【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、廃油から再生油を製造する再生油製造装置であって、油水分離器と、少なくとも2段の水分離器と、燃料改質器と、を備えている。前記油水分離器は、前記廃油から油分を分離するものである。前記少なくとも2段の水分離器は、前記油水分離器から排出される分離油から水を段階的に分離するものである。前記燃料改質器は、最終段の水分離器から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0007】
この構成によれば、廃油に、油水分離器、少なくとも2段の水分離器、及び燃料改質器を用いて処理を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。水分濃度の最も高い廃油から、水を分離する3段の機器を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。それゆえ、各段の機器は何れも、水分離能力の低いもので足りる。例えば、少なくとも2段の水分離器には、油の流路に多数のじゃま板が固定された周知の構造を有する動力不要のものが利用可能である。燃料改質器には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の構造のものが利用可能である。
【0008】
このように、本構成の再生油製造装置によれば、比較的簡単な装置の構成により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、本構成による再生油製造装置は、船舶内に発生する廃油を処理するものである場合には、船内に固定的に設置されたものであっても良く、必要なときに船内に導入されるものであっても良く、陸上に設置された設備であっても良く、あるいは、必要なときに船舶に接近して使用される陸上ないし水上の移動式の設備であっても良い。
【0009】
本発明のうち第2の態様に係るものは、水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油から、再生油を製造する再生油製造装置であって、少なくとも2段の水分離器と、燃料改質器と、を備えている。前記少なくとも2段の水分離器は、前記少なくとも2種類の廃油のうち、水分濃度の最も高い廃油を初段に受け、水分濃度の低い廃油ほど後段に受けることにより、廃油から水を段階的に分離するものである。前記燃料改質器は、最終段の水分離器から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0010】
この構成によれば、水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油に、少なくとも2段の水分離器、及び燃料改質器を用いて処理を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。水分濃度の最も高い廃油から、少なくとも2段の水分離器を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。それゆえ、各段の水分離器は何れも、水分離能力の低いもので足りる。しかも廃油のうち、水分濃度の低い廃油ほど後段の水分離器で受けるので、廃油から再生油を能率良く製造することができる。燃料改質器には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の構造のものが利用可能である。
【0011】
このように、本構成の再生油製造装置によれば、比較的簡単な装置の構成により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、本構成による再生油製造装置は、船舶内に発生する廃油を処理するものである場合には、船内に固定的に設置されたものであっても良く、必要なときに船内に導入されるものであっても良く、陸上に設置された設備であっても良く、あるいは、必要なときに船舶に接近して使用される陸上ないし水上の移動式の設備であっても良い。
【0012】
本発明のうち第3の態様に係るものは、燃料油又は潤滑油を清浄化する遠心分離器と、ビルジ排水から油分を分離する油水分離器と、を備えた船舶内に発生する廃油から再生油を製造する再生油製造装置であって、第1の水分離器と、第2の水分離器と、燃料改質器と、を備えている。前記第1の水分離器は、前記遠心分離器から排出されるスラッジ油から水を分離するものである。前記第2の水分離器は、前記第1の水分離器から排出される第1の分離油と、前記油水分離器から排出される第2の分離油とから、さらに水を分離するものである。前記燃料改質器は、前記第2の水分離器から排出される第3の分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該第3の分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0013】
この構成によれば、遠心分離器及び油水分離器という既存の設備を有する船舶に発生する廃油に、第1の水分離器、第2の水分離器、及び燃料改質器を用いて処理を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。第1の水分離器は、遠心分離器から排出されるスラッジ油の水分濃度を、油水分離器から排出される分離油の水分濃度程度にまで、低くすることができるものであれば足りる。また第2の水分離器は、油水分離器から排出される分離油の水分濃度を、燃料として利用可能な再生油の水分濃度にまで、低くすることができるものであれば足りる。それゆえ、第1及び第2の水分離器は何れも、水分離能力の低いもので足り、例えば、油の流路に多数のじゃま板が固定された周知の構造を有する動力不要のものが利用可能である。しかも、船舶内に発生する廃油のうち、水分濃度の低い油水分離器からの分離油は、第2の水分離器で処理されるので、廃油から再生油を能率良く製造することができる。燃料改質器には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の構造のものが利用可能である。
【0014】
このように、本構成の再生油製造装置によれば、既存の船内設備を利用しつつ、比較的簡単な装置を付加することにより、船舶内に発生する廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、付加される装置は、船内に固定的に設置されたものであっても良く、必要なときに船内に導入されるものであっても良く、陸上に設置された設備であっても良く、あるいは、必要なときに船舶に接近して使用される陸上ないし水上の移動式の設備であっても良い。
【0015】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第3の態様に係る再生油製造装置であって、 前記船舶が、前記燃料油又は前記潤滑油を濾過する逆洗浄型の濾過器を、さらに備えた船舶であり、前記燃料改質器は、前記逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該逆洗浄油をも改質し、それにより前記再生油を生成するものである。
【0016】
この構成によれば、逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油が、再生油と同程度にまで低い水分濃度を有する一方、スラッジを多く含むことを利用して、逆洗浄油が燃料改質器によって処理される。それにより、逆洗浄型の濾過器を船内設備として備える船舶からの廃油として、逆洗浄油をも含めた廃油から、再生油が得られる。すなわち、廃油から再生油への製造効率が高められる。
【0017】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第3又は第4の態様に係る再生油製造装置であって、前記第2の水分離器は、前記船舶内に発生する廃油であって、前記油水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油をも、水分離の対象とするものである。
【0018】
この構成によれば、油水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油が、第2の水分離器によって水分離の対象とされ、当該廃油からも再生油が得られる。このため、再生油の製造効率が高められる。水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油としては、例えば、船内の設備又は機器の洗浄に用いられた軽油、油を使用するポンプなどの設備又は機器を開放したときに排出される廃油があり得る。
【0019】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第1ないし第5の何れかの態様に係る再生油製造装置であって、前記燃料改質器が生成する再生油から、当該再生油に残留する固形成分のうち、所定以上の大きさのものをフィルタにより除去する濾過器を、さらに備えるものである。
【0020】
この構成によれば、燃料改質器により改質された再生油に残留する固形成分のうち、ある大きさ以上のものが除去されるので、良質の再生油が得られる。
【0021】
本発明のうち第7の態様に係るものは、第6の態様に係る再生油製造装置であって、前記濾過器は、約100ミクロンを超える固形成分を除去するものである。
【0022】
この構成によれば、燃料改質器により改質された再生油に残留する固形成分のうち、約100ミクロンを超えるものが除去されるので、更に良質の再生油が得られる。
【0023】
本発明のうち第8の態様に係るものは、廃油から再生油を製造する再生油製造方法であって、油水分離と、少なくとも2段の水分離と、燃料改質と、を備えている。前記油水分離は、前記廃油から油分を分離するものである。前記少なくとも2段の水分離は、前記油水分離により排出される分離油から水を分離するものである。前記燃料改質は、最終段の水分離により排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0024】
この構成によれば、廃油に、油水分離、少なくとも2段の水分離、及び燃料改質を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。水分濃度の最も高い廃油から、水を分離する3段の処理を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。それゆえ、各段の処理は何れも、水分離能力の低いもので足りる。例えば、少なくとも2段の水分離には、油の流路に多数のじゃま板を配置する周知の方法が利用可能である。燃料改質には、例えば、高速回転するフィンによりスラッジを機械的に粉砕する周知の方法が利用可能である。
【0025】
このように、本構成の再生油製造方法によれば、比較的簡単な処理により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、本構成の再生油製造方法が、船舶内に発生する廃油を処理するものである場合には、船内の廃油から再生油を製造するための各処理は、船内で行うものであっても、船外で行うものであっても良い。
【0026】
本発明のうち第9の態様に係るものは、水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油から、再生油を製造する再生油製造方法であって、少なくとも2段の水分離と、燃料改質と、を備えている。前記少なくとも2段の水分離は、前記少なくとも2種類の廃油のうち、水分濃度の最も高い廃油を初段で受け、水分濃度の低い廃油ほど後段で受けることにより、廃油から水を段階的に分離するものである。前記燃料改質は、最終段の水分離から排出される分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0027】
この構成によれば、水分濃度が異なる少なくとも2種類の廃油に、少なくとも2段の水分離、及び燃料改質を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。水分濃度の最も高い廃油から、少なくとも2段の水分離を通じて、再生油のレベルにまで水分濃度が低められる。それゆえ、各段の水分離は何れも、水分離能力の低い処理で足りる。しかも、廃油のうち、水分濃度の低い廃油ほど後段の水分離で処理するので、廃油から再生油を能率良く製造することができる。燃料改質には、例えば、フィンを高速回転させることによりスラッジを機械的に粉砕する周知の方法が利用可能である。
【0028】
このように、本構成の再生油製造方法によれば、比較的簡単な処理により、廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、本構成の再生油製造方法が、船舶内に発生する廃油を処理するものである場合には、船内の廃油から再生油を製造するための各処理は、船内で行うものであっても、船外で行うものであっても良い。
【0029】
本発明のうち第10の態様に係るものは、燃料油又は潤滑油を清浄化する遠心分離器と、ビルジ排水から油分を分離する油水分離器と、を備えた船舶内に発生する廃油から再生油を製造する再生油製造方法であって、第1の水分離と、第2の水分離と、燃料改質と、を備えている。前記第1の水分離は、前記遠心分離器から排出されるスラッジ油から水を分離するものである。前記第2の水分離は、前記第1の水分離により排出される第1の分離油と、前記油水分離器から排出される第2の分離油とから、さらに水を分離するものである。前記燃料改質は、前記第2の水分離により排出される第3の分離油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該第3の分離油を改質し、それにより再生油を生成するものである。
【0030】
この構成によれば、遠心分離器及び油水分離器という既存の設備を有する船舶に発生する廃油に、第1の水分離、第2の水分離、及び燃料改質を施すことにより、燃料として使用可能な再生油が製造される。第1の水分離は、遠心分離器から排出されるスラッジ油の水分濃度を、油水分離器から排出される分離油の水分濃度程度にまで、低くする処理であれば足りる。また第2の水分離は、油水分離器から排出される分離油の水分濃度を、燃料として利用可能な再生油の水分濃度にまで、低くする処理であれば足りる。それゆえ、第1及び第2の水分離は何れも、水分離能力の低い処理で足りる。しかも、船舶内に発生する廃油のうち、水分濃度の低い油水分離器からの分離油は、第2の水分離で処理されるので、廃油から再生油を能率良く製造することができる。燃料改質には例えば、フィンを高速回転させることによりスラッジを機械的に粉砕する周知の方法が利用可能である。
【0031】
このように、本構成の再生油製造方法によれば、既存の船内設備を利用しつつ、比較的簡単な処理を付加することにより、船舶内に発生する廃油を能率良く処理し、再生油を製造することが可能となる。なお、船内の廃油から再生油を製造するための各処理は、船内で行うものであっても、船外で行うものであっても良い。
【0032】
本発明のうち第11の態様に係るものは、第10の態様に係る再生油製造方法であって、前記船舶が、前記燃料油又は前記潤滑油を濾過する逆洗浄型の濾過器を、さらに備えており、前記燃料改質は、前記逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油に含まれるスラッジを粉砕することにより、当該逆洗浄油をも改質し、それにより前記再生油を生成するものである。
【0033】
この構成によれば、逆洗浄型の濾過器から排出される逆洗浄油が、再生油と同程度にまで低い水分濃度を有する一方、スラッジを多く含むことを利用して、逆洗浄油に燃料改質処理が施される。それにより、逆洗浄型の濾過器を船内設備として備える船舶からの廃油として、逆洗浄油をも含めた廃油から、再生油が得られる。すなわち、廃油から再生油への製造効率が高められる。
【0034】
本発明のうち第12の態様に係るものは、第10又は第11の態様に係る再生油製造方法であって、前記第2の水分離は、前記船舶内に発生する廃油であって、前記油水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油をも、水分離の対象とするものである。
【0035】
この構成によれば、油水分離器による分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油が、第2の水分離によって水分離の対象とされ、当該廃油からも再生油が得られる。このため、再生油の製造効率が高められる。水分離器の分離油と同等程度に低い水分濃度を有する廃油の例としては、本発明の第5の態様に係る再生油製造装置の説明の中で例示した通りである。
【0036】
本発明のうち第13の態様に係るものは、第8ないし第12の何れかの態様に係る再生油製造方法であって、前記燃料改質により生成する再生油から、当該再生油に残留する固形成分のうち、所定以上の大きさのものをフィルタにより除去する濾過を、さらに備えるものである。
【0037】
この構成によれば、燃料改質処理により改質された再生油に残留する固形成分のうち、ある大きさ以上のものが除去されるので、良質の再生油が得られる。
【0038】
本発明のうち第14の態様に係るものは、第13の態様に係る再生油製造方法であって、前記濾過は、約100ミクロンを超える固形成分を除去するものである。
【0039】
この構成によれば、燃料改質処理により改質された再生油に残留する固形成分のうち、約100ミクロンを超えるものが除去されるので、更に良質の再生油が得られる。