(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1又は複数の内部導体の絶縁被覆の外周を包囲して設けられた撚り線からなる外部導体と、前記外部導体の外周面を覆って設けられた保護被膜とを備えてなる電線の前記外部導体に接続する外部導体端子の接続構造において、
前記外部導体端子は、前記外部導体と接続される円筒状の接続部と、前記接続部の円筒軸方向の一端側に設けられた端子部とを有しており、
前記保護被膜を剥離して前記外部導体が露出された部位の前記絶縁被覆の外周又は前記部位に隣接する部位の前記保護被膜の外周に前記外部導体端子の接続部が被冠され、前記接続部の外周面に前記外部導体の撚り線が接して配置され、前記撚り線の外周にリング部材が被冠され、前記接続部の外周面に前記外部導体の撚り線が圧着接続されてなり、
前記端子部は、前記接続部の円筒軸方向の一端側周縁から一体に延設されていることを特徴とする外部導体端子の接続構造。
前記リング部材は、一端側の開口周縁から拡径方向へ突出する拡径鍔部、又は、前記拡径鍔部に加えて、他端側の開口周縁から縮径方向へ突出する縮径鍔部を有していることを特徴とする請求項1に記載の外部導体端子の接続構造。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の外部導体端子と電線の外部導体との接続構造(以下、単に接続構造ともいう。)について、添付図面を参照して説明する。本発明は、電線の外部導体に接続する外部導体端子の接続構造に関するものであり、かかる電線としては、電磁波等の遮蔽を要する部位(例えば、自動車等の電装品内)における配線用の電線に利用される同軸電線などが想定可能である。
【0013】
図1及び
図2には、本発明の第1の実施形態に係る接続構造を示す。
図1(a)〜(e)は、かかる接続構造について、外部導体端子を電線の外部導体と接続する手順の一例に沿って示す図であり、
図2は、外部導体端子を電線の外部導体と接続させた後の状態を示す
図1(e)における矢印A1の部分における縦断面を矢印方向から示す図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る電線Cは、1又は複数の内部導体1の絶縁被覆2の外周に設けられた撚り線31からなる外部導体3と、外部導体3の外周面を覆って設けられた保護被膜4とを備えて構成されている。この場合、絶縁被覆(以下、内部絶縁体という。)2及び保護被覆(同、外部絶縁体という。)4は、絶縁材(例えば、ポリエチレン、塩化ビニル、シリコン等の樹脂)で構成される。すなわち、電線Cは、電磁波等の遮蔽を要する部位に利用されるのに好適な、いわゆる同軸電線として構成されている。例えば、電線Cは、内部導体1を陽電位、外部導体3を負電位(もしくは、内部導体1を負電位、外部導体3を陽電位)として直流回路に用いることができる。また、複数の内部導体1を備えて、3相交流あるいは単相3線式の回路に電線Cを用いることも可能である。外部導体3は、複数の撚り線31で構成されており、これらの撚り線31は、電線Cの長さ方向へ螺旋状をなすように内部絶縁体2の外周に巻線されている。そして、本実施形態に係る接続構造においては、複数の撚り線31で構成される外部導体3に対し、外部導体端子(例えば、自動車等の電装品の電気部品との接続用の端子)が接続される。
【0015】
図3には、外部導体端子の構成例を示す。
図3(a)は、導体平板を絞り加工することによって成形された端子構成(端子5)の一例を示す図であり、同図(b)は、導体平板をカール加工することによって成形された端子構成(端子51)の一例を示す図である。本実施形態においては、一例として、
図3(a)に示す端子5を外部導体端子として用いる場合について説明する。ただし、
図3(b)に示す端子50を外部導体端子として用いることも可能である。
【0016】
外部導体端子5は、外部導体3と接続される円筒状の接続部51と、接続部51の円筒軸方向の一端側に設けられた端子部52とを有している。この場合、接続部51は、内径寸法が電線Cの内部絶縁体2の径寸法よりも大寸に設定された円筒状をなしている。また、接続部51は、円筒軸方向の一端側、つまり端子部52の配設側の開口周縁から拡径方向へ全周に亘って突出する鍔部(円板状の突出部)53を有している。なお、接続部51の円筒軸方向の長さは、その外周面に外部導体3の撚り線31を確実に圧着接続させることが可能となるように、後述するリング部材6の長さ(両端開口間の寸法)に応じて設定されている。
【0017】
端子部52は、電線の内部導体1と接続された内部導体端子7と対をなす接続用の端子であり、接続部51の円筒軸方向と交差する方向に対して平板状をなし、接続部51の一端側周縁から拡径方向へ延設されている。本実施形態において、端子部52は、接続部51の鍔部53から拡径方向へ平板状に延設された構成となっている。なお、端子部52の形状は、
図3(a)に示すような形状には特に限定されず、接続される相手側端子の形状に応じて任意の形状とすることが可能である。例えば、
図3(b)に示すように、接続部の円筒軸方向に沿って平板状に延設することも可能であり、
図4に示すように、鍔部周縁から拡径方向へ突出した後、電線Cの長さ方向へ屈曲し、該長さ方向に沿って平板状に延設されたL字状等をなすような端子部54としても構わない。
【0018】
このような構成をなす外部導体端子5と電線Cの外部導体3は、外部絶縁体4を剥離して外部導体3が露出された部位の内部絶縁体2の外周に外部導体端子5の接続部51が被冠され、接続部51の外周面に外部導体3の撚り線31が接して配置され、撚り線31の外周にリング部材6が被冠され、接続部51の外周面に外部導体3の撚り線31が圧着接続される。以下、かかる外部導体端子5と電線Cの外部導体3との接続構造について、
図1(a)〜(e)に示す接続手順に沿って具体的に説明する。なお、以下の説明においては、外部導体端子5が接続される際、電線Cの長さ方向に対し、外部絶縁体4が剥離されて外部導体3が露出される側を電線末端側、かかる電線末端側とは反対側を電線基端側という(後述する本発明の第2の実施形態においても同様)。
【0019】
外部導体端子5と電線Cの外部導体3との接続にあたっては、まず、電線Cに対してリング部材6を挿通する。
図1(a)には、電線Cに対して電線末端側からリング部材6を挿通する場合を一例として示すが、リング部材6は、電線基端側から挿通しても構わない。なお、リング部材6は、電線C(外部絶縁体4)の径寸法よりも大径の内径を有し、外周部を全周に亘ってかしめることで縮径方向へ容易に変形させることが可能な部材であり、例えば、金属リング等を用いることができる。
【0020】
図1(b)には、リング部材6を挿通した後の電線Cの状態を示す。
図1(b)に示すように、挿通したリング部材6は、電線末端側の外部絶縁体4が剥離されて外部導体3が露出される部分よりも電線基端側へ位置付けられるように、挿通位置を調整しておく。そして、リング部材6を電線基端側へ位置付けた後、電線末端側の外部絶縁体4及び内部絶縁体2を剥離して外部導体3及び内部導体1を露出させる。その際、露出された外部導体3よりも電線末端側へ内部絶縁体2が露出され、露出された内部絶縁体2よりも電線末端側へ内部導体1が露出された状態となるように、外部絶縁体4及び内部絶縁体2を剥離するとともに、外部導体3の露出長さを調整する。例えば、外部導体3の露出長さは、外部導体端子5の接続部51の円筒軸方向の長さ(両端開口間の寸法)よりも僅かに大寸に設定し、接続部51の外周面に撚り線31が圧着接続された状態で、露出部分の先端が接続部51の鍔部53と当接した状態となるように調整すればよい(
図2参照)。露出長さをこのような設定とすれば、外部導体端子5の挿通作業時には露出部分の先端が鍔部53と干渉することがなく、作業を容易に行うことができる。このように外部導体3及び内部導体1が露出された後、外部導体端子5を電線末端側から挿通する。その際、外部導体端子5は、鍔部53とは反対側の開口から接続部51へ電線Cを挿通し、鍔部53及び端子部52が電線末端側に位置付けられるようにする。なお、本実施形態においては、
図1(a),(b)に示すように、外部導体3及び内部導体1を露出させる前にリング部材6を電線Cに挿通しているが、リング部材6は、外部導体3及び内部導体1を露出させた後で電線Cに挿通しても構わない。ただし、リング部材6が外部導体端子5よりも電線基端側へ位置付けられた状態となるように、外部導体端子5との間で相互に電線Cへの挿通方向や挿通順を調整する。
【0021】
図1(c)には、外部導体端子5を挿通した後の電線Cの状態を示す。
図1(c)に示すように、外部導体3は、螺旋状に巻線された状態(同図(b)に示す状態)で露出されている複数の撚り線31の巻回を解き、これらの撚り線31がバラけた状態とする。そして、電線Cに挿通した外部導体端子5を、外部絶縁体4を剥離して外部導体3(複数の撚り線31)が露出された部位の内部絶縁体2の外周位置まで電線基端側へ移動させる。その際、外部導体端子5は、接続部51の外周面に外部導体3の撚り線31が接して配置された状態で、内部絶縁体2の外周に接続部51が被冠される。すなわち、露出された外部導体3の撚り線31と内部絶縁体2の外周との間に接続部51が挿入され、これらの間に介在された状態となるように、外部導体端子5を位置付ける。換言すれば、外部導体端子5は、接続部51の鍔部53とは反対側の開口が撚り線31の露出部分の基端近傍まで達するように電線Cへ挿通すればよいため、容易に位置決めすることができる。このように外部導体端子5を位置付けた後、外部導体3(複数の撚り線31)が露出された部分よりも電線基端側へ位置付けておいたリング部材6を電線Cに沿って電線末端側へ移動させる。
【0022】
図1(d)には、リング部材6を電線末端側へ移動させた後の電線Cの状態を示す。
図1(d)に示すように、リング部材6は、電線末端側へ移動され、接続部51の外周面に接して位置付けられた外部導体3の撚り線31の外周に被冠される。すなわち、かかる外部導体3の撚り線31がリング部材6の内周面と外部導体端子5の接続部51の外周面との間に介在された状態となるように、リング部材6を位置付ける。
【0023】
図1(e)には、リング部材6を外部導体3の撚り線31の外周に被冠させた後の電線Cの状態を示す。
図1(e)に示すように、リング部材6は、外部導体3の撚り線31の外周に被冠された状態、つまり、撚り線31がリング部材6の内周面と接続部51の外周面との間に介在された状態で、外周部から全周に亘ってかしめられ、縮径方向へ変形される。
図1(e)には、一例として、外形が六角形状となるようにリング部材6がかしめられた後の状態を示す。この状態においては、
図2に示すように、リング部材6が外部導体3の撚り線31及び外部導体端子5の接続部51を介して、電線Cの内部絶縁体2の外周に圧着固定されている。この結果、接続部51の外周面に撚り線31が圧着接続され、外部導体端子5と外部導体3を相互に接続させることができる。このように、外部導体3の撚り線31をリング部材6に被冠された状態で接続部51と圧着接続させることができるため、圧着接続後における外部導体3の露出部分をリング部材6と外部絶縁体4との間の電線長さ方向の隙間のみに止めることができる。
【0024】
また、露出された内部導体1には、内部導体端子7が接続される。なお、内部導体1に対する内部導体端子7の接続方法は、特に限定されず、任意の方法を用いることが可能である。例えば、内部導体端子7は、超音波溶着により内部導体1に接続させることができる。また、
図1(e)には、電線Cの長さ方向と交差する方向に対して平板状に延設され、外部導体端子5と平行に対向する端子部を有する内部導体端子7の構成を一例として示しているが、内部導体端子7の構成はこれに限定されず、接続される相手側端子の形状に応じて任意の形状とすることが可能である。例えば、
図4に示すように、内部導体端子は、電線Cの長さ方向に沿って平板状に延設された複数の端子部71,72を有する構成としても構わない。
【0025】
なお、上述した接続構造においては、リング部材6をかしめることで、接続部51の外周面に撚り線31を圧着接続させる構造としているが、リング部材をかしめることなく、接続部51の外周面に撚り線31を圧着接続させる構造であっても構わない。このようなリング部材を用いた接続構造の一例を
図5及び
図6に示す。
図5(a),(b)は、かかる接続構造について、外部導体端子5を電線Cの外部導体3と接続する手順の一例に沿って示す図であり、
図6は、外部導体端子5を電線Cの外部導体3と接続させた後の状態を示す
図5(b)における矢印A5の部分における縦断面を矢印方向から示す図である。
【0026】
この場合、リング部材60は、内径寸法が電線C(外部絶縁体4)の径寸法よりも僅かに大寸に設定された円筒状をなすとともに、円筒軸方向の一端側の開口周縁から拡径方向へ全周に亘って突出する拡径鍔部(円板状の突出部)61を有する構成となっている。なお、拡径鍔部61の突出寸法は、リング部材60が外部導体3の撚り線31及び外部導体端子5の接続部51を介して、電線Cの内部絶縁体2の外周に圧着固定された際、拡径鍔部61が外部導体端子5の鍔部53と密着された状態(
図6参照)において、拡径鍔部61の周縁が鍔部53の周縁と面一となるように設定すればよい。
【0027】
かかるリング部材60を用いた外部導体端子5と電線Cの外部導体3との接続にあたっては、まず、上述した
図1(a),(b)と同様の作業を行う。この場合、リング部材6がリング部材60に置換されるだけで、作業内容は共通する。
【0028】
図5(a)には、
図1(a),(b)に相当する作業をリング部材60を用いて行った後の電線Cの状態を示す。この状態において、
図1(c)に示す場合と同様に、接続部51の外周面に外部導体3の撚り線31が接して配置された状態、つまり、露出された外部導体3の撚り線31と内部絶縁体2の外周との間に接続部51が挿入され、これらの間に介在された状態となるように、外部導体端子5を位置付ける。このように外部導体端子5を位置付けた後、外部導体3(複数の撚り線31)が露出された部分よりも電線基端側へ位置付けておいたリング部材60を電線Cに沿って電線末端側へ移動させる。
【0029】
図5(b)には、リング部材60を電線末端側へ移動させた後の電線Cの状態を示す。
図5(b)に示すように、リング部材60は、電線末端側へ移動され、接続部51の外周面に接して位置付けられた外部導体3の撚り線31の外周に被冠される。その際、リング部材60は、かかる外部導体3の撚り線31がリング部材6の内周面と外部導体端子5の接続部51の外周面との間に介在された状態となるように、撚り線31の外周にリング部材60の内周面を当接させつつ、電線末端側へ圧入される。そして、拡径鍔部61が外部導体端子5の鍔部53と当接するまでリング部材60を電線末端側へ圧入させる。
図6に示すように、この状態において、リング部材60は、拡径鍔部61が外部導体端子5の鍔部53と密着し、外部導体3の撚り線31及び外部導体端子5の接続部51を介して、電線Cの内部絶縁体2の外周に圧着固定される。この結果、接続部51の外周面に撚り線31が圧着接続され、外部導体端子5と外部導体3を相互に接続させることができる。また、
図1(e)に示す場合と同様に、露出された内部導体1には、内部導体端子7が接続される。なお、内部導体1に対する内部導体端子7の接続方法や内部導体端子7の構成は、上述したリング部材6を用いた接続構造の場合と同様である。
【0030】
上述した本実施形態においては、外部絶縁体4を剥離して外部導体3が露出された部位の内部絶縁体2の外周に外部導体端子5の接続部51を被冠させた接続構造としているが、外部導体3が露出された部位に隣接する部位の外部絶縁体4の外周に接続部51を被冠させた接続構造であっても構わない。以下、このように接続部51を外部絶縁体4の外周に被冠させた接続構造を、本発明の第2の実施形態として説明する。なお、第2の実施形態に係る接続構造に係る電線、外部導体端子、リング部材の基本的な構成は、上述した第1の実施形態に係る接続構造(
図1〜
図6)と同様としている。したがって、第1の実施形態に係る接続構造と同一もしくは類似する構成部材については図面上で同一符号を付して説明を省略し、以下では、第2の実施形態に特有の構成について詳述する。
【0031】
図7及び
図8には、本発明の第2の実施形態に係る接続構造を示す。
図7(a)〜(f)は、かかる接続構造について、外部導体端子を電線の外部導体と接続する手順の一例に沿って示す図であり、
図8は、外部導体端子を電線の外部導体と接続させた後の状態を示す
図7(f)における矢印A7の部分における縦断面を矢印方向から示す図である。
【0032】
本実施形態に係る接続構造について、
図7(a)〜(f)に示す接続手順に沿って具体的に説明する。外部導体端子5と電線Cの外部導体3との接続にあたっては、まず、電線Cに対して外部導体端子5を挿通する。一例として、
図7(a)には、電線Cに対して電線末端側から外部導体端子5を挿通する場合を一例として示すが、外部導体端子5は、電線基端側から挿通しても構わない。その際、外部導体端子5は、鍔部53側の開口から接続部51へ電線Cを挿通し、鍔部53及び端子部52が電線基端側に位置付けられるようにする。なお、本実施形態において、外部導体端子5の接続部51は、内径寸法が電線Cの外部絶縁体4の径寸法よりも大寸に設定された円筒状をなしている。
【0033】
図7(b)には、外部導体端子5を挿通した後の電線Cの状態を示す。
図7(b)に示すように、挿通した外部導体端子5は、電線末端側の外部絶縁体4が剥離されて外部導体3が露出される部分よりも電線基端側へ位置付けられるように、挿通位置を調整しておく。そして、外部導体端子5を電線基端側へ位置付けた後、電線末端側の外部絶縁体4及び内部絶縁体2を剥離して外部導体3及び内部導体1を露出させる。その際、露出された外部導体3よりも電線末端側へ内部絶縁体2が露出され、露出された内部絶縁体2よりも電線末端側へ内部導体1が露出された状態となるように、外部絶縁体4及び内部絶縁体2を剥離するとともに、外部導体3の露出長さを調整する。例えば、外部導体3の露出長さは、かかる露出部分を電線基端側へ折り返し、接続部51の外周面に折り返した撚り線31が圧着接続された状態で、折り返した部分の先端が接続部51の鍔部53と僅かに隙間を空けて対向した状態となるように調整すればよい(
図8参照)。露出長さをこのような設定とすれば、外部導体3の折り返し作業時には折り返した部分の先端が鍔部53と干渉することがなく、作業を容易に行うことができる。なお、本実施形態においては、
図7(a),(b)に示すように、外部導体3及び内部導体1を露出させる前に外部導体端子5を電線Cに挿通しているが、外部導体端子5は、外部導体3及び内部導体1を露出させた後で電線Cに挿通しても構わない。
【0034】
図7(c)には、外部導体3及び内部導体1が露出された後の電線Cの状態を示す。
図7(c)に示すように、外部導体3は、螺旋状に巻線された状態(同図(b)に示す状態)で露出されている複数の撚り線31の巻回を解き、これらの撚り線31をバラけさせて放射状に広げられた状態とする。そして、外部導体3(複数の撚り線31)が露出された部分よりも電線基端側へ位置付けておいた外部導体端子5を電線Cに沿って電線末端側へ移動させる。
【0035】
図7(d)には、外部導体端子5を電線末端側へ移動させた後の電線Cの状態を示す。
図7(d)に示すように、外部導体端子5は、電線末端側へ移動され、外部絶縁体4を剥離して外部導体3(複数の撚り線31)が露出された部位に隣接する部位の外部絶縁体4の外周に被冠される。その際、外部導体端子5は、接続部51の鍔部53とは反対側の開口が放射状に広げられた撚り線31と当接するように電線Cへ挿通すればよいため、容易に位置決めすることができる。そして、放射状に広げられていた撚り線31は、接続部51の外周面に接して配置された状態となるように、電線基端側へ折り返される。すなわち、折り返された外部導体3の撚り線31と外部絶縁体4の外周との間に接続部51が挿入され、これらの間に介在された状態となるように、外部導体端子5を位置付ける。このように外部導体端子5を位置付けた後、リング部材6を電線末端側から挿通する。なお、本実施形態において、リング部材6は、電線Cの外部絶縁体4の外周に被冠された外部導体端子5の接続部51の外周面に外部導体3の撚り線31が接して位置付けられた部位(つまり、撚り線31の折り返し部位)における径寸法よりも大寸となるように内径寸法が設定されている。なお、外周部から全周に亘ってかしめることで縮径方向へ容易に変形させることが可能な部材であり、例えば、金属リング等を用いることが可能であることは、上述した第1の実施形態に係る接続構造の場合と同様である。
【0036】
図7(e)には、リング部材6を挿通した後の電線Cの状態を示す。
図7(e)に示すように、挿通したリング部材6は、電線Cに沿って電線基端側へ移動され、接続部51の外周面に接するように折り返された外部導体3の撚り線31の外周に被冠される。すなわち、かかる外部導体3の撚り線31がリング部材6の内周面と外部導体端子5の接続部51の外周面との間に介在された状態となるように、リング部材6を位置付ける。
【0037】
図7(f)には、リング部材6を折り返された撚り線31の外周に被冠させた後の電線Cの状態を示す。
図7(f)に示すように、リング部材6は、折り返された撚り線31の外周に被冠された状態、つまり、かかる撚り線31がリング部材6の内周面と接続部51の外周面との間に介在された状態で、外周部から全周に亘ってかしめられ、縮径方向へ変形される。
図7(f)には、一例として、外形が六角形状となるようにリング部材6がかしめられた後の状態を示す。この状態においては、
図8に示すように、リング部材6が外部導体3の撚り線31及び外部導体端子5の接続部51を介して、電線Cの外部絶縁体4の外周に圧着固定されている。この結果、接続部51の外周面に折り返された撚り線31が圧着接続され、外部導体端子5と外部導体3を相互に接続させることができる。このように、外部導体3の撚り線31をリング部材6に被冠された状態で接続部51と圧着接続させることができるため、圧着接続後における外部導体3の露出部分を撚り線31の折り返し部分のみに止めることができる。
【0038】
本実施形態において、外部導体端子5の端子部52の形状は、
図7に示すような形状には特に限定されず、接続される相手側端子の形状に応じて任意の形状とすることが可能である。例えば、
図9に示すように、接続部51の一端側の開口周縁から拡径方向へ突出した後、接続部51の円筒軸方向、該円筒軸方向と交差する方向へ順番に屈曲した後、再び円筒軸方向へ屈曲し、該円筒軸方向に沿って平板状に延設されるような端子部55としても構わない。また、露出された内部導体1には、内部導体端子7が接続される。なお、内部導体1に対する内部導体端子7の接続方法や内部導体端子7の構成についての取り扱いは、上述した第1の実施形態に係る接続構造の場合(
図1(e)参照)と同様である。
【0039】
なお、上述した接続構造においては、リング部材6をかしめることで、接続部51の外周面に撚り線31を圧着接続させる構造としているが、リング部材をかしめることなく、接続部51の外周面に撚り線31を圧着接続させる構造であっても構わない。このようなリング部材を用いた接続構造の一例を
図10及び
図11に示す。
図10(a),(b)は、かかる接続構造について、外部導体端子5を電線Cの外部導体3と接続する手順の一例に沿って示す図であり、
図11は、外部導体端子5を電線Cの外部導体3と接続させた後の状態を示す
図10(b)における矢印A10の部分における縦断面を矢印方向から示す図である。
【0040】
この場合、リング部材62は、内径寸法が外部導体3の撚り線31の折り返し部位における径寸法よりも僅かに大寸に設定された円筒状をなしている。また、リング部材62は、円筒軸方向の一端側の開口周縁から拡径方向へ全周に亘って突出する拡径鍔部(円板状の突出部)63を有するとともに、かかる拡径鍔部63に加えて、他端側の開口周縁から縮径方向へ全周に亘って突出する縮径鍔部(円板状の突出部)64を有している。なお、拡径鍔部63の拡径方向への突出寸法は、リング部材62が外部導体3の撚り線31及び外部導体端子5の接続部51を介して、電線Cの外部絶縁体4の外周に圧着固定された際、拡径鍔部63が外部導体端子5の鍔部53と密着された状態(
図11参照)において、拡径鍔部63の周縁が鍔部53の周縁と面一となるように設定すればよい。また、縮径鍔部64の縮径方向への突出寸法は、縮径鍔部64によって縮径されたリング部材62の内径寸法が電線Cの内部絶縁体2の外径寸法よりも僅かに大寸となるように設定すればよい(
図11参照)。
【0041】
かかるリング部材62を用いた外部導体端子5と電線Cの外部導体3との接続にあたっては、まず、上述した
図7(a)〜(c)と同様の作業を行う。この場合、リング部材6がリング部材62に置換されるだけで、作業内容は共通する。
【0042】
図10(a)には、
図7(a)〜(c)に相当する作業をリング部材62を用いて行った後の電線Cの状態を示す。この状態において、
図7(d)に示す場合と同様に、接続部51の外周面に外部導体3の撚り線31が接して配置された状態、つまり、折り返された外部導体3の撚り線31と内部絶縁体2の外周との間に接続部51が挿入され、これらの間に介在された状態となるように、外部導体端子5を位置付ける。このように外部導体端子5を位置付けた後、リング部材62を電線末端側から挿通する。
【0043】
図10(b)には、リング部材62を挿通した後の電線Cの状態を示す。
図10(b)に示すように、挿通したリング部材62は、電線Cに沿って電線基端側へ移動され、接続部51の外周面に接するように折り返された外部導体3の撚り線31の外周に被冠される。その際、リング部材62は、折り返された撚り線31がリング部材62の内周面と外部導体端子5の接続部51の外周面との間に介在された状態となるように、かかる撚り線31の外周にリング部材62の内周面を当接させつつ、電線末端側へ圧入される。そして、拡径鍔部63が外部導体端子5の鍔部53と当接するまでリング部材60を電線末端側へ圧入させる。
図11に示すように、この状態において、リング部材62は、拡径鍔部62が外部導体端子5の鍔部53と密着し、外部導体3の撚り線31及び外部導体端子5の接続部51を介して、電線Cの外部絶縁体4の外周に圧着固定される。この結果、接続部51の外周面に撚り線31が圧着接続され、外部導体端子5と外部導体3を相互に接続させることができる。なお、この状態においては、折り返された撚り線31が外部導体端子5の鍔部53とリング部材62の縮径鍔部64の間に挟み込まれた状態となっている。したがって、外部導体3の撚り線31をリング部材62に被冠された状態で接続部51と圧着接続させた後においては、外部導体3の撚り線31が外部に露出されることはない。また、
図7(f)に示す場合と同様に、露出された内部導体1には、内部導体端子7が接続される。なお、内部導体1に対する内部導体端子7の接続方法や内部導体端子7の構成についての取り扱いは、上述したリング部材6を用いた接続構造の場合と同様である。
【0044】
以上、第1の実施形態(
図1〜
図6)及び第2の実施形態(
図7〜
図11)によれば、外部導体端子5の接続部位における外部導体3(撚り線31)の露出部分を狭小化することができる。これにより、外部導体3に対する外部導体端子5の接続部位の体格を小さくすることが可能となる。また、接続にあたって複数の撚り線31同士を撚り合わせる作業は必要なく、接続作業の効率化と接続品質の向上を図ることができる。