(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔成分(A):オルガノポリシロキサン〕
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、ウェーブを乱れる前の状態に戻す効果に寄与する。成分(A)において、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントは、オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して少なくとも2つ結合することが可能であるが、両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましい。
【0017】
オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)との結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基としては、窒素原子、酸素原子及び/又はイオウ原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられる。その具体例としては、
【0019】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN-アシルアルキレンイミン単位は前記一般式(1)で表されるものであるが、一般式(1)において、R
1の炭素数1〜22のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜22の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が例示される。中でも、炭素数1〜10、特に炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
【0020】
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜15のアラルキル基が例示され、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が例示される。中でも、炭素数7〜14、特に炭素数7〜10のアラルキル基がより好ましい。
【0021】
アリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基が例示され、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が例示され、中でも、炭素数6〜12、特に炭素数6〜9のアリール基がより好ましい。
【0022】
これらの中でも、R
1としては、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
【0023】
オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント(A)との質量比(a/b)は65/35〜82/18であるが、べたつかず、かつ毛髪にしっとりとした滑らかさを与え、ウェーブのカールや束の揃いを乱れる前の状態に回復する効果が優れたものとする観点から、好ましくは68/32〜80/20、更に好ましくは70/30〜79/21、更に好ましくは73/27〜79/21である。
【0024】
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、成分(A)のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(
1H-NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0025】
また、隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWg)は1500〜3500が好ましく、べたつかず、かつウェーブのカールや束の揃いを乱れる前の状態に回復する効果が優れたものとする観点から、好ましくは1600〜3200、更に好ましくは1700〜3000である。
【0026】
本明細書において、「隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式(2)に示すように、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR
2SiO単位と、1つのR
6と、b+1個のR
22SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R
6に結合する−Z−R
7をいう。
【0028】
上記一般式(2)中、R
2はそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基又はフェニル基を示し、R
6はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、R
7は重合開始剤の残基を示し、−Z−R
7はポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、bは正の数を示す。
【0029】
MWgは、上記一般式(2)において破線で囲まれた部分の分子量であるが、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができ、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N-アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
【0030】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、N-アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度とから算出する方法又は後述するゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定することが可能であるが、本発明においてはGPC測定法により測定される数平均分子量をいい、800〜1600であるが、好ましくは850〜1500、更に好ましくは900〜1400である。これにより、べたつかず、ウェーブのカールや束の揃いを乱れる前の状態に回復する効果がより優れたものとすることができる。
【0031】
また、MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(Csi)を用いて下記式により求めることができる。
【0033】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は10,000〜100,000であるが、十分な皮膜強度、水等の極性溶媒への溶解性と溶解後の取り扱いやすさの観点から、好ましくは20,000〜80,000、更に好ましくは30,000〜60,000である。MWsiは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、下記測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0034】
カラム :Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー株式会社製)
溶離液 :1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器 :UV
サンプル :50μL
【0035】
成分(A)のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWt)は、好ましくは12,000〜150,000、より好ましくは24,000〜120,000、更に好ましくは37,000〜92,000である。これにより、十分な皮膜強度を確保でき、加えて水等の極性溶媒に対する溶解性が優れるようになる。また、べたつかず、かつウェーブのカールや束の揃いを乱れる前の状態に回復する効果がより一層向上したものとすることができる。本明細書において、MWtは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と、前述の質量比(a/b)とから求めることができる。
【0036】
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンと、下記一般式(4)で表される環状イミノエーテル(以下「環状イミノエーテル(4)」というものとする)を開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0038】
〔式中、R
2は上記と同義であり、R
3、R
4はそれぞれR
2と同一の基を示すか又は下記式
【0040】
のいずれかで表される1価の基を示し、R
5は上記式で表される1価の基を示し、dは135〜1350の整数を示し、eは3〜57の整数を示す。〕
【0042】
〔式中、R
1及びaは前記と同義である。〕
【0043】
変性オルガノポリシロキサンとしては、官能基当量が好ましくは1700〜3500、より好ましくは1800〜3200、特に好ましくは2000〜3000であり、かつ重量平均分子量が好ましくは10,000〜100,000、より好ましくは20,000〜80,000、特に好ましくは30,000〜60,000であるものを使用するのが望ましい。
【0044】
また、末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)は、分子量を好ましくは800〜1600、より好ましくは850〜1500、更に好ましくは900〜1400に調整することが望ましい。
【0045】
環状イミノエーテル(4)の開環重合には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、求電子反応性の強い化合物、例えば、ベンゼンスルホン酸アルキルエステル、p-トルエンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロ酢酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル等の強酸のアルキルエステルを使用することができ、中でも硫酸ジアルキルが好適に使用される。重合開始剤の使用量は、通常、環状イミノエーテル(4)2〜100モルに対して、重合開始剤1モルである。
【0046】
重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒を使用することができ、中でも酢酸エステル類が好適に使用される。溶媒の使用量は、通常、環状イミノエーテル(4)の100質量部に対して20〜2000質量部である。
【0047】
重合温度は通常30〜170℃、好ましくは40〜150℃であり、重合時間は重合温度等により一様ではないが、通常1〜60時間である。
【0048】
環状イミノエーテル(4)として、例えば、2-置換-2-オキサゾリンを用いれば、前記一般式(1)において、a=2のポリ(N-アシルエチレンイミン)が得られ、2-置換−ジヒドロ-2-オキサジンを用いれば、上記一般式(1)において、a=3のポリ(N-アシルプロピレンイミン)が得られる。
【0049】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)と、オルガノポリシロキサンセグメントとの連結方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
1)環状イミノエーテルをリビング重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)に、上記一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンを反応させる方法
2)カルボキシル基と水酸基との縮合によるエステルの形成反応
3)カルボキシル基とアミノ基との縮合によるアミドの形成反応
4)ハロゲン化アルキル基と、1級、2級又は3級アミノ基との2級、3級又は4級アンモニウムの形成反応
5)Si−H基を有するオルガノポリシロキサンへのビニル基の付加反応
6)エポキシ基とアミノ基とのβ−ヒドロキシアミン形成反応
【0050】
中でも、上記1)の方法は、下に示す理論式(式中、MWiはポリ(N-アシルアルキレンイミン)の分子量)のように、環状イミノエーテル(4)と重合開始剤の使用量で重合度を容易に制御でき、しかも通常のラジカル重合よりも分子量分布の狭い略単分散のポリ(N-アシルアルキレンイミン)が得られる点で最も有効である。
【0052】
成分(A)のオルガノポリシロキサンとしては、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン等が挙げられる。
【0053】
成分(A)のオルガノポリシロキサンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有量は、ウェーブを乱れる前の状態に戻す効果とべたつき抑制の観点から、本発明の整髪剤組成物中の0.1〜10質量%であるが、0.1〜7質量%、更には0.5〜5質量%が好ましい。
【0054】
〔成分(B):酸化アルキレン付加重合体〕
成分(B)は、髪にしっとり感を与えるために用いられる。しっとり感付与のために、通常用いられる油剤を配合した場合には、界面活性剤を配合しても成分(A)の十分な分散性を確保することができないが、成分(B)は、成分(A)の分散性を低下させることなく、髪にしっとり感を与えることができる。
【0055】
成分(B)は、下記一般式(5)で表される酸化アルキレン付加重合体から選ばれる1種以上である。
【0057】
一般式(5)中のR
8及びR
9はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を示すが、両者が同時に水素原子となることはない。mは1以上の整数、nは0以上の整数であるが、m≧nであるのがセット状及びまとまり感の点で好ましい。また、特にnが1以上であることが好ましい。m+nは3以上であるが、セット性及びまとまり感の点で20〜200が好ましく、更に30〜200が好ましく、特に30〜150が好ましい。更に、整髪剤が泡状である場合、泡もちの観点からR
8及びR
9のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は1〜16、更には1〜14、更には1〜12が好ましい。
【0058】
成分(B)の具体例としては、例えばポリオキシプロピレン(30)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(33)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(40)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(52)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(30)オレイルエーテル、ポリオキシプロピレン(40)リシノイルエーテル、ポリオキシプロピレン(30)イソセチルエーテル等のポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(17)ブチルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(35)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(40)ベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジアルキルエーテルが挙げられる。
【0059】
上記の酸化アルキレン付加重合体は市販されており、例えば(株)ADEKAから販売されているアデカプルロニックLシリーズ、三洋化成工業(株)から販売されているニューポールPEシリーズ、日本油脂(株)から販売されているユニルーブ10MSシリーズやユニセーフシリーズ、ユニルーブ50MBシリーズ、東邦化学(株)から販売されているベポールシリーズ、NOFアメリカ社から販売されているマクビオブライドEシリーズ等の市販品を使用することができる。
【0060】
成分(B)の含有量は、毛髪への良好なしっとり感付与効果と、べたつき感及びきしみ感抑制の観点から、本発明の整髪剤組成物中の0.1〜10質量%であるが、0.1〜10質量%、更には0.1〜7質量%、更には0.5〜5質量%が好ましい。また一般式(5)において、m+nが30以上、かつm≧nであるものは、特に良好なセット性とまとまり感を付与する効果に優れる。
【0061】
〔成分(C):成分(B)、成分(D)以外の界面活性剤〕
成分(C)は、アニオン性、両性又は非イオン性の界面活性剤(成分(B)に該当するものを除く)、すなわち成分(B)、成分(D)以外の界面活性剤であり、成分(A)を良好に分散させるため、本発明の整髪剤組成物に配合される。
【0062】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。上記界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。またカチオン性残基の対イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、メトサルフェートイオン、サッカリネートイオンを挙げることができる。
【0063】
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。中でも、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤が好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0064】
成分(B)以外の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。
【0065】
成分(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、中でも非イオン界面活性剤を使用するのが好ましい。また、成分(A)の良好な分散性及び塗布時のきしみ感抑制の観点から、その含有量は、本発明の整髪剤組成物中の0.4〜5質量%、更には0.4〜4質量%、更には0.4〜3質量%が好ましい。
【0066】
〔成分(D):カチオン界面活性剤〕
本発明において、成分(D)のカチオン界面活性剤を少量配合することにより、成分(C)によるきしみ感を緩和することができる。カチオン界面活性剤としては、次の一般式(6)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0068】
〔式中、R
10及びR
11は各々独立して水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示し、同時に水素原子、ベンジル基若しくは炭素数1〜3の低級アルキル基又はこれらの組み合わせとなる場合を除く。An
-は前記と同義である。〕
【0069】
ここでR
10及びR
11は、その一方が炭素数16〜24、更には22のアルキル基、特に直鎖アルキル基であるのが好ましく、また他方は炭素数1〜3の低級アルキル基、特にメチル基であるのが好ましい。
【0070】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0071】
成分(D)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、成分(C)によるきしみ感を十分に抑制する点から、その含有量は本発明の整髪剤組成物中0.05質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましい。また、成分(D)が過多である場合の成分(D)自身によるきしみ感を抑制する観点から、その含有量は、本発明の整髪剤組成物中の0.4質量%以下である。
更に成分(A)の分散性と整髪剤組成物塗布時のきしみ感の抑制の観点から、成分(C)と成分(D)の含有量の質量比は(C)/(D)=1.2〜80が好ましく、更に1.25〜80が好ましく、特に1.3〜70が好ましい。
【0072】
〔成分(E):水〕
本発明の整髪剤組成物は、水を媒体とする。媒体としては、水に加え、必要により上記特定有機溶剤以外の有機溶剤を使用することもできる。このような有機溶剤としては、エタノール、2-プロパノール等の低級アルカノール類、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のポリオール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
【0073】
〔その他の成分〕
本発明の整髪剤組成物には、通常整髪剤に使用される各種成分、例えば、キレート剤、ビタミン類、蛋白質、アミノ酸類、生薬類、冷涼感付与剤(メントール等)、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、香料等を、目的に応じて配合することができる。
【0074】
〔剤型〕
本発明の整髪剤組成物の形態は、泡状、液状、霧状、ゲル状、ペースト状、クリーム状等、適宜選択できるが、特に泡状整髪剤として好適であり、中でもノンエアゾールフォーマー容器に収容して、泡状に吐出して用いるのが好ましい。
【0075】
〔粘度〕
本発明の整髪剤組成物をノンエアゾールフォーマー容器に収容する場合、ノンエアゾールフォーマー容器から泡として好適に吐出できるものとする観点から、ノンエアゾール容器中に存在する状態で(泡として吐出させる前の液状の状態で)、1〜100mPa・s、更には2〜30mPa・s、特に3〜20mPa・sが好ましい。なお、ここでの粘度は、25℃、B型回転粘度計で、1〜20mPa・sの場合はBLアダプターを用いて回転速度は30rpmで測定し、それ以上の粘度の場合はローターNo.1を用い、回転速度は60rpmで測定するものとする。
【0076】
〔ノンエアゾールフォーマー容器〕
ノンエアゾールフォーマー容器は、容器内に充填された整髪剤組成物を、噴射剤を使用することなく空気と混合して泡状に吐出させるために使用する。フォーマー容器の使用により、吐出させた剤の飛び散りを防止できるという効果も得られる。特に、ノンエアゾールタイプの容器は、エアゾールタイプの容器に比べて、製品を安価に製造可能であり、高圧ガスの噴射剤が不要であるため、製品を流通においてより安全に取り扱うことができる。
【0077】
フォーマー容器としては、泡吐出手段を有する公知のポンプフォーマー容器、スクイズフォーマー容器、電動式泡立て器、蓄圧式ポンプフォーマー容器等を使用することができる。より具体的には、例えば、食品と容器(vol.35, No.10, p588〜593(1994); vol.35, No.11, p624〜627(1994); vol.36, No.3, p154〜158(1995))に記載のポンプフォーマーE3タイプ、同F2タイプ(以上、大和製罐社)、スクイズフォーマー(大和製罐社)、電動泡立て器(松下電工社)、エアスプレーフォーマー(エアスプレーインターナショナル社)等が挙げられる。本発明の整髪剤に用いるフォーマー容器としては、安価で使い勝手が良いことから、ポンプフォーマー容器及びスクイズフォーマー容器が好ましい。
【0078】
ポンプフォーマー容器又はスクイズフォーマー容器は、ネット等の泡均質化手段を有するものであり、目詰まりの発生防止の観点から薄肉のネットを有することが好ましい。この場合、ネットのメッシュとしては、50〜400メッシュ、更には70〜350メッシュ、更には100〜320メッシュが好ましい。ここで、メッシュとは、1インチ当たりの目の数をいう。この範囲のメッシュのネットを使用することにより、クリーミーな泡を生成することができる。また、このようなメッシュの材質としては、ナイロン、ポリエステル等を好ましく例示することができる。
【0079】
本発明の整髪剤組成物を収容するノンエアゾールフォーマー容器には、このようなネットを少なくとも一枚、好ましくは複数枚配設し、特に経済性、泡のきめ細かさ、目詰まりにくさ等の点から2枚配設することが好ましい。
【0080】
本発明の整髪剤組成物は、手又は整髪するための道具にとり、乾いた毛髪に塗布して整髪を行う。整髪性の点からは、本発明の整髪剤組成物を毛髪に塗布した後、毛髪にもみこむのが好ましい。本発明の整髪剤組成物を用いた整髪方法は、パーマネント・ウェーブ処理された毛髪に対して行うことが好ましく、特に毛髪が乾いたことでウェーブのカール径が大きくなり、毛束のそろいが悪くなった毛髪に対して行うことが好ましい。パーマネント・ウェーブ処理された毛髪に対して本整髪方法を行う際には、本発明の整髪剤組成物を毛髪に塗布した後、毛束を手で握って持ち上げるようにしてくせ付けしながら剤をもみこむのが好ましい。
【実施例】
【0081】
合成例1 オルガノポリシロキサンAの合成
硫酸ジエチル19.0g(0.12モル)と2-エチル-2-オキサゾリン81.0g(0.82モル)を脱水した酢酸エチル203.0gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1100であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)300gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(390g、収率97%)として得た。最終生成物のシリコーンセグメントの含有率は75質量%、重量平均分子量は40000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果によると、約20モル%のアミノ基が残存していた。
【0082】
合成例2 オルガノポリシロキサンBの合成
硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2-エチル-2-オキサゾリン34.4g(0.36モル)を脱水した酢酸エチル87gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、数平均分子量1300のポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)100gを用いて、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(138g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、重量平均分子量は46000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約22質量%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0083】
合成例3 オルガノポリシロキサンCの合成
合成例1と同様の方法により、硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2-エチル-2-オキサゾリン12.8g(0.14モル)、脱水した酢酸エチル29gから、数平均分子量2700のポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gを用いて、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%であり、重量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0084】
合成例4:オルガノポリシロキサンD
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン93.8g(0.947モル)を脱水した酢酸エチル203gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2500であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30,000、アミン当量2,000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(190g、収率95%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は50質量%、重量平均分子量は60,000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約20モル%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0085】
実施例1〜9、比較例1〜13
表1及び2に示す整髪剤組成物(液剤)を調製し、この液剤を手に取り、以下の方法及び基準に従って、「乾き髪へのなじみ」、「塗布時の髪のきしみ感のなさ」、「伸ばしたウェーブのカールの戻り」、「ウェーブの束の揃い」、「ウェーブ束のなめらかさ・しっとり感」、「べたつきのなさ」について性能評価を行った。ただし、泡の持ちに関する評価は、表1及び表2に示す整髪剤組成物を調製した後、株式会社吉野製作所製ポンプフォーマー(メッシュ部の目の大きさは、泡が先に通過するのが200メッシュ、後に通過するのが305メッシュである2枚メッシュ品)に充填し、吐出した泡について評価を行った。
なお、実施例3は参考例であって特許請求の範囲に包含されるものではない。
【0086】
<評価用毛束>
重さ3g、幅2.5cm、長さ25cmの日本人毛髪パーマ施術毛束(自然乾燥時カール径4cm)の毛束をモデルシャンプーで洗浄後、タオルドライした後、ドライヤーとブラシでストレートにブローし、完全に乾燥させたものを評価用毛束として使用した。
【0087】
<評価方法及び評価基準>
(乾き髪へのなじみ)
専門パネラー5名により、剤を評価用毛束に塗り広げた際の「乾き髪へのなじみ」について、下記5段階で官能評価を行い、平均値で示した。
5点:毛髪に素早く極めて均一になじむ
4点:毛髪に素早く均一になじむ
3点:毛髪に素早くなじむが、ところどころ均一に塗布できない部分がある
2点:毛髪になじみにくく、均一に塗布できない部分が多くある
1点:毛髪に非常になじみにくく、ほとんど均一に塗布できていない
【0088】
(塗布時の髪のきしみ感のなさ)
専門パネラー5名により、剤を評価用毛束に塗り広げた際の「塗布時の髪のきしみ感」について、下記5段階で官能評価を行い、平均値で示した。
5点:塗布時に髪のきしみを全く感じない
4点:塗布時に髪のきしみをほとんど感じない
3点:塗布時に髪のきしみをやや感じる
2点:塗布時に髪のきしみを感じる
1点:塗布時に髪のきしみを極めて感じる
【0089】
(伸ばしたウェーブのカール半径の戻り)
専門パネラー5名により、剤を評価用毛束に塗り広げ、毛束を手で握って持ち上げるようにしてくせ付けしながら剤をもみこむ動作を10回行い、自然乾燥したときの「伸ばしたウェーブのカール半径の戻り」について、下記5段階で官能評価を行い、平均値を示した。
なお、評価は比較としてシャンプー・タオルドライ後自然乾燥で12時間経過後の毛束を用いた。
5点:ウェーブのカール径が自然乾燥時のカール径と同程度
4点:ウェーブのカール径が自然乾燥時のカール径よりわずかに大きい
3点:ウェーブのカール径が自然乾燥時のカール径よりやや大きい
2点:ウェーブのカール径が自然乾燥時のカール径より非常に大きくなっている
1点:ウェーブのカール径が自然乾燥時のカール径よりややうねっている程度
【0090】
(ウェーブの束の揃い)
専門パネラー5名により、剤を評価用毛束に塗り広げ、毛束を手で握って持ち上げるようにしてくせ付けしながら剤をもみこむ動作を10回行い、自然乾燥したときの「ウェーブの束の揃い」について、下記5段階で官能評価を行い、平均値を示した。なお、評価は比較としてシャンプー・タオルドライ後自然乾燥で12時間経過後の毛束を用いた。
5点:ウェーブの束が自然乾燥時の束よりも揃いが非常に良い
4点:ウェーブの束が自然乾燥時の束よりも揃いがやや良い
3点:ウェーブの束が自然乾燥時の束と同程度に揃っている
2点:ウェーブの束が自然乾燥時の束よりも揃いがやや悪い
1点:ウェーブの束が自然乾燥時の束よりも揃いが非常に悪い
【0091】
(ウェーブ束のなめらかさ・しっとり感)
専門パネラー5名により、剤を評価用毛束に塗り広げ、毛束を手で握って持ち上げるようにしてくせ付けしながら剤をもみこむ動作を10回行い、自然乾燥したときの「ウェーブの束のなめらかさ・しっとり感」について、下記5段階で官能評価を行い、平均値で値を示した。
5点:ウェーブの束のなめらかさ・しっとり感を感じる
4点:ウェーブの束のなめらかさ・しっとり感をやや感じる
3点:どちらともいえない
2点:ウェーブの束のなめらかさ・しっとり感をあまり感じない
1点:ウェーブの束のなめらかさ・しっとり感を感じない
【0092】
(べたつきのなさ)
専門パネラー5名によりセットした毛束の「べたつきのなさ」について、下記5段階で官能評価を行い、平均値で値を示した。
5点:べたつかない
4点:あまりべたつかない
3点:どちらともいえない
2点:ややべたつく
1点:べたつく
【0093】
(泡の持ち)
5点:泡の持ちが非常に良い
4点:泡の持ちが良好
3点:どちらともいえない
2点:泡の持ちがやや悪い
1点:泡の持ちが悪い
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】