(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脚部が、前記側板の後端間に設けられる後板をさらに備え、前記後板が、その下縁に、前記容器から前記頭部に垂れた後の前記液体が通過する切欠部を備える請求項3記載のシロダーラ用施術設備。
【背景技術】
【0002】
従来、インドの伝統的医学であるアールユヴェーダにおける浄化法の一つとして、シロダーラが知られている。シロダーラは、頭部の浄化、中枢神経の強壮、精神疾患などの治療を目的として、頭部、特には額に温めた油を垂らして施術される。
【0003】
シロダーラを施術する際の伝統的な設備としては、被施術者が仰臥するベッド、油を入れるシロダーラポット、被施術者の頭部側のベッドの端部近傍に設置されて上端近傍に片持ちのビームでシロダーラポットを吊るすためのポットスタンド、シロダーラポットをビームに吊るすためのロープあるいは鎖、及び頭部を伝って落ちる油を受けるための容器等である。シロダーラポットは例えば、金属製の半球状のもので、その底部中央に開閉弁が取り付けてあるもの、あるいは底部に設けられた孔に紐を取り付けたもの等が知られている。
【0004】
施術に際しては、被施術者をベッドに仰臥させ、ポットスタンドを被施術者の頭部側のベッドの端部近傍に設置し、例えばロープを用いてシロダーラポットをポットスタンドのビームに吊り下げ、シロダーラポットの中に温めた油を注ぎ入れ、シロダーラポットを揺れが止まった状態に安定させる。シロダーラポットは、被施術者の額の真上に、シロダーラポットの開閉弁が来るようにその位置を微調整する。上記微調整の後に、シロダーラポットが完全に静止している状態で、開閉弁を開いて、施術を開始する。
【0005】
施術の開始後の施術中に、シロダーラポットの中の油の残量を見ながら、温めた油をシロダーラポットに適量注ぎ入れる。油の温度は、所定の温度を維持する必要があるので、油が少量になって所定の温度より低くなる前に追加の油を注ぎ入れることが望ましい。このため、油の追加は、比較的頻繁に行うものである。
【0006】
しかしながら、シロダーラポットは、上記したように、ロープ等で吊るされているものなので、油を追加する際に、油の注ぎ方やシロダーラポットに添えた手をシロダーラポットから離す時等に、それまで静止していたシロダーラポットがわずかに揺れることがある。このように、シロダーラポットが揺れると、油の垂れる位置が被施術者の額からずれることになる。このようにシロダーラポットが揺れている状態では、シロダーラのトリートメント効果が現れ難くなる。そのため、シロダーラポットを揺らすことなく油を追加する作業は、シロダーラの施術に長けた施術者であっても容易ではなく、経験の浅い施術者にとっては難しい作業となった。
【0007】
このため、例えば、特許文献1に示されるように、油を溜めておく集油器、油を温めるためのヒータ、温められた油を循環させるためのポンプ及び油を額に垂らすためのノズル等を備え、ベッドに仰臥した被施術者の額に油を垂らし、額を通過した油を集油器に回収するように構成した装置が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のものでは、ノズルから油が垂れるので、シロダーラポットを吊るして施術するものに比較すれば作業性はよい。しかしながら、特許文献1のものでは、額に接触した油を集油器に戻し、集油器に溜まっていた油とともに再度額に滴らせるので、被施術者の額や髪の毛に付着していた汗やほこり等の異物が、集油器に戻る油に混入する可能性が高くなり、その結果、油の質が低下する傾向にあった。
【0010】
また、施術中においては、油を循環させるためのポンプが作動して、常時低い音を発生させているため、被施術者にとってはその音が耳触りとなり、精神的に落ち着かない状態になった。
【0011】
したがって、使用中の油の質が低下すること、及びポンプの発する機械音が被施術者の耳障りになることにより、トリートメント効果がほぼ期待できない施術となった。
【0012】
しかも、油を循環させる構成であるので、油を循環させるための管路や、油をろ過するろ過槽等が必要であり、施術中の作業は比較的容易なものの、施術後のメンテナンスについては、作業量が多く、かなりの時間と労力とを必要とした。
【0013】
そこで本発明は、上記したような問題を鑑みてなされたものであり、熟練の程度にかかわらず施術時の作業を容易にすることができ、しかもトリートメント効果を十二分に奏することができるシロダーラ用施術設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本発明のシロダーラ用施術設備は、持ち運びが可能な容器と、前記容器を支持する支持台とを備え、前記容器に貯めた液体を被施術者の頭部に垂らして施術する際に用いるシロダーラ用施術設備であって、前記容器が、蓄えられた前記液体を垂らすための孔をその底部に備え、前記支持台が、前記容器が載置される天板と、前記天板を支持する脚部とを備え、前記天板が、載置された前記容器の前記孔から垂れる前記液体を通す、前記孔より大なる開口部を備えてなることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、施術時には、天板が容器の孔より大なる開口部を備え、開口部を介して被施術者の頭部に液体を垂らすものである。この場合に、液体を貯める容器を、支持台の天板に載置するので、容器が揺れることがないので、液体を垂らす位置の位置調整を容易にすることが可能になるとともに、施術中に液体を追加する等の作業も容易にすることが可能になる。
【0016】
液体を垂らす位置の位置調整をさらに容易にするには、前記開口部が、所定ピッチで設けられる複数の溝からなるものが望ましい。
【0017】
施術中に、被施術者の頭部の位置調整を容易にできるようにするには、前記脚部が、一対の側板からなり、前記それぞれの側板は腕を通すことが可能な窓を備えてなるものが望ましい。
【0018】
使用済みの液体による施術環境を汚染することなく回収するためには、前記脚部が、前記側板の後端間に設けられる後板をさらに備え、前記後板が、その下縁に、前記容器から前記頭部に垂れた後の前記液体が通過する切欠部を備えるものが望ましい。
【0019】
施術の際に使用する施術台に応じて施術を安定して行えるようにするためには、前記脚部が、前記天板の高さを可変にする高さ調整機構を備えてなるものが望ましい。
【0020】
支持台が、折畳式であれば、保管に要する場所を小さくすることができ、省スペース化を実現できる。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明のシロダーラ用施術設備によれば、液体を垂らす位置の位置調整や、液体の追加等の作業を、熟練を要することなく容易に行うことができ、しかもトリートメント効果を最大限に奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の実施形態を、
図1〜4を参照して説明する。
【0024】
この実施形態のシロダーラ用施術設備100は、シロダーラを施術する際に用いるもので、被施術者1が仰臥する例えばベッド2の上に設置される支持台3と、支持台3に載置される容器であるシロダーラポット4とを備えている。
【0025】
支持台3は例えば、木製で、脚部である左右で一対の側板5、6と天板7と後板8を備えている。この支持台3は、折畳式で、左右の側板5、6及び天板7それぞれが、後板8に蝶番9で連結されており、不使用時つまり保管時には、
図2に示すように、左右の側板5、6と天板7と後板8とが重なりあって、板状になる。施術に際して、支持台3は、被施術者1の頭部1aが位置する側のベッド2の一方の端部2a近傍に載置される。
【0026】
左右の側板5、6は、天板7を支持するもので、この実施形態では例えば、長方形状の一枚の板の中央部分を切除し、枠状に形成している。つまり、左右の側板5、6はそれぞれ、上縁5a、6a、前縁5b、6b、後縁5c、6c及び下縁5d、6dを有する枠の形状をしており、それらの縁に囲まれた部分が、板の外形と相似な形状の窓10となる。上縁5a、6a、前縁5b、6b、後縁5c、6c及び下縁5d、6dは、一枚の板から作られたものであるので、連続している。窓10は、少なくとも施術中に、腕を差し入れて、被施術者1の頭部1aに触れて頭部1aの位置や姿勢を調整できる大きさであればよい。
【0027】
天板7は、その上にシロダーラポット4が載置されるもので、後述するシロダーラポット4の孔4aより大なる開口部11を備えている。開口部11は、左右の側板5、6の内向面と平行な方向に延びる、言い換えれば支持台3の前後方向に延びる平面視長方形状の溝11aを、所定ピッチで複数形成して構成される。溝11aと溝11aとの間隔は、溝11aの左右方向の幅よりも小さくしてあり、可能な限り溝11aの開口面積を大きくするように設定してある。また、天板7の裏面の、左右の側板5、6に対応する位置には、左右の側板5、6の上端を左右から挟むためのレール11bが設けてある。このようにレール11bを設けることにより、天板7と左右の側板5、6との位置ずれを抑えることができる。
【0028】
後板8は、左右の側板5、6と同様に、長方形状の一枚の板の中央部分を切除して窓12を形成し、上縁8a、下縁8b、左縁8c及び右縁を有する枠に形成している。後板8はさらに、その下縁8bに、シロダーラポット4から頭部1aに垂れた後の液体である油、つまり使用後の油が通過する切欠部13を備える。切欠部13は、後板8の左右方向の中央に、所定の高さまで後板8を切除して形成してある。この後板8にあっても、上縁8a、下縁8b、左縁8c及び右縁は連続している。
【0029】
シロダーラポット4は例えば、金属製で、逆円錐台形状をしており、施術者が持ち運び可能な大きさをしている。シロダーラポット4はその底部に、油を垂らすための孔4aを有している。孔4aは、油が連続して垂れるに十分な大きさ、例えば5mm〜10mm程度の直径のもので、底部を構成する円板の中心に設けてある。この実施形態にあっては、孔4aに紐14が取り付けてあり、シロダーラポット4内に溜められる油の垂れる量を調整できるようにしてある。なお、
図1においては、支持台3の構造を把握するために、シロダーラポット4を想像線で図示するとともに、理解を容易にするために、孔4a及び紐14を誇張して図示している。
【0030】
このような構成において、シロダーラの施術は、ベッド2に、被施術者1を仰臥させて実施する。まず被施術者1は、ベッド2に置かれた枕15に頭部1aを乗せて仰臥する。施術者は、被施術者1の額側が下がり、顎が少し上がるような角度で被施術者1の頭部1aが支持されるように、枕15の位置や高さを調整する。被施術者1の頭部1aをこのように角度付けすることにより、油が垂れる額が、支持台3の後方に向かって下がる勾配が形成される。この結果、額に垂れた油は、額から頭部1aの頂側に流れやすくなり、使用済みの油の回収を容易にすることに寄与する。
【0031】
ベッド2の上面には、頭部1aに垂らした油が落ちるので、その上面を、耐油性を有する可撓性の合成樹脂製のシート16で覆う。このシート16の被施術者1の頭部1a側の端部16aは、ベッド2の端部2aから延出させてあり、油がその延出部分の端部16aを伝って、ベッド2の外側に排出されるように構成してある。
図3及び
図4には、油回収用のバケツ17を設置した構成を図示している。
【0032】
このようなベッド2に対して、折り畳まれた支持台3を開いて、支持台3を組み立てる。支持台3は、上述したように、左右の側板5、6、天板7及び後板8が折り重なっているので、天板7を開くとともに左右の側板5、6を開いて、天板7を左右の側板5、6の上端に取り付ける。天板7は、その裏面のレール11bの間に左右の側板5、6の上端が差し込まれることで、左右の側板5、6により支持される。このように左右の側板5、6の上端を、その上端に対応するレール11b間に差し込むことにより、左右の側板5、6が外側に開くことを妨げることができる。しかもこの場合、天板7と左右の側板5、6とを固定するのにボルト、ナット等の固定部材を使用しないので、支持台3を容易に組み立てることができる。
【0033】
以上のようにして組み立てた後、仰臥している被施術者1の頭部1aを覆うようにして、支持台3をベッド2に設置する。ここで、支持台3は、天板7の左右方向の中央に位置する溝11aが、被施術者1の眉間を通る線上に来るように、また溝11aの長手方向の中央が被施術者1の額の油を垂らす垂らし位置に対応するように、位置調整をしておく。なお、被施術者1の頭部1aと支持台3との位置調整は、天板7には所定ピッチで複数の溝11aがあるので、仮に被施術者1の頭部1aが中央の溝11aの真下に位置しなくても、他の溝11aを使用することで、位置調整も容易に行うことができる。
【0034】
使用後の油を回収する場合は、ベッド2に仰臥する被施術者1の頭部1a側に、油回収用のバケツ17を置き、そのバケツ17の中にシート16の延出部分の端部16aを挿入しておく。
【0035】
支持台3を設置し終わった後、支持台3にシロダーラポット4を載置する。この場合、シロダーラポット4の孔4aに取り付けられている紐14の先端が、垂らし位置の真上に位置するように、シロダーラポット4の載置位置を調整する。シロダーラポット4の載置位置の調整は、天板7の溝11aの内側の面に接触しない範囲で行えるので、比較的広い範囲で行うことができる。
【0036】
しかも、シロダーラポット4は天板7に載置した状態で、支持台3の少なくとも前後方向にスライドさせて位置調整ができるため、移動させた位置で即座に紐14の先端と被施術者1の額との位置関係を確認することができる。したがって、施術前のシロダーラポット4の位置調整を、短時間に迅速に実施することができる。
【0037】
以上のようにしてシロダーラポット4を支持台3に載置した後、施術者は、温めた油をシロダーラポット4に適量注ぎ入れる。施術中にシロダーラポット4内に貯えられた油の温度が低下するので、例えば、温度の低下が許容範囲内でおさまる程度の量の油を、シロダーラポット4内に一度に入れる。
【0038】
油をシロダーラポット4に注ぎ入れるに際して、シロダーラポット4は支持台3に載置されているので、従来の吊り下げられたシロダーラポット4のように揺れることがない。したがって、施術者は、シロダーラポット4に多大な注意を払うことなく、油をシロダーラポット4に注ぎ入れることができ、一人で作業を容易にすることができる。このことは、シロダーラポット4内の油が少なくなり、油を継ぎ足す場合に、シロダーラポット4の揺れを気にする必要がないので、シロダーラポット4を片手で支持する必要がなく、両手で安定して油の継ぎ足し作業を行うことができる。
【0039】
支持台3は、左右の側板5、6及び後板8がそれぞれ、下縁5d、6d、8bを有しており、それぞれの下縁5d、6d、8bがベッド2の上のシート16を、支持台3の自重、シロダーラポット4の自重、及び油の重量で抑えつけることになるので、使用済みの油が、ベッド2の両側方向に拡散してベッド2から流れ落ちることを防ぐ、言い換えれば施術環境が汚れることを防ぐことができる。そして、そのように流れ落ちることを妨げられた油は、後板8の切欠部13を通過してバケツ17に向かって流れるので、周囲に油を拡散させることなく、確実に使用済みの油を回収することができる。
【0040】
またこのように使用済みの油を回収することができるので、シロダーラをベッド2以外、例えば畳の上に敷いた布団に被施術者1を仰臥させても施術することができる。それゆえ、高齢者や体力が低下している被施術者1や、施術所への来所が困難な人でも、自宅でシロダーラの施術を受けることができる。このような被施術者1の居所等に出張しての施術は、支持台3が折畳式であり、持ち運びを容易にすることができるために実現することができる。
【0041】
施術を行っている最中に、被施術者1が眠る等して、被施術者1の頭部1aの位置や姿勢が施術開始の位置や姿勢から変化すると、施術者は、被施術者1の頭部1aが、施術開始時の位置や姿勢になるように調整する。この場合、左右の側板5、6及び後板8には、窓10及び窓12が形成してあるので、その窓10、12に腕を通して、被施術者1の頭部1aに手が達するので、容易に頭部1aの位置や姿勢を調整することができる。
【0042】
また、この左右の側板5、6の窓10は、被施術者1が周囲を見渡せる部分となるので、被施術者1が感じる圧迫感を軽減することができる。また、天板7についても、複数の溝11aが形成されて、開口部分が多いことにより、上側の閉塞感を軽減することができる。
【0043】
施術後は次の施術の時まで保管するものであるが、支持台3を折り畳むことで、板状にすることができるので、保管のための専有面積を少なくすることができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0045】
図5に示すものは、本発明の他の実施形態の支持台203である。
【0046】
この他の実施形態の支持台203は、天板207の構成が上記実施形態と異なっている以外は、上記実施形態と同じ構成である。したがって、天板207以外の構成要素については上記実施形態と同じ符号を付して、説明は割愛する。
【0047】
上記実施形態の開口部11が、支持台3の前後方向に延びる複数の溝11aを備えていたのに対し、この他の実施形態の天板207は、左右の側板5、6の内向面に垂直な方向に延び、左右方向に平行な方向に、上記実施形態と同様の所定ピッチで延びる複数の溝211aを備える開口部211を有するものである。
【0048】
このような開口部211の構成にあっても、上記実施形態と同等の効果を奏することができるものである。
【0049】
さらに、本発明におけるさらに他の実施形態の支持台を、
図6により説明する。
【0050】
さらに他の実施形態の支持台303は、
図6に示すように、被施術者が横たわるベッド302が置かれる床に設置されるもので、脚部が4本の柱状脚体305からなり、天板307の高さを可変にする高さ調整機構351を備えている。柱状脚体305は、図示しない蝶番により折り畳み可能に天板307と連結してあり、先端を天板307の中央の方向に向けて天板307の下側に折り畳むことができる構成である。
【0051】
柱状脚体305はそれぞれ、例えば金属製のもので、外筒部材305aと、その外筒部材305aの内側にスライド移動可能に取り付けられる内側部材305bとからなる。外筒部材305aの下端近傍には、内側部材305bを固定するための固定部材351aが回転可能に取り付けられる。そして、この固定部材351aに対応して内側部材305bには、所定のピッチで設けられるネジ孔351bが複数設けられる。固定部材351aとネジ孔351bとにより高さ調整機構351が構成される。柱状脚体305は、金属製以外に、プラスチック製や木製であってもよい。
【0052】
天板307は、平面視長方形状をしており、その中央部分に、天板307の外形と相似形をなす開口部311を有するものである。開口部311は、図示しない容器の底部の開口より大なる内法に形成してある。この実施形態では、長方形状の一個の開口部311を有する天板307を示したが、天板307は、上記それぞれの実施形態における形状の開口部11、211を備えるものを用いることもできる。
【0053】
以上の構成において、保管時は、それぞれの柱状脚体305が、内側部材305bを外筒部材305aの中に挿入されて最も短くなっている状態で折り畳まれている。使用に際しては、それぞれの柱状脚体305を折り畳んだ状態から、天板307の下側に垂直になるまで展開する。それぞれの柱状脚体305は、展開した使用位置で図示しないストッパにより、位置決め固定され、天板307を支持する。
【0054】
次に、固定部材351aを緩め、それぞれの柱状脚体305の内側部材305bを引き延ばす。内側部材305bは、使用するベッド302の高さに合わせて外筒部材305aから引き出す。つまり、外筒部材305aと、外筒部材305aの外側に引き出された内側部材305bとのそれぞれの長さによりそれぞれの柱状脚体305の長さが決まる。そして、4本の柱状脚体305の内側部材305bが全て同じ長さになるまでそれぞれの内側部材305bを外筒部材305aから引き出した後、固定部材351aをネジ孔351bにねじ込んで、外筒部材305aに内側部材305bを固定することで、天板307の高さ調整が完了する。
【0055】
このような構成によれば、施術に際しては上記実施形態と同等の効果を奏するとともに、柱状脚体305が高さ調整機構351を有しているので、施術に使用するベッド302の高さに合わせて最適な位置に天板307を設定することができる。また、柱状脚体305を折り畳むことができるので、保管に際して場所を取らず、施術場所の省スペース化を図ることができる。
【0056】
また、このように脚部を、4本の柱状脚体305により形成しているので被施術者の顔の近傍に遮蔽物がなく、ベッド302に仰臥した被施術者に対する圧迫感を軽減することができるとともに、施術中に被施術者の頭部の位置が施術開始時の位置からずれた場合に修正する作業を容易にすることができる。
【0057】
なお、柱状脚体305は、内側部材305bが天板307に折り畳み可能に取り付けられ、その内側部材305bが内側部材305bより下側に配置される外筒部材305aに挿入される構成であってもよい。この場合、高さ調整機構351を構成する固定部材351aは、外筒部材305aの上端近傍に取り付けられる。
【0058】
また、上記したさらに他の実施形態では、柱状脚体305は四角柱形状のものを説明したが、三角柱形状、多角柱形状のものや円柱形状等のものであってもよい。
【0059】
さらに、柱状脚体305の高さ調整機構351を、ロック機構を備えるガススプリングやオイルスプリング等で構成するものであってよい。また、柱状脚体305自体を、ガススプリング等で構成するものであってもよい。
【0060】
加えて、柱状脚体305は、以上に説明した外筒部材305aと内側部材305bとの二段構成ではなく、テレスコープ状に伸縮する3段や4段構成のものであってもよい。
【0061】
さらにまた、脚部が上記したような側板からなるものであってもよい。脚部が側板からなる場合、高さ調整機構としては上記した固定部材とネジ孔とからなるもの等が挙げられる。
【0062】
天板7の開口部11は、シロダーラポット4の孔4aよりも大なる網目を有する網で構成されるものであってもよい。
【0063】
上記実施形態にあっては、木製の支持台3を説明したが、木製以外に、透明な板材、例えばガラス、特には強化ガラスや、アクリルの板材等であってもよい。このような透明な板材を使用することにより、被施術者の視界が広がり、さらに圧迫感を軽減することができる。
【0064】
上記実施形態では、シロダーラポット4の孔4aに紐14を取り付けたものを説明したが、紐14を備えないシロダーラポット4であってもよい。
【0065】
上記それぞれの実施形態にあっては、脚部が折り畳めるものを説明したが、脚部が天板に固定されているものであってもよい。
【0066】
また、施術に用いる液体としては、湯であってもよい。
【0067】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。