特許第5945273号(P5945273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5945273多数印刷ヘッドユニットを使う印刷マスターデジタル創生システムとその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945273
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】多数印刷ヘッドユニットを使う印刷マスターデジタル創生システムとその方法
(51)【国際特許分類】
   B41C 1/00 20060101AFI20160621BHJP
   G03F 7/24 20060101ALI20160621BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   B41C1/00
   G03F7/24 G
   G03F7/20 511
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-525226(P2013-525226)
(86)(22)【出願日】2011年8月5日
(65)【公表番号】特表2013-541436(P2013-541436A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】EP2011063549
(87)【国際公開番号】WO2012022636
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年6月19日
(31)【優先権主張番号】61/375,248
(32)【優先日】2010年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10173533.0
(32)【優先日】2010年8月20日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507253473
【氏名又は名称】アグフア・グラフイクス・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレントツプス,クリス
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−098617(JP,A)
【文献】 特開2001−109163(JP,A)
【文献】 特開2001−212957(JP,A)
【文献】 特開昭62−104757(JP,A)
【文献】 特開平07−156380(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0046651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/00
B41C 1/18
B05C 5/00
B05C 13/02
B05C 1/00
G03F 7/20
G03F 7/24
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーキングエンジンにより印刷マスター(120)を作成するためのシステム(100)であって、
− 中心軸線(680)を有する円柱状サポート(600)と、
− 該円柱状サポート上に少なくとも1層のマークをマーク付けするマーキングヘッドユニット(400)と、を具備しており、該具備により
○該マーキングヘッドユニット(400)は少なくとも2本の平行な列(620、621)のマーキング要素(1,2,...6)を含んでなり、該平行な列の方向に沿って測定される2つの隣接するマーキング要素間の距離がノズルピッチ(630)を規定し、
〇 該円柱状サポート(600)は該マーキングヘッドユニット(400)に対し該サポートの中心軸線(680)の周りを第1速度で回転し、前記回転は該円柱状サポート(600)に接する第1速度ベクトル(670)を規定しており、
〇 該円柱状サポート(600)の1回転中に該マーキングヘッドユニット(400)がノズルピッチ(630)の整数の倍数の距離(650)移動するように、該マーキングヘッドユニット(400)は該中心軸線(680)に平行な低速スキャン方向(Y)に沿って移動し、それにより該マーキングヘッドに第2速度をもたらし、前記移動は第2速度ベクトル(671)を規定しており、
〇 該第1速度(670)ベクトルと、該第1(670)及び第2(671)速度ベクトルの和(672)と、の間の角度は値αを有しており、
該少なくとも2本の平行な列(620,621)のマーキング要素(1,2,...6)を含んでなる該マーキングヘッドユニット(400)は該中心軸線(680)の周りをインターレースされた螺旋経路(610,611)に沿ってマークを創ることができ、該マーキング要素(1,2,...6)の平行な列(620,621)の間の距離(660)は該螺旋経路(610,611)の間に不均一な間隔(640,641)を導入しているが、
− 該マーキング要素(1,2,...6)の列(921,922)が該第1及び第2速度ベクトルと平行な平面内で角度βだけ回転させられ、該螺旋経路間の該不均一な間隔が減じられるか又は除去される(960)よう、該回転が、該螺旋経路(950,951)の接線(952)と直交する方向で行われ、
|α−β|<0.5*|α|である、
該システム(100)。
【請求項2】
前記マーキングヘッドユニット(400)がインクジェット印刷ヘッドであり、前記マーキング要素がインクジェットノズルである請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記マーキングヘッドユニット(400)がレーザーヘッドであり、前記マーキング要素がレーザー素子である請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記印刷マスター(120)がレリーフ印刷マスターである請求項1から3の何れか1つに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷マスターを創る分野を扱い、特に流体堆積印刷ヘッドによりドラム上にデジタル式フレキソ印刷マスターを創るデジタル式方法とシステムを扱う。
【0002】
本発明は2列以上のノズル列を有する印刷ヘッドユニットが使われる時生ずる問題を減ずる。
【背景技術】
【0003】
フレキソ印刷又はフレキソ法では、アニロックス(anilox)ローラーから印刷可能な基盤へ急速乾燥インクを転送するために柔軟な円柱状レリーフ印刷マスターが使われる。該印刷マスターは円柱上に設置される柔軟プレートであってもよく、或いは該マスターは円柱状スリーブであってもよい。
【0004】
該レリーフ印刷マスターの浮き出し部分は印刷されるべき画像特徴を規定する。
【0005】
該フレキソ印刷マスターは弾性特性を有するので、そのプロセスは、例えばコルゲート化されたファイバーボード、プラスチックフィルム、更には金属シートまでも含む広範囲の印刷基盤上への印刷に特に好適である。
【0006】
印刷マスターを創る従来の方法は、該画像特徴を規定するネガフィルム又はネガマスク層(“LAMS”−system)を通して、UV放射源により露光される光感応重合性シートを使う。該UV放射の影響下では、該シートは該フィルムの透明部分の下が重合する。その残り部分は除去され、残ったものがポジのレリーフ印刷プレートになる。
【0007】
両者共アグファグラフィックスエヌブイ(Agfa Graphics NV)に譲渡され、2008年12月19日の優先日を有する未公開出願の特許文献1及び2では、流体小滴堆積印刷ヘッドを使ってレリーフ印刷マスターを創るデジタル解法が提示されている。
【0008】
特許文献2は、レリーフ印刷マスターが2次元層のスタックでデジタル式に表されることを開示し、これらの2次元層を計算する方法を開示している。
【0009】
特許文献1は該2次元層のスタックの3つの次元内のノズル関連アーチファクトを空間的に拡散する方法を開示する。
【0010】
両文献はまた、レリーフ印刷マスターを印刷するため使われ得る流体の組成と、この様なレリーフ印刷マスターを印刷する方法及び装置と、を開示する。
【0011】
図1はこの様な装置100の実施例を示す。140はモーター110により駆動される回転ドラムである。印刷ヘッド160は、該ドラムの回転速度Xに結合された線速度で、該ドラムの軸と平行な低速スキャン方向すなわちY方向に移動する。該印刷ヘッドは、ドラム140上に設置された取り外し可能なスリーブ130上に、重合性流体の液滴を噴射する。これらの液滴は、該印刷ヘッドと一緒に移動し、局所的硬化を提供する硬化源150により徐々に硬化される。該レリーフ印刷マスター130が印刷されると、該硬化源170は該レリーフ印刷マスター120の最終の物理的特性を決定するオプションの最終硬化過程を提供する。
【0012】
印刷ヘッドの例は図3で示される。印刷ヘッド300は、1つの軸線320上に配備され、周期的ノズルピッチ330を有するノズル310を備える。該ノズルのオリフィスは実質的に平板状のノズルプレート内に配置される。
【0013】
図2は、印刷ヘッドがY方向に左から右へ移動すると、液滴250がスリーブ240上に噴射され、それにより印刷ヘッド210の“先行”部分211が下層220に属する液滴を印刷し、一方印刷ヘッド210の“後続”部分212は上層230の液滴を印刷することを示す。
【0014】
図1及び2の装置で、Y方向の印刷ヘッドの線速度は円柱状スリーブ130,240の回転速度Xに拘束されるので、印刷ヘッドの各ノズルは回転ドラム上で螺旋経路に沿って流体を噴射する。これは図5で図解され、そこではノズル1により発射される流体液滴はピッチ510を有する螺旋経路520を記述する。
【0015】
図5では、該螺旋経路520のピッチ510は印刷ヘッド540のノズルピッチ530の長さの丁度2倍となるよう選択された。この影響は、奇数インデックス番号を有するノズル1,3,5の全液滴が第1螺旋経路520上に落ち、他方偶数インデックス番号を有するノズル2,4,6により発射される液滴は第2螺旋経路550上に落ちることである。両螺旋経路520,550はインターレースされており、ノズルピッチ530に対応する等距離560で隔てられる。
【0016】
図3のノズルピッチ330の最低値は印刷ヘッドの生産での技術的限界により制限される。この制限を克服する1つの解は多数印刷ヘッドユニットを使うことである。
【0017】
該多数印刷ヘッドユニットの概念は図4により説明される。図が示す様に、2つの印刷ヘッド401及び402は多数印刷ヘッドユニット400を形成するよう設置される。ノズル列420及び421は実質的に平行である。ヘッド401の軸線420上のノズル410と、印刷ヘッド402の軸線421上のノズル411と、の位置をノズルピッチの半分の距離だけずらすことにより、該多数印刷ヘッドユニットの有効ノズルピッチ431は各構成印刷ヘッド401,402のノズルピッチの半分となり、有効印刷分解能は2倍となる。
【0018】
レリーフ印刷マスターを印刷する目的で図1又は図2で示す装置内で多数印刷ヘッドユニットを使用することは、予期せず、望ましくない副作用効果を導入する。
【0019】
図6は、奇数インデックス番号1,3及び5を有するノズルからの流体液滴が着滴する第1螺旋経路610と、偶数インデックス番号2,4及び6を有するノズルの流体液滴が着滴する第2螺旋経路611と、を示す。
【0020】
奇数インデックス番号を有するノズルは第1軸線620上に配置され、偶数インデックス番号を有するノズルは該第1軸線620に平行な第2軸線621上に配置される。
【0021】
該多数印刷ヘッドユニット内のノズル列のこれらの2本の軸線620及び621は一致しないから、該螺旋経路610及び611は相互に対し等しくは隔てられてない。例えば、図6で距離640は距離641とは異なる。
【0022】
該螺旋経路610及び611の等しくない間隔は、流体液滴が該スリーブ上に噴射される時、Y方向に沿う該流体液滴の等しくない分布を引き起こし、これは印刷される印刷マスターの質に悪影響を与える。
【0023】
本発明の目的は、流体液滴が多数印刷ヘッドを有する印刷ヘッドユニットにより噴射される螺旋経路の分布の均一さを改善することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】欧州特許出願第EP08172281.1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第EP08172280.3号明細書
【発明の概要】
【0025】
本発明は独立請求項で説明されるシステムと方法により実現される。
【0026】
ノズルの噴射方向に直角な平面内で該多数印刷ヘッドユニットを回転させることにより、インターレースされた螺旋経路の間の距離の不均一さは減じられ、或いは除去されさえする。
【0027】
従属請求項で種々の実施例が見出される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】スリーブ上にレリーフ印刷マスターを印刷する装置の実施例を示す。
図2】スリーブ上にレリーフ印刷マスターを印刷する装置の実施例の異なる図を示す。
図3】1列のノズルを有する印刷ヘッドを示す。
図4】2列のノズルを有する多数印刷ヘッドユニットを示す。
図5図3に於ける様な印刷ヘッドのノズルにより発射された流体液滴が着滴する2本の螺旋経路を示す。
図6図4に示す該ユニットの様な多数印刷ヘッドユニットのノズルにより発射される流体液滴が着滴する2本の螺旋経路を示す。
図7】印刷ヘッドのノズル列が円柱状スリーブの軸線と平行な時、印刷ヘッドと該円柱状スリーブの動きの間の幾何学的相互作用と、その螺旋経路間の距離と、を詳細に説明する。
図8】印刷ヘッドのノズル列が、ノズルの噴射方向と直交する平面内で回転させられた時、印刷ヘッドと該円柱状スリーブの動きの間の幾何学的相互作用と、その螺旋経路間の距離と、を詳細に説明する。
図9】該ノズルが液滴を発射する該螺旋経路の間の距離がより等しくなるように、該ノズル列が回転させられた本発明の好ましい実施例を示す。
【実施例】
【0029】
図6で、回転スリーブ600又はサポートは変数であるスリーブ直径により表される直径601を有する。
【0030】
該スリーブの外周は変数であるスリーブ外周により表され、下記に等しい値を有する:
スリーブ外周=パイ*スリーブ直径
【0031】
該スリーブはX方向に、変数である毎秒回転数で表される周波数で回転する。印刷ヘッドに対するこの回転の方向と大きさは、該円柱状スリーブに接し、その中央軸線と直角な第1速度ベクトル670を規定する。
【0032】
1回転の時間は変数である回転周期で表される。該回転周期は
回転周期=1/毎秒回転数
に等しい。
【0033】
該スリーブの外周速度は変数である外周速度により表される値を有し、
外周速度=スリーブ外周*毎秒回転数
に等しい。
【0034】
図6の多数印刷ヘッドユニットのY次元に沿う2つの隣接ノズル間の距離はノズルピッチ630であり、変数Pで表される。
【0035】
Y方向の印刷ヘッドの動きは、機械的カップリングにより(例えばウォーム及びギヤにより)又は電子的ギヤ(電子的に結合したサーボモーター)によりスリーブの回転に拘束される。該スリーブの1回転中に、印刷ヘッドは、変数である印刷ヘッドピッチで表される距離650だけ動く。この距離650の値はノズルピッチ630の整数の倍数であるべきで、この倍数は変数である整数乗数で下記の様に表される。
印刷ヘッドピッチ=整数乗数*P
【0036】
図6では、整数乗数の値は2に等しい。
【0037】
印刷ヘッドがY方向に動く速度は変数である印刷ヘッド速度により表される。その値は下記の様に
印刷ヘッド速度=印刷ヘッドピッチ/回転周期
に等しい。
【0038】
印刷ヘッドの速度と大きさは第2速度ベクトル671を規定する。
【0039】
第1速度ベクトル670と第2速度ベクトル671の和は第3速度ベクトル672を規定する。この速度ベクトル672は流体液滴が噴射される該螺旋経路に接する。第1速度ベクトル670と、第1及び第2速度ベクトルの和672と、の間の角度αは下式
tan(α)=印刷ヘッド速度/外周速度
α=arctan(印刷ヘッド速度/外周速度)
で表される。
【0040】
図6の2つのノズル列620及び621の間の距離660は変数Dで表される。
【0041】
印刷ヘッドが唯1列のノズルを有する図5に示す場合と異なり、2つの異なるノズル列から発射される液滴が着滴する、図6の2本の螺旋経路610,611はY方向に沿って等しくは隔てられてない。特に、図6の距離640は距離641より短い。この結果は該2本のノズル列620,621間の距離D660の結果である。
【0042】
図7図6の詳細を示しており、該詳細は図6の距離640と距離641の間の差を幾何学的に説明するため使われる。
【0043】
下記の解析では、距離Dの長さが外周の長さに対して無視できると仮定する。その場合、該スリーブの円柱面は局所的には平面で近似され得るので、種々の変数間の幾何学的関係を説明するために従来の(2次元の)3角法が使われ得る。
【0044】
図7で、
− 距離Pは図6のノズルピッチ630に対応する;
− 距離Dは図6の2つのノズル列間の距離660に対応する;
− 距離Aは図6の2本の螺旋経路間の距離640に対応する;
− 距離Bは図6の2本の螺旋経路間の距離641に対応する。
【0045】
距離dYは距離AがノズルピッチPより短い量、そして距離Bが距離Pより長い量、に対応する。これは数学的に下記で表される。
A=P−dY
B=P+dY
A+B=2*P
【0046】
dYの値は角度αとノズル列距離Dの関数として直接表され得る:
tan(α)=dY/D
dY=D*tan(α)
【0047】
そして従って下記となる。
A=P−D*tan(α)
【0048】
上記表現は下記2つの条件、すなわち
1.D=0(これは本質的に図5で示す状況である)
2.α=0(この状況は、印刷ヘッドピッチが外周速度に対して非常に小さい時だけ近似され、それは多くの実際的状況で起こる場合である)
の条件下で
A=P
であることを教示する。
【0049】
上記表現はまた、ノズル列間の距離Dが増加した時又は外周速度に対する印刷ヘッド速度の比が増加した時、dYがより大きくなることを教示する。
【0050】
我々は今図8により、α=0に設定することなく、又はD=0に設定することなく、代わりに、ノズルの噴射方向に直交する平面内で、特定角度β下で、印刷ヘッドを回転することにより、dYを減じる、又はdYをゼロに等しくし、従って
A=B=P
とすることが可能であることを説明する。この様な面は平行である。
【0051】
図8で、dY用に下記表現が得られる。
tan(α−β)=dY/D
dY=D*arctan(α−β)
【0052】
下記設定、すなわち
β=α
を行うことにより、
A=P=B
が得られる。
【0053】
換言すれば、ノズルの噴射方向に直交する平面内で角度βだけ印刷ヘッドを回転させ、それにより角度βが角度αと等しくなることにより、これらのインターレースされた経路は等間隔となり、ノズルピッチと等しい距離に隔てられることが得られる。
【0054】
図9は本発明の更に進んだ図解を与える。該印刷ヘッドを該2つのノズル列により規定される平面内で角度βで回転させ、それにより角度βが角度αに対応させることにより、螺旋経路950と951の間の距離960を等しくし、該距離をノズルピッチ940に等しくすることが可能である。
【0055】
上記説明は本発明の例示用実施例を提供するが、該実施例に関しては多数の変種が存在する。
【0056】
第1の点では、整数乗数の値は図5,6又は9に於ける様に、2に等しい必要はない。原理的に、2,3、4又はそれより大きい数の様な、どんな整数Nが使われてもよい。上記説明から、変数である整数乗数用のNの値がまた、Nの交互的螺旋経路数に行き着くことは当業者には明らかである。
【0057】
第2の点では、角度αと角度βは相互に精確に等しいことは必ずしも必要でない。ノズル列間の距離Dが円柱状スリーブの外周に比して小さいならば、偏差dYはノズルピッチの距離Pに比して小さいことが図7により既に示されている。その場合、αより小さい印刷ヘッドの回転βは該螺旋経路間の距離A及びBの均一性の充分な改善を既に提供している。
【0058】
好ましくは、
|α−β|<0.5*|α|
であるのがよい。
【0059】
より好ましくは、
|α−β|<0.1*|α|
であるのがよい。
【0060】
そして更に好ましくは、
|α−β|<0.01*|α|
であるのがよい。
【0061】
第3の点では、本発明は2列のみのノズルを有する多数印刷ヘッドユニットに限定されない。ノズル列の数は、原理的には、どんな整数M(2,3,4又はそれより多い数)であってもよい。2つより多いノズル列が存在する場合、構成する印刷ヘッドの各1つの回転は、液滴が各印刷ヘッドにより発射される方向に直交する平面内で行われるのが好ましい。
【0062】
本発明が、流体発射ノズルを有する印刷ヘッドを使ってフレキソ印刷マスターを創る装置との関連で説明されたが、本発明は平行列のマーキング要素を使う他の外側ドラムベースの記録システム用にも丁度同様に使われ得る。
【0063】
代わりの記録システムの第1例は、マーキング要素としてレーザー素子の列を有するレーザーヘッドを使うレーザー画像形成システムである。
【0064】
代わりの記録システムの第2例は、マーキング要素として光バルブの列を有する空間光変調器を使う。空間光変調器の例はデジタルマイクロミラーデバイス、格子光バルブ及び液晶デバイスである。
【0065】
全てのこれらのシステムは印刷マスターを創るため使われる。例えば、レーザーベースマーキングシステム、光バルブマーキングシステム又はデジタルマイクロミラーデバイスマーキングシステムがオフセット印刷マスター前駆体を露光するため使われ得る。
【0066】
本発明は図1又は図2で示すものの様なシステムを使って層ごとのレリーフを形成することによりレリーフ印刷マスターを創るため有利に使用される。しかしながら、レリーフ
印刷マスターはまた、例えば、下記実施例の1つを使って得られてもよい。
【0067】
第1の実施例では、本発明の画像形成システムは、マスクが透明部分と不透明部分とを有するように、該マスクを像様露光(imagewise exposing)するため使われる。該マスクは次いで柔軟な光重合性の層の頂部上に置かれ、硬化源により露光される。該マスクの透明部分を通して露光された範囲は硬化し、レリーフ内にある該印刷マスターの特徴を規定する。非露光範囲は除去され、レリーフ印刷マスターの凹部部分を規定する。
【0068】
第2の実施例では、本発明の画像形成システムは柔軟なエラストマー層を選択的に露光し、それにより該露光のエネルギーは照射時、該柔軟層から材料を直接除去する。この場合、該柔軟層の非露光範囲は印刷マスターのレリーフ特徴を規定する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9