(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
チップコーナー領域において、シールリングの外側に設けられ、かつ、チップの角部に残された独立した矩形の犠牲領域に、シールリングにおけるメタル配線と同じ工程で中間層メタル配線を形成するステップと、
前記中間層メタル配線上に層間絶縁膜を形成するステップと、
前記犠牲領域における前記層間絶縁膜上に、前記シールリングにおけるメタル配線と同じ工程で最上層メタル配線を形成するステップと
を具備し、
前記犠牲領域のそれぞれは、前記シールリングまたは内部回路領域によって互いに離間されている
半導体装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の大規模高集積化に伴い、配線の多層化や微細化が進んでいる。半導体装置を高速化するため、配線の微細化によって増大する寄生容量を抑制する必要がある。このため、近年ではシリコン酸化膜等の酸化物誘電体よりも誘電率の低い低誘電率誘電体材料(Low−k材料)が、層間絶縁膜として利用されている。
【0003】
層間膜(例えば層間絶縁膜や配線のカバー膜)は、半導体素子に対するダメージを低減させるため、パワーを抑えながら低温で成膜される。このため、層間膜には、密度が小さい「疎」の部分が生じる。一方、半導体装置の大電力化に伴い、最上層メタル配線の膜厚は厚くなってきているため、PKGリフローや温度サイクル(TC)試験などの温度変動により最上層メタルの伸縮率は増大化している。温度変動により、最上層メタル配線が大きく伸縮すると、
図1に示すように層間膜の「疎」の部分から剥がれや層間クラックが発生する。
【0004】
図1は、多層配線構造の半導体装置において発生するクラック異常の一例を示す図である。
図1には、内部回路領域700を囲むシールリング600と、シールリング600の外側のチップコーナー領域に設けられたクラック発生領域500が示される。
【0005】
シールリング600は、最上層配線層に形成された最上層配線800Bと中間配線層に形成されたメタル配線900を備える。コンタクトによって接続された最上層配線800Bとメタル配線900は、内部回路領域700を壁状に囲うことで半導体装置のダイシング面から内部回路領域700に対して水分等が侵入することを防止する。
【0006】
温度サイクル試験のような温度変動が発生した場合、最上層配線800Bの伸縮により層間膜の疎の部分にクラック901が生じる。例えば、最上層配線800Bの近傍から、層間絶縁膜が疎となり易いメタル配線900の近傍領域にクラック901が発生する。特に、チップコーナー領域には大きな応力が蓄積されているため、チップコーナー領域におけるシールリング600内にクラックが発生し易い。シールリング600に発生したクラック901は、内部回路領域700に達する場合もあり、半導体装置の歩留まり低下を低下させる要因となる。
【0007】
そこで近年、シールリング600に蓄積された応力を解放するため、チップコーナー領域におけるシールリング600の外周部に、シールリング600よりも先にクラックが発生するクラック発生領域500が設けられた半導体装置が知られている。
【0008】
図1に示すクラック発生領域500には、最上層メタル配線800Aが設けられ、その表面は、カバー酸化膜や窒化膜(以下、カバー膜801と称す)に覆われている。クラック発生領域500は、シールリング600よりも外側に位置しているため、シールリング600よりも大きな応力が加わっている。このため、温度変化に応じた最上層メタル800Aの伸縮により、クラック発生領域500にクラックや剥離が発生し、チップコーナー領域に蓄えられた応力が解放される。これにより、シールリング600近傍におけるクラックや剥離の発生が防がれる。
【0009】
シールリング近傍のクラックや剥がれを防止する構造を有する半導体装置が、例えば特開2006−41244(特許文献1参照)及び特開2011−139103(特許文献2参照)に記載されている。
【0010】
特許文献1に記載の半導体装置には、金属材料により構成されたダミービアを備える外周領域が、シールリング領域の外周に形成されている。ダミービアは、一般にダイシング時の余白として回路動作に寄与しない外周領域における層間絶縁膜間の密着性や強度を向上させている。これにより層間絶縁膜の剥がれが防止される。
【0011】
特許文献2に記載の半導体装置には、シールリングの近傍にチップ強度強化用構造体が設けられている。チップ強度強化用構造体は複数のダミー配線構造から構成されている。ダミー配線構造は、最下層及び最上層の配線層のいずれか一方のみを含むか又はいずれも含まない2層以上の配線層に亘ってビア部を介して連続的に形成されている。ダミー配線構造からなるチップ強度強化用構造体がシールリングとは別個に設けられているため、ダミー配線構造周辺の層間絶縁膜の機械的強度、特に厚さ方向の強度を増加させることができる。又、配線材料と層間絶縁膜材料との間の応力係数の違いに起因するダミー配線形成箇所での応力集中を緩和することができる。
【0012】
又、チップコーナー領域に発生するクラックによるシールリング破壊を防止する技術が、例えば、特開2004−253773(特許文献3参照)及び特開2011−9795(特許文献4参照)に記載されている。
【0013】
特許文献3に記載の半導体装置は、チップコーナー部で内側にも突き出した小矩形形状の多重化されたシールリングを備える。シールリングをチップコーナーにおいて多重化することで、熱サイクル時の応力によるチップコーナー部におけるクラックが従来予想されていたより内側に入りこんでもシーリングが完全に破壊されない。
【0014】
特許文献4に記載のシールリングは、チップコーナー近傍において閉ループ形の内側に凸形状のシールリング凸形部を含む。又、特許文献2に記載の半導体装置は、平面的に見て閉ループ形のシールリングを取り囲む外部シールリングをさらに備え、シールリングと外部シールリングとは平面的に見て分離されている。特許文献2に記載の半導体装置では、チップコーナーを起点として広がるように進行してくるクラックに対して、実際のクラック先端が描く形状により近い形でシールリングがぶつかることとなるので、クラックの進行を効率良く防ぐことができる。
【0015】
更に、チップコーナー領域にクラックの発生し易い領域を設けることで、シールリングへのストレスを軽減する技術が、例えば、特開平2−49429(特許文献5)に記載されている。
【0016】
特許文献5に記載の半導体装置は、チップコーナー部における金属配線の外周領域に配置されたダミー配線を備える。ダミー配線はモールド樹脂によるストレスを吸収し、温度サイクルによるダメージからチップの最外周に設けられた金属配線を保護する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図面において同一、又は類似の参照符号は、同一、類似、又は等価な構成要素を示している。
【0024】
(概要)
図2(a)又は
図2(b)を参照して、本実施の形態における半導体装置1は、シールリング200の外側領域におけるチップコーナー領域に形成された犠牲領域100を備える。ここでシールリング200は内部回路領域300の周囲に形成され、チップコーナー領域においては、矩形の犠牲領域100の2辺に沿うように形成される。犠牲領域100は、矩形の半導体装置1の4隅のいずれか、あるいは全てに形成されることが好ましい。
図2(a)には、半導体装置1の4隅に形成された犠牲領域100が示される。
図2(b)には、半導体装置1における対角線上の2隅に形成された犠牲領域100が示される。又、ウエハ上にダイシング前の半導体装置1が複数配置されている場合、少なくとも複数の半導体装置1全体における4隅の半導体装置1のチップコーナー領域に犠牲領域100が設けられていることが好ましい。
【0025】
犠牲領域100は、最上層メタル配線と中間層メタル配線を備える。最上層メタル配線は配線サイズ(幅、厚み)が大きいため、温度変換に応じた伸縮量が大きく、カバー膜の疎の部分からクラックが発生し易い。又、中間層メタル配線付近の層間絶縁膜は他の領域に比べて密度が小さくクラックが発生し易い領域となる。このため、犠牲領域100に最上層メタル配線を含む2層以上形成することで、シールリング200における最上層のみならず中間層のストレスも犠牲領域100において解放することができる。これにより、シールリング200の最上層付近のみならず中間層におけるクラックの発生を防止することができる。又、犠牲領域100の最上層で発生したクラックは、層間絶縁膜の疎の領域に向かって進行する。本実施の形態における半導体装置1では、犠牲領域100の中間配線層にメタル配線が形成されている。当該メタル配線周辺の層間絶縁膜は疎となっているため、最上層で発生したクラックは犠牲領域100内の中間層メタル配線に誘導される。中間層メタル配線付近の層間絶縁膜の破壊によりストレスが大きく解放されるため、あるいは中間層メタル配線層自体に遮断されることにより、クラックの進行は当該中間層メタル配線付近で止まる。すなわち、犠牲領域100に形成された中間層メタル配線は、シールリング200や基板へのクラックの進行を止めるストッパの役割を果す。
【0026】
犠牲領域100に形成されるメタル配線のパタンは、容易にクラックが発生する形状であることが好ましく、その形状(配線幅、Pitch寸法、配線数、又はレイアウト方法)は任意に設定し得る。又、犠牲領域100において中間層メタル配線は、最上層メタル配線の直下の配線層に形成されることが好ましいが、他の配線層に形成されても構わない。更に、犠牲領域100において中間層メタル配線は、複数層に形成されても構わない。尚、犠牲領域100はクラックの発生を妨げないようにコンタクトやビアが形成されないことが好ましい。すなわち、最上層メタル配線と中間層メタル配線との間は、層間絶縁膜によって隔たれ電気的に分離されていることが好ましい。
【0027】
以下、第1から第3の実施の形態を参照して、犠牲領域100の配線パタンや構造の一例を説明する。
【0028】
(犠牲領域の構造)
1.第1の実施の形態
図3から
図7を参照して第1の実施の形態における半導体装置1の構造の詳細を説明する。
図3は、第1の実施の形態における半導体装置1のチップコーナー領域の平面構造を示す平面図である。
図2及び
図3を参照して、半導体装置1の第1辺110(又は第3辺110’)に沿って延設され、チップコーナー領域でL字に屈曲したシールリング200と、当該第1辺110(又は第3辺110’)に接続する第2辺120(又は第4辺120’)に沿って延設され、チップコーナー領域でL字に屈曲したシールリング200と、半導体装置1のチップコーナー領域における第1辺110(又は第3辺110’)と第2辺120(又は第4辺120’)に囲まれた矩形領域が、犠牲領域100として利用される。
【0029】
図3を参照して、犠牲領域100の最上層配線層104には、配線幅が“L11”のL字型のアルミ配線124A(以下、最上層アルミ配線124Aと称す)が、ピッチ幅“S12”で複数本配置される。最上層アルミ配線124Aは、半導体装置1のチップコーナー領域において接続する2辺(
図3では第1辺110と第2辺120)と同じ方向に屈曲したL字型の形状を示す。詳細には、最上層アルミ配線124Aは、第1辺110に
平行して配置される第1メタル配線と第2辺120に
平行に配置される第2メタル配線を備え、第1メタル配線と第2メタル配線はチップコーナー側において接続され、内部回路領域300側が開放されるようにL字形状を示す。又、犠牲領域100の中間層には、配線幅が“L1”のL字型のメタル配線40が、ピッチ幅“S2”で複数本配置される。
図3に示すメタル配線40は、最上層アルミ配線124Aと同様に半導体装置1のチップコーナーにおいて接続する2辺(
図3では第1辺110と第2辺120)と同じ方向に屈曲したL字型の形状を示す。詳細には、メタル配線40は、第1辺110に
平行して配置される第3メタル配線と第2辺120に
平行に配置される第4メタル配線を備え、第3メタル配線と第4メタル配線はチップコーナー側において接続され、内部回路領域300側が開放されるようにL字形状を示す。又、
図3に示すメタル配線40は、最上層アルミ配線124Aの中心線の下層、及び最上層アルミ配線124A間の無配線領域の下層の中間配線層に設けられる。更に、メタル配線40の配線幅“L1”は、最上層アルミ配線124Aの配線幅“L11”よりも小さく、最上層アルミ配線124Aのピッチ幅“S12”と同じ幅である。
【0030】
図4は、
図3に示す半導体装置1のA−A’断面構造の一例を示す断面図である。
図4に示す半導体装置1は、アルミ配線プロセスにより製造される第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103、最上層配線層104を備える。配線層は、基板10(例示:Si基板)側から第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103、最上層配線層104の順に積層され、それぞれの間には、層間絶縁膜が設けられている。詳細には、第1配線層101は、層間絶縁膜51を介して基板10上に設けられた層間絶縁膜52及びメタル配線を備える。第2配線層102は、層間絶縁膜53を介して第1配線層101上に設けられた層間絶縁膜54及びメタル配線を備える。第3配線層103は、層間絶縁膜55を介して第2配線層102上に設けられた層間絶縁膜56及びメタル配線を備える。最上層配線層104は、層間絶縁膜57を介して第3配線層103上に設けられ、カバー膜及び窒化膜(以下、カバー膜71と称す)に表面が覆われた最上層アルミ配線124A、124Bを備える。最上層配線層104は、図示しないモールド樹脂によって覆われる。
【0031】
シールリング200は、コンタクトを介して接続されたメタル配線121B〜123B、及び最上層アルミ配線124Bを備える。メタル配線121Bは、第1配線層101に形成され、ビア111を介して基板10に接続される。メタル配線122Bは、第2配線層102に形成され、コンタクト112を介してメタル配線121Bに接続される。アルミ配線123Bは、第3配線層103に形成され、コンタクト113を介してメタル配線122Bに接続される。最上層アルミ配線124Bは、最上層配線層104に形成され、コンタクト114を介してアルミ配線123Bに接続される。
図4に示される中間配線層のメタル配線121B〜123Bはアルミ配線であり、それぞれの上下層の層間絶縁膜との境界がチタンやタングステンに例示されるバリアメタルによって覆われている。例えば、アルミ配線123Bは、下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル11Bによって覆われ、上層の層間絶縁膜57との境界をバリアメタル12Bによって覆われている。内部回路領域300には、シールリング200と同様にコンタクトを介して接続されたメタル配線や、基板上に設けられたトランジスタに例示される半導体素子が形成される(図示なし)。
【0032】
図4に示す犠牲領域100は、最上層配線層104に形成された最上層アルミ配線124Aと、第3配線層103に形成されたメタル配線40を備える。
図4に示すメタル配線40は、下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル11A(例示:TiN)によって覆われ、上層の層間絶縁膜57との境界をバリアメタル12A(例示:TiN)によって覆われたアルミ配線123Aを備える。バリアメタル11A、アルミ配線123A、バリアメタル12Aは、同じ第3配線層103のシールリング200(バリアメタル11B、アルミ配線123B、バリアメタル12B)や内部回路領域300のメタル配線と同じ工程で形成される。
【0033】
最上層アルミ配線124Aの配線幅は、最上層アルミ配線124Bよりも大きいことが好ましい。これにより、熱変化による伸縮する大きさ、すなわち、犠牲領域100における最上層アルミ配線124Aの近傍のカバー膜71や層間絶縁膜57に対する応力が、シールリング200や内部回路領域300よりも大きくなる。又、最上層アルミ配線124Aは、中間配線層におけるメタル配線よりも膜厚が厚いため、温度変動による応力が大きくなりクラックが発生し易い箇所となる。
【0034】
第3配線層103において、メタル配線40の周辺の層間絶縁膜56の密度は周辺よりも小さい疎領域となる。メタル配線40の配線幅“L1”と配線間のスペース幅(ピッチ幅)“S1”は任意に設定し得るが、疎領域を形成し易くするため、配線幅“L1”と配線間のスペース幅“S1”は、ともに1.0um未満とすることが好ましい。特に、メタル配線40間のスペース幅“S1”を小さくすることで(例えば最小スペース幅寸法)、メタル配線40に対する層間絶縁膜56のカバレッジが悪くなる。この場合、メタル配線40間の層間絶縁膜56は、層間膜の密度が低くボイド等が発生する脆弱な膜質となりクラックが発生し易くなる。
【0035】
図5は、第1の実施の形態における犠牲領域に発生するクラックの一例を示す断面図である。温度変化による最上層アルミ配線124Aの伸縮により、最上層アルミ配線124Aの底部近傍領域におけるカバー膜71が疎の領域からクラック903が発生する。本実施の形態ではアルミ配線123A同士の間には疎領域90が存在するため、クラック903は、最上層アルミ配線124A近傍から疎領域90に向かって進行する。犠牲領域100で発生したクラックは最上層アルミ配線124Aに誘導されるため、クラックがシールリング200に進行することは抑制される。又、アルミ配線123Aの近傍まで進行したクラック903の先端は、周辺のアルミ配線123Aによって遮断される。すなわち、クラック903が、アルミ配線123Aよりも下層に進行することはなく、クラック903によって基板10が破壊されることが防がれる。
【0036】
更に、温度サイクル試験等による温度変化に応じて中間配線層におけるメタル配線40も伸縮する。この伸縮によりメタル配線40周辺の層間絶縁膜56の疎領域からクラック904が発生するため、中間配線層における応力も解放される。すなわち、本実施の形態における犠牲領域100は、最上層配線近傍の応力のみならず中間配線層近傍の応力も解放できるため、シールリング200や内部回路領域300における中間配線層付近のクラックの発生を抑制することができる。又、中間配線層近傍の応力解放により、配線層間に加わる応力も低減されるため、層間絶縁膜の剥がれも抑制される。このため、本実施の形態における犠牲領域100には、層間補強のためのコンタクトを設けることなく、層間絶縁膜の剥がれを抑制することができる。
【0037】
図4に示すアルミ配線123Aでは、バリアメタル12Aが庇状に突出する部分が発生することがある。この庇状のバリアメタル12Aの下側領域は、層間絶縁膜56が入り込めずにボイドが出現し、クラックが発生又は誘導され易い疎領域90となり易くなる。このため、バリアメタル12Aに覆われたアルミ配線123Aを犠牲領域100に設けることで、クラック903の誘導確率やクラック904の発生確率を高め、半導体装置の破壊を防止することができる。
【0038】
図6は、
図3に示す半導体装置1のA−A’断面構造の他の一例を示す断面図である。
図6に示す半導体装置1は、Cu配線プロセスにより製造される第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103とアルミ配線プロセスにより製造される最上層配線層104を備える。配線層は、基板10側から第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103、最上層配線層104の順に積層され、それぞれの間には、層間絶縁膜が設けられている。詳細には、第1配線層101は、層間絶縁膜51を介して基板10上に設けられた層間絶縁膜52及びメタル配線を備える。第2配線層102は、層間絶縁膜53を介して第1配線層101上に設けられた層間絶縁膜54及びメタル配線を備える。第3配線層103は、層間絶縁膜55を介して第2配線層102上に設けられた層間絶縁膜56及びメタル配線を備える。層間絶縁膜51、52、53、54、55、56、57のそれぞれの境界には、キャップ層61、62、63、64、65、66(例示:窒化膜(SiN膜)やシリコン酸化膜)が設けられる。最上層配線層104は、層間絶縁膜57を介して第3配線層103上に設けられ、カバー膜71に表面が覆われた最上層アルミ配線124A、224Bを備える。最上層配線層104は、図示しないモールド樹脂によって覆われる。
【0039】
シールリング200は、コンタクトを介して接続されたメタル配線221B〜223B、及び最上層アルミ配線224Bを備える。メタル配線221Bは、第1配線層101に形成され、ビア211を介して基板10に接続される。メタル配線222Bは、第2配線層102に形成され、コンタクト212を介してメタル配線221Bに接続される。メタル配線223Bは、第3配線層103に形成され、コンタクト213を介してメタル配線222Bに接続される。最上層アルミ配線224Bは、最上層配線層104に形成されるとともに層間絶縁膜57に埋め込まれ、メタル配線223Bに接続される。
図6に示される中間配線層のメタル配線221B〜223BはCu配線であり、ダマシン法により形成される。メタル配線221B〜223Bと、それぞれが形成される層間絶縁膜52、54、56との間には、シードCuやTiNに例示されるバリアメタルによって覆われている。例えば、メタル配線223Bは、層間絶縁膜56や下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル21Bによって覆われている。内部回路領域300には、シールリング200と同様にコンタクトを介して接続されたメタル配線や、基板上に設けられたトランジスタに例示される半導体素子が形成される(図示なし)。
【0040】
図6に示す犠牲領域100は、最上層配線層104に形成された最上層アルミ配線124Aと、第3配線層103に形成されたメタル配線40を備える。
図6に示すメタル配線40は、層間絶縁膜56や下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル21A(例示:Cu、TiN)によって覆われたCu配線223Aを備える。バリアメタル21A、Cu配線223Aは、同じ第3配線層103のシールリング200(バリアメタル21B、Cu配線223B)や内部回路領域300のメタル配線と同じ工程で形成される。
【0041】
図7は、
図3に示す半導体装置1のA−A’断面構造の更に他の一例を示す断面図である。
図7に示す半導体装置1は、Cu配線プロセスにより製造される第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103とアルミ配線プロセスにより製造される最上層配線層104を備える。配線層は、基板10側から第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103、最上層配線層104の順に積層され、それぞれの間には、層間絶縁膜が設けられている。詳細には、第1配線層101は、層間絶縁膜51を介して基板10上に設けられた層間絶縁膜52及びメタル配線を備える。第2配線層102は、層間絶縁膜53を介して第1配線層101上に設けられた層間絶縁膜54及びメタル配線を備える。第3配線層103は、層間絶縁膜55を介して第2配線層102上に設けられた層間絶縁膜56及びメタル配線を備える。層間絶縁膜51、52、53、54、55、56、57のそれぞれの境界には、キャップ層61、62、63、64、65、66(例示:窒化膜(SiN膜)やシリコン酸化膜)が設けられる。最上層配線層104は、層間絶縁膜57を介して第3配線層103上に設けられ、カバー膜71に表面が覆われた最上層アルミ配線124A、324Bを備える。最上層配線層104は、図示しないモールド樹脂によって覆われる。
【0042】
シールリング200は、コンタクトを介して接続されたメタル配線321B〜323B、及び最上層アルミ配線324Bを備える。メタル配線321Bは、第1配線層101に形成され、ビア311を介して基板10に接続される。メタル配線322Bは、第2配線層102に形成されるとともに層間絶縁膜53に埋め込まれ、バリアメタルを介してメタル配線321Bに接続される。メタル配線323Bは、第3配線層103に形成されるとともに層間絶縁膜55に埋め込まれ、バリアメタルを介してメタル配線322Bに接続される。メタル配線324Bは、最上層配線層104に形成されるとともに層間絶縁膜57に埋め込まれ、メタル配線323Bに接続される。
図7に示される中間配線層のメタル配線321B〜323BはCu配線であり、デュアルダマシン法により形成される。メタル配線321B〜323Bと、それぞれが形成される層間絶縁膜52、54、56との間には、シードCuやTiNに例示されるバリアメタルによって覆われている。例えば、メタル配線323Bは、層間絶縁膜56や下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル31Bによって覆われている。内部回路領域300には、シールリング200と同様にコンタクトを介して接続されたメタル配線や、基板上に設けられたトランジスタに例示される半導体素子が形成される(図示なし)。
【0043】
図7に示す犠牲領域100は、最上層配線層104に形成された最上層アルミ配線124Aと、第3配線層103に形成されたメタル配線40を備える。
図7に示すメタル配線40は、層間絶縁膜56や下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル31A(例示:Cu、TiN)によって覆われたCu配線323Aを備える。バリアメタル31A、Cu配線323Aは、同じ第3配線層103のシールリング200(バリアメタル31B、Cu配線323B)や内部回路領域300のメタル配線と同じ工程で形成される。
【0044】
図4に示す一例と同様に、最上層アルミ配線124Aの近傍の応力を増大させるため、
図6及び
図7に示す最上層アルミ配線124Aの配線幅は、最上層アルミ配線224B、324Bよりも大きいことが好ましい。又、疎領域を形成し易くするため、メタル配線40の配線幅“L1”と配線間のスペース幅“S1”は、ともに1.0um未満とすることが好ましい。
【0045】
図6に示すように、Cuプロセスによって製造された半導体装置1においても、メタル配線223Aを覆うバリアメタル21A、31Aやメタル配線223A同士の間の層間絶縁膜56には疎領域が存在するため、最上層アルミ配線124Aの底部近傍で発生したクラックは、この疎領域に向かって進行する。本一例においても犠牲領域100で発生したクラックはメタル配線223Aに誘導されるため、クラックがシールリング200に進行することは抑制される。又、メタル配線223Aの近傍まで進行したクラックの先端は、周辺のメタル配線223Aによって遮断される。このため、当該クラックがメタル配線223Aよりも下層に進行することはなく、クラック903によって基板10が破壊されることが防がれる。このような効果は
図7示す半導体装置1も同様である。
【0046】
更に、
図6に示す構造においても
図4に示す構造と同様に、温度サイクル試験等による温度変化に応じて中間配線層におけるメタル配線40も伸縮する。この伸縮によりメタル配線40周辺の層間絶縁膜56の疎領域からクラックが発生するため、中間配線層における応力も解放される。すなわち、本実施の形態における犠牲領域100は、最上層配線近傍の応力のみならず中間配線層近傍の応力も解放できるため、シールリング200や内部回路領域300における中間配線層付近のクラックの発生を抑制することができる。又、中間配線層近傍の応力解放により、配線層間に加わる応力も低減されるため、層間絶縁膜の剥がれも抑制される。このため、本実施の形態における犠牲領域100には、層間補強のためのコンタクトを設けることなく、層間絶縁膜の剥がれを抑制することができる。このような効果は
図7示す半導体装置1も同様である。
【0047】
2.第2の実施の形態
図8から
図12を参照して第2の実施の形態における半導体装置1の構造の詳細を説明する。
図8は、第2の実施の形態における半導体装置1のチップコーナー領域の平面構造を示す平面図である。第2の実施の形態における犠牲領域100では、中間配線層のメタル配線とシールリング200との距離を交互に変えてメタル密度の変化をつけている。
図2及び
図8を参照して、半導体装置1の第1辺110(又は第3辺110’)に沿って延設され、チップコーナー領域でL字に屈曲したシールリング200と、当該第1辺110(又は第3辺110’)に接続する第2辺120(又は第4辺120’)に沿って延設され、チップコーナー領域でL字に屈曲したシールリング200と、半導体装置1のチップコーナー領域における第1辺110(又は第3辺110’)と第2辺120(又は第4辺120’)に囲まれた矩形領域が、犠牲領域100として利用される。
【0048】
図8を参照して、犠牲領域100の最上層には、配線幅が“L11”のL字型の最上層アルミ配線124Aが、ピッチ幅“S22”で複数本配置される。最上層アルミ配線124Aは、半導体装置1のチップコーナーにおいて接続する2辺(
図8では第1辺110と第2辺120)と同じ方向に屈曲したL字型の形状を示す。詳細には、最上層アルミ配線124Aは、第1辺110に
平行して配置される第1メタル配線と第2辺120に
平行に配置される第2メタル配線を備え、第1メタル配線と第2メタル配線はチップコーナー側において接続され、内部回路領域300側が開放されるようにL字形状を示す。又、犠牲領域100の中間層には、配線幅が“L1”のL字型のメタル配線40及びメタル配線41が、ピッチ幅“S2”で複数本交互に配置される。
図8に示すメタル配線40、41は、最上層アルミ配線124Aと同様に半導体装置1のチップコーナーにおいて接続する2辺(
図8では第1辺110と第2辺120)と同じ方向に屈曲したL字型の形状を示す。詳細には、メタル配線40、41のそれぞれは、第1辺110に
平行して配置されるメタル配線と第2辺120に
平行に配置されるメタル配線を備え、当該メタル配線同士はチップコーナー側において接続され、内部回路領域300側が開放されるようにL字形状を示す。
図8に示す一例では、最上層アルミ配線124Aの中心線の下層の中間配線層にメタル配線40が設けられ、最上層アルミ配線124A間の無配線領域の下層の中間配線層にメタル配線41が設けられる。又、
図8に示す一例では、メタル配線40、41の配線幅“L1”は、最上層アルミ配線124Aの配線幅“L11”や最上層アルミ配線124Aのピッチ幅“S22”より小さい。更に、中間配線層に形成されるメタル配線40の先端とシールリング200との距離“S30”は、メタル配線41の先端とシールリング200との距離“S31”よりも短い。すなわち、
図8に示す犠牲領域100には、中間配線層のメタル配線の配線密度が、シールリング200近傍よりも半導体装置1のチップコーナー側の方が高くなるように、メタル配線40、41が設けられる。
【0049】
図9は、
図8に示す半導体装置のB−B’断面構造の一例を示す断面図である。
図9に示す半導体装置1は、アルミ配線プロセスにより製造される第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103、最上層配線層104を備える。配線層は、基板10側から第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103、最上層配線層104の順に積層され、それぞれの間には、層間絶縁膜が設けられている。詳細には、第1配線層101は、層間絶縁膜51を介して基板10上に設けられた層間絶縁膜52及びメタル配線を備える。第2配線層102は、層間絶縁膜53を介して第1配線層101上に設けられた層間絶縁膜54及びメタル配線を備える。第3配線層103は、層間絶縁膜55を介して第2配線層102上に設けられた層間絶縁膜56及びメタル配線を備える。最上層配線層104は、層間絶縁膜57を介して第3配線層103上に設けられ、カバー膜71に表面が覆われた最上層アルミ配線124A、124Bを備える。最上層配線層104は、図示しないモールド樹脂によって覆われる。
【0050】
シールリング200の構造は
図4に示す構造と同様であるため、その説明は省略する。内部回路領域300には、シールリング200と同様にコンタクトを介して接続されたメタル配線や、基板上に設けられたトランジスタに例示される半導体素子が形成される(図示なし)。
【0051】
図8に示す犠牲領域100は、最上層配線層104に形成された最上層アルミ配線124Aと、第3配線層103に形成されたメタル配線40、41を備える。
図8に示すメタル配線40は、下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル11A(例示:Ti、W)によって覆われ、上層の層間絶縁膜57との境界をバリアメタル12Aによって覆われたアルミ配線123Aを備える。メタル配線41は、下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル11C(例示:Ti、W)によって覆われ、上層の層間絶縁膜57との境界をバリアメタル12Cによって覆われたアルミ配線123Cを備える。バリアメタル11A、11C、アルミ配線123A、123C、バリアメタル12A、12Cは、同じ第3配線層103のシールリング200(バリアメタル11B、アルミ配線123B、バリアメタル12B)や内部回路領域300のメタル配線と同じ工程で形成される。
【0052】
最上層アルミ配線124Aの配線幅は、最上層アルミ配線124Bよりも大きいことが好ましい。これにより、熱変化による伸縮する大きさ、すなわち、犠牲領域100における最上層アルミ配線124Aの近傍のカバー膜71や層間絶縁膜57に対する応力が、シールリング200や内部回路領域300よりも大きくなる。
【0053】
図9を参照して、犠牲領域100において、中間配線層に最も近いシールリング200と当該中間層メタル配線との距離が“S30”よりも遠い“S31”の領域では、スペース幅“S2”にてメタル配線40、41が交互に配置されている。このため、第3配線層103において、メタル配線40、41の周辺の層間絶縁膜56の密度は周辺よりも小さい疎領域となる。メタル配線40の配線幅“L1”と配線間のスペース幅“S2”は任意に設定し得るが、疎領域を形成し易くするため、配線幅“L1”と配線間のスペース幅“S2”は、ともに1.0um未満とすることが好ましい。特に、メタル配線40、41間のスペース幅“S2”を小さくすることで(例えば最小スペース幅寸法)、メタル配線40に対する層間絶縁膜56のカバレッジが悪くなる。この場合、メタル配線40、41間の層間絶縁膜56は、層間膜の密度が低くボイド等が発生する脆弱な膜質となりクラックが発生し易くなる。
【0054】
図10は、
図8に示す半導体装置のC−C’断面構造の一例を示す断面図である。
図8を参照して、犠牲領域100において、中間配線層に最も近いシールリング200と当該中間層メタル配線との距離が“S30”よりも近い領域では、メタル配線40は存在せず、メタル配線41のみが設けられている。すなわち、この領域ではメタル配線40間のスペース幅は“S2”よりも長い“S3”となる。このため、シールリング200に近い領域のメタル配線41に対する層間絶縁膜56のカバレッジは、当該領域よりもシールリング200から離れた領域よりも良好となる。従って、シールリング200の近傍領域におけるクラックの発生や、当該近傍領域に対する最上層配線層104からの層間クラックの進行が抑制され得る。
【0055】
図11は、
図8に示す半導体装置のB−B’断面構造の他の一例を示す断面図である。
図11に示す半導体装置1は、Cu配線プロセスにより製造される第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103とアルミ配線プロセスにより製造される最上層配線層104を備える。配線層は、基板10側から第1配線層101、第2配線層102、第3配線層103、最上層配線層104の順に積層され、それぞれの間には、層間絶縁膜が設けられている。詳細には、第1配線層101は、層間絶縁膜51を介して基板10上に設けられた層間絶縁膜52及びメタル配線を備える。第2配線層102は、層間絶縁膜53を介して第1配線層101上に設けられた層間絶縁膜54及びメタル配線を備える。第3配線層103は、層間絶縁膜55を介して第2配線層102上に設けられた層間絶縁膜56及びメタル配線を備える。層間絶縁膜51、52、53、54、55、56、57のそれぞれの境界には、キャップ層61、62、63、64、65、66(例示:窒化膜(SiN膜)やシリコン酸化膜)が設けられる。最上層配線層104は、層間絶縁膜57を介して第3配線層103上に設けられ、カバー膜71に表面が覆われた最上層アルミ配線124A、324Bを備える。最上層配線層104は、図示しないモールド樹脂によって覆われる。
【0056】
シールリング200の構造は
図7に示す構造と同様であるため、その説明は省略する。内部回路領域300には、シールリング200と同様にコンタクトを介して接続されたメタル配線や、基板上に設けられたトランジスタに例示される半導体素子が形成される(図示なし)。
【0057】
図11に示す犠牲領域100は、最上層配線層104に形成された最上層アルミ配線124Aと、第3配線層103に形成されたメタル配線40、41を備える。
図11に示すメタル配線40は、層間絶縁膜56や下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル31A(例示:Cu、TiN)によって覆われたCu配線323Aを備える。メタル配線41は、層間絶縁膜56や下層の層間絶縁膜55との境界をバリアメタル31C(例示:Cu、TiN)によって覆われたCu配線323Cを備える。バリアメタル31A、31C、Cu配線323A、323Cは、同じ第3配線層103のシールリング200(バリアメタル31B、Cu配線323B)や内部回路領域300のメタル配線と同じ工程で形成される。
【0058】
図11を参照して、犠牲領域100において、中間配線層に最も近いシールリング200と当該中間層メタル配線との距離が“S30”よりも遠い“S31”の領域では、スペース幅“S2”にてメタル配線40、41が交互に配置されている。このため、第3配線層103において、メタル配線40、41の周辺の層間絶縁膜56の密度は周辺よりも小さい疎領域となる。メタル配線40の配線幅“L1”と配線間のスペース幅“S2”は任意に設定し得るが、疎領域を形成し易くするため、配線幅“L1”と配線間のスペース幅“S2”は、ともに1.0um未満とすることが好ましい。特に、メタル配線40、41間のスペース幅“S2”を小さくすることで(例えば最小スペース幅寸法)、メタル配線40に対する層間絶縁膜56のカバレッジが悪くなる。この場合、メタル配線40、41間の層間絶縁膜56は、層間膜の密度が低くボイド等が発生する脆弱な膜質となりクラックが発生し易くなる。
【0059】
図12は、
図8に示す半導体装置のC−C’断面構造の他の一例を示す断面図である。
図12を参照して、犠牲領域100において、中間配線層に最も近いシールリング200と当該中間層メタル配線との距離が“S30”よりも近い領域では、メタル配線40は存在せず、メタル配線41のみが設けられている。すなわち、この領域ではメタル配線40間のスペース幅は“S2”よりも長い“S3”となる。このため、シールリング200に近い領域のメタル配線41に対する層間絶縁膜56のカバレッジは、当該領域よりもシールリング200から離れた領域よりも良好となる。従って、シールリング200の近傍領域におけるクラックの発生や、当該近傍領域に対する最上層配線層104からの層間クラックの進行が抑制され得る。
【0060】
図8から
図12によって例示された第2の実施の形態における半導体装置1は、第1の実施の形態と同様に、熱応力によるストレスを犠牲領域100内で吸収し、シールリング200や内部回路領域300におけるカバークラックや層間クラックの両方の発生を防止できる。又、中間配線層のメタル密度の低い領域をシールリング200の近傍に配置することで、クラックによるシールリング200への影響を無くし、内部回路領域300への水分の侵入を防ぐことが可能となる。
【0061】
3.第3の実施の形態
図13から
図15を参照して第3の実施の形態における半導体装置1の構造の詳細を説明する。
図13は、第1の実施の形態における半導体装置1のチップコーナー領域の平面構造を示す平面図である。
図2及び
図13を参照して、半導体装置1の第1辺110(又は第3辺110’)に沿って延設され、チップコーナー領域でL字に屈曲したシールリング200と、当該第1辺110(又は第3辺110’)に接続する第2辺120(又は第4辺120’)に沿って延設され、チップコーナー領域でL字に屈曲したシールリング200と、半導体装置1のチップコーナー領域における第1辺110(又は第3辺110’)と第2辺120(又は第4辺120’)に囲まれた矩形領域が、犠牲領域100として利用される。
【0062】
図13を参照して、犠牲領域100の最上層には、配線幅が“L11”のL字型の最上層アルミ配線124Aが、ピッチ幅“S22”で複数本配置される。又、犠牲領域100の中間層には、配線幅が“L1”のL字型のメタル配線40が、ピッチ幅“S2”で複数本配置される。最上層アルミ配線124Aは、第1及び第2の実施の形態と同様に半導体装置1のチップコーナーにおける2つの辺と同じ方向に屈曲したL字型の形状を示す。第1及び第2の実施の形態における犠牲領域100に設けられた中間層メタルの形状は、最上層配線と同じ向きに屈折したL字配線であるが、
図13に示すメタル配線40は、最上層の最上層アルミ配線124Aとは逆向きに屈折したL字配線パタンを示す。詳細には、メタル配線40は、第1辺110に
平行して配置される第3メタル配線と第2辺120に
平行に配置される第4メタル配線を備え、第3メタル配線と第4メタル配線は内部回路領域300側において接続され、チップコーナー側が開放されるようにL字形状を示す。すなわち、メタル配線40は、チップコーナー領域におけるシールリング200と同じ向きに屈曲したL字形状を示す。
図13に示す一例では、メタル配線40の配線幅“L1”は、最上層アルミ配線124Aの配線幅“L11”や最上層アルミ配線124Aのピッチ幅“S22”より小さい。
【0063】
図14は、
図13に示す半導体装置1のD−D’断面構造の一例を示す断面図である。
図14に示す構造は、
図4と同様にアルミプロセスによって製造された半導体装置1の一例である。
図3及び
図4に示す半導体装置1では、平面構造において最上層アルミ配線124Aの長手部分とメタル配線40の長手部分が
平行に配置されるのに対し、
図13及び
図14に示す半導体装置1では垂直に配置される点が相違する。このため、
図14に示すように、第3の実施の形態による犠牲領域100では、1本の最上層アルミ配線124A直下の第3配線層103に複数のメタル配線40(アルミ配線)が形成されることとなる。
【0064】
図15は、
図13に示す半導体装置1のD−D’断面構造の他の一例を示す断面図である。
図15に示す構造は、
図5と同様にCuプロセスによって製造された半導体装置1の一例である。
図3及び
図4に示す半導体装置1では、平面構造において最上層アルミ配線124Aの長手部分とメタル配線40の長手部分が
平行に配置されるのに対し、
図13及び
図15に示す半導体装置1では垂直に配置される点が相違する。このため、
図15に示すように、第3の実施の形態による犠牲領域100では、1本の最上層アルミ配線124A直下の第3配線層103に複数のメタル配線40(Cu配線)が形成されることとなる。
【0065】
図13から
図15によって例示された第3の実施の形態における半導体装置1は、第1の実施の形態と同様に、熱応力によるストレスを犠牲領域100内で吸収し、シールリング200や内部回路領域300におけるカバークラックや層間クラックの両方の発生を防止できる。又、犠牲領域100が
図13から
図15に示す構造の場合、最上層アルミ配線124B近傍から発生したクラックの進行先となるメタル配線40の数が第1及び第2の実施の形態の犠牲領域100よりも増加し得る。このため、犠牲領域100において最上層配線層104から第3配線層103に伸びる層間クラックの発生率が高まり、シールリング200に加わる応力をより多く解放することができる。
【0066】
4.第4の実施の形態
犠牲領域100に設けられるメタル配線40の配線幅やスペース幅寸法(ピッチ幅寸法)は、上記のものに限らず任意に設定し得る。又、最上層アルミ配線124Aとメタル配線40との位置関係も、上記のものに限らず任意に設定し得る。例えば、
図16及び
図17に示すように、メタル配線40の配線幅“L2”及びスペース幅“S3”は、最上層アルミ配線124Aの配線幅L11と同一でも構わない。又、
図16及び
図17に示すように、メタル配線40の中心線は、最上層アルミ配線124Aの中心線の直下領域、又は最上層アルミ配線124A同士のスペース領域の直下領域から外れていても構わない。
図16及び
図17に示す犠牲領域100は、配線幅“L2”及びスペース幅“S4が最上層アルミ配線124Aの配線幅“L11”及びスペース幅“S32”と等しいメタル配線40を備える。
図16に示す最上層アルミ配線124Aとメタル配線40は、その寸法は相違するが
図3及び
図17と同様なL字形状を示す。
【0067】
図16及び
図17に示す犠牲領域100では、最上層アルミ配線124Aとメタル配線40のエッジ位置が一致していないが、これに限らず、それぞれのエッジがそろっていても構わない。又、
図17には、アルミ配線プロセスによる構造の一例を示しているが、上述のようにCu配線プロセスによっても形成できることは言うまでもない。
【0068】
(犠牲領域の製造方法)
図18Aから
図20Iを参照して、実施の形態における半導体装置1、特に犠牲領域100の製造方法の一例を説明する。以下では、
図8におけるB−B’断面構造を一例として、アルミ配線プロセスによる半導体装置1の製造方法(
図18Aから
図18G)、Cu配線プロセスにおけるダマシン法による半導体装置1の製造方法(
図19Aから
図19H)、Cu配線プロセスにおけるデュアルダマシン法による半導体装置1の製造方法(
図20Aから
図19I)について説明する。
【0069】
図18Aから
図18Gを参照して、アルミ配線プロセスによる半導体装置1の製造方法について説明する。
【0070】
図18Aを参照して、基板10上に層間絶縁膜51、52、53、54、55が積層されるとともに、各層間絶縁膜中に、シールリング200としてのビア111、メタル配線121B、コンタクト112、メタル配線122B、コンタクト113が形成される。この際、内部回路領域300においても半導体素子や中間層メタル配線等が形成される(図示なし)。
【0071】
図18Bを参照して、スパッタリングにより、窒化チタン等のバリアメタル層11、アルミ層123、バリアメタル層12が層間絶縁膜55及びコンタクト113上に形成される。続いて
図18Cに示すように、バリアメタル層12上がレジストパタンによりマスクされ、エッチングされることで、メタル配線40、及び上部をバリアメタル12Bで覆われたアルミ配線123Bが形成される。この際、内部回路領域300におけるメタル配線も形成される。
【0072】
図18Dを参照して、第3配線層103において、メタル配線上のレジストパタンが除去された後、当該メタル配線間に層間絶縁膜56が形成され、その上層に層間絶縁膜57が積層される。層間絶縁膜57上がレジストパタンによりマスクされ、エッチングされることでバリアメタル12Bに至るコンタクトホールが形成される。当該コンタクトホールに導電体(例示:ポリシリコン)が埋め込まれることでコンタクト114が形成される。
【0073】
図18Eを参照して、スパッタリングによりアルミ層124が成膜される。
図18Fを参照して、アルミ層124がレジストパタンによりマスクされてエッチングされることで、最上層アルミ配線124A、124Bが形成される。この際、内部回路領域300における最上層配線も形成される。
図18Gを参照して、最上層アルミ配線124A、124B及び層間絶縁膜57上にカバー膜71が成膜される。以降、図示しないが最上層配線層104はモールド樹脂により封止される。
【0074】
次に
図19Aから
図19Hを参照して、Cu配線プロセスにおけるダマシン法による半導体装置1の製造方法について説明する。
【0075】
図19Aを参照して、基板10上に層間絶縁膜51、キャップ層61、層間絶縁膜52、キャップ層62、層間絶縁膜53、キャップ層63、層間絶縁膜54、キャップ層64、層間絶縁膜55、キャップ層65が順に積層されるとともに、各層間絶縁膜中に、シールリング200としてのビア211、メタル配線221B、コンタクト212、メタル配線222B、コンタクト213が形成される。この際、内部回路領域300においても半導体素子や中間層メタル配線等が形成される(図示なし)。
【0076】
図19Bを参照して、キャップ層65上に層間絶縁膜56及びキャップ層66が順に形成され、キャップ層66がレジストパタンによりマスクされ、エッチングされることで、トレンチ構造が形成される。
図19Cを参照して、層間絶縁膜56に形成されたトレンチ構造にスパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、又は電解めっきによってバリアメタルが成膜される。ここでは、犠牲領域100におけるトレンチ構造にバリアメタル21Aが形成され、シールリング200におけるトレンチ構造にバリアメタル21Bが形成される。
【0077】
図19Dを参照して、第3配線層103に形成されたトレンチ内及びその上層にCuの電解メッキによってCu層223が形成される。
図19Eを参照して、CMP(Chemical Mechanical Polish)技術により第3配線層103の上層のCu層223が除去され平坦化される。続いて平坦化された第3配線層103の上層に層間絶縁膜57が積層される。層間絶縁膜57がレジストパタンによりマスクされ、エッチングされることでメタル配線223B上にトレンチ構造が形成される。
【0078】
図19Fを参照して、メタル配線223B上のトレンチ構造及びその上層の最上層配線層104に対し、スパッタリングによりアルミ層224が成膜される。
図19Gを参照して、アルミ層224がレジストパタンによりマスクされてエッチングされることで、最上層アルミ配線124A、224Bが形成される。この際、内部回路領域300における最上層配線も形成される。
図19Hを参照して、最上層アルミ配線124A、224B及び層間絶縁膜57上にカバー膜71が成膜される。以降、図示しないが最上層配線層104はモールド樹脂により封止される。
【0079】
次に
図20Aから
図20Iを参照して、Cu配線プロセスにおけるデュアルダマシン法による半導体装置1の製造方法について説明する。
【0080】
図20Aを参照して、基板10上に層間絶縁膜51、キャップ層61、層間絶縁膜52、キャップ層62、層間絶縁膜53、キャップ層63、層間絶縁膜54、キャップ層64が順に積層されるとともに、各層間絶縁膜中に、シールリング200としてのビア311、メタル配線321B、メタル配線322Bが形成される。又、キャップ層64及びメタル配線322B上に層間絶縁膜55、キャップ層65、層間絶縁膜56、キャップ層66が順に積層される。この際、内部回路領域300においても半導体素子や中間層メタル配線等が形成される(図示なし)。
【0081】
図20Bを参照して、キャップ層66上にレジストパタンによりマスクされてエッチングされることで、トレンチ構造が形成される。この際、犠牲領域100には、第3配線層103のみにトレンチ構造が形成され、シールリング200が形成される領域にはメタル配線322Bに至るトレンチ構造が形成される。
図20Cを参照して、層間絶縁膜56や層間絶縁膜55に形成されたトレンチ構造にスパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、又は電解めっきによってバリアメタルが成膜される。ここでは、犠牲領域100におけるトレンチ構造にバリアメタル31Aが形成され、シールリング200におけるトレンチ構造にバリアメタル31Bが形成される。
【0082】
図20Dを参照して、第3配線層103及び層間絶縁膜55に形成されたトレンチ内及びその上層にCuの電解めっきによってCu層323が形成される。
図20Eを参照して、CMP技術により第3配線層103の上層のCu層323が除去され平坦化される。続いて平坦化された第3配線層103の上層に層間絶縁膜57が積層される。
図20Fを参照して、層間絶縁膜57がレジストパタンによりマスクされ、エッチングされることでメタル配線223B上にトレンチ構造が形成される。
【0083】
図20Gを参照して、メタル配線323B上のトレンチ構造及びその上層の最上層配線層104に対し、スパッタリングによりアルミ層324が成膜される。
図20Hを参照して、アルミ層324がレジストパタンによりマスクされてエッチングされることで、最上層アルミ配線124A、324Bが形成される。この際、内部回路領域300における最上層配線も形成される。
図20Iを参照して、最上層アルミ配線124A、324B及び層間絶縁膜57上にカバー膜71が成膜される。以降、図示しないが最上層配線層104はモールド樹脂により封止される。
【0084】
以上のように、実施の形態における犠牲領域100内のメタル配線は、シールリング200や内部回路領域300内のメタル配線と同じ工程において形成される。
【0085】
上述の実施の形態における半導体装置1によれば、熱ストレスが与えられた場合、犠牲領域100において積極的にクラックが発生するため、カバークラックや層間クラックの原因となる応力が犠牲領域100で吸収される。これにより、シールリング200や内部回路領域300におけるクラックの発生が抑制され、半導体素子の信頼性を向上することができる。
【0086】
又、上述の実施の形態における犠牲領域100は、最上層メタル配線と、その下層の中間層メタル配線を有しているため、シールリングや内部回路領域における最上層配線層付近の応力のみならず中間配線層の応力も吸収することができる。尚、犠牲領域100に形成される中間層メタル配線の層数は、シールリングとして形成された配線層の数より少ないことが好ましい。例えば、最上層配線層とその下層(次層)の中間配線層に犠牲領域として機能するメタル配線が形成されることが好ましい。
【0087】
更に、上述の実施の形態における犠牲領域100は、半導体装置1におけるチップコーナー領域に矩形形状で配置され、シールリング200は、犠牲領域100に沿って設けられる。チップコーナー全体(例えば三角形状)を内部回路とは関係ない領域として用いた場合、内部回路領域の面積を小さくしてしまうが、上述の実施の形態における犠牲領域100は矩形であるため、チップコーナーの一部を内部回路領域300として利用できる。このため、本実施の形態による半導体装置1によればチップ面積を有効に利用することが可能となる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
【0089】
例えば、
図21に示すように、犠牲領域100は、配線幅の異なる中間層メタル配線を備えても良い。
図21に示す一例では、配線幅が“L1”のメタル配線40と配線幅が“L1”より長い“L3”のメタル配線42を備える。メタル配線40、42は、バリアメタル11A、12Aを境界としたアルミ配線123Aを一例として示しているが、これに限らず、Cu配線プロセスによるCu配線によって形成されても構わない。
【0090】
又、
図22に示すように、犠牲領域100は2層以上の中間配線層に形成されたメタル配線40、43を備えても良い。
図22に示す犠牲領域100は、最上層配線層104に最上層アルミ配線124Aが形成され、その下の第3配線層にメタル配線40が形成され、その下の第2配線層102にメタル配線43を備える。メタル配線40とメタル配線43との間は層間絶縁膜によって電気的に分離されている。メタル配線43は、バリアメタル13A、14Aを境界としたアルミ配線122Aを一例として示しているが、これに限らず、Cu配線プロセスによるCu配線によって形成されても構わない。又、本一例の犠牲領域100は、隣り合う2つの中間配線層(第2配線層102と第3配線層103)にメタル配線が形成されているが、隣り合うことや、その数に限定されない。犠牲領域100における複数の中間配線層にメタル配線を形成し、これが破壊されることで、シールリング200や内部回路領域300における複数の中間配線層に対する応力が開放される。これにより、更にシールリング200や内部回路領域300における破壊を防止できる。又、犠牲領域100の上層で発生したクラックを下層の中間層メタル配線によって遮断することが可能となるため、層間クラックの増大化による基板破壊等を防止することができる。
【0091】
更に、
図23に示すように、犠牲領域100は、最上層アルミ配線124A及びメタル配線40の下の配線層(ここでは第1配線層101)にメタル配線によるストッパ層44を備えても良い。ストッパ層44の形状は、幅方向に比べて長手方向が十分長い配線形状でも、縦横の長さが長い矩形の面構造でもどちらでも良い。ストッパ層44は、犠牲領域100内で発生した層間クラックの基板10への進行を遮断する。このため、ストッパ層44は、メタル配線40の下層、特に基板10の近傍に設けられることが好ましい。尚、ストッパ層44は、Cu配線プロセスによるCu配線によって形成されても構わない。
【0092】
上述の実施の形態において、中間配線としてアルミ配線のみ例示した構成も他の実施の形態と同様に、Cu配線プロセスによるCu配線が利用できることはいうまでもない。又、上述の実施の形態は、技術的矛盾が生じることのない範囲内で組み合わせて構成され得る。又、犠牲領域100における最上層メタル配線や中間層メタル配線の平面構造は、クラックが発生し易い屈曲部を有していることが好ましく、上述の実施の形態ではL字形状と示したがこれに限らない。例えば、最上層メタル配線や中間層メタル配線の屈曲角は90度以外でもよく、屈曲箇所は複数でも構わない。又、犠牲領域100における最上層メタルの屈曲部は、そこに加わる応力が他の領域よりも増大することから、実施の形態のようにチップコーナー側に設けられることが好ましい。しかし、レイアウト上、当該屈曲部が内部回路領域300側に配置されることとなっても問題ない。