ユニット300を介してプログラミング可能であり、好ましくは例えば記憶ユニット内に予め設定されておりライトハザードを減少させるための安全用設定値(安全用セッティング)を使用することのできる状態にある。従ってここでは調整回路(フィードバック調整回路)を介して完全自動式でプログラミング可能なライトハザード用の安全用設定値がプログラミング可能である。これらの安全用設定値は、使用者自身が自分のために又は自分の目のために不利な設定内容を被らないことをもたらす。
【0122】
あるいはまた勿論、上記の全ての観察フィルタに対して補助的に、鏡胴内に固定で組み込まれるUVフィルタ等を組み込むこともでき、それによりライトハザードが適切に回避される。このことは全観察スペクトル(
図3a、3b内の曲線E)内において曲線Eの強度の減少に対応するであろう。それにより曲線Eは、
図2a〜2c内の曲線Eの勾配(エッジ)の1つにほぼ対応する初期勾配をもつであろう。従って観察光線路21のこのような一変形形態は目視観察にとっては有利であろうが、蛍光現象の発光光とUV近傍領域内の背景の反射光との間のコントラストを観察することができない可能性があるため、ビデオ支援式の観察にとっても同時に短所を伴うことになるだろう。従って観察者に対して特に短波長光により改善された構造情報を提供する所定の表面は、場合により最適な状態では感知されないことがある。従ってこの際、利用者は正しい妥協点を見い出さなくてはならない。本発明の基本的な教示内容のおかげで利用者には上記のように様々な方式が提供されている。
【0123】
図1に図示された第2照明装置12が追加的にオン(点灯)とされると、
図2a〜2c並びに
図3a、3bに図示されたスペクトルないし波長領域には追加的に第2照明装置12のスペクトルが重ね合わされる。この第2照明装置12が白色光を放出するとした場合、この白色光は、
図2a〜2c並びに
図3a、3bに図示されたグラフにおいて曲線Aの右部分の上昇をもって表せるであろう。勿論この白色光には同様に第1観察フィルタ9並びに、使用状況に応じ、補助的な観察フィルタ10a〜10cが作用する。従って白色光を強すぎない程度でスペクトル的に吸収するためには、例えば第1観察フィルタ9(吸収特性曲線C)が中央の波長領域において完全に吸収を行うのではなく、中央の波長領域においても光の一部分を通過させるという構成が考えられる。もっともこのような措置には
図2に従う補助的な観察フィルタ10a〜10cが影響を及ぼすことはないだろう。つまり中央の波長領域内の照明光の感知可能性は発光光(F)に比肩しむしろ一定に留まるであろう。しかしながら
図3a、3bに従う構成ではこのスペクトル領域もその可視性(視感性)において調整されるであろう(蛍光現象の発光光に対する相対的なコントラスト適合)。
【0124】
好ましくは、第1観察フィルタ9は干渉フィルタとして形成される。更に好ましくは第2観察フィルタ10a〜10cは材料において着色されたフィルタ(色ガラスフィルタ又は色プラスチックフィルタ)として形成される。従って第2観察フィルタ10a〜10cは第1観察フィルタ9よりも遥かに少ない製造コストで済む。
【0125】
最後に、本発明に従う蛍光手術用実体顕微鏡1の上記の実施形態は多種多様な可能性からの一部分を提示しているにすぎず、本発明の適用領域を限定するために援用されるべきではないことを指摘する。勿論上記の実施形態は任意に組み合わせたり変更したりすることができる。例えば
図2a〜2c並びに
図3a、3bからの教示内容を、例えば透過曲線Da〜Dc及びDdを有する第2観察フィルタ10a〜10cを組み合わせることにより組み合わせることができる。
【0126】
別個の第1観察フィルタ9と第2観察フィルタ10a〜10cの代わりに、組み合わされた唯一のフィルタを使用することもでき、該フィルタは例えば(第2フィルタの機能のための)材料において着色されたガラスを有する(第1観察フィルタの機能のための)干渉フィルタとして構成することもできる。例えばそのために第1観察フィルタ9の透過曲線Cは、第1コンビネーションフィルタを得るために第2観察フィルタ10aの透過曲線Daと組み合わされる。勿論この際には本発明に従い、少なくとも2つの異なるコンビネーション観察フィルタ9を設けなくてはならない。同じように例えば第1観察フィルタ9の透過曲線Cを、第2コンビネーションフィルタを得るために第2観察フィルタ10bの透過曲線Dbと組み合わせることができるであろう。
【0127】
当業者にとって、上記考察内容に基づき、本発明の保護範囲を逸脱することなく本発明を当業者の要求に適合させることは容易であると認められる。それに加え、図面に図示された装置の部材は、独立発明のための基礎を形成することができることも指摘しておく。既述のように本発明は蛍光手術用実体顕微鏡だけに限定されるものではないことを特に指摘しておく。本発明の技術的な基本思想は蛍光手術用実体顕微鏡構造以外でも有効に適用することができる。本願の請求項において及びそれに付随する本明細書の部分において「蛍光手術用実体顕微鏡」との記載は単に「顕微鏡又は拡大装置」とも読めるものとする。つまり本発明は、例えば上記特許文献5に従うようなルーペメガネ(ここでは観察フィルタ(6)に対して補助的に本発明に従って第2観察フィルタ10が組み込まれるであろう)なども含んでおり、ただしそれらのルーペメガネがその特別な形態に基づいて選択的に蛍光観察及び/又は手術のために用いられる場合にである。従って本願の特許請求項では広い範囲が請求されている。特別な場合として本発明にはモノスコーピック拡大装置も含まれる(例えば内視鏡におけるもの)。因みに蛍光手術用実体顕微鏡は、公知のごとく例えば生物学や、例えば鉱物学や法医学等の技術分野においても適用可能である。
【0128】
あるいはまた励起フィルタ3の選択的な交換において、手術用顕微鏡照明の改善のために用いられる照明フィルタを設けることもできる。そのような照明フィルタは必要に応じて第2照明装置の前にも設けることができる。
【0129】
特許請求項
10〜
14の特徴は、これらの特許請求項以前の特許請求項の特徴と相互に依存し、手術用顕微鏡のための適用可能性の最適化のためのものである。これらの適用可能性は既述のように照明の最適化に従事しているので、これらの適用可能性により、観察対象野7が最適の状態で照明ないし励起され、それにより第1観察フィルタ9と第2観察フィルタ10によるコントラスト選択が最適の状態となりえることを保証することができる。
【0130】
尚、本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施例ないし実施形態の変更、調整が可能である。また、本発明の特許請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。即ち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。