特許第5945177号(P5945177)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945177
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20060101AFI20160621BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   F24H9/00 E
   F24H1/18 G
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-150620(P2012-150620)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-13110(P2014-13110A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】眞柄 隆志
(72)【発明者】
【氏名】高地 正喜
(72)【発明者】
【氏名】小林 徳司
(72)【発明者】
【氏名】広野 徳純
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−117672(JP,A)
【文献】 特開2011−257012(JP,A)
【文献】 特開2011−94925(JP,A)
【文献】 特開2005−147413(JP,A)
【文献】 特開2008−57794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 1/00
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、一次側の湯水と二次側の被加熱水と熱交換するプレート式の外熱交換器と、前記外熱交換器の一次側に熱源となる前記貯湯タンク内の湯水を循環させる一次側循環回路と、前記貯湯タンクに取り付けられる成形断熱材と、前記成形断熱材に前記外熱交換器を収容する凹状の収容部と、この収容部に前記外熱交換器を収容した状態で塞ぐ断熱蓋を設け、前記収容部は、前記外熱交換器を収容した際に、この外熱交換器の背面側および上面側に中空の断熱空間が形成される大きさとすると共に、前記収容部には前記外熱交換器のみを収容したことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンク内の湯水を熱源として外熱交換器によって被加熱水を加熱する貯湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置においては、図6に示すように、角柱箱状の外装体101内に具備された湯水を貯湯する貯湯タンク102と、貯湯タンク102内の湯水を熱源として被加熱水と熱交換させるプレート式の外熱交換器103と、貯湯タンク102を囲繞する成形断熱材104とを備え、外熱交換器103を成形断熱材104に形成された収納部105に収納するものがあった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−25454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この従来のものでは、外熱交換器103の背面側の成形断熱材104を介した貯湯タンク102との伝熱によって外熱交換器103が加熱または冷却されてしまい、特に被加熱水の流動停止時に外熱交換器103内に残留する被加熱水の温度が意図しない変動が生じてしまうと共に、貯湯タンク102から外熱交換器103への伝熱によって、貯湯タンク102内の湯が放熱して温度低下してしまい被加熱水の熱源の質が低下し、かつ給湯可能量が減少してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、一次側の湯水と二次側の被加熱水と熱交換するプレート式の外熱交換器と、前記外熱交換器の一次側に熱源となる前記貯湯タンク内の湯水を循環させる一次側循環回路と、前記貯湯タンクに取り付けられる成形断熱材と、前記成形断熱材に前記外熱交換器を収容する凹状の収容部と、この収容部に前記外熱交換器を収容した状態で塞ぐ断熱蓋を設け、前記収容部は、前記外熱交換器を収容した際に、この外熱交換器の背面側および上面側に中空の断熱空間が形成される大きさとすると共に、前記収容部には前記外熱交換器のみを収容した。
【0006】
また、前記収容部内の前記外熱交換器の背面側および上面側に、前記外熱交換器の収容位置をこの収容部の下方かつ前面側に偏った位置に規制する背面当接部および上面当接部を設け、前記背面当接部が前記外熱交換器の背面に当接し、前記上面当接部が前記外熱交換器の上面に当接することで、前記外熱交換器の背面側および上面側に前記断熱空間を形成するようにした。
【0007】
また、前記背面当接部は、前記収容部の底面から内周面に沿って前記収容部内面と一体に立ち上がった奥側段縁部により構成され、前記上面当接部は、前記収容部の底面から内周面に沿って前記収容部内面および前記奥側段縁部と一体にかつ前記奥側段縁部よりも手前側まで立ち上がった手前側段縁部と、前記奥側段縁部と、を接続する段差接続面により構成され、前記奥側段縁部が前記外熱交換器の背面に当接し、前記段差接続面が前記外熱交換器の上面に当接することで、前記外熱交換器の背面側および上面側に前記断熱空間を形成するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外熱交換器の背面側および上面側に断熱空間が設けられたため、貯湯タンクと外熱交換器との間の伝熱が減り、被加熱水の流動停止時の温度が安定すると共に、貯湯タンク内の湯の温度低下も減るため、被加熱水を加熱する熱源としての質の低下と給湯可能量の減少を抑制し、湯切れの防止と貯湯効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の貯湯式給湯暖房装置の概略構成図
図2】同一実施形態の成形断熱材の斜視図
図3】同一実施形態の要部縦断面図
図4】同一実施形態のA−A断面図
図5】同一実施形態のB−B断面図
図6】従来の貯湯式給湯装置の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を図面に示した一実施形態の貯湯式給湯暖房装置に基づいて説明する。
図1において、1は湯水を貯湯する略円柱形の貯湯タンク、2は貯湯タンク1の下部に接続された給水管、3は貯湯タンク1の上部に接続された出湯管、4は貯湯タンク1内の湯水を加熱するヒートポンプ式の加熱手段、5は貯湯タンク1下部と加熱手段4と貯湯タンク1上部とを貯湯タンク1内の湯水が循環可能に接続する加熱循環回路、6は加熱循環回路5途中に設けられた加熱循環ポンプである。また、図示しないが給湯管3から分岐して浴槽への湯張り回路が設けられている。
【0011】
ここで加熱手段4は、冷媒を圧縮する圧縮機7、高温高圧の冷媒と貯湯タンク1の湯水とを熱交換する水冷媒熱交換器8、冷媒を減圧する膨張弁9、低温低圧の冷媒を空気との熱交換で蒸発させる空気熱交換器10を環状に接続して構成されている。
【0012】
11は貯湯タンク1内の湯水で二次側の暖房用循環液(被加熱水)を加熱するプレート式の外熱交換器、12は前記貯湯タンク1内の湯水を外熱交換器11へ循環させるための一次側循環回路、13は一次側循環回路12途中に設けられた一次側暖房ポンプ、14は温水式床暖房パネル等の温水暖房端末器、15は外熱交換器11の二次側と温水暖房端末器14とを暖房用循環液が循環可能に接続する二次側循環回路、16は二次側循環回路15途中に設けられた二次側暖房ポンプである。
【0013】
ここで、プレート式の外熱交換器11は、厚みが少ない縦長の直方体形状で、外熱交換器11の前面側に集中して一次側循環回路12の入口出口、および二次側循環回路15の入口出口が設けられているものである。
【0014】
17は貯湯タンク1の側面上下に複数設けられた貯湯温度センサ、18は加熱手段4への入水温度を検知する入水温度センサ、19は加熱手段4で沸き上げられた湯水の温度を検出する沸き上げ温度センサ、20は外熱交換器11の二次側へ流入する暖房用循環液の温度を検知する二次側戻り温度センサ、21は外熱交換器11の二次側から流出する暖房用循環液の温度を検出する二次側往き温度センサ、22は貯湯温度センサ17、入水温度センサ18、沸き上げ温度センサ19の検出温度に基づいて、加熱手段4および加熱循環ポンプ6を制御して沸き上げ運転を行うと共に、二次側戻り温度センサ20および二次側往き温度センサ21の検出温度に基づいて、一次側循環ポンプ13および二次側循環ポンプ16を制御して暖房運転を行う制御手段である。
【0015】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
深夜時間帯になると翌朝までの間に加熱手段4と加熱循環ポンプ6を運転し、貯湯タンク1の下部から取り出した低温の湯水を水冷媒熱交換器8で所定の高温になるように加熱して貯湯タンク1の上部へ戻すようにして、前日及び過去の給湯実績より学習した最低限貯湯タンク1に貯湯しておかなくてはならない学習最低貯湯量以上の沸き上げ運転を行うものである。
【0016】
そして、給湯管3の終端に設けられている蛇口が開かれると、貯湯タンク1下部の給水管2から市水が貯湯タンク1内に給水され、貯湯タンク1上部の給湯管3から高温の湯水が給湯される。
【0017】
次に暖房の運転について説明すると、暖房要求があると、一次側循環ポンプ13と二次側循環ポンプ16を駆動して、貯湯タンク1内上部の高温水を外熱交換器11の一次側へ循環させ、二次側へ放熱して貯湯タンク1の下部へ一次循環回路12を介して戻され、一方、二次側においては、外熱交換器11で加熱された暖房用循環液が温水暖房端末器14へ循環して被暖房空間で放熱した後、再度外熱交換器11へ戻って加熱されることで暖房運転を行うものである。
【0018】
ここで、図2に示すのは、貯湯タンク1の外周に沿った略円柱状で貯湯タンク1を断熱保温する発泡樹脂製の成形断熱材23であり、貯湯タンク1の前面、背面、底部、天部等に複数に分割された成形断熱材23によって貯湯タンク1の全面を囲繞するもので、この図2は、貯湯タンク1の前面に取り付けられる前面成形断熱材23aを示しているものである。
【0019】
この前面成形断熱材23aには、貯湯タンク1に組み付けられて角柱箱状の外装体(従来の外装体101に相当)内に配置された際に、貯湯タンク1の最前面と外装体の側面との間の略三角柱状となる空間に、前面側に肉厚に突出した突出部位24が設けられ、この突出部位24に外熱交換器11を収容する凹状の収容部25が設けられている。
【0020】
図2図5に示すように、収容部25には、突出部位24の最前面から一段凹んだ位置に額縁状の段差部26が設けられ、外熱交換器11を収容部25に収容した状態で、外熱交換器11の前面側から収容部25前面側全体を覆う断熱蓋27がはめ込まれる。
【0021】
また、収容部25の外熱交換器11の背面側および外熱交換器11の上面側には、外熱交換器11の収容位置を収容部25の下方かつ前面側に偏った位置に規制して、外熱交換器の背面側および上面側に中空の断熱空間28を形成するための、背面当接部29および上面当接部30が設けられている。
【0022】
ここで、背面当接部29について詳述すると、収容部25の外熱交換器11背面の下端部および両側端部に対向する底面31から収容部25の内周面に沿って収容部25内周面と一体に、段差部26の面より外熱交換器11の厚み分だけ奥側位置まで立ち上がった奥側段縁部32が背面当接部29に相当し、この奥側段縁部32が外熱交換器11の背面と当接することで、外熱交換器11と収容部25の底面31との間に中空の断熱空間28の一部が確保される。
【0023】
また、上面当接部30について詳述すると、収容部25の外熱交換器11と対向しない底面31から内周面に沿って収容部25内周面および奥側段縁部32と連続一体にかつ奥側段縁部32よりも手前側の段差部26の面位置まで立ち上がった手前側段縁部33と上記の奥側段縁部32との間を接続する段差接続面34が上面当接部30に相当し、この段差接続面34が外熱交換器11の上面と当接することで、外熱交換器11と収容部25の上面35との間と、外熱交換器11の背面側斜め上の位置に、中空の断熱空間28の残りの部分が確保される。
【0024】
そして、外熱交換器11の前面側と外熱交換器11の上部の断熱空間28を塞ぐように、断熱蓋27が段差部26に嵌合して取り付けられ、収容部25内の断熱空間28が外部空間と遮断されて、空気の流通のない断熱空間28が確保される。ここで、断熱蓋27には、外熱交換器11の前面に設けられている一次側の入口出口および二次側の入口出口を挿通させる最小限に開口された穴部が設けられているものである。
【0025】
ここで、収容部25の底面31は、貯湯タンク1の湾曲に沿うように、タンク中心側が手前、タンク側面側が奥になるように正面から見た際に斜めに傾いて形成され、突出部位24の突出量が少なくとも大容量の断熱空間28を確保でき、かつ断熱空間28の断熱性能を向上させることができる。
【0026】
このように、外熱交換器11の背面側および上面側に断熱空間28が設けられたため、貯湯タンク1と外熱交換器11との間の伝熱が減り、被加熱水の流動停止時の温度が安定すると共に、貯湯タンク1内の湯の温度低下も減るため、被加熱水を加熱する熱源としての質の低下と給湯可能量の減少を抑制し、湯切れの防止と貯湯効率の向上を図ることができる。
【0027】
また、断熱空間28を設けるための構成としての背面当接部29および上面当接部30を、収容部25の周壁を利用して形成しているため、外熱交換器11を収容部25に収容するだけで断熱空間28が確保されて製造容易であると共に、背面当接部29および上面当接部30自体の形成も成型断熱材23の成型時に同時に形成できるため、安価かつ確実に形成できるものである。
【0028】
さらに、背面当接部29および上面当接部30によって外熱交換器11の収容位置が規制されるため、断熱空間28を設けても輸送等の振動によって外熱交換器11が移動することも防止され、外熱交換器11およびその接続部や接続配管の破損も防止できる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、要旨を変更しない範囲で改変可能なものであり、例えば、被加熱流体を浴槽水としたり、加熱手段として貯湯タンク内に電熱ヒータを設けるようにしてもよい。
【0030】
また、背面当接部29および上面当接部30は、収容部25の周壁と一体に成型断熱材23と同時成型されていることが好ましいが、別部品で構成されていてもよいものであり、また、収容部25の周壁と離れた位置に成型断熱材23と同時成型されていてもよいものである。
【0031】
また、断熱空間28は、外熱交換器11の背面側および上面側に形成されていればよく、さらに外熱交換器11の前面側および/または下面側にも形成されることを妨げるものではない。
【符号の説明】
【0032】
1 貯湯タンク
4 加熱手段
11 外熱交換器
23a 前面成形断熱材
25 収容部
27 断熱蓋
28 断熱空間
29 背面当接部
30 上面当接部
31 底面
32 奥側段縁部
33 手前側段縁部
34 段差接続面
35 上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6