(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945287
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】電気駆動可能な車両用の車輪駆動装置
(51)【国際特許分類】
B60K 7/00 20060101AFI20160621BHJP
B60G 9/04 20060101ALI20160621BHJP
B60K 17/14 20060101ALI20160621BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20160621BHJP
F16D 65/02 20060101ALI20160621BHJP
F16F 9/54 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
B60K7/00
B60G9/04
B60K17/14
B60K17/04 H
F16D65/02 E
F16F9/54
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-558341(P2013-558341)
(86)(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公表番号】特表2014-514197(P2014-514197A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2012051640
(87)【国際公開番号】WO2012123175
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2014年11月4日
(31)【優先権主張番号】102011005616.5
(32)【優先日】2011年3月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】イェンツ ハイマン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ミュンスター
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ポルメイエール
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ マイル
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−147596(JP,A)
【文献】
特開2007−223381(JP,A)
【文献】
特開2010−228544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 7/00
B60G 9/04
B60K 17/04
B60K 17/14
F16D 65/02
F16F 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動可能な車両の車輪(7)を駆動するための駆動装置(11)であって,電気機械(12)及び変速機構を備え,該変速機構が平歯車機構(14)及び遊星歯車機構(13)を備える駆動装置(11)において,
前記平歯車機構(14)及び遊星歯車機構(13)は,トラクションモードにおける動力伝達方向から見て,前記電気機械(12)の出力側で前記遊星歯車機構(13)及び前記平歯車機構(14)の順に配置され、
前記遊星歯車機構(13)は前記電気機械(12)の車輪(7)とは反対側に配置され,前記平歯車機構(14)は前記電気機械(12)の車輪(7)側に配置され,前記電気機械(12)は中空軸構成のロータ(15)を有する内部ロータとして構成され,前記遊星歯車機構(13)のキャリア軸(19)は前記電気機械(12)のロータ(15)の中空スペースを経て前記平歯車機構(14)のピニオン(20)へ導かれることを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置(11)において,内部ロータとして構成された前記電気機械(12)のロータ(15)は,太陽歯車軸を介して前記遊星歯車機構(13)の太陽歯車(17)と接続し,前記遊星歯車機構(13)のキャリア(18)は,キャリア軸(19)を介して,平歯車(21)とかみ合う前記平歯車機構(14)のピニオン(20)と接続し,前記平歯車(21)は前記車輪(7)のホイールハブ(22)と接続するか,又は前記ホイールハブ(22)と一体的に構成され,前記遊星歯車機構(13)の内歯歯車(23)はハウジングに固定されることを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動装置(11)において,該駆動装置(11)の出力軸(25)の軸受は,前記車輪(7)の車輪軸受により構成されることを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の駆動装置(11)において,前記電気機械(12)の前記ロータ(15)は前記太陽歯車軸と一体的に構成され,及び/又は前記キャリア軸(19)は前記ピニオン(20)と一体的に構成されることを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の駆動装置(11)において,前記遊星歯車機構(13)及び前記平歯車機構(14)は,車軸方向から見て前記電気機械(12)の車輪(7)側に配置されることを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の駆動装置(11)において,前記駆動装置(11)のハウジング(24, 26)は,結合リンク式車軸(1)のトレーリングアーム(2)に直結させることを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項7】
請求項6に記載の駆動装置(11)において,前記ハウジング(24, 26)を前記トレーリングアーム(2)にネジ結合し,複数部品からなる部品として前記トレーリングアーム(2)と一体化するか又は前記トレーリングアーム(2)と一体的に構成することを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の駆動装置(11)において,ディスクブレーキにおけるブレーキキャリパ及び/又はダンパ(9)及び/又はばね(10)の結合部を,前記駆動装置(11)のハウジング(24,26)と一体化することを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動装置(11)において,ブレーキキャリパを固定する結合ネジは,前記駆動装置(11)を結合リンク式車軸(1)のトレーリングアーム(2)に取り付けるハウジングネジで構成することを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の駆動装置(11)において,前記駆動装置(11)は結合リンク式,トレーリングアーム式,センターアーム式,セミトレーリングアーム式などの車軸のトレーリングアームに配置することを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項11】
請求項10に記載の駆動装置(11)において,前記駆動装置(11)は,車輪のトレーリングアームへの取り付けポイントと,トレーリングアームの車体又はサブフレームへの取り付けポイントとの間に配置することを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の駆動装置(11)であって,前記変速機構の駆動軸回転速度の出力軸回転速度に対する比が10を上回ることを特徴とする駆動装置(11)。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の駆動装置(11)であって,前記電気機械は最高回転数が15,000 rpmを上回ることを特徴とする駆動装置(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,請求項1の前提部に記載した電気駆動可能な車両の車輪を駆動するための駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に,電気駆動車両におけるドライブトレインの配置は,内燃機関を有するセンタードライブ式の車両におけるドライブトレインの配置に対応する。この場合,電気機械,変速機及び差動機構を有する駆動装置を,車両中央に於いて前輪又は後輪の間で車体に固定して配置する。駆動トルクは,従来のセンタードライブ式と同様に,側軸を介して駆動対象車輪に伝達される。このようにドライブトレインを配置した場合,サスペンションは,アセンブリー支承部及びサブフレームのみを変更すれば足りる範囲に留まるようなコンセプトとする。
【0003】
電気駆動される車両又は電気駆動可能な車両においては,センタードライブ式も含め,車両構造においてバッテリーをいかに収容するかが非常に大きな問題となる。例えば,バッテリーを後部座席の下側に配置する構成や,センタードライブ式において内燃機関と共に変速機トンネルを配置した領域等のサブフロアにバッテリーを一体化する構成が知られている。
【0004】
従来技術において,車輪近傍に配置した電気駆動装置として,車両の駆動輪毎に1つ又は複数の電気モータを備える駆動装置が知られている。この場合,2つ以上の駆動輪を備える車両は対応する数の,従って2以上の駆動装置を備え,その各電気モータは厳密に1輪の駆動輪に作用させることが可能である。
【0005】
更に従来技術において,電気駆動可能な車両の駆動輪を駆動するために電気駆動装置を車輪近傍に配置することが既知であり,この電気駆動装置は車両サスペンションに一体化される。その際,駆動対象車軸の本数によって例えば2つ又は4つの電気駆動装置が設けられる。
【0006】
このような電気駆動装置は,ホイールキャリアに固定することができる。その場合,電気駆動装置は直接各々の車輪と共に動き,ばね下重量は駆動装置に直接的に影響される。
【0007】
車輪近傍に電気駆動装置を配置する場合の更なる可能性として,電気駆動装置を車体に固定することもできる。この場合,電気駆動装置は車両中央から車輪に向けて突出するよう車体に固定されるため,ばね下重量は電気駆動装置に影響されない。
【0008】
更に電気駆動装置は操舵機構に,即ちステアリングアームや結合リンクに固定することができる。このようなコンセプトに基づいて電気駆動装置を車体に固定された操舵機構連結ポイント近傍に配置することで,ばね下重量が低減される。
【0009】
本出願人に係るドイツ特許出願公開第10 2007 039 059号公報は,結合リンク式車軸として構成された,駆動対象車軸を開示する。車軸の各車輪に,車両長手方向への回転軸を有する電気モータが備えられ,電気モータのハウジングは,結合リンク式車軸の長手方向スイングアームの一部となる。
【0010】
車輪近傍の駆動装置は,四輪駆動,前輪駆動又は後輪駆動の車両に装備可能であり,駆動対象車軸の形式は,例えば既知のばねストラット式又はダブルウィッシュボーン式等が可能である。更に車輪近傍の駆動装置は,車輪と一体のサスペンションに統合可能である。
【0011】
更に,車輪近傍の電気駆動装置は変速機構を備えることも可能である。
【0012】
国際公開WO 2008/017945号パンフレットは,車輪に組み込み可能とした車輪駆動装置を開示している。この車輪駆動装置は,電気モータと,平歯車機構及び遊星歯車機構を有する変速機構とを備え,平歯車機構と遊星歯車機構が直列に接続されている。この場合に遊星歯車機構は,トラクションモードにおける動力伝達方向から見て,平歯車機構の出力側に配置される。
【0013】
駆動対象車軸の車輪を駆動するために,車輪近傍で電気駆動装置を使用することにより,結果的には車体の柔軟性が高まる。中核的な駆動機構を車両中央に配置する必要が無くなり,ひいては車両設計の自由度,特に,バッテリーを収容すると共に衝突安全性に寄与する車両内部空間の設計の自由度が増すためである。
【0014】
更に,車輪近傍の電気駆動装置により各車輪に対して駆動トルクが発生するため,トルクベクトリング,横滑り防止(ESP),アンチロックブレーキ(ABS),トラクションコントロール(ASR)等の機能を容易に達成することができる。電気駆動装置を介して迅速でより正確な制御が可能となるため,従来のブレーキに基づく調整システムと比較して,上述の機能が最適化されるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第10 2007 039 059号公報
【特許文献2】国際公開第2008/017945号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は,電気駆動可能な車両における車輪駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は,請求項1の特徴によって解決される。本発明の更なる実施形態及び利点は,従属請求項より明らかとなる。
【0018】
即ち,本発明は,電気駆動可能な車両における結合リンク式車軸の車輪駆動装置を提案するものであり,この駆動装置は電気機械及び変速機構を備える。変速機構は平歯車機構及び遊星歯車機構を備え,これらの歯車機構は,トラクションモードにおける動力伝達方向から見て,電気機械の出力側で遊星歯車機構及び平歯車機構の順に配置される。
【0019】
遊星歯車機構は電気機械のロータと同軸上に配置され,平歯車機構は電気機械のロータと軸平行に配置される。駆動装置は,車軸と軸平行に配置される。
【0020】
このコンセプトにより生じたオフセット軸関係を,駆動装置の重心と,車軸が車体に対して空間的に移動する回転ポイントとの距離を縮めるために利用し,これにより更にばね下重量を低減する。好適には,駆動装置は車輪中心と回転ポイントの間,回転ポイント上,又は回転ポイントの車輪中心と反対側に配置する。
【0021】
遊星歯車機構を平歯車機構と組み合わせることで,大きな変速比が可能となり,電気機械のサイズ及び重量と,ばね下重量を抑えることが可能である。例えば2つの変速機構で達成可能な変速比は,10を上回る値とすることができる。変速比,即ち変速機構の駆動軸の回転速度の出力軸の回転速度に対する比率は,10を上回る値とすることが好適であり,13から18の間の値が望ましく,特に16が最適である。この場合,達成可能な変速比は両変速機構について対称又は非対称に分配できる。
【0022】
好適には,低速駆動モータを駆動装置における2つの変速機構と接続する。この場合には,全体として高い回転数が使用可能となり,出力/重量比(kW/kg)を高めることができる。これにより電気機械が小型化し,電気機械をホイールキャリアへ一体可能となるか,又は一体化が容易となる利点が得られる。
【0023】
平歯車を使用することで,電気機械の出力軸と車軸がオフセット軸関係となり,電気機械がトレーリングアーム上で,更に車体とトレーリングアームとの連結部方向へ後退可能となるため,ばね下重量が低減される。
【0024】
より平坦な構造の平歯車を,動力伝達方向で遊星歯車機構の後部に位置させることにより,ばねとダンパの位置を車輪中心点近傍に保ち,良好な反応挙動と調整挙動を実現する。
【0025】
最大回転数が15,000 rpmを上回り,好適には18,000 rpmから22,000r pmとし,特に21,000 rpmで高速回転する電気モータを備えた変速機構を使用する場合,遊星歯車機構を電気機械に直接後置接続し,同様の位置で平歯車機構を使用した場合よりも,低騒音の可動を実現する。なぜなら,一般的に遊星歯車機構は構造がコンパクトであり,高速回転する変速段の領域で,ノイズを放つハウジング面が縮小されるためである。
【0026】
駆動装置のハウジングは,ホイールキャリアとするか,車輪に固定されたアームとするか,又はホイールキャリアの一部で構成することが可能であり,発生する力をサスペンションへ伝達する機能を発揮する。
【0027】
好適には,車両の主たる稼動状況において,潤滑油が重力作用により自発的に電気機械から変速機構スペースに設けられたオイルサンプに還流するよう,電気機械及び変速機機構を配置する。そのためには,ロータ軸受に潤滑油を十分に確保できるよう電気機械のハウジングを設計する。これにより,接触性又は非接触性のシーリングを,特に駆動装置の高速回転軸に設ける必要が無くなり,潤滑油のロス及び発熱が低減される。
【0028】
本発明の実施形態においては,駆動装置のハウジングをばねストラット式車軸のホイールキャリアに対してネジ結合等により直結し,又は複数部品からなる溶接部品としてホイールキャリアと一体化し,又はホイールキャリアと一体的に構成する。
【0029】
更なる実施形態として,電気機械及び遊星歯車機構を共通のハウジングに収めることも可能である。
【0030】
更に,ディスクブレーキにおけるブレーキキャリパ,及び/又はダンパ,及び/又はばねの結合部は,駆動装置のハウジング内に一体化させることができ,ブレーキキャリパを固定するための結合ネジは,駆動装置を車軸のトレーリングアームに取り付けるためのハウジングネジと共用することが可能である。
【0031】
このようにして構成がコンパクト化し,分離した構成部品が不要となり,結果的に製造コストが削減される。
【0032】
駆動装置は,特に結合リンク式,センターアーム式,セミトレーリングアーム式又はトレーリングアーム式などの車軸と組み合わせ可能である。結合リンク式車軸とは,2本のトレーリングアームと,これらのトレーリングアームを接続するクロスビームとを備える車軸を指す。センターアーム式車軸とは,2本のトレーリングアームを備えた車軸を指し,各トレーリングアームは2本のウィッシュボーンアームに接続し,これらのウィッシュボーンアームは車体に固定される。セミトレーリングアーム式車軸とは,車輪毎に略三角形のスイングアームを備える車軸を指し,そのスイングアームは2箇所の端部で車体に接続し,頂点部でホイールキャリアに接続する。トレーリングアーム式車軸とは,車輪毎にトレーリングアームを備える車軸を指し,そのトレーリングアームは一方で車体に接続し,他方では車輪に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下,添付図面に基づいて本発明を更に詳述する。なお,同一の構成部品については同一の参照数字を適用する。
【
図1】従来技術による結合リンク式リア車軸を示す線図的な上面図である。
【
図2】本発明に係る電気駆動可能な車両の駆動装置の第1実施形態の配置を示す線図的な断面図である。
【
図3】本発明に係る駆動装置の配置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には,従来技術による結合リンク式リア車軸1が示され,2本のトレーリングアーム2, 3を備え,これらのトレーリングアーム2, 3は,クロスビーム4により互いに接続される。
【0035】
結合リンク式リア車軸1は,2つのゴムブッシュ5, 6を介して車体にネジ結合される。結合リンク式リア車軸1の車輪は,参照数字7, 8で示す。更に
図1においては,ダンパを参照数字9で,結合リンク式リア車軸1のばねを参照数字10で示す。
【0036】
図2に示す本発明の実施形態においては,駆動装置11は電気駆動可能な車両の結合リンク式リア車軸1の車輪7を駆動するものであり,電気機械12及び変速機構を備える。変速機構は平歯車機構14及び遊星歯車機構13を有し,これらはトラクションモードにおける動力伝達方向から見て,電気機械12の出力側で遊星歯車機構13及び平歯車機構14の順に配置される。遊星歯車機構13及び平歯車機構14は,図示においては,軸方向から見て電気機械12の車輪7側に配置される。
【0037】
図示の実施形態において,内部ロータとして構成された電気機械12のロータ15は太陽歯車軸を介して遊星歯車機構13の太陽歯車17と接続し,遊星歯車機構13のキャリア18はキャリア軸19を介して平歯車機構14のピニオン20(小歯車)と接続し,ピニオン20は平歯車21(大歯車)とかみ合う。平歯車21は車輪7のホイールハブ22に対して好適には差し込み式のスプライン軸又は多角形断面により結合するか,又はホイールハブ22と一体的に構成する。これにより,組立及び製造コストを低減することができる。キャリア軸19とピニオン20との接続部は,好適にはスラスト方向及びラジアル方向で転がり軸受,滑り軸受又はスラストワッシャにより支承される。
図2においては,電気機械のスタータを,参照数字16で示す。
【0038】
更に,遊星歯車機構13の内歯歯車23はハウジングに固定される。内歯歯車23は,遊星歯車機構13のハウジング24に連結し,ハウジング24と一体的に構成し,又はハウジング24に圧入することができる。内歯歯車23をハウジング24と一体的に構成する場合,放射方向に突起部を設け,ハウジング24と内歯歯車23との直径の差を相殺する。内歯歯車23を,シリンダ状のハウジングに圧入可能な内歯歯車リングとして形成すれば,負荷に応じて素材を選択することが可能となり,結果的に重量が低減できる。
【0039】
更なる実施形態において,遊星歯車機構13及び電気機械12を共通ハウジングに収めることも可能である。
図2の実施形態では,電気機械12のハウジングを参照数字26で示す。
【0040】
更に,電気機械12のロータ15の軸は,太陽歯車軸と一体的に構成することができ,キャリア軸19は更にピニオン20と一体的に構成することができる。
【0041】
図示しない更なる実施形態においては,遊星歯車機構13の入力軸及び/又は出力軸を,各々遊星歯車機構13の更なる要素とすることも可能である。
【0042】
好適には,歯車をはすば歯車として構成する。これにより,遊星歯車機構13の太陽歯車軸の軸受を電気機械12におけるロータ15の入力側軸受により構成して軸受を分割する必要性を省き,電気機械12のロータ15の,遊星歯車機構13の太陽歯車17とは反対側の軸受を好適にはばね要素により軸方向に付勢することが可能である。
【0043】
この場合,遊星歯車機構13の太陽歯車17のねじれ角は,平歯車機構14のピニオン20のねじれ角に対して反対方向とするのが好適である。更に遊星歯車機構13の太陽歯車17と,平歯車機構14のピニオン20のねじれ角の方向は,駆動装置11の軸受に対する負荷が最小となるよう選択するのが好適である。この構成により,摩擦損失が最小となり,軸受の小型化が可能となる。平歯車21のねじれ角の高さ及び形状は,従来の車輪軸受が負荷を支承可能であるよう選択する。
【0044】
更に,駆動装置11の平歯車21と接続する出力軸25の軸受は,車輪7の車輪軸受により構成される。車輪軸受は,従来構造の軸受であり,例えば2列式ローラーベアリングか,接触角が15°〜60°の間の2つの独立したアンギュラボールベアリングで構成することが可能である。これにより,駆動装置の軸受の数を減少できる利点が得られる。
【0045】
本発明において,駆動装置11のハウジングは,特に
図1及び
図2に示す実施形態の場合には,電気機械12のハウジング26を結合リンク式リア車軸1のトレーリングアーム2に直結させ,好適にはネジ結合する。代替的に,電気機械12のハウジング26を複数部品からなる溶接部品としてトレーリングアーム2に一体化するか,又はトレーリングアーム2と一体的に構成することができる。更に,電気機械12をトレーリングアーム2に挿入可能なカートリッジ状に構成することができ,この場合にトレーリングアーム2は全体のハウジングとして機能する。
【0046】
本発明の更なる実施形態において,ディスクブレーキのブレーキキャリパ,及び/又はダンパ9及び/又はばね10の結合部は,駆動装置11のハウジングと一体化することができ,特に
図2の実施形態の場合には電気機械12のハウジング26と一体化することができる。その場合,ブレーキキャリパを固定するための結合ネジは,駆動装置11を車軸のトレーリングアーム2に固定するハウジングネジと共用とすることが可能である。
【0047】
このようにして構成がコンパクト化し,分離した構成部品が不要となり,結果的に製造コストが削減される。
【0048】
図3は,ダンパ9とばね10の結合部を電気機械12のハウジング26へ一体化した構造,及び電気機械12のハウジング26をトレーリングアーム2に直結した構造を例示するものである。
【0049】
図示しない実施形態においては,電気機械12を中空シャフトモータ,即ち中軸構成のロータ15を有する内部ロータとして構成することができる。この場合,遊星歯車機構13は,電気機械12の車輪7とは反対側に配置され,平歯車機構14は,電気機械12の車輪7側に配置される。また遊星歯車機構13のキャリア軸19は,電気機械12のロータ15の中空スペースを経て平歯車機構14のピニオン20へと導かれる。このような実施形態においては,例えば遊星歯車機構13のハウジング24を結合リンク式リア車軸1のトレーリングアーム2に直結することも可能である。
【0050】
電気機械12と遊星歯車機構13の配置を入れ替えれば,
図2に示された実施形態と比較して,車体長手方向支承部の領域で,緩衝の際に利用される構造スペースが確保できるという利点がある。遊星歯車機構13のハウジング24の外径を,電気機械12のハウジング26よりも短くできるためである。
【0051】
駆動装置11の電気機械12は,非常に柔軟性に富む非同期機械,他励式又は永久磁石励磁式同期機械,又は電機子反作用励磁型発電機として構成可能である。
【0052】
本発明のコンセプトにより,ばね下重量を低減しつつ高い出力/重量比(kW/kg)を有する非常にコンパクトな構成の駆動装置が実現可能である。
【0053】
前述した駆動装置は,随意のタイプの車軸,例えばセンターアーム式,コントロールアーム式,トレーリングアーム式,セミトレーリングアーム式又は台形リンク式の車軸と組み合わせ可能である。
【0054】
更に,駆動装置は軸受の数が減少できると共にアクセシビリティが良好であり,既存の車軸を僅かに変更するだけで駆動装置を車軸へ一体化することができる。例えば結合リンク式車軸の場合,トレーリングアームを変更部品と交換するのみである。
【0055】
更に車輪のブレーキ装置は,ディスクブレーキまたはドラムブレーキでとすることが可能で,駆動装置は空冷式又は液冷式とし,電気機械,遊星歯車機構及びパワーエレクトロニクスシステムが共通の冷却システムを使用することができる。パワーエレクトロニクスシステムも,ホイールキャリア又はモータに固定可能である。
【0056】
更にばね10も,車体側方部材27に固定する。
【符号の説明】
【0057】
1 結合リンク式リア車軸
2 トレーリングアーム
3 トレーリングアーム
4 クロスビーム 5 ゴムブッシュ
6 ゴムブッシュ
7 車輪
8 車輪
9 ダンパ
10 ばね
11 駆動装置
12 電気機械
13 遊星歯車機構
14 平歯車機構
15 ロータ
16 スタータ
17 遊星歯車機構13の太陽歯車
18 遊星歯車機構13のキャリア
19 キャリア軸
20 ピニオン
21 平歯車
22 ホイールハブ
23 遊星歯車機構13の内歯歯車
24 遊星歯車機構13のハウジング
25 駆動装置11の出力軸
26 電気機械12のハウジング
27 車体側方部材