【実施例】
【0053】
以下、この発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。以下に示す実施例は、この発明の一例を示すものであり、この発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」や「%」は、特に断らない限り、質量基準で示す。
【0054】
(
参考例1)
<試験板作製方法>
サンドブラスト板(150mm×70mm×t3.2mm、軟鋼板)に水系防錆塗料として下記組成の2液型水系エポキシ樹脂塗料を乾燥膜厚が約50μmになるように1回で塗装し、塗装後、温度23℃に保たれた恒温室内で24時間乾燥させた。
<2液型水系エポキシ樹脂塗料>
第一液:商品名「エピコート828」(ジャパン・エポキシレジン社製)、防錆成分「リン酸カルシウム」、溶剤「水」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度60質量%
第二液:商品名「変性ポリアミン樹脂FXI−919」(富士化成工業社製)、溶剤「水」、固形分濃度50質量%、第一液との混合割合(質量比) 第一液:第二液=3:1
【0055】
このようにして形成した水系防錆塗料の塗膜上に上塗水系塗料として下記組成の2液型水系ポリウレタン樹脂塗料を乾燥膜厚が約30μmになるように2回で塗装し、塗装後、温度23℃に保たれた恒温室内で48時間乾燥させた。このようにしてサンドブラスト板上にエポキシ系樹脂を含有する水系防錆塗料の塗膜及びポリウレタン樹脂を含有する上塗水系塗料の塗膜をこの順で形成した
参考例1の試験板を作製した。
<2液型水系ポリウレタン樹脂塗料>
第一液:「自家製アクリルポリオール樹脂」(大日本塗料株式会社製)、溶剤「水」、顔料「酸化チタン」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度50質量%
第二液:「イソホロンジイソシアネート」、固形分濃度100質量%、第一液との混合割合(質量比) 第一液:第二液=4:1
【0056】
(比較例1)
前記2液型水系エポキシ樹脂塗料を有機溶剤系防錆塗料として下記組成の2液型有機溶剤系エポキシ樹脂系塗料に変更し、かつ上塗有機溶剤系塗料として前記組成の2液型水系ポリウレタン樹脂塗料を下記組成の2液型有機溶剤系ポリウレタン樹脂系塗料に変更したこと以外は
参考例1と基本的に同様にして比較例1の試験板を作製した。
<2液型有機溶剤系エポキシ樹脂系塗料>
第一液:商品名「エピコート1001」(ジャパン・エポキシレジン社製)、防錆成分「リン酸カルシウム」、有機溶剤「トルエン」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度60質量%
第二液:商品名「ポリアミドアミン TXK−659」(富士化成工業社製)、有機溶剤「キシレン」、固形分濃度60質量%、第一液との混合割合(質量比) 第一液:第二液=4:1
<2液型有機溶剤系ポリウレタン樹脂系塗料>
第一液:「自家製エポキシポリオール樹脂」(大日本塗料株式会社製)、有機溶剤「トルエン」、顔料「酸化チタン」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度50質量%
第二液:「トリレンジイソシアネート」、固形分濃度100質量%、第一液との混合割合(質量比) 第一液:第二液=4:1
【0057】
(耐食性試験)
作製した
参考例1及び比較例1の試験板それぞれをJIS K 5600−7−1(塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第1節:耐中性塩水噴霧性)に従い、700時間の評価を行った。結果を下記第1表に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
第1表に示されるように、防錆剤を含有しない2液型水系ポリウレタン樹脂塗料を塗布乾燥してなる仕上げ塗膜を有する
参考例1の試験板は耐食性に優れていたことから、この仕上げ塗膜のない試験板、すなわちサンドブラスト板に水系防錆塗料である2液型水系エポキシ樹脂塗料を塗布乾燥してなる塗膜を有する試験板であっても
参考例1と同様に耐食性に優れることが理解できる。
【0060】
(付着性試験)
作製した
参考例1及び比較例1の試験板それぞれを24時間、水道水に浸漬した後水道水から取り出して1時間放置し、その後、JIS K 5600−5−6(塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法))に従って行い評価した。結果を下記第2表に示す。なお、本願出願人らはこの付着性試験が塗膜の躯体への密着性の評価に代用できることを確認している。
【0061】
【表2】
【0062】
(耐湿性)
上記のように作製した
参考例1及び比較例1の試験片を50℃で98%RH以上の恒温恒湿槽に120時間放置後、上記クロスカット法試験と同様に評価した。結果を下記第3表に示す。
【0063】
(耐候性)
上記のように作製した
参考例1及び比較例1の試験片をサンシャインウエザロメーターによって促進耐候性試験を行い、1000時間後の塗膜外観の変化を試験前の塗膜状態と比較し評価した。結果を下記第3表に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
なお、
参考例1において、前記付着性試験とは異なる「躯体への密着性」評価及び「安全衛生面及び環境保全」評価については後述する
参考例3及び4で評価し、その効果を確認した。
【0066】
(
参考例2)
駐車設備のひとつであるターンテーブル(屋外設置、鉄鋼製)の改修工事においてこの発明の水系防錆塗料で塗り替えを実施した。具体的には、下地調整として、水系洗浄剤(界面活性剤成分含有)でエンジンオイル等の油分を脱脂し、脆弱な旧塗膜や腐食生成物を動力工具で除去した。なお、健全な旧塗膜表面は、水系防錆塗料の付着性を確保するため、手工具や動力工具でサンディング処理した。下地調整が終了後、水系防錆塗料として下記組成の1液型水系エポキシ樹脂系塗料を乾燥膜厚が30μmになるように1回で塗装して一日放置した。
<1液型水系エポキシ樹脂系塗料>
樹脂「ウォーターゾール」(DIC社製)、防錆顔料「リン酸カルシウム」、溶剤「水」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度60質量%
【0067】
このようにして形成した水系防錆塗料の塗膜上に上塗水系塗料として下記組成の1液型水系アクリル樹脂系塗料を乾燥膜厚が30μmになるように2回で塗装して、ターンテーブルの改修を完了した。
<1液型水系アクリル樹脂系塗料>
商品名「自家製化アクリルエマルジョン」(大日本塗料株式会社製)、顔料「酸化チタン」、耐候性添加剤「紫外線吸収剤」、溶剤「水」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度55質量%
【0068】
(タイヤによる耐剥離・摩耗性)
このターンテーブルの塗膜における、車輌タイヤによる剥離や摩耗の程度を上記比較例1の有機溶剤系塗料を塗装した部分と比較し、塗膜外観を目視により以下のようにして評価した。この評価は改修後のターンテーブルを使用開始約半年後に行った。その結果を下記第4表に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
この結果から本願発明の水系防錆塗料を硬化した塗膜は躯体への密着性が高いことが分かった。また
参考例2の水系防錆塗料は、強靱なエマルジョン塗膜を形成するため、比較例1の有機溶剤系の塗膜より車輌タイヤによる摩耗状態が少なかったと思われる。
【0071】
参考例2についても
参考例1と基本的に同様にして耐湿性及び耐候性を評価したところ
参考例1の試験片と同様の傾向が確認できた。
【0072】
(
参考例3)
機械式駐車設備のひとつである多段式駐車設備(屋外設置)のパレット(鉄鋼製)の改修工事においてこの発明の水系防錆塗料で塗り替えを実施した。具体的には、
参考例2と同様にしてパレットを下地調整した後に水系防錆塗料として上記
参考例1と同じ2液型水系エポキシ樹脂塗料を乾燥膜厚約50μmになるように1回で塗装して一日放置した。
【0073】
このようにして形成した水系防錆塗料の塗膜上に上塗水系塗料として上記
参考例1と同じ2液型水系ポリウレタン樹脂塗料を乾燥膜厚が30μmになるように2回で塗装して、温度25℃で乾燥させて、多段式駐車設備を改修した。
【0074】
(比較例2)
参考例2と同様にしてパレットを下地調整した後に有機溶剤系防錆塗料として下記組成の1液型湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料を乾燥膜厚約50μmになるように1回で塗装して一日放置した。
<1液型湿気硬化型ポリウレタン樹脂系塗料>
商品名「スミジュール」(住友バイエルウレタン社製)、防錆顔料「亜鉛末」、有機溶剤「キシレン」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度55質量%
【0075】
このようにして形成した水系防錆塗料の塗膜上に上塗有機溶剤系塗料として下記組成の2液型ポリウレタン樹脂系塗料を乾燥膜厚が30μmになるように2回で塗装して、温度25℃で乾燥させて、多段式駐車設備を改修した。
<2液型ポリウレタン樹脂系塗料>
第一液:「自家製ポリエステルポリオール樹脂」(大日本塗料株式会社製)、有機溶剤「トルエン」、顔料「酸化チタン」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度55質量%
第二液:「イソホロンジイソシアネート」、固形分濃度100質量%、第一液との混合割合(質量比) 第一液:第二液=4:1
【0076】
(臭気測定)
このようにして改修された多段式駐車設備において、
参考例3の水系防錆塗料と比較例2の有機溶剤系防錆塗料との塗装中の雰囲気の臭気を計測した。装置は新コスモス電機製のポータブル型ニオイセンサを用いた。本装置はニオイの強弱をデジタル表示できるものである。これにより、揮発性有機化合物の放散量の程度が把握可能である。測定した結果を下記第5表に示す。臭気成分の種類にもよるが、通常の有機溶剤であれば測定された値がおよそ500以下であると、一般的に市街地であっても安全衛生面及び環境保全に十分に配慮できる。
【0077】
【表5】
【0078】
(
参考例4)
機械式駐車設備のひとつである地下式駐車設備(屋内設置、鉄鋼製)の改修工事において、この発明の水系塗料で塗り替えを実施した。具体的には、
参考例2と同様にして地下式駐車設備の床面を下地調整した後に水系防錆塗料として上記
参考例1と同じ2液型水系エポキシ樹脂塗料を乾燥膜厚約50μmになるように1回で塗装して一日放置した。
【0079】
このようにして形成した水系防錆塗料の塗膜上に上塗水系塗料として上記
参考例1と同じ2液型水系ポリウレタン樹脂塗料を乾燥膜厚が30μmになるように2回で塗装して、温度25℃で乾燥させて、地下式駐車設備の改修を完了した。
【0080】
(臭気官能評価)
参考例4の水系防錆塗料及び上塗水系塗料の塗装中の雰囲気を、2液型水系エポキシ樹脂塗料及び2液型水系ポリウレタン樹脂塗料それぞれについて、官能評価を実施した。評価者は、塗装業者1名、駐車設備メーカー3名、塗料メーカー営業担当1名の合計5名で実施した。その結果を下記第6表及び第7表に示す。
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
(躯体への密着性評価)
参考例2〜4及び比較例2で改修した各駐車設備の状態を使用開始約半年後に確認した結果を下記第8表に示す。
【0084】
【表8】
【0085】
以上のように、駐車設備の多くは、市街地にあり、従来からの有機溶剤系塗料では刺激臭や異臭の問題があり、改修工事が実施できていない設備もある。それらは設備の老朽化が激しく、腐食も進み、鋼板が欠落しているものまである。また美観も悪い。これに対して、この発明によれば、水系防錆塗料で施工することにより、塗装中、塗装後に刺激臭や異臭を放つことなく、この発明の方法は安全衛生面及び環境保全面に配慮された耐食性を付与できる表面処理方法である。
【0086】
(
参考例5)
【0087】
サンドブラスト板(150mm×70mm×t3.2mm、軟鋼板)に下記組成の1液型水系ジンクリッチ塗料を乾燥膜厚が約50μmになるように1回で塗装し、塗装後、温度23℃に保たれた恒温室内で24時間乾燥させた。
<水系ジンクリッチ塗料>
商品名「水性ゼッタールEP−2 HB」(大日本塗料株式会社製)、亜鉛末成分「亜鉛」、結合剤「ポリアミドアミン」、溶剤「水」、消泡剤(サンノプコ株式会社製)、亜鉛末濃度75質量%、結合剤濃度25質量%、固形分濃度85質量%
【0088】
このようにして形成した水系ジンクリッチ塗料の塗膜上に水系防錆塗料として下記組成の2液型水系エポキシ樹脂塗料を乾燥膜厚が約50μmになるように1回で塗装し、塗装後、温度23℃に保たれた恒温室内で24時間乾燥させた。
<2液型水系エポキシ樹脂塗料>
第一液:商品名「エピコート828」(ジャパン・エポキシレジン社製)、防錆成分「リン酸カルシウム」、溶剤「水」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度60質量%
第二液:商品名「変性ポリアミン樹脂FXI−919」(富士化成工業社製)、溶剤「水」、固形分濃度50質量%、第一液との混合割合(質量比) 第一液:第二液=3:1
【0089】
このようにして形成した水系防錆塗料の塗膜上に上塗水系塗料として下記組成の1液型水系フッ素樹脂塗料を乾燥膜厚が約30μmになるように2回で塗装し、塗装後、温度23℃に保たれた恒温室内で48時間乾燥させた。このようにしてサンドブラスト板上に亜鉛末を含有する水系ジンクリッチ塗料の塗膜、エポキシ系樹脂を含有する水系防錆塗料の塗膜及びフッ素樹脂を含有する上塗水系塗料の塗膜をこの順で形成した
参考例5の試験板を作製した。
<1液型水系フッ素樹脂塗料>
商品名「DNTビューフッソ」(大日本塗料株式会社製)、フッ素樹脂「ルミフロン」(旭硝子株式会社製)、溶剤「水」、顔料「酸化チタン等」、フッ素樹脂濃度5質量%、固形分濃度12質量%
【0090】
(耐食性試験)
作製した
参考例5及び比較対象として
参考例1の試験板それぞれをJIS K 5600−7−1(塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第1節:耐中性塩水噴霧性)に従い、700時間の評価を行った。その結果、
参考例1の試験板は前記の通り700時間経過後であってもふくれ、はがれ、われは認められなかったのに対して、
参考例5の試験板はより長期間である900時間経過後であってもふくれ、はがれ、われは認められなかった。このように、水系防錆塗料の下層に水系ジンクリッチ塗料の塗膜を形成し、かつ水系防錆塗料の上層に水系フッ素樹脂塗料の塗膜を形成すると、水系防錆塗料による優れた耐食性をより一層長期間にわたって発揮させることができることが理解できる。
【0091】
(実施例6)
サンドブラスト板(150mm×70mm×t3.2mm、軟鋼板)の表面を研磨紙P280で研磨処理した後にシリコーングリース(商品名「シリコングリス」、竹中エンジニアリング株式会社製)を塗布厚が約2μmとなるように摺り込んで、駐車設備の通常使用によるシリコーン化合物の付着量を遥かに超える被検体を作製した。
【0092】
この被検体の表面でメラミン系樹脂の多孔質体(商品名「お掃除消しゴム」、アズマ工業株式会社製)を水に湿らせた後に雑巾掛けの要領で摺動させて脱脂処理をした。その後、被検体の表面に水系防錆塗料として下記組成を有する1液型水系ポリウレタン樹脂塗料を乾燥膜厚が約25μmになるように1回で塗装し、塗装後、温度23℃に保たれた恒温室内で24時間乾燥させた。
<1液型水系ポリウレタン塗料>
商品名「DNTビューウレタン」、大日本塗料株式会社製、一液反応硬化形水系塗料、防錆剤「縮合リン酸アルミニウム」(テイカ株式会社製)、溶剤「水」、樹脂濃度30質量%、固形分濃度35質量%
【0093】
このようにして、被検体の表面に水系防錆塗料である1液型水系ポリウレタン樹脂塗料の塗膜を形成して、実施例6の試験板を作製した。
【0094】
(比較例3)
メラミン系樹脂の多孔質体での脱脂処理に代えて、実施例6で作製した被検体の表面を水系洗浄剤(商品名「グランダクリーナー312」の5%希釈液、ミリオン化学株式会社製)で「公共建築工事標準仕様書」に記載の「鉄鋼面の素地ごしらえC種」の条件で脱脂処理したこと以外は実施例6と基本的に同様にして比較例3の試験板を作製した。
【0095】
(剥離試験)
実施例6及び比較例3の試験板を作製して3日経過後にカッターナイフで素地に到達するクロスカットを入れ、クロスカット部にセロハンテープ(登録商標)を貼着させた後に剥離して、1液型水系ポリウレタン樹脂塗料の塗膜が被検体から剥離するか否かを確認した。その結果、駐車設備の通常使用によるシリコーン化合物の付着量を遥かに超える被検体を用いた過酷試験において、比較例3ではクロスカット部分の大部分の塗膜が剥離したものの、実施例6ではクロスカット部分の塗膜は剥離しなかった。なお、比較例3においても過酷試験でなければ塗膜の密着性が優れることは前記の通りである。
【0096】
ところで、実施例6において、メラミン系樹脂の多孔質体を水に湿らせなかった場合には実用上問題にならない程度のごく軽微な剥離を確認でき、また実施例6で作製した被検体の表面を何らの処理をすることなく1液型水系ポリウレタン樹脂塗料を塗布した場合にはクロスカット部分全体が剥離したことを確認した。
【0097】
実施例6の試験板は、
参考例1等と同様に耐食性に優れていた。
【0098】
(実施例7)
機械式駐車設備の既存のものである多段式駐車設備(屋外設置)のパレット(鉄鋼製)の改修工事において、シリコーン化合物が大量に付着しているパレット表面でメラミン系樹脂の多孔質体(商品名「激落ち君」、レック株式会社製)をそのまま、又は、水に湿らせた後に雑巾掛けの要領で摺動させて、パレット表面を脱脂処理した。その後、被検体の表面に実施例6と同様の1液型水系ポリウレタン樹脂塗料を乾燥膜厚が約25μmになるように1回で塗装し、塗装後、温度25℃で24時間乾燥させ、多段式駐車設備を改修した。
【0099】
(比較例4)
メラミン系樹脂の多孔質体での脱脂処理に代えて下記脱脂処理等をしたこと以外は実施例7と基本的に同様にして比較例4−1〜4−5の試験板それぞれを作製した。
比較例4−1:有機溶剤(ノルマルヘキサン50質量%、キシレン30質量%及びイソプロピルアルコール20質量%)での脱脂処理
比較例4−2:比較例3で使用した水系洗浄剤での脱脂処理
比較例4−3:不織布研磨材(商品名「スコッチブライト」、住友3M株式会社製、P320相当)でのケレン処理
比較例4−4:ウエス(乾燥済み)での拭き取り処理
比較例4−5:脱脂処理未実施
【0100】
(はじき評価)
実施例7及び比較例4−1〜4−5において1液型水系ポリウレタン樹脂塗料を塗布したときに1液型水系ポリウレタン樹脂塗料がはじかれるか否かを目視で評価した。その結果、実施例7においてはメラミン系樹脂の多孔質体をそのまま用いても、また水に湿らせて用いても、1液型水系ポリウレタン樹脂塗料ははじかれることなく塗布されていた。また比較例4のうち、有機溶剤で脱脂処理した場合(比較例4−1)及び不織布研磨材で脱脂処理した場合(比較例4−3)には1液型水系ポリウレタン樹脂塗料ははじかれなかったが、水系洗浄剤で脱脂処理した場合(比較例4−2)、ウエスのみで拭き取り処理した場合(比較例4−4)、脱脂処理を実施しなかった場合(比較例4−5)は1液型水系ポリウレタン樹脂塗料ははじかれていた。
【0101】
(剥離試験)
実施例6と同様にして剥離試験を実施したところ、実施例7の試験片はいずれも剥離しなかったのに対して、比較例4−1〜4−5の試験片はいずれも剥離した。なお、実施例7の試験板はいずれも
参考例1等と同様に耐食性に優れていた。