特許第5945138号(P5945138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945138
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】ラップフィルム収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/72 20060101AFI20160621BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B65D5/72 ABRL
   B65D25/52 E
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-68237(P2012-68237)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-199295(P2013-199295A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250384
【氏名又は名称】リケンテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】堀井 貴央
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−193649(JP,A)
【文献】 特開平09−124950(JP,A)
【文献】 特開平11−124133(JP,A)
【文献】 実開昭58−113651(JP,U)
【文献】 実開昭63−052749(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/72
B65D 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回されたラップフィルムを収納する箱であって、前面板(5)、底面板(4)、後面板(6)および側面板(3)の各壁面で形成される、上部が開口した直方体の収納室と、後面板(6)の上端縁から収納室の開口部を覆う方向に連接した開閉可能な蓋面板(2)と、蓋面板(2)の前端縁から前面板(5)を覆う方向に延出した掩蓋片(1)とを有する収納箱おいて、
(I)バインダー100質量部、および
(II)セルロース繊維1〜150質量部
を含む塗料組成物からなる塗膜(7)を上記収納箱の表面の一部に有することを特徴とする収納箱。
【請求項2】
バインダー(I)が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の収納箱。
【請求項3】
バインダー(I)が、
(A)下記式(1):
(ここで、R1およびR2は各々、1以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリエーテル(メタ)アクリレート残基であり、R1における(メタ)アクリロイルオキシ基の数とR2における(メタ)アクリロイルオキシ基の数の合計が3以上である)を有するエタノールアミン変性ポリエーテル(メタ)アクリレート、
(B)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、および
(C)光重合開始剤、
を含み、成分(A)の水酸基の個数(a)と成分(B)のイソシアネート基の個数(b)との比(a/b)が0.5〜1.2の範囲にある活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることを特徴とする、請求項2に記載の収納箱。
【請求項4】
セルロース繊維(II)が、医薬品添加剤として日本薬局方第二部に収載されているものおよび食品添加物として指定されているものから選択されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の収納箱。
【請求項5】
収納箱の掩蓋片(1)の先端部の全部もしくは一部、および/または収納箱の前面板(5)の上端部の全部もしくは一部、および/または収納箱の前面板(5)の下端部の全部もしくは一部に前記塗膜を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の収納箱。
【請求項6】
巻回されたラップフィルムを請求項1〜5の何れか1項記載の収納箱に収納したラップフィルム製品。
【請求項7】
ラップフィルムの横方向の端部の少なくとも一方に幅0.1〜10mmのローレット加工および/またはレーザー加工すこと、該ラップフィルムを巻回すること、および請求項1〜5の何れか1項記載の収納箱に該巻回されたラップフィルムを収納することを含む、ラップフィルム製品の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、食料品販売業、飲食物提供役務等において、主として食品の包装用に汎用されているラップフィルムを巻回したものを収納する箱に関する。更に詳しくは、鋸歯等の金属製切断具の無い収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ラップフィルムは例えば図1に示すような直方体の箱に納められた巻回フィルムとして提供されており、ここから必要分量を引出し、何らかの方法で長さ方向に対して横に切断し、使用に供される。横に切断する方法としては、箱の掩蓋片等に配備された長尺の金属製鋸歯によるものが最も一般的である。
【0003】
しかし、金属製鋸歯は、手を怪我する等の安全性の問題や紙製の箱と金属製の鋸歯とを廃棄時に分別しなくてはいけないという問題があり、これらの問題を解決するために、鋸歯に替えて、異形の金属粉を接着したやすり状シートを切断具に用いたり(特許文献1)、巻回フィルムがその長さ方向に連続した加工傷を有し、その加工傷域と接触する箱の局部に金属片やバルカナイズド紙片等の切断補助具を設けたり(特許文献2)することが提案されている。しかし、上述した安全性の問題や分別の問題は依然として残っている。
【0004】
また、巻回フィルムの横方向の端部に一定間隔で切れ目を設けることにより、鋸歯等の切断具がない箱でも切れ目に沿ってフィルムを切断できる方法が提案されている(特許文献3)。しかし、従来の箱から単に鋸歯を無くしただけの箱では、フィルムのカット性が不十分である。また、箱の一部が切断具の役目を果たすため、巻回フィルムを使い切る前に上記箱の一部が傷んでしまい、フィルムの切断ができなくなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−217345号公報
【特許文献2】特開平11−124133号公報
【特許文献3】特開2001−322636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、巻回フィルムを収納した箱に鋸歯等の金属製切断具が無くても、実用上満足のできるカット性を発現し、かつその効果を、収納したフィルムを使い切るまで維持することができラップフィルム収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究した結果、ラップフィルム収納箱の表面に、セルロース繊維を含む塗料組成物からなる塗膜を設けると、上記塗膜が切断具の役目をし、その結果、鋸歯等の金属製切断具が無くてもフィルムを良好に切断することができ、上記目的を達成することができることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、巻回されたラップフィルムを収納する箱であって、前面板(5)、底面板(4)、後面板(6)および側面板(3)の各壁面で形成される、上部が開口した直方体の収納室と、後面板(6)の上端縁から収納室の開口部を覆う方向に連接した開閉可能な蓋面板(2)と、蓋面板(2)の前端縁から前面板(5)を覆う方向に延出した掩蓋片(1)とを有する収納箱おいて、
(I)バインダー100質量部、および
(II)セルロース繊維1〜150質量部
を含む塗料組成物からなる塗膜(7)を上記収納箱の表面の一部に有することを特徴とする収納箱
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の収納箱は、セルロース繊維を含む塗料組成物からなる塗膜を有し、これが切断具の役目をするので、金属製の切断具を有していなくてもフィルムを良好に切断することができ、したがって、手を怪我する等の安全性の問題や、紙製の箱と金属製の切断具とを廃棄時に分別しなくてはいけないという問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の収納箱を説明する斜視図である。
図2】本発明の収納箱の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の収納箱の他の一例を示す斜視図である。
図4】本発明の収納箱の他の一例を示す斜視図である。
図5】ローレット加工が施されたフィルムの表面を写真撮影した図である。
図6】レーザー加工が施されたフィルムの表面を写真撮影した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のラップフィルム収納箱を、図を参照して説明する。図1は、本発明の収納箱を説明する斜視図である。本発明の収納箱は、前面板(5)、底面板(4)、後面板(6)および側面板(3)の各壁面で形成される、上部が開口した直方体の収納室と、後面板(6)の上端縁から収納室の開口部を覆う方向に連接した開閉可能な蓋面板(2)と、蓋面板(2)の前端縁から前面板(5)を覆う方向に延出した掩蓋片(1)とを有しており、その表面の一部に、(I)バインダー100質量部および(II)セルロース繊維1〜150質量部を含む塗料組成物(α)からなる塗膜(7)を有する。
【0012】
本発明の収納箱は、上記塗膜のセルロース繊維が砥粒の役目を果たして塗膜全体が紙やすりのような働きをするため、上記塗膜が、収納箱から引き出されたラップフィルムを切断するときの切断具として作用する。収納箱において塗膜が設けられる場所は、典型的には、ラップフィルムを引き出した際にラップフィルムが収納箱と触れやすいところ、即ち、収納箱の掩蓋片(1)の先端部の全部若しくは一部、および/または収納箱の前面板(5)の上端部の全部若しくは一部、および/または前面板(5)の下端部の全部若しくは一部である。塗膜(7)を設けた本発明の収納箱の例を図2〜4に示す。図2は、掩蓋片(1)の先端部の全部にわたって塗膜(7)を有する収納箱を示し、図3は、前面板(5)の上端部の全部にわたって塗膜(7)を有する収納箱を示し、図4は、前面板(5)の下端部の全部にわたって塗膜(7)を有する収納箱を示す。塗膜(7)は、収納箱の外表面だけでなく、内表面に設けてもよい。例えば、掩蓋片(1)の先端縁が前面板(5)の下端縁と重なっている収納箱の場合には、掩蓋片(1)の裏側(内表面)の先端部に塗膜が設けられ得る。したがって、本明細書において、「収納箱の表面」は、収納箱の外表面および内表面を含む。
【0013】
(I)バインダー
バインダー(I)は、セルロース繊維間に介在して連続した塗膜を形成することができる成分であり、塗料分野において慣用のバインダー樹脂を使用することができる。例えば、アクリル系、エチレン酢酸ビニル系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、澱粉系、天然ゴム系、エポキシ樹脂系、酢酸セルロース系、ポリイソブチレン系、クロロプレンゴム系、スチレンブタジエンゴム系、ポリビニルアルコール系およびポリビニルピロリドン系の樹脂を挙げることができる。これらのバインダー樹脂は、硬化後又は乾燥後に、常温以下において、使用環境や保管環境を考慮すると好ましくは80℃以下の温度において、粘着性を示さないものが好ましい。
【0014】
また、バインダー(I)が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であると、セルロース繊維の包含性やセルロース繊維との相互作用性が高い点、および得られる塗膜の耐水性および耐油性に優れることや硬度が高い点で好ましい。これは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、セルロース繊維中の水酸基と水素結合を生じる官能基や水酸基と反応する官能基を有する成分を含んでいるので、セルロース繊維との相互作用性が良好であり、また、活性エネルギー線硬化することにより、耐水性、耐油性および硬度が良好になるからである。
【0015】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合して硬化して、塗膜を形成することが可能なものである。例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレートおよびポリエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有プレポリマー又はオリゴマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレートおよびトリメチルシロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有単官能反応性モノマー;N−ビニルピロリドンおよびスチレン等の単官能反応性モノマー;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパンおよび2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有2官能反応性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびトリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有3官能反応性モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有4官能反応性モノマー;およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有6官能反応性モノマー等から選択される1以上を、あるいは上記1以上を構成モノマーとする樹脂を、光重合開始剤および/または光増感剤とともに含む組成物が挙げられる。
【0016】
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、製造ラインを簡素にできる点から、紫外線で硬化するものが好ましい。紫外線で硬化させる場合には、上記光重合開始剤が、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等から選択されるのが好ましく、上記光増感剤が、n−ブチルアミン、トリエチルアミンおよびトリ−n−ブチルホスフィン等から選択されるのが好ましい。
【0017】
また、バインダー(I)が、
(A)下記式(1):
(ここで、R1およびR2は各々、1以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリエーテル(メタ)アクリレート残基であり、R1における(メタ)アクリロイルオキシ基の数とR2における(メタ)アクリロイルオキシ基の数の合計が3以上である)を有するエタノールアミン変性ポリエーテル(メタ)アクリレート、
(B)1分子中に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、および
(C)光重合開始剤
を含み、成分(A)の水酸基の個数(a)と成分(B)のイソシアネート基の個数(b)との比(a/b)が0.5〜1.2の範囲にあるところの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(T)であると、得られる塗膜を利用してフィルムを良好に切断することができるだけでなく、塗膜が耐割れ性を有する、すなわち塗膜が割れて塗膜成分が脱落するという問題がなく、したがって、食品安全性の面でも好ましい。さらに、得られる塗膜は、水性および油性の汚染物に対して耐性を有するという利点もある。
【0018】
上記式(1)中、R1およびR2は各々、1以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリエーテル(メタ)アクリレート残基であり、R1における(メタ)アクリロイルオキシ基の数とR2における(メタ)アクリロイルオキシ基の数の合計が3以上、好ましくは3〜9であり、より好ましくは4である。上記合計が2以下であると、得られる塗膜の切断具としての耐久性が十分でない場合がある。R1とR2は互いに同じでも異なっていてもよいが、R1とR2が同じであるのが好ましい。
【0019】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(T)は、硬化速度が非常に速いので、これにセルロース繊維を加えた塗料組成物(α)を収納箱に直接塗布硬化して塗膜を得ることができる。また、上記塗料組成物(α)を紙等の基材に塗布硬化して塗膜を形成し、これを収納箱に貼付する方法を採用する場合にも、塗膜を形成する工程のライン速度を高めることができ、したがって、製造コストを下げることができる。
【0020】
成分(A)は、酸素ラジカルを捕捉する働きをする。一般に、(メタ)アクリロイルオキシ官能基含有化合物はラジカル重合により硬化するところ、ラジカル重合性化合物は、空気中の酸素ラジカルにより重合阻害を受け易く、特に塗膜の表面では、酸素ラジカルにより硬化反応が遅くなる。表面が十分に硬化するように活性エネルギー線の照射時間を長くすると、製造ラインの速度が低下するとともに、塗膜内部では酸素ラジカルの影響が比較的少ないために、硬化反応が進み過ぎて塗膜が脆いものになり、したがって、塗膜を切断具として使用する際に割れてしまうおそれが高まる。上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(T)は、成分(A)が上記式(1)の特定の構造を有するので、酸素ラジカルによる阻害を受けず、したがって、硬化反応速度が速く、かつ、切断具としての耐久性および耐割れ性に優れた塗膜を得ることができる。成分(A)は、エタノールアミン残基を有し、エタノールアミン残基における窒素原子の隣のメチレン基の水素が引き抜かれてラジカルが発生し、そこに酸素ラジカルが結合して捕捉されると考えられる。
【0021】
成分(A)は、例えば、下記式(3)で示される化合物および下記式(4)で示される化合物をエタノールアミンとともに室温で反応させることにより製造することができる。この反応は常温で高活性であり、触媒を必要としない。またゲル化を防止するために、溶剤等を加えて見かけの濃度を低くすることが好ましい。
R1−O−C(=O)−CH=CH (3)
R2−O−C(=O)−CH=CH (4)
ここで、R1およびR2は上記で定義した通りである。
【0022】
なお、成分(A)を上記方法で製造するとき、主な生成物である目的の成分(A)以外にも多種類の副反応物が生成するが、塗料分野では、成分(A)を、これらの副生成物を含んだ状態で使用するのが通常である。
【0023】
上記式(3)および(4)で示される化合物としては、例えば、ダイセル・サイテック株式会社製のTPGDA(商品名)(トリプロピレングリコールジアクリレート)およびOTA480(商品名)(グリセリンプロポキシトリアクリレート)、ならびに日本化薬株式会社製のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが挙げられる。
【0024】
上記OTA480は、下記式(5)を有する化合物である。
【0025】
成分(A)として特に好ましいのは、下記式(2)を有する化合物である。
成分(A)が上記式(2)を有する化合物であるとき、得られる組成物は、保存安定性、耐久性および耐割れ性のバランスが非常に良い。
【0026】
成分(B)は、1分子中に2以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物である。具体的には、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体等のポリイソシアネート、および上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネート等のウレタン架橋剤を挙げることができる。また、架橋の際には、必要に応じてジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジエチルヘキソエート等の触媒を添加してもよい。
【0027】
これらの中で、塗膜の耐割れ性ならびに塗料の保存安定性の観点から、1分子中にイソシアネート基を3個以上有するものが好ましく、特に、下記式(6)で表される、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体でありかつイソシアネート環構造をもつものや、下記式(7)で表される、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体でありかつトリメチロールプロパンアダクト体であるものが好適に使用され得る。これらはヘキサメチレン鎖の先の互いに離れた位置にイソシアネート基が存在するという構造上の特徴があり、そのため、得られる塗膜は弾性を有し、耐割れ性に優れたものになる。
【0028】
【0029】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(T)は、成分(A)における水酸基と成分(B)におけるイソシアネート基との反応により硬化を生じる。硬化が十分に生じるように、この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(T)は、成分(A)の水酸基の個数(a)と成分(B)のイソシアネート基の個数(b)の比(a/b)が0.5〜1.2、好ましくは0.7〜1.1の範囲にある。上記比が上記下限未満であると、得られる塗膜の耐割れ性が十分でない場合がある。上記比が上記上限より大きいと、得られる塗膜が水性汚染物、例えば肉汁等に対する耐汚染性が不十分なものになり、食品包装用ラップフィルムの収納箱としては十分に満足できるものにならないことがある。
【0030】
なお、本明細書では、成分(A)の単位量当たりの水酸基の個数を、JIS−K−1557−1:2007に基づいて決定した。すなわち、成分(A)の水酸基をアセチル化試薬(無水酢酸のピリジン溶液)によりアセチル化した後、過剰のアセチル化試薬を水により加水分解し、生成した酢酸を京都電子工業株式会社の電位差自動滴定装置AT−610型を使用して水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定する方法により上記個数を求めた。また、成分(B)の単位量当たりのイソシアネート基の個数を、JIS−K−7301:1995に基づいて決定した。すなわち、成分(B)のイソシアネート基をジノルマルブチルアミンと反応させた後、過剰のジノルマルブチルアミンを京都電子工業株式会社の電位差自動滴定装置AT−610型を使用して塩酸水溶液で滴定する方法により上記個数を求めた。
【0031】
成分(C)はラジカル重合型の光重合開始剤であり、公知のものを使用することができる。例えば、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、オキシムフェニル酢酸エステル系化合物、ヒドロキシケトン系化合物およびアミノベンゾエート系化合物などの光重合開始剤が挙げられる。これらをそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中ではベンゾフェノン系化合物が、その反応機構が水素引抜によるラジカル発生型であるため好ましく、具体的には、ベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−メチルベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどを挙げることができる。
【0032】
成分(C)の配合量は、他の成分の種類や所望の塗膜厚みにより適宜選択することができ、一般的には成分(A)100質量部に対して0.5〜10質量部程度である。例えば、成分(A)が上記式(2)の化合物であり、成分(B)が上記式(6)の化合物であり、成分(C)がベンゾフェノンであるとき、塗膜厚みが30μm未満である場合には、成分(A)100質量部に対して成分(C)の量は4〜10質量部であり、塗膜厚みが30μm以上である場合には、成分(A)100質量部に対して0.5〜8質量部である。塗膜厚みが薄いときの方が、概して成分(C)の量が多いのは、薄いほど酸素ラジカルによる硬化阻害の影響が起こり易いためである。
【0033】
また、バインダー(I)は、硬化後にラップフィルムへその成分が移行したり削れて脱落したりすることは実質的に皆無であるが、食品包装用ラップフィルムの一部に直接接触するものであるから、ROHS指令に適合するものが好ましい。
【0034】
(II)セルロース繊維
セルロース繊維はD−グルコースがβ−1,4−グルコシド結合した多糖類であり、通常は、綿、麻、木本植物等から得られ、パルプと呼称されることもある。本発明において使用されるセルロース繊維(II)は、一種の砥粒として使用するものであり、メカニカルパルプおよびケミカルパルプのいずれであってもよい。バインダー(I)との混和性を高め、ひいては塗膜の耐割れ性を向上させるために、高純度のケミカルパルプが好ましい。セルロース繊維のグルコース残基の水酸基の全て又は一部を化学修飾したものを使用することもできる。化学修飾の種類としては、アセチル化、メチル化、エチル化およびカルボキシメチル化などを挙げることができる。また、セルロース繊維(II)は、食品安全性の点から、医薬品添加剤として日本薬局方第二部に収載されているものや、食品添加物として指定されているものが好ましく、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどを挙げることができる。
【0035】
本発明におけるセルロース繊維は、一種の砥粒として使用されるものであり、また、繊維破断して脱離する恐れのないものが好ましい。これらを考慮すると、セルロース繊維の平均粒子径が10〜100μmであるのが好ましく、より好ましくは20〜60μmである。なお、本明細書において、セルロース繊維(II)の平均粒子径は、日機装株式会社のレーザー回折・散乱式粒度分析計MT3200II(商品名)を使用して測定した粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。
【0036】
セルロース繊維は、通常の紙やすりの砥粒として使用されるアルミナ(酸化アルミニウム)、炭化珪素および窒化硼素等と比較して軟質であり、したがって、得られる塗膜を利用してラップフィルムを切断するときに怪我をする可能性は実質的に皆無である。
【0037】
セルロース繊維(II)の配合量は、通常、バインダー(I)100質量部に対し、少なくとも1質量部、好ましくは少なくとも2質量部である。これより少ないと、得られる塗膜が切断具として効果を発現しない場合がある。上限は、バインダー(I)のセルロース繊維包含性能を考慮すると、150質量部、好ましくは100質量部である。
【0038】
また、得られる塗膜の耐割れ性および耐汚染性の点から、セルロース繊維(II)の配合量を、セルロース繊維の平均粒径が大きいほど少なくするのが有利である。例えば、平均粒子径が50μmの場合には、バインダー(I)100質量部に対して2〜20質量部が好ましく、より好ましくは3〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。平均粒子径が37μmの場合には、バインダー(I)100質量部に対して5〜30質量部が好ましく、平均粒子径が30μmの場合には10〜60質量部が好ましく、平均粒子径が24μmの場合には20〜100質量部が好ましい。
【0039】
上記(I)および(II)を含む塗料組成物(α)は、希釈のために必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。例えば、バインダー(I)として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用する場合には、溶剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の各成分と相溶性であり、かつ、これらの成分及びセルロース繊維と反応したり、これらの成分の自己反応を触媒したりしないものであれば、特に制限されない。例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸nブチル、トルエンおよびメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルおよびダイアセトンアルコールなどの公知のものを使用することができる。溶剤の量は、塗工装置や塗膜厚みに応じて好適な粘度になるように適宜調節することができる。通常は、例えばバインダー(I)が、上記成分(A)〜(C)を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(T)の場合には、成分(A)100質量部に対して150〜250質量部である。
【0040】
塗料組成物(α)は、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、着色剤、赤外線遮蔽剤、レべリング剤、チクソ性付与剤、およびセルロース繊維以外のフィラー等の添加剤を1種以上含んでいてもよい。
【0041】
塗料組成物(α)は、上記(I)および(II)、ならびに任意成分を混合、攪拌することにより得られる。
【0042】
塗料組成物(α)からなる塗膜を収納箱に設ける方法としては、塗料組成物(α)を収納箱の掩蓋片(1)等に直接塗布する方法、塗料組成物(α)を紙等の基材の表面に塗布して塗膜を形成した後、収納箱の掩蓋片(1)等に塗膜をまたは基材と塗膜との積層体を、接着剤等を介して貼付する方法などをあげることができる。塗料組成物(α)を塗布する方法は特に制限されず、公知の塗布方法を使用することができる。具体的には、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコートおよびダイコートなどの方法が挙げられる。なお、セルロース繊維は、通常の紙やすりの砥粒に使用されるアルミナ(酸化アルミニウム)、炭化珪素および窒化硼素等と比較すれば軟質であるから、セルロース繊維を含む塗料組成物(α)の塗布に際して、塗工機のグラビアロールやドクターブレード等を磨耗させたりする問題がない。
【0043】
塗膜の厚みは特に制限されないが、通常の紙やすりと同程度の厚みであり得る。箱における塗布面(塗膜が紙等の基材を伴う場合には上記基材における塗布面)と、塗膜表面の凸凹における凸山頂との距離を塗膜の厚みとして、通常、10〜2000μm程度である。
【0044】
本発明の収納箱は、ラップフィルムの収納のために通常用いられる紙、例えば坪量400〜500g/mのコートボール紙等を使用して作ることができる。紙の坪量は、小さいと耐久性に問題が生じ易くなり、大きいとコスト高になる。従って、紙の坪量は、収納するフィルムロールの尺長から必要となる耐久性を勘案して適宜選択される。
【0045】
さらに、本発明の収納箱は、耐久性の点から、掩蓋片や前面板および蓋面板に、好ましくは美感の点からそれらの裏面に、紙製の補強板を貼合してそれらを補強することが好ましい。掩蓋片および前面板の補強は、それらの耐久性を直接向上させる。蓋面板の補強は、箱全体の捻り剛性を高くし、したがって箱全体の耐久性を向上させる。紙製の補強板としては、収納箱を構成するものと同じ紙を使用することができる。補強板は、収納箱とは別に用意して上記裏面に貼付することができる。あるいは、例えば、掩蓋片の先端縁に補強板を一体的に取り付け、上記先端縁のところで裏側に折り返して貼り付けることにより補強を行うこともできる。
【0046】
本発明の収納箱はラップフィルム用であり、ラップフィルムとして有用な機械的強度を有するものであれば、任意のラップフィルム、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテン-1およびポリアミド等から選ばれる樹脂からなる単層又は多層のフィルムで全厚みが3〜30μm、典型的には8〜15μm程度のもの、に適用できる。上記機械的強度として、ラップフィルムの長さ方向および横方向の引張破断力がいずれもが1〜15N、より好ましくは1〜10Nであるのが好ましい。なお、本明細書において、引張破断力は、JISK-7127に従い、試験速度500mm/分および試験片タイプ2を用いて測定された値である。
【0047】
また、本発明の収納箱は、横切性に優れるラップフィルムの収納に特に有用である。そのようなフィルムとしては、例えば特願2010−275113号明細書に記載された方法によって得られるフィルムが挙げられる。このフィルムは、(イ)ポリメチルペンテン−1系樹脂100質量部、および(ロ)ポリブテン−1系樹脂0.5〜60質量部、好ましくは1〜25質量部および/または流動パラフィン0.1〜20重量部、好ましくは1〜12質量部、ただし成分(ロ)の総量が75質量部を超えず、好ましくは0.6〜75質量部、より好ましくは2〜35質量部、さらに好ましくは3〜25質量部である、を含むポリメチルペンテン−1系樹脂組成物を、Tダイを使用して3〜30μmのフィルム肉厚に押出すことにより製造することができる。このとき、上記押出を、Tダイのリップ開度R(単位μm)、フィルム肉厚t(単位μm)、ダイスから押し出される樹脂組成物のダイス幅1cm当たりの吐出速度E(単位cm/hr)およびエアギャップA(単位cm)が下記式:
15≦(1/t - 1/R)・(E/At )×100≦900 ・・・式
を満たすような条件で行うのが好ましい。好ましくは、tが5〜20μm、より好ましくは8〜15μmであり、Aが0.5〜2cmであり、Eが100cm/hr以上であり、Rが300〜900μm程度である。
【0048】
なお、上記式は、Tダイを使用する押出製膜において、ダイスを出る溶融状態のフィルムがチルロールに到達して最終的な大きさのフィルムになるまでのフィルムの変形速度が大きい条件で行われることを意味し、これは、ダイスからチルロールまでのエアギャップにおいて、溶融状態のフィルムを大きくかつ速く引落とすことを意味する。
【0049】
上記ポリメチルペンテン−1系樹脂(イ)は、4−メチルペンテン−1又は3−メチルペンテン−1の単独重合体の他に、4−メチルペンテン−1及び/又は3−メチルペンテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体を包含する。α−オレフィンは1種単独でも、2種以上の組合せでもよい。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
【0050】
成分(ロ)としての上記ポリブテン−1系樹脂は、ブテン−1の単独重合体のほかに、ブテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体を包含する。α−オレフィンは1種単独でも、2種以上の組合せでもよい。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。上記流動パライフィンは、鎖式飽和炭化水素を主体とする常温で液体の化学的に安定な物質であり、市販例(商品名)としては、出光興産株式会社のダフニーオイルCP、株式会社MORESCOのモレスコホワイト、カネダ株式会社のハイコールKなどを挙げることができる。
【0051】
上記ポリメチルペンテン−1系樹脂組成物には、さらに、ポリメチルペンテン−1系樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン)、液状ポリブテン(水添ポリイソブチレン)等の液状加工助剤、酸化防止剤、中和剤、防曇剤、スリップ剤等の添加剤を配合することができる。上記熱可塑性樹脂および液状加工助剤の配合量は、合計で、ポリメチルペンテン−1系樹脂100質量部に対して20質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下である。
【0052】
また、本発明の収納箱に収納したラップフィルムがより小さい力で切断できるならば、収納箱に与える負荷をより小さくすることができ、その結果、収納したフィルムを使い切るまでより良好なカット性を維持することができる。より小さい力での切断を可能にするための方法としては、フィルムに切断のための何らかのきっかけを設けることができ、具体的には、フィルムの横方向の端部の少なくとも一方に、例えば0.1〜10mmの幅で、ローレット加工やレーザー加工を施すことができる。
【0053】
ローレット加工は、フィルムを金属製等の彫刻ロールと金属製や高硬度のゴム等の彫刻ロール又は平滑ロールとで挟み込むことにより、あるいはフィルムの巻に該彫刻ロールを押し当てることにより微細なエンボスや傷を入れる加工である。加工条件はフィルムの材質により適宜選択されるべきであるが、通常、押圧は10〜50N/m程度である。ローレット加工が施されたフィルム表面を写真撮影したものを図5に示す。ローレット加工は、原反製膜時に、スリット加工時に、またはスリット加工後に独立の工程を設けて施すことができる。ローレット加工は、フィルムの横方向の端部の少なくとも一方に施されるが、どちらの側からでも切断出来るように、両方の端部に施すことがより好ましい。加工幅は通常0.1〜10mmであり、好ましくは0.3〜6mmである。
【0054】
レーザー加工はレーザーの照射熱により、フィルムを極めて微細な領域において溶融し、そこに凹形状や孔を設ける加工である。使用するレーザーは、特に制限されない。例えば、炭酸ガスレーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザーおよびエキシマレーザーなどのガスレーザーや、クロム添加ルビー結晶を媒質に使用したルビーレーザー、チタン添加サファイア結晶を媒質に使用したチタンサファイアレーザー、YAG結晶中のイットリウムを他の希土類元素で置換した種々のYAGレーザーおよびネオジム添加YAGを用いたNd:YAGレーザーなどの固体レーザーが挙げられる。また、液体レーザー、半導体レーザー、自由電子レーザー、金属蒸気レーザー、化学レーザー等の公知のレーザーを使用することができる。照射出力は、0.5〜20W程度であり、フィルムの肉厚や加工速度を勘案して適宜調節する。レーザー加工が施されたフィルム表面を写真撮影したものを図6に示す。レーザー加工は、原反製膜時に、スリット加工時に、またはスリット加工後に独立の工程を設けて施すことができる。レーザー加工は、フィルムの横方向の端部の少なくとも一方に施されるが、どちらの側からでも切断出来るように、両方の端部に施すことがより好ましい。加工幅は通常0.1〜10mmであり、好ましくは0.3〜6mmである。
【0055】
また、ローレット加工やレーザー加工を施すと、巻回フィルムの引出端が巻き本体に強く密着して引き出せなくなるというトラブルの防止効果を得ることもできる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
材料
(I)バインダー
(A)エタノールアミン変性ポリエーテル(メタ)アクリレート
合成例1
ダイセル・サイテック株式会社製のOTA480(製品名、上記式(5)のグリセリンプロポキシトリアクリレート)と2−アミノエタノールとを前者2モルに対し後者1モルの割合の量でガラス製のビーカーに仕込み、温度23℃で72時間反応させて、上記式(2)の構造を有する、4個のアクリロイルオキシ基を有するエタノールアミン変性ポリエーテルアクリレート(A−1)を得た。成分(A−1)の単位量当たりの水酸基の個数は、上述した方法により測定したところ、1.09モル/kgであった。
【0058】
合成例2
上記合成例1において、OTA480(ダイセル・サイテック株式会社製、商品名)に替えてトリプロピレングリコールジアクリレート(ダイセル・サイテック社製)を使用したこと以外は上記合成例1と同様にして、2個のアクリロイルオキシ基を有するエタノールアミン変性ポリエーテルアクリレート(A−2)を合成した。成分(A−2)の単位量当たりの水酸基の個数は、1.51モル/kgであった。
【0059】
(B)ポリイソシアネート
(B−1)日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネートHX(商品名、上記式(6)のポリイソシアネート、単位量当たりのイソシアネート基の個数:5.12モル/kg)
(B−2)住化バイエルウレタン株式会社のスミジュールHT(商品名、上記式(7)のポリイソシアネート、単位量当たりのイソシアネート基の個数:3.10モル/kg)
【0060】
(C)光重合開始剤
(C−1)ベンゾフェノン
【0061】
(II)セルロース繊維
(II−1)日本製紙ケミカル株式会社製のKCフロックW−50S(商品名、高純度ケミカルパルプ、平均粒子径50μm)
(II−2)日本製紙ケミカル株式会社製のサンローズSLD−F1(商品名、カルボキシメチルセルロースナトリウム、平均粒子径55μm)
(II−3)日本製紙ケミカル株式会社製のKCフロックW−100GK(商品名、高純度ケミカルパルプ、平均粒子径37μm)
(II−4)日本製紙ケミカル株式会社製のKCフロックW−250(商品名、高純度ケミカルパルプ、平均粒子径30μm)
(II−5)日本製紙ケミカル株式会社製のKCフロックW−400G(商品名、高純度ケミカルパルプ、平均粒子径24μm)
【0062】
実施例1
バインダー(I)としての上記(A−1)100質量部、上記(B−1)25質量部および上記(C−1)7質量部、セルロース繊維(II)としての上記(II−1)7質量部、及び溶剤としての1-メトキシ−2−プロパノール200質量部を他の任意成分としてのはじき防止剤(共栄社株式会社製のポリフロー75(商品名))0.3質量部とともに混合、攪拌して塗料組成物(α)を得た。なお、上記(B−1)の単位量当たりのイソシアネート基の個数は、上述した方法により測定したところ、5.12モル/kgであった。したがって、成分(A−1)100質量部における水酸基の個数(a)と成分(B−1)25質量部におけるイソシアネート基の個数(b)の比(a/b)は、1.09×100/(5.12×25)=109/128=0.85である。
【0063】
上記で得られた塗料組成物(α)を、安田精機株式会社製のベーカー式アプリケーターを使用し、A4サイズのPPC用紙(日本製紙株式会社のリボンスタンダード(商品名))の片面に塗布し、30℃に設定した送風乾燥機により24時間乾燥し、紫外線照射により硬化させて、塗膜を有する積層体を得た。硬化後の塗膜厚みは25μmであった。
【0064】
上記で得られた積層体を5mm×30mmの大きさに切り出し、その塗膜を有する面とは反対の面を糊付け面とし、両面粘着テープ(株式会社寺岡製作所のTERAOKATAPENo.777(商品名))を使用して、図1に示す形状の収納箱(坪量450g/m のコートボール紙、45mmx45mmx310mm、掩蓋片の裏面に補強板を有する)の掩蓋片(1)の先端部に貼付して、塗膜を有する収納箱を得た(図2参照)。こうして得られた収納箱に、巻回されたラップフィルム(幅300mm、長さ50mのフィルムを、幅305mm、内径27mm、肉厚1.5mmの紙管に巻いたもの)を収納し、下記の試験(1)〜(3)を行った。結果を表1に示す。また、塗膜のより有利な効果としての耐割れ性および耐汚染性を評価すべく、上記で得られた積層体について、下記試験(4)〜(6)を行った。これらの結果も表1に示す。
【0065】
なお、上記ラップフィルムとして、4−メチルペンテン−1(三井化学株式会社製のMX−0020(商品名)、MFR(260℃、5.00kg)21g/10分)100質量部、ポリブテン-1(LYONDELLBASELL社製のPB8640M(商品名)、MFR(190℃、21.18N)28g/10分)3質量部および流動パラフィン(カネダ株式会社製のハイコールK−350(商品名))5質量部からなる樹脂組成物を、株式会社日本製鋼所製のTダイ製膜装置を用いて製膜した肉厚12μmのフィルムの横方向の両端にロートレット加工を施したものを使用した。上記製膜は、リップ開度400μm、エアギャップ1.5cm、吐出速度712cm/hr、チルロール温度25℃およびダイス出口樹脂温度290℃の条件で行い、バキュームチャンバーおよび耳ジェットを使用した。ローレット加工は、押え量0.2mm、加工幅0.6mm、加工速度400m/分の加工条件で行った。このフィルムの長さ方向および横方向の引張破断力はそれぞれ5.4Nおよび2.9Nであった。
【0066】
比較例1
図1に示すように、収納箱が塗膜を有しないこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表1に示す。
【0067】
実施例2
図3に示すように、収納箱が前面板(5)の上端部に塗膜(7)を有すること以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表1に示す。
【0068】
実施例3
図4に示すように、収納箱が前面板(5)の下端部に塗膜(7)を有すること以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表1に示す。
【0069】
実施例4
セルロース繊維として上記(II−2)を使用したこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表1に示す。
【0070】
実施例5〜9および比較例2
(II−1)の量を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表1に示す。
【0071】
実施例10
成分(B)として、住化バイエルウレタン株式会社のスミジュールHT(商品名、上記式(7)のポリイソシアネート、単位量当たりのイソシアネート基の個数:3.10モル/kg)(B−2)を42質量部の量で使用したこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0072】
実施例11〜16
(B−1)の量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0073】
実施例17
実施例14において、成分(A)として合成例2で得た成分(A−2)を使用したこと以外は実施例14と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0074】
実施例18
実施例1において、成分(A)として、トリプロピレングリコールジアクリレート(ダイセル・サイテック社製、単位量当たりの水酸基の個数:0モル/kg)(A−3)を使用し、成分(C)として、アルキルフェノン系光重合開始剤(チバ・ジャパン株式会社のダロキュア1173(商品名)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)(C−2)を5質量部の量で使用したこと以外は、実施例1と同様にして試験を行った。成分(C)としてベンゾフェノン(C−1)を使用しなかったのは、成分(A)が上記(A−3)であるとき、上記(C−1)では硬化速度が遅いためである。上記(A−3)と上記(B−1)との硬化が、ゲル化することなく速い速度で進むように、成分(C)として上記(C−2)を使用した。下記実施例19及び20についても同様である。なお、成分(C)の量が5質量部であるのは、7質量部では多過ぎてゲル化を生じるからである。結果を表2に示す。
【0075】
実施例19
実施例1において、成分(A)として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、単位量当たりの水酸基の個数:0.63モル/kg)(A−4)を使用したこと、および比(a/b)が0.85になるように(B−1)の量を変えたこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。なお、上記(A−4)は、構造上は水酸基を有しないが、アクリロイルオキシ基の一部が加水分解された成分を含むために水酸基が存在する。下記実施例20における(A−5)についても同様である。
【0076】
実施例20
実施例1において、成分(A)として、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(日本化薬株式会社製、単位量当たりの水酸基の個数:0.35モル/kg)(A−5)を使用したこと、および比(a/b)が0.85になるように(B−1)の量を変えたこと以外は実施例1と同様にして試験を行った。結果を表2に示す。
【0077】
実施例21
成分(II)として日本製紙ケミカル株式会社製のKCフロックW−100GK(商品名、高純度ケミカルパルプ、平均粒子径37μm)(II−3)を使用し、その配合量を30質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、試験を行った。結果を表3に示す。
実施例22
実施例21において、(II−3)の配合量を7質量部としたこと以外は実施例21と同様にして、試験を行った。結果を表3に示す。
【0078】
実施例23
成分(II)として日本製紙ケミカル株式会社製のKCフロックW−250(商品名、高純度ケミカルパルプ、平均粒子径30μm)(II−4)を使用し、その配合量を75質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、試験を行った。結果を表3に示す。
【0079】
実施例24
実施例23において、(II−4)の配合量を15質量部としたこと以外は実施例23と同様にして、試験を行った。結果を表3に示す。
【0080】
実施例25
成分(II)として日本製紙ケミカル株式会社製のKCフロックW−400G(商品名、高純度ケミカルパルプ、平均粒子径24μm)(II−5)を使用し、その配合量を120質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、試験を行った。結果を表3に示す。
【0081】
実施例26
実施例25において、(II−5)の配合量を30質量部としたこと以外は実施例25と同様にして、試験を行った。結果を表3に示す。
【0082】
実施例27
バインダー(I)としてコニシ株式会社製の酢酸ビニル樹脂エマルジョン系木工用ボンドCH2N(商品名、固形分45.5質量%)を固形分として100質量部、及び、セルロース繊維(II)として上記(II−1)を5質量部用い、これらを混合、攪拌して塗料組成物(α)を得た。上記で得られた塗料組成物を、安田精機株式会社製のベーカー式アプリケーターを使用し、A4サイズのPPC用紙(日本製紙株式会社のリボンスタンダード(商品名))の片面に塗布し、30℃に設定した送風乾燥機により24時間乾燥して塗膜を有する積層体を得た。乾燥後の塗膜厚みは25μmであった。得られた積層体を用いて、実施例1と同様に収納箱を作製し、試験を行った。結果を表3に示す。
【0083】
試験方法
(1)カット性試験
収納されたラップフィルムを収納箱から約40cm引出し、蓋を閉じ、収納箱の塗膜を利用してフィルムを切断する試験を10回試み、切断できた回数を切断率(%)として表記した。なお、比較例1については、塗膜の代わりに掩蓋片の先端部を利用してフィルムの切断を試みた。
【0084】
(2)耐久性
試験(1)と同様の切断を100回試みた後、さらに10回の切断を試み、この10回の試行において切断できた回数を切断率(%)として表記した。
【0085】
(3)斜めカット性試験
収納されたラップフィルムを収納箱から約40cm引出した後、フィルムを掴んだ手を収納箱の幅方向に対して手前に30度引寄せた状態で蓋を閉じ、その後は上記試験(1)と同様にしてフィルムを切断する試験を10回試み、切断できた回数を切断率(%)として表記した。
【0086】
(4)耐割れ性
上記で得られた積層体を100mm×50mmの大きさに切り出し、これを、日東電工製の両面テープNo.500Aを用いて厚さ0.3mmのアルミ板に塗膜面が表面になるように貼り付けて試験片とした。この試験片を、直径2mmのマンドレルを取り付けたJIS K 5600−5−1タイプ1の折り曲げ試験装置を用いて、塗膜面が外側になる様に2秒をかけて均等な速度で180°に折り曲げた。折り曲げ終了後、折り曲げた箇所の中央30mm部分について、塗膜の割れ(クラック)の有無を確認し、以下の基準で評価した。
◎:クラック無し
○:クラックが1本ある
△:クラックが2〜3本ある
×:クラックが4本以上ある
【0087】
(5)耐汚染性−1
上記で得られた積層体の塗膜表面を油性赤マジックによりスポット汚染した後、汚染部分を時計皿で被覆し、室温で24時間放置した。次いで、汚染部分を、イソプロピルアルコールを十分含ませたキムワイプ(商品名)を用いて、キムワイプに新たに汚れが付かなくなるまで拭いて洗浄した後、上記部分を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:汚染無し
○:汚染が僅かに残っている
△:汚染がかなり残っている
×:汚染が著しく残っている
【0088】
(6)耐汚染性−2
上記で得られた積層体の塗膜表面を水性赤マジックによりスポット汚染した後、汚染部分を時計皿で被覆し、室温で24時間放置した。次いで、汚染部分を、流水で十分洗浄した後、水道水を十分含ませたキムワイプ(商品名)を用いて、キムワイプに新たに汚れが付かなくなるまで拭いて洗浄した後、上記部分を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:汚染無し
○:汚染が僅かに残っている
△:汚染がかなり残っている
×:汚染が著しく残っている
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
表1〜3から明らかなように、塗料組成物(α)からなる塗膜を有する本発明の収納箱は、収納された食品包装用ラップフィルムを良好に切断することができる。
【符号の説明】
【0093】
1:掩蓋片
2:蓋面板
3:側面版
4:底面板
5:前面板
6:後面板
7:塗膜
図2
図3
図4
図6
図1
図5