特許第5945181号(P5945181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945181
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】引戸装置及び引戸構造
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20160621BHJP
   E05F 1/16 20060101ALI20160621BHJP
   E05C 17/02 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   E05D15/06 117
   E05F1/16 A
   E05C17/02
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-161954(P2012-161954)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-20160(P2014-20160A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2014年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229380
【氏名又は名称】日本ドアーチエック製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070507
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 俊男
(72)【発明者】
【氏名】出向井 康司
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−234481(JP,A)
【文献】 特開2005−213971(JP,A)
【文献】 実開平5−57265(JP,U)
【文献】 実開平5−42560(JP,U)
【文献】 特開2000−337018(JP,A)
【文献】 特開2001−323711(JP,A)
【文献】 特開平11−131893(JP,A)
【文献】 特開平9−189168(JP,A)
【文献】 特開2010−65448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00− 13/04、
17/00
E05D 15/00− 15/58
E05C 1/00− 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールに沿って摺動し引戸本体に取付けられるハンガーと、
前記レールに配置する保持力調節装置とを備え、
該保持力調節装置と前記ハンガーの一部とが係止して引戸の開放状態を保持可能とする、戸袋収納タイプの引戸用の引戸装置において、
保持力調節装置は、レールに対する設置位置を確保する設置部と、前記設置部と一体若しくは別体として連結される長尺弾性部と、該長尺弾性部と前記ハンガーの一部との係止位置を調節する調節部とから構成され、且つ、前記保持力調節装置は、戸袋外の戸尻側位置に配置するものとし、
前記長尺弾性部は、基端部、中央部及び先端部を連続一体とした構成であり、前記中央部は、基端部から長手方向に延設され側面視への字状に曲げて構成され、先端部は先端側へ連続して形成し、
その基端側と先端側の二箇所を当接部とし、これらの当接部間における前記中央部にはハンガーの係止手段と係止可能な係止部を備え、
前記調節部は、設置部に対して長手方向のスライド及び固定を可能とし、
前記設置部に対する調節部の位置に応じ、長尺弾性部の二箇所の当接位置となる支点の長手方向の変更により当該支点間の長手方向の距離を変更して、引戸の開放状態における保持力を調節することを特徴とする引戸装置。
【請求項2】
調節部は、レールに対して直接又は間接的に設置される一又は複数の調節用ライナーであり、長尺弾性部と前記調節用ライナーの当接位置が、当該二箇所の支点位置のうちの一箇所の支点位置となることを特徴とする請求項1記載の引戸装置。
【請求項3】
調節部は、レールに対して直接又は間接的に設置される調節螺子用保持部と、該調節螺子用保持部に保持される調節螺子とを備え、調節用螺子用保持部からの調節螺子の先端の突出量を調節可能とすることにより、長尺弾性部と調節螺子の先端との当接位置が、当該二箇所の支点位置のうちの一箇所の支点位置となることを特徴とする請求項記載の引戸装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれか一項の引戸装置を備えたことを特徴とする引戸構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動閉鎖機構を有する引戸を、意図的に開放状態に維持するための引戸装置と引戸構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引戸の保持力の調節を行う手段を備えた引戸構造として、引戸の枠体に固定された固定部に、引戸の開き位置又は閉じ位置で戸車が当接する戸当り部と、戸車の周面に弾性接触して戸車を開き位置又は閉じ位置に保持する弾性保持部材とを備えた引戸用ストッパーであって、前記弾性保持部材は、基部が前記固定部に固定される主弾性片と、基部が前記固定部に前後方向に移動可能に取付けられる副弾性片とからなり、前記主弾性片は、先端部に戸車の反戸当り側の周縁に接触して前記戸車を前記戸当り部の方向に弾発力によって押圧する戸車保持用の突出部を折り曲げ形成するとともに、前記副弾性片は、先端部に前記主弾性片の突出部背面側の凹部内に侵入する凸部を有し、前記副弾性片を前記固定部に対して前後方向に移動させて前記凸部による前記突出部への押圧力を調整して前記弾性保持部材の保持力の調節を行うことができる引戸装置(例えば、特許第3647117号公報)が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3647117号公報
【0004】
上記引戸装置は、弾性保持部材の保持力の調節を行うことで、適切な保持力として、引戸を開放状態で保持することができる利点を有する。
【0005】
しかしながら、バネの一端が自由に揺動する構成であり、且つ、バネの先端側に戸車が当接する構造であるため、当該バネに戸車が非常に強く衝突することで、バネが変形して引戸の保持力に影響が生じる虞が大きい欠点があった。
【0006】
また、当該引戸装置を、戸袋収納タイプの引戸に用いると、必然的に戸袋内に設けることとなる。このため、設置時こそ保持力の調節が行えるものの、一度設置すると、戸袋内の引戸装置の調節作業が極めて困難となり、事実上、保持力の調節ができないものとなっていた。更に、上記したバネの変形等が生じた場合にも、その交換は非常に困難なものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、バネ等の弾性長尺部の変形を招来し難い、優れた引戸装置及び引戸構造の提供を、発明が解決しようとする課題とする。
尚、本発明における引戸構造とは、引戸装置及び引戸を含む引戸の開閉構造全体を含む構成をいう。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決することに加え、戸袋収納タイプの引戸に用いた場合であっても引戸の開放状態の保持力の調節を行うことができる、優れた引戸装置及び引戸構造の提供を、発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
レールに沿って摺動し引戸本体に取付けられるハンガーと、前記レールに配置する保持力調節装置とを備え、該保持力調節装置と前記ハンガーの一部とが係止して引戸の開放状態を保持可能とする、戸袋収納タイプの引戸用の引戸装置において、
保持力調節装置は、レールに対する設置位置を確保する設置部と、前記設置部と一体若しくは別体として連結される長尺弾性部と、該長尺弾性部と前記ハンガーの一部との係止位置を調節する調節部とから構成され、且つ、前記保持力調節装置は、戸袋外の戸尻側位置に配置するものとし、前記長尺弾性部は、基端部、中央部及び先端部を連続一体とした構成であり、前記中央部は、基端部から長手方向に延設され側面視への字状に曲げて構成され、先端部は先端側へ連続して形成し、その基端側と先端側の二箇所を当接部とし、これらの当接部間における前記中央部にはハンガーの係止手段と係止可能な係止部を備え、前記調節部は、設置部に対して長手方向のスライド及び固定を可能とし、前記設置部に対する調節部の位置に応じ、長尺弾性部の二箇所の当接位置となる支点の長手方向の変更により当該支点間の長手方向の距離を変更して、引戸の開放状態における保持力を調節することを特徴とする引戸装置を、課題を解決するための手段とする。
【0010】
尚、本発明における上記保持力調節装置における調節部は、当該保持力調節装置を構成する他の部材(例えば、設置部)等に直接取付けるものであってもよいし、分離してレール等に直接取付けるものであってもよい趣旨である。
【0011】
また、本発明は、上記発明における調節部が、レールに対して直接又は間接的に設置される一又は複数の調節用ライナーであり、長尺弾性部と前記調節用ライナーとの当接位置が当該二箇所の支点位置のうちの一箇所の支点位置となることを特徴とする引戸装置を、課題を解決するための手段とする。
【0012】
また、本発明は、上記いずれかの発明の調節部が、レールに対して直接又は間接的に設置される調節螺子用保持部と、該調節螺子用保持部に保持される調節螺子とを備え、調節用螺子用保持部からの調節螺子の先端の突出量を調節可能とすることにより、長尺弾性部と調節螺子の先端との当接位置が、当該二箇所の支点位置のうちの一箇所の支点位置となることを特徴とする引戸装置を、課題を解決するための手段とする。
【0013】
本発明は、上記に示したいずれかの引戸装置を備えたことを特徴とする引戸構造を、課題を解決するための手段とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、レールに沿って摺動し引戸本体に取付けられるハンガーと、前記レールに配置する保持力調節装置とを備え、該保持力調節装置と前記ハンガーの一部とが係止して引戸の開放状態を保持可能とする、戸袋収納タイプの引戸用の引戸装置において、保持力調節装置は、レールに対する設置位置を確保する設置部と、前記設置部と一体若しくは別体として連結される長尺弾性部と、該長尺弾性部と前記ハンガーの一部との係止位置を調節する調節部とから構成され、且つ、前記保持力調節装置は、戸袋外の戸尻側位置に配置するものとし、前記長尺弾性部は、基端部、中央部及び先端部を連続一体とした構成であり、前記中央部は、基端部から長手方向に延設され側面視への字状に曲げて構成され、先端部は先端側へ連続して形成し、その基端側と先端側の二箇所を当接部とし、これらの当接部間における前記中央部にはハンガーの係止手段と係止可能な係止部を備え、前記調節部は、設置部に対して長手方向のスライド及び固定を可能とし、前記設置部に対する調節部の位置に応じ、長尺弾性部の二箇所の当接位置となる支点の長手方向の変更により当該支点間の長手方向の距離を変更して、引戸の開放状態における保持力を調節することを特徴とする引戸装置としたことから、長尺弾性部が二点支持構造されることで、長尺弾性部の支点f部分への負荷を分散して当該長尺弾性部の耐久性を高め、長尺弾性部の変形による保持力の喪失等の危険性を大きく低減することができる。そして、二箇所の当接位置の変更により、長尺弾性部の強度を保ちながら、引戸の保持力の調節を行うことができる。
【0015】
また、調節部は、設置部に対してスライド及び固定が可能であることを特徴とする引戸装置とすることによって、引戸の保持力の調節操作をすることが可能となり、簡単に引戸の保持力の調節を行うことができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、上記請求項1にかかる発明の作用効果を発揮できる上に、調節部は、レールに対して直接又は間接的に設置される一又は複数の調節用ライナーであり、長尺弾性部と前記調節用ライナーとの当接位置が一の支点位置となることとしたから、ライナーの増減によって、引戸の保持力の調節操作をすることが可能となり、簡単に引戸の保持力の調節を行うことができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項1に係る発明の作用効果を奏する上に、調節部は、レールに対して直接又は間接的に設置される調節螺子用保持部と、該調節螺子用保持部に保持される調節螺子とを備え、調節用螺子用保持部からの調節螺子の先端の突出量を調節可能とすることにより、長尺弾性部と調節螺子の先端との当接位置が、当該二箇所の支点位置のうちの一箇所の支点位置となることとしたから、ドライバー等の工具で調節螺子の突出量を調節するだけで、引戸の保持力の調節操作をすることが可能となり、きわめて簡単に、引戸の保持力の調節を行うことができる。
【0018】
請求項に係る発明によれば、上記いずれかの引戸装置を当該引戸構造におけるレール若しくは引戸に備えることによって、必要に応じて引戸の保持力を簡単に調節でき、且つ、十分な耐久性を有する優れた引戸構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1に係る引戸装置及び引戸構造を示す、引戸を閉鎖した状態の説明図。
図2】実施例1に係る引戸装置及び引戸構造を示す、引戸を開放した状態の説明図。
図3】実施例1に係る引戸構造において用いるレールを示す説明斜視図。
図4】(a)実施例1に係る保持力調節装置を示す正面図、(b)実施例1に係る保持力調節装置をレールに取付けた状態を示すA−A断面図、(c)同B−B断面図。
図5】実施例1に係る保持力調節装置の調節板を示す(a)平面図、(b)正面図、(c)C−C断面図、(d)D−D断面図、(e)右側面図。
図6】実施例1に係る保持力調節装置の板バネを示す(a)平面図、(b)正面図。
図7】(a)実施例1に係る第一ハンガーを示す説明図、(b)レールと第一ハンガーを組み合わせ板バネと回転駒を係止させた状態を示す側面図。
図8】(a)実施例1に係る保持力調節装置を縮小した状態を示す正面図、(b)同保持力調節装置を伸張した状態を示す正面図。
図9参考例1に係る引戸装置を示す、引戸を閉じた状態の説明図。
図10参考例2に係る引戸装置を示す、引戸を閉じた状態の説明図。
図11】(a)参考例3に係る引戸装置を示す説明図、(b)実施例4の他の形態を示す第一ハンガーの斜視図。
図12参考例4に係る引戸装置を示す説明図。
図13参考例5に係る引戸装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
レールに沿って摺動し引戸本体に取付けられるハンガーと、前記レールに配置する保持力調節装置とを備え、該保持力調節装置と前記ハンガーの一部とが係止して引戸の開放状態を保持可能とする、戸袋収納タイプの引戸用の引戸装置において、保持力調節装置は、レールに対する設置位置を確保する設置部と、前記設置部と一体若しくは別体として連結される長尺弾性部と、該長尺弾性部と前記ハンガーの一部との係止位置を調節する調節部とから構成され、且つ、前記保持力調節装置は、戸袋外の戸尻側位置に配置するものとし、前記長尺弾性部は、基端部、中央部及び先端部を連続一体とした構成であり、前記中央部は、基端部から長手方向に延設され側面視への字状に曲げて構成され、先端部は先端側へ連続して形成し、その基端側と先端側の二箇所を当接部とし、これらの当接部間における前記中央部にはハンガーの係止手段と係止可能な係止部を備え、前記調節部は、設置部に対して長手方向のスライド及び固定を可能とし、前記設置部に対する調節部の位置に応じ、長尺弾性部の二箇所の当接位置となる支点の長手方向の変更により当該支点間の長手方向の距離を変更して、引戸の開放状態における保持力を調節することとしたから、バネが二点支持構造されることで、バネの支点部分への負荷を分散して耐久性を高め、バネの変形による保持力の喪失等の危険性を大きく低減することができる。そして、二箇所の支点位置の変化により、バネへの負荷を分散して耐久性を高めつつ、引戸の保持力の調節を行うことができ、戸袋収納可能な引戸における引戸装置としても使用できるものとし、引戸の開放状態におけるレール上の設置部に対する調節部のスライド固定手段の位置及び係止部の位置が、戸袋外に配置される引戸構造とすることによって、戸袋収納タイプの引戸に用いた場合であっても、スライド固定手段を操作することが可能となり、簡単に引戸の保持力の調節を行うことができる、優れた引戸装置と、該引戸装置を備えた引戸構造の提供を実現した。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1に係る引戸構造Wは、図1及び図2に示すように、レール3に対して取付けられる保持力調節装置1と前記レール3に沿って移動可能なハンガー2とを有する引戸装置Pを備える。
【0022】
前記レール3は、図3に示すように、設置上枠Fに取付けられるアルミ製の長尺材であり、垂直部31と水平部32によってその断面は略L字状に形成される。水平部32の先端縁は、縁全体を上方へ延設してなるレール縁部30とし、垂直部31の上端側には、断面視矩形の一側辺中央に開口34を有する形状として長手方向に連続する中空枠部33を設けた構成である。尚、レール3のうち戸袋4内の端部近傍には、引戸Sの開放時の限界位置を位置決めするストッパー6を設けている。
【0023】
前記保持力調節装置1は、図4に示すように、前記レール3の中空枠部33の側壁35を挟持する二枚の設置部としての設置板10(外側設置板10a、内側設置板10b)と、該設置板10のうち外側設置板10aに対してスライド可能となる調節部としての調節板11と、前記外側設置板10aに対して固定される長尺弾性部としての板バネ12とからなる。
【0024】
前記設置板10のうち外側設置板10aは、長手方向に亘って90度に曲げ加工をすることで断面視L字状に、側板101と底板102を形成した構成としている。側板101には固定手段となる皿ビス101bに対応したテーパー状の周面を有する取付穴101aが形成されている。また、底板102には板バネ12を固定するための手段となるリベット102bに対応した取付穴102aが形成されている。
そして、外側設置板10aの底板102は前記中空枠部33の底面36と当接し、外側設置板10aの側板101は前記中空枠部33の開口34を有する側壁35に当接する。
【0025】
図4(b)に示すように、内側設置板10bには雌螺子穴101cを備え、外側設置板10aと内側設置板10bで前記側壁35を挟持して外側設置板10aにおける側板101の取付穴101aから前記皿ビス101bを挿通して内側設置板10bの雌螺子穴101cに螺着する。
【0026】
前記調節板11は、図4及び図5に示すように、基端側に長穴110を有し、先端側には前記レール3に対して水平を保つための第一突出部113と第二突出部114を備える。
また、調節板11のスライド時に第一突出部113及び第二突出部114の追従を良好とするためにやや先端側寄りの位置に段差111を設けている。また、長穴110に沿って板バネ12による開放した引戸Sの保持力の強弱の調節度合を示す表示14を刻印している。
【0027】
第一突出部113はプレス加工によって調節板11の面に対して垂直に押出して形成され、スライド固定される後端側を含め、調節板11全体がレール3に対して水平となるだけの突出量を確保している。
【0028】
第二突出部114は、先端側の一部を90度曲げて、前記レール3の中空枠部33の底面36に当接する構成としたものである。第二突出部114の形成によって先端側は断面視L字状となる。第二突出部114は前記外側設置板10aの底板102と同一水平面上に配置される。
【0029】
図4(c)のB−B断面図に示すように、固定用雄螺子13を長穴110と外側設置板10aの側板101の取付穴101dを連通して内側設置板10bの雌螺子101eに螺合することで、調節板11を固定することができる。また固定用雄螺子13を若干緩ませることで、調節板11は長穴110の寸法で許容される範囲で長手方向にスライドさせることができる。
【0030】
本発明の長尺弾性部となる板バネ12は、図6に示すように、基端部120、中央部121及び先端部122を連続一体とした構成であり、該基端部120に設置板10の底板102に対して鋲着するための取付穴124を備える。前記中央部121は、基端部120から長手方向に延設され側面視への字状に曲げて構成される。先端部122は、前記中央部121から先端部122側へ連続し前記基端部120と同一平面上となるように形成した構成である。また、中央部121及び先端部122の幅寸法w1は、基端部120の幅寸法w2の約半分程度として形成される。中央部121の前記への字状の頂点部分123と該頂点部分123から先端側に位置する傾斜部125のうち前記頂点部分123の近傍となる部分がハンガー2に対する係止部となる。
【0031】
前記板バネ12は前記取付穴124からリベット102bを用いて前記外側設置板10aの底板102の取付穴102aに対してカシメ固定した構成としている。
以上によって、前記レール3に対して保持力調節装置1が固着した構造が実現される。
【0032】
ハンガー2は、図1に示すように、取付基板23から立設した本体側壁25に軸部を設け、該軸部で戸車24を支持してなり、本体基板には、引戸Sを固定するための本体取付穴を備える。本実施例1においてハンガー2は、レール3に対して、戸先側の第一ハンガー2a、戸尻側の第二ハンガー2bの計二基を設けている。このうち本発明の構成として重要な働きに関与するハンガー2は、戸先側となる第一ハンガー2aである。尚、第二ハンガー2bは別途設けられる制動装置5と連結され、引戸Sの急激な移動を制御する制動装置5の引戸Sに対する伝達部として機能しており、前記第一ハンガー2aとともに移動するものである。
【0033】
前記第一ハンガー2aは、図1及び図7に示すように、本体側壁25の戸先側の側辺から垂直方向に延設した側片26を備え、該側片26には、前記板バネ12の係止部に対応する係止手段となる係止装置20を設けた構成としている。当該第一ハンガー2aは駆動装置7とワイヤーで連結されている。当該構成によって、駆動装置7が常に第一ハンガー2aを介して引戸Sを閉方向へ付勢し、自動的な引戸の閉鎖を行うものである。
【0034】
係止装置20は断面視L字状の基板27の一端に軸ピン22を立設し、該軸ピン22に回転駒21を枢着した構成である。回転駒21は本発明の係止手段となる。取付基板23の他端側を前記側片26に重合固定することで、回転駒21は戸車24と同方向に向けて設けられる。当該構成によって、回転駒21は、引戸Sの開放状態においても、戸袋内には位置せず、戸袋外において、係止手段として機能するものである。
【0035】
以上の構成によって、先ず、引戸Sを閉状態から開状態に移行させると、第一ハンガー2aの戸車24がレール縁部30上を移動し、第一ハンガー2aの回転駒21が板バネ12の基端部120の下面に接触し摺動する。回転駒21が開方向の傾斜部126に至ると当該傾斜によって開方向への抵抗が大きくなり、頂点部123を超えることで、再度抵抗がなくなり、引戸Sの全開状態とすることができる。傾斜部126の傾斜は非常に緩やか(約10°程度)に形成してあるため、違和感なく引戸Sを開状態とすることができる。
【0036】
そして、上記開状態の保持について、閉方向へ第一ハンガーが2aを移動させると、本発明の係止部を含む閉方向への傾斜部125は、前記開方向への傾斜部126よりも傾斜角度を大きく設定してあり(約20°程度)、回転駒21との接触により、急激に閉方向への引戸Sの移動を減速させる。回転駒21と板バネ12の係止部が係止することで、引戸Sの全開状態が保たれる。
【0037】
この閉方向への引戸Sの移動に要する力の加減を調節するには、回転駒21と板バネ12の係止部の係止の加減を調節すればよく、調節は、調節板11の位置をスライド変更して行うことができる。
【0038】
即ち、調節板11と板バネ12との二箇所の当接位置となる支点f、f間の距離dを変更することで、保持力の調節を行う。当接位置の一箇所は板バネ12が外側設置板10aの底板102に直接固定される基端部120であり、この位置は変更されない。当接位置の他の箇所は調節板11の第二突出部114と板バネ12との当接位置である。
【0039】
保持力調節装置1の伸縮は前記長穴110の範囲で行うことができ、調節板11が最も設置板10側(戸先側)となる縮小状態のとき、図8(a)に示すように、調節板11の第二突出部114は板バネ12の先端部122のうちやや中央部121寄りの位置にある。この状態において二箇所の当接位置となる支点f、f間の距離dが最も短くなり、より多くの保持力を必要とする。
【0040】
また調節板11が最も戸尻側となる伸張状態のとき、図8(b)に示すように、調節板11の第二突出部114は板バネ12の先端部122の端縁部位置にある。この状態において二箇所の当接位置となる支点f、f間の距離dが最も長くなり、より少ない保持力とすることができる。
【0041】
また、本実施例1に示した保持力調節装置1は、スライド固定手段、即ち長穴110と固定用雄螺子13の位置が、戸袋4外の戸尻側位置に配置した構成である。当該構成としたことによって、戸袋収納タイプの引戸Sに用いた場合であっても、調節板11のスライド操作と固定用雄螺子13の固定操作することが可能となり、簡単に引戸Sの保持力の調節を行うことができる。
【0042】
更に、当該位置に保持力調節装置1を配置したことによって、第一設置板10a及び第二設置板10bの締め付けを緩めることやこれらの設置板10の取り外しを容易とすることができるから、保持力調節装置1自体の位置の微調節や破損時の交換等も容易に行うことができる。
【0043】
また、本実施例1においては、第二突出部114と外側設置板10aの底板102の厚みを同一とすることで、レール3に設置した際に、板バネ12に対する二箇所の当接位置となる支点f、fを水平位置に保つことができる。そしてこれによってバネに対する負荷を均一に受けることができ、保持力調節装置1に対する局所的な負荷を分散し、より耐久性を向上させ、高寿命化を図ることができる。
【0044】
また、本実施例1においては、第二突出部114がレール3の中空枠部33の底面36に案内されるため、調節板11のスライド操作を安定して行うことができる。
【0045】
また、本実施例1においては、固定用雄螺子13は一箇所のみ設けるものとしたが、本発明はこれに限らず二箇所以上に設けることもできる。尚、本実施例1においては、固定用雄螺子13を一箇所のみとすることで、スライド位置の調節作業を簡単に行えるとともに、当該固定用雄螺子13が一箇所のみであっても第二突出部114がレール3の中空枠部33にガイドされることで、円滑なスライドを実現する点で優れた調節機能を実現している。
(参考例1)
【0046】
次に、本発明の参考例1に係る引戸装置Pは、図9に示すように、上記実施例1と基本構成は共通するものであり、上記実施例1の構成のうち、調節部の機構のみを変更し、支点fの高さを調整する機構を備えたものである。即ち、本参考例1においては、上記実施例1における調節板11に代えて、複数の調節用ライナー15を重合して設けたものである。
【0047】
当該調節用ライナー15は重合する数量を変更することにより、支点fとなる板バネ12との当接位置、即ち、板バネ12の支点fの高さ方向の位置を変更することによって、板バネ12の撓り量を変更し、保持力の調節を行うものである。
【0048】
参考例1においては、調節用ライナー15は金属製板材とし、固定用螺子を通すための貫通穴を備える。前記固定用螺子を、前記調節用ライナー15の貫通穴に通し、レールに設けた雌螺子穴に対して螺合させることによって、調節用ライナー15を設置することができる。調節用ライナー15は、使用する枚数を適宜調節することにより調節する。
このため、使用する枚数は、任意の数でよいから、一枚とすることもできるし、複数枚とすることもできる。
(参考例2)
【0049】
本発明の参考例2に係る引戸装置Pは、上記参考例1に近似する構成を示すものであり、図10に示すように、調節部の構成を、調節用ライナー15に代えて、調節螺子17によって行う構成としたものである。
【0050】
即ち、レール3に対して調節螺子用保持部18を固定し、該調節螺子用保持部18によって調節螺子17を保持する。前記調節螺子用保持部18は、調節螺子と螺合する雌螺子穴を備えており、調節螺子を該雌螺子穴へ螺合貫通させ、調節螺子の先端170が板バネ12と当接する構成としたものである。
【0051】
参考例2によれば、螺子の締込み具合(即ち、螺子の先端の突出量)により支点fの高さをすることで、板バネ12の撓り量を変更し、保持力の調節を行う。尚、調節螺子の先端は本参考例2に開示するように直接板バネ12と当接する構成であってもよいし、他の部材を取付けてもよい。
(参考例3)
【0052】
本発明の参考例3に係る引戸装置Pは、実施例1、参考例1、参考例2に係る引き戸装置Pと異なり、係止時に対応するハンガー2の係止手段(例えば、回転駒21)側に調節部(例えば調節板11)を備えたものである。
【0053】
即ち、図11(a)に示すように、実施例1に対応する第一ハンガー2aに取付けられる係止装置20の位置決め穴を、上下方向を長手とする長穴28とし、当該第一ハンガー2aの側片26に対して上下方向にスライド及び固定を可能としたものである。尚、図11(a)では、第一ハンガー2aは省略している。
当該構成により、係止部に対応する第一ハンガー2aの係止手段(本実施例においては回転駒21)の高さを調節可能とし、長尺弾性体である板バネ12の撓り量を変更し、引戸Sの保持力を調節することができる。
また、図11(b)に示すように、前記位置決め穴を、上下方向を長手とする長穴28とすることに加え、係止装置20を実施例1と同様に断面視L字状とすることもできる。
(参考例4)
【0054】
本発明の参考例4に係る引戸装置Pは上記参考例3と同様に、係止時に対応するハンガーの係止手段側に調節部を備えたものであり、参考例3の構成から、係止手段のスライド方法を変更したものである。
【0055】
参考例4によれば、図12に示すように、係止手段を回転移動させて高さ方向の位置調節を行うものである。
本実施例5では、第一ハンガー2aに取付けられる係止装置の位置決め穴について、二つの位置決め穴のうち、一方を丸孔、他方を円弧状長穴とし、円弧状長穴における螺子固定丸孔側を回転移動の中心とし、係止装置を回転移動させることができる。
(参考例5)
【0056】
参考例5に係る引戸装置Pは、上記参考例3及び参考例4と同様に、係止時において係止部に対応する対応するハンガー側に調節部を備えたものである。本参考例5は、図13に示すように、参考例3及び参考例4と異なり、係止装置をスライドさせる構成に代えて、係止装置をハンガーの本体から調節用ライナー16を介して設けた構成としたものである。
【0057】
参考例においても、参考例1と同様に、調節用ライナー16は金属製板材とし、固定用螺子を通すための貫通穴を備える。前記固定用螺子を、前記調節用ライナー16の貫通穴に通し、レール3に設けた雌螺子穴に対して螺合させることによって、調節用ライナー16を設置することができる。また、調節用ライナー16は、使用する枚数を適宜調節することにより調節することができる。
【0058】
また、図示省略するが、他の実施例として、例えば、実施例1の構成について、参考例1の調節用ライナー15を調節板10の第二突出部114に設けることにより、調節板11によるスライド調節と調節用ライナー15による複数の高さ調節手段を備えることができる。このような調節手段の組合せは、例えば、他の実施例として、上記参考例のうちいずれか二つ以上を組合せることによっても行うことができる。
【0059】
尚、上記実施例、参考例においては、いずれも設置部(例えば設置板10)と長尺弾性部(例えば板バネ12)とは別体のものを用いたが、本発明はこれに限らず、設置部と長尺弾性部とを一体として形成することもできる。
【0060】
また、本発明における長尺弾性部は、実施例として金属製の板バネ12としたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、高強度合成樹脂材料で構成される長尺弾性部とすることもできる。
【符号の説明】
【0061】
1 保持力調節装置
10 設置板
10a 外側設置板
10b 内側設置板
101 側板
101a 取付穴
101b 皿ビス
101c 雌螺子穴
101d 取付穴
101e 雌螺子
102 底板
102a 取付穴
102b リベット
11 調節板
110 長穴
111 段差
113 第一突出部
114 第二突出部
12 板バネ
120 基端部
121 中央部
122 先端部
123 頂点部
124 取付穴
125 傾斜部
126 傾斜部
13 固定用雄螺子
14 表示
15 調節用ライナー
16 調節用ライナー
17 調節螺子
170 先端
18 調節螺子用保持部
2 ハンガー
2a 第一ハンガー
2b 第二ハンガー
20 係止装置
21 回転駒
22 軸ピン
23 取付基板
24 戸車
25 本体側壁
26 側片
27 基板
28 長穴
3 レール
30 レール縁部
31 垂直部
32 水平部
33 中空枠部
34 開口
35 側壁
36 底面
4 戸袋
5 制動装置
6 ストッパー
7 駆動装置
d 距離
F 設置上枠
P 引戸装置
S 引戸
W 引戸構造
f 支点
w1 幅寸法
w2 幅寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13