特許第5945215号(P5945215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945215
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】折畳みベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 19/12 20060101AFI20160621BHJP
   A47C 20/08 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   A47C19/12 Z
   A47C20/08 Z
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-252503(P2012-252503)
(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公開番号】特開2014-100183(P2014-100183A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2014年7月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [展示会名] 株式会社アテックス2012内見会 [主催者名] 株式会社アテックス [開催日] 平成24年11月6日〜平成24年11月8日、及び平成24年11月13日〜平成24年11月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】中野 美喜男
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−124651(JP,A)
【文献】 特開2004−208795(JP,A)
【文献】 特開2008−073107(JP,A)
【文献】 特開2005−021630(JP,A)
【文献】 特開2009−247628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 19/12
A47C 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として使用者の上半身側が載置される上半身側寝台部と、主として使用者の下半身側が載置される下半身側寝台部とを含む寝台部を具え、
ベッド側面視において、前記寝台部が略水平となる水平状態と、前記上半身側寝台部と前記下半身側寝台部とが逆V字状に折り曲げられた屈曲状態とに変形可能な折畳みベッドであって、
前記上半身側寝台部は、第1駆動手段の駆動力を用いて、ベッド幅方向に沿った水平な第1枢軸回りで傾動するとともに、上向きに傾くことにより、使用者の上半身を斜めに起き上がらせる上半身側傾動部を含み、
前記ベッド側面視において、前記第1枢軸は、前記寝台部の水平長さの中心から水平方向に100〜200mmの位置に設けられており、
前記上半身側傾動部は、前記使用者の頭部が載置される頭部側載置部と、前記使用者の背中が載置される背中側載置部とを含み、
前記下半身側寝台部は、前記使用者の太腿側が載置される太腿側載置部と、前記使用者の脹脛が載置される脹脛側載置部とを含み、
前記脹脛側載置部と前記太腿側載置部とは、ベッド幅方向にのびる水平な第3枢軸回りで傾動可能に連結され、
前記脹脛側載置部は、第2駆動手段の駆動力を用いて、前記第3枢軸回りで傾動するとともに、
前記第1駆動手段は、前記水平状態において、その全体が前記背中側載置部の下方のベッド幅方向の中央位置に設けられ、かつ、前記第2駆動手段は、前記水平状態において、その全体が前記脹脛側載置部の下方のベッド幅方向の中央位置に設けられていることを特徴とする折畳みベッド。
【請求項2】
前記頭部側載置部は、先行して上向きに傾き、
前記背中側載置部は、前記頭部側載置部から遅れて上向きに傾く請求項1に記載の折畳みベッド。
【請求項3】
前記寝台部は、ベッドフレームに載せられており、
前記第1駆動手段は、前記水平状態において、前記上半身側寝台部の下方かつ前記ベッドフレームに設けられた伸縮可能なロッドを具えたアクチュエータと、
前記ロッドの伸縮により、前記第1枢軸と平行な水平軸回りで傾動する揺動レバーとを有し、
前記揺動レバーの一端は、直接的又は間接的に、前記頭部側載置部を下方側から押し上げる請求項1又は2に記載の折畳みベッド。
【請求項4】
前記頭部側載置部と、前記背中側載置部とは、中間リンクを介して傾動可能に連結されており、
前記頭部側載置部には、一端が、前記第1枢軸の近傍でかつ前記第1枢軸と平行な水平軸回りで傾動可能に前記ベッドフレームに連結された傾動アームの他端が連結され、
前記揺動レバーの前記一端は、前記傾動アームを下方から押し上げる請求項3に記載の折畳みベッド。
【請求項5】
前記揺動レバーの前記一端には、前記傾動アームに沿って転動するローラが回動自在に設けられている請求項4に記載の折畳みベッド。
【請求項6】
前記中間リンクは、前記ベッド側面視において、ベッド下方側に凸となる円弧状であり、前記頭部側載置部と、前記背中側載置部との各背面を連結している請求項4又は5記載の折畳みベッド。
【請求項7】
前記揺動レバーの前記一端と前記傾動アームとは、連結されていない請求項4乃至6のいずれかに記載の折畳みベッド。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記ロッドの伸張により、前記上半身側傾動部を押し上げる請求項3乃至7のいずれかに記載の折畳みベッド。
【請求項9】
前記太腿側載置部は、その上半身側寝台部側に設けられた第2枢軸回りで傾動可能に設けられ、
前記第2枢軸は、ベッド幅方向に沿った水平な軸であり、
前記第1枢軸と前記第2枢軸との水平方向の距離L2が、200〜400mmである請求項1乃至8のいずれかに記載の折畳みベッド。
【請求項10】
前記ベッド側面視において、前記太腿側載置部は、前記脹脛側載置部の傾動に伴って、前記第2枢軸回りで前記脹脛側載置部とは逆向きに傾動し、上向きに傾くことにより、使用者の太腿を持ち上げる請求項9記載の折畳みベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リクライニング可能な折畳みベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図10に示されるようなリクライニング可能な折畳みベッドaが提案されている(例えば、下記特許文献1)。この折畳みベッドaは、主として使用者の上半身側が置される上半身側寝台部bと、主として使用者の下半身側が置される下半身側寝台部cとを含む寝台部dを具えている。折畳みベッドaは、ベッド側面視において、これら上半身側寝台部bと下半身側寝台部cとが、逆V字状に折りげられて屈曲状態に変形可能である。
【0003】
上半身側寝台部bは、ベッド幅方向に沿った水平な第1枢軸e回りで上向きに傾動する上半身側傾動部fを含んでいる。上半身側傾動部fが持ち上げられることにより、使用者の上半身を斜めに起こすことができる(リクライニング状態)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−124651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の折畳みベッドaでは、寝台部dの水平長さLの中心CLから第1枢軸eまでの水平方向の距離Laは、例えば、230mm程度に設定されている。このような折畳みベッドaでは、標準的な成人の使用者を前提とした場合、上半身側傾動部fの屈曲位置である腰部gの一とは一致しない。従って、図10に示されるように、折畳みベッドaをリクライニング状態としたときに、使用者の上半身は、腰部gよりも頭部側を支点として屈曲される。また、上半身側傾動部fの傾動角度θが大きくなるに従い、使用者の腹部等に圧迫感を与えるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、リクライニング状態とされる際、使用者の上半身が腰部を支点として起こされるように、上半身側寝台部の傾動支点の位置を一定範囲に限定することを基本として、使用者の腹部に圧迫感を与えることなくリクライニング可能な折畳みベッドを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち、請求項1記載の発明は、主として使用者の上半身側が載置される上半身側寝台部と、主として使用者の下半身側が載置される下半身側寝台部とを含む寝台部を具え、ベッド側面視において、前記寝台部が略水平となる水平状態と、前記上半身側寝台部と前記下半身側寝台部とが逆V字状に折り曲げられた屈曲状態とに変形可能な折畳みベッドであって、前記上半身側寝台部は、第1駆動手段の駆動力を用いて、ベッド幅方向に沿った水平な第1枢軸回りで傾動するとともに、上向きに傾くことにより、使用者の上半身を斜めに起き上がらせる上半身側傾動部を含み、前記ベッド側面視において、前記第1枢軸は、前記寝台部の水平長さの中心から水平方向に100〜200mmの位置に設けられており、前記上半身側傾動部は、前記使用者の頭部が載置される頭部側載置部と、前記使用者の背中が載置される背中側載置部とを含み、前記下半身側寝台部は、前記使用者の太腿側が載置される太腿側載置部と、前記使用者の脹脛が載置される脹脛側載置部とを含み、前記脹脛側載置部と前記太腿側載置部とは、ベッド幅方向にのびる水平な第3枢軸回りで傾動可能に連結され、前記脹脛側載置部は、第2駆動手段の駆動力を用いて、前記第3枢軸回りで傾動するとともに、前記第1駆動手段は、前記水平状態において、その全体が前記背中側載置部の下方のベッド幅方向の中央位置に設けられ、かつ、前記第2駆動手段は、前記水平状態において、その全体が前記脹脛側載置部の下方のベッド幅方向の中央位置に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また請求項2に記載の発明は、前記頭部側載置部は、先行して上向きに傾き、前記背中側載置部は、前記頭部側載置部から遅れて上向きに傾請求項1に記載の折畳みベッドである。
【0009】
また請求項3に記載の発明は、前記寝台部は、ベッドフレームに載せられており、前記第1駆動手段は、前記水平状態において、前記上半身側寝台部の下方かつ前記ベッドフレームに設けられた伸縮可能なロッドを具えたアクチュエータと、前記ロッドの伸縮により、前記第1枢軸と平行な水平軸回りで傾動する揺動レバーとを有し、前記揺動レバーの一端は、直接的又は間接的に、前記頭部側置部を下方側から押し上げる請求項1又は2に記載の折畳みベッドである。
【0010】
また請求項4に記載の発明は、前記頭部側置部と、前記背中側置部とは、中間リンクを介して傾動可能に連結されており、前記頭部側置部には、一端が、前記第1枢軸の近傍でかつ前記第1枢軸と平行な水平軸回りで傾動可能に前記ベッドフレームに連結された傾動アームの他端が連結され、前記揺動レバーの前記一端は、前記傾動アームを下方から押し上げる請求項3に記載の折畳みベッドである。
【0011】
また請求項5に記載の発明は、前記揺動レバーの前記一端には、前記傾動アームに沿って転動するローラが回動自在に設けられている請求項4に記載の折畳みベッドである。
【0012】
また請求項6に記載の発明は、前記中間リンクは、前記ベッド側面視において、ベッド下方側に凸となる円弧状であり、前記頭部側置部と、前記背中側置部との各背面を連結している請求項4又は5記載の折畳みベッドである。
【0013】
また請求項7に記載の発明は、前記揺動レバーの前記一端と前記傾動アームとは、連結されていない請求項4乃至6のいずれかに記載の折畳みベッドである。
【0014】
また請求項8に記載の発明は、前記アクチュエータは、前記ロッドの伸張により、前記上半身側傾動部を押し上げる請求項3乃至7のいずれかに記載の折畳みベッドである。
【0015】
また請求項9に記載の発明は、前記太腿側置部は、その上半身側寝台部側に設けられた第2枢軸回りで傾動可能に設けられ、前記第2枢軸は、ベッド幅方向に沿った水平な軸であり、前記第1枢と前記第2枢との水平方向の距離L2が、200〜400mmである請求項1乃至8のいずれかに記載の折畳みベッドである。
【0016】
また請求項10に記載の発明は、前記ベッド側面視において、前記太腿側置部は、前記脹脛側載置部の傾動に伴って、前記第2枢軸回りで前記脹脛側置部とは逆向きに傾動し、上向きに傾くことにより、使用者の太腿を持ち上げる請求項9記載の折畳みベッドである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の折畳みベッドは、上半身側寝台部が、第1駆動手段の駆動力を用いて、ベッド幅方向に沿った水平な第1軸回りで傾動するとともに、上向きに傾くことにより、使用者の上半身を斜めに起き上がらせる上半身側傾動部を含むとともに、ベッド側面視において、前記第1枢軸が、寝台部の水平長さの中心から水平方向に100〜200mmの位置に設けられていることを特徴とする。
【0018】
このような本発明の折畳みベッドでは、標準的な成人の使用者の利用を前提とした場合、上半身側傾動部の傾動支点である第1枢軸と、使用者の腰部とがほぼ一致する。従って、ベッドがリクライニング状態とされる際、使用者は、腰部を支点として、上半身側傾動部で起こされる。よって、上半身側傾動部の傾動角度が大きくなっても、使用者の腹部等が圧迫されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態の折畳みベッドの水平状態の側面図である。
図2図1の折畳みベッドの屈曲状態の側面図である。
図3】本実施形態の折畳みベッドの分解斜視図である。
図4図1の折畳みベッドのベッドフレームを示す平面図である。
図5】折畳みベッドの寝台部の平面図である。
図6】リクライニングされた折畳みベッドの側面図である。
図7】中間リンクが拡大された折畳みベッドの一部切り欠き斜視図である。
図8】第1駆動手段が拡大された折畳みベッドの一部切り欠き斜視図である。
図9】第2駆動手段が拡大された折畳みベッドの一部切り欠き斜視図である。
図10】従来の折畳みベッドのリクライニング状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1及び2には、本実施形態の折畳みベッド(以下、単に「ベッド」と記載される)1の側面図が示されている。図1及び2に示されるように、ベッド1は、主として使用者の上半身側が置される上半身側寝台部3と、主として使用者の下半身側が置される下半身側寝台部4とを含む寝台部2を具えている。
【0021】
図1に示されるように、ベッド1は、寝台部2の一端B1に、宮板Aが設けられている。使用者は、通常、寝台部2の宮板A側を頭部として利用するのが一般的である。従って、上半身側寝台部3は寝台部2の宮板A側を構成し、下半身側寝台部4は寝台部2の他端B2側を構成している。
【0022】
図1又は図2に示されるように、ベッド1は、寝台部2が略水平となる水平状態(図1)と、上半身側寝台部3と下半身側寝台部4とが逆V字状に折りげられた屈曲状態(図2)とに変形可能である。特に指定されていない場合、ベッド1は、水平状態とされているものとする。また、本明細書では、理解しやすいように、ベッド1の長手方向がX、ベッド1の幅方向がY、ベッド1の高さ方向がZとしてそれぞれ定義されている。
【0023】
図1に示されるように、ベッド1の側面視において、寝台部2の水平長さLは、標準的な日本の成人男性の体型(身長約170cm)を考慮して、例えば、1900〜2000mm程度に設定されている。寝台部2の水平長さは、使用者が横たえることができる寝台面のベッド長手方向Xの長さである。本実施形態では、上半身側寝台部3のベッド長手方向Xの水平長さと、下半身側寝台部4のベッド長手方向Xの水平長さとは、等しく形成されている。
【0024】
寝台部2は、ベッドフレーム5に載置されている。このベッドフレーム5は、上半身側寝台部3が載置される上半身側フレーム6と、下半身側寝台部4が載置される下半身側フレーム7とを含んでいる。
【0025】
図3はベッドフレーム5の斜視図、図4はその平面図をそれぞれ示している。図3及び図4に示されるように、上半身側フレーム6は、例えば、平面視において、略コ字状に形成された主枠10と、ベッド幅方向Yにのびかつ主枠10の他端B2側の両端部を連結する補強材11aと、ベッド長手方向Xにのびかつ主枠10と補強材11aとの間を連結する一対の補強材11b、11bとを含んで形成されている。
【0026】
上半身側フレーム6には、さらに、主枠10の一端B1側からベッド長手方向Xにのびる補強材11cを有している。図3に示されるように、該補強材11cには、ベッド幅方向Yに沿う枢軸12aが設けられている。この枢軸12aには、脚部材12が回動可能に設けられている。
【0027】
図4に示されるように、下半身側フレーム7は、例えば、平面視において、略コ字状に形成された主枠15と、ベッド幅方向Yにのびかつ主枠15の一端B1側の両端部を連結する補強材16aと、ベッド長手方向Xにのびかつ主枠15と補強材16aとの間を連結する一対の補強材16b、16bとを含んで形成されている。さらに、図3に示されるように、下半身側フレーム7の各補強材16bには、ベッド幅方向Yにのびる枢軸17aが設けられている。該枢軸17aには、脚部材17が傾動可能に枢支されている。
【0028】
各脚部材12及び各脚部材17は、例えば、逆T字状をなす脚フレームと、その下部に取り付けられた車輪とから構成される。図1又は図2に示されるように、本実施形態の脚部材12及び脚部材17によれば、ベッド1を水平状態と屈曲状態との間で変形させる際、前記車輪が床面を走行するとともに、脚フレームが枢軸12a、17a回りに傾動する。これにより、ベッド1の変形がスムーズに行われる。また、各脚部材12は、各脚部材17のベッド幅方向外側に配されている。従って、ベッド1の変形時、脚部材12と脚部材17とが互いに接触することがない。
【0029】
図1乃至図4に示されるように、ベッドフレーム5は、さらに、上半身側フレーム6と下半身側フレーム7との間に配され、これらを連結する連結フレーム8を含んでいる。
【0030】
連結フレーム8は、ベッド幅方向Yの両側に配置された一対の側板部8aと、この側板部8a間を継ぐ継ぎ材8bと、継ぎ材8bから下方にのびる一対の脚部材9とを含んでいる。
【0031】
側板部8aの一端B1側は、上半身側フレーム6に枢軸6aで回動可能に連結されている。同様に、側板部8aの他端B2側は、下半身側フレーム7に枢軸7aで回動可能に連結されている。各脚部材9は、例えば、棒状にのび、その先端に滑り止めが設けられている。ベッド1は、水平状態において、脚部材9により移動が規制される。また、ベッド1は、連結フレーム8が上に持ち上がることにより、水平状態から屈曲状態へと変形される。
【0032】
本実施形態のベッドフレーム5は、例えば、連結フレーム8と上半身側フレーム6との間、及び、連結フレーム8と下半身側フレーム7との間に、それぞれ引張バネ(図示省略)が設けられてもよい。引張バネが設けられることにより、ベッド1を屈曲状態にする際の操作力が軽減される。また、本実施形態のベッドフレーム5は、例えば、電動機などを使用することにより、自動で屈曲状態又は水平状態へと変形可能とされても良い。
【0033】
上半身側寝台部3は、使用者の荷重を受ける剛性フレーム部3Aと、その上面に配されたウレタンフォーム等のクッション材3Bとを含んで構成されている。同様に、下半身側寝台部4は、剛性フレーム部4Aと、その上面に配されたウレタンフォーム等のクッション材4Bとを含んで構成されている。各寝台部3、4は、例えば、カバー材(図示せず)で被覆されている。
【0034】
図5には、剛性フレーム部3A及び剛性フレーム部4Aが平面図で示され、図6には、ベッド側面視において、リクライニング状態のベッド1が示される。図5に示されるように、上半身側寝台部3は、ベッド幅方向Yに沿った水平な第1枢軸21回りで傾動する上半身側傾動部20を含んでいる。図6に示されるように、第1枢軸21は、例えば、ベッドフレーム5に設けられる。本実施形態の第1枢軸21は、上半身側フレーム6の補強材11aに固着された支持片13で枢支されている。
【0035】
本発明では、第1枢軸21は、ベッド側面視において、寝台部2の水平長さLの中心CLから第1枢軸21までの水平方向の第1距離L1が、100〜200mmとなる位置に設けられている。即ち、第1枢軸21が、従来に比して、寝台部2のベッド長手方向Xの中央側に寄せて設けられている。第1距離L1が100mm未満の場合、例えば、使用者は、使用者の腰部gより下半身側の臀部を支点に上半身が起こされ、上半身側傾動部20の傾動角度が大きくなると、ベッド長手方向Xの他端B2側にずれ動かされるおそれがある。逆に、第1距離L1が200mmより大きい場合、例えば、使用者は、使用者の腰部gより頭部側を支点に上半身がおこされ、上半身側傾動部20の傾動角度が大きくなるに従い、腹部等に圧迫感を感じるおそれがある。このような観点より、本実施形態の第1距離L1は、好ましくは、100〜170mm、より好ましくは、100〜150mm、さらに好ましくは、100〜140mmであるのが望ましい。
【0036】
このようなベッド1は、標準的な成人の使用者の利用を前提とした場合、上半身側傾動部20の傾動支点である第1枢軸21と、使用者の腰部gの位置とがほぼ一致する。従って、ベッド1がリクライニング状態とされる際、使用者は、腰部gを支点として、上半身側傾動部20で起こされる。よって、上半身側傾動部20の傾動角度が大きくなっても、使用者の腹部等が圧迫されることがない。なお、上半身側傾動部20の水平方向に対する上向きの傾斜角度は、好ましくは0度よりも大きく75°以下に設定されるのが好ましい。
【0037】
上半身側傾動部20は、好ましくは、使用者の頭部が置される頭部側置部23と、使用者の背中が置される背中側置部24とを含む。
【0038】
図5又は図6に示されるように、頭部側載置部23は、例えば、横長矩形状に結合された枠体23aと、枠体23aのベッド幅方向Yに懸架された略S字状の支持材23bと、これらの上部に配されたウレタンフォーム等のクッション材23cとを含んでいる。頭部側載置部23は、使用者の頭部を載置する枕として機能しうるように、ベッド長手方向Xにおいて、例えば、190〜240mmの長さを有するのが望ましい。
【0039】
背中側載置部24は、例えば、略コ字状に形成された主枠24aと、ベッド幅方向Yをのびかつ主枠24aの他端B2側の両端部を継ぐ補強材24bと、主枠24aのベッド幅方向Yに懸架された略S字状の支持材24cと、これらの上部に配されたウレタンフォーム等のクッション材24dとを含んでいる。この背中側置部24の主枠24aの他端B2側の両端部は、第1枢軸21で傾動自在にベッドフレーム5に連結されている。
【0040】
頭部側載置部23と背中側載置部24とは、中間リンク25を介して傾動可能に連結されている。
【0041】
図7には、中間リンク25の拡大斜視図が示されている。図7に示されるように、中間リンク25は、一端が頭部側置部23の枠体23aの他端B2側に枢支され、他端が背中側置部24の主枠24aの一端B1側に枢支されている。また、中間リンク25は、頭部側置部23と背中側置部24との各背面側に連結されている。中間リンク25は、例えば、ベッド側面視において、ベッド下方側に凸となる円弧状に形成されている。
【0042】
さらに、上半身側傾動部20は、例えば、上半身側フレーム6に支持された第1駆動手段22の駆動力を用いて傾動される。この第1駆動手段22は、例えばリモコン等でベッド1上の使用者によって操作される。
【0043】
図6及び図8には、第1駆動手段22が示されている。第1駆動手段22は、アクチュエータ30と、このアクチュエータ30の駆動によりベッド幅方向Yに沿った水平軸31a回りで傾動する揺動レバー31とを有している。
【0044】
アクチュエータ30は、例えば、上半身側寝台部3の下方かつベッドフレーム5に、取付部材29を介して枢支されている。アクチュエータ30は、電動モータ30bと、電動モータ30bの駆動により伸縮可能なロッド30aとを具えている。ロッド30aは、水平軸31aに固着されたロッド枢支レバー33に枢支されている。
【0045】
揺動レバー31は、一端が水平軸31aに固着されており、他端は、直接的又は間接的に頭部側置部23を下方側から押し上げることができる。
【0046】
このような第1駆動手段22は、アクチュエータ30のロッド30aの伸張により、図6において時計回りに水平軸31aを回転させる。これにより、揺動レバー31が起き上がり、上半身側傾動部20を押し上げることができる。この際、頭部側置部23のみが先行して上向きに傾く。この状態では、頭部載置23のみが持ち上がるため、使用者は、頭部載置23を枕のように使用することができる。次に、アクチュエータ30のロッド30aをさらに伸長させると、頭部載置部23の傾動角度がさらに大きくなる。これにより、中間リンク25が背中側置部24を引き上げ、背中側載置部24が、頭部側載置部23に遅れて上向きに傾く。
【0047】
頭部載置部23は、例えば、揺動レバー31によって直接的に押し上げられても良い。この場合、揺動レバー31の一端が頭部側載置部23に直接連結される。
【0048】
本実施形態では、揺動レバー31が頭部載置部23を間接的に押し上げる構成が示されている。この態様では、第1駆動手段22は、さらに、一端がベッドフレーム5に連結されかつ他端が頭部側載置部23に連結された傾動アーム32を含んでいる。
【0049】
図8に示されるように、傾動アーム32は、例えば、一端が上半身側フレーム6の補強材11b、11b間に枢支された水平軸32aに固着される。これにより、傾動アーム32は、ベッド幅方向Yに沿った水平軸32a回りに傾動可能である。水平軸32aは、第1枢軸21の近傍でかつ第1枢軸21と平行に枢支される。
【0050】
傾動アーム32の他端は、例えば、スライド部32bが形成されている。該スライド部32bは、頭部側載置部23の枠体23aに設けられたスライドレール23にスライド可能に挿入されている。
【0051】
揺動レバー31は、一端に、例えば、傾動アーム32に沿って回転自在なローラ31bが設けられ、このローラ31bを介して傾動アーム32を下方から押し上げるように構成されている。
【0052】
以上のような揺動レバー31及び傾動アーム32の構成によれば、揺動レバー31の水平軸31aと傾動アーム32の水平軸32aとの距離が大きくても、上半身側傾動部20を大きな傾斜角度に傾動することができる。また揺動レバー31の一端には、ローラ31bが設けられ、揺動レバー31の一端と傾動アーム32とは連結していない。このため、上半身側傾動部20を下方に傾動する場合、例えば、上半身側傾動部20の下方に、人や物等があっても、上半身側傾動部20とアクチュエータ30とが切り離され、アクチュエータ30のロッド30aのみが縮小する。つまり、上半身側傾動部20は、アクチュエータ30の動力ではなく、自重のみで下降するので、上半身側傾動部20で人や物等が挟まれる事故が防止される。
【0053】
図5に示されるように、下半身側寝台部4は、使用者の太腿側が置される太腿側載置部35と、使用者の脹脛側が置される脹脛側置部36とを含んでいる。
【0054】
太腿側載置部35及び脹脛側載置部36は、例えば、横長矩形状に結合した枠体35a、36aと、各枠体35a、36aのベッド幅方向Yに懸架された略S字状の支持材35b、36bと、それらの上面に配されたウレタンフォーム等のクッション材36cとを含んでいる。
【0055】
太腿側載置部35の支持面は、使用者の太腿を載置するのに適したのベッド長手方向Xの長さを有し、例えば、230〜280mmに形成される。また、脹脛側載置部36の支持面は、使用者の脹脛を載置するのに適したベッド長手方向Xの長さを有し、例えば、530〜580mmに形成される。
【0056】
太腿側置部35は、一端B1側に設けられた第2枢軸37回りで傾動可能に設けられている。該第2枢軸37は、ベッド幅方向Yに沿った水平な軸であり、例えば、下半身側フレーム7の補強材16aに固着された基部38の後端部に枢支される。
【0057】
太腿側置部35と脹脛側載置部36とは、例えば、ベッド幅方向Yにのびる水平な第3枢軸39の回りで傾動可能に連結されている。図6に示されるように、ベッド側面視において、脹脛側置部36は、第2駆動手段40の駆動力を用いて、第3枢軸39回りで傾動する。このとき、太腿側置部35は、脹脛側載置部36の傾動に伴って、第2枢軸37回りで脹脛側置部36とは逆向きに傾動することができる。
【0058】
脹脛側載置部36は、例えば、第2駆動手段40で駆動される。2駆動手段40は、下半身側フレーム7に配される。図9には、第2駆動手段40が拡大されたベッド1の斜視図が示される。
【0059】
図9に示されるように、本実施形態の第2駆動手段40は、例えば、下半身側寝台部4の下方かつベッドフレーム5に設けられた伸縮可能なロッド41aを具えたアクチュエータ41を有している。
【0060】
アクチュエータ41は、例えば、下半身側フレーム7の補強材16b、16b間に、補強材を介して配された取付部材42に枢支されている。アクチュエータ41は、電動モータ41bと、電動モータ41bの駆動により伸縮可能なロッド41aとを具えている。ロッド41aは、脹脛側載置部36の枠体36aに設けられた補強材36に枢支されている。
【0061】
図6に示されるように、本実施形態の下半身側寝台部4では、第2駆動手段40により脹脛側載置部36が押し上げられると、第3枢軸39を介して太腿側載置部35が第2枢軸38回りで上向きに傾動し、脹脛側載置部36が第3枢軸回りで下向きに傾動する。従って、使用者の下半身が下半身側寝台部4に沿って持ち上げられる。
【0062】
このようなベッド1は、太腿側載置部35により、使用者の太腿を、腰部gの近傍位置を支点として持ち上げることができる。即ち、太腿の屈曲位置と太腿側載置部35の屈曲位置とが近似した状態で、使用者の太腿を持ち上げることができる。よって、太腿側載置部35の傾動角度が大きくなっても、使用者の腹部等に圧迫感を与えることなく使用者の太腿を持ち上げることができる。特に好ましい態様では、ベッド側面視において、第1枢軸21から第2枢軸37までの第2距離L2は、200〜400mmである。
【0063】
本実施形態のベッド1は、第1枢軸21から第2枢軸37までの第2距離L2が、従来のベッドに比して小さく設定されている。このため、例えば、上半身側傾動部20と太腿側載置部35とが同時に傾動し、使用者の上半身が起こされ、太腿が持ち上げられた場合であっても、使用者の腹部等に圧迫感を与えることなくリクライニング可能かつ使用者の太腿を持ち上げることができる。
【0064】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0065】
1 折畳みベッド
2 寝台部
3 上半身側寝台部
4 下半身側寝台部
5 ベッドフレーム
20 上半身側傾動部
21 第1枢軸
22 第1駆動手段
23 頭部側載置部
24 背中側載置部
25 中間リンク
30 アクチュエータ
31 揺動レバー
32 傾動アーム
35 太腿側載置部
36 脹脛側載置部
37 第2枢軸
39 第3枢軸
40 第2駆動手段
X ベッド長手方向
Y ベッド幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10