【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、課題の解決手段として、
天板および周壁部を有する第1シェルと、底板および周壁部を有する第2シェルとからなり、ガス排出口が前記第1シェルの天板又は周壁部に形成されているハウジングと、
前記ハウジング内部に配置され、内側に点火室、外側に燃焼室を構成する内筒部材と、
前記点火室に配置された点火手段と、前記燃焼室に充填され燃焼ガスを発生する固形ガス発生剤とを有するガス発生器であり、
前記内筒部材が、
一端開口部側が閉塞され、他端開口部側には点火器が取り付けられて閉塞されており、
前記燃焼室と前記点火室を連通するための複数のノズルを周壁に有し、
さらに前記周壁の外側および内側の少なくとも一方において、前記点火室内で生じた燃焼生成物が前記ノズルから排出されるとき、前記底板に向かって排出されるようにするためのガイド部材を有しており、
前記燃焼室が、
半径方向内側が前記内筒部材の周壁からなり、半径方向外側が少なくとも第2シェルの周壁部からなるものであり、
作動時において前記内筒部材から排出される燃焼生成物の出口が、前記ガス排出口よりも底板側に形成されている、ガス発生器を提供する。
【0012】
請求項1の発明のガス発生器は、点火手段の作動により内筒部材の内部(点火室)で生じた燃焼生成物が内筒部材の周壁に設けられた複数のノズルから排出されるとき、内筒部材に設けられたガイド部材の作用により特定方向(第2シェルの底板方向)に向けて排出されるものである。
このとき、特定方向(第2シェルの底板方向)とは、ガス発生器の中心軸(
図1の中心軸X)と実質的に平行になる方向とすることができ、たとえばガス発生器を水平に固定したときには鉛直方向乃至は鉛直方向から5°未満の角度をなす範囲とすることができる。つまり、点火室で発生した燃焼生成物は、ガイド部材により燃焼室においてはハウジングの底板側に流れ、さらに放射方向(半径方向外側)に向かって流れる。
【0013】
ガイド部材は、内筒部材の外側および内側の少なくとも一方に形成されている。
ガイド部材が内筒周壁の外側に形成されているときは、内筒部材の外周壁とガイド部材の先端部で形成される環状開口部が、作動時において内筒部材から排出される燃焼生成物の出口となる。
前記燃焼生成物の出口の高さ位置は、ノズルの形成位置に拘わらず、ガイド部材の長さを増減することで調整できる。
ガイド部材が内筒周壁の内側に形成されているときは、ノズルが作動時において内筒部材から排出される燃焼生成物の出口となる。
燃焼生成物の出口(環状開口部又はノズル)は、ガス排出口よりも底板側に形成されているため、高低差が生じている。
【0014】
特許文献1の
図1に示すように、内筒120には点火室壁孔130が斜め下方向に形成されているため、
図1の矢印方向に燃焼生成物が排出されたとき、内筒120に接した領域にあるガス発生剤108はデッドスペースに位置することになって、燃焼室内のガス発生剤全体として見たときには着火性能や燃焼性能が十分ではない。また、点火室壁孔を内筒に対して斜めに穿孔する加工自体も困難である。
しかし、請求項1の発明のガス発生器は、上記ガイド部材の作用により燃焼生成物が内筒部材の周壁に沿って底板方向(中心軸に沿った方向)に排出された後、内筒部材の周壁から半径方向外側に放射状に流れる。
このため、燃焼室内に充填された固形ガス発生剤は、連通部近傍のガス発生剤以外に、底板付近に存在するものから燃焼が開始される。
そして、ガス排出口が前記第1シェルの天板又は周壁部に形成されており、ガス排出口と燃焼生成物の出口(環状開口部又はノズル)との間に高低差があることから、燃焼生成物、およびガス発生剤から発生した高温ガスは底板から第2シェルおよび第1シェルの周壁部に沿って天板方向(ガス排出口方向)に向かう。
このため燃焼生成物および高温のガスは、天板に近い位置にある未燃焼のガス発生剤のほうへ流れることになり、燃焼室内のガス発生剤全体として見たときの着火性能、燃焼性能が向上する。
【0015】
ガイド部材は、ノズルを通って放射方向に排出された燃焼生成物をハウジング底板側に向けるように整流するものあり、内筒部材の周壁の外側又は内側に形成されているものであり、両側に形成されていてもよい。ガイド部材は、内筒部材と一体に形成されていても、別部材によって形成されていてもよい。
ガイド部材は、複数のノズルそれぞれに形成されていてもよく、複数のノズルに対して1つ形成されているものでもよい。
【0016】
内筒部材は、一端開口部がハウジングの天板に固定されていたり、別部材で蓋がされていたり(カップ部材を使用してもよい)することで閉塞されている。また内筒部材は、ハウジングに対して同心円状に配置されていてもよく、ハウジングの中心軸に対して偏って配置されていてもよい。
【0017】
請求項2の発明は、課題の解決手段として、
天板および周壁部を有する第1シェルと、底板および周壁部を有する第2シェルとからなり、ガス排出口が前記第1シェルの天板又は周壁部に形成されているハウジングと、
前記ハウジング内部に配置され、内側に点火室、外側に燃焼室を構成する内筒部材と、
前記点火室に配置された点火手段と、前記燃焼室に充填され燃焼ガスを発生する固形ガス発生剤を有するガス発生器であり、
前記内筒部材が、
前記天板側に位置する一端開口部側が閉塞され、他端開口部側には点火器が取り付けられて閉塞されており、
前記燃焼室と前記点火室を連通するための複数のノズルを周壁に有し、
さらに前記周壁の外側および内側の少なくとも一方において、前記点火室内で生じた燃焼生成物が前記ノズルから排出されるとき、前記底板に向かって排出されるようにするためのガイド部材を有しており、
前記燃焼室が、
半径方向内側が前記内筒部材の周壁からなり、半径方向外側が、第1シェルおよび第2シェルの周壁部で形成されるハウジング周壁部との間に筒状間隙が形成されるように配置された外筒部材からなるものであり、
前記筒状間隙が前記ガス排出口と連通されており、
前記燃焼室と前記筒状間隙が、前記外筒部材と前記天板の間に形成された第1連通経路のみで連通されており、
作動時において前記内筒部材から排出される燃焼生成物の出口が、前記第1連通経路よりも底板側に形成されている、ガス発生器を提供する。
【0018】
請求項2の発明のガス発生器は、点火手段の作動により内筒部材の内部(点火室)で生じた燃焼生成物が内筒部材の周壁に設けられた複数のノズルから排出されるとき、内筒部材に設けられたガイド部材の作用により特定方向(第2シェルの底板方向)に向けて排出されるものである。
このとき、特定方向(第2シェルの底板方向)は、ガス発生器の中心軸(
図1の中心軸X)と実質的に平行になる方向とすることができ、例えばガス発生器を水平に固定したときには鉛直方向乃至は鉛直方向から5°未満の角度をなす範囲にすることができる。つまり、点火室で発生した燃焼生成物は、ガイド部材により燃焼室においてハウジングの底板側に流れ、さらに放射方向(半径方向外側)に向かって流れる。
【0019】
ガイド部材は、内筒部材の外側および内側の少なくとも一方に形成されている。
ガイド部材が内筒周壁の外側に形成されているときは、内筒部材の外周壁とガイド部材の先端部で形成される環状開口部が、作動時において内筒部材から排出される燃焼生成物の出口となる。
前記燃焼生成物の出口の高さ位置は、ノズルの形成位置に拘わらず、ガイド部材の長さを増減することで調整できる。
ガイド部材が内筒周壁の内側に形成されているときは、ノズルが作動時において内筒部材から排出される燃焼生成物の出口となる。
【0020】
特許文献1の
図1に示すように、内筒120には点火室壁孔130が斜め下方向に形成されているため、
図1の矢印方向に燃焼生成物が排出されたとき、内筒120に接した領域にあるガス発生剤108はデッドスペースに位置することになって、燃焼室内のガス発生剤全体として見たときには着火性能や燃焼性能が十分ではない。また点火室壁孔を内筒に対して斜めに穿孔する加工自体も困難である。
しかし、請求項2の発明のガス発生器は、上記ガイド部材の作用により燃焼生成物が内筒部材の周壁に沿って底板方向(中心軸に沿った方向)に排出された後、内筒部材の周壁から半径方向外側に放射状に流れる。
このため、燃焼室内に充填された固形ガス発生剤は、連通部近傍のガス発生剤以外に、底板付近に存在するものから燃焼が開始される。
そして、燃焼室と筒状間隙が、外筒部材と天板の間に形成された第1連通経路のみで連通されており、作動時において前記内筒部材から排出される燃焼生成物の出口(環状開口部又はノズル)が、前記第1連通経路よりも底板側に形成されている。
このため、第1連通経路と燃焼生成物の出口との間に高低差があることから、燃焼生成物、およびガス発生剤から発生した高温ガスは底板から外筒部材に沿って天板方向(第1連通経路方向)に向かう。
よって、燃焼生成物および高温ガスは、天板に近い位置にある未燃焼のガス発生剤のほうへ流れることになり、燃焼室内のガス発生剤全体として見たときの着火性能、燃焼性能が向上する。
【0021】
内筒部材は、端開口部がハウジングの天板に固定されていたり、別部材で蓋がされていたり(カップ部材を使用してもよい)することで閉塞されている。また内筒部材は、ハウジングに対して同心円状に配置されていてもよく、ハウジングの中心軸に対して偏って配置されていてもよい。
【0022】
請求項3の発明は、
前記外筒部材が、大径筒状壁部と、それよりも外径の小さい小径筒状壁部を有しているものであり、
前記大径筒状壁部の外周面が前記第2シェルの周壁部に当接され、前記小径筒状壁部の開口部が前記天板に当接されており、
前記筒状間隙が、前記小径筒状壁部と少なくとも前記第1シェルの周壁部との間に形成されているものであり、
前記第1連通経路が、前記小径筒状壁部の開口部近傍に形成された複数の連通孔である、請求項2記載のガス発生器を提供する。
【0023】
このような形状の外筒部材を使用することで、第1連通経路が確保でき、さらに筒状間隙も形成することができる。
【0024】
請求項4の発明は、
前記外筒部材が、大径筒状壁部と、それよりも外径の小さい小径筒状壁部を有しているものであり、
前記大径筒状壁部の外周面が前記第2シェルの周壁部に当接され、前記小径筒状壁部の開口部が前記天板に当接されており、
前記筒状間隙が、前記小径筒状壁部と少なくとも前記第1シェルの周壁部との間に形成されているものであり、
前記第1連通経路が、前記小径筒状壁部の開口部周壁が高さ方向に窪んだ複数の凹部と前記天板からなる連通孔である、請求項2記載のガス発生器を提供する。
【0025】
このような形状の外筒部材を使用することで、第1連通経路が確保でき、さらに筒状間隙も形成することができる。
【0026】
請求項5の発明は、
前記外筒部材が、大径筒状壁部と、それよりも外径の小さい小径筒状壁部を有しているものであり、
前記大径筒状壁部の外周面が前記第2シェルの周壁部に当接され、前記小径筒状壁部の開口部が前記天板に間隔をおいて対向されており、
前記筒状間隙が、前記小径筒状壁部と少なくとも前記第1シェルの周壁部との間に形成されているものであり、
前記第1連通経路が、前記小径筒状壁部の開口部と第1シェル天板との間の隙間である、請求項2記載のガス発生器を提供する。
【0027】
このような外筒部材の配置状態にすることで、第1連通経路が確保でき、さらに筒状間隙も形成することができる。
【0028】
請求項6の発明は、
前記燃焼室の天板側に配置された環状フィルタを有しており、
前記環状フィルタが、外周面が前記外筒部材に当接され、内周面が内筒部材に当接され、一方の環状面が前記天板に当接され、他方の環状面が前記燃焼室に面するように配置されており、
前記燃焼室と前記筒状間隙が、前記環状フィルタと前記第1連通経路で連通されている、請求項2〜5のいずれか1項記載のガス発生器を提供する。
【0029】
燃焼室で発生した燃焼ガスは、環状フィルタを通った後で第1連通経路を通って筒状間隙に入り、ガス排出口から排出される。
こうすることで燃焼ガスの濾過および冷却がなされると共に、第1連通経路を通った燃焼ガスがハウジング内面に衝突するため、ミストの補集効果も高められる。
【0030】
請求項7の発明は、
前記燃焼室の天板側に配置された略環状部材を有しており、
前記略環状部材が、
複数の連通孔を有する環状底面と、外周部に形成された外側環状壁面と、内周部に形成された内側環状壁面を有しているものであり、
前記外側環状壁面が前記外筒部材に当接され、前記内側環状壁面が内筒部材の周壁に対向し、かつ燃焼室に面するように嵌め込まれ、前記の天板、外側環状壁面、環状底面および内筒容器で囲まれた環状空間が形成されるようにして配置されており、
前記燃焼室と前記筒状間隙が、前記略環状部材の連通孔からなる第2連通経路、環状空間および前記第1連通経路で連通されている、請求項2〜6のいずれか1項記載のガス発生器を提供する。
【0031】
燃焼室で発生した燃焼ガスは、第2連通路、環状空間および第1連通経路の順に通った後で筒状間隙に入り、ガス排出口から排出される。
こうすることで燃焼ガスがハウジング内面に衝突する回数も増加するため、燃焼ガス冷却やミストの補集効果も高められる。
【0032】
請求項8の発明は、
前記燃焼室の天板側に配置された略環状部材を有しており、
前記略環状部材が、
複数の連通孔を有する環状底面と外周部に形成された外側環状壁面を有しているものであり、
前記外側環状壁面が前記外筒部材に当接され、前記環状底面が燃焼室に面するように嵌め込まれ、前記の天板、外側環状壁面、環状底面および内筒状容器で囲まれた環状空間が形成されるようにして配置されており、
前記燃焼室と前記筒状間隙が、前記略環状部材の連通孔からなる第2連通経路、環状空間および前記第1連通経路で連通されている、請求項2〜6のいずれか1項記載のガス発生器を提供する。
【0033】
燃焼室で発生した燃焼ガスは、第2連通路、環状空間および第1連通経路の順に通った後で筒状間隙に入り、ガス排出口から排出される。
こうすることで燃焼ガスがハウジング内面に衝突する回数も増加するため、燃焼ガス冷却やミストの補集効果も高められる。
【0034】
請求項9の発明は、
前記内筒部材が有しているガイド部材が、前記ノズルを上からかつ外側から覆うようにして内筒部材周壁外側から下方に突き出されたカバー部材である、請求項1〜8のいずれか1項記載のガス発生器を提供する。
【0035】
このようなカバー部材を設けることで、内筒部材からの燃焼生成物を底板方向に確実に排出することができる。カバー部材は燃焼室側に突出することになるが、内筒部材の周壁に形成されたノズル部分だけを外側から覆うものであってもよい。例えばノズルに対して上方向(ハウジング天板側)と円周方向両側を覆うようなカバー部材としてもよく、このようなカバー部材は、内筒部材の周壁に円周方向に伸びる切れ目を入れ、切れ目の上側を内筒部材の内側から外側に向けて押し出すことで形成できる。
【0036】
請求項10の発明は、
前記内筒部材が有しているガイド部材が、前記ノズルを下からかつ内側から覆うようにして内筒部材周壁内側から上方に突き出されたカバー部材である、請求項1〜8のいずれか1項記載のガス発生器を提供する。
【0037】
このようなカバー部材を設けることで、内筒部材からの燃焼生成物を底板方向に確実に排出することができる。
また、内筒部材内側にカバー部材を設けることで、内筒部材外側にカバー部材を設けた場合と比べて、燃焼室内への固形ガス発生剤の充填が容易になる。カバー部材は点火器室側に突出することになるが、内筒部材の周壁に形成されたノズル部分だけを内側から覆うものであってもよい。
例えばノズルに対して下方向(ハウジング底板側)と円周方向両側を覆うようなカバー部材としてもよく、このようなカバー部材は、内筒部材の周壁に円周方向に伸びる切れ目を入れ、切れ目の下側を、内筒部材の外側から内側に向けて押し込むことで形成できる。
【0038】
請求項11の発明は、
前記内筒部材が有しているガイド部材が、前記ノズルを上からかつ外側から覆うようにして内筒部材に被せられた筒状カバー部材であり、
前記筒状カバー部材が、
前記内筒部材周壁に固定するための環状固定部と、前記環状固定部から外側に広げられた拡径部を有しているものであり、
前記環状固定部が前記ノズルの上に固定され、前記拡径部が前記ノズル上からかつ外側から覆うようにして取り付けられている、請求項1〜8のいずれか1項記載のガス発生器を提供する。
【0039】
このようなカバー部材を設けることで、内筒部材からの燃焼生成物を底板方向に確実に排出することができる。
また内筒部材にカバー部材を設ける場合と比べると、製造自体が容易になる。
【0040】
内筒部材は、開口部側が第1シェルの底板に固定されており、ハウジングに対して同心円状に配置されていてもよく、ハウジングの中心軸に対して偏って配置されていてもよい。
内筒部材の底面は、第1シェルの天板に固定されていてもよく、天板から離されて配置されていてもよい。
内筒部材は、筒を使用して一端側の開口部を蓋で閉塞したものでもよい。
【0041】
上記各発明において内筒部材の周壁に形成されている複数のノズルは、円周方向に1列又は複数列形成されていてもよい。
複数列形成される場合は、ノズルの加工のしやすさを考えて、ノズル同士が軸方向に重ならないように千鳥状に配置されていることが好ましい。
ノズルは、外側からシールテープで閉塞することができるが、閉塞されていなくてもよい。閉塞されていない場合には、燃焼室内に充填される固形ガス発生剤の大きさよりも小さい径にすることができる。
【0042】
上記各発明において点火室に配置する点火装置は、公知の電気式点火器のみで構成されていてもよいし、公知のガス発生剤や伝火薬などを併用してもよい。